※この作品はR-18です。

闇影の軌跡 ー夜淫ー   作: 黒兎

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久々の更新
だって、本編が追い付かなかったんだもんっ‼︎
今話は本編の77話『戦士達の休息』の後の時系列です
オリ主(ゼダス)×オリヒロ(シルフィード)の絡みです


注意:タイトルにもある通り、今話はあくまで Ⅰ だ。エロい描写は少ないぞ。きっと

追記(2016/05/24):シルフィードの口調を全変更致しました(多分)


果つる事無き親愛のカタチ Ⅰ

「––––で、お前が来た訳だ」

 

 結社の執行者、No.Ⅱ《天帝》のゼダス・アインフェイトは夜更けにそう呟いた。

 己が強くなるべく、ゼダスが修行し、初日を終え、もうヘトヘトで寝室に辿り着いた頃、どうやら師匠、結社の使徒、番外にして《第零柱》のシーナ・ゼロ・フリスティアが一緒に寝る権を賭けて、クジを引かせたらしい。

 それを引いたのは三人。

 同じ学び舎に通っていて、ゼダスと恋人の様な関係なラウラ・S・アルゼイドとフィー・クラウゼル。

 そして、結社所属にして、ゼダスの剣を完全に身体に染み付かせている最強の弟子、シルフィード・アルトリア。

 そして、来たのが––––

 

「私では不服ですか?」

 

 –––シルフィード・アルトリア。一時間と少し前までは全身全霊を賭して殺し合った相手だ。

 普通なら、勝者と敗者が同部屋と言うのは気不味いし、それ以前に色々な確執があったから、一緒に寝るのは神経図太い奴らの特権なのだろう。

 が、侮る無かれ。

 この二人に限って、そんな事で離れる訳が無い。

 

「そんなこと無いよ。寧ろ、お前で良かった。––––少し話したい事も有ったしな」

 

 引かれてある二つの敷布団の一つに座っているゼダスはポンポンともう一つの敷布団を叩く。

 座れとの合図だろう。

 逆らう必要性を感じず、シルフィードは流れる様な動作で座る。正座で。

 

「話したい事、とは?」

「あー………改めて言うのは恥ずかしい限りなんだが………」

 

 バツが悪そうにするゼダスにシルフィードは、

 

「何なのです? そんな、曖昧な態度でよくも『話したい事がある』と言えたものですね」

 

 とオブラートに包まずに悪態を吐く。

 それにゼダスはううっと唸った後、観念したのか覚悟をしたのかと口を開く。

 

「あの………その………おかえり。それだけは言って置きたかった」

 

 暗闇の和装寝室の中でも、ゼダスの顔が紅くなっていくのがシルフィードの碧眼には映っていた。

 それは彼が見せる数少ない“照れ”である。

 発せられた言葉にシルフィードは一瞬、理解が追いつかずに眼を白黒させていたが、脳内整理が付いたのか、フッと微笑み、はにかんで言った。

 

「ああ、ただいま。あんな血濡れた再会でも––––再び会えて良かった」

 

 ……酷く良けなかった。シルフィードのその反応は。

 聞いた言葉は無言でゼダスを突き動かす。

 シルフィードの両肩をガッチリ掴み、力任せに敷布団に押し付けたのだ。

 

「…………ゼダス?」

 

 恐怖が滲んだ声で尋ねるシルフィード。しかし、ゼダスは口を開かない。

 元が美人に加え、着物と言う衣装ステータス。しかも、灯りが月光だけな事が相成り、押し倒されているシルフィードは艶やかで、とても美しく見えた。

 そんなシルフィードを確認した後、意を決した様にゼダスは言葉を紡ぐ。

 

「……悪い。もう、耐え切れない」

「?」

「ああ、もう……こんな鈍感野郎よりも鈍感とか、どうかしてるぜ……」

 

 一度、深い溜息を吐いた後、シルフィードを押し倒しているが故、覆い被さる形となっているゼダスは、先程と比べものにならない位に顔を紅潮させ、叫びに近い声で言う。

 

「初恋の相手(・・・・・)がこんなに綺麗な姿ではにかんだら、幾ら何でも普通に耐え切れる訳が無いだろうがッ‼︎」

 

 ゼダスが記憶している中で、シルフィードは初恋の相手……と断定は出来なくても、それに類する者であるとは思っている。

 だからこそ、シルフィードがこの寝室に訪れた瞬間に己を律した––––つもりだった。

 だが、本能的に抑え切れなくなっていたのだ。

 

 

 ––––綺麗だ

 

 

 ––––美しい

 

 

 そして、最終的に––––抱きたい、とも思ってしまう。

 

 だが、そういった関係になる訳にはいかないと冷静に語り掛ける己も居た。

 本来ならば、師匠と弟子という関係だ。

 そこに男女の差別は無く、ただ純粋に強さを求め続けるだけの関係。

 なのに、そんな関係に不純な動機を持ち込んで良いのだろうか?

