ヘタレ彼氏の僕は前川みくから一緒にAV鑑賞するにゃと迫られたら断れない。 作:電柱保管
原作:アイドルマスターシンデレラガールズ
タグ:R-18 オリ主 アイドルマスターシンデレラガールズ 前川みく オリキャラ
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「ちゃんと用意してきたにゃ?」
部屋に入るやいなや、みくちゃんは腰に手をあてた尊大なポーズで僕にそう迫った。
「いちおう、借りてはきたけど……」
「だったらさっさと出すにゃ。お母さんたちが帰ってくる前に観ちゃうにゃよ!」
僕に掌を差し出してブツを催促するみくちゃん。仕方がないので僕は自分のリュックから頼まれていた物を取り出す。
「……これ、ホントに観るの?」
僕がビニール袋に包んだそれを手渡しながらおずおずと確認すると、みくちゃんは真剣な目で僕を睨んだ。
「当たり前にゃ! みくがセクシーさを身につけるためには、どうしてもこのビデオが必要なのにゃ!」
みくちゃんがDVDのパッケージを僕の眼前に突きつけてきた。
僕はいたたまれず目をそらしてしまう。
だって裸の女の人が妖艶な笑みを浮かべているんだもん。
男同士ならまだしも、女の子の前じゃ直視しにくいよね……。
裸の女性が大写しになったパッケージのDVD――そう、僕がみくちゃんから頼まれていたのは、いわゆるアダルトビデオというやつだった。
*
こんなことを言ってもあまり信じてもらえないし、言いふらすつもりもないのだけれど、僕は前川みくの彼氏だ。
僕らが付き合いだしたのは高校に上がる直前。もともと僕たちは生家が隣同士の幼なじみだった。お互いの引っ越しなんかがあってしばらく離れ離れになっていたんだけど、東京の中学校で偶然再会し、昔なじみなこともあって男女の垣根を超えて仲良くしていた。そして卒業式の日に僕のほうから思いきって彼女に告白したら、奇跡的にOKしてもらえたのだ。
付き合いだした頃、みくちゃんはまだアイドルじゃなかった。高校生になってから街でスカウトを受け、養成所に通いはじめたのだ。みくちゃんはもともとすごくかわいかったし、本人もやる気があったみたいで、ほどなくして事務所内の大きなプロジェクトのメンバーにも選ばれたらしい。
僕は自分の存在が彼女のアイドル活動の邪魔になるんじゃないかと心配していたのだけれど、みくちゃんは僕を見捨てずに今も付き合ってくれている。もちろんアイドルの男女交際なんておおっぴらにできるわけがないし、みくちゃんも学校や仕事で忙しくてなかなか会える機会もないのだけど、それだけにたまにふたりきりで過ごせる一時が僕にとっては幸せな時間だった。
あらためて言おう。
僕はみくちゃんが大好きだ。
トップアイドルになるという彼女の夢も、できるかぎり応援してあげたい。なんの取り柄もないヘタレな僕だけど、みくちゃんの力になれるならどんなことでもしたいと思っている。
……と決意していたものの、まさか愛しい彼女からアダルトビデオを観たいとせがまれるとは思ってもいませんでしたよ……。
「こ、これがアダルトビデオ……。お、おっぱい! この人、おっぱい出してるにゃ!」
AVのパッケージを眺めて目を丸くしていたみくちゃんが、興奮気味に半裸の女優さんを指さした。
「まあ、AV女優さんだからね……。おっぱいも出すよね、そりゃあ……」
当然といえば当然だが、みくちゃんはこの手のDVDを目にするのは初めてらしい。パッケージを開いてDVDしか入っていない中身を見たり、また蓋を閉じて背表紙から裏表紙までじっくりと眺め回したりしたあと、みくちゃんはゴクリと唾を飲み込んだ。
「こ、これはたしかに、セクシーの宝石箱にゃ……」
宝石箱って……。彦◯呂さんじゃないんだから。
「ね、ねえ、みくちゃん。やっぱりこういうのはよくないと思うんだよね。ほら、こういうビデオって、いちおう十八歳未満は見ちゃいけないことになってるし」
「……自分で持ってきておいて、今さらなにキレイ事言ってるにゃ」
……そこを突かれると返す言葉がない。
ただ念のため断っておくけれど、このDVDは僕の所有物じゃない。アダルトビテオを見たいと言うみくちゃんのために、僕がクラスの友人から借りてきたものだ。元をたどれはその友達のお兄さんの持ち物らしい。……まあそれでも、高校生のあいだでAVを貸し借りしてる時点で法律的には若干アウトっぽいけど。学校で見つかったら絶対反省文書かされるよなあ……。
「はあ……、どうしてこんなことに……」
「それは前にも説明したにゃ! アイドルとしてのみくに足りないもの、それはセクシーさだって気づいたにゃ! キュートさにセクシーさを加えることで、みくは最強の猫耳アイドルに進化できるんだにゃ!」
キュートでセクシーねえ……。学校の制服を着崩しもせずきちんと着て、おまけに眼鏡までかけたその姿で言われても、ほとんど冗談にしか聞こえないんだけど……。綺麗に切りそろえたショートボブの髪に、赤いアンダーリムの眼鏡がよく似合っていた。
「……セクシーさを身につけたいってのは分かったけどさ、でもそれでなんでAVを見なくちゃならないの? セクシーさの勉強ならもっとほかにありそうだけど……」
まあ、具体的に挙げろと言われたらあまり思いつかないのだが。なんだろう? 毎朝鏡の前でウインクの練習をするとか?
