※この作品はR-18です。

「『麻帆良学園から来ました烏丸イソラです!』『仲良くしてね!』」   作:おーり

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62話目
烏丸が居なくなったのでネタが書きづらいことに気付いてしまいました…
色々不安だらけの今章ですが、お付き合いいただければ幸いです



「何でも知ってるわけじゃないけれど、あの先輩が信用ならないことだけは把握できてる」

 

「あ、イッセー先輩だ」

 

 ギャスパーくんのその呟きに、彼の見ている方角へと視線を傾けます。

 すると禿頭と傷だらけの顔に強面が特徴的な伊達先生に引き摺られる、呼吸困難に陥ってると思しき土気色の顔色をした兵藤先輩とその他2名ほどの男子、そしてそれに付き添う胴着姿の女子数名が視界に映りました。

 他の男子の方はさておき、兵藤先輩の様相は明らかに救急車両の呼び出しが必要な案件に思えてきますが、それに付き添う名も知らぬ女子生徒らも伊達先生も気にかけた様子はございません。

 不審に思っていると、同じく様子を伺っていた岡崎さんが説明をしてくれました。

 

「レイヴェルさんはアレを見るのは初めてでしたっけ。覗きの現行犯ですよ」

「ああ、あれが噂に聞く……」

「なるほど、通常運転ってことね。よーしギャスパー、トス行くわよー」

「こともなげに言いますがそれって普通に警事案件なのでは!?」

 

 二学期とはいえまだ高校一年生であるクラスメイトが何のこともないように口にするのは聊か鍛えられ過ぎなのではないですの!?

 驚愕する(わたくし)を他所に、一緒に話を聞いていたミッテルトさんはボールを上へ。

 私たちと同じくブルマ姿のギャスパーくんは岡崎さんの言葉に納得しつつも、はわわとたどたどしくミッテルトさんに付き合います。

 男子である彼が男女別と思しき体育の授業で私たちと同列になることがやや不思議にも感じられそうですが、彼がその(なり)のまま男子たちに交じる方が不要な劣情を煽るのだそうで、他女子からの嫌厭の声もなしにこれが日常でした。

 って、そんなことは今は問題ではなくて。

 

「休み明けは大人しかったみたいだけど、元々あの先輩たちって『そういう人たち』なのは周知だからねー。学校側だって好き好んで恥を外聞に晒したくはないだろうし、被害者との示談で事を済ませるつもりなんじゃないの?」

「きーちゃん詳しいね。そういう経験が?」

「それはどういう経験なのかな……」

「満員電車で痴漢冤罪を掛ける経験?」

「人聞き悪いんだけど?」

 

 さらりと高校生らしくない説明を被せる斧崎さんですが、ミッテルトさんの軽口で岡崎さんからの視線が微妙に引かれているのはどうしようもないのかと。

 この辺は烏丸さんの居た影響なのでしょうか。

 窘めている本人は言うほど気にした様子はありませんが。

 

「そいえば噂じゃ木場先輩と良い仲だって聞くけど、そこんとこどうなの?」

 

 と、斧崎さんがこれまた聞きづらい問いをこちらに振ります。

 一応は同じ部活動に所属している私たちに、恐らくは軽い意味での真相究明っぽいですが……。

 ……い、言えませんわ……!

 女性化した木場先輩を孕ませてこっそり付き合っている、だなんて真実を、まかり間違っても仄めかすことが出来るはずありません……!

 いえ、わざわざ教える必要性がないのは事実ですけれど、こう咄嗟に話を振られると普段の現実を把握している身としては何とも言い難い妙絶な間が空いてしまうのが不測過ぎて……!

 

「ああ、あいつらホモだから問題ないよ」

「いや、そこは問題しかないんじゃないですか……?」

 

 その逡巡の間に、ミッテルトさんのどうということのないセリフが挟まれます。

 というか、それはフォローになっていませんわ!?

 幸いにもミッテルトさんは軽口と冗句を実しやかに口にするキャラ、という認識が強いので本気にする方は居られませんが、さらに追及されるようになったらどういたしますの!?

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

 さて、俺が復活してから早くも1週間が過ぎた。

 ――首輪はまだ取れない。

 

 ……いや、これおかしくね!?

 部長の言葉じゃ軽く締まる程度だって話だけど、西遊記のアレみたいにギリギリ締め付けてくるよ!?

 酷い時にはクラス以外、廊下で女子に声を掛けたら締まって、吊るして、弾くような衝撃の後に脱力し、どさりと落とされた。

 声かけの瞬間に嫌そうな顔した女生徒の対応にも問題ありだろうがぁ!?

