話の流れは何だったのか、正直に言うと覚えていない。でも、確実に言えるのは今話をしている相手の男性経験が皆無だということだけで、その相手に対して私の経験談を暴露するのは如何なものかと若干躊躇いがある。
ニュクスを倒して半年後、世の中は平和になって一時期世界の終わりに振り回されていたとは思えないほど穏やかな毎日が戻って来た。無気力症のことも影時間が崩壊したことで記憶そのものが綺麗に消え去り、代わりに原因不明の奇病に罹っていたということで処理をされているらしい。そんな平和な中、瀕死の重傷を負いながらも一命を取り留めた荒垣先輩は復学をし、制御剤でぼろぼろになった身体の治療を受けながら私達と同じクラスで授業を受けている。いろいろと噂があった人だからあまりいい目では見られてなかったけど、段々と噂と実物にギャップがあることに気付いて半年経った今では普通に受け入れられてるんだものね。で、そんな相手と風花が付き合うことになったのも大体その辺り……お互いに気になる存在だったけど今ひとつ恋愛の方向に転ばなかったから、私が全力で突き飛ばして転がしてあげたのよね。今じゃ相思相愛のラブラブカップルで二人とも楽しい学校生活を送っている。いやぁ、恋人が同じ学年にいるっていいねぇ、なんて思っていた矢先に風花から荒垣先輩に夜のお誘いをされたという話をされ……どう答えたものかと困っていたりする。
「その……コ、コンドームとかやっぱり、買った方がいいのかな……? 下着は、綺麗な方がいいよね? でも、あの……その……」
一人で頬を赤くしながら暴走している風花が可愛くて、寧ろ私が押し倒して処女を奪いたい気分になってしまった。まさか荒垣先輩も彼女が私の前で可愛い姿を見せているとは思わないだろう。私もこんな風花を見るとは思わなかった。そういう顔は荒垣先輩の前でしてあげなよ、と言いかけて言葉を飲み込む。まぁ、あの先輩もそれなりに経験ありそうだし……初心者マークがべったりくっついてる風花相手に無茶はやらないと思うけど。
「ゴムはいいよー、何処でするのか知らないけどホテル行くんならそういうのはちゃんと用意されてるし、気にするんなら荒垣先輩が買ってくると思うよ? 明彦は全然気が利かないから私が用意するけどさぁ、荒垣先輩は細かいところまで気が回るし風花が心配しなくたってきちんとエスコートしてくれると思うけど」
流石にこのまま暴走させておいてもどうかと思ったのでさらりと言ってあげたら、酷く驚かれてしまった。ちょっと風花さん? その顔はどういうことかしら。余程言ってやりたかったけれど、おそらくそういう経験が無いと思っていたのかもね。人間、自分が経験した以上のことってなかなか考えられないもんだし、私が経験ないこと前提に喋ってたのかもしれない。でも、その考えは甘いわよ風花さん。私の初体験は小五だし、その後は入れ食い状態でいろんな男の相手をしてきた。勿論相手は彼氏もだし、学校の先生とか親戚とかレイプ紛いにされたこともあるし……少なくとも風花と同じく初心者マークがべったりくっついていた明彦をヒーヒー言わせるくらいのテクニックはあるつもりよ?
