今回は羽黒の出番です。
波の音が聞こえる。
寄せては返し、返しては寄せる、生命のリズムが耳に心地よい。
『すべての生命は、母なる海から生まれた。貞二、お前も海の男として生きるのならば、いつかは海に帰ることを夢見ていろ』
義父である貞一の声が頭に響く。
ーー貞一義父さん、貴方は最後まで、僕を養子にした理由を、何故あなたの名前が似ているか教えてくれませんでしたね。
『適正がある』って言葉だけじゃ、意味が分かりませんよ。ねぇ、答えてよ、義父さん。
貞二の叫びに、MIA扱いになった義父の声が応えた。
『答えは海と山に囲まれた、この館、『妙高』にある』
光が強くなり、貞二の視界を焼く。
「義父さん、貞一義父さん!」
「おはようございます、提督。貞一様がどうなさいましたか」
跳ね起きた貞二の眼前に、よく沁み通る羽黒の笑顔があった。
はにかむような羽黒を見ると、起き抜けの嗅覚でも、執務室で入れてくれた彼女の珈琲の香りを思い出させてくれる。
義父の跡を継いだ提督業の疲れを、コーヒーとともに癒してくれる羽黒の笑顔に貞二は何度も助けられた。
「ここは?」
「妙高ねえさんのお屋敷ですよ。提督、お忘れですか? 足柄ねえさんと一緒に、ケッコンの報告にわざわざ来てくれたんですよ」
「足柄とぼくが?」
「そうですよ。昨日は日頃の疲れからか、館に着くなり、すぐにお休みになられて」
「待て」
室外に出るべく、扉を開けた羽黒をその場に止める。
「足柄はどうした? それに昨日の事について、説明はないのか」
羽黒は振り向かないまま応える。
「昨日って、なんです? あと、足柄ねえさんは、那智ねえさんの部屋にいます。後で案内しますね」
背中を向けたままの羽黒の周囲から、得体の知れない何かが立ち上る。
ゾッとして、首元に鳥肌が立った。
「失礼します。朝食の準備をしてきますね」
羽黒に憑いていた何かが消えたのか、弾んだ声で廊下に消える。
そんな彼女が部屋から退出した途端、何故か安堵のため息が出た。
足柄に秘書艦を勤めてもらう前は、羽黒が秘書艦だったというのに。
一人きりになった安心から、霧が掛かったようだった頭が段々とクリアになってくる。
部屋の外から聞こえる波の音が今は思考の邪魔に感じる。
ーー確かにぼくは、羽黒の言う通り足柄と一緒にこの屋敷に、いや、本当にそうだったのか?
足柄とぼくが駅を降りたとき、妙高が迎えに。だめだ、そこから先の記憶が。
「痛ッ」
股間に激痛が走った。分身が、朝の励起を迎えた事で、引きつったような、じくじくした感じが尿管から前立腺、さらにその奥の内蔵にまで届いたような気がした。
それを感じた同時に、キュッと、後ろの排泄口が反応して引き絞られた。
射精前の、言いようの知れない不慣れな快感で思わず足がぴくっと動いた。
じゃら。
耳障りな音がシーツの下の足首あたりから聞こえてきた。
ーーなんだ、今の音は。
鎮守府にいる以上、艦や艤装を繋ぎ止める鉄の鎖の音は聞き間違えようがない。
それだけに、その鎖が自分に繋げられているという現実は受け入れたくはない。
ーーぼくの勘違いだ。たぶん、別の何かと聞き間違えたんだ。
だが、否定する自分の頭とは別の部分が、ベッドに鎖で縛り付けられている自分を想像して、それを股間に反映させる。
部下の中でも特別おしとやかな艦娘である羽黒に拘束されている。その倒錯した想像が血液と一体化し、皮下の血管をどくっどくっと脈打ちながら、急速に股間の主砲へと送り込まれる。
