※この作品はR-18です。

「『麻帆良学園から来ました烏丸イソラです!』『仲良くしてね!』」   作:おーり

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56話。日常回です


「やべぇ、今回俺出る必要がねぇ」

 

 

「イッセー、第二弾を、見たか……?」

 

 

 元浜が机に肘をつき両手を重ね口元を隠したポーズで、何処か厳かな様子で静かに問う。

 その脇では松田が後ろ手に組み直立不動、何やら一過言必要そうな組み合わせを体現しているのだけど、それがなんなのかは俺にはよくわからなかった。

 それよりも、理解していることが一つある。

 

 

「ああ、見たぜ。――今回も最高でした……ッ!」

 

「だよな! 前のグループとは全く違う組み合わせだけど、新メンバー全員美少女って普通にやばいよな!」

「もー、比率が飽和しすぎていてあそこのプロダクションへの期待値が上がりっぱなしなんですけどー!?」

 

 

 途端にポーズを取り止め、話題へ取り掛かる俺たち男の子。

 下手なカッコつけなんて意味がねぇ、やっぱ男は中身だぜ!

 

 俺たちの話題の中心は他でもない、美少女たちの華麗なダンスで世の男子の股間を鷲掴みにした某アイドルサイト【S(エス)i(アイ)(ナイン)G(ジー)G(ジー)】で新たに配信された第二弾の動画のことだ。

 第一弾の『胸の谷間に埋まらせ隊』が気づけば爆乳美少女ばかりになっていて、最初期に居た不遇枠の娘を応援していた一部の男子例えば元浜とかがその入れ替わりには憤慨したものだが、某ペタン娘と入れ替わりで参入した北欧系銀髪美少女の【ロジーナ】ちゃんで大多数のちっぱい好きも陥落したという噂だ。

 元を正せば名称からして爆乳を揃える予定だったのだろうから、むしろ彼女が参戦したことは大正義としか言いようがない!

 実際、彼女が混じって赤・黒・銀の爆乳トリオが踊る様は興奮のし過ぎでまた入院するかと思うほどだったからな!

 

 そんなサイトの第二弾――。

 グループ名は『ビキニ(ハート)シスターズ』曲名は『生殺し』、と第一弾よりも軽快且つ更にアップテンポな曲調で……まあ見た方が早いか。

 こんな感じだった。↓

 

 

 先立ってデビューした爆乳トリオと同じように、今回も3人で組まれたユニットで、並び方は前と同じようにひとりを前面に推し出して後ろ両脇を固める、というスタイル。

 両脇の子は、片方が活発そうな金髪ツインテールの娘【リィナ】ちゃん、もう片方がメッシュの入った青髪ショートカットの【ヴィオーナ】ちゃん。

 こちらは髪の色と同じビキニを身に着けて、身体を動かすたびにぽよんぽよんと暴れるいわゆる“巨乳”の類に分類されるだろう。

 

 そして中央に位置する、いわゆるセンターの役割を充てられたのは、金髪のロングストレートヘアが正統派美少女と云っても過言ではない魅力を振りまいた【アリシア】ちゃん。

 彼女は両脇を固めるふたりと比べると、明らかに肉付きは足りなかった。

 しかし、それは決して第一弾初期のあの娘のような物足りなさを彷彿とさせるような意味合いは無く、これから成長すると充分に窺わせるほどの豊満さ。

 そんな彼女が他のふたりに負けないくらい女子の象徴すなわちおっぱいをたゆんたゆんとたわませていたわけだが、これは見るにワンサイズ小さめのビキニを着けているのだと判断できる。

 そうすることで胸の形がよりくっきりと強調され、脇ふたりと比べるとボリューム不足が否めない彼女でも、センターとして見る側に満足を届けてくれたのだ。

 水色の生地に細かいフリルがあしらわれた、まるで下着のような装いも目を引く要因となる。

 

 そんな彼女たちだが、第一弾が全力で男子のリビドーに真っ向勝負を賭けているのに対して、比較すると少々大人しめの組み合わせだと云わざるを得ない。

 恰好や振り付けこそ、確かに大元(事務所)側が売りとするタイプだ、がしかし、纏まって見ると所作にもやや清楚系が混じっており、彼女たちの『頑張り』を目撃する男子たちにはセンターの可憐さも相俟って、それを見ることに色々と罪悪感のようなモノが湧いた。

