「『麻帆良学園から来ました烏丸イソラです!』『仲良くしてね!』」 作:おーり
遅れましてー
我がことながら、けっこうこの世界に馴染んできたと思うのだが。
今回も先輩方が使っている召喚魔法、それを利用して『場』に使える概念存在を呼び出すっていう、いわゆるソシャゲガチャみたいなランダム性能を付け加えたのだけど。
……俺は幼女に呪われてるのか?
ランダムだから高火力且つ高配率の神域采配さえ備えればどんな奴でも充分かと思っていたのに、出てきた神は浅黒い肌で腕四本の小学校高学年くらいの少女系。
幼女と言うまででもないけど、此処まで召喚関連で年下系ばかりが出現率高いと俺に何かしらの問題が憑いていることを懸念してしまう。
あ、アーシアは違ったか、忘れそうになるけどあの娘年上だったわ。
俺が今回のことに対処した理由としては、まあ基本的に俺個人が冥界とは根本的に足並みをそろえていないから、というモノが第一に挙げられる。
ギャスパー関連でヴァレリーに冥界に被害が出ないように、と頼まれたことも手を貸した理由の一つだが、直接出張ることの冥界に関わる他神話との連携の拙さを素人なりに考慮してみると、やはり俺が直に顔出しすることには俺の周囲への影響が懸念され過ぎるわけだから。
そんなわけで間接的に、理不尽なちゃぶ台返しが出来るキャラを呼び出し、冥界への責任追及を回避するためにも彼らには『明白な被害者』でいてもらい、冥界が貴賓として招致した他勢力への目眩ましも兼ねて、召喚した破壊神系少女には敵勢力と一緒に施設をある程度ひっくり返していただいた。
なあに、それで働いた代償としては美人妻をふたり分堪能させてもらったのだから、対価としてはむしろ貰い過ぎな帰来まである。
何やら色々と画策をしていたっぽい仏教とか天界とか、あと今回手引きをした冥府とかの冥界の粗捜しをしていそうな諸々の嫌厭勢力らが口出ししそうな雰囲気だったが、それもこれも今回の手筈で大体が黙らざるを得なくなったんじゃないかな、と思われるね。
……まあ、少々見通しは良くなり過ぎたかもしれないけどねー……。
「見通しというか、風通しが頗る良くなりましたね。物理的に」
「何か細々と忠告をしてきたと思ったら、しっかりと『
観客として招致されていた塔城やグレモリー先輩が、更地というか荒野となった元会場を睥睨しつつ遠い目で云う。
他にも一緒に来ていた面子はいるのだが、木場先輩は何故か病室送りになった兵藤先輩の付き添いで不在で、それ以外の女子やアザゼル先生なんかは世界の終わりみたいな光景で呆然自失中だ。
いや、あんな適当な召喚でインド系破壊神を呼べるとは、流石の俺でも予想外。
麻帆良組? 護衛役であるウチの教会女子らと一緒に駒王町で待機中です。
「いちおう言っときますけど、テロってのは社会状況に対する民衆の不満でもありますからね。熾させない、っていう選択肢は却下します」
ガス抜きも兼ねてるから、被害さえ考慮しなけりゃ自己破産じゃなくて自己発散程度ならテロの一つや二つやってもらっても気にしない。
それで痛い目見るのは大体自分なのだし。
子供は風の子。元気が一番!
「いや、その理屈はおかしい」
正気に還ったアザゼル先生がこちらの言い分にツッコミを入れた。
ふむ?
