『あなたのことを愛します』
微笑むマリーダが栗毛を、アルベルトの胸にまとわり付かせながら、抱擁する。
「僕もだよ」
唇を重ねる。ふたつの舌がワルツを舞い、時にアルベルトのそれは翻弄され、マリーダはそよ風のように逃げ、また絡み合う。
しかし、アルベルトは(これはどこか、おかしい)と現実感が乏しかった。敏感に感じ取ったのか、マリーダが身を離す。名残惜しげに舌が糸を引いた。氷色の
『愛します、命令であれば』
冷たいプルトゥエルブの声音にアルベルトは眠りから目覚める。覚醒の虚しさ。自分の業の深さ、愚かしさを思い知らされる。
寝台脇に置かれたクロックは『UC.0094/04/08』を示していた。
不意に下半身の薄ら寒さにアルベルトは身を震わせる。足元に手を伸ばそうとしてシーツが隆起する様子に、ぎょっとなる。同じ
──人が!? 誰……。
誰何する前に、縮み上がったペニスが生温かい袋に包み込まれた。
「うッ! く……」ぴちゃ、ぴちゃ。
亀頭の先、チロチロと舐められる感触にアルベルトの手が震える。全霊の意志力を総動員し耐え、シーツを引き剥がす。栗毛の少女が下半身に覆い被さっていた。メイド服についたフリルを揺らして、少女が顔を上げる。
「おはようございます、マスター。朝のご奉仕を」
「い、いい! いいんだ、マリー……」
「了解、マスター」
夢の中よりも幼いマリーダがまたペニスをくわえ込む。舌先が亀頭の上でタップダンスを踊る。次いで尿道を、つんつんと突っつかれる。
「あぅ! ぎ……」
アルベルトは耐えようと、肛門を締めるが、それはかえってペニスを暴君へと変えた。猛々しく肉棒は硬度を増し、マリーダの口中で膨れ上がる。
ぎゅっと上下の唇に挟まれたまま、栗毛が前後に揺れる。ちろちろと小刻みに舌が蠢いたかと思うと、喉奥まで大胆に舐め回す。まだ熟れきってない少女、しかしよほど慣れているのか決して歯は立てない。夜毎違うマスターに仕え、彼の肉欲を満たすことを最重要任務としてきた性奴隷ならではのテクニックだった。
ずるずる、くちゅくちゅと破廉恥な音色を響かせながら、マスターを昇天させようとする。
「あ、あぁ、……だ、ダメだ、マリーダ」
アルベルトは乱れ舞う栗毛を捕えようと、震える指先を伸ばす。髪が爪先に触れたときには、その瞬間が訪れ、先端はぶわっと膨張し始めていた。
「ぐっ!」
少女の髪を鷲掴みにし、ペニスから引き剥がす。わずかに遅く、びゅっと熱くねばい迸りがマリーダの顔にこびりついた。
「ありがとうございます、マスター」
感情のない声音でマリーダが言う。口の端から唾液と先走り汁が、ベッドに半透明の筋を描いていた。そう躾けられたのか、少女は顔射された性欲を指先でこそぐと、味わうように舌で舐め取った。
恍惚はなく一切無表情だった。
「ごめん、マリーダ。僕は君になんて……こんなこと、もう……」
少女を押し返すように肩に置かれたアルベルトの両手から、言いようのない悲しみが漂う。マリーダの心にも染み込んだ。
──マスター、なぜです? こんなにやさしいのに、欲しているのに、ためらっている。
マスターの欲望と理性、その狭間で揺れるアルベルトにマリーダは困惑する。
──他のマスターはこうすれば、喜んでもらえたのに。ああ、もしかして……。
悲しくなる。縛られたり、
「ごめんよ」
また呟くアルベルトのうつむいた顔から、水滴がこぼれる。マリーダは胸がぎゅっと捕まれる思いがした。
「マスター、泣かないで! がんばりますから。もっと、ほら、……む、ぐっ」
──今、私にできることはこれしかない。
「うっ!」
マリーダはまたペニスにむしゃぶりつく。残った精液の残渣ごとマスターの悲哀を吸い付くしてしまおう、と。口は吸盤となって肉棒を離さない。萎えた
じゅぱ、はぁはぁ、ずぶぶ。
激しい呼吸と共に飽くことなく前後の摺動が繰り替えされ、飛び散る汗と唾液がベッドを濡らす。アルベルトを快楽の海へ溺れさせようとする。
「あぁ、くぅ、……ま、マリーダ、出るよ!」
初撃とは違った意図でアルベルトはマリーダの後ろ髪をつかむ。同時に腰を突き上げ喉奥まで亀頭が達する。
どぴゅぴゅ、びくびく。
先ほどより薄まりはしたものの、いまだ若く欲望にあふれるエキスがマリーダの口腔を埋め尽くそうとする。すべて受け止めなくてはいけない。使命感から少女は一滴もこぼさないように飲み下した。
──マスターの哀しみも一緒に飲み込んでしまえばいい。重石を抜き取られた私にはそうすることしかできないのだから。
すでに花は散り、彼女は光を宿せない肉体にさせられていた。