 特にリィナちゃんの方は第二弾が出る少し前に『お試し動画』として、本物のアイドルみたいに黄色いふりふりの衣装を着て『夏のお嬢さん』という曲を歌っている。

 しかし――思えば、きっとあれが前哨だったのだろう。

 カワイイ系で狙ったはずのアイドルがまるでAVに出た、と云わんばかりの雰囲気――。

 これは、男子たちの罪悪感をより逆撫でて、一種のカリギュラ効果のような性的興奮を覚えさせていた。

 

 さて、そのダンスの全貌だが。

 まずある程度の前奏の直後、センターのアリシアちゃんが大きく手を振り上げて「おっぱーい♪」と叫び――(以下略。

 

 

 ――おわかりいただけたであろうか……。

 清楚なはずの少女が見せた、ある意味下品なタイプのダンサブル――。

 歌詞の中身もまた……、三角ビキニが流されたり、鯨が潮を噴くという暗喩に、貝殻じゃはみ出しちゃうといった誘惑、そして見えそうで見えない生殺し……。

 まさに曲名に恥じない、い~い動画でした……ッ!

 

 

「……アリシアちゃんマジやべぇな、あんな清楚系なのにメチャクチャエロいお仕事を頑張る……って……」

「ああ、天使だな……。リィナちゃんもエロ可愛かったけど……」

「同意だ。……ヴィオーナちゃんも負けてないけどな」

 

 

 動画を思い起こし、噛み締め乍ら感慨に耽る。

 ひょっとしたら年下だったんじゃないか、と思わせるくらい幼い容姿と魅力を醸し出していた彼女に、デビューしたての豊乳系ジュニアアイドルを発見したかのような感動が蘇る……! うっ………………ふぅ。

 ふふふ、おにーさん恥ずかしながら、ちょっと先走ってしまったよ。

 ともあれ、これからも応援せざるを得ないな!

 両脇の娘たちだって例外じゃない、エロいのは正義!

 

 

「時にイッセー、気づいたか? このサイトの名前、Si9GGってやつ」

「ああ、なんかの頭文字見てーだけど、なんだろうな?」

「最後のGGはわからんけど、半分はなんとなくわかる」

「マジか?」

「……セクシー(S)アイドル(i)9人、とかじゃないのか……?」

 

 

 ――マジか……ッ!?

 今まで見たいな娘が、まだ3人隠してある、ってことか……ッ!?

 

 これは、ますます目が離せない!

 これからも応援せざるを得ないなァ!

 

 

「――おい其処の変態三人、もういいか? 体育祭の役員決め、早めに済ませたいんだけど?」

 

「「「うっすスメラギさん、今から行くのでコブシだけはご勘弁」」」

 

 

 何はともあれ、2週間後に控えた体育祭。

 スメラギ様が殺気立つ前に、気持ちを切り替えていかないとな!

 さあ、油断せずに行こう――。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 ――ふむ、体育祭とな。

 

 

「……あれ? 前回やらなかったっけ……?」

「何言ってるんですか、夏休み前にやったのは球技大会ですよ?」

「いや、そっちじゃなくて、……あれぇ?」

 

 

 ロングホームルームで出された議題を前にして、ちょっと小首を捻る。

 なんだろうか、少し前にトラウマに近い何らかが通過していったような、そんな感覚。

 

 

「とはいえ、私たちが決めるのはどの競技に誰を出すか、だけだそうです。体育祭の実行委員は二年勢から選ぶとか……」

「あ? そうなのか?」

 

 

 そうなると、本日お休みのレイヴェルにも悪い話じゃないか。

 先日のアヘ顔ダブルピースが尾を引いているのか、彼女は一向に登校――すなわち、俺の前に姿を現そうとしていない。

 気まずいのも理解はできるが、転校早々お休みが重なるって留学生としてはちょっとどうなのかと。

 なんでや! レイヴェルさん嫌そうじゃなかったやんけ!

