※この作品はR-18です。

「『麻帆良学園から来ました烏丸イソラです!』『仲良くしてね!』」   作:おーり

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最近ようやくヒャダインのカカカタ☆片思いをそらで歌えるようになりました(報告



「あの日上がったお前の断末魔以上の絶望を僕はまだ知らない」

 

 先ほどまで発情期の獣のように跨っていたアーシアは、熱に浮かれた淫靡な表情(カオ)でその男と口づけを交わしていた。

 仕草のひとつひとつに喜色は混じり、それが彼女自身が望んだものであると嫌でも認めざるを得なくなる光景……。

 運動で汗ばみ湿った小振りな尻には金糸の髪が艶やかに絡みつき、女性としては未だ熟すには及ばないささやかな乳房のふくらみと細い腰が、それを見上げるイッセーの逸物を無駄に膨らませていた。

 絶望に浸されても、金髪の美少女シスターが背徳行為に自ら及ぶ、という光景へ勃起(エレクチオン)は止まらない。

 彼を抑えつけている女体化した祐斗の、背中へ押し付けられている胸の感触もまた原因であろうか。

 はたまた、アーシアが口づけを止めないその下で、イリナとゼノヴィアという見知った美少女眷属仲間が男性へ向かって胸で挟んで擦っている光景が想像力を喚起させたのか。

 見上げるしかできないイッセーからは、今から本番やるぜー、と体操服を脱ぎ去った少女たちの突き出された桃尻しか伺えない。

 リアスには及ばずともそこそこ巨乳なクラスメイトのダブルパイズリフェラだとぅ!? と男子として実に羨ましい光景を目の当たりにさせられて、悔しさで口元を噛みしめるしか彼にはできなかったのである。

 

 

 ――そんな光景を、公衆に曝け出された祐奈のおっぱいを目の当たりにしたイッセーは何故か思い出していた。

 控えめに言って最低である。

 

 

「祐奈ぁぁーーーっ! ナイスおっぱい!」

「死ねばいいのに!」

 

 

 彼女とは思えないキリ返しが放たれたが仕方がない。

 何故そうなったのかと言えば、邪竜ゴルィニシチェの逆袈裟懸けの一撃が、祐奈の胸を男性相応に抑えつけていたサラシを無残にも引き裂いた所為だ。

 学生服も諸共に、かろうじて薄皮一枚で回避に成功していた祐奈であったが、その代償は大きかった。

 

 他人に見せることを良しとしていない、そんな性癖持ち合わせていない祐奈からすれば、これはかなり屈辱的な光景である。

 余談だが、後ろの方では某爺様主神を筆頭に、男装美少女の閃乱系ドレスブレイクでプチ祭り状態であったのはどうでもいい話だろう。

 死ねばいいのに。

 

 

「……っ、こっの……っ! いきなりご挨拶だねレイナーレ……! このタイミングで不意打ちするとは思わなかったよ……!」

「ゴルィニシチェだっつてんでしょぉ? むしろあんな目立つ奴が出張ってる今強襲しかけないとかないわよぉ」

 

 

 かろうじて無事であったブレザーを羽織るようにして胸を隠そうとするが、妊娠に伴って最近大きくなり始めた元男子には不釣り合いな胸部は、それでは容易に隠せそうにない。

 押し上げられて強調されたかのように谷間が出来る美少女のリアル谷間に、そこいらの男性は全員が「おおぅ…」と息を呑んで前かがみになった(イッセー含む。

 

 話の矛先を向けられたロキは、しかし狼狽えていた。

 一方的に見せ場を奪っておきながら、此処でこっちに振るの? と狼狽えていた。

 じ、自分どうすればいいっすかね? と少しばかり事態を俯瞰するべきかを思案しているようで、その実いきなり仕事場へ放り出された経験ゼロのアルバイターのように狼狽えた悪神は、同じように手持無沙汰になっている某戦乙女とはたと顔を見合わせる。

 

 

「……そちらもですか?」

「ええ、まあ、はい……」

 

 

 そんな、なんだか和んだ一角はさておき。

 

 赤い鎧、むしろビキニアーマーと呼ぶべき恰好で、ゴルィニシチェは其処に居た。

 手甲脚甲は蜥蜴を思わせる鱗で覆われ、その形状はそのまま武器として扱えそうな鋭利さを見せており、背の翼は完全に悪魔でもなければ堕天使でもない。

 先に明かしたビキニアーマーのビキニ部分はまた鱗のような形状で上下の局部を保護しており、此処が秋葉原でなければコスプレ以前に露出過多で捕まりそうな恰好だ。

 こんなことを言うのもなんだが、秋葉原で襲撃があって本当に良かった、と現場をモニターしていたヴァレリーは安堵する。

 

