助けてくれる気配の無い黒ウサギに絶望し、私はどうにかしてこの場から逃げようとする。だけど耀に続いて触ろうとして居た飛鳥は突然私に向かって『止まりなさい!』と一言。私の身体は一瞬にして硬直してしまう。操られている人達はこんな状態になってしまって居るのだろう。私の身体だと言うにも関わらず、私の言う事を一切聞いてくれる気配は無かった。
どうにかしよう。そう思った所で既に時は遅く、私の背後にピタリと手が接触した。そしてゆっくりと手が離れると今度は背中に1本の指が添えられ、下降し始める。背中を伝うその指に私は思わず声が出そうになるのを抑える。だけどそんな私の反応が面白かったのか、下げた指を今度は上へ。そしてまた下へと繰り返し始めた。それと同時に楽しそうに聞こえる微かな笑い声は紛れも無く飛鳥の物。と、私の横から水が流れて来る。それはそこで誰かが動いて居る証拠。顔などは動かせないため、目だけで見れば耀が私の前へと移動して居る光景が見えた。
「一応私達は飼い主。だから飼い主から逃げ様としたペットにはお仕置きが必要だと思う」
そう言って私に近づきながら笑う耀の顔。その顔に近い物を私は見た事がある。前の世界でリズがお風呂の時に見せて居た顔と同じ。本来こんな顔をしそうに無いにも関わらず、まるで人が変わった様に妖艶な笑顔を浮かべる耀。この後に起こそうとして居る行動も、したく無いのに理解出来てしまった。身体は動かない。目の前と背後にはあの時と同じ雰囲気を醸し出す2人。状況的に考えて逃げるのは不可能。
「……止め、ひぅ!」
「モチモチで滑々……凄い」
耀は私の目の前に立ち、私の胸を容赦なく揉みしだき始める。この身体になってからかは分からないけれど、かなり敏感な私は今現在湯船に浸かって居る事で血行が良くなって居る事もあり、余計に感じやすかった。
両手で私の胸を覆う様にして触れ、突起は避けながら揉まれ続ける。やがてその覆って居た手をゆっくりと手前へと引いて行き、耀は迷いなく摘んだ。当然乍らそこは胸の中で一番敏感な場所であり、私は声を上げてしまう。と、私の背後に当たって居た指が何時の間にか飛鳥の身体へと変わって居るのに気付いた。つまり今、私はピッタリ耀と飛鳥に挟まれているらしい。
「春日部さん、上手いわね。そう言う事、してたのかしら?」
「それは無い。友達も居なかったから……でも上手いなら良かった」
「……何も良く、んんっ!」
耀が胸から手を離して居た事で声を発した時、今度は背後から突然飛鳥が私の胸を掴んで来た。私の両腕を自分の脇で拘束しながら胸に手を回して来て居る為、動ける様になったところで完全に逃げる方法が無い。と、飛鳥はそれを理解したのか私への力による拘束を解除。私は動ける様になったけれど、耀の愛撫による脱力と物理的に拘束されているせいで力なく飛鳥に寄りかかるしか無い。
「春日部さんはもう胸を堪能したでしょ? だから次は私」
「うん。なら……下」
「! 駄「駄目何て言っても無駄よ」んあぁ!」
耀の言葉に今出来る本気で身を捩る、けれどそれは結局無駄でしか無かった。逃げようとする私の胸を鷲掴みする飛鳥。その行動に動けなくなった時、耀はもう私の秘部に手で触れて居た。軽く触れる程度ではあるけれど、その痺れは半端では無い。思わず身体が動いてしまい、それを逃げようとしたと勘違いした飛鳥がもっと強く揉んで来る。しかし耀はその一回触れた行為の後、自分の指を湯船から出して見つめて居た。その事が幸いし、悪循環には至らなかった。
「どうかしたの?」
「凄いヌルヌルだった。お風呂の水じゃない、違う物」
「ふ~ん。なるほどね……」
耀の言葉を聞いて意味深げな顔をする飛鳥。どう考えても私に取って良い事を考えて居る様子は無い。だけど私はそれ以上に頭の中が刺激のせいなのか、ふわふわし始めて居た。霧や靄が掛かった様に、意識が落ちて行くような……そんな気分。そこで私は何となく察しが付く。湯船の中でこんな事してたら、それは逆上せるに決まってる。
「? ハク?」
「え? ちょ! どうしたのよ!」