 それとこれとは話が別ですね、そうですね。

 

 

「それじゃあ決めちゃうヨー、まずは今回の目玉だとか評判の『三人四脚』! これは男子だけだからネー」

 

 

 と、進行役を務めるアインツェ・クルシニコフさん(ロシア国籍)が、やや片言系の語感で弁を振るう。

 どこかで見たかと思いきや、以前にカラオケで同席した眼鏡の子であった。

 キャラが違う。

 夏休みの間に何があったし。

 

 それはさておき、彼女の言い分にちょい疑問が浮かぶ。

 

 

「三人四脚、って言葉の通りなら3人要るよな? なに? 男子だけで組まされるの?」

 

 

 なにその地獄遊戯。

 俺と同じ疑問にぶち当たったのか、他の男子からもさわさわと疑惑の声が湧く。

 

 

「ハーイ静粛にー、心配しなくてモ、お相手は3年のお姉さま方ネー。上手く筆降ろししてもらえや男子ドモー」

 

 

 言い方。

 

 色々と不安になるアインツェさんの進行に思わず口を挟み、詳細を聞いたところ元は2年のとあるクラスから提案された競技らしい。

 組み合わせは当日の籤でランダムに、3年のおねー様方との交流を()った様子だが、途中で生徒会や先生方の細工が施され、申請当初の大義名分通りもはや顔なじみの2年ではなく割と新参の1年に狙いを定められたとか。

 ……どうにも誰かさん(変態先輩)の顔が脳裏に浮かぶ。

 特に3年にはグレモリー&姫島先輩という二大巨艦が居並んでいるし、某発案者が狙い撃ちにしていた可能性が。

 まあ、現状は失敗の様子だが。

 

 そして途端に上がる男子どもの挙手の嵐。

 吹き荒れてるナァー。

 

 

「烏丸くんは立候補しないの? 揺れる特大おっぱいに合法的に挟まれるチャンスだよ?」

「俺のことなんだと思ってるの?」

 

 

 樋笠さんが身を乗り出して問うてくる。

 男子のリビドーとしては正常な反応であろうが、ぶっちゃけわざわざその様子を衆人環視の元見られるとかどんな羞恥プレイやねんとしか。

 かといって、此処で挙手をしないのは同性愛疑惑を齎しそうであるが。

 

 

「烏丸くんはそんな心配はないですけど……」

「それはそれで不安になる」

 

 

 心を読んだ岡崎さんに、普段の様子を暗に言われてるようで心にクる。

 まあどうせ当たりはしない。

 挙手多すぎて流石にこの場での選抜じゃんけん大会になってるし。

 見てろ、俺が負けるときは一瞬だぞ……!?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

「――は、悪魔どもも脳が浮かれちまってんのかねぇ?」

 

 

 手元にある一通の便箋を弄びつつ、精悍な顔立ちの男性が悪辣さを隠そうともせず口遊む。

 男の名は帝釈天、世界最強十指の上位に数えられており、仏教世界を牽引するモノ()である。

 

 実のところ、仏教世界のみでモノを語れば、彼は筆頭というわけではない。

 仏教世界は内在する神仏の数が膨大且つ位階が上がるほどにその掌握性が高騰してゆくのだが、それ故に解脱し涅槃へと辿り着いた神仏は物理的な下位世界への強制力を喪失することになる。

 宇宙が膨張し中心地から果てまでの距離が広大になることと同義になるというべきか、解脱即ち物欲を切り離し悟りを開いた開祖などは、その神性や超越性が遥かな高みに在りながらも物理法則の世界への介入を認識から外すことに至るのである。

 結果として、高位から見ればパシリのような帝釈天が下段という名のまとめ役に残った、という状況だ。

 実績を鑑みれば仏教世界を支える人民からの信任も厚く、ヴリトラ退治の立役者としてインド神話出身という前身も相俟って実力も相当と見做されているのだが、仏教世界のみで見ると中堅の立場から脱却できないまま長年存在し続けた、云わば永年地方課長といった立場の男である。柴又にも帝釈天があるしね。

 

 そんな彼だが、その日は久しぶりに笑えた。

 否、嗤えた。

 彼へと厚顔無恥な招待を送り付けた、悪魔らの所業のお陰である。

 

 

「レーティングゲームの見学会、ね。アレか、自分たちの陣営が纏まったから外からも見に来い、っていう余裕か? ――莫迦が。本気でそう思ってんなら救いようのねぇ大馬鹿だ」

 

 

 彼は知っている。

 駒王協定と自称する聖書陣営の足並みの取れなさを。

 その陣営の外側にある明確な敵意を。

 三竦みが執り行われている土地の根本的な支配者を。

 そして、様々なモノから零れ堕ちた吹き溜まりを、陰から操ろうという者の悪辣さを。

 己もそうであるからこその、分かり易過ぎる岡目八目――。

 

