百合がピンクのパジャマに着替えて自室に戻ると、そこには青いパジャマを着て座っている健太がいた。
「あ、百合ちゃん! もう、お風呂長すぎだよ~!」
彼女の使っているドライヤーが出ていないのを見るに、健太は自分の部屋で髪を乾かしてきたのだろう。
あるいは、髪を洗う前に出てしまったから、乾かすこと自体していないのかもしれない。
どちらにせよ、百合が戻ってくるのをここで健気に待っていたことには違いない。
(なんだか、犬かなにかみたいだなあ)
それから、部屋に鍵をかけないでおいてよかった、とも思う百合。
「ごめんね。ほら、わたしの髪って長いから、洗うのにどうしても時間がかかっちゃって」
そう形だけの謝罪をしながらタンスからドライヤーを取り出し、百合はカーペットの上に腰を下ろす。
そうしてスイッチをオンにし、温風を髪に当てた。
当然のことではあるのだが、百合の長い髪は乾かすのにも時間がかかる。
一応、ここに来るまでの間にタオルで拭いてはいたものの、それで湿り気が完全に取れるはずもなく。
だから、かまってほしそうにしている少年の相手をしてやることはできず、また、ドライヤーの音のせいで会話も満足にはしてあげられなかった。
もちろん、それに健太は不満顔。
きっと、百合の関心を惹くことができない現状に、ちょっとした面白くなさを感じているのだろう。
そんな少年のために、少女は一度ドライヤーのスイッチをオフにして、左手でポンポンと自らの膝――否、座る際に横に揃えた太ももを軽く叩いてみせた。
「健太くん。ほら、ひざまくらしてあげる」
「え? いいの? 百合ちゃん、いま髪乾かしてるのに」
「うん、これくらいなら大丈夫。――ほら、遠慮しないで、おいで?」
再度ポンポンとやり、健太を促す百合。
それに少年は「本当!? わ~いっ!」と歓声をあげて、飛びつくように太ももへと頭を乗せてきた。……なにを勘違いしたのか、うつ伏せに。
「健太くん、そうじゃなくて。ほら、あお向けになって?」
少女が困り笑顔でそう言うと、健太は「は~い!」と素直に身体を回転させる。
パジャマの薄い生地越しに行われたその動きに、少しばかりのくすぐったさを覚えてしまう百合。
だが、特に気にするほどのものでもない。健太に笑顔を向けたまま、再びドライヤーのスイッチをオンにする。
「えへへ~っ、えへへ~っ」
ゴロゴロと太ももの上を転がる健太と、パジャマ越しに少年の唇の感触を感じる百合。
それにくすぐったさを覚えながら、彼女は苦笑混じりに健太の行動をたしなめる。
「あんまり動いちゃだめだよ? ほら、大人しく大人しく」
「ええ~っ。そんなのつまらな~いっ!」
健太の動きは止まらない。
ゴロゴロと膝のほうまで転がって。
落ちそうになるギリギリのところまで行くと、今度は百合のほうへと戻ってくる。
それを微笑ましい気持ちで見守りながら、百合は優しく文句を言った。
「もう、くすぐったいって。あんまり動いちゃ、だぁ~めっ」
「聞こえな~いっ、聞こえな~いっ!」
聞こえていることが丸分かりな返事をしながら、健太はゴロゴロと百合のほうへと頭を転がしてくる。
そして少年の頭は、どんどんどんどん百合のほうへと近づいてきて――
「――ひゃっ!? け、健太くんっ……?」
うつ伏せになったその顔が、百合の股間にちょうど収まった。
もちろん、彼が意図してやったことではないのだろう。
だから少女には、戸惑った声をあげることしかできなかった。
