※この作品はR-18です。

Escape! 猫の世界巡り   作:ウルハーツ

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尾行

 情報集めをしようにも人になれば絡まれるのが落ち。かと言って猫のままでは聞きたいことを聞く事も出来ない。こういう場合、私は本当に何をすれば良いのだろうか? 相手は分かるのに探す手段が無い。一体どうすれば……! そう、私を見つけて絡んで来る人とは当然話なんか出来ない。だけど私が意思を疎通できる猫である事を知って居る者が居る。あのフードの人だ。あの人を見つけて話を出来る様にすればきっと……と決まればあの人を探そう。アスナって人を見つけるよりも断然見つけやすい筈。

 

 気付けば既に空は茜色に染まって居た。ゲームの中にもしっかりと時間がある様で、きっと宿屋なども存在した上で皆そこに泊まるのだろう。私は今日、会議をして居たあの扇形の広い場所の椅子の下に入るとそこで静かに丸くなる。探しに行く気力は殆ど残って居ない。だけど今日の会話からまたここに集合する可能性は十分にある。となればここで我慢して1日でも時間をつぶすことが出来ればまた見つける事が出来る筈。

 

 夜になると吹いて居た風も徐々に冷たくなって来る。自らの毛で纏われた身体を小さくして出来る限りあったかくし、私はそのまま夜が明けるのを待ち続ける事にした。途中で眠くなれば寝てしまおう。出来る限り早く時間が過ぎてくれることを願いながら私は目を閉じた。……そして開いた時、何故か目の前は一瞬にして明るくなって居た。思わず椅子の下から出て周りを見渡せば既に朝、寝ていた? それは無い。一瞬だった、寝た気もして居ない。だけど徐々に人が集まり始めたこの場は、既に朝を迎えて居る様子。

 

 混乱していた私はその中に昨日見かけたフードの人と少年が一緒に居るのを見つける。と、急いでその場所にダッシュ。フードの人の足首に体当たりした。威力は弱いけれど、普通の人なら私の存在に気付くだろう。思った通り、フードの人は足に来た衝撃で下を向いて私を発見。「昨日の猫ちゃん」と言って私を持ち上げ始めた。

 

「懐いてるみたいだな」

 

「嬉しいけど私、養う余裕なんか無いよ」

 

 そう言って私を降ろすフードの人に私は急いでまた体当たりをする。懐いて居るとか言う問題では無く、貴女しか希望が無いんだと言う思いも込めて。だけどそんな思いが体当たりなどで伝わる筈も無く、『構ってほしい』と私が言って居ると取った様で「今だけだよ」と昨日同様に持ち上げられたまま一緒に話を聞く事になった。何でも昨日の会話、一層のボス攻略をこれから行うらしい。で、話を終えた後に出発する事になったこの人達。その中で聞いて居た男性陣がフードの人……の腕に居た私を見て「なんだその猫?」と質問。フードの人が説明を始めるけれど、どうやら今から行う事が大事な事故に私の存在と私を持って居るフードの人が余り気に食わないらしい。

 

「遊びに行くわけじゃないんだ、お前ら絶対に前に出ないで端で大人しく戦ってろ!」

 

 と言ってその場を去って行ってしまった。大事な事をし始める状況で猫の相手をして居るなどきっと言語道断な事なんだろう。私は少しばかり申し訳ないと思いながらもフードの人を見る。私は降ろされると「これから大事な事があるから、ごめんね」と言われてそのまま置いて行かれる事に。だけど今の私に出来る事はフードの人と意思の疎通をする事。どうにかして話をし、アスナと言う人を見つけなければいけない。私はすぐにその場から走り出すと去って行く彼らの姿を追う事にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大きな扉の前で集まり、リーダーの男性が「勝とうぜ!」と一言。その扉がゆっくりと開かれ始める。ここに来るまで、道中のモンスターは後を付けて来ていたために全部倒されて居て襲われる事は一切無かった。無事にここまで追いつく事が出来たけれど、雰囲気からしてフードの人の場所に行っても邪魔になりそうな気がする。だから私はとりあえず落ち着くまで開いた扉の目の前で待って居る事にした。

 

 中をのぞいてみれば小さな魔物とその親玉だと思う大きな魔物が立って居て、一斉に皆が攻撃を開始し始めて居た。フードの人は一緒に居た少年と小さな魔物を攻撃して居て、大きな魔物は他の人達に任せて居る様子。静かにそこで待って居た時、指示を出して居た男の人が前に出始める。そして攻撃をしようとして……少年の叫び声と同時に巨体に似合わない速度で動く魔物に攻撃された。大きく吹き飛ばされて扉の近くまで来た男の人、私は思わずその人に近づいて居た。

 

「ディアベル! お前、何で! !? どうしてここに!?」

 

 少年が急いで飛ばされてきたリーダーの人に話しかけると同時に私の存在に気付く。別れた筈の猫がこんな場所に居たら驚くのは当然かも知れない。だけど今は何となくそれ以上に大事な事がある気がして、私は徐に男の人の傍に近づく。男の人の身体の上にはどんどん減って行くバーがあって、それがHP。ゲームの中の体力なんだと分かるのに時間なんか必要なかった。きっとこれが無くなってしまったら最後、この人は死んでしまう。人が死ぬのを見るのは初めてだから分からないけれど、でもこの人が良い人で助けた方が良いと勝手に私は思って居た。そしてその思いに反応する様に私の足元が光始める。

 

 少年が驚く中、リーダーの人……ディアベルは少年に何かを言った後、私の存在に気付いて薄く笑った。何を勘違いしているのか、私をお迎えだと思っているみたい。だから私は聞こえないと思うけれど、猫のまま言葉を発してみる。『まだ来ちゃ駄目』と。するとディアベルは信じられない物を見た様な表情になってゆっくりと目を閉じ始めた。少年も同じように驚いているけれど、それは私の後にディアベルのHPバーを見ているから。赤で減り続けて居たそのバーがオレンジまで回復して止まっているから。

 

「お前一体……!?」

 

 少年が質問しようとするけど、その途中で大きな音が聞こえてすぐに振り返った。今ここでこんな状況が起きている現在でも、あの戦いは終わって居ない。今でも戦って居る人達が居て、私の事を考えて居る余裕は少年にはきっと無い。私自身も今の力についてさっぱり分からないけれど、それを考える前にここに居る人達を勝たせるべきだと思う。フードの人がやられちゃったら唯一の希望が消えてしまうから。

 

「考えるのは後か……アスナ!」

 

 私の事を後回しにして走り出した少年はフードの人に大きく叫んだ。で、フードの人は途中で並ぶように合流して行動を始める訳だけど……今聞き間違いで無ければフードの人に向かって【アスナ】と叫んだ様に聞こえた。ゲームで同じ名前の人は居ない筈。似た名前はあっても、普通登録できないのが常識だった筈。となれば……私の探し人は最初からフードの人? ……色々と手間が省けた気がしなくも無い。そしてこの場をどうにかして勝たせなきゃいけない理由が出来上がった訳でもある。

 

 少年は攻撃の途中で切られ、フードの人……アスナを下敷きにして大きく飛ばされる。HPバーはオレンジ色にまで減って、他の人達が加勢に入り始める中。私は急いで少年の元に。フードの人が少年同様に驚いて居るけれど、今は無視してさっきと同じ事をやって見る。少年のHPバーはすぐに緑になって、それに驚きながらも私にお礼を言うと2人はまた走り出した。その後はフードが取れたアスナと少年がコンビを組んで攻撃を仕掛けて、大きな魔物は倒されると同時に『congratulations!』と大きな文字が空中に浮く事になった。

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