 

禍の団(カオスブリゲード)をただのテロリストとしか認識していねぇ。全神話に喧嘩売っていると明言している奴らが、今も未だ生き残っている理由を考えたことがあるのかねぇ。――俺みたいな後ろ盾がいるからに決まってるじゃん」

 

 

 ハーデスが突貫命令を下したことを知りつつ、彼もまた【手駒(英雄)】らの生死までは気にも留めない。

 帝釈天にとっては、英雄の残滓も吹き溜まり以上の価値は無かった。

 

 

「当然、天界も一枚岩じゃねぇからなぁ、更に北欧はロキが居る。――ま、掻き回すなら今だよな」

 

 

 今回集められた『招待』の中に、様々な悪意が一緒くたにされている事実を果たして冥界は把握しているのだろうか。

 恐らくは、初手で自分たちの恥部である旧魔王を排除できたことで浮かれているのであろうが、それでも甘いと云わざるを得ない。

 裏事情の全てを知る彼にとっては、冥界は盛大な地雷を踏み続けて居るようにしか思えなかった。

 

 そして、その彼ですら気づけていない地雷が在ることを、彼は未だ知らない――。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 前回までのあらすじ!

 邪竜を求めて三千里、北欧目指して旅に出たリゼヴィム一行。

 封印されし邪竜に心当たりがある、と到達したその土地(デンマーク)で待ち構えていたものとは――!?

 みんなも邪竜ゲットじゃぞい!

 

 

「うっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ! やっべー! マジで死ぬかと思った! ただの封印地の癖して足を踏み入れる隙間もない毒の沼地って正気じゃねーわ! こりゃあベオウルフも相打つわけだ!」

「嬉しいのかリゼヴィム? すっごい笑ってるけど?」

 

 

 一歩踏み込んだ瞬間に靴の裏が音を立てて焼けるという謎の現象を前にして、慌てて飛び退くクレオとは対照的にメチャクチャ高笑いして少年をドン引きさせるコ●ン系。

 元はさん付けもしていた少年であったが、此れまでの旅路で思う処があったのか既に呼び捨てで扱われている見た目は子供の中身おっさんであった。

 

 そんな彼らが捜しに来た邪竜というのが、名をグレンデルとリゼヴィムは云うのだが。

 

 

「……ていうか、ベオウルフって竜退治してたの? 私詳しくないんだけど」

「してるぞ。リゼヴィムの云う通り、相討ちだけどな」

 

 

 たった今足元が危機なクレオ少年を力技で引っ張り上げた、意外なパワーキャラのネフレアが小首を傾げる。

 それに答えられる面子が居るとは断言できなかったが、助けたばかりのクレオが地味に説明を始めていた。

 直接の戦闘力が足りないので別方面を補おうといろいろ勉強中であるらしい。

 

 

「てか、ベオウルフってどんな英雄だっけ。うちに居た?」

 

 

 そしてネフレアの続く更なる疑問。

 身も蓋も無いが、英雄として名立たる確かな面子(自称)が揃って居る『英雄派』において、名を上げていない者は結局埋没するしかないのである。

 当のベオウルフの子孫である本人は埋没どころか、サーゼクスの眷属に『兵士』として契約しているわけだが。

 

 

「えーと、フルンティングってわかるか? アレの使い手だったんだけど……」

「……ジークフリートが持ってなかったっけ」

「そりゃディルヴィングだ。あっちは来歴不明なモノだから割愛するぞ」

 

 

 ジークは原作上5本の魔剣を所持している。

 グラム、バルムンク、ノートゥング、ディルヴィング、ダインスレイブと名前ばかりは豪華な顔ぶれなのだが、前3本は来歴が完全に同じものであり単に別の呼び名であるだけの偽物の可能性がやたらと高く、ダインスレイブなんかは『所持者に勝利を齎さない』という呪いが付いて纏う曰く憑きだ。

 原作で小物の噛ませキャラであった要因は、完全に所持していた剣にあるのでは、と筆者は思う。

 なお、ディルヴィングと呼ばれる剣に関しては、北欧の魔剣【ティルフィング】とブリテンの秘宝【ディルンウィン】という二つの来歴があってどちらのことを指しているのか本気で不明な点が多い。

 破壊力ならば後者なのだが、それならば魔剣ではなく聖剣扱いになるのでジークが所持するには些か的外れにもなるので前者が適当だが、さて――。

 

