「ひじ~かたく~ん」
甘ったるい声を出し銀髪の恋人が、襖を開けた。いつもより前をはだけさせていて、妙に色ぽい。
「なにしに来たんだよ?お前と遊んでる暇ないんだけど…」
kissしそうになるのを堪え、いつもの机に目線を落とす。
「…………」
不意に背中に暖かいものを感じた。腰に手を廻し、俺に抱きついてきた。
「どうした?」
今までこんなことなかったから、戸惑ってしまって声が裏返る。
「ちょっと、こうさせといて。」
…………暫く、させとくか。毎日・毎日、やっているがこうも貯まるのか。ほぼ、総悟のせいなんだか。
ため息をつきながら書類を黙々と終わらせていく。
「あれ~旦那来てたんですか?」
山崎がお茶を持ってきた。
「すぐに、旦那の分も持ってきますね。」
「山崎、饅頭があっただろ?あれ持ってきてやれ。」
「は~い。」
山崎が、パタパタと廊下を走り去っていく。
「ちょっと、近藤さんの所に行きたいんだけど……。銀時?」
「………………」
ここに来てから一向に喋らない。腰に巻かれた銀時の手を触る。
いつもより冷たい?
「旦那~、持ってきましたよ。」
山崎が、饅頭とお茶を持ってきた。
「旦那?ちょっと、副長なんか様子おかしいですよ?」
後ろを振り返ると銀時が、バランスを崩し畳へ崩れ落ちた。
「おい!!銀時!」
身体を揺さぶると、腹部からじわっ~と鮮明な血が滲んできた。
「えっ!?」
あまりにも、突然の事で頭が追い付かない。山崎が、何やら電話している。
「今、救急車呼びましたから。とりあえず、押さえときましょう。」
タオルを腹部に当てて、出血を行う。
頭が真っ白になるってこういう事なんだ、と何処か他人事のように思っていた。
病院に着き、手術中のランプが赤く色づいた。
何処か、ぼんやり眺めている自分がいる。
あれは、何日前の事だったろう?万事屋へ行ったとき、ポストからはみ出した封筒をみた。宛名も差出人の名前も書いていない白い封筒。鍵は開いていたが、銀時は居なかったので封筒を手に中に入った。銀時が帰ってくるまで待っていようと思った。
けど、好奇心の方が勝ってしまい封を開けた。
【親愛なる銀時様。なんで、僕の気持ちをわかってくれないのですか?あんな狗なんかといつも一緒に居て、銀時様は騙されているんです。なんで、気づいてくれないんですか?今度、銀時様のところへ行きますから。僕と一緒になりましょう。】
定規を当て筆跡鑑定が出来ないようにしている。
「あれ~、来てたんだ。」
能天気に紙袋を抱えて帰ってきた。
「パチンコ行ってるんなら、鍵くらいかけろよ。開いてたぞ。」
「返せ!!」
紙袋を落とし、手紙を奪い去る。
「それ………ストーカーだよな。あれだったら警備つけるか?」
「いいよ。忙しいし、それに単なるいたずらだろ?男相手にストーカーって……それとも、俺が負けると思ってんの?俺に負けた誰かさん?」
「けど………」
「良いんだよ。関係ねぇじゃん。」
それから、その事であ~だこう~だの言い争いの喧嘩。
後ろ髪を引かれながらも、屯所に戻ってから心配してなかった訳じゃない。
何度も、行こうとしたが仕事が立て続けにあり行けなかった。
そんな中、銀時が刺されて屯所に来た。
俺が、無理にも警備を付けていれば……全て俺のせいだ。
手術中のランプが消える前に、俺は病院を出た。
目を醒ますと、見馴れない天井。左に目線を送ると、点滴が見えた。消毒の臭いもするから病院か……。
誰も居ない病室、トシに怪我してるのバレちゃったんだ。
トシは、彼奴の事を捕まえちゃうのかなぁ?
そんなことして欲しくない。
だって、彼奴は………。
「目醒めたみたいだな。」
トシが、
もう、捕まえちゃったのかなぁ?
「俺の事、わかるか?」
おかしな事を訊くなぁ。
わかんない訳ない、だって付き合ってるんだもん。
「…………トシ」
呼吸器を付けていて、こもった声になる。
「良かった。あれからもう2年経ってるんだぞ。」
2年?その間寝てたって事?トシは、2年も待っていてくれたの?