「湊、ちゃん……もしかして、経験、あるの?」
戸惑い気味に訪ねて来た風花に、私は余裕の笑みを見せてあげる。こういうものはとっとと済まさないで好きな男の人にじっくりと暴いてもらうのが良いと思うから自慢することでもないけど、今の風花には私の爛れた男性経験が役に立ちそう。ゆかりは男性不信が長かったから当然処女だし、美鶴先輩に手を出そうという猛者もそういるもんじゃない。アイギスはロボットだから出来ないし、相談する相手もいないもんね。私の交友関係、男と派手に遊んでまーすって人一人もいないもの。見た目はそれっぽくても蓋を開けてみると嫌に真面目に生きてると思ったりね。ちなみに女と派手に遊んでる男もいないわね、私の交友関係。非モテの非リア充ばっかりで可哀想になってくるくらい。順平も念願かなってチドリちゃんを彼女にしたって言ってるけど、まだお付き合いはプラトニックだし恋愛相談しても参考にはならないか。っていうか、そっち系の話は男にしたくないもんね。
「私の過去の男性遍歴聞いたら腰抜かすわよ? ま、その辺りは風花にもっと経験が出来たらゆっくり語ってあげるとして……勝負下着はあんまり派手じゃない方がいいよ。下手にそういうのを着けて行くと遊び慣れてるって思われるから。そうだ、これから買いに行こっか」
「え、これから?」
「だって、いくら派手でない方が良いとは言ったっていつも身に付けてる下着着けて行くわけにもいかないでしょ? 何事も最初が肝心、ここで荒垣先輩のハートをがっつり掴んでおけば今後も安泰ってもんよ」
そうなのかな、と戸惑う風花に支度をするように促して私も一旦部屋に戻る。あの頃使っていた武器防具はほとんど処分してしまったけれど、個人的に今後も使いたいと思うものだけは実は手元に残してある。ハイレグアーマーとかどう? と言いたかったけれどもそれを渡したら出処が何処だかすぐにバレて、絶対に荒垣先輩が私のこと殴りに来ると思うんだ。あの人女には手を上げないと言いながら拳骨はしっかり落とすんだもん。この大嘘吐き、って怒鳴ったら更に重たい拳を頭に食らっちゃったっけ。落とせるものなら落としてみたいとは思ったんだけど……みんなの前で好きです、って告白したらお前に女としての魅力をこれっぽっちも感じないとかなり失礼なことを言われて、あてつけとばかりにその場で大泣きしたのはいい思い出だったなぁ。結局嘘泣きだってバレて美鶴先輩にはかなり怒られたけどね。
荒垣先輩の好みがどうだかは分からないけど、相手に風花を選んでいる辺り大体の予測は立てられる。あんまり派手な下着よりは清楚な方が好きなんだと思うわ。風花もそういう方が似合うだろうしね。あ、風花って着痩せするタイプで胸が小さく見えちゃうからこの際少し胸元を強調するようなデザインでも良さそう。白の、フリルが付いた奴とか似合いそうだなぁ~、勝負下着でなければ縞パンとか履かせてみたりするのに。ま、反応を聞いて今後を検討するとしましょうか。
「しかし勝負下着、かぁ……」
支度を整えて一人溜息を吐く。私の彼氏である
結局私って、彼にとって何なのかしら。身体だけの関係ならこんなに悩むことはなかった。いっそその方がまだ割り切れたと思う。けど請われて恋人になって、心地良いエッチもして……なのにどうして今こんな寂しい思いをしなければならないんだろう。風花の処女喪失のチャンスは嬉しいけど、寂しいことには変わりない。
「湊ちゃん? いる?」
ノックと共に聞こえた風花の声に、私は慌ててドアを開けた。私としたことが感傷的になって風花との約束を破るなんて。あの馬鹿のことは今は脇に置いておこう、風花の下着選びの方が先だ……と、思っていたのに。
「……よう」
ばつが悪そうに挨拶をするのはここにいるはずのない明彦だ。何故ここにいる、ここは女子寮でしょ、という顔を露骨にしていたのか明彦の代わりに風花が説明をしてくれた。
留学から日本に戻って来た明彦は、両親への顔見せもそこそこに荷物を置いてすぐにこの女子寮へと飛んで来たらしい。電話をして呼び出せば良いものの、携帯を家に置いて来たというこの間抜けはどうしたものかと不審者さながらに寮の前を彷徨いているのをゆかりに見つかってこっそりここまで案内してもらったんだとか。私の部屋に行こうとしていた風花と会って、そこから先の引き継ぎを任されたそうなんだけど……本当、馬鹿過ぎて腹が立ってくるわ。
「湊ちゃん、買い物は……また今度ね。積もる話もあるだろうから……それじゃ」
「ちょっ、ちょっと……風花!」
さっさと引き上げていく風花に恨めしそうな目を向けたのも束の間、何の断りもなく明彦が人の部屋に入ってくる。寮とはいえ私の部屋に招いたのはどれくらいぶりだろう……男女混合の寮とはいえ流石にフロアは男女で分かれていたし、用もなく女子のフロアに男が入ると美鶴先輩のお仕置きが待っていたものね。だから私の部屋に招いたのは片手で数える程度しか無くて、最後に招いたのはこの寮を閉鎖する前日のほとんど何もない部屋だったと思う。