 そんな話はさておき、クレオきゅんのはちみつ授業は続く。

 

 

「ベオウルフが振るった剣でも特に有名なのがそれだ。剣身は毒の枝を煮立たせて焼きを入れ、戦場の血糊で鍛えたっていう製造由来(いわく)を持つ割に、所持者を戦いにおいていかなる災難からも守る、という守護が憑く。正確には貸し与えられたもので、グレンデルっていう怪物を退治する際にデンマークの重臣から信頼の証として与えられたらしい」

「それが竜を退治した、ってわけね」

「いや、グレンデルの母親と対峙した段階で全く敵わず、其処からは別の剣を使って戦っている」

 

 

 じゃあ今の説明何だったんだよ、とネフレアは思った。

 

 

「ベオウルフの最後はさっきも言ったように邪竜との相討ちだ。その際使っていた剣もグレンデルの母親を斃した【巨人の剣】ではなく、ネイリングという愛剣だ。グレンデルとの戦いから既に50年経っての竜退治だそうだから、寄る年波ってのも相討ちの理由になりそうだけどな」

「巨人の剣とやらを体力不足で使えなかった、ってことね」

「いや、巨人の剣はグレンデルの母親の体液で融解したらしい」

 

 

 つくづく予想を裏切る仕様だ。

 それを英雄譚と呼ぶには、色々とカッコ悪い部分が多い気がする。

 まあ叙事詩が恰好憑かないことなんて結構あるし、その点に関しては英雄派一同も目を瞑っている体が無くもなさそうではある。

 

 

「さて。今回呼び出すつもりだったのは、その最後にベオウルフと相討ちになった邪竜だと思うのだけど……」

 

 

 歯切れの悪くクレオが言い淀む。

 疑問符を掲げたネフレアには答えず、少年はリゼヴィムへと向き直った。

 

 

「……なあ、俺が調べた限りじゃ、その邪竜に名前なんて無いぞ? 流石に強いのは分かるけど、名前も知らない奴を呼び出せってのはちょっと難しいんだけど……」

 

 

 【生死覆す万象の杖(ロッド・オブ・アスクレピオス)】は医療の神の名を冠する割に、その本質は『医療』とはまた別ベクトルに偏った『再生』を促す。

 アスクレピオスとは古代ギリシャの医者の名で、死者すら蘇らせる名医であることから後に【医療の神】の座へと収められた。

 しかし、概念存在が受肉している世界で在れど、死者復活の逸話まで残されているモノを同じく『復活』を最後の審判として原典に掲げる聖書の神が許すはずがない。

 ゆえに、アスクレピオスを初めとした数々の【復活神話】を備えた神々は、自らの神話の正当性を目論んだ聖書の神によって、密やかに神器へと封印された背景が存在する。

 当然、あまりにもそれぞれの神話に影響が出そうな【(存在)】などは見逃されているのだが、そもそも72柱を初めとした悪魔らも原典(プロトコル)を紐解けば別の神話の主神の場合もある。

 しかし、そういうモノたちはむしろ己の原典には素知らぬ振りで、大概が現状しか見えていないようにしか思えない事実が存在した。

 その事実から、この世界の概念存在は受肉しているがゆえに不滅ではなく、竜種のような根本的に生命力に溢れた存在以外は、『封印』の段階でその意識も廃絶の憂き目に遭っているのではないか、と推測される。

 この【生死覆す万象の杖(ロッド・オブ・アスクレピオス)】は、恐らくはそういう類のモノだ。

 そもそも、技術が求められる【医療】を、下地無しに扱えるとかどんな発展性だ、としか言いようがない。オペオペの実だろうか。

 

 さて、その【杖】に備わっている能力は、多少なりの成長が見られるために現状2つ。

 ひとつは本人の自己治癒能力の活性化。

 ひとつは『再生』の逸話に則った『死者』の召喚。

 原作のアーシアの様に『反転』という効果も備えているので、実際は4つに当たるのかもしれないが。

 どちらにしろ、肉体の完全復活は伴っていないのだが、そこはネフレアの【托卵促す怪物の滴(エキドナ・ドロップ)】が存在する。

 聖杯成れば全て一手で収束できたのだが、無いモノを強請っても仕様がないのが現実である。

 

 

