しばらくの時が経ち、私は猫のまま元に戻った部屋の中で座って居た。何時でも人の姿にはなれるけれど、でも人の姿になってしまえば確実に裸を晒すことになる。故に私は猫のまま、復活した白夜叉の話を聞いて居た。
先程まで血だまりに伏せて居たとは思えない重い雰囲気を出して会話をする白夜叉。魔王に挑めば十六夜以外は唯では済まないと言う忠告を終えた後、解散すると思いきや私に視線を向けて来た。結局の所、落ち着きはした物の私の事についてはまだ全員理解出来て居ない。それはつまり、ここからは私の話になると言う合図なのかも知れない。
「言いたいことは終わりじゃ。さて、お主に付いて聞きたいのじゃが……」
「それなら心配要らないわ。ね? 春日部さん」
「うん」
白夜叉が私を見ながら難しい顔をし始める。一瞬とは言え私の姿を見た故にそう簡単にサイズの合う服がある訳でも無く、人の姿になられれば同じ事の二の舞だと思ったのだろう。だけど飛鳥はそんな白夜叉の意を理解するとごく自然に言い放ち、耀に振ればそれに耀は頷いて私の元に近づいて来る。白夜叉も「そうだったの」と呟き、耀と私に視線を送り始めた。確か耀は動物と話が出来る。つまり私との会話は耀を通じてすればいいって事……だと思う。
『……ハク』
「? それは貴女の名前?」
私は試しに名乗って見る。と、耀は予想通り私の言葉を理解して返してくる。それに頷けば、耀は私を抱えて皆の元へ。私の名前を伝えた後、今度は飛鳥が私の目の前に自分の顔を寄せて私を見つめながら口を開いた。
「貴女は私達と一緒に落ちて来た。って事は貴女にもあの手紙が来たのかしら?」
『……手紙?』
「知らないみたい」
「違うのか。でも
最初にこの世界のあの湖に落ちた時、そう言えばそんな会話をして居た様な……気がする。あんまりあの時気にして居なかったせいで殆ど聞いて居なかった。でもその手紙とやらが十六夜達3人をこの世界に読んだ切っ掛けらしい。故に私はそれに首を横に振って否定する。と、黒ウサギが少しばかり顔を青くして「まさか事故か何かで巻き込んで……」と呟く。『自らの力で世界を超えた』、何て言った所で信じられるかは分からない。まぁ、色々と不思議な体験をして居る十六夜達なら信じるかも知れないけれど……言う必要は余り無いだろう。かと言って黒ウサギの様子から自分を責めだしそうな気がするのも間違いない。
『……黒ウサギは……悪く無い』
「で、ですがもしもそうならお猫様を無理やり呼んでしまった事に」
「私達も似た様な物よ。まぁ、自分で選択したのだけど」
黒ウサギの言葉に飛鳥が目を細めながらそう言った後、耀の腕から自分の腕へと私を運ばせた後に「困った様子は余りないわね」と私を見つめながら言う。確かに私は最初からここに来るために行動したため、黒ウサギの行動で困る事は無い。黒ウサギが勝手に自分を責めてしまって居るだけ。だから私は困って居ない事を伝え、再度黒ウサギは特に何も悪く無い事を伝える。耀からそれを聞き、黒ウサギは少し暗いながらも安心したような表情でようやく納得した。
「で? 俺達はさっき言った様にノーネームに入る訳だが、お前はどうする?」
『……行く場所……無い』
「ふむ。なら私と「ならノーネームで飼いましょ」……やはりの。そうなると思っておった」
白夜叉の言葉を遮る様に飛鳥が答え、それにいじける様に呟く白夜叉を尻目に他の3人が一斉に頷く。どうやら私はこれからノーネームで飼われる事になるらしい。……一応しっかり意識があったりはするのだけど、ペット扱いになってしまうのはどの世界でも猫の宿命なのだろう。アスナと違ってこの飼い主……黒ウサギ以外、不安しかないのは仕方が無い事だと思う。
桶が地面に当たる様な、そんな音が響きそうな大きな浴場。湯気の立つ暖かい空気の中、私はお湯の中に人の姿で浸かって居た。と言っても私は最初から猫だった訳では無いため、目の前で泳ぐ三毛猫の様に泳ぐことが出来ない。アスナと一緒に入って居た時も抱えられて居たし、リズとの時は人の姿だった。故に私は猫の姿の場合、抱えられたりしないとお風呂に入る事が出来ない。
お風呂に入ると言う事になった時、私は脱衣所で人の姿になった。飛鳥と耀は一度見て居る事からちょっと驚くだけだったけれど、黒ウサギは私の姿に目を見開いて驚いた後、真っ赤な顔で私なのかを聞いて来た。確か私がこの世界で人の姿になった唯一あの時、黒ウサギは十六夜を攻撃して居て一瞬しか見て居なかった。だからこその確認なんだろう。私はそれに頷いて答え、3人と一緒にお風呂の中へ。