動かない首を動かして、トシに目線を向ける。
左手にキラリと光る銀色の指輪を見た。
やっぱり、待っている訳ないよね。トシが結婚したのってどんな
そして、トシの事お願いしたい。こいつ、すぐに危ないことするし隊の皆にも相談しないしな。だから、しっかり首輪付けとけって………。
「銀時?なんで、泣いてるんだよ?」
「だって、それ……」
手も動かなくて、指させないけど“指輪”っていうのはさすがに言えなくて……。
「この指輪の事か?」
目線でわかったのか、トシが訊いたから静かに頷いた。
途端に、トシが笑いだした。なんで、笑っているのはわかんない。
「これな、近藤さんに言われて買ったんだよ。」
なんでそこで、近藤が出てくるんだろう?
「実は、お前との関係を知らない上層部の人間が見合いを進めてきてさぁ。その度に、断ってたんだけどめんどくさくなって、だったら結婚すればいいって。」
そう言って指輪を外して見せてくれた。
“T→G”と書かれていた。十四郎から銀時へという意味らしい。どういう事?訳がかわらない、だってトシは女の人と結婚したはず。
「どういう事なの?なんで?」
「魔除けのために買ったんだけど、どうせ買うならお前にあげたくて。俺と結婚して欲しい。」
「男同士だよ?」
「わかってるよ、そんなの端から。寝てる間に付けてしまおうかって思ったけど、やっぱりお前の返事欲しかったし。事実婚で籍はあたれないけど、形だけでもさぁ…」
そう言ったトシの顔は、耳まで真っ赤なっていた。なんで、俺なんだろう?
トシは、モテるのに……それこそ良いとこのお嬢さんと結婚すればいい。
返事に迷っていると、コンコンとリズムよくノックされ隊士が入ってきた。
「副長、ちょっと……」
トシを呼び何やら耳打ちして報告している。
「悪りぃ、屯所に戻んないと。」
“また、来たときで良いからな。それまで、考えておいてくれ返事”と言って病室を出ていった。ぼんやりと天井を眺めていたら涙が出た。
その日から、リハビリが始まりトシも来なくなった。仕事が忙しいんだろぅ。トシは来ないけど、神楽や新八は毎日来るし真選組の奴らは取っ替え引っ替えやって来る。今日の担当は、沖田くんみたい。ベッド横の椅子に座り、妙が持ってきたフルーツを食べてる。
「たく、ほんとめんどくさいでさぁ。あの野郎自分で来ればいいのに、帰ったら旦那の様子聞いてくるんでぇ。まぁ、旦那に会えるからいいんですが……」
「彼奴は、来ないと思うよ。もう、2度と……」
点滴も外れ、上半身を起こしてる俺はバナナを食べてる沖田に俯き言った。
「彼奴、プロポーズしてきたんだよね。けど、俺応えられないし。彼奴の事だから、返事訊かなくてもわかったんだと思う。2年も待たせたんだもん。無理だよ。」
「それでいいんですか?あの野郎、今出張に行ってて来れないだけでぇ。ちゃんと、返事してあげた方がええんじゃないですか?あんたとあの野郎がくっつくなんて嫌ですけど、そんな顔で言われたら俺の気持ち言えねぇじゃねぇですか。………出張、明後日で終わるんで来ると思いますよ。」
そう言い残し、沖田は病室を出ていった。
………返事か……どうしろって言うだよ。トシ………俺はトシの事好きだよ、好きだけど……。
こんなこと、ずっと考えてる。トシには幸せになって欲しいし、トシの子供を見てみたい。指輪を眺めながら、考えてるといつも消灯の時間になる。
明後日か。そろそろ決めなくちゃ………。
「元気してたか?」
トシが隊服のままやって来た。答えが決まらないまま約束の日が来てしまった。俺今、どんな顔してるんだろう?トシが、そっと頬を撫でた。
その瞬間、今までの不安な気持ちが嘘のように晴れた。
「………よ、よろしく〃〃」
顔が熱い。トシが、抱き締めて“幸せにするから”耳元で囁く。これから、不安になることが沢山あるかもしれないけど、二人なら大丈夫だよね。俺は、トシに気づかれないようにそっと微笑んだ。
完
最後、銀時の返事に悩みましたが、私の書く小説はバッドエンドが多い気がしてハッピーエンドにしてみました。出来たら、新婚生活を書きたいな。いつになるかわかんないけど……
書いて欲しい方居ましたら、ご一報ください。リクも受付中。新婚生活で何をやらせましょう?