 汚物ってか!? 俺は存在が汚物ってか!?

 時代劇の仕事人に処理されたかのような俺を、心配してくれる女子はいなかったよ……っ!

 

 それならば、と部室で召喚依頼を待つ間、祐奈を相手に『女の子の扱い方』を実践付きで教わる俺。

 同じく屯する後輩2人にやや引かれた顔で伺われていたけど、命の危機に比べたらなんてことはないね!

 な、泣いてなんかいないんだからねっ!

 なお、未だ合格点は出ない模様。

 お陰で随分とご無沙汰ですよ、ははっ。

 ご無沙汰と言えば……、

 

「レイヴェルは烏丸についていかなかったんだな」

「……あの兵藤先輩、あまりこちらへ卑猥な視線を向けないでいただけますか……?」

「喋っただけですけど!?」

 

 レイヴェルの距離の取り方が物理的にも遠い。

 同じく召喚待ちの後輩フェニックスは窓際に学校備品の簡易な椅子でギャスパーと談笑中であったのだが、ふと気づいた俺の問いに返ってきた言葉は普通に辛らつだった。

 その距離は部室内で実に2メートルほど離れているのだが、グレモリー眷属への移籍出向中という彼女も下級悪魔としての仕事を割り振られている以上はこの場にいないといけない。

 ……あの、この拘束具やっぱり外しません? 誰も幸せになれないよコレ。

 

「喋っただけでそれだと昼日中に街中を歩けませんよ、イッセー先輩……」

「そうだね。今後はもうちょっと性欲を抑えるのが課題だね」

 

 レイヴェルの言葉にあっさりと同意を示すギャスパー&祐奈。

 マジで? そこまでわかりやすいか、俺?

 

 いや、実際以前の体育倉庫でレイヴェルのセックスシーンだけでなくて、小猫ちゃんと比べるまでもなく豊かになった後輩おっぱいを目の当たりにしちゃってるわけですからね? こう、現実にAV女優と顔を合わせたみたいな感激というか感動というか……」

「感動している人は男女問わずに其処まで表情筋緩まないよ。あと声に出てるから」

 

 気付けば、こちらをジト目で呆れ見る祐奈に、自分の身体を隠すように斜に構えるレイヴェル。

 ギャスパーは大して変化はないが、室内の空気が四面楚歌なのはよぅくわかった。

 とりあえず、後輩でも女の色気が凄いレイヴェルと一発やってみたくなりました!

 

 ……っ、はっ、かひゅっ、首がまた、締まって……っ!

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

「どーもぉー、お呼びにいただき参上しましたグレモリーでぇーっす……ってぇ、ありゃ?」

「おー、悪魔くん。いらっしゃい、待ってたよー」

 

 さて、久しぶりに【変態】ではない新規のお客さんからのご召喚!

 此処で新たなカテゴライズへと開拓すべく、ちょっとばかり気合を入れて転位したわけだが、そこで迎えてくれた召喚主様を見て少しばかりの意表を突かれた。

 いや、転位が出来なかったわけじゃないんだけどな?

 俺が毎回自転車で参上するのは常連さん方から「なんか似合わない」と言われるご意見に沿った選択なのであって、何も俺自身が毎回自転車で玄関からインターホン鳴らして馳せ参じたいわけじゃないんだ。実際、アザゼル先生に呼び出されたときとかはしっかりと転位で召喚されていたわけだし。

 そのときにもあったことなのだが、召喚士さんの側に相応の実力があれば、下級悪魔でも個人指名を受けて召喚される場合が結構ある。

 しかもその場合は相手側の術がこちらの足りない魔力を補ってくれるので、俺みたいな呼び出されることが不得意な悪魔でも問題がないとか。

 いや、森沢さんが悪いわけじゃないよ、ただ初めて悪魔として召喚されるなら悪魔っ娘に傾倒した童貞のアニオタじゃなくて、悪魔召喚に実践的に慣れたちょっとでもお色気成分が可能性ありそうな魔女っ娘の方が良かったなって話だよ。うん。

 はっ……! 否応なしに実力のある召喚士に呼び出されて拒否できずに身体を許してしまう悪魔っ娘……! ――今夜の『おかず』が決定したな。

 ……だって、マジで最近ご無沙汰だしさぁ……(イジケ。

 

 話が逸れたが、俺が意表を突かれたのはそういう『おかず』に気付いたから……とかいう理由ではなくて。

 

「まあ楽にしてくれよ。召喚の対価だってきちんと払うからさ」

「いや、お前……えぇ~……」

 

 呼び出した奴が、年端もいかない子供(少年)であったという事実についてだ。

 現実に居るんだな、そういう幼年召喚士みたいなドラマ的な存在って……。

 

 そーいえば、先日のレーティングゲームで天界側から呼び出されたゲストにもけっこう若い子供が混じっていた気もするし……。

 い、意外と珍しくもないのか? こっちの社会(世界)じゃ……?