パジャマの薄い生地と、その下に穿いているショーツ。
その二枚の護りを
彼の口が、百合のもっとも恥ずかしい場所のすぐ近くに迫っていた。
「…………」
「…………」
健太は、なぜかそこから動かない。
百合も、どうしてか動けない。
ただただ、ドライヤーが温風を吐き出す音だけが室内に響いていた。
「えっと、あの……健太、くん……。そ、そこ……どいてくれる、かな?」
「う、うん……」
膝のほうへゴロリと転がり、健太が真っ赤になった顔を見せる。
それから少年は、目を百合のほうから逸らして、一言。
「あっ……。また、大きくなっちゃってる……」
その言葉に、百合もつい健太の股間に目をやってしまった。
そこには確かに、小さな青いテントができている。
「あ、うん、そうだね……。大きく、なっちゃってる……」
「け、けど……! 別に恥ずかしがることじゃ、ないんだよね? 普通のこと、なんだよね……?」
すがるような健太の声。
それに百合は、迷うことなく肯定の言葉を返してあげた。
もちろん、自分の覚えている恥ずかしさを、必死に、必死に押し殺して。
「そ、そうだよ。健康な男の子だったら、普通で、自然で、そうなって、当たり前……。だ、だから、恥ずかしがらなくて……いいんだよ。――ね? ほら、気にしないで?」
「う、うん。わかった。気に、しない……」
だがそれでも、そうあっさりと吹っ切れるものでもないのだろう。
百合のほうを見ようとせず、はしゃいでゴロゴロと転がることもせず。
健太はただ、なにごとかを考えるように押し黙った。
そして、一体どういう結論に至ったのか。
少年は、百合の太ももに人差し指を当てて。
ついっと、あまりにも唐突にその指を滑らせてきた。
「――ひゃうっ!?」
敏感な百合は、当然それにビクッと反応してしまう。
「け、健太くん? いきなりなにを――ひぅんっ!?」
「百合ちゃんの脚、パジャマのズボン越しでもすべすべしてるね……」
「そ、そう?」
「うん……」
生返事にも近い、健太の返答。
「で、でも、だからって――んっ! そんなふうに、なぞっちゃっ……!」
「うん……」
「『うん』じゃなくて、ね? ――ひうっ!」
「うん……」
「だから――うぅんっ……! け、健太くぅんっ……!」
切なげな色を帯びてきた少女の声に、ようやく『うん』以外の言葉が返ってくる。
「おっぱい触ってるわけじゃ、ないし……」
「それは、そうだけど……でも――はっ、あっ!」
ゾクッとして、危うくドライヤーを取り落としそうになった。
だが少年はそんな百合にかまわず、一心不乱に人差し指を動かしてくる。
「やっ、あっ! 健太くん、ちょっと、やめてっ……!」
「……やだ。おっぱい触ってるわけじゃ、ないもん」
太もものラインに沿って指を這わされるたび、なぞられるたび、少女の身体はビクビク跳ねる。
「――んっ! くっ……! や、もう、それっ……!」
「それ? 『それ』って、なに?」
敏感に反応を示す百合に、あるいはその声に興奮しているのだろう。
問うてくる健太の青いテントは、先ほどよりもずっと大きくなっていた。
「ふっ、くっ、んんっ……!」
「百合ちゃん、お魚みたいに跳ねてる……。なんか、面白い……」
――面白い。
その言葉を聞いて、百合はなにが健太を楽しませているのかを理解した。
自分が指を這わせると、それに合わせて百合が反応する。ビクビクと身体を震わせる。
それを少年は、たまらなく面白く感じているのだろう。
(だ、だったらっ……)