「いや、AVじゃなきゃダメなのにゃ! セクシーさを勉強するならAVを観るのがいちばん! って、ウサミンが言ってたにゃ!」
「……」
真顔で力説するみくちゃんには申し訳ないが、最後に出てきた名前を聴いて僕はげんなりしてしまった。またウサミンか……。
このウサミンとかいう人の名を、僕はことあるごとにみくちゃんから聞かされている。みくちゃんの事務所の先輩アイドルらしく、みくちゃんはいろいろと相談にのってもらったりアドバイスを受けたりしているという。そこだけ聞くといい先輩っぽいのだが、ただちょっと気になるところもあるんだよな。というのもこの人、歳は十七歳らしいのだけれど、みくちゃんから話を聴くかぎり、どうも発言がオヤジくさいというか、発想にどことなく昭和の匂いがするというか……。とにかく、時として突拍子もない助言をみくちゃんに吹き込んでいるようなのだ。
そしてその煽りはたいがい僕が食うことになる。
「ウサミンが言うんだから間違いないにゃ! ウサミンは絶対にゃ! ミミミン! ミミミン! ウーサミン!」
駄々っ子のように両手をぶんぶん振るみくちゃん。ここだけ切り取るとみくちゃん、危険な宗教にハマってる人みたいなんだけど……。
ちなみにみくちゃんが押し出しているこの猫キャラも、ウサミンの影響を多分受けたものらしい。みくちゃん、魚もネズミも大の苦手なのにな……。
「とにかく! もう後には引けないにゃ! こ、このAVを見てみくはセクシーになるにゃ!」
パッケージをチラ見して一瞬言いよどんだものの、みくちゃんはAVを僕に突きつけた。
……みくちゃん、言いだしたらきかないからなあ。
「……分かったよ。じゃあ僕はしばらく外に出てるから、みくちゃんはそこのゲーム機使っていいよ。使い方は分かるよね?」
これまでにも何度かみくちゃんはこの僕の部屋に来たことがある。外でデートはなかなかできないから、ふたりで会えるときはどうしても僕んちでまったりという流れになりがちなのだ。あのゲーム機で映画のDVDを見たこともあるから、だいたいの再生手順は覚えているだろう。今度は映画じゃなくてAVだけど……。
アイドル活動の勉強ということもあり、邪魔しちゃ悪いと思って僕はしばらく出ていようと思った。だけど。
「ま、待って!」
扉へ向かおうとした僕を、みくちゃんは袖口をつまんで止めた。僕はちょっと驚いて振り返る。
「え、ど、どうしたの?」
「……てほしい」
「え?」
本当に聞こえなかったので訊き返したのだけれど、みくちゃんは怒ったように僕を睨んだ。
「ここにいてほしいって言ってるにゃ! こ、こんなのひとりじゃ恥ずかしくて見れないから、一緒に……観てほしい……」
「みくちゃん……」
……参ったな。
そんなふうに耳まで真っ赤にしてうるうるした瞳で下から見つめられたら、可愛すぎて絶対断れないじゃないか。
*
「じ、じゃあ……いい? 再生、始めるよ?」
「う、うん」
ゲーム機にDVDをセットして後ろを窺うと、ベッドの上で体育座りをしたみくちゃんはこくりと頷いた。ずいぶん緊張した面持ちだ。
「隣……いいかな?」
「ん……来て」
許可をもらって、僕はみくちゃんの横に座る。
不安なのかみくちゃんはすぐに身を寄せてきた。ド、ドキドキするなあ、そういうことされると。
「お、押すからね」
「……うん」
あらためてみくちゃんの意志を確認してから、僕はコントローラーのボタンを押し込んだ。いよいよAV鑑賞の始まりだ。
成人指定の注意書き(メーカーの人ごめんなさい)とメーカーロゴの表示に続けて、さっそく本編が始まる。
「え……? なんか、普通……?」
拍子抜けしたと言いたげにみくちゃんは目をパチクリさせた。
「あ~……、ここまだ、ドラマパートだからね」
みくちゃんが「普通」と言ったのは、画面に映しだされた役者さんたちが服を着ていたからだろう。
「ド、ドラマ?」
「うん、こういうビテオって、最初は普通にお芝居するシーンもあるんだよ」
「そ、そうなんだ」
画面では、数人の男女が教室のようなセットで授業をおこなうシーンが繰り広げられていた。
セクシー系の女優さんが出てるものを、という僕のリクエスト(これ言うの結構恥ずかしかったんだぞ)に応えて友達が選んでくれたAVは、いわゆる女教師ものと呼ばれるジャンルだった。その名のとおり、主演の女優さんが学校の先生に扮してエッチな演技を繰り広げるといった趣向のものである。
というわけで画面のなかの女優さんはスーツに眼鏡といういかにもお堅い職業といった格好をしている。学ランを着た生徒役はたぶん男優さんなんだろう。
「せっかくだからお芝居の参考にしたらどうかな? みくちゃん、ドラマのオーディションを受けたりもしてるんでしょ?」
「うーん、でも、この女優さん、あんまり演技うまくないにゃ。生徒役の男の人たちも、全然学生に見えないし」
「……ええと」
みくちゃん、それは言わない約束だよ……。アダルトビデオの女優さんにドラマパートでの演技力を求めるのは、濃厚スープが売りのラーメン屋で「味付けが濃すぎる」と不満を言うようなものだと思う。まあ、お芝居が上手な女優さんもいないではないけど。
「あ、でも、この男の役者さんはPチャンにちょっと似てるかも」
甘いマスクの男優さんがアップになったとき、みくちゃんは楽しそうに声を弾ませた。
「ええ、そうかな? 僕、こんなにカッコよくないよ?」
みくちゃんには僕がこんなふうに見えてるのかあ、なんてちょっと浮かれたのだけれど。
「ああ、違う違う。こっちのPチャンじゃなくて、あっちのPチャンのことにゃ」
「……ああ。あっちの人ね……」
自分の勘違いに気づかされ、僕はちょっと複雑な心境になる。
みくちゃんは昔から、僕のことを「Pチャン」と呼んでいる。もちろんこれは本名ではなく愛称だ。由来はみくちゃんが幼い頃に好きだったアニメである。そのアニメのヒロインが自分の飼っている子豚を「Pちゃん」と名づけていて、そのヒロインに憧れていたみくちゃんはいつしか仲の良かった僕のことをその名で呼ぶようになったのだ。念のため断っておくけれど、僕は別に太っていないし、水をかぶるとその子豚になってしまうキャラクターとは全然違う名前だし、方向音痴でもない。あくまで幼いみくちゃんがヒロインへの憧れからこの名を使ってみたというだけだ。
だから僕のことを「Pチャン」と呼ぶのはみくちゃんだけだったし、またみくちゃんが「Pチャン」と呼ぶ相手は僕だけだった。
……のだが、最近になって新たな「Pチャン」が現れた。みくちゃんが参加しているアイドルプロジェクトを統括しているというプロデューサーだ。
プロデューサーと聞くとなんか怖そうなイメージも抱いてしまうけど、その人はわりと気さくらしく、みくちゃんをはじめ担当するアイドルたちからも結構慕われているらしい。彼のことを勝手な愛称で呼ぶアイドルも多いといい、みくちゃんの場合は「プロデューサー」をつづめて「Pチャン」というわけだ。
みくちゃんがその人のことをどう呼ぼうと僕がとやかく言うことではないのは分かっている。でもなあ……。さっきみたいに勘違いが起こってしまうってこともあるけれど、それ以上にやっぱりこう思ってしまうのだ。
みくちゃんの「Pチャン」は、僕だけでいいのに――と。
「ん? Pチャン、なんか怒ってる?」
みくちゃんが僕の顔を斜め下から覗き込んできた――いかんいかん。
「別に。なんにも怒ってないよ?」
僕は最高の笑顔でみくちゃんに微笑みかける。
「え、でも、さっきなんかムスっとした顔してたし――」
「そんなことよりほら、みくちゃん! いよいよセクシーなシーンが始まったみたいだよ!」
僕は後ろからみくちゃんの両肩に手を置いて前を向かせた。ちょっとわざとらしかったかな? でも僕が同じ呼び名のプロデューサーに嫉妬してるなんて、みくちゃんに思われたくないじゃないか。
それに、画面ではいよいよ「本編」とも言えるシーンが始まっていたのも事実だ。
「にゃっ!?」
みくちゃんは素っ頓狂な声をあげてその身をこわばらせた。無理もない。なにせ画面にはタイミングよく男優さんの黒光りした逸物がアップになっていたのだから。
「なな、なんにゃ、あれ!? な、なんであんなに大きいにゃ!?」
「なんでって言われても……。性欲旺盛な男子高校生がナイスバディの女教師に誘惑されてるから?」
ストーリーを解説してみたけど、みくちゃんが訊きたいのはそういうことじゃないんだろうなあ。相手役を務める男優さんがくしくもみくちゃんがプロデューサーに似ていると言った人だったので、ついごまかしてしまった。
「ど、どうなってるにゃ……!? なんか上を向いてるし……」
あ、ひょっとしてみくちゃん、男の勃起を見るのが初めてなのか?