あの頃は親戚の都合で転校は当たり前だったから、いつまで月光館にいられるか分からないと思って物を増やさなかったから殺風景なままだったけれど、美鶴先輩が今後も身の保障をしてくれると言ってくれたから欲しかったファンシーグッズなんかを買って可愛い部屋にアレンジした。ここへ来てから一度も私の部屋に入ることが無かった明彦は驚いているみたいだったけれど、所在なさげにしている姿が少しだけ可笑しいと思った。
けれど、それで黙って許してやれるほど私は大人じゃない。
「……ただいま、今戻っ」
戻った、と言い切る前に私はエルボーをかまして思いきり床に叩きつける。何事かと見に来る人間もいないのが有難い。おそらくこれから修羅場になるから、とゆかりが説明してくれたんだろうと勝手に思うことにする。
「なっ、何を……ぐぇっ!」
何度も何度も顔面を踏みつけて、これでもかというくらいに頭を踏み躙ってやった。多少はすっとしたけれどもそれで気が収まるほど半年という時間は短くはない。
「アンタ私を放って何やってたのよ!! 半年も連絡の一つも寄越さないどころか音信不通で!! そんなんで彼氏気取ってんじゃないわよ!! 浮気の一つや二つ、してやろうと思ってたんだから!!」
「なっ……したのか!?」
「するか馬鹿!! しようと思ってたって話!! なんなのよ……修行修行って、そんなに修行が好きなら一人で何処へでも行けばいいじゃないの……そうやって強さばかり求めて、その結果何を失ってもいいと相変わらず思ってるのなら、私も捨てて行けばいいじゃない。中途半端にほったらかすのは止めてよ、私は明彦の玩具じゃないの!!」
この半年、溜まりに溜まった不満をぶちまけてやったら抵抗しようとしていた明彦がぴたりと動きを止めた。何だかそれも腹が立ってもう少し踏みつけてやろうと足を上げたら隙ありとばかりに飛び起きて、すっぽり私を抱きしめてしまう。タルタロスで身に付けた体術を生かすべく鳩尾に一発食らわせてやろうと思ったらしっかり腕まで抑えこまれちゃって……修行していたっていうのは嘘じゃないみたいね。
「……悪かった。携帯の電波さえ届かないところにいたんだ。この半年、各国を飛び回ってな……様々なところで修行をした。だが……お前のことを忘れた日は一日もない」
また修行の話か、この空気詠み人知らず、と言ってやるつもりだったのに、最後の一言に私の言葉が消えた。
「帰ったらまず、一番にお前の顔が見たかった。……離れてみて分かった、俺は……湊、お前の側でないと安心出来ない。これからは日本で、お前の側で先を見つめてみるさ。世界に出て学ぶことは多かった……俺はこの狭い日本の中でさえきちんと見ていないものが多過ぎる、とな」
柔らかく笑うその顔は明彦だ、と不覚にも思った。私と恋人になってからこんな表情を見せるようになった明彦は、やんちゃ坊主から確実に男になりつつあると確信を持たせるには十分で、そうやって育てているのが私だと思うと妙な優越感があった。高校の頃から見た目のおかげで周りの女に取り囲まれていた明彦が選んだ相手が私……このゴミ共、てめぇの容姿を磨いてから出直して来な、と高笑いしたい気分になったのはともかくとして、ハーレムに喜ぶ馬鹿男でなく私を腕の中に納めて喜ぶ馬鹿男なのが嬉しい。
さて……許すつもりはないけど、絆されてやってもいいかしらね。明彦のくせにこうも口説かれちゃったら私もやる気を出すしか無い。それに折角ゆかりが足止めしてくれてるし、風花も気を利かせてくれたことだし? 明彦も……なんか、やる気出て来たみたいだし。
「もし、明彦が今日帰って来なかったら……きっと、天田君を調教して私無しでは生きられない奴隷に仕立て上げてたと思うの。他にも奴隷要素がある
「……お前という奴は。お前が言うと冗談に聞こえないから恐ろしい。全く……小学生に手を出すな、犯罪だぞ? まさかとは思うが、シンジに手なんか出してないだろうな」
おっと、やはりそこは気になりますか。ま、アレだけ盛大にフラレた光景見ていても全く理解出来ていなかったっぽいしね。幼馴染は最大のライバルっていうのは分かるけど……気付いてないのかしら、荒垣先輩に同情されてるってこと。アイツが好んで選んだ女がお前ならしょうがねぇが、何でよりにもよってお前なのかねぇ、と心底呆れた顔で言われたのは絶対理解出来なんだろうなぁ。
「私、人のものには手を出さない主義なんです。修羅場とか御免だし、男と女、天秤にかけるのなら女選ぶし。もしかして荒垣先輩から聞いてないの? 今、風花と付き合ってるって」
本気で何も聞いていなかったのか、この報告に明彦が固まってる。考えてもみれば半年も音信不通の人間と連絡の取りようなんか無いし、大体付き合ったのだって明彦がいない間だし……知っている方が寧ろおかしいか。逆に知っていたら何故知っていると問い詰めないといけないところだった。連絡取り合ってたんじゃないか、一体何処にいたんだ、ってね?
