※この作品はR-18です。

これはまさかの露出挑戦状!?   作:添牙いろは


原作:オリジナル作品
タグ:R-18 野外 露出 女子高生
惚れた男子に近づくため、様々な露出行為に挑戦していく女のコの物語です。

※Pixiv、小説家になろうとのマルチ投稿です。

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これはまさかの露出挑戦状!?

 もしかすると私は……知ってはならない秘密を知ってしまったのかもしれない。

 

 彼のことは、ずっと見てきた。授業中、教科書を眺める横顔も。休み時間、男友達と楽しげにはしゃいでいるところも。

 この前の新歓祭でも、新一年生を巻き込んで和気藹々と記念撮影とかもしていた。妙に柄の長い、奇抜なテーピングの巻かれた自撮り棒を使って。

 それは私の目にもしっかりと焼き付いている。だから、見間違いようがない。

 それを……こんな形で再び相まみえることになるなんて!!

 

       ***

 

 GWの図書室。扉は閉まっているけれど、返却ボックスは空いている。

 まー……明けるまで持ち越してもこれといったお咎めはないとはいえ、ズルズルと借りっぱなしなのも気持ちが悪い。

 それで、わざわざ連休中の学校まで足を運んできた。

 昇降口は北校舎。

 だけど、図書室は南校舎。

 わざわざ回っていくのは面倒なので、私は直接南校舎の扉を開いた。

 上履きもなく、靴下のまま三階へ。

 部屋の前の箱に、借りていた本をそっと入れた。

 そして上ってきた階段をそのまま下りる。

 誰も居ないと思っていたけど――

 

 ――ピロリン♪

 

 無人の廊下に軽快な電子音が鳴り響く。

 誰か居るのかな……? と、軽い気持ちで、私は二階の廊下を覗き見してみた。

 その瞬間――何も言えずに回れ右。

 幸い、靴下のお陰で足音は立たない。

 ドキドキバクバクと張り裂けそうな心臓を押さえて、私は早足に一階へ、そして校舎の外へと逃げてゆく!

 み……見ちゃった……! それも、あんな間近で……男のコの、その……お尻を!!

 何でお尻が見えちゃったかというと……穿いてなかったから。ズボンを。それと、パンツも。

 腰にシャツも垂れかかってなかった。背中も肩甲骨も、全部、丸見え……

 ようするに……スッポンポン? 休みとはいえ、学校の廊下で……!

 だけど、私が見たのはそれだけではない。

 彼は、スマートフォンを前に掲げていた。それも、棒を取り付けて、身体から離して。いわゆる、自撮り棒というやつね。

 それ自体は別段珍しくもないのだけど……あの、妙に柄が長くて、奇抜なテーピング……

 間違いなく……あの人の私物だ!

 あんなの盗んで、他人が勝手に使うなんてあり得ないし!!

 だとしたら……なんであんなコトを……?

 変態なの? あんなところで裸になっちゃう露出狂なの……!?

 こ……これは……ショックすぎるよぅ……。私の……私の恋心を返してぇぇぇぇぇ!!

 

 と、叫びたかったところなのだけど……

 

 休み明け、教室で平然と騒いでいる彼を見ていたら、気づいてしまった。

 やっぱり私……あの人のことが好きなんだ、って。

 幻滅したはずなのに、全然気持ちは変わっていない。

 あの程度のことで、嫌いになったりしないみたいね。

 だって、彼は何も変わっていないから。

 校舎内を全裸で徘徊していた前と後で、何も変わっていないから。

 もしかしたら、夢だったのかも……とさえ思える。

 ううん、夢であって欲しくない。

 だってそれなら……私、誰も知らない彼の秘密を知っている、ってことだもの!

 そう、私は……知っているんだ。

 彼の好みを。

 彼が、そのー……どんな……プレイ? が好きなのかを……

 ま、言ってみれば性癖、ね。

 だったら……

 もし、私が……

 その……

 もし、私が……彼の……ね? そのー……

 彼のー……そういうところに、付き合える女のコだとしたらー……

 ん、彼だって、私のこと、好きになってくれるかもしれない。

 私に、夢中になってくれるかもしれない。

 だって……ぶっちゃけいないよ!? そんな女のコ!