「あのー……、なんていうか、ほら、男はエッチな気分になると、あんなふうに……アソコが大きくなっちゃうんだ。保健体育で習わなかった?」
「う……、な、習った気も……するけど」
みくちゃんは眉間に皺を寄せて難しい表情をしていた。女の子が読む雑誌とか、今ならネットとかでも男の生理を解説してるものもあると思うけど、みくちゃんはそういうものあまり見ないのかなあ?
ウブなみくちゃんに構わず、AVの場面はどんどん過激な方向へ進んでいく。
「な、舐めてる!? あの人、お、おちんちん舐めてるにゃ!?」
「う、うん、そうだね……」
フェラチオを始めた女優さんを見て驚きに目を見張るみくちゃん。「おちんちん」とか恥ずかしげもなく言っちゃってるんだけど、気づいてなさそうだな、こりゃ……。
「今度はおっぱいで挟んでる!? あれっておっぱいで挟んでもいいの!?」
「ダメってことはないと思うけど……」
パイズリはフェラチオ以上にみくちゃんの常識の上を行っているようだ。みくちゃんは大きく目を剥いて食い入るように画面を凝視していた。
「な、なんか……、す、すごい……!」
みくちゃんがゴクリと生唾を飲み込むのが分かった。もちろん男優さんの局部にはモザイクがかかっている。とはいえ、互いの秘すべき部分をこすりつけあう男女の絵柄はやはりかなりエロティックだった。そこに女優さんと男優さんが漏らす艶めかしい息遣いも加わり、こちらの官能をいやがおうにも刺激してくる。
「あ、やば……」
自分の中心部に血が集まっていくのを感じて、僕は腰を引いた。まずいなぁ……。男の生理ではあるんだけど、アダルトビデオの女優さんを見て興奮してるなんてみくちゃんに思われたら、嫌われちゃうかも。
「ご、ごめん、みくちゃん。僕、ちょっとトイレに――」
僕は猛りが収まるまでとりあえずこの場を離れていようと思い、腰を浮かしかけた。
「え、ま、待って」
みくちゃんは弱々しく懇願し、僕の腕にすがりついてきた。
「ど、どうして行くの?」
「どうしてと言われても……」
みくちゃんに不安げなまなざしで見上げられ、僕は目を泳がせた。こ、困った。これはどう答えたらいいんだ?
「え、えっと……、なんというか、このままだとみくちゃんに迷惑をかけてしまうというか……」
「迷惑って、どういうこと?」
みくちゃんは四つん這いになって僕にずいっと迫ってくる。不安と心配が入り混じったような表情だ。
「あ、いや、迷惑というか、ある意味傷物にしかねないというか……」
「傷? なに、それ?」
たじたじと後ずさる僕を逃すまいと、みくちゃんも徐々に顔を寄せてきた。それこそ猫みたいにみくちゃんはぐーっと背筋を伸ばしている。が、そんな無理な体勢にはとうとう限界が訪れたようだ。
「あっ!」
みくちゃんは手足を滑らせてベッドの上に転がった。
「みくちゃん! 大丈夫!?」
僕は慌てて助けに入る。みくちゃんがベッドから転げ落ちないように、とっさに手をついて彼女を守った。
「ご、ごめん……、ありがとう」
「みくちゃん、どっかひねったりしてない?」
「う、うん、大丈夫……」
「ならよかった――ん?」
ほっとした僕は掌になにか湿り気を感じて、手をついているあたりへ視線をやった。
あれ? なんだろう、いつのまにかベッドに変な染みができてる――?
「――あ! ヤ、ヤダ!」
僕が自分の掌を覗こうとすると、みくちゃんが突然僕の手に飛びついてきた。
「え!? な、なに?」
「こ、これは……っ、ち、違うの!」
「違うって――あ」
みくちゃんを見返した拍子に彼女の下半身のあたりが目に入ってしまい、僕は彼女が顔を真っ赤にしている理由に気づいてしまった。
みくちゃんの股のあいだから、ベッドに向かって透明な液体が糸を引いていたのだ。
「み、見ちゃやだっ!」
僕の視線に気づいたみくちゃんは慌ててスカートの前を押さえて洪水箇所を隠した。
けれど、すでに流れでたぶんはどうしようなく、みくちゃんの女の子の汁は彼女の膝小僧のあたりで照明に照らされて妖しく光っていた。
「み、みくちゃん……」
僕の呼びかけがきっかけになったかのように、唇を噛みしめたみくちゃんはボロボロと涙を流しはじめた。
「ご、ごめんなさい……、ちゃんとお勉強しなきゃダメなのに……ひっく、み、みく、エッチな気分になって……」
頬を流れ落ちる涙をみくちゃんは手の甲で何度も拭った。
ああ、そうか……。みくちゃんは不真面目な自分を責めているんだ。
猫キャラとかやっていて勘違いされがちだけど、みくちゃんは根がすごく真面目な子だ。アイドルとしてもっと仕事ができるよういつも真剣に考えて、一生懸命いろんなことに取り組んでいる。アダルトビデオを観たいなんて言いだしたのも、自分に足りないものをなんとか身につけようとした結果だ。だからこそ、みくちゃんは恥ずかしさやらなんやらでしっかりと画面を見られない自分を不甲斐なく思っているんだ、きっと。
こんな健気な彼女に僕が彼氏としてできることってなんだろうか?
ただ友達からアダルトビデオを借りてくるだけでも彼女に協力できたことになると考えてはいなかったか? だとしたら僕は本当にどうしようもないヘタレ野郎だっ!