 

『なんか誰かがホッとしている気配が伺えるんだけどー? アキバでも往来でのコスプレはタブーだからねー?』

『えっ、そうだったんですか?』

ウチ(アキバ)をなんだと思ってたのかな』

 

 

 『WWW(スリーダブリュー)』のやや沈んだ声が、通信機越しに全員に届いていた。えっ、秋葉原ってコスプレしなきゃ入街できないって話じゃなかったんですか!?(偏見。

 変に穏やかな一幕はともかく、現場を土地神と共にモニターしているヴァレリーはふと気づいたことを祐奈へ告げる。

 

 

『木場さん、彼女の腕に見覚えのあるような宝玉があるのですけど、ひょっとして……』

「………………えっ?」

 

 

 祐奈もまた気付いた。

 いや、どちらかといえば思い至りたくなかった事実の欠片に気付いた。

 思考が止まったその隙に、ゴルィニシチェは高らかに叫ぶ。

 

 

「さぁ、お披露目の時間よ! 赤龍帝(ドライグ)ッ!」

『――ああ、ゴルィニシチェ。邪竜に使われるのは癪だが、手も足も出ない以上文句などは無いさ』

「『『はあぁぁっ!?』』」

 

 

 声を上げたのはイッセー、アザゼル、ミッテルトの三人。

 リアス、朱乃、祐奈は言葉もなく、モニターを見ていたヴァレリーと同じく引き籠っていたギャスパー、付き添いのレイヴェルは俯瞰する側だ。

 事態の面白さを予想して何処かの爺主神は目を光らせているが、今はどうでもいい。

 

 

『おいこらイッセー! いつ盗られた! お前の神器だろうが!?』

「とっ、盗られてないっす! なんで!? どうしてレイナーレがそれを!?」

「……イッセーくん? 本当に心当たりはないの?」

 

 

 祐奈の視線が、やや浮気者の旦那を責めているような、そんな目つきに伺えて来るから不思議である。

 そうは言われても無知な少年は、何故そうなっているのかの因果が全く把握できていないでいた。

 

 

「こ、心当たりっつったって、何がどうなってるのか……!」

『……っ例えば、身体の一部を、髪でも血でも爪でも、そういうモノから肉体を修復させる神器だってある。本当に無いのか? オリジナルの赤龍帝を宿したお前なら、其処から複製を造ることも可能かもしれん』

 

 

 幾分か落ち着きを取り戻したアザゼルは、どこぞの聖杯を思い出しつつ自身の情報をかみ砕くように掻い摘む。

 そこに答えを示したのは他でもない、ゴルィニシチェの腕に顕れた赤龍帝(ドライグ)自身であった。

 

 

『オリジナル? なるほど、貴様らはこの俺(赤龍帝)が代替え可能なモノと思っているらしいな。そんなわけがあるか、天龍の魂をもう一つ、などという真似は例えかつての唯一神であろうと出来るはずがない。俺こそが赤龍帝ア・ドライグ・ゴッホ、違うというのならそこの()宿主よ、神器を顕して見せよ』

 

 

 ゴルィニシチェへ向いていた視線が、イッセーへと再び集まる。

 彼女は嗤うだけで、それ以上をしようとしない。

 戦うことが目的なのではなく、恐らくはこうして見せつけること自体が目的だったのだろう。

 そうして仲間たちに、そして秋葉原の衆人に監視される中、イッセーは篭手を顕現させる。

 しかし、その様は――、

 

 

「――ッ、ぶ、ブーステッド、ギアが……!?」

 

 

 片腕に顕現したのは赤ではなく、よりどす黒く灰掛かった紅殻(ベンガラ)

 全体が罅割れて、何よりひときわ目立っていた宝玉は見る間に崩れてゆく。

 慌ててそれを抑えようと手を添えるが、既に手遅れだった宝玉の崩壊は止めることはできず、抑えた手のひらからガラス細工のように輝く砂がザラザラと零れていった。

 

 

『見てのとおりだ、元宿主よ。俺の力を碌に引き出せないような貴様に付き合うよりも、俺は邪竜とはいえ俺を過分に取扱ってくれる実力者の手に収まろう。この方が、ずっと暴れられる――!』

 

 

 ――結果として、少年の価値と命運は此処に尽きた。

 今更な話かもしれない。

 

 

 

   ▽    ▽    ▽

 

 

 

 ――それからのことを話そう。

 