「とはいいましても、人間感情の生き物なのは明白ですし、己の感情の発露を妨げるモノを退かせようというのもまた感情ですし、理性や理知といった言葉を使ったとしても、結局は個人の好き嫌いが根本にありますし、誰彼構わず殴りたいと宣うモノを抑え込んだとしても、他の何処かで発散することまで抑えられるわけでもないですし」
「かといってテロリスト擁護は違うだろ……」
「もちろん、殴りかかる奴が殴られないわけじゃないですからねえ、擁護してるわけじゃないっすよ。そんな安穏とした考えで以て自分がやりたがる以上はやり返されることは当然でしょうし、その程度の想像力も養えていないのなら自爆で死なせた方が楽なのでは?」
「それで被害に充てられる奴らにはいい迷惑だろうが……」
「人間いつかは死にます。大体嘆いてるのは生き遺された遺族なんかですから、死んだ本人がどう思ってるのかを知れない以上、言葉を繋がせられるのは俺たち生きてる奴の仕事です」
そしてそういう『言葉』は大概禄でもないのだから、あとは野となれ山となれ。
もうそれでいいじゃない。
やられてむかついたからやり返す、でさ。
「あと先生には口出しされたくはないんすけど」
「あー、まあスマンって。俺だって堕天使の一部とはいえ背負ってるもんでよ。こんな冥界の外側が敵だらけな状況で、仲間として立つってことの危うさを、他の奴らにまで背負わせるわけにはいかなかったんだよ」
「仕事してるんならイイですけどね、文句ってわけじゃないですし。実務担当は大変ですよね」
「俺も担がれるだけの神輿になりたかったよ……。なりたくてなれたとしても、性に合わないんだろうけどな」
【働く魔王】系の堕天使総督が乾いた笑いでぬかしおる。
そしてそんな俺たちの会話でいち早く気付いたのか、朱乃さんが詰め寄ってきた。
「ちょ、ちょっとまってください、堕天使は今回の一件、起こることを予測してたのですか?」
その言葉で、他の子たちも先生へと目を向ける。
驚きを抱いたものばかりで、それだけこの人がそれなりにオカ研では顧問としての支持を得ていたのだろうということが予測されてなんだかほっこりとする俺。
まあ、一応はカリスマ提督らしいから納得の人心掌握だけど。
「というか、スメラギ先輩が白龍皇って奴らしいっすけど。知らなかったんすか?」
「「「「「「「は!?」」」」」」」
「ちょ、おま、ばらすなよ!?」
顔見知りであるグレモリー眷属女子一同が、異口同音に驚愕の声を上げた。
あ、同じクラスの兵藤先輩だけ除け者だ。誰か後で教えておいてください。
「というか、秘密にしてたんすか」
「スパイなんだから当たり前だろーが」
「今回のことで手綱を冥府サイドから握られている面子は軒並み捕縛済み(
「……考えてみりゃそうなるか?」
何故か発揮されたカテレアの無駄カリスマが生き残った悪魔らへ行き届いているらしい。
この分なら、行方不明中だと噂のリゼヴィムとやらが戻ってくる前に組織そのものを切り崩すのも時間の問題かと思われる。
あ、そういえば。
「塔城、お前のおねーさんに関わる冥界側の指名手配は取り下げられたらしいぞ。グレイフィアさんが言ってた」
「え、あ、そうですか」
「なんかあっさりしてんな……」
「……今そういえば指名手配されていたなー、と思い出したところです……最近ちょくちょく顔見せに来ていましたし」
……ああ、そういえば仙術キャットにはお世話になったな、忌々しい。
無駄な敗北の記憶を噛み締めつつ、やや呆れ顔のグレモリー先輩が口を出す。
「グレイフィアがそんな簡単に取り下げるとは思えないのだけど……」
「まあ、俺のバイト代みたいなものっすね。そっちの
「ああ、それはグレイフィアらしいわね」
ナニソレ逆に怖い。
一方で、お前は何のバイトをしてたのだ、という視線が波打つようにジト目で勘のよろしいアーシア辺りから向けられている。
冥界の将来を担う種付けですけど何か?(白目。
「ところで、兵藤先輩はいったい何故被害者に」
いい加減気になっていたので質問してみる。
他の女子らがいっこうに語ろうとしないのでアザゼル先生へ聞いてみた。
教えてー↓提督ゥー↑。
「お前の疑問の投げかけ方に何故だかイラッとさせられるな。呼び方とか」
空耳です。
「まあいいや。イッセーはなぁ、うん、ほら、これまで大した活躍も出来てないだろ?」
「活躍って、なんかライトノベルみたいな意味合いで言葉選びますね」
「メタなことを言うのはよせ。それでだな、将来的に上級悪魔になってハーレムを作る、っていうのがアイツの夢なんだそうだわ」
「はぁ」
思わずそらくん生返事。
ハーレムねぇ。