「みくちゃんっ!」
僕が突然大声を出したせいで、みくちゃんはびくっと肩を震わせた。でも僕は構わずみくちゃんの肩を正面から掴んだ。
「みくちゃん、見て!」
「え――ひ、ひゃっ!」
視線を下げたみくちゃんが弱い悲鳴を上げて身をこわばらせた。驚いているのだろう。
なぜならみくちゃんの視線の先には、大きくテントを張った僕の下半身があるのだから。
「ごめん、驚かせて……。でも見て。僕だってこんなふうに興奮しちゃってるんだ。つまりその……、こういうビデオを見てエッチな気分になっちゃうのは、全然おかしなことじゃないんだよ!」
僕たちの横では、AVの淫らな音声が流れつづけていた。そんななかで僕は自分の彼女に恥ずかしい部位を見せつけている。傍から見れば笑うような光景かもしれないけれど、僕は真剣だった。とにかくみくちゃんに泣きやんでほしい。それしか頭になかった。
「Pチャンも……、みくと一緒なの?」
か細い声で言って、みくちゃんは僕を見上げた。
僕は彼女にありったけの笑顔を返す。
「そうだよ、みくちゃんと一緒にエッチなビデオ見て、僕も興奮しちゃってたんだ。あ! でも勘違いしないでほしいんだけど、こんなふうになっちゃったのはAVのせいばかりじゃなくて、みくちゃんが魅力的だからで……」
「え……みくのせい?」
「ち、違うんだ! いや、違わないけど、なんていうか……、みくちゃんがずっと僕にくっついてから、その、体温とか匂いとかで……」
「あ……」
頬を赤らめたみくちゃんは、さっと僕から身を離した。胸の前でもじもじと手を合わせながらチラチラとこちらを窺い、やがてみくちゃんは小さく口を開いた。
「……Pチャンのエッチ」
「ええ~、そ、それはひどくない?」
僕が情けない声を返すと、みくちゃんはたまらずといった感じでぷっと吹きだした。
「ふふ、冗談にゃ」
みくちゃんの表情はやわらいでいた。
男としてはなんとも締まらない結果になってしまったけれど、僕はとりあえず安心してみくちゃんに笑い返した。
ところがみくちゃんの顔からまた不意に笑みが消えた。だけど今度は、なにか思いつめたような、あるいは決意を秘めたような、今までにあまり見たことのない表情をしていた。
「ど、どうしたの、みくちゃん?」
心配になって声をかけると、みくちゃんは頬をほんのりと染めながら、そっぽを向いた状態で僕の下半身を指さしてきた。
「そ、それ、みくのせい……なんだよね?」
「え? いやそれは――」
とっさに否定しようとした僕をさえぎるように、みくちゃんはきっと僕を睨みつけてきた。
「お、男の子っていちどそうなると、気持よくならないと収まらないんでしょっ。みくだって、そのくらいは知ってるもん!」
怒ったような語勢に気圧されて僕は少したじろいでしまった。たしかにみくちゃんの言うとおり、猛り狂った僕のアレはちょっとやそっとじゃおとなしくなりそうにないが……。
「えっと、僕、どうすれば……?」
「だからっ、みくのせいでそうなったんだから、みくがなんとかしてあげるって言ってるの!」
間抜けにも僕は、なにを言われたかすぐに理解できなかった。
「え、それって……?」
「鈍いにゃ! だからみくがPチャンのことを気持ちよくしてあげるって、言ってるの……」
最後のほうはもう消え入りそうな声だった。きっと相当恥ずかしかったんだと思う。
「み、みくちゃん、い、いいの?」
僕がなおも問いただすと、みくちゃんは決意を示すように僕のズボンの布をそっと指でつまんだ。
「いいって、言ってるでしょ? そのかわり、Pチャンにはみくを、セクシーな女の子にしてほしい……」
みくちゃんは潤んだ瞳で僕を見上げた。
「う、うん」
そんなかわいいしぐさをされたら、僕はもう生唾を呑み込んで頷き返すしかなかった。
*
「ど、どうすればいいの?」
「えと……そうだ、まずは服を脱ごう! 汚れちゃうといけないから、全部……」
「わ、分かった。じゃあみくも脱ぐから、あっち向いてて……」
「う、うん」
僕は返事と同時に急いで体を反転させた。僕たちはベッドの上で互いに背中合わせになる。脱衣を宣言した以上、僕もとっとと裸にならなきゃいけないんだろうけど、背中を向けているあいだにみくちゃんが逃げちゃうじゃないかなんていらない想像が頭をよぎってしまう。
で、シャツを脱いだところでついちらっと後ろを振り返ってしまう。
制服の白いブラウスを肩から降ろすみくちゃんの艶めかしい姿が視界に飛び込んできた。僕は慌てて顔を前に戻す。なにやってんだ、僕は!
