※この作品はR-18です。

Escape! 猫の世界巡り   作:ウルハーツ

5 / 66
共に

 大きな魔物は無事に倒されて無事に終わり……とは行かなかった。少年がベータテストの人だったとか色々と話が上がり始めて、少年が業とらしく演技を始めたりして、その場は静まった訳だけれど……私は一瞬にしてアスナに掻っ攫われて少年の元に一緒に連れて行かれた。私の力を、存在を知って居たのは少年とアスナと助けたディアベルだけ。他の人達は私の存在に気付いてすら居ないと思う。一応隠れて居たりはしたから。

 

「待って!」

 

 ……私を連れて来る必要性が感じないのだけれど、2人は会話を始める。少年の名前がキリトだったり、ソロだと限界があるから誘われたら断るなだとか。キリト自身は今回悪役を演じるみたいで、これを切欠にキリトはソロでやり続ける決意をして居る様子。心配そうにするアスナに背を向けて歩き始めたけれど、そこで突然その足を止めて振り返った。その目はアスナ……じゃ無くて私を見て居る。

 

「……その猫、普通の猫じゃない。NPCならその場から出れないし、魔物なら圏内には入れない。何よりあの力は異常だ」

 

 そんな忠告をして今度こそキリトは上に上がって行ってしまった。螺旋階段の途中だったからアスナとキリトの姿はきっと階段で見えにくい位置にあるんだと思う。で、結果として私の姿も見られて居ない。アスナはキリトを追っていった訳だけれど、それでキリトを敵の様に認識した人たちの元に戻るのは気が引けたみたい。何か宝石を取り出すと私を見ながらそれを使い始めた……けどアスナの姿が消えるだけで私は階段に落とされる。どう考えても置いて行かれた……。

 

 少し悲しくなりながらも私は階段を下りる。と、既に人はかなり少なくなっていた。多分、さっきのアスナ同様に帰って行ったんだと思う。だけどまだ帰って居ない人も居て、その1人にさっき助けたディアベルの姿もあった。どうやら目が覚めた様で、何かを探して居る様子。恐らく残って居る人はディアベルを信頼して仲間としてついて行こうとして居る人達だろう。一緒にその探し物を手伝って居た。

 

「? お、居た居た。おーい! 見つけたぞ!」

 

 気付くと目の前には1人の男性が。その男性が大きな声を上げて私を持ち上げると、一斉にこの場に残って居た人達が集まり始めた。そしてその中に居たディアベルに私を差し出しながら「こいつだろ?」と聞けば、私はディアベルに渡される。そしてディアベルは私の毛を触りながら、頷いて返した。

 

「マジで猫が……」

 

「あぁ、こいつは俺の命の恩人だ。確か、彼と一緒に居た少女が抱いて居た筈。置いて行かれたのか?」

 

 どうやら探して居たのは私だったらしい。一緒に帰ったとは思わなかったのだろうか? もしかすると駄目もとで探して居たのかも知れない。とにもかくにも聞かれた質問に私は頷き返す。と、ディアベルは驚いた様な表情をした後にアスナと同じ様に宝石を取り出した。さっきのアスナの行動からして、それを使えば消えるのだろう。そして使わない私は置いて行かれる。それに気付いた私は既に使用した人の元に飛び映る。驚かれるけれど、それと同時にその人はその場から消えて私だけが残された。そしてその光景にディアベルが察したように宝石をしまう。

 

「なるほど、転移結晶の効果が君には効かず、それで置いて行かれたのか」

 

 理解してくれた様で、私はそれに頷くとディアベルは残って居る数人に「俺は徒歩で帰ろう」と言い始める。で、やっぱりついて行こうとして居る様で「なら俺も」と何人かが一緒について行くことになった様子。私はそのままディアベルの頭の上に乗せられて街まで運んでもらう事になるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無事に街についた私はディアベルの頭から降りると低いながら頭を下に下げる動作をする。既に普通の猫と言う認識は無いみたいで、「命の恩人だからな! また何時でも頼ってくれ!」とディアベルは私の行動に答えた。意思の疎通がしっかりと出来て居る訳では無いけれど、頼れる人が出来た事は非常に心強い。力を聞いた人達が私を誘ってきていたから、また来る前に私はもう1度同じ動作を繰り返してから急いで路地裏に入る。そしてまずは整理することにした。

 

 【結城 明日菜『アスナ』】と言う存在がどのような姿をして居るのかを確認することが出来た。これは大きな進展であり、また私は既に接触している事から見つけ次第再び接触することは難しい事では無いと思う。

 