男の夢かも知れんけど、実際出来上がると、逃げ場なんてねぇけどな。
「悪魔として伸し上がるには、今のパッとしない評価じゃなんともならない。そんなわけで、今回の敵を何人か倒そうとして手柄を求めた結果、カーリーの余波で吹っ飛ばされた。ちょっとした脳震盪で済んだのは、神器で倍加を施していたお陰だろうな」
「はぁ。なんか申し訳ないことしたっすかね」
「そこは人の話を聞く暇もなく突貫してったアイツの自業自得だから気にすんな。流石にカーリー召喚はどうかと思ったけどよ」
ボクの隣に暗黒破壊神がいます、ってか。
あんなにヒャッハーするとは思いもよらなんだ。
「後の被害は?」
「一応味方として天界側に瓦礫で生き埋めになった子供が一人。まあ、子供と云っても割かし偉い奴だから気にすんな。自己責任を取って然るべき立場の奴、って意味だから」
「じゃあ安心ですね」
後で顔出しはしておこう。
確かミカエルさんとかには俺の存在バレてるし。
他の神話は知らんけど。
「敵側は、悪魔が反現政府派と軍属主義、旧魔王派が見当たらないが、そっちは数も足りてないんだろ。特攻し掛けて来て大体が人間爆弾みたいに炸裂済みだ。その後で英雄派、それもカーリーの剣舞でほぼ塵だ。何人か虫の息だった奴を捕縛してたから、後で回復させて尋問にでも掛けるんじゃねぇかな。で、魔法使いや魔女とかも軒並みミンチだが、……ああ、そういやお前は異世界出身だから感傷も無いか」
あれ、なんか気に掛けられた素振りがあった気がするけどちょいと失礼な理由で呆れ直られた気がする。
アザゼル先生の中の俺に対する配慮という奴が上昇下降を繰り返し過ぎてシーソーゲームより敏速。
「ってちょい待って下さい。魔女がミンチ?」
「おう。そりゃあ破壊神相手ならそうなるよ。魔女っつったって魔法を使える女ってだけだもん、人間じゃひとたまりもねぇ」
お、おう、そうか、普通はそうなのか。
俺の世界ではアレだったから、てっきりこっちでも中々アレな奴らかと。
色々と手段は考えていたのだけど、用意した初手だけで済んでホッとしていいやら残念でならないのやら。
……とりあえず、出番の無かった補填術式の幾つかは解消しとこう。
「……なんだろうな、いま世界が救われたかのような気分になった」
「どういう錯覚ですか」
「うん、錯覚だろうけどな、錯覚……だよな?」
何か歯切れの悪いアザゼル先生に思わずジト目を向けてしまう。
何を言ってるんだこのひとは。
「ともあれ、今回の一件で明確に糸を引いていた冥府側への補償は免れないだろうしな、組織そのものの切り崩しも時間の問題だ。トップまであと一息ってところだろうから、やり方はさておき結果は上々だ。よくやった烏丸」
と、賞賛をもらうものの、え? あそこのトップってリゼヴィムなんたらじゃなかったの?
ルシファーとか言ってたからてっきりアイツが牽引してるのかと思っていたのだけど、考えてみれば本当に組織引っ張れるやつがあんな簡単に死ぬわけはないだろうし。
今生きてるのもスペアみたいだし、第二第三のリゼヴィムが出張ってくるよりももっと上っぽい何かが裏に居ると推測も出来るのかもしれない。
しかし、改めて思う。
「アレだけ纏まりのない集団を組織として引き連れてる奴っているんですか?」
少々気になったので、多分俺の知らない情報も持っていそうな先生に質問をしてみることにした。
実際、あいつらの連携の拙さが今回の敗因かと思われるし。派閥多いよーカオブリー。
教えてくださいWikiゼル先生!
「そこまでは流石のお前でも知り得なかったみたいだな。まあ、俺もヴァーリの伝手でようやく把握できたところだ。トップはいる、それも、この世界じゃ比肩し得る者が居ないくらいの【最強種】がな」
おお、なんか範馬の血筋とかそういう感じの科白廻しにwkwkしてくる……!
それは――、と問いかけたところで、中空より威圧のようなモノを感じ、中二のように空を見上げた。
「……あれは」
「は、戦場の空気に誘き寄せられて出張ってきたか。次元の狭間を泳ぐ龍――【
何度か見たことある次元の狭間を泳いでいたでかいトカゲ!
別段何かを邪魔することも無くて見逃してたけど、え、あれ何か関係してるの?
矢荷成荘の奥地を探索するとたまに見かける程度の原生生物かと思っていたのだが……。
「――グレートレッド、久しい」
見上げるばかりであった面々が、その声に全員振り返る。
オーフィスが居た。
以前に『それはどうかと』とツッコミを入れた痴女っぽい隠す布地の少ないゴスロリではなく、普段着であるピンクのジャージで何やら意味深に佇んでいる。
お前、コンビニに行くみたいな恰好で何してんの?