 その葛藤をシルフィードは見透かしたのか、押し倒された体勢のままで、苦悩の表情を見せるゼダスの顔に両手を差し出した。

 シルフィードの熱はゼダスの理性を復活させるのに十分だった。

 

「………悪い。ちょっと、感情的になった」

 

 頬に添えられた手を優しく払い、ゼダスは体勢を整えようとするが、次に驚きの行動を取ったのはシルフィード。

 払われた手をゼダスの背後に回し、身体を抱き寄せたのだ。

 なまじ体勢を戻し掛けていたから、急な重心変化で体勢は安易に崩れ去る。

 完全にゼダスがシルフィードに覆い被さる形を越え––––お互いの身体が所々密着している。

 服越しに感じる仄かな暖かみ。

 これが––––ゼダスが求めていた『心の暖かさ』。

 

「ぁ……」

 

 理解が及ぶと分かった。

 ゼダスの心に宿る氷の様な部分が、この熱で僅かばかり溶かされていく事に。

 

「分かりましたか? 何故、私がこうしたか」

「俺に……伝えたかったのか?」

 

 二年前の告白を。

 ゼダスが『お前の暖かさに憧れた』と。

 だからこそ、シルフィードは“こう”いった形で証明したかった。

 

 

 ––––あの時の言葉は忘れていない、と。

 

 

 例え、一度死んだ身だとしても。

 そして、復活させてくれた者から“贋作”と言われても。

 それだけは証明したかった。何が何でも。

 別に彼に認められなくても良い。

 それでも––––内に燃ゆる想いを伝えたい。

 

「ああ、勿論です」

 

 ならば、もう止まる必要は無い。必要性を感じない。

 

「私はゼダスが好きです。それは二年前から一度も揺らいでいない」

「それは……」

「分かっています。今のゼダスには愛する者が二人も居るのでしょう」

 

 告白に答えが淀むゼダスの事情を察し、シルフィードは問いかける。

 愛する二人––––言わずもがな、ラウラとフィーの事だ。

 戦闘中に思わず言ったから、気付いていたのだろう。

 

「………知ってるんなら、良いだろ。離してくれ。これじゃあ………彼奴らを裏切る事になる」

「そこで“不倫”と明確に言わない所がゼダスらしいですね」

 

 抱き合う体勢の為、互いの表情を見るには叶わないが、今のシルフィードは絶対に苦笑しているに違いない。

 そんな表情されて、ゼダスとしては面白い訳が無いのだが、発した言葉を利用して、状況を斬り崩しに掛かる。

 

「そこまで分かってるんなら離せ」

「嫌です」

「何でだ?」

「嫉妬しているから」

「嫉妬?」

「ああ………だって、酷い話でしょう? 時系列的には、私が一番最初にゼダスへの想いを打ち明けた訳です。だが、保留にされている」

「まぁ、状況が状況だったしな。加え、あの時は膨大な喪失感で気が狂いそうになったんだ。仕方無いだろ」

「別に咎めるつもりはありません。ですが、後から来たラウラとフィー(ヤツら)にゼダスを盗られるのだけは、どうにも納得出来ない」

 

 シルフィードがそう言いたくなるのは、考えてみれば当然の事だった。

 自分は死という生物学上の最期の別れに意を決しての告白だった訳だ。が、保留された上、知らず知らずの内に眼の前から消え去っていた。

 なのに、再開した時には他の恋人持ち。しかも、二人も。

 そりゃあ、不満不平を言いたくなる。

 

「……じゃあ、どうしろって言うんだ?」

 

 嫉妬の理由に理解が及び、ゼダスは問う。

 最悪の場合は二人を裏切れ、と言うつもりだろう。

 ならば、断るしか無い––––と腹積りをした瞬間、シルフィードの言葉は予想の90度上に行った。

 

「私を抱け」

「………………は?」

 

 全く理解出来ないその言葉。故にゼダスは答えにならない素っ頓狂な声を出してしまった。

 何故そうなる。何がどうなった。

 考えれば考えるほどに思考の迷宮へと堕ちていく中、シルフィードは言葉を重ねる。

 

「今のゼダスには恋人が二人も居ます。ならば、今更三人になっても大して変わりません」

「いやいや、ちょっと待てッ‼︎」

 

 もう形振り構ってられるかッ‼︎

 ゼダスはシルフィードの腕を解き、身を起こす。

 