だったら、健太の指の動きに、百合が一切反応しなければ。
「……っ……はっ、んっ……っ……くっ……」
幸い、太ももへの刺激には少しずつ慣れてきている。
特に声も出さず、身体も動かさず、髪を乾かすことだけに集中していれば。
そうすれば健太はこの行為に飽きて、すぐにやめてくれることだろう。
「……ふっ、んっ……んんっ……っ……」
「むぅ……。ねえ、百合ちゃん」
『なに?』と口を開かせたところで指の動きを速め、百合から声を引き出すつもりでいるのだろうか。
だが、さすがの彼女もそんな手には引っかからない。
「百合ちゃん。ねえ、百合ちゃんってばぁっ!」
少し心が痛まないでもなかったが、それでも百合は口を閉じたまま健太の呼びかけを無視し続けた。
それが少年の行為をエスカレートさせることに繋がるとは、思いもせずに。
「あ~、聞こえないふりしてる~。だったら……――こうだぁっ!」
「――ひゃんっ!? あっ、そ、そこはっ……!」
無邪気なかけ声と共に少年の指が触れてきたのは、脚の内側。
外側よりもさらに敏感な、内ももだった。
「待って、そこっ――はううっ……!」
太ももの間に差し入れられた健太の指が動かされる。
「だっ、だめっ! そんなところ、手、入れちゃ――あぁんっ!」
秘部に近いところを、何度も往復して刺激される。
「待って! だめだよ、健太くんっ! 健太くぅんっ……!」
こんなことをされては、少年の指の動きを無視して髪を乾かし続けることなど、できるはずもない。
「――ひうっ! やめてぇっ、それ、やめてえぇっ……!」
百合はドライヤーを放り出し、内ももで健太の指を挟んでその動きを止めようと試みるも、
「あんっ……! や、だめ、だめっ……モゾモゾさせるの、だめ――ふぁあんっ!」
と、なんとも無駄な抵抗に終わってしまう。
ならばせめて、
「降参っ! もう降参っ! ――んんっ! だからもう、そこから手、どけてぇっ……!」
せめて少年の指が恥部に触れる前に、と考えて、百合は白旗を上げることにした。
むろん、彼女の反応をこそ面白がっている健太を相手に、すぐさま『参りました』宣言を受け入れてもらえるかどうか、不安が残りはしたが。
そして案の定、少年は百合の降参を認めはしなかった。
「え~、もう降参~? もうちょっとやらせてよぉ~!」
「だめっ――はぅんっ! 本当に、だめなのっ! おねがっ――ひあっ! お願いだからっ、もう、降参させてっ……!」
「仕方ないなあ。じゃあ、このゲームはぼくの勝ちだね!」
嬉しそうにそう口にして、手の動きを止める健太。
いつからゲームになっていたのかと訊きたくもあったが、それでも百合はうなずいて、少年の勝利を認めてやる。
「うん、健太くんの勝ちでいいから。だから、ね? もう――ふぁんっ!?」
手をどけて、と言おうとしたところで、再び動かされた健太の指。
しかも今度は、より深く手を差し入れ、百合の股間をまさぐってきた。
「――ひゃああっ!? な、なんでっ!? 健太くんの勝ち、なのにぃっ……! や、うぅぅんんっ……!」
「負けた百合ちゃんには罰ゲーム~っ!」
「そんなっ、そんなあぁっ……! や、そこは本当、あっ、だめぇっ……!」
自分でも触れたことのない場所に与えられる甘い刺激。
それに百合はビクビクと敏感に反応して、背中を大きくのけ反らせる。
「そこ、さわっちゃ――んんぅっ! 健太くんっ、もう……もうっ、やめてえぇっ……!」
「ええ~、まだ罰ゲーム始めたばっかりなのに~」