そりゃあ僕だってみくちゃんとはいつかそんな関係になれたらいいなぁとは思っていたさ。でもまさか今日突然そんな機会が訪れるとは夢にも思っていなかった。アダルトビデオを観たいと彼女にせがまれて、一緒に観ることになって、お互いの興奮に気づいて――ってこれじゃまるで本当にAVじゃないか。ヘタレな僕に、そんな展開を見越して諸々の準備をしておくなんて芸当、できるはずがない。
「ぬ、脱げたけど、そっちはもういい?」
「あ、ご、ごめん、待って!」
みくちゃんの呼びかけで我に返った僕は、大急ぎで残っていたズボンとパンツを脱ぎ捨てた。
「ごめん、もういいよ」
「ん……、じゃあ、そっち向くね」
みくちゃんの言葉を合図に、僕たちは同時に振り向いて正面から向かい合った。
「……っ!」
素っ裸の僕を見るやいなら、みくちゃんは明らかに顔をこわばせた。ある程度は覚悟していたのか悲鳴こそ上げなかったものの、そそり立った男根にはかなり驚いている様子だ。
そして僕だって冷静ではいられない。
いられるはずがない。
だって目の前には愛しい彼女の、夢にまで見た裸体があるのだもの。
両肩を抱いて前を隠しているものの、華奢な体つきから予想される以上のボリュームを持った胸の膨らみを隠しきることはできていなかった。それに、陶器のように白くなめらかな肌にひとしずくの薄墨を落としたような、股のあいだにうっすらと茂る恥毛も、いわく言いがたい背徳感をこちらに抱かせた。眼鏡も外しているから、文字通りみくちゃんはいま生まれたままの姿だ。
「すごく……綺麗だよ、みくちゃん」
僕は息を呑み、率直な感想を口にしていた。
「は、恥ずかしいからあんまり見ないでよ……。ほ、ほら、もう始めよ」
攻撃は最大の防御と言わんばかりに、みくちゃんは僕に近寄ってきた。できれば乳首もじっくり眺めたかったな……ちょっと残念だ。
僕のよこしまな内心を知ってか知らずか、みくちゃんは僕の下半身にずいっと顔を寄せた。
「おちんちんを気持ちよくしてあげればいいんだよね? どうしよう……あ」
みくちゃんは閃いたとばかりに顔を横に向けた。彼女の視線の先にあるのはテレビ画面だ。
じつは僕たちがいろいろと話しているあいだも、アダルトビデオは再生されつづけていた。教室でのフェラチオシーンはすでに終わり、またドラマパートが始まっていたので僕たちもあまり気を取られることもなかったからそのままにしておいたんだ。だけどここへきてタイミングよくというか悪くいうか、ふたたびストーリーは情交のシーンを迎えていた。今度は保健室で先生役の女優さんと生徒役の男優さんが絡むシーンのようだ。ふたりは僕らと同じく互いに局部を露出し、まさに愛撫を始めようとしているところだった。
「なるほど、ああいうふうにやればいいんだ……」
またもや口淫を開始した画面上の女優さんを見て、みくちゃんはなにやら頷いた。
「え、ああいうふうって――」
「はむ」
不意打ちだった。
みくちゃんはためらいもなく、女優さんがしているように僕の逸物に頭からかぶりついてきたのだ。
「アッ!」
ゾクリとするような快感が腰から背筋にかけて瞬時に駆け抜け、僕は思わず腰を抜かしそうになった。
「あ……痛かった?」
不安げに尋ねるみくちゃんに、僕は大慌てでかぶりを振った。
「ち、違うんだ! 気持ちよくて!」
「そう、なんだ……。続けていい?」
「う、うん……お願い」
僕の返事と同時に、みくちゃんはふたたび先端に唇を押し当てた。
みくちゃんはチラチラと画面のほうを見ながら、女優さんがしているのを真似て口を使った。
裏筋を舌でつうとなぞりあげたり、先端を口に含んでちゅぱちゅぱと出し入れしたり。
かと思えば胴体の部分にキスの雨を降らせたり……。
まさに見よう見まねだが、みくちゃんは筋がいいのか、初挑戦とは思えないほど的確に女優さんの口技を再現していた。
「ん、ん、ふうん、んん……」
ちゅぱ、ちゅぽ、じゅぱ。
みくちゃんの吐息に混じり、唾液によって作られる淫らな水音があたりに響いていた。
それはビデオの音声ではなく、まぎれもなく僕たちが発しているリアルな淫音だ。
「ふうん! き、気持ちいい、気持ちいいよ、みくちゃん!」
僕がたまらず快感を告げると、みくちゃんはちゅぽんと音を立てて先端から口を離し、いたずらっぽく微笑んだ。
「Pチャン、なんかかわいい。みくも、なんだか本物の猫さんになったみたいにゃ」
「あ、あああ……」
自分の股下を見下ろして、僕は萌え死にそうになった。
僕の両脚のあいだで体を丸め、僕のソーセージにピチャピチャと舌を這わせる姿は、たしかに猫のようだった。とんでもなくいやらしい猫娘だけど。
「んく、んく、んくっ」
要領を掴んだのか、みくちゃんは肉の塊を口に含んで激しく頭を振りはじめた。
唇の粘膜で竿をしごいてもらうのは最高に気持よかった。柔らかいばかりじゃなくてざらついた感覚も混じるのは、たぶんみくちゃんの舌が時折先端に触れているんだと思う。それもまた刺激的だった。
生まれて初めて、しかも大好きな女の子から受けるフェラチオの快感。
でもそんな最高の刺激にいつまでも耐えられるほど、僕は大人じゃなかった。
「あっ! ま、待って、みくちゃん!」
不意打ちのように射精欲が上ってくるのを感じ、僕は慌てて自分のモノからみくちゃんを引き剥がした。
「どうしたの?」
不安げに僕を見上げるみくちゃん。
「と、突然ごめんね。イキそうだったから……」
「イキ……? あ……」
僕の言いたいことが分かったらしく、みくちゃんは戸惑うような恥じらうような複雑な表情で頬を染めた。彼女の顎の下では、奉仕を中断させられた聞かん坊が激しく頭を振って不満を訴えている。
実際危ないところだったのだ。あのまま愛撫を続けられていたら、みくちゃんの口の中に思いきりぶちまけてしまっていただろう。初エッチで口内発射なんてさすがに酷すぎる。
それにこの至福の時間をここで終わらせるのは惜しい。
「みくちゃん!」
僕はみくちゃんの腕を正面から掴んだ。今度は僕の番だ。
「え、な、なに?」
「僕ばっかりしてもらうのは申し訳ないから、僕にもみくちゃんのも舐めさせて!」
「え!? き、きゃあ!」
僕はみくちゃんを横向きに押し倒し、自分は頭を逆向きにして彼女に寝そべった。いわゆるシックスナインと呼ばれる体勢である。
「なっ、なっ……!」
自分たちのエロティックな姿態を想像したのだろう、みくちゃんは言葉も出ないようだった。僕は緊張をほぐすようになるだけ声を明るくして喋りかける。