目の前を優雅に泳ぐ三毛猫に私は今度、泳ぎを習おうかと思いながら上を見上げる。衰退したコミュニティらしいけれど、中々に大きな大浴場。前の世界ではこんな場所、見た記憶が無い。これが衰退した場所なら、あの世界は何だったのか。同じ様に死の概念はあれど、死を身近に感じず恐れない。世界の違いか、人の違いか……2年も居たからなのかも知れない。少し……慣れない。
「真っ白ね。髪から肌まで……正に
「自分で付けたの?」
「……飼い主」
「お猫様、やっぱり戻りたいのですか?」
黒ウサギが私の言葉に不安そうな顔で質問してくる。気にしなくて良いと言っても気にしてしまうあたり、随分自分を責めてしまう性格らしい。だから私はそれに「平気」とだけ返す。そもそも戻りたいと思った所で私にその手段は無い。最初から決められた世界に来ているだけなのだから。……でもあの世界に居た人達とまた会いたくないかと言われれば……会いたいのかも知れない。
そう言えば私は確かに猫だけれど、どうして黒ウサギは私を【お猫様】と呼ぶのだろう? 私は少し気になり、黒ウサギに質問する。と、暗かった表情を不思議そうな顔に変えて首を傾げて来た。『何を可笑しなことを』みたいな、そんな顔。
「今日初めて出会った時、お猫様だけがお三方を相手にする中で救いだったので。それだけです……可笑しいですか?」
「……大恩」
「月の兎は受けた恩には必ず報います。ハクさんが私の癒しとなって居るのなら、私はハクさんを癒してあげるのです!」
……嬉しいけど黒ウサギの言う癒しが非常に疲れる未来に行きつく様な気が安易に想像出来てしまう。でも彼女にあるのは恩を返したいと言う純粋な思いだけ。私はそれに唯お礼を言って上を見上げる。と、それは突然だった。泳いでいた三毛猫が最初に私の胸の前に姿を現し、三毛猫は前を見て居なかったのか私の胸に激突。身長の割に大きい胸に三毛猫の顔は挟まってしまった。
『お嬢では感じない柔らかさ!? っと。前を見て居なかった様で、すまにゃ……!!』
「三毛猫……覚悟」
『ま、待ちやお嬢! 振りかぶったらあかん! って、にゃぁぁぁぁ!』
三毛猫の言葉は私に聞こえると共に当然耀にも聞こえて居た。そしてその聞こえて居た内容の中に耀に取って気に入らない言葉が含まれていたのだろう。私の胸の前で謝る三毛猫の後ろ首を掴み、大きく前方の空高くへと放り投げた。女の子とは思えない威力で遥か高い天井に着きそうな位置まで飛ばされた三毛猫。今度は重力によって落下を開始し、今日2回目の高所からの落下を体験することに。少し可愛そうにも見えるけれど、胸に関しては気にする人が多いから仕方ない……多分。三毛猫、広い大浴場で良かった。狭かったら危ないから。
「小さいのに大きい」
「確かにお猫様、大きいですよね」
「そう言う貴女が一番断トツで大きいじゃない。まぁ、でもその身長にその胸は……不釣り合いね」
「……重いだけ……邪魔でしか、んっ!」
「羨ましい……少しで良いから分けて欲しい」
「無、理っ! んんっ!」
「感度良好な上触り心地も良い……癖になりそう」
三毛猫の言葉によって標的が私の胸になり、大きさを比べ始めた3人。大きい順に黒ウサギ、私、飛鳥、耀と言う順番。で、飛鳥が私の胸と身体を見て言うために思ったことを言えば伸びて来たのは耀の手。その手は迷いなく私の胸を掴み、それだけでなく揉み始めた。前の世界でもそう、私の身体は私の想像以上に敏感らしい。思わず出る声を塞ごうとした時、耀が少し楽しそうに笑って私の胸を今度は大きさなどを確かめるのではなく、私を感じさせる手つきで動かし始めた。
耀が揉みながら感想を言うと、今度は飛鳥が確かめる様に私に近づいて来る。間違いなくこのままでは2人に好き放題される。この場で頼れるのはもう黒ウサギだけ、と思って見て見れば……此方をチラチラ見ながらも自分は安全な場所に居る姿。受けた恩には返すってさっき言って居た筈なのに、どうやら今回の件に関しては完全な自衛に回るらしい。つまり救済は……無い。
次は今章初のR18要素。上手く出来ていると良いのですが……。
※原作は主になって居るものと言う事なので、【問題児たちが異世界から来るそうですよ?】に変更致しました。【Wolrd2】の終了次第、【色々】に戻す予定です。