 

「改めて自己紹介させてもらうかね。リゼヴィムってんだ、よろしくなぁ悪魔くん」

 

 促されるままに、何処かのホテルの一室へと召喚された俺は、高級そうなソファに座り偉そうな態度の子供召喚士と向き合う。

 なんかデジャブを感じると思ったら、状況的にアザゼル先生に呼び出された時と似通いすぎてて納得する。

 あれ、でもちょっと待て、そうなるとこの子供も人外の可能性が……?」

「お、もう気付いたのか? そーだよん、こー見えてキミより年上だぜ」

 

 うっ!? 心を読まれた!?

 態度からもそんな気はしていたが、実際やられると納得するなぁ……!

 

「ふぅ……。で? 俺になんか用でもあるのか?」

「お? 案外取り乱したりしねぇのか。ひと昔前のミステリー追跡漫画みたいに大袈裟に驚いてくれたっていいんだぜ?」

「いや、こーいう呼び出しはもう二度目だし、あんまり大げさに反応しても見る側を喜ばせるだけじゃねーか」

「なーんだよ、そこがいいんじゃねーか。つまんねーやつだなー」

「そうそう楽しませてられるか、俺は道化じゃねーんだよ。大体、こっちの心を読むような真似を軽くできるやつを相手に、アレコレ考えたって無駄じゃねーか」

「……いや、最期ら辺キミ自分で口走って……ああまあいいか別に」

 

 何か小声で呟かれた気がするが、開き直っていた俺にその言葉は届いていなかった。

 そちらを訝しげに見直したときには、小学校低学年にしか見えないそいつは既に気を取り直すようにその表情を愉悦に歪めていたところだった。

 

「さて、今日キミを呼び出したのはお願いしたいことがあるからなんだが、その前にちょっとした『おしゃべり』をしよう。なぁ悪魔くん、先日までキミたちのところにいた烏丸イソラってやつが今何処にいるのか、知りたくはないか?」

「――知ってるのか、お前……?」

 

 俺が散々な苦汁を舐めさせられた原因であるあの屑野郎を、この子供がなぜ知ってるのかは今は問題にしない。

 思わず身を乗り出すようにそれに食いつくことを自覚するけど、何よりも欲しがっていたことならば『そうなる』のは当然だ。

 

 部長たちからも、それとなく教えられていない事情があることは、何となくだが把握していた。

 自分の眷属が出向するのだから、居場所が知れないなんてことは絶対にないだろうし、何より俺が烏丸にこういう感情を向けることは誰の目にも明らかだったからこそ、詳しく教えてもらえないであろうことも納得できた。

 だが、其処を避けて知れる情報源が新たに出てくれば、――どうにかして奴を不意打ちできる……!

 

「教えてくれ、アーシアたちは何処にいるんだ?」

「おーおー、食いつくねぇー」

 

 何処となく誰かに似ているような気がしないでもない、リゼヴィムの歪んだ笑みが怪しくても、アーシアを助け出すためならどんな敵だろうと倒して見せる……!

 その覚悟で聞いた話は、俺の想像を超えた異常な話だった。

 

「――異世界? マジかよ……」

「――とまぁ、烏丸って奴の居場所は判明したが、聞いて分かる通り簡単に行ける場所じゃねぇ。そこでだ、悪魔くんにお願いしたいのは此処からなんだ」

 

 詳しい話は語らなかったが、烏丸に俺みたいに何かしらの因縁があったと説明するリゼヴィムは、反撃のために異世界への扉を開きたいと言い切った。

 そして、そのために必要な『何か』の一端として、【赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)】の使い手である俺への願い。

 

「俺たちと手を組まねぇか? 一緒に異世界へ行って、烏丸の奴をブッ飛ばそうぜ」

 

 その勧誘に、俺は――、

 





よく異世界転移という言葉を目にしますが、よくよく考えたら転位が正しいんじゃないかって思いました
辞書を見るとそんな漢字
なお、今回一部読者が予想した展開ですスンマセン
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