 外で裸になるようなコ、そうそういないって!!

 絶対とは言わないけれど……絶滅危惧種だって!

 だから、私がその――数少ない女のコになればいいんだよ!

 普通じゃない彼のための、普通じゃない女のコに!

 

 ……とはいえ、いきなり突っ走るのは無理すぎる。

 そもそも、あのとき見た彼が、本当に彼とは限らないし。

 あの自撮り棒だって、見間違いだったかもしれないし。

 そう考えると……女の沽券を賭けるのだから、こちらだって慎重に出なくちゃならない。

 だから……ウン。こっちも素性は明かさない。

 ただ、貴方と同じ性癖の持ち主ですよー……って。

 この学校には、こんな女のコがいるんですよー……って。

 先ずはそれだけを伝えてみよう。

 いや、私にそういう性癖があるとは思ってないけど。

 でも、頑張れそうな気はしてくる。

 まー……その、顔さえ出さなければ。

 私が、私だって判らなければ!

 

       ***

 

 そんなわけで、連休が明けた次の日曜も、私は学校に来てみることにした。

 今日は北校舎から入って、自分の上履きもしっかり装着。

 もしもの時に、逃げやすいように。

 もしも?

 もしも撮影中に誰か来たら?

 それ以前に、もしも再び撮影中の彼に出遭ってしまったら……

 というか、現場に向かう前に、誰かとすれ違っただけで心が折れそう!

 心配ばかりが頭の中をグルグル駆け巡る。

 だけど……

 今週も校舎は完全に無人。

 私は、引き返す理由ばかり探してみるものの……

 携帯の充電も完了済み。

 自撮り棒もしっかり付いてる。

 カメラの起動確認……OK!

 ……って全然OKじゃないよ!

 何が? って……そりゃあ……

 ……私の気持ちが。

 とはいえ、下手にグズグズしていたら、本当に誰か来てしまうかもしれない。この際、やることやって、とっとと帰ろう!

 これから撮る写真には、私からのメッセージの意味もある。貴方が全裸撮影してたところ、私見てたよ、って。そのためには、できる限りあのときの構図に寄せなきゃいけない。

 実のところ……お尻ばっかり気になっていた、というのはある。だけど、自撮り棒のことも覚えてた。確か……こんな感じで……

 ……はぁ。未だに躊躇してるよ、私。いや、躊躇しない方がおかしいのだけど。でも、撮るって決めたから。このまま帰ったら、バカみたいだから。

 それにしても……彼はどこで脱いだんだろ? あのとき、彼の服は見当たらなかった。かといって、トイレのように隠れて着替えられる場所も近くにはない。あの場所で後ろ姿が見えたってことは……少なくとも、階段を上ってきたー……ってことなんでしょうねー……

 全裸で!?

 ……鉢合わなくて良かったよ……

 さて、と。彼がどこで脱いだかは判らないけれど、私は似たような写真さえ撮れればいい。だから、制服は階段の前のトコに置いておけば写らないはず。

 だから、ここで……脱げばいい……

 うぅ……こんなとこで……脱ぐの……?

 かといって、裸のまま長距離ウロウロするなんてもっとムリ! 間違っても階段を一階から二階に上がるなんて……上階の死角から誰か下りてくるかも、って考えただけで……恥ずかしくて死んでしまいそう!

 とりあえず、無難に下着から……

 パンツだけ脱ぐ分には別段気にならない。スカートの中から抜くだけだから。このまま外を出歩け、と言われたらアレだけど……まあ、室内なら何とか。

 そして、セーラーの上からホックを外し、腕を中に引っ込めたらモゴモゴと……ん、ブラも抜き取り完了。夏服は薄いから、下着着けてないのバレちゃうだろうな。だってホラ……乳首浮いてるし。汗とか掻いたらその周りも透けちゃいそう。

 とはいえ……遠くから見れば判らない。普通の制服姿のはず。でも、ここから先は……言い訳できない。どこから見ても、スッポンポン。

 うーん……とまごついてみるものの、このままグズグズしていてもどうにもならない。こーなったら……一気にやろう!