「よく考えてみろよ。普通、男一人に女二人なんてカップルが普通に成立して堪るかッ‼︎」

「だが、成立しているではないですか」

「って事は、普通に考えて何らかしらの事情があるって思うだろッ‼︎」

「何らかしらの事情って何だ?」

「そ、それは………」

 

 言葉に詰まるゼダス。

 あの時から早一週間と少しが経っていて、そこから特段と変わった事は無いといえ、肉体関係が発展して出来た恋愛関係だ。

 それを真面目に答えたら、どうなるか。少し考えれば余裕だ。

 先ほどの言葉を紐解くに、『確実に抱け』と言ってくるに違いない。それだけは––––本気で止めて欲しい。

 さっき押し倒した時に芽生えていた“欲”を無理強いして抑え込んだと言うのに完全に解放し切る未来が見えるのだから。

 

「……隠さなくても分かっています」

「ぇ……」

「あの二人は既にゼダスのモノになっているのでしょう」

 

 ……色々とぶっ飛んだ答えだが、ほぼ狂い無い答えにゼダスは明らかな動揺を隠せない。

 

「あの二人の頑なな態度を見れば、一目瞭然です。何かしらの大きな関係を抱えているに違いない」

 

 シルフィードは知っている。

 ゼダスという人物は、異常なまでに色々な物を抱え込む事を。

 それは苦難のみならず、数少ない幸福も。

 そんな受け身なゼダスに何が何でも譲る気の見せないラウラとフィー。

 ここまで来れば、恋人という関係に普通では無い何か––––少なくとも、ゼダスから突っ張る事の出来ない何かが絡んでいるのは自明の理。

 

「まぁ、ゼダスが一時の欲で呑まれる様な奴では無いのは知っていますが………多分、二人掛かりで襲われたのでしょう。一度、既成事実を作ってしまえば、簡単には逃げれないのだから」

「………………………仰る通りです」

 

 そこまで言い当てられれば、隠す方が恥ずかしい限りだ。

 だから、沈黙の後に肯定。これがゼダスが取れる最善にして、唯一の一手だった。

 だが、男が女に弱味を見せるという一点においては実に不味い一手だったりするのだが。

 肯定にシルフィードは倒れたままに口角を吊り上げる。

 その表情は非常に嫌な事を考えている様に思え、ゼダスは不意に状況の確認をし始めてしまった。

 先ほど、シルフィードの腕を解き払ったのは良いが、そこからゼダスは一切体勢を切り替えていない。

 つまり、今ゼダスはシルフィードの身体に馬乗りしている状態という事で––––………

 

「ようやく気付きましたか?」

 

 まさに思考の先読み。

 シルフィードの笑みの真意を理解出来た気がした瞬間に声が掛かった。

 そして、次の瞬間にトドメを刺しに入る。

 何と着物の折り重なる部分––––つまり、胸元付近を右手の人差し指で少し引っ張ったのだ。

 そこから覗くは純白に近い程に綺麗な柔肌。初夏という事も相成り、薄っすらと汗が浮かんでいるのが余計に扇情さを際立たせる。

 その姿と行動は爆発寸前のゼダスに対する特攻起爆剤としては充分過ぎて––––

 

「どれだけ口で逃げようとも構いません。しかも、今なら逃げれるでしょう?早く逃げたらどうです?」

 

 逃げれない事を理解しての煽り。隠すつもりは一切無いらしい。

 しかし、ゼダスは身体を動かさない。否、動かせない。

 今、身体を動かそうものならば、確実にシルフィードを襲ってしまう。それが肌身を以って実感出来る段階までに欲への耐性が霧散してしまっている。これは由々しき事態だ。

 何としてでも状況を打開するならば、今はジッと耐える他無い。

 一切身を動かさず、心を律し、縛り、落ち着きを得る。せめて、それを成し得るまではあらゆる行動を“愚策”と言わざるを得ない。

 しかし、その一手はシルフィードにとっても予想出来た在り来たりな物。つまり、反撃の一手はもう仕組んである。

 解かれた腕を再びゼダスの背後に回す。

 さっきと同じ様に解かねばならないのは理解出来ても、動いてはいけない事も理解出来ている。

 だから、ゼダスは抵抗もままならずにシルフィードに再び抱き寄せられた––––だけなら、本当に良かった。

 成すがままに倒れ込んだゼダスの唇とシルフィードの唇が重なった。

 

「………ッ⁉︎」

 