不満そうな健太の声。
だが、だからといって続けさせることなどできるはずがない。
「もうっ、もうっ……本当に、だめぇっ! だめ、だからぁっ……! お願い、だからっ、もう――ううぅんっ……!」
襲い来る衝撃に、おとがいを跳ね上げて。
未知のゾクゾクが下腹部に集中するのに、恐怖にも似たなにかを感じて。
「――あっ! はぅっ……! お願いぃっ、もうっ……もうっ、そこはぁっ……! ゆるっ、ゆるしっ、ゆるしてえぇぇっ……!」
百合はとうとう、十歳の少年に対して『ゆるして』とまで口にしてしまった。
だが、そんな百合を『堪え性がない』と責めるのは酷というもの。
事実として、彼女は確かに超がつくほどの敏感な体質をしているが、それは決して百合がそうと望んだ得たものではないのだから。
それに、少女の身を襲う甘い電流が生じているのは、太ももや股間のみからというわけでもなかった。
そう、下半身だけではなく、上半身からも。
健太の指から与えられる刺激に戸惑う百合の身体は、少年の
それに反応して、徐々にでこそはあったものの、その両の胸の頂きは実に素直にその身を起こしてしまっていたのだ。
そしてさらに悪いことに、いまの百合はノーブラだった。
寝るときはブラをつけないでいたいからと、いつもどおりにパジャマ一枚を着ているだけだった。
ゆえに、擦れてしまっていたのだ。
ピンクのパジャマに、じかに擦れてしまっていたのだ。
内ももへの、そして股間への刺激に
それはまるで、自分の身体が『もっともっと』と快感を求めているかのようで。
内ももを、恥部を弄られるだけでは全然足りないと言っているかのようで。
そのように思ってしまったことが百合の羞恥心を強く刺激してしまい、それがまた少女の感度を上げる要因となってしまっていた。
もちろん、自分の意思とは関係なく口から漏れてしまった
(恥ずかしいっ……! こんなの、恥ずかしすぎてっ、もうっ……!)
もう、やめさせなければ。
いま以上の事態になってしまう前に、健太を制止しなければ。
『ゆるして』ではなく『やめなさい』と強く注意しなければ。
どう考えても、『怒ってると思われるかもしれない』などという心配をしている場合ではないのだから。
ようやくそう決意するに至った百合は、しかし、羞恥や快感に耐えるのと決意を固めるのとに精一杯で、現状がまったく見えていなかった。
健太が内ももの間から手を抜き、
「……仕方ないなあ。じゃあ、罰ゲームはここまでにしてあげるよ」
と明るく口にしていたのに、気づいていなかった。
「――け、健太くんっ!」
「な、なに? 百合ちゃん? 大きな声出して……」
「もう、いい加減に手を――って、え? あれ……?」
「手を、なに? もうとっくにどかしたけど。……あ、もしかして、もっと触っててほしかったの?」
きょとんとした表情でされる、とてもとても無邪気な問いかけ。
それに百合は真っ赤になって、
「そ、そんなわけ……」
「じゃあ、これでいいんだよね?」
「あ、う、うん……」
「それに、いつまでも遊んでたら百合ちゃんが髪乾かせないし、布団だって敷けないもんね」
「そ、そうだね……」
注意するタイミングを完全に逃し、困惑気味にうなずく百合。
なにより、太ももの上から頭をどけた健太の『いつまでも遊んでたら百合ちゃんが髪乾かせないし』という言葉が彼女に、
(本当に、遊んでただけだったんだ。なら、強く注意するところまでいかなくて、逆によかったのかも……?)