 胸当てをプチっと外し、リボンを解いてファスナーをチーと上げる。これだけでもう胸の合間が丸見えの変態ルックだ。

 ここまで来たならもう引き返せない。そのまま後ろにパサっと落とすと、震える手つきで……スカートすとん!

 わ、わ、私……こんなところで……素っ裸……!

 靴だけ残して何て格好!?

 こんなの一秒だって持たないよ! 床から自撮り棒を拾い上げ、私は廊下に躍り出る!

 けど……

 ……うわぁ、あの人、こんなところで撮影を……

 前はずーっと行き止まりまで一直線。その間には中央階段と西階段もある。何より、教室もいっぱい並んでる。そのうちの一つからヒョイと誰かが顔を出したら……一発アウトだよ!

 それに、この窓ガラス。男のコだって……上半裸で北校舎から覗かれたらおかしいな、って思われるでしょ!? それを女の私が……おっぱい丸見えで……!!

 ホントに急がなきゃ! 私の記憶によると、彼の立ち位置はもう少し前。視聴覚室の中腹だったハズ。そこまでスススと足を進めて直立姿勢。右手だけ前に伸ばして――

 

 ピロリン♪

 ピロリン♪

 ピロリン♪

 ピロリン♪

 

 ひぃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 こんなことなら消音カメラ入れとけば良かった!

 撮り損じとかしたくないから、棒をズラしながら似たようなアングルで四連写したらこの効果音だよ! まるでアラーム! もし、この並びの部屋に誰かがいたら、何事かと出てきてもおかしくない!!

 私は慌てて階段に隠れ、セーラーとスカートだけを素早く着込む。一先ずコレで……一安心、かな……?

 ここで、撮ったばかりの写真をチェック。……うわぁ……すっごいことしてるねー……私。二枚目と三枚目はうっかり顔まで入っちゃってるけど、もう息でも詰まってるんじゃないか、って必死の形相。海底五千マイルに引きずり込まれたみたいな苦しみ方してる。

 でも……うん。爪先までしっかりと収まってくれた。きっと、彼の写りもこんな感じになると思う。ブレてもいないし、これなら写真としても悪くない。

 そ、それじゃあ、本当に帰ろう……。トイレに寄って、ブラをちゃんと着けてから……

 

       ***

 

 しっかし……ホントにこんなの送りつけるの? 正気かな、私。学校の廊下でおっぱいどころかお毛々も丸出し。それらを隠そうともせずに突っ立ってる。

 とはいえ……んー……彼も同じ写真を撮っていたハズだから、悪く言うのも良くないか。これが彼のセンス、ってことみたいだし。

 さて、私だってこのまま名乗り出るほど抜けてない。彼をそこまで信用できるわけでもないし、何より……人違いだったらシャレにならないし!

 ……ってことで、先ずはフリーのメアドを取得。印刷した写真の裏に、そのアドレスを書き記しておいた。

 こちらからのメッセージは、これで充分。

 あの写真ですべてが伝わるはずだから。

 それを封筒に入れて……彼の下駄箱に投函!

 一応、普通のラブレター風に装っておいたから――ちゃんと意識して、ひとりでこっそり見てくれるはず。

 あとは、あのメアドに何か届くのを待つばかり……

 もし、あの日見たお尻が彼のものなら、それに応じた返事が来るはず。

 もし、人違いだったら……うぅ、無駄に喜ばせるだけになっちゃう……。さすがに、身体から私だって特定はできないと思うけど。

 そして、待つこと一週間。

 最初は『今日こそ来てるかも!?』ってドキドキしながらチェックしてたけど……最近はさすがに流れ作業。『来てたらいいな、ふっふふ~ん♪』くらいの軽いノリでブラウザを開く。

 そしたら……

 

 受信トレイ(1)

 

 これには思わずむせ返りそうになっちゃったよ!

 私は反射的に×ボタン!

 え? え!? ホントに……!? ホントに返信来ちゃったの……!? 迷惑メールとか……じゃあないよね……? 本当に……彼から……? 裸の、私に……向けて……?