 意外なことに、強襲はそれで終了した。

 レイナーレの姿をしたゴルィニシチェの『ねえどんな気持ち?頼りにしていた神器を奪われて価値のない弱小転生悪魔に成り下がっていまどんな気持ち?ねえねえ答えてよぉ?』という無駄にねちっこい質問があったことはさておき、彼女並びにドライグはそれ以上の追撃を仕掛けてはこなかった。

 無論、事態はそれで収束するはずはない。

 『どのようにして』ドライグ(神滅具)を犠牲無くイッセーから引き離したのかは依然として明らかにされておらず、少なくとも謎の一団の手にかつて脅威となっていた二天龍の一角が移籍したことは間違いがない。

 報告を受けた聖書陣営はカオスブリゲードとは恐らくはまた別の集団の脅威に備えて足並みを揃えるべきなのだろうが、みすみす赤龍帝を奪われた悪魔の株はそれまでに好き勝手やっていたことも相俟って『それなりに』失墜しており、その生きる証人であるイッセーへ向けられる悪魔貴族らからのヘイトは留まるところを知らない。

 こんな状況でリアスの婿として発表することなど出来るわけもなく、出生率の悪い悪魔にとっては目出度かったはずの彼女の懐妊にケチが付けられる寸でのところで、リアスはその『本当の父親』を大々的に発表した。

 その人物が人間であったとはいえ、現魔王サーゼクスとは懇意にしており天使や堕天使からも一目置かれる存在であった事実からも、リアスを守るためにも時機を見て脅威に晒されている人間界から引き離されることが決定される。

 駒王町の管理は実質執り行っていたシトリーに引き継がれ、リアスの眷属らは一時的に彼女の下に就くことも決まりつつあった。

 

 今は姿が見えない、だからこそ恐ろしい人物との繋がりが発覚したことで首の皮一枚で繋ぎ止められていた悪魔の名誉は、ギリギリのところで聖書陣営の足並みを揃えることに成功する。

 とはいえ、堕天使はともかく天使側は過去を顧みても一枚岩ではないことは明らかであるし、悪魔の中にも不満を持たない者が居ないとも限らない。

 そんなモノたちの代表と言える立場にすっぽりと収まってしまったイッセーだが、だからこそ大々的に処罰を言い渡されることは免れた。

 貯まり捲ったヘイトから首を撥ねろ、地獄の最下層で氷漬けにしろ、との声も上がったのだが、今更不満を貯める者を暴力で排除したところで、秩序が乱れるだけで『足並みを揃える』為には不必要過ぎる手段でしかない。

 よって、ドライグ(神滅具)を簒奪されたことに関しては『兵士の駒の全封印』と『監視並びに悪魔社会との50年に及ぶ接触不可』という処罰が言い渡され、『居場所を把握されているはぐれ悪魔』と呼べるような状態のまま人間界でそのままの生活を余儀なくされた。

 あとは『魔王の妹』に対して手を出したという心情的な点での罰則がグレモリー領より上申されたが、魔王自身がそれを苦汁を呑んで却下。

 妹想いで有名な彼のお方がその判断ならば、とグレモリー領のリアスファンクラブの面々も涙を呑んで納得せざるを得なかった。

 但しまかり間違ってグレモリー領に来たら覚悟しとけよ兵藤一誠、と暗い決意を胸に秘めながら。

 

 話を戻すと、謎の一団に関しては『どうしようもない』のが聖書陣営の総意だ。

 アドバイザーとして烏丸陣営の少女らにも意見を伺ったところ、【聖杯】と呼ばれる神器に似た何かを所持している可能性を示唆される。

 しかし、確信を持っている所持者(ヴァレリー)被験者(ミッテルト)の意見に同意できる者などアザゼルのような研究者以外にはおらず、既に死者であるはずのレイナーレを中身は違うが復活させた実績だけを頼りに、仮の名前として『神秘を悪用する者』として【クリフォト(逆さ生命の樹)】と名付けられた。

 そして件のクリフォトだが、ドライグのお披露目以降は何も反応は無い。

 その静けさが嵐の前を思い起こさせるのは、奇しくも烏丸イソラに直接関わった彼の配下とアザゼル、そしてグレイフィアだけだったのは悲しい現実であった。

 

 

 

   ▽    ▽    ▽

 

 

 