「シンジの奴……! 俺に一言も無いなんて」
「そりゃあ……半年も音信不通じゃ報告の仕様もないものね?」
明らかにアンタが悪い、そう言わんばかりに答えてあげたら反論する術もないのかしゅんとしてしまった。何か犬みたいで可愛いと思ったけれども……問答もこれくらいにしておこうかしら。私もそろそろ限界。
思いきり足払いをかけて明彦を転がし、私も一緒に床に転がった。突然の不意打ちに腕を緩めてしまったのが運の尽き……ズボンを緩めて中から取り出した無駄に大きな明彦の元気なムスコは今にも暴発してしまいそうで可愛らしかった。ちゅ、と音を立てて吸ってあげると明彦が小さな声を上げて悶えている。もう何度も身体を重ねているのにこんな初心な反応がなかなか抜けない。あの頃追っかけをしていた子はどう思うかしらねー、憧れの真田明彦がこんなところ吸われるだけで可愛く声を上げちゃうなんて知ったら。幻滅したと言うかしら、それともますます興味が膨らんで変な方向に突っ走るかしら。私を捨てて修行に走るとかそんなことを言い出したらすぐにネット上に明彦のエッチなところを晒せるように、一度くらいハメ撮りしてみようかな。カメラの前でどんな反応見せるか……ちょっと楽しそう。
「随分と反応良いじゃない……どうしてこんなになっちゃってるのかな?」
「……そ、それは……この半年、ろくに抜きもしなかった、から……な……」
歯切れの悪い答えに私の口元が歪む。それはそれは結構なことで。なら、本気を出して行きますか。
明彦の元気なそれを、私は遠慮なく根本まで含んで頭を動かしながらピストン運動をしてあげる。あまり激しくするのは好みじゃないから緩く、なのだけどこれでも明彦には堪らなかったのか我慢汁が結構溢れてて出してしまうのもそう先の話ではないことを感じさせた。咥えているだけでも分かるくらいにガッチガチだもの、これじゃあきっとイクのも早い。
「ふっ……く……っ、お、まえ……っ、馬鹿、止めろ……っ」
そんな、喘ぎ混じりのエロい声で言わないで下さいよ。腰に来るじゃないですか、もう。でも、そんな声を出されて黙っていられるほど私も甘くはないし薄情でもない。これは本気で頑張らなければ、としつこいくらいに激しく頭を振っていたら強引に引き剥がされて押し倒されてしまった。おや、これは、と思ったのも束の間、乱暴なくらいにシャツを捲り上げて私の胸を露わにする。風花ほどではないけどそれなりの大きさがあるこの胸が明彦は好きで、程よい大きさだと言っては夢中で貪るのよね。本当に馬鹿な男なんだから、って思いながら赤ちゃんみたいに吸う明彦が何か可愛くて満足しちゃう。テクニックはからきしだけど。
「あっ……」
乱暴にブラをずらして露わになった胸を吸う。突起に舌を絡め舐るようにして刺激するのは明彦が好む責め方……というより、私が元気な明彦の分身にしてあげてるやり方ね。そのやり方を覚えてそのまま私の胸で実践してくるのがまた可愛いというか何というか。
「んっ、ぅ……ちょっと、上手くなってきたんじゃない? すっごい気持ち良い……」
得意気に口元を歪ませる明彦は多分意味が分かってない。他所の女に仕込んでもらったんじゃないかって私の厭味なんだけど……この朴念仁が気付くなんて百年かけても無理か。
「お前、いつもこうやって舐めるだろう? 誰かに奉仕をする時、人は自分がやってもらいたいことを軸にするものだ、と留学先で聞いてな」
何てことを教えるんですか、このド天然に。絶対そいつ、無駄に経験ばっかりある男だわ。というかやっぱり厭味に気付いてないな? もう……この朴念仁。でも、私のために私に合わせたやり方をしてくれるのは嬉しい、かな。だって、経験が無いせいか自分本位のやり方しかしてくれなかったんだもの。尽くしてくれるっていうんなら甘んじちゃってもいいか。私ももう欲しくなってきちゃってるし。