張りつめられたそれがぐんぐんと角度を増し、艦砲射撃どころか、天を目指そうとする。シーツの下では、むき出された主砲の先端がシーツにこすられて、先走りが鈴口からあふれ出るのがわかる。
主砲を隠した布地の一部が己が体液で湿り気を帯びる。
ーーおかしい。血気盛んで性春真っ盛りな幼年舎時代でも、ここまで性欲に取り憑かれてはいなかった。
小学校を卒業してからの十代の半分を過ごした寄宿舎の仲間でも、シーツが秒単位で染みを大きくしていくような性欲の固まりはいなかった。現に重力と湿気に負けたシーツが鈴口の形を恥ずかしげもなく形作り、先端と一体化した部分からは、繊維の隙間を通して淫液が岩清水のように湧き出している。それに呼応するかのように若幹が震え、若幹のさらに深い躰奥から排泄を行う
貞二の頭に、小便器への放出を終えても小水が残っていたことでズボンを汚すイメージが浮かんだ。
シーツがこすれた程度でトロトロと淫液が股間の排泄口から給油管のように溢れてくる。
朝立ちで擦れた程度でこうなるのでは、もしーー
肉のシャフトから漏れ続ける淫液が次第に腿を冷たく濡らし始めた。
ーー妙だ、自分の、その、あれのにおい位は分かっている。なのに、なぜ甘ったるい。まるで妙高の愛え・・・・・・。
自分の筆おろしをしてくれた艦娘の愛液という、自分とは異なる美しい存在にまつわる淫語に、また竿が反応してびくんと跳ねる。
ーーなぜ、妙高の名前が浮かんだ。今の僕は、足柄しか。
だが己が竿からこぼれ続ける淫液はいつもとは全く異なりながらも、自分がよく知っているにおいで、痛いほどシャフトが張りつめていた。
ぐ~っ。
突如、自分の腹が空腹を訴えてうめき声を上げた。
「提督、お待たせしました」
乳房が露出したメイド服ともボンデージ服ともつかない羽黒がワゴンと共に入ってきた。
「は、羽黒、おまえは!」
「どうしたんですか、提督」
かがんだ羽黒から小振りながらも重量のある乳房が二つこぼれ落ちる。
上半身は首元から胸の中央部分と肩のフリル以外、生地が全く存在しないエナメル生地のメイド服であるため、胸が必要以上に強調されている。羽黒の乳房の先端は桃色を越えて赤く上気して少し触れるだけで何かが弾けそうだ。
ビクッ。
羽黒の痴態を見て、更に股間の昂りが反応する。
ーーだめだ、これ以上は危険だ。それに、何かがおかしい。ぼくの今の状態がおかしいのはわかっている。だがそれ以上にーー。
淫美なメイド服に身を包んだ少女が貞二の考えを他所に、屈んだまま動かない。
いや、何かを咀嚼しているのはわかる。だが、なぜ料理を持ってきた羽黒が立ったまま自分への食事を食べている?
従順な彼女が婬欲と狂気に憑かれているとすれば、出てくる答えはーー。
「はい、提督」
身を起こした羽黒の目は光を失っていた。だが、愛欲に燃えた唾液まみれの舌が、咀嚼された食べ物を味わいながら宙を舞う。
下着が露出した黒いミニスカートから体液を垂らしながら羽黒がベッドの上の自分にのしかかってくる。
「やめろ、羽黒! お前はそんな娘じゃない!」
貞二の反抗は、羽黒の唾液が程よく混ぜられた食べ物と蠢く舌に絡め取られた。
続く
連休明けにアップしようとしたけど、もう木曜日目前……。
できれば毎週一話アップしたいです。
予定としては、前回のあきつ丸の小説がエタッたので、今回はキャラクターの見せ場を限定して、スパッと終わらせていきたいです。
羽黒との性行為と、那智と足柄、妙高、その流れで行こうかと思ってます。
理想はもう一個ボーナスステージが描けたらなぁ。