「ああ、知ってる。だがまあ、なんとかなるさぁ。名前がないなら付けちゃえばいいじゃない」

「なんだそのアントワネット理論……」

 

 

 胡乱な目を向けるクレオだったが、リゼヴィムの出した案は至極『まとも』であった。

 ――それは、『逸話』の収束。

 

 神話の時代ならば、怪物退治というモノは幾つあっても不自然ではなかった。

 ゆえに、英雄譚は戦場の数がやたらと多い。

 だが、それが近代へと向かえば向かうほど、人民を脅かす存在の出現は控えめになってゆく。

 それもそのはずで、過去より土地それぞれに根付いていた者たちを討伐すれば、その血統が遺されていない限り『次の怪物』が出てくることは実に稀であるからだ。

 怪物と云えど生き物にカテゴライズされるこの世界では、異世界からの侵略者というコズミックホラーが背景にでも無い限りは、無限に戦い続ける話が成立するはずがない。

 

 そこでリゼヴィムは、後年になって出現した『邪竜』を『怪物の子孫』として統合させた。

 【邪竜・グレンデル】の誕生した瞬間である。

 

 

「――ま、封印解けなくちゃまず復活できないんだけどね!」

「ダメじゃねえか」

 

 

 結局今回は無駄足に終わってしまう。

 なんとも締まらない話であった。

 

 

 





~第二弾
 生殺し、で動画検索。すると略した部分が其処に!(ダイマ
 (別に私にそういう人たちと何かしらの癒着があるとかそういう話は)ないです


~Si9GG
 セックスアイドル9人のグレモリーガールズ、の略。烏丸命名
 身も蓋も無い名称は相変わらず


~イッセー平常運転
 後遺症は無いようです
 記憶も無いようです
 死亡フラグだけが積まれたようです


~帝釈天(仏教世界)の解釈
 この作品のオリジナルですが外様でも納得のいきそうな仕様にしました
 だって紐解くとキリがねえんだもん。なにあのインフレ神話(震え
 あと彼の口調と恰好とその他もろもろに関しては手元に原作がないので適当です


~みんなも邪竜ゲットじゃぞい!
 何気に自転車でも歩数稼げます
 10キロ走るだけで卵の孵化もあっという間に!
 実際10キロ歩くとなると半日消化する計算になるんですけど、その点を大元はどうお考えなのでしょうかねぇ…


~原作ジークフリートの小物振り
 これまで多分間違っていたかと思うのですけどジークフリー()だったんですね。修正?しません
 ウィキペディアに魔剣の内訳が載ってたのですけど、一本だけなんか由来不明なんですけど
 なんなんでしょうね、あれ
 あとダインスレイブとか自分から使うって時点でアレだと思いました(小並


~神器とか神話の解釈
 たぶんそういうことでしょ?聖書神話って、そういう人たちだものね
 大元がどう思っていたかとかは考慮しません。会社興してやることやった結果が出たんだから社長に言い訳されても仕様がない、みたいな話ですよ。そもそも死んでるって設定だしね、聖書の神
 ちなみに杖に関する能力の説明も挟んだけど、アーシアの治療も原理がわからないおーりです
 波動?はどうなの?聖母の微笑って治癒の波動を送る奴なの?治癒の波動って何。自己治癒能力の活性化とはまた別に見えたので能力に差異を持たせ出来上がったオリ神器
 烏丸とはまた別の主人公として頑張らせたいクレオきゅんです
 誰か!イラストはよ!(渇望


~グレンデル誕生秘話
 帝釈天でも思ったかと思いますが、このお話は原作をレ●プはしても、無駄にアンチヘイトを稼ぐ気はない程度には良心を備えた作品です
 よって、作中の不明な点や疑問部分、明らかに此れ可笑しいだろふざけてんのかお前、という点につきましてはおーり最大限の補填能力で以て解釈を備える所存です
 すべては愛。らぶいずおーるおばなっしん(なんか違う
 本気で嫌いならアニメも見ないよ。最近あったアレとか、お兄様なアレとか、まあアレとか。何と言い切る気も無いですけど(メソラシ
 ともあれ、おーり最大の愛で以て邪竜グレンデルの出発点を予想
 つまり、イシブミ=サンはリゼヴィムだったんだよ!な、なんだっ(AA略



よっす、お元気でした?
なんだかごたごたが現実に続きそうなので次回がいつになるかわからねぇです
な、なるべく最低月2は目指すからご勘弁…!
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