 スー……ハー……と深呼吸。来てしまったのだから逃げられない。

 心を落ち着けてブラウザを開き直し、IDとパスワードを再入力。

 すると……

 

 受信トレイ(1)

 

 さすがに今度は狼狽えない。

 とはいえ、どんな返信が来ていることやら。

 いきなりふたりで逢おう、って言われたらどうしよう?

 そこまでの心構えはまだできてないよー!

 と、いうことで、これ以上接近されたら一先ず保留!

 予めそう決めておいただけで、気持ちはグっと楽になった。

 さ……て、彼からの返信は……と。

 マウスのボタンをクリっと押すと……む、相手も捨てアドみたい。覚えきれない英数字の羅列。向こうも向こうで、それなりに警戒はしているみたい。

 そして、件名はナシ。

 本文もナシ。

 ただ、添付ファイルがひとつだけ……

 これもメアドと同じように出鱈目な名前だけど、拡張子はjpgだ。それなら、画像なんでしょうね。

 そして、どんな画像なのかも、おおよそ見当がつく。まー……ぶっちゃけ、彼の前面図だよね。

 こないだはお尻だったから何とか耐えられた。でも、前ともなると……うーん、さすがにちょっと心の準備が必要かも。

 とりあえず、開く前に一旦最小化。そして、別途開き直して……画像検索……

 ち……ん……こ…………と。

 ……ぅ。何でこんな楽しげなイラストばっかり……

 それじゃ……

 ペ……ニ……ス…………と。

 ……むぐ!? 今度なんか病気っぽいのばっかり! 医療用語か!

 うー……案外引っかからないものなのねぇ……

 で、ためしに『まんこ』で検索してみたら……ハァ……こっちは大股開きのオネーサンがたっぷり。どんだけまんこ好きなのよ、男って。

 ちょっと考えて……男性ヌード、と……これでどーだ!

 ……うんっ、ビンゴ! って……ふーん……こんな感じかぁ……ただ、みんなモデルだけあって毛の処理はしてるみたいね。平常時はもっとモッサリなんだろうなぁ。

 それに、 勃起(た)ってるのもあれば、萎えてるのもある。んー……グニャグニャしてるより、ピンとしてる方がまだマシかも。作り物がくっついてるみたいで。

 ……さーて、予習完了! ちんこ正面ドンと来い!

 

 クリック!

 

 …………ひえぇ!?

 ……ああ、いや……まあ、ウン。驚いてないよ? ちんちん自体にはね。予想の範囲内だったし。 勃起(た)ってたし。

 ただ……場所が……ここって……学校だよ! だって、学校名書いてあるもの! 藤木田高等学校……って!

 ココ、間違いなく……学校の、正門前……だよね……?

 そこ……私の記憶によると、広い歩道に二車線のバス通りなんだけど……。そこに、ちんちん向けて全裸になってるの……? ホントに……?

 外は暗いから深夜なのだろうけど……だとしても、バス通りはバス通り。いつ車がやって来るか判らないし、何より歩道に通行人が来たら超絶アウトだよ! どういう度胸してるのよあの人!!

 だけど……

 実際、彼はやってるのよねぇ……。誰かに見つかれば退学必至の大博打を。

 合成写真? とグーっと引き伸ばしてアラを探してみるも……うーん……ナマみたい。ホントのホンキで、彼は全裸でここに立ってる。

 私からのあの写真に対して、この返信。別に、彼だって記念写真を観て欲しい……ってわけじゃあないんでしょうね……。

 絶対、期待してる。

 いや、むしろ……挑戦状かな? お前にコレができるか!? ……って感じの。

 こんなんムリに決まってるよ! ……と突っ返すのは簡単。

 だけど……

 それは、いまなら。

 付き合ってもいない、いまだけなら。

 でもいずれ、私が彼と付き合うとしたら……きっと、こういうことも……したがる、んだよね……?

 うぅ……どうしよう……。やっぱり、彼とは付き合っていけないのかな……?

 ともあれ、彼からの返信には一週間掛かってるし、私もそのくらいなら待たせてもいいはず。彼には悪いけど……ギリギリまで考えさせて! とても深刻な問題だからーーー!!