「ほら、ビデオでもこういうふうにやってるじゃん。すごくセクシーだよ、このポーズ」
実際、画面のなかでも男優さんと女優さんがシックスナインの体勢で互いの性器を舐めあっているところだった。まあ僕もそれをヒントにしてこの体勢に持ち込んだのだが。
「セ、セクシー……かな? みく……」
お? 満更でもない反応だぞ。
「セクシーさ。ねえ、みくちゃん、もっとよく見せて」
僕は彼女の片足を持ち上げ、大きく股を開かせた。
「ヤ、ヤダ……」
口でこそ抵抗したものの、みくちゃんが本気で嫌がっていないことは容易に察せられた。僕は遠慮なくみくちゃんの女の子の部分へ目を這わせる。
「うわ……すごい」
息を呑まざるをえなかった。この部分を生で見るのはもちろん初めてだ。好きな女の子のものだから、ということもあるのかもしれないが、話に聴いていたほどグロテスクなものじゃないと思った。やや盛り上がった両側の土手にはうっすらとした縮れ毛。その内側に貝の身を思わせるひだがあり、そのなかの肉は鮮やかなピンク色をしていた。この体勢だとキュッとすぼまったお尻の穴も丸見えなのだが、そちらも綺麗な色でなんだかかわいらしかった。
「み、見ちゃやだぁ……」
みくちゃんは悩ましげな声をだして身悶えた。だけど、この体勢ではどこにも逃れることはできない。
「みくちゃんだって僕のを見たじゃないか。それにほら、早くしないと――」
僕はみなまで言わずに、みくちゃんの秘部をべろんと舐めあげた。
「ひ、ひゃっ!」
「みくちゃんの汁、どんどん溢れてきてシーツがベトベトになっちゃうよ」
ちょっと意地悪かなと思ったけど、僕はみくちゃんの気分を高めるためにわざと卑猥な言葉を口にした。
そう、みくちゃんの花弁はどしゃ降りの雨にでも打たれたようにしとどに濡れていたのだ。
アダルトビデオを見ている最中から濡らしていたけれど、ひょっとしたら僕のちんぽを舐めているあいだにまた新たな分泌があったのかもしれない。
秘口から染み出す液をすくうようにして、僕はみくちゃんの貝柱を舌で舐めあげた。
「ひ、ひゃう!」
秘貝の上端についた突起に舌が触れた瞬間、みくちゃんはひときわ鋭敏な反応を見せた。
「みくちゃん、ここがいいんだね?」
「んひゃ! ん、ん、ううんっ、やん!」
敏感な肉芽を舌先で転がすと、みくちゃんは痙攣したみたいにビクビクと腰を震わせた。腰は舌淫から逃れようとするが、僕はそれを許すまいとやや乱暴に襞口へキスをした。
「っ~~~!」
みくちゃんは声にならない嬌声を上げ、太腿をピーンと引きつらせた。だけどそれもつかの間、唾液と愛液を混ぜあわせるようにジュパジュパと花弁全体にかぶりつくと、みくちゃんはまたニャンニャンと子猫のような喘ぎ声を上げた。
「っぷは! みくちゃんのここ、とってもおいしいよ」
息継ぎのついでにそう声をかけると、みくちゃんはイヤイヤするように僕の腰のあたりを叩いた。
「ばかぁ、そういうこと言わないでっ」
「あはは、ごめん。でも、みくちゃんも気持ちよくなってもらえて、僕、嬉しいよ」
「むー……、Pチャンのくせになまいき……。だったら――えい!」
「わっ!」
みくちゃんは僕を突然押し倒し、マウントポジションをとった。そして僕を組み敷いたみくちゃんが次にとった行動は、さらに僕を驚かせた。
「はむっ」
「んっ!」
みくちゃんはそそり立った僕の逸物にいきなりパクリと食いついたのだ。
「んっ、んっ、んんっ!」
最初から唇で激しく竿をしごきたてるみくちゃん。彼女からしてみたらさっきのお返しといったところなのだろう。
「あああっ!」
怒涛の反撃に、僕は情けない声を漏らしてしまった。
「ふふ、気持ちいい、Pチャン?」
一旦口を離して訊いてきたみくちゃんはちょっと楽しそうに声を弾ませた。
ようし、それなら!
「ぼ、僕だって負けないよ!」
勇ましく宣言し、僕は首を持ち上げてみくちゃんのアソコにかぶりついた。
じゅるるるるっ! 僕はみくちゃんの淫らな穴に口をつけ、そこから流れ出るおつゆをポンプみたいに吸いあげた。
「ひ、ひああああっ!」
効果はてきめん。みくちゃんはお尻の穴までヒクヒクさせながらかわいらしい悲鳴をあげた。
「んむっ、んむっ、んむ!」
「あ、あ、あんんっ!」
続けて舌で秘穴の入り口をほじくるように舐めると、みくちゃんは艶めかしい声で鳴いた。穴は汲めども尽きぬ源泉のごとくラブジュースを漏出させており、いつのまにか僕の口までベトベトになっていた。
「ああ、みくちゃん、みくちゃん!」
「ん、んんん……っ! こ、こっちだって!」
僕の攻めの一瞬の隙を突くように、みくちゃんはまた僕の竿を口に含んだ。
「くっ!」
熱い口づけの快感に、僕の会陰も瞬時に緊張した。
「ん、ん、んふう! んっ、くっ、あん!」
「んはあっ、ちゅ! ああ……、ちゅぷぷっ!」
そこから僕たちはまるで張りあうかのようにお互いの性器を激しく舐めあった。
ちゅぱちゅぽ、じゅぽじゅば、ずずず、ちゅぽん……。
淫らな水音と互いの吐息が僕の耳朶を打った。つけっぱなしのビデオからも女優さんの激しい喘ぎ声が聞こえていたけれど、僕にとってはみくちゃんの声のほうがずっと官能的に思えた。
口を半開きにし、無我夢中で彼女の花びらに舌を這わせる僕は、きっとだらしのない顔をしていたに違いない。下半身は波打つような快感に襲われ、目の前にはぬらぬらと妖しく光る秘密の花園が迫っている。もう脳が溶けそうだった。やや酸味がかった女の子汁は舌を刺激し、みくちゃんの肌を湿らせはじめた汗の匂いも僕を酔わせた。
絶頂の信号は突然にともった。陰嚢がきゅうっと窄まり、すべての快感が体の中心部に集まってくるような感覚に襲われる。
「あっ! みくちゃん、もうダメだ! それ以上したら出ちゃうよ!」
僕は慌ててみくちゃんに限界を訴えた。もちろん口淫を停止してもらうためだ。
「ん!? ……んん、んくっ、んくっ、んく!」
しかしみくちゃんは一瞬動きを止めただけで、続けてじゅぽじゅぽと竿を吸いはじめた。
しかもさっきまでよりもピストンがいっそう激しくなっているようにも思える。
まるで、こちらの放出を促すかのように。
「み、みくちゃん! このままじゃやばいよ! 口のなかに出しちゃう!」
「んん、んん、んんっ!」
僕の警告を無視して首を振りつづけるのが、まごうことなき彼女の答えだった。迫りくる射精衝動は、僕にももう止めることができない。
「ああっ! 出る! みくちゃんの口に……っ、く、くううううっ!」
ビュクビュクビュクッ!
