※この作品はR-18です。

Escape! 猫の世界巡り   作:ウルハーツ

21 / 66
囚われ

 目が覚めた時、まず最初に見えたのはこの世界に来て住む様になったアスナの家の天井。何時もなら猫の姿で寝て居る為に見える筈の無い光景であり、背中とお腹。その両側に暖かい物が被せられていると言う感覚もまた違和感がある。どうしてそんな違和感を感じる事になるのか……あぁ、そうだ。私は昨日、アスナに……。

 

 ふと横を見ればアスナが寝て居る姿。殆どは掛け布団に被って居る為に隠れているけれど、胸の谷間などが見えて居た。どうやら何も着て居ないらしい。そして徐々に思い出される記憶はアスナに何度も、何度もイかされたあの記憶。13回どころか20回以上。リズの時には気絶した私だけど、アスナに強制的に覚醒させられると言うあの状況は……地獄以外の何物でも無かった。

 

「……?」

 

 布団から出ようとした時、私は首の周りに何かがある事に気付いた。まさかと思いつつも手を伸ばせばそこには輪っかの様な物が首にあり、それが首輪であると認識するのに時間は要らなかった。私では外せない作りになって居るのか、外そうとしても金属音がするだけで何の意味も無い。と、その音を聞いたからかアスナが眠そうに目を擦りながら目を覚ました。身体を上げ、掛け布団が落ちる事でアスナの上半身を隠す物は何も無くなってしまう。結果、アスナの形の良い胸が丸出しに。……隠す気も無いらしい。

 

 アスナは少しばかり寝ぼけた様な顔をして居たが、私が首輪に手を持って行っているのを見ると笑顔になる。そして私に近づき、愛おしそうな表情で私の頬を触りながらその手を首輪へと移動させた。全てが終わった時、リズは元に戻って居た。だけどアスナは……何故か戻る気配が無い。いや、これこそがアスナの本質。本来の思いだったのかも知れない。

 

「……これ」

 

「それは服従の首輪って言うアイテムでね? 持ち主が自分に使う事は出来ないけど、決めた相手に付けさせることで効果を表すの。例えば」

 

「!」

 

 アスナがメニューを表示させた後、何かのボタンを押す。と、突然私の身体に力が入らなくなる。首輪をして居る首の部分からまるで力が流れ出て行くかの様に感覚。座っているのも厳しくなり、後ろへと倒れてしまう。するとすぐに私の背後にアスナが近づいて身体を受け止めてくれた。どうやら名前通り、この首輪は服従させる物。アスナの手元に私の自由は握られてしまったらしい。

 

 補足する様に「猫の姿でもついたままだからね?」と言ってくるアスナ。とにかくこの抜けて行く感覚を解除してくれない限り、私は立つどころか動く事も出来そうにない。アスナは戻すのを忘れて居るのか私を呼び続けているが、私はドンドンその声が遠くなっていくことを感じた。せめて猫の姿にと私は薄れて行く思考の中でその姿を想像し、そのまま意識を手放すことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はこの世界で3人の存在の欲を満たさなければいけない。だけど今、完全に私はその内の1人に囚われの身となってしまった。

 

 あの日からどれほど経ったのか、私には分からない。私の意思で猫の姿から人の姿になる事も無く、アスナの手から離れる事すらままならない日々。朝も昼も夜も、殆どの時間に置いて私はアスナの腕の中に居させられていた。離れようとしたところですぐに力を抜かれて捕まり、その度にアスナの命令の元に人の姿にされてお仕置きと言う名の快楽の地獄に。

 

 攻略に出る時、私はアスナと共に連れて行かれる事になった。最初は当然奇異な目で見られる事になった。猫が居ると言う現状に不満を持つ者も。だけどアスナは入って居るギルド、血盟騎士団で副団長を務める程の力がある故にそんな不満を潰すのは簡単だった。それどころか攻略の際に私が居る事でアスナの戦闘力が劇的に上がっているらしく、私はアスナに取って強壮剤の様な役割を果たして居るらしい。

 

 今日は攻略に出て居た日であり、終わった後にギルドの本部がある場所……55層に来ていた。どうやら次の層のボスを倒すための会議をするらしく、アスナは話を聞きながらも私を腕に抱いたまま撫でて来る。その途中、アスナが撫でながら聞いて居る事に不満を抱いたのか、1人の男が机を叩いて立ち上がる。

 

「アスナ様! 猫何かに構って居る暇は「黙りなさい」!」

 

 確か……あぁ、クラディールと言った筈。立ち上がったのはその人で言葉を言っている途中だったにも関わらず、アスナは鋭い睨みを効かせながらその容姿には似合いそうにも無い低い声でそれを遮った。余りにも突然の事からか、クラディールのみならずこの場に居る全員が息を飲んだのが分かる。何時もは笑顔で、真剣な時でも優しさを持つアスナ。だけどその声の中には明確に殺意のみが含まれていたのが誰にでも分かったからだ。

 

 クラディールは額に汗を掻きながら何も言わずに椅子に座る。アスナは何も無かったように私を再び撫で始め、どうしてかクラディールは私を睨んでくる始末。好きでこの位置に居る訳じゃ無いと言うのに、恨まれる筋合い何て無いのに。

 

 明日、ボスを倒す事で決定した様子。その後、各自今日は解散となったアスナは私を連れて真っ直ぐに家に向かって帰る事に。最初は攻略の鬼と呼ばれていたアスナだが、今では私の存在もあって随分と柔らかく見られている。勿論強さから鬼である事は変わって居ないが、それと同時に猫使い(キャットテイマー)何て呼ばれる様にもなった。アスナ自身は「ハクは家族で使うとかじゃ無いのに」と余り嬉しくは無い様子。

 

「今日は1度帰ったらリズのところに行くから、ハクはそれまで家に居てね?」

 

 私は唯一、1人になれる時間がある。それがアスナがリズの武具店に行く時。あの日、私はその時の思いに流されてリズの事を言ってしまった。そしてその結果、私はリズと合わせて貰えない様になってしまった。リズの場所に行く際には私を置いて行き、その間は首輪の効果まで発動していく徹底振り。初めて付けられた日は気絶してしまったが、それはアスナが慣れて居なかったから。使い方を上手くコントロール出来る様になったアスナは私が動けず、かと言って気絶しない絶妙の加減で私を拘束してくる。お蔭でその間、私はベッドの上で力無く倒れて居る事しか出来ない。

 

 アスナが笑顔で言ってメニューを弄る。猫の姿のまま歩いて居た私はもう慣れた脱力感に布団の上に力が抜け切る前に移動して倒れ伏す。と、「行ってきます」と言う言葉と共にアスナが部屋を後にした。そうして来るは何も無い静寂。今の私にはこんな静寂が唯一の安心であり、休憩であり、解放である。…………誰でも良い、私を……助けて。

 

【結城 明日菜『アスナ』 保護欲 MAX・癒欲 MAX・支配欲 MAX・独占欲 MAX】




風邪を引いてしまったらしく、熱が出てきた今日。次の投稿が数日間開いてしまうと思いますがご了承下さい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。