 

 ……って、そんなに長々と考えるまでもなかった。

 だって、教室での彼はいつも通りだったもの。

 校門前であんなことをしでかしたのが嘘みたいに。

 なら……

 私も、嘘にできるんじゃないかな、と思えてきた。

 学校の前で素っ裸になっても、また、いつも通りの学校生活に戻れるんじゃないかな、って。

 もし、彼と付き合うことになっても……人前では普通のカップル、だけど、ふたりきりのときだけは大胆に❤ ……みたいな!

 そう思ったら……デキる気がしてきた私にも!

 決意したなら即実行!

 そもそも、深夜をうろつける機会なんて、私にはあまりない。そう頻繁に出歩いてたら……ママに怒られちゃうしね。

 だから、キメるべき日にビシっとキメなきゃ。雨が降っても撮れないし!

 一週間ルール――いや、私が勝手に決めただけだけど。

 ただ、彼からの最初の返信が一週間だったから、私も一週間以内に返したいな、って。

 そういうことだと……残り期間はあと三日。天気が崩れないうちに……明日にでも撮っておかなきゃ!

 

 と、威勢がいいのは、いつだって最初だけ。

 いざ撮るとなると……むむぅ……やっぱりキツイー!

 最近は、早朝のランニングを日課にしたんだよ。何でかって? それは……校門前で自撮りの予行練習をするために!

 わざわざ学校を経由するようにコースを定め、校門前で、不自然に目立たない感じで……ピローン、ピローン、ピローン、って。

 試行錯誤の結果、立ち位置と腕の角度は大体わかった。あとは本番に臨むだけ!

 ……といってもそう気軽にはできないってば!

 結局最終日……今日撮らないと一週間を過ぎてしまう! ……って日になってしまった。

 幸いなことに今日も晴れ。道は街灯に照らされてるから、月明かりが云々って次元じゃない。

 今日の出で立ちは制服ではなく私服。こんな時間じゃ、むしろ学生服の方が目立ってしまうし。

 なので、私が選んだのは黒のワンピース。脱ぐとき邪魔になるかなー、と思いながらも、この距離をノーブラノーパンのまま自転車を漕いでいく度胸は私にはない。

 一五分ほど掛けて学校近くの公園に到着すると、私は一先ずそこに自転車を隠す。そして……下着は、ここで脱いでいくべきかな。木陰に隠れてしゃがみ込み……私はスルリとワンピースを頭から抜く。そのままブラをポロンと外し、続いてパンツもズルズルと。

 夜の空気を肌で感じて、私はすぐさま繋ぎを着直した! ひぇぇぇ……一瞬とはいえ、私、公園で全裸だったんだなぁ……。

 そう思うと、服を着てても……うぅ……落ち着かないよぅ……。薄っぺらい生地一枚じゃ、胸から足までスースーしちゃう。

 でも、まあ、外から見たら、普通……なんだから。下手にビクつくよりも堂々と行こう……っと。

 それにしても……こんなことなら、膝下丈のも買っておくんだった。まさか、ノーパンで着るなんて想定してなかったものね……。少し翻るだけでお尻とか見えるんじゃないかってビクビクしちゃう。できれば、ずっと裾を押さえておきたい感じ!

 でも、それは不自然だものね……。もし、すれ違った女のコがスカート握ってたら、どうしたのかな? って見ちゃうもの、私だって。

 だから、何事もないかのように、シャッキリと……

 でも……

 お願いだから、誰も来ないでーーー!!

 

       ***

 

 私の頭は、この五分足らずのお散歩だけでいっぱいいっぱい。だから、すっかり忘れていた。

 これから、このバス通りで……もっと無茶苦茶なことを――それこそ、ノーパンなんかとは比べ物にならない恥ずかしいことをするって!

 とりあえず、ポケットから自撮り棒を取り出して、キュッキュッキュ……と伸ばす。で、スマホを先端に取り付けて……と。

 薄暗いけど、足下のブロックくらいはデコボコで判る。この位置で、腕を真っすぐ伸ばして撮れば……

 ひゃっ!

 やっぱり、暗がりでフラッシュ焚くと目立つなぁ……ってことは……彼も……!?