「お二方ともやり過ぎです! 完全に逆上せてしまって居ます! 早く湯船から出しましょう!」
既に私の身体に一切の力は入らなかった。私の状態に耀が気付き、飛鳥が焦り始める中。ようやく今の今まで助けずに見て居た黒ウサギが声を上げて私を湯船から出す様に言う。微かに聞こえる飛鳥達の謝罪の声を聞きながら、私は意識を失う事になった。
【久遠 飛鳥 変化欲 23/100・求知欲 15/100】
【春日部 耀 親和欲 38/100・求知欲 15/100】
目が覚めた時、私は知らない部屋に居た。ベッドの上で布団だけが被せられている状態。部屋の中に私以外に誰かが居る気配は無く、だけれど建物の中には複数の気配を感じる。どうやらここはノーネームの建物の中。子供達が住むと言う場所とは違う別館の一室なのだろう。……私は逆上せてしまい、ここまで運ばれたと見てまず間違いない。何も服を着て居ないのは最初からだから仕方ない。布団を被せてくれていただけ良かったのだろう。でも……2人からは少しばかり距離を取るべきかも知れない。
私は動ける様に猫の姿になると部屋から出る。ドアノブがあったりするけれど、猫の跳躍力ならそこにしがみつくのは簡単な事。長い廊下の様な場所を歩き続け、やがて私はとある1室から微かに漏れ出る光に気付く。中からは小さく声がするため、誰かが居るのはまず間違いない。私はその中を覗きこんでみた。そしてそこには黒ウサギが居た。……裸で。
「くぅ、んんっ! あんなの見たら、んっ! 興奮しない方が、ふぁ! 無理、ですよっ!」
片手を自分の胸に、片手を自分の秘部に付けて弄る黒ウサギの自慰する姿に私は驚いてしまう。どうやら浴場でのあの件が彼女に火を付けてしまったらしい。何となく清純と言うかしっかり者の黒ウサギでも、興奮してしまった様子。その証拠に黒ウサギの髪の色は今現在綺麗な桜色になって居る。
黒ウサギの髪は彼女曰く、感情が高ぶったりすると変化するらしい。お風呂の時にも確か桜色にはなって居たけれど、今でもなって居るのは今現在感情が高ぶって居る証拠。私のせいと言えば私のせいではあるけれど、元凶はあの2人な訳で……少し申し訳無いと思ってしまう。ここはそっとして
「ふぁ! ハク、さん!」
「!」
一瞬私の存在に気付かれたのかと思い、固まってしまう。だけど黒ウサギの様子は自慰に必死で今ここに居る私に気付いて居る様子は無かった。だけど私を呼ぶ行為は止めなくて……どうやら私の存在を所謂おかずにして行って居るらしい。と、あの慣れない感覚が私を襲う。
【問題児たちが異世界から来るそうですよ?】
【黒ウサギ 承認欲 12/100・養護欲 8/100・性欲 2/100】
……何時か来た時に満たさなければいけないと覚悟して居たけれど、まさか黒ウサギに【性欲】が出て来るとは夢にも思って居なかった。欲を満たさなければいけない私に取って、様々な欲が確かに大変ではある。だけどこの欲に関しては……どう埋めるべきなのだろうか。最初も2番目も、これから一緒に居れば満たせる物なのかも知れない。だけど最後のはどうするべきなのだろうか。
「ハクさん! ハクさん! んあぁぁ!」
確か最初、私は別の誰かを見作ろうなり探し出すなりして結ばせれば良いと思った記憶がある。だけど今この時に出て来る性欲とは間違いなくその捌け口が私に向いて居る物であり、他の人でどうにかなる物ではない様な気がしてならない。そう、『私でしか満たせない』と誰かに言われている様な……そんなタイミング。だけど私は出来る限り、そういう行為は避けて行きたい。だからこそ、どうにかして他の方法で満たすやり方を考える必要がある。
「はぁ……はぁ……ふぅ……」
どうやら黒ウサギの興奮は収まったらしい。それでも欲が消えて居ないと言う事は、今回だけでは無いと言う事。他の欲同様、満たしていく必要があると言う事。私は気付かれない様にその場を去ると目覚めた部屋へと足を向ける。新しく出来てしまった欲をどうやって満たすべきなのか……まずは考える時間が必要だから。