という思いを抱かせた。
(けど、いくら健太くんにいやらしい気持ちがないとはいっても、いまのはさすがに……)
健太にとってはただの『遊び』だったのだろうが、自分に許容できるものでは到底ない。
改めて髪を乾かしながら、そうも思う百合。
やがて、長く綺麗な黒髪を乾かし終え、彼女は布団を敷こうと立ち上がった。
「よいしょ……っと」
カーペットの上に布団を敷いて、タオルケットと枕を二つずつ出す。
いまはまだ残暑の厳しい九月の上旬。これくらいが寝苦しくなくてちょうどいいのだ。
ちなみに、健太の分のタオルケットと枕が百合の部屋の押入れに入っているのは、今朝、百合よりも早く目を覚ました健太が勝手に押入れに仕舞って、先に一階に降りていってしまっていたからである。
それも、まだ百合が眠っているうちに。
それはそれとして、百合は勃ちあがってしまっていた乳首の先端が元に戻りつつあることをさりげなく確認してから、布団の上に腰を下ろす。
それから、ほんの少しだけ警戒する目で健太を見て、
「えっと、今日も……一緒に寝るん、だよね……?」
「うん! 百合ちゃん、ぼくが夕方にお願いしたとき、『もちろん』って言ってくれたもんね!」
『やっぱりだめ』と言われるのでは、などとは微塵も思っていない瞳の色。
それを見てしまうと、拒絶することはできなかった。
(まあ、健太くんにいやらしい気持ちはないんだから、ひざまくらさえしなければ問題ないか)
そもそも当のひざまくらだって、誘ったのは百合のほうからだったのだから。
「そう、だね。わたしが『もちろん』って言ったんだもんね。……うん、いいよ。それじゃあ、おいで」
「わ~いっ!」
少女が言い終わるやいなや、健太が布団にダイブしてくる。
それと入れ替わりに立ち上がり、部屋の鍵をかけて電気を消す百合。
「あれ? もう消しちゃうの?」
少しだけ不満そうな少年の声に、あお向けに寝転がった百合は、自分のタオルケットをかけながら小さく返す。
「うん。わたしは明日も学校だから」
「そっか、百合ちゃんは大変だねえ」
「健太くんも、今度の月曜日からは学校でしょ?」
「だね。上手くやっていけるかなあ……。――あ、ねえ、百合ちゃん。ひとつ、いい?」
どうやら、また『お願い』があるらしい。
だがその内容は、彼女にも容易に見当がついた。
「ん? また手を繋いでほしいの? うん、いいよ」
言って手を差し出す百合。
しかし、すぐ隣に寝転がっている少年は、そうじゃないと首を横に振って。
「こっち、向いてほしいんだ。百合ちゃんの顔、見ながら寝たい」
「え? うん。じゃあ、はい。……これで、いい?」
と寝返りを打ち、心優しい少女は健太の希望を叶えてやる。
「うん。ありがとう……」
「ふふっ、どういたしまして。――あっ……」
微笑と共にお礼を口にしたと同時、少年が胸元に抱きついてきた。
いや、頭を擦りつけてきた、といったほうが正しいだろうか。
「もう、健太くんってば……」
だが、百合は特に動じない。
胸を揉まれたり、一緒にお風呂に入ったり、女の子の一番恥ずかしい場所をまさぐられたり。
そういった
(意外と、慣れちゃうものなんだなあ)
胸元に感じられるのは、健太の体温と息遣い。
その呼吸は少しずつ荒くなり、薄いパジャマ一枚越しにある乳首を、本当にちょっとだけ刺激してきた。
(あっ……。だ、だめっ。このままじゃ、また乳首が勃って……。なにか、なにか他のことを考えないと……!)
だが、一度意識してしまったが最後。
少年の吐息に応えるように、百合の蕾はその意思に反して再び身を起こし始めてしまった。
そう、吐息である。
百合が気づくことこそなかったが、健太は確かに『吐息』を吹きかけてきていた。
かすかに、くすぐるように弱く。
好奇心の赴くまま「ふぅ~っ、ふぅ~っ」と、パジャマの向こうにある少女の敏感すぎる乳首を狙って。
(なに、これ……? ただ息がかかってるだけなのに、なんか……もどかしく、なって……)
またしても下腹部にかすかな熱が生じ始めるのを感じながら、もじもじと太ももを擦りあわせる百合。
その動きを不審に思ったのだろうか。息を吹くのをやめ、健太が顔を上げてきた。
「ん? どうかしたの? 百合ちゃん」
「う、ううん。どうも……どうも、しないよ……?」
「そう?」
それだけ言って、少年は百合の胸元に顔を戻す。
「――あっ、んっ……!」
健太の頬に先端を擦られ、ビクッと喘いでしまう百合。
それを聞いた健太は、すっかり硬く尖ってしまった『そこ』に手を伸ばしてきて。
「なんか、硬いのがある……」
「――ひゃっ! 健太くんっ、そこ、摘んじゃっ……!?」
「こんなの、ご飯の前に触ったときにはなかったよね?」
「それはっ、あのときはブラ、つけてたからっ……!」
自覚のない健太の責めを受けながら、意味のない弁解をする百合。
そして、そんなことは健太にはどうでもいいらしく、快感に身体を震わせる少女をよそに、まったく別の質問を飛ばしてきた。
「あ、これって、お風呂で僕の背中に当たってたやつ?」
「ああっ……! ぐいって動かしちゃ、だめえぇっ……!」
制止の声をあげても、少年の指は止まらない。
「硬いのに、柔らかい……。変なの……」
「あふっ……! 曲げるの、やめぇっ……! くふぅんっ……!」
摘まれた突起を甘く優しく苛められ、百合は艶かしい声と共に身体を激しくくねらせる。
(相手は、健太くんなのにっ……! 十歳の子供、なのにっ……! なのに、なんでこんな、気持ちよくなっちゃうのっ……!?)