堰を切った奔流は管を一気に駆け抜け、みくちゃんの口中にどばっと流れ出した。
「んっ!?」
放出の瞬間、みくちゃんが体をこわばらせるのが分かった。
しかしみくちゃんは怒張から口を離すことなく、なおも鈴口から漏れ出るほとばしりをしっかりと舌で受け止めてくれた。
「あ、ああ……」
この世でもっとも心地よい脈動を感じながら、僕は感動すら覚えていた。
自分が放った精を、愛しい人が口で受けとってくれている。
こんな尊いシーンってなかなかあるもんじゃないと思う。
そして、射精の収まった僕の肉ホースから口を外したみくちゃんが次にとった行動は、僕をおおいに驚かせた。
「ん……、んくっ、ごくん……ぷはぁ……」
少し顎を上げたみくちゃんが、ゴクリと喉を鳴らす気配を見せたのだ。
「え……っ!? み、みくちゃん、まさか飲んじゃたの!?」
シックスナインの体勢を解いて振り返ったみくちゃんは、驚愕に目を見張った僕に軽いしかめ面を返した。
「だって……、こうしないとベッドが汚れちゃうし……」
みくちゃんはなぜか少し拗ねたように唇を尖らせて答えた。口中にまだ少しネバネバが残っているのだろう、もぞもそと舌を動かしている。
そんなみくちゃんがかわいくてかわいくて、僕は衝動的に彼女に抱きついてしまった。
「きゃっ! ち、ちょっとなに、いきなり……」
「みくちゃん、ありがとね! 僕、すっごく嬉しいよ!」
テッシュにもでも吐き出してしまえばよかった――なんて言うのは野暮だろう。飲精ばかりが愛情表現じゃないけれど、みくちゃんの行為にはたしかに愛が感じられた。
ぎゅっとみくちゃんを抱きしめる僕。このまま感動のラストを迎えられればカッコよかったのだろうけど……。
「……あっ!」
そのときみくちゃんの手が僕の竿に伸びてきたもんだから、僕は文字通り腰砕けになってしまった。
「ここ……まだ大きいままだね」
みくちゃんの言うとおりだった。放出によってやや硬度を失ったとはいえ、僕の逸物はまだまだ衰えを見せていなかった。自慢できることでもないんだけど。
「ご、ごめんね、なんか……」
「出し足りないん……だよね?」
みくちゃんが上目遣いで僕を窺ってくる。この問いに対する答えはひとつしかない。
「う、うん!」
勢い込んで頷いた僕を見てみくちゃんはクスリと笑った。そしてすっと僕の股下に潜り込み、またもや肉竿に口を寄せてきた。
「あっ!」
またフェラチオでイカせてくれるのか――そう思ったのだけれど、みくちゃんは肉胴を握ってなかに残った精液を絞り出し、それを舐めとっただけで口を離してしまった。え……なんで?
「Pちゃんもやっぱり、したいよね……セッ……クス」
最後の単語はほとんど聞き取れないくらいだったけど、彼女の視線がちゃんと言葉を補っていた。みくちゃんの視線は、ついに男女のまぐわいを開始したアダルトビデオの画面に注がれていたのだ。
女優さんの妖艶な嬌声を聞きながら、僕はごくりと息を呑んだ。
「そ、そりゃあしたいけど……でも、い、いいの?」
緊張を孕んだ僕の問いかけに、みくちゃんは小さく、しかししっかりと頷いた。
「Pチャンにあげたいの……、みくの初めて……」
「み、みくちゃん……っ! 大好きだよ!」
胸にじんと熱い思いがこみ上げてきて、僕はまたみくちゃんを強く抱きしめた。今度はみくちゃんも僕の背中に手を回してきた。ああ……、こんなかわいい子が彼女だなんて、僕は宇宙一の幸せ者だよ!
僕はみくちゃんを抱いたまま、彼女をそっと後ろへ押し倒した。僕らは見つめあい、互いの意志を確認する。もう言葉はいらなかった。
体の準備も整っていた。僕のほうはさっきみくちゃんにひと舐めしてもらった段階ですっかり硬度を取り戻していたし、みくちゃんもあれだけ濡れていれば男を受け入れるのに支障はないはずだ。
僕たちはいよいよ次の――最後のステップに進むんだ。しかし――。
「あ……、ど、どうしよう。このまま挿れちゃったら……」
根本を持って自分の先端をみくちゃんの入口へ向かわせようとしたところで、僕は致命的なミスに気づいてしまった。
僕たちは避妊の準備をまるでしていない。
躊躇して腰を引こうとした僕の腕に、しかしみくちゃんはそっと手を添えてくれた。
「みくなら……大丈夫。だから、そのまま来て」
賢いみくちゃんはこれが生挿入になることなどとっくに気づいていたのだろう。僕を見つめる瞳からは覚悟と慈愛が感じられた。
だったら僕も男としての覚悟を決めなくちゃいけない。
「……分かった。僕も初めてだからうまくできるか分からないけど、絶対にみくちゃんを悲しませるようなことはしないから!」
万が一失敗しちゃっても絶対に責任をとる! そんな決意を込めて、僕はみくちゃんを強く見つめ返した。
「ん……、そっか、Pチャンも初めてなんだね……、えへへ」
嬉しそうに微笑むみくちゃんの頬にキスをしたあと、僕はふたたび剛直を花園へと向かわせた。
さっき舐めたときにじっくりと観察していたから、入口の位置はだいたい把握できていた。とはいえなにせ初めてで、すべてが手探りだ。指で根本を固定し、目ても確認しながら慎重に先端で花弁をなぞっていく。
「ん、ここか……」
先端がふっと沈みこむような感触を得、僕はそこが入口だと確信する。ゆっくりと腰を前へ進めると、やはり先端はずぶぶと恥肉のあいだに埋もれていった。
「んんっ!」
先端が割れ目を裂いた瞬間、みくちゃんは艶めかしい声をあげた。僕は一瞬腰を引きかけてしまったけれど、ここでやめたらみくちゃんに余計辛い思いをさせてしまうかもしれない。僕は意を決して前進を続けた。
「ん、はあっ、くう……っ」
自分の肉棒が秘口に吸い込まれていく。その光景を見ているだけでもエロティックだったし、なによりもなかの熱さは想像を絶していた。ちょっと差し込んだだけでこの快感。奥まで穿ち、思う存分に膣内を往復させたら、どんなに気持ちがいいのだろう……?
しかし、ここで欲望に負けて狼藉を働くわけにはいかない。ようやく亀の頭が収まったくらいのところで一旦侵入を止め、僕はみくちゃんを窺った。
「どう……かな? 痛くない?」
「ちょっと変な感じだけど……、へ、平気。続けて……いいよ」
苦しげな声色ではあったが、強がっている気配はなかった。僕は慎重に前進を再開させた。
が、そこで突然、みくちゃんの反応が一変した。
「い、痛っ!」
鋭い声に僕はビクリとなる。さっきのところからほとんど動いていないはずなのに……なんで?