 赤い髪の少女が、陽の当たる部屋の簡素なベッドの上に寝そべっている。

 衣服は身に纏っておらず、豊満な乳房と細い腰つき、秘所、太腿、彼女の総てが隠されることなく曝け出されていた。

 清潔そうなシーツだけが敷かれ、それが横たわる彼女を豪華な食事として盛り立てる皿のように連想させて、観る者の喰らいつきたい衝動を刺激する。

 光のコントラストに充てられた素肌は透き通るように真白く蠱惑的で、悪魔と呼ばれるよりは天使のようだと伺わせるような整った顔つきの美女は、しかし何処かにあどけなさを残している絶妙なバランスを保って美少女と呼ばれている。

 

 それを獣のように、跨って蹂躙する陰が掠れた画面の向こうで映り替わる。

 

 少女は嬌声を上げて、覆い被さる彼の背へと手を伸ばし、その脚は彼の腰を離さないようにと絡みつく。

 啼き続ける彼女の唇を塞ぐ彼の姿が写り込み、首筋へと手を伸ばして抱きしめる少女の表情は蕩けるように熱に浮かれていた。

 その間も、男の腰は少女の身体を下から押し上げるように上下に揺すれて、少女の抵抗は一切ない。

 長い長い、ふたりの、蛇が絡み合うような上下運動は時間にして20分以上も続き――途中で一度吐き出してしまったイッセーは、己の逸物から手を放して場面を止めた。

 

 

「………………ふぅ。くそ、烏丸め……、リアスとこんなことしてたのかよ……」

 

 

 吐き出した白い粘液で手を汚しながら、その愚痴は留まらない。

 冥界への謹慎を言い渡されたイッセーであったが、学校まで休ませられているわけではない。

 しかし今更オカ研に戻る気にもなれず、実際個人的な活動休止も言い渡されていたので、姫島朱乃から渡された極秘DVDの鑑賞をする日々を送っていた。

 

 そのラインナップは『リアスグレモリー、秘密の保健室』『巨乳巫女・朱乃の処女喪失』『淫靡な雌になるボクっ娘~金髪少女調教日誌~』、の3本。

 リアスは清純派女優のように光の射す窓際で胸を寄せて微笑み、朱乃は巫女服からでもよくわかるように乳房を抱えて押し上げて、最期の金髪少女には目の辺りに黒い線が引かれていたために誰なのか判明しないが、М字開脚でダブルピースを晒している写真がそれぞれのパッケージジャケットに充てられていた。最後のボクっ娘とやらが誰かはわからない。わからないったらわからない。

 事情が事情なので謹慎は仕方がなく、お互いに不幸にしかならないので会うことも憚られたイッセーへの最後の慰み物として朱乃は以上のDVDをプレゼントした。

 主演男優は全部烏丸だが、朱乃と烏丸の趣味と采配で撮影されたそれにヤラセは一切なく、ノリノリで撮影された表紙もそのまま商品に使えそうな出来栄えだ。

 そしてそれらのプレゼントは、暇を持て余した少年にとっては垂涎の品と言えた。

 

 

「……少し休んだら続きを見るか。夜はまだ長いしな」

 

 

 悪魔の仕事をしなくなり、体力だけが有り余ったイッセーは朱乃に感謝していた。

 烏丸に寝取られていたことは悔しいし許し難いが、最近のリアスの様子から顧みてもその妊娠の大本が自分である、とは連想し難かったことも事実なのだ。

 あまりにもそっけなく、ボディタッチすら拒まれる状態で父親になれ、などと言われても納得いくはずがない。

 その時は押し切られたが、事の真相がモノのついでで露見してからは、思いの外イッセーの中にあったはずのリアスに対する恋心が悲鳴を上げることもなかった。

 学園でも女子に対するセクハラを止めることのない純朴だったはずの少年は、気付けば淡い感情を喪失してしまっていた。

 

 理由は童貞を失ったことに大きく起因するのだろう。

 青少年特有の女性と関われないリビドーは、体験を通じてその想像力を育むことを喪失させる。

 成長と呼べば聞こえはいいが、実際は汚れて、大事なモノを失ったに過ぎない。

 それなのに其処にまで考えが至らない少年は、喪失した空白を埋めるための衝動すら喪失してしまったがゆえに、かつて備えていたはずの熱意を思い起こすことも無く、此処から只、無為に堕ちてゆくしかないのである。

 其処は烏丸とは関係のない、少なくとも直接的には非の無い、イッセー本人の責に依る事態であることは間違いがなかった。

 

 熱意を喪失した少年はしかし、思春(発情)期特有のスケベ心だけは失うことは無かった。

 悲劇と言うより喜劇である。

 

 

「ハイハイ、スキップスキップ。しかしなげーなー、もっと身体(リアス)見せろよカメラ」

 

 