 予期せぬ感触にゼダスは紫の瞳を見開く。

 が、たかが普通の接吻(キス)程度でシルフィードは止まらない。

 ゼダスを貪る様に口を動かし、中に舌を突っ込んだのだ。

 絡み合う互いの舌。

 二人の唾液は舌を伝って絡み合い、クチュクチュと卑しい音を立てる。

 そこから数分は舌を一方的に絡められていた。名残惜しそうにシルフィードが唇を離すと、二人の間にはツーっとだらしない液が糸を引いていた。

 

「………」

 

 無言で惚け顔を見せるシルフィードは何処となく、してやったりの表情に見えた。

 同時に頭の中で何かが音を立てて、プツンと切れたのも理解出来た。

 瞬間、酷く喉が渇く。カラッカラで求めるは水分。

 そして、一番近くにある水分は––––

 

「ようやくその気になりましたか」

 

 ––––シルフィードの唇。

 さっきの一幕とは違い、今回はゼダスからがっつきに行った。

 その行動にシルフィードは抵抗を見せずに身を委ねる。

 舌から伝うのは、“快楽”。

 してはいけない行為だと自分でも分かっているのにゼダスは止まれない。

 微かに鼻腔を擽るシルフィードの匂いは、さっき風呂に入っていたからか、石鹸に似た匂いだ。

 

「ん………んぁっ………本当に“獣”ですね、これでは」

 

 長い間、接吻し、ゼダスはようやく身を離した。

 先ほどと同じく、シルフィードは布団に身を預けた状態だった為、二人の愛の糸は口元を離れ、シルフィードの顔へと落ちた。

 唾液は頬を伝い、布団の一角に落ちる。

 

「フフッ………どうしますゼダス? これではあの二人を裏切る事になるのでは?」

「………………罠を張った奴が得意げに話すんじゃねぇ」

 

 いつも通りの口調を繕うゼダスだが、今は何とか欲を自制出来ているだけで、少しでも刺激を加えられたら、またもや爆発するのは自明の理。

 ならば、離れる他無い。

 色んな意味で限界寸前の身体を動かし、部屋を区切っている襖を手に掛け、まずは距離を取ろうとするが––––

 

「マジか………」

 

 ––––まさか、部屋ごと隔離されてるとは思わなかった。

 多分、部屋分けを絶対的な物にする為にシーナが空間隔絶の魔術を掛けたのだろう。

 無駄な所で気が利いている。割と本気で。

 

「この部屋が独立しているのはシーナ卿から聞かされていました。だから、ゼダスを今夜限りは私が一人占め出来る訳です」

「………だから、あんな事をしたのか?」

「そうかも知れないし、そうではないかも知れません。………まぁ、今夜襲うのは決定事項だったのですし、非常に都合が良かったですが」

 

 シルフィードも身を起こしつつ、そう言い張る。

 そして、隔絶の先にある暗黒を見つめていたゼダスに背後から抱き付いた。

 お世辞にも大きいとは言えない二つの膨らみが背中に押し当てられ、今さっき封じた欲がまたもや解放。

 だが、一気に襲う様な事はせず、ゼダスは問う。

 

「あのさ………聞いても分かり切った答えが返ってくるのが知ってるけど、何してんの?」

「何って、抱き付いているのですが」

「うん、知ってる。でも、そういった答えが聞きたいんじゃないんだ」

「それじゃあ、こう言って欲しいのですか?」

 

 表情を伺うに叶わないが、声音から察するにきっと笑いを堪えてるに違いない。

 そんな推測が成り立つ状態なシルフィードは、背後からゼダスの耳元にソッと囁く。

 

「––––師匠(ゼダス)に夜戦の特別授業をして欲しい、とか?」

「ッ‼︎」

 

 その一言にゼダスはビクンッと身体を跳ね除けさせる。

 今、そういった甘言を唆すのは非常に面倒で––––そして、もう駄目。何度目か分からないが………本当の本当にもう自制出来ない。

 ゼダスは回された腕を解き、シルフィードの肩をガチッと掴む。

 そして、シルフィードの碧眼をゼダスは紫眼で覗き込んだ。

 視線が交錯し合う時間が一秒一秒経つにつれ、加速度的に思考が溶かされていくのを実感する。

 

「ごめん」

 

 誰の、何に対してか分からない謝罪にシルフィードは首を傾げる。

 正直なところ、言った本人も誰への謝罪かは定かでは無いが––––きっと愛し、愛してくれた二人への物なのだろう。

 ゼダスはシルフィードの肩を掴んだまま、最寄の壁へと押し付ける。別に力を加えていた訳でも無いから、シルフィードも焦る様子は見せなかった。

 