「うわ、すごいコリコリになってきた……。えいっ、もっとくにくにしちゃえ~っ!」
「――やうぅっ……! そんなことしちゃあっ、だっ、だめえぇっ……!」
健太の指が動かされる度に生じる、あまりにも強すぎる快感。
それを無理やり送り込まれた百合は、つい口からよだれを垂らしてしまった。
「曲げ曲げ~っ、こねこね~っ」
「やらっ……! そんなっ、そんなことっ、されたらっ……! もおっ、わたし、もぉっ……!」
そこでようやく。
百合は勢いよく寝返りを打ち、健太に背を向けて乳首を守った。
むろんそのときに、摘まれていた先端をコリッと強く刺激され、
「――ひゃあぁんっ!?」
と、ひときわ大きい嬌声をあげてはしまったが。
「わたしっ、明日学校、だからっ……もう、寝ないとっ……!」
――だから、こんなことはもうしちゃだめ。
そう、言外に言う百合。
それが伝わったかどうかは定かではないが、健太は、
「う、うん……。えっと、じゃあ、お休みなさい、百合ちゃん」
少しだけ寂しげにそう言って、それでも大人しく目を閉じた。
(あ、危なかった……。なにが危なかったのかは、よく、わからないけど……)
快感に染まった吐息が、自分の意思に関係なく漏れてしまっている口を手で押さえながら、百合は胸を撫で下ろす。
そして少ししてから、なんだかショーツが湿っていることに気がついた。
(これって、もしかして……)
百合の純白のショーツを湿らせてしまった液体。
それは間違いなく、百合の秘密の場所から漏れ出た、いやらしくも恥ずかしい『女』の蜜だった。
それが意味するところは、もちろんひとつしかない。
(わたし、健太くんに乳首弄られて、愛液を垂らしちゃうほど感じちゃったの……!?)
その事実に、ただただ羞恥のみを覚える百合。
(うう、なんでこんな……。――ショーツ、いまから替えるとかは……無理、だよね? 健太くん、まだ眠ってないだろうし……それに、もし眠ってたとしても……)
暗闇の中。
いつ少年が目を覚ますかもわからない状況下でパジャマのズボンを取り払い、ショーツを脱ぎ。
女の子のもっとも大切な場所を外気に触れさせながら、別のショーツを手に取り、穿き替える。
そんなこと、百合には考えるだけでも恥ずかしく、とても実行に移すことなどできなかった。
(仕方ない。ちょっと気持ち悪いけど、今日のところは我慢しよう……)
幸い、ズボンには染みていないようだし。
それにこの暑さなら、下着だってすぐに乾くだろうから。
そう結論し、少女は濡れたショーツの冷たさを意識しないよう努めながら、目を閉じた。
これが、健太と一緒に迎えた二日目の夜の終わり。
性的な快感というものを知識としてしか知らなかった少女が、初めて幼い性感を刺激された日のこと。
そして、この日に覚えた羞恥や快感は、まだまだ序の口とすらいえるほどなのだが……そんなことは、いまの百合には知る由もないのだった――。