服を脱がせる余裕も無いのか、下着をずらして隠された秘所を指でなぞる。形に沿って動く指はなかなか気持ちの良いところには触れてくれない。この焦らし方も知ってる、これは私がよくやる方法だから。こうやって焦らされると獣のように襲い掛かってくることは経験上よく知ってて、滅茶苦茶にされたい時なんかによくやってるんだよねー、明彦に限らず。今は明彦だけだけどさ。
流石にここまで来るとちょっと生意気、明彦に翻弄されて早く挿れて、なんてはしたないおねだりはしたくない。明彦をいつもギリギリまで追い込んでただでさえ馬鹿なのに輪をかけて馬鹿な男にするのが好きなんだから。奉仕してくれるのは嬉しいけど、同じ手は食わないわよ?
軽く腕で明彦の首をなぎ払い、ベッドから叩き落とす。仰向けに落ちた明彦の股間の上に堂々と跨がり、抗議をしようと口を開いた明彦の唇を奪って舌を絡めてやる。リードはまた私に戻った……そして明彦の半身はこれでもかってくらいに元気。ならこのまま挿れちゃっても全然OKってことよね。それじゃ、いっただっきまーす。
軽く腰を浮かせて、下着をずらして明彦の元気な半身をしっかり奥まで飲み込んだ。あ、そういえばゴムしてなかった、なんて思ったけど今更抜いてゴム付け直して再挿入なんて有り得ない。そんな萎えること、この湊さんが出来るわけがないわ。
「馬鹿、お前……っ、生で」
「生で初挿入、おめでとう! やっぱゴム無しの方が気持ちいいわ~。明彦の脈動までしっかり分かるもの」
にやりと笑って囁いてあげると明彦が顔を真っ赤にする。多少は知恵を付けたいみたいだけど、私の模倣程度じゃこれが限界よね。そっちの修行をしていなかったのは褒めてあげてもいいわ、もし性欲処理するために他の女抱いたとか、現地で彼女作ってたとか言ったら命が無かったけれどね。明彦はもうペルソナはいらないからって全然力使ってないみたいだけど、私は未だ衰えてませんから。ワイルドで
くちゅ、と卑猥な音を立てながら腰を振って久々の明彦を味わう。深く挿入しなくても奥の奥まで余裕で突いてくるこのデカマラは経験者じゃなきゃ絶対に入らない。もう数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいに男食ってきた私であっても明彦を受け入れるのはちょっと辛いくらいだもの。でも、奥の更に奥を犯されて子宮の入口を直接突かれる感覚は結構好き。他の男には私を満足させられるほど大きなモノを持っていた人もいなかったし、だから明彦のはちょっと新鮮。時折処女になったんじゃないかって錯覚するほどキツイくらいだから。
「くっ……結局こうなるのか……っ、たまには俺が上になりたかったというのに」
そう、いつもエッチは私が主導権を握って明彦の出番は殆ど無い。まぁ、気が向いた、というか私が乗り気でなく明彦が乗り気って時は騎乗位じゃなくて背面から好きなようにさせてるんだけど、明彦はそれが不満みたい。私に好きなようにされているんじゃなくて、明彦が責めて私を喘がせたいんだって。男って変なところでプライド持つから、今までは相手を見ながら出方を見てた。明彦の場合はテクニックがゼロだから私が責めた方がお互いに気持ちが良いもの。明彦だけ気持ち良くて私が痛い思いを我慢するとか絶対に嫌だから。
「ふふっ……あ、は……っ、でも、気持ちいいでしょ? 本当は、こんな風に乗られてみたいとも思ってたんじゃないの?」
「う……、そ、それはまぁ……このやり方に慣れているから、な。だが、されっ放しは性に合わん」
まぁ、明彦らしい回答だこと。そう言うんなら主導権を握らせてあげてもいいかしら? でも、それは私のターンが終わってから、ね。
「なら、一回出した後で明彦に好きにさせてあげる。どうせ、一回じゃ終わらないでしょ?」
