---ラリー---
署長室に磯崎が現れた。病院を抜け出してきたようだ。
「署長、マノンはどこですか?部屋が封鎖して入室できないんです」
いままでは、大抵署内にいたマノンの不在で、磯崎は取り乱していた。マノンをどうしたいのだ?アイツはもう…
「マノンは、ここを辞めたぞ」
すごく落胆している磯崎。
「えっ?なんで?どこに行ったのですか?」
「わからない…無事だと良いのだが…」
---後藤---
間野がAMPを辞職した。しのぶさん、磯崎の事件後に退職願いを提出したようだ。アイツが何をしようとしているのか、署長は知っているようだけど、教えてはくれなかった。
なので、松井ちゃんに探らせている。
マノンが去って2.3日経った。松井ちゃんから連絡があり、いつのカフェに向かった。
「後藤さん、人外達がデカイ催しをするようだ。彼は何かを仕掛けるだろうな」
「どんな催しだ?」
「パーティーみたいだ。攫ってきた人間で遊ぶらしい」
「どこでやるんだ?」
「ロンの店だ」
「急襲してロン以下全員を逮捕するかな」
「無理だと思う。海外のお偉いさんの人外ハーフな子供達が、参加するらしいぞ。捜査陣はただでさえ圧力に弱い上、国際問題に発展しそうな案件には、手を出せないと思う」
「くそっ!」
間野…済まない。またダメみたいだ…
「そういや、磯崎さんが彼を探していたぞ」
「はぁ?入院中のはずだが…」
何をするつもりだ?
---内海---
目の前に相棒が、横たわっている。彼の味方が、彼を囲んでいる。もう、あの笑顔は見られない。もう、アイツの声を聞けない。くそっ…
アイツの身体から、バクテリアが充満している血液を、1滴残らず抜いていく。アイツは自らの身体で、バクテリアを増殖していた。
苦しかっただろうに、痛かっただろうに、一人で部屋に籠もって、耐え抜いた。人外犯罪を根絶するために。
「僕達も協力する。僕達の為に、こんな目に遭ってくれたんだから」
インキュバス、サッキュバスの夫婦が、拳を握り絞めていた。
「マノン、お前の死を無駄にはしない。誇りを忘れた悪魔は、単なる魔獣だ」
あの冷徹と言われたサタンも神も声を押し殺して泣いていた。
俺は…マノンの計画を実行にしないといけない。命をかけて。たぶん、ここに居る者総てが、同じ気持ちだと思う。
---後藤---
やっと、磯崎と合流できた。
「入院中じゃないのか?」
「自分の気持ちに気が付いたの。マノンに会いたい。彼が必要なの。ねぇ、どこにいるの?」
「アイツに惚れたのか?」
「わからないけど、忘れられない。彼のことしか頭に浮かばない」
「はぁ…アイツは…いや、きっと、またセクハラしに来るんじゃないのか?ふらっとなぁ」
「あぁ、そうかもしれない。あっ、お見舞いに来てくれるかもね。ナース狙いで。ふふふ」
---内海---
人外達の宴が始まった。ウェルカムドリンクには、アイツの血が混ぜてある。人外達は美味しそうに、それらを飲み干していく。中にはお代わりをする者もいるし。
さぁ、地獄へ向かうパーティーを始めようや。
(完)
---マノン---
やっと、会えた。
人外達に殺された彼女に。
でも彼女は天国の住民。
僕は地獄に行かなければならない。
彼女はこの先、転生をして、別の人生を歩むはずだ。
僕のやったことが、実を結んでいるといいなぁ。
天国と地獄との別れ道の丁字路で、彼女と最期のキスをした。