 いまは暗いから、反対側を歩いている人なら気づかないかもしれない。でも、こんな光を放ったら、何事!? ……って見ちゃうよね……。うぅぅ……

 とはいえ、今回は手近に服を置いとけるのがちょっと安心。学校名の銘板を写すために、足下までは入ってなかったから。

 とはいえ……胸は勿論、ちんちんまではしっかり見えてたから……少なくともそこまでは下ろさなきゃいけない。というか、お股見えてる時点で抵抗の余地もないのだけど。

 ともかく、撮った写真を確認すれば……うん。構図はピッタリ。違いは服を着てるか着てないか……だけ……。これ……ホントに……むぅぅぅぅ……

 そこに……車っ! 夜は押しボタン式だから止まることなく通り過ぎていったけど……ってことは、歩いてる人が道路を渡ろうとしたら、ここに来るってことじゃない!

 ムリムリムリムリ! やっぱムリーーー!!

 ……って言いたいところなのだけど……困ったことに、それをやってのけた人がいる。

 彼である。

 彼は、肩から腿の辺りまで何も着けずに……道路の方を向いて……写真を撮ってる……

 これができなきゃ、きっとあの人の彼女にはなれない。

 ついていけない。

 だけど、彼は今日だっていつもどおり。

 きっと私だって、いつもの私に戻れるはず……!

 植え込みの上にそっと棒を置いて……スカートをたくし上げていく。

 ぅ……これ以上は……でも……ここから先は……

 ううん、ここから先は、下手にモジモジしてる方が危ないよ!

 スー……ハー……と深呼吸の後……えいやっ! モゴモゴモゴっと頭を抜いて、見失わないよう足の甲の上に。そして自撮りの柄を掴んで腕を伸ばし――ピカっ! 消音カメラを使ってみたものの、この明るさだけはどうにもならない。

 私は一先ず服を拾い上げ、肩のところから手で押さえて垂らしてみる。これで、通り過ぎる車からは着ているように見えるはず。

 そして、不自然な姿勢のまま撮った写真を見てみると……あ。

 ……ブレてる……

 うーん……やっぱり焦りすぎちゃったか。もう一度撮り直さないと。それに、今度は失敗しないように何枚か。……ってことは、連写するの!? 一回一回フラッシュ焚いて! そんなの……近所の窓から覗いただけで何事かと思っちゃうよ!

 でも……うぅ……音は消せても光は消せない。だけど、このまま服を着るわけにもいかない!

 もう一度だけ垂れ幕から手を離し、ズイっと右手を前へと伸ばす!

 そして……

 ピカッ!

 ピカッ!

 ピカッ!!

 何度も何度も、私の身体に眩い光が当てられる。私の胸に、私のお股に……!

 これ以上は……本気でムリ!!

 写真の再確認もできずに、私は屈んでモゾモゾと服をかぶる!

 そして、一息ついたところで……祈るような気持ちでスマホを開いた。

 ……あぁ……良かった……!

 最後の一枚は盛大に外れてしまったけれど、先の二枚はイメージどおりだ。このうちのどちらか――相手の写真に近い方を返信することにしようっと。

 スマホは棒から外し、棒も縮めてポケットへ。

 これでもう、普段の私に戻ってこれた。怯えることも、恥じることもない。

 だけど……

 このドキドキはすぐに止まるものではない。だって、私……全裸だったんだよ? 校門の前で、車道に向かって。

 もし車が走ってきたら見られちゃったかもしれない。

 誰かが横断歩道を渡ろうとしたらじーっと視姦されてしまう。

 それどころか、手前の歩道を誰かが通ったら……目の前に裸の女のコ。

 ……ホントに、誰も来なくて助かった。

 綱渡りだったけど、やりきった。

 これで私も、彼に一歩……近づけたのかな?

 彼にとって、魅力的な女のコに……なれたのかな?

 

       ***

 

 公園に戻ってきて、自転車に乗って……と。

 あー怖かった! あんなことできるなんて、彼の勇気はとんでもないよ!

 でも、私だって負けてない。彼からの挑戦状に応えられたんだもの。

 自転車のライトはきちんと付けて、私は意気揚々と凱旋していく。

 途中、上り坂に向けて一気に勢いをつけたところで――

 いまさらなんだけど……実は、ずっと妙な違和感があったのよね。

 何だかいつもより風が気持ちいいというか。

 全力で立ち漕ぎしたところで――私はその原因に気がついた。

 

 パ ン ツ 忘 れ て た !!