 謎の力については私も分からない。だけど分かる事は、願い思った相手の傷または体力を癒すことが出来る能力だと思う。正し所謂物理的な物だと思うから、今回のアスナに関する癒欲と言うのとは違うと思う。何と言うか……物理では無く精神だと思う。

 

 ディアベル。私を命の恩人と思ってくれている事から、困った時には助けてくれるかも知れない。意思の疎通は難しいけれど、知らない人に助けを求めるよりは高確率で助けてくれるだろう。けれど誰かの助けは当然乍ら極力は借りない方が良い。もしもの時に頼れる相手、とだけ思って置こう。

 

 ……一応の整理は完了した。なら次に行う事はやっぱりアスナ探しだと思う。どんなことがあろうと、結局私がする事は対象を見つけ出してその欲を叶える事。となればどこに行けば見つけられるだろうか……? そう言えば帰って来る途中、ディアベルとその仲間が話をして居た気がする。確か……一度開いた層は門(ゲート)と呼ばれる場所から次の層にワープできるとか。……多分これが一番。

 

 帰って来る途中、軽くではあるけれどディアベルが小さな食べ物をくれて居たので空腹はギリギリで満たされている。だから私は真っ直ぐにその門に向かって歩き出すことにした。何となくだけれど、広い場所のイメージがある。で、広い場所と言えばこの街には真ん中に石の作りで出来て居る変わった場所が存在している。ゲームなんかでああいう場所で何かをかざす場面が簡単に想像出来るから、可能性は高い。と決まればそこに向かおう。

 

 私は予想して居た場所に向かう。と、ディアベルが大きな声で「ボスは倒した! 1層はクリアしたぞ!」と大声を上げている姿が見えた。で、それを聞いて予想通りにどんどんワープしていく人たちの姿。ここで待って居ればきっと見つける事が出来ると思う。だから私は隅っこで街の人達を眺めて居る事にした。

 

 しばらく待って居た時、私の周辺は一瞬にして暗くなる。誰かが立って居るみたいで、見上げればそこに居たのは服屋(防具屋)の人。NPCと言えどこの世界で生きて居るから、盗みとかをすれば当然ながらこういう風に怒る事もある訳で、私は一瞬にして首元を掴まれて持ち上げられる。品物は見て分かる様に持って居ない。服は着たままこの姿になったから何処に消えているのかは私にも分からないけれど、着ている状態と恐らく一緒。で、そんな私にご立腹の人は私を叩こうとして……その手を突然来た別の人に止められる。

 

「その猫は私の猫なの。お金は払うから、解放してあげてくれないかしら?」

 

 助けてくれたのは他でも無いアスナだった。ゲームと言うのは複雑に思えて結構単純な事もあり、お金を払わないで居ればこんな風に怒る店の人もお金を渡されれば何も言わずに「毎度」と言って去って行ってしまう。生きて居る筈なのに、プログラムであると思い知らされる光景。何はともあれ私は助けて貰った。だからアスナに帰って来た時にディアベルにした様に頭を下げる。と、しゃがんでアスナは私を撫で始めた。

 

「転移結晶、まさか効かないとは思わなくて。置いて行っちゃってごめんね?」

 

 アスナの言葉に首を横に振れば「本当に頭良いのね」と言われてから持ち上げられる。どうやらアスナはまだこの層に留まっているらしく、まだ次の場所には行かない様子。私はフードの時同様に抱きかかえられたまま一緒に移動する事になった。

 

「キリト君が言ってたわね。あなたは普通の猫じゃないって。私もそう思う。……ペットシステム何か聞いた事無いけれど、もし良ければ私と一緒に来ない?」

 

 街の中を歩きながら私はそんな誘いを受ける。目的を果たす上でその対象の傍に居るのは一番行いやすい事の筈。だから私は少し考えた後、アスナの言葉に頷いて返した。と、笑顔になりながら「これからよろしくね」と言われる。だから私はその言葉に返す様に『よろしく、アスナ』と思い乍ら鳴いた。猫としての『にゃぁ』と言う声。どう考えてもそうとしか聞こえないその声だが、アスナは「へ?」と足を止めて驚いた様な顔で私を見る。だけどすぐに「気のせいよね」と言ってまた足を進めだした。こうして私は欲を満たす対称の傍に居られるようになった。




どうやら自分の説明不足によって誤解が生じてしまった様なので、この場で訂正させて頂きます。

SAO編は【ソードアート・オンライン】が舞台ではありますが、次の舞台になるALOには行きません。つまり今章の【デスゲームの世界で】は【アインクラッド編】であり、それが終わり次第一度終了します。

予定ではその後別の場所を行って後に戻って来る形となる……と考えて居ます。ネタバレだと思ったのですが、誤解させてしまった様ですので記させて頂きました。申し訳ありません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。