 リモコンを弄り、片手は股間に添えたまま。

 汚れちまったイッセーは、今夜もひたすらにリアス(抜きどころ)を追う。

 四つん這いで豊満な乳房をぶら下げた体勢に変わった少女を見つけて、ニヤニヤと笑みを浮かべつつ再生をクリックした。

 ティッシュはまだまだ手放せそうにない。

 

 

 

   ▽    ▽    ▽

 

 

 

「……DVDは届けてくれましたか?」

「ええ。けれど、祐斗くんも彼に抱かれていたとは思いませんでしたわ」

「事故みたいなものですよ。件のモノは記念にと押し付けられたモノです。……出来栄えだけは無駄に良作なんですけどね」

 

 

 自分が主演を務めていたDVD(作品)を思い出し、木場祐斗は顔を赤らめる。

 烏丸はそれを使って祐斗の身体をさらに弄ぶことも選択できたのだろうが、元々アレはそういう風に『ひとりに感ける』ことを選ばないクズだ。

 作品を作ったのも、イッセーの知り合いである彼女(祐斗)自身に教えるかどうかの選択を任せてしまった意図だろう。

 

 

「でも、良かったんですの? 兵藤君にばれてしまうのでは?」

「作品内では全部モザイクみたいな目線が入っているので、最低限特定されることは無いです。気付いてくれた方が、ずっとマシですけど」

 

 

 力なく微笑う。

 祐斗の中にあったイッセーへの情動は、此処までの積み重ねでそろそろ振り切れそうであった。

 

 悪魔社会から村八分扱いにされたイッセーの子を身籠っている、などと言うことを無論(おおやけ)に出来るわけではない。

 しかし悪魔は元々懐妊が困難な種族で、だからこそ妊婦や子供は大事にされる。

 それが転生悪魔だったとしても、医者へ通されることは悪魔社会では当然のこととして周知されていた。

 そして、祐斗もまたグレモリー領の医者によって、体調を慮られている妊婦のひとりである。

 当然その父親は尋ねられるのだが、人間の技術に加えて悪魔の技術も相俟って、敢えて偽装を施そうというわけでもない限り、事実は容易く解析が出されるのだ。

 今更になって隠したり偽ったりするほどの価値をイッセーに見出すことができなくなってしまった祐斗は、事態のままに流されることを選択してしまっていた。

 

 

「なんてーか、スマンな。遊びのつもりだったのだが、此処まで大事になっちまうとは思わなかった」

「アザゼル先生の責任……も、まあ、七分くらいはありそうですけど、全部を負ってもらうほどじゃないですよ。それに、生まれてくる子に責任はありませんから」

 

 

 愛おしそうに己の腹を撫でながら、祐斗は微笑む。

 今更「堕胎()ろせば?」とは言い難い顔つきであった。雌の貌とも言う。

 

 

「それと、やっぱり修学旅行は行けそうにありませんか」

「まあなあ。イッセーの奴を悪魔と関わらせることが出来なくなったわけだから、お前らが留守番だ。アイツのご両親に言い訳するより、そっちの方が容易いからな」

「まあ、僕はこんな身体になってますから、男子と一緒の部屋になるわけにもいきませんしね」

 

 

 もし実現して居たらまたひとつ下手な需要が生まれていたことだろう。

 クラスの見知らぬその他大勢(モブ男子)に秘密がばれて妊婦女子高生の大乱交大会……などというウス=異本展開なんて無い。だからリクエストしないでね。お願い。

 

 

「あーあ、京都旅行いきたかったなぁー」

「仕方ないだろう。政治的な配慮が必要になっている今、余計な火種を造らないのも仕事のうちさ」

「ぜ、ゼノヴィアさんが頭の良さそうなことを言ってます……!?」

「おいギャスパー、その発言の意図はなんだ?」

 

 

 イリナ、ゼノヴィア、ギャスパーの残りのグレモリー眷属が和気あいあいと会話をして、はたと気付いたのかロッテが手を挙げた。

 

 

「……あれ? ボクは?」

「お前さんはどっちでも構わんぞ。できれば旅先でイッセーがバカをやらないように見張っていてほしいが」

「ええー、そんな気疲れしそうな旅行やだなー……」

「じゃあ行かなくてもいいだろ」

「義務が生じなければ後顧の憂いもなく行けるんだけど?」

「行きたいんだったら働け」

「ボクのご主人様はそらくんなのにー」

 

 

 そんなこんなで、次回からは修学旅行編。

 もうダレてきたから辞めたい気配が漲っている作者であったのだが。

 





いや、もう大体みんなわかりきっているような話を書くのがしんどくってね
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