笑ってみせる私に明彦がにやりと挑発的な笑みを浮かべた。最初は譲ってやると言わんばかりの顔、これは合意に至ったと考えて良さそう。ならもう、無駄に会話をする必要もない。今は半年もの間持て余していた身体を満足させることに集中したい。
いつもは明彦が良くなるように、と遠慮してるところもあったけど、今日はもう無理。私が気持ちよくなりたいと遠慮なしに腰を振ったら明彦が呻いていた。凄い、と言いたげに顔を歪めるのが堪らなくてますます腰を激しく振ってしまう。明彦の太いのが奥の奥まで激しく突いてくる……やだ、本当、ここホテルじゃないのに遠慮なしにやっちゃいそう。声だって隣の部屋とかに漏れてるだろうし、聞かれると変な噂になるから困るのに……ああ、もう、この際どうでもいいや。今は明彦と遊ぶ方が忙しいし。
「あっ、や……っ、明彦っ、明彦のが凄すぎて、イク、イッちゃう!」
「くっ……馬鹿、一度抜け! 俺もこのままでは持たん! 中に出したら」
「大丈夫っ、今日危険日だから……あぁっ!」
「おい、全然大丈夫じゃないだろうが!!」
必死に引き離そうとする明彦を無視してひたすら腰を振り続けた私の中に、結局抜く前に出してしまった明彦は青い顔をしていた。そりゃあ、危険日だって言えばそんな顔もするでしょうねぇ。お互いに社会人ならともかく、明彦は大学生で私は高校生だもの。孕ませた、なんてことになったら一大事だものね。
「あーあ……明彦の赤ちゃん、出来ちゃうかもね」
楽しそうに笑う私に明彦はしばらく硬直した後、そのまま私を硬い床に押し倒して自棄糞とばかりに腰を振り始めた。あ、もうどうでも良くなったっぽい。孕むんなら孕め、って言いたげな顔しちゃって。こういうところ脳筋なんだから。ま、本気で孕んだら責任取らせるつもりだけど、多分それはないだろうねー。だって、今日は生理の予定日の一日前だもの、妊娠する可能性はゼロとは言わないけどかなり低確率です。もし出来ちゃったら余程明彦の種が元気だった、ってことよね。半年分の濃厚な奴、たくさん出されちゃったから。
結局夜になる手前までこんな調子でされちゃって、気付いたら服までぐっしょぐしょになるまで出されてた。明彦の精液、美味しかった、なんて小悪魔チックに笑って言ったらもう一戦仕掛けようとしてきたのでそれは蹴り飛ばして阻止をしておく。もし孕んだら責任取って結婚する、なんて言われちゃってさー、妊娠しないかなって思っちゃった。
この馬鹿にはしばらく放置されちゃったけど、やっぱり私がいなければ駄目なんて……そんなに思われたら女として幸せよね。本当、幸せ。明彦の腕の中で甘えて喜んで……こんな生活が出来ていたら幸せだったのに。
これが全部“現実”だったら良かったのに――
真っ暗な、天と地の境目のない空間で目を覚ます。鎖に繋がれた私の背後には無駄に大きな扉があって、それ以外には何もない。また夢を見ていたんだ、と苦笑する私のそれも長くは続かずすぐに笑みは消えてしまった。
一月三十一日――あの日、降臨したニュクスを封印した影響で私は肉体を離れて魂だけの存在になった。そしてニュクスに触れようとする
本物の明彦は一度だけこの空間に来て私の今のあり方を見てくれた。助けてくれるのかと思ったら案外割り切りはあっさりしていて、それからどれくらい時が流れたのか分からないけれど一度もこの空間には来ていない。ユニバースの力を使えば様子を見ることくらい朝飯前なんだけど、もし隣に可愛いお嫁さんがいて子供がいたら私が堪らなくなるから見ることが出来なかった。好きとか愛してるとか……そんな言葉は多くは聞けなかったけど、それでも幸せだったんだ。だからちょっとだけ……私との未来を望んでくれているって期待してたんだけど……あの朴念仁にそれを察しろというのは難しいのかもしれない。ううん、所詮はその程度の恋だったのかもね。
「それで、今度はどうするつもりだい?」