「今、ここは隔離された空間だ。それは分かってるな?」

「勿論です。で、何が言いたい?」

「それじゃあ、俺がお前の隅々に至るまで犯し切っても今晩限りはバレない訳だよな?」

「まぁ、そういう事になる––––ッ‼︎」

 

 シルフィードは言葉の途中で言い淀む。それには明確な理由があった。

 ゼダスが––––シルフィードの片方の乳房に指を沈み込ませたからだ。

 手の平も当て、ゼダスはシルフィードの乳房を揉みしだき始める。

 丁度、手の平サイズの大きさで、揉む度に内側からせり上げる弾力が手を伝う。

 

「うぁ………」

 

 情けない声を出すはゼダス。

 どう考えても、男性体では感じる事の出来ない官能的な感触はゼダスの理性を再生させる暇を少しばかりも与えない。

 

「ん……ふぅ、あっ……ッ‼︎」

 

 ゼダスの手から流れてくる熱は、シルフィードの中から“快楽”を齎していた。

 愛した者が、自分に興味を持ち、こうやって自分だけを見てくれる。

 今まで求めて来て、寸での所で手にする事の出来なかった“願望”。

 例え、それが今夜限りの蝉の命の如く、短い泡沫の夢だとしても。

 せめて、今だけは。彼に身を委ね、欲望のままに蹂躙されても良いかも知れない。

 ………というか、それこそが望んでいた事なのだ。

 ならば、悩む必要は無い。

 ただ、彼が欲望に忠実に動く様に紐解いてあげるだけの話だ。

 未だに乳房を弄ばれるシルフィードは痺れる思考の中、手を動かし、ゼダスのある部分に触れた。

 絶対に女性体に無いモノ。下腹部に存在する硬く熱いブツ。

 そこにシルフィードは指を這わせ、確認する。

 

「(コッチの方は………準備万端ですか)」

 

 今は衣服を着けている為、視認で確かめる事は出来ないが、感触で分かる。

 今頃、衣服の中で爆ぜ狂う寸前なのだろう。今の今まで我慢してきたのが手に取る様に分かる。

 あの二人と関係を持ってから、どれだけの時間を禁欲生活に捧げてきたもだろう? と思う位にギリギリの状態だ。

 

「––––なぁ、ゼダス。もう一度、言おう」

 

 一心不乱に揉みしだくゼダスにシルフィードは喘ぎ声を上げそうになるが、今だけは我慢して言う。

 

「私はゼダスを愛している。この世の何よりも」

 

 世界の全てとゼダス一人を天秤に掛けても、シルフィードは必ずゼダスを選ぶ。

 それだけは胸を張って、自信気に言える。

 だからこそ––––

 

「だからこそ、私はゼダスに抱いて欲しい。私だけを見ていて欲しい」

 

 ––––他の誰にも愛おしい彼を渡さない。

 明確な意志が存在するその瞳………それにゼダスは惹かれた。

 出会った当初は、『俺が弟子? 何の冗談だ、それは』と思っていた。

 現に弟子たるシルフィードに教えれた事など、殆ど無かったし、寧ろ教えられた事の方が多い。

 剣術にしろ、マトモな暮らしにしろ、初恋にしろ………挙げればキリの無い程の物をシルフィードからは貰った。どれだけ感謝しても足りない位に。

 ならば、もうこれ以上、何かを貰うのは気が引ける。

 しかし、彼女が求めるモノと自分が求めるモノ。それが全て、同じ道に在するのならば、一緒に歩いて良いのか?

 ただでさえ、世界から見れば矮小極まりない少年の両肩には、背負いきれない程の責任がのし掛かっているのに。

 その苦しみさえも、彼女と共有して良いのだろうか?

 

「こんな………俺で良いのか?」

 

 本の少しだけ、意識を戻したゼダスは不安そうに問う。

 だが、それにシルフィードは、

 

「別に良いさ。ただ、私が愛した男がそんなに弱気発言では困るのだが。ゼダスなら––––私の全てを背負い込む事位、造作も無いでしょう?」

「俺はそんなに大逸れた人間じゃない。けど………」

 

 再三、ゼダスはシルフィードの碧眼を覗き込む。

 そして、互いの関係を更新し、後戻り出来ない物とする一言を発した。

 

 

 

「––––俺はお前も責任を取ってやりたい。だから………今夜だけでも抱かせてくれ。お願いだ」

 

 

 

 その言葉にシルフィードは––––

 

 

 

「––––その一言が聞きたかった」

 

 

 と、微笑んで答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




結論:尺が微妙だった。一話にすれば長くなるし、二話にすれば微妙。でも何とかなるでしょ(適当


………次話はもうちょっとエロイスティックに頑張ります………


追記:活動報告にて、タイトル募集中です
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