 

 パンツどころかブラもだけど!

 でも、坂の中腹で止まるのも危ないんで、私はそのまま走り切る!

 スカートは揺れる!

 お尻も揺れる!

 その中は……女のコ丸見え!

 ようやく登り切ったところで、私は後ろを振り返った。

 幸い……誰も居ないみたい。

 私の胸は、バクバク鳴ってる。

 それは、坂を上ってきたから……ってこともあるかもしれない。

 だけど……

 一息ついても、胸の苦しさは変わらない。

 ううん、むしろ、どんどん激しくなってるのかも。

 だって私……ノーパンで、ミニスカで、坂の下に向かってお尻を突き出してたんだもの!! まさに、見てください、覗いて下さい、と言わんばかりに!!

 私……私……凄いことしちゃった……凄く……ヘンタイなことしちゃった……!

 いまから下着を取りに戻るにも……道のりは既に七割方踏破してしまっている。

 ここから引き返して、また戻ってきてって……あんまり遅くなるのもマズイと思う。もう一度この坂を上るのも疲れるし。

 下着自体は、誰にも見つからないようしっかり隠してあるから……うん。明日の早朝ランニングの途中で回収しよう。

 だから……

 今日は、このまま。

 パンツも穿かず、

 ブラも着けず、

 黒のワンピース一枚だけで……

 こんな格好じゃ、長々と外出してられないよね。

 急いで帰ろう。一分でも早く!

 グっとペダルを踏みしめると、足を伸ばして体重をかける。右足を下ろしたら今度は左足を……!

 大丈夫。誰も見てない。誰も来てない。誰も後ろからなんて覗いてない!

 グイっ、グイッ、と両足を交互に上下させると、それに釣られて腰が揺れる。

 スカートがはためく。

 前に傾けた胸元から風が流れて、お毛々をそよそよと揺らしていく。

 私、まるで……裸のまま自転車に乗ってるみたい!

 でも、大丈夫。私は服を着てるから。

 だけど……

 もし、本当に裸だったら……

 素肌のすべてで風を感じられたら……

 彼は、やったことあるのかな。

 そのくらいならやったこと、ありそうな気がする。

 もし、そんなお題が来たら……私にできるかな?

 いまはさすがに難しいかもだけど……やらずに諦めるわけにはいかない……よねっ?

 

       ***

 

 こちらから送信したメールには、相変わらず文字はない。

 ただ、写真一枚だけ。

 私たちのやりとりは、それだけで充分。

 さすがに二度目ともなると、前ほどは緊張しない。

 来るかな? 来ないかな? とは悩まないから。

 返信は、来る。

 絶対に、来る。

 だから、いつ来るかな~……まだかなまだかなって待ち侘びるだけ。

 そして、やっぱり一週間経った頃……

 

 受信トレイ(1)

 

 これに、私の胸がトクンと爆ぜる。

 間違いなく、また件名も本文もないのだろう。

 そして、写真が一枚だけ付いてくるはずだ。

 写真には一体……どんな彼が写っているのだろう。

 私に何をさせるつもりなのだろう。

 それは、見当もつかないけれど……ムリなことはさせないはず。

 だって、彼自身の身体で実証済みだから。

 この一週間も……彼はいつもの彼だったのだから!

 だから、私も乗り越えよう。

 いつもの私で過ごしながら、みんなが知らないところで彼だけの私になろう。

 ここに写っている彼は、一週間後、私になる。

 男の身体が、女の身体になって返っていく。

 だから、これから開く画像には、未来の私が、

 自分でも知らない私が写っているんだ。

 今度の彼は、私にどんな私を見せてくれるのだろう。

 どんな私になれるのだろう。

 それが何だか……ちょっと楽しみになっている自分に気づく。

 彼に近づくため。

 自分でも知らない自分に近づくため。

 私はもう、緊張することはない。

 これは高ぶる武者震い!

 トクトクと期待に胸をときめかせながら……

 受信トレイを……クリック!


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