ふと、暗い思考に囚われた私の耳に綾時の声が聞こえる。ニュクス・アバターになってニュクスと同化した綾時は時折扉の向こうから私に語りかけてくる。石像と化した私の意識が消えて、ただの石像に変わってしまわないようにと。
どうする……か。答えは一つしか無い。というか、これ以外の答えはやっぱり私には選べない。私は今見た“夢”を現実にしたい。扉を守る役目を外れてユニバースの力を使って元の世界に戻ることは出来る。でも、それをしたら世界は確実に滅ぶ。本来訪れるべき滅びの日よりも更に早い段階で。
「勿論、
「そう言うと思ったよ。君は諦めることを知らないから。……次はもう、会わないといいね」
綾時の寂しそうな声に、私ははいともいいえとも言えなかった。綾時が現れる、それはニュクスの降臨が確定したということ……綾時ではなくファルロスとして私だけが見える存在でいてくれればニュクスは降臨しない。分かってはいるけれども、綾時と紡いだ絆も私にとっては大切なものだから……これでお別れになるといいわね、なんて口には出来ない。
「行っておいで、君は君が望む未来を手に入れるまで走り続ければいい。僕にはただ再会しないことを祈ることしか出来ないけれど……」
「ありがと、綾時」
こんなやり取りももう何十、何百と繰り返してきた。ユニバースの力を使って出来る限り時間を巻き戻して一からやり直す、私の力で出来る巻き戻しは転校して初めて寮に来たあの日が限界で、それよりも前は出来なかった。だから同じ一年間を何度も駆け抜けて、何度も同じ末路を導いている。どう足掻いても結局運命は私を嘲笑うかのように同じ結末を運んできて、抗うことさえ愚かなことだと言わんばかりに冷たく現実を突き付ける。明彦が私に背を向けるのももう飽きるほど見てきた。簡単に割り切ってしまうような薄情な男なんか見捨てれば良いのに、って思っても結局私は明彦が良いんだもんね。本当……私も案外脳筋だったのかも。
石像になっていた身体が光に包まれ、死んだあの時と同じ姿に戻る。鍵は解除された、これに反応をした
消えた悪意の代わりに私の目の前に現れた扉は白く輝いている。これが現世へ戻るための扉、そしてこの先に繋がっているのは一年前の始まりの日だ。ここを潜ればまた一年間戦いが始まる。期待と絶望に包まれた一年が。
「もう二度と、ここへは戻って来ないように……それだけを祈っているよ。さようなら、湊」
「……ありがとう、さようなら。綾時」
もう何度交わしたか分からない挨拶をして、開いた扉の先に飛び込みまたあの一年をふり出しに戻した。次こそは間違えない、そういつもの決意をして。
モノレールは到着時刻をかなり遅れてポートアイランド駅に到着する。改札を抜ける直前に時計の針が零時になり、途端に風景が一変する。懐かしくもない、寧ろ見飽きた影時間――また戦いの日々が始まるんだ、そう思うと自然と口元が緩む。
いい夢、だったなぁ。どうせ明彦は私のことなんか覚えてないんだし、また初めましてからやり直すのか。ま、それも今更だけどね。今度こそ、あの夢を“夢”のままで終わらせないんだから。修行で放置されるのは困るけど、それでもきっと……今度は現実にするんだから。そして、明彦の腰が砕けて使い物にならないくらいに責め立てるんだからね!
きっとこの影時間の中を歩いていけば、影時間のうちに寮に辿り着いてしまうのだろう。そうして警戒しきったゆかりにペルソナ召喚をされそうになって……いつもこの展開だから、少しはこっちで変化付けてみようかな? その銃は何? なんて言ってツッコんでみるのも面白そう。出来れば明彦の顔を見て、やだイケメン、超好み、くらいは言いたいんだけどな。
これから起こるであろう展開をあれこれ考えながら気持ちの悪い影時間の中を歩いて行く。未来をきっと手に入れてやる、そしてあの薄情な男の顔面に一撃食らわせてから犯してやる、そんなことも考えながら私は笑って戦うために始まりを求めに歩き続けた。