「……っ! ヴァーリから聞いてもしやと思っていたが、やっぱりお前が関わっていやがったな――ていうか、なんだその恰好はやる気ないな!?」
そのままの空気で一緒に振り返ったアザゼル先生でもツッコミを入れざるを得なかった。
そんな先生には答えることなく、
「小猫おひさー」
「おひさですおーちゃん。来てましたか」
「うん。見学」
「ゆッッッッッる!?」
もうちょっと空気読めよシリアスな場面だろォ!?と先生は、幼女ふたりに続けて叫んでいた。
多分、シリアスなのアザゼル先生だけだと思いますけど……。
幼女ふたりの遣り取りに入れてた力が変な方向へ突き抜けていったのだろう、先生のツッコミは正直いまいちだと思う。
で、オーフィスがなんかしたんすかね?
▽ ▽ ▽
「なッッッんで此処でインドが出てくる……ッ!?
冥界の施設がどう滅ぼされようと個人としては問題はないが、そのために出張ってきた勢力がアレではおちおち黙ってもいられない。
東方大陸間神話でも1・2を争うほどの破壊の女神の暴虐の限りで、恐らくは当初予定していたテロリズムよりもずっと酷い惨状となったゲーム会場を前にして、帝釈天はしかし己の目を未だに信じ切れずにいた。
周囲に人気は無い。
わざわざ人のいない場所を探して、そうしての絶叫。
そうして、叫ばずにはいられないほどに、彼は焦燥に駆られていた。
「しかもなんで生き残ってる……! 英雄を目指していたんだろう、死ねよ! 潔く戦場で死ねればそれで本望なのが英雄だろう!? お前らが捕まえられたら、俺にまで捜索の手が及ぶだろうが!」
幾人かの
それはサーゼクスの少なくない被害を齎された彼らに対して隠すところはない、という自分たちの健全さのアピールでしかないのだが、裏で繋がっていた冥府に帝釈天にとっては間違いのない『致命傷』。
しかも英雄派の何人かには悪魔に明確なダメージを与える聖なる武器を所持している者も含まれている以上、初めより殺傷を目的とした性能を自由にしていた事実はアザゼルのような『潜入目的』を理由として霞ませる。
事が露見したとしても、相手が冥界程度なら舌先三寸・矛先二尺で事実を反らし脅しをかけて済んでいたことだろう。
しかし、十指の上位を占める実力者が三柱も居座るヒンドゥの神々が、『もしも』その矛先をこちらへ向けてきたとしたらそれはまた別だ。
帝釈天は元はインドラと呼ばれる雷神で、出身はそちらにこそあるが今は中華系神話を束ねる実力者。
口を出される謂われはないが、それでも全神話に喧嘩を売ったテロリストの片棒を担いでいたとなっては、みすみす見逃してくれる保証は何処にも無かった。
「……っ! くそ、くそぉ! ちくしょうっ! 負けてんじゃねえよ! 死ねよ! みんな死んじまえッ!!」
己で己を鼓舞する言葉すら見つからず、椅子を蹴飛ばし悪態を晒す。
完全に詰んでいることを自覚した
「死なねえぞ、俺はまだ死ねねえしやられねぇ、なんとしても逃げきってやる……っ!」
幸いにも、帝釈天の居住として日本にも
もしもインドが攻めてきたとしても、かつての己がそうであったように基本大雑把な範囲攻撃を主とする彼らには明確な暗殺のような真似は出来はしまい。
そう判断しての、遮蔽物が大量にある日本に紛れて隠れようという、実力者の割に小物臭い選択を彼は図る。
尤も、本当のところはインド神話なんて彼らの事情に一切頓着していない、帝釈天の深読みで
~ガチャ
☆9SR大当たりですね
~気づけば【提督】になっている堕天使先生。はっやーい!
地獄先生「総督だよ」(アンジ●ッシュ感)
~顔見せ(意味深
天界勢「アイエエエエエ!カラスマ!カラスマナンデ!?」
~逃げ場がない
流石烏丸、実感籠ってるゥー!
~世界が救われた
対魔女用として咄嗟に顕現できる【帝釈廻天とりあえず1000基】、目眩ましに用意した1億ガロンの大水量を召喚する術式【
…準備ヨスギィ!
~ジャージ
おーたん「グレートレッド見れる言うから出てきた」
ぐれたん「俺は庭先から見上げる流星群か何かっすか」
~今回のオチ
帝釈天様の特に意味のない逃亡生活が今始まる…!
おかしい、続きのはずなのに内容が無い