「ご、ごめん! 僕なんか変なことした!?」
焦って尋ねると、みくちゃんは浅く呼吸をしながらもふるふると首を振った。
「な、なんかチクッとしただけ……。なんか、皮を破かれるみたいな……」
「あ……」
言われて僕は、自分の先端がかすかな抵抗にあっていることに気がついた。
これたぶん……処女膜だ。
「そ、そっか……。ここを破かないといけないんだ……」
みくちゃんも自分に痛みを与えたものの正体に思い至ったらしい。ハアハアと荒い呼吸を繰り返して、タイミングを図っているようにも見える。
「ど、どうしよう、みくちゃん」
大人の男ならばここは優しく女の子をリードする場面なんだろうけど、童貞の僕はそんな知識も経験も持ちあわせていなかった。
「ん……たぶん、ゆっくりやると逆に痛いと思う……。だから、思い切って一気に進んでほしい……かも」
みくちゃんは絞りだすように言った。
一気に、か……。この対処が正解なのか僕にも分からないけど、ここはみくちゃんを信じるしかない。
「わ、分かった。じゃあ、次で奥まで挿れるから、耐えられなくなったら言って。すぐに抜くから」
「う、うん」
緊張気味に頷いたみくちゃんを少しでもリラックスさせようと、僕は彼女の髪の毛を優しく撫でてあげた。これが今の僕にできる精一杯だ。
「……行くよ」
静かに宣言し、ひと呼吸おいてから、僕は思い切って腰をひと突きした。
「はあうぅぅぅぅんっっっ!」
ぶちんと膜を突き破る感触と同時に、みくちゃんから断末魔のような悲鳴が上がった。
みくちゃんはエビ反りのように背をのけぞらせる。
僕は思わず逸物を引き抜きかけたが、覚悟を決めたみくちゃんの顔が脳裏をよぎり、なんとかその場にとどまることができた。
「だ、大丈夫……、みくちゃん?」
みくちゃんがなんとかおちついたところで、僕はおずおずと声をかけた。
「ハア、ハア、ハアッ! い、痛かったけど、も、もう大丈……夫っ」
額に汗を浮かべたぎこちない笑み。やっぱり、破瓜の痛みがすぐに収まるなんてことはないんだ……。
結合部に目を落としてみても、やはりつゆに早くも赤いものが混じっていた。痛々しい光景が僕の良心を責めたてる。
「無理はしないで……。本当に耐えられないくらい痛いなら、ここでやめたっていいんだから……」
しかしみくちゃんは短く首を振って強い拒絶を示した。
「やだよ、そんなの! ここまできたんだもん……、みく、Pチャンとちゃんと最後までしたい……っ」
「みくちゃん……」
「本当にダメだったらちゃんと言うから、それまでは……ね? Pチャンは? 痛く……ないの?」
目頭が熱くなった。自分が辛いときだというのに、僕のことを気遣ってくれるなんて……!
「痛いわけないよ! むしろ気持ちよすぎて油断したら今にも果てちゃいそうなくらいだよ!」
「ふふ、なにそれ」
僕が膣内の気持ちよさを力説すると、みくちゃんは苦悶を残しながらも顔をほころばせてくれた。
実際、僕はえもいわれぬ快感に襲われていた。
肉竿はいまやみくちゃんの膣内にすっぽりと収まっている。口でしてもらったときも相当気持ちよかったけれど、竿全体を柔らかな肉壁で包まれる快感は想像を絶するものだった。なかの肉はまるでそれ自体が独立した生き物のようにうねうねと僕の肉幹に絡みついてきて、じっとしているにもかかわらず射精を促されている気がした。さっき口で一度抜いてもらっていなければ、奥まで挿れた瞬間に膣内にぶちまけてしまっていたんじゃないかとすら思える。そうなっていたら避妊もなにもあったもんじゃない。
「はあ、はあっ、みくちゃん、ホントに気持ちいいよ……っ」
僕がうわずった声で快感を訴えると、眉間に皺を寄せて痛みに耐えていたみくちゃんも、薄く瞼を開いた。
「みくも……、最初よりもだいぶ楽になってきた……かも。んっ……、ゆっくりだったら、う、動いてみても、いいよ?」
みくちゃんが無理をしているのは分かった。だけど、未知の快楽への誘いには抗えなかった。
「じ、じゃあ……動かすね」
思いきり腰を振りたい衝動と戦いながら、僕はできるかぎりゆっくりと入口に向かってモノを逆走させた。
「んっ!」
引き抜かれる感触は多少でも気持ちいいのか、みくちゃんは声には艶っぽさが混じった。
僕としても、ぐちょぐちょの肉襞を通過する感触はまさに未知との遭遇だった。
エラの部分がわずかに顔をのぞかせたところで、今度はまた肉棒を奥へ押し戻す。
焦らず、ゆっくりとだ。
すると、じわじわじわと蠕動が肉胴を侵食していき、僕の腰を快感に震わせた。
「く、くううっ! す、すごい!」
あまりの気持ちよさに、僕は唇を固く噛み締めた。そうしないとすぐにでも発射してしまいそうだったのだ。
「あ、んん……ん。みくもぉ……、なんか、変な感じぃぃん!」
何度か抽送を繰り返すうちに、みくちゃんの表情からもだいぶ硬さがとれてきた。少しずつ痛みはやらわいでいるようだ。よかった……。
上々の反応を受け、僕は自然と腰を動きを速めていた。乱暴に腰を打ちつけるような真似はもちろんしないけど、ピストンのスピードは最初よりも明らかに上がっていた。
たっぷりのおつゆは肉剣の抜き差しを助けてくれていた。
愛液でぬらぬら光る剛直がぱっくりと割れた肉の口を出たり入ったり。
この光景を眺めているだけでもかなりの興奮を覚えた。
「ああ! みくちゃんと僕、いま、ひとつになってるよ!」
「うん、うん! Pチャンとひとつになれて、みくも嬉しい!」
みくちゃんから同じ思いを返され、僕の胸にも喜びが広がった。みくちゃんにももっと気持よくなってほしい……。そんな思いが僕に、ある天啓をもたらした。
僕は一旦腰の動きを止め、肉棒をみくちゃんから引き抜いた。
「どう……したの?」
なんの断りもなくピストンを中断させた僕を、みくちゃんは不安げに窺った。彼女を安心させようと、僕はにっこりと微笑みを返す。
「ちょっと試してみたいことがあるんだ。みくちゃん、四つん這いになってくれる?」
「え? 四つん這い……?」
戸惑いながらもみくちゃんは身を起こし、僕の注文どおり膝と手をついた。その体勢で首だけ振り向いて、僕を窺うみくちゃん。
「ねえ、な、なにするの?」
「この格好で――後ろから挿れてみるね」
「え!? う、後ろって――んんっ!」
みくちゃんの許しを得るより早く、僕はズブリと彼女に肉槍を突き入れた。
二回目だったし、お尻が突きだされて膣口が丸見えになっていたから、迷うことなく挿入できた。
「んはぁん! そんなぁ……奥までぇ……っ」
すでに淫肉はほぐれている。そう判断した僕は遠慮なくひと突きで奥まで怒張を差し込んだ。根元まで刺さった肉槍が押し戻されないように、僕はみくちゃんの細い腰を両手でしっかりと掴んだ。
「どう……かな? 初体験だとこっちの体勢のほうが痛くないって聞いたことがあったんだけど……」
自分でやっておいてなんだけど、この噂に確証はない。よくある都市伝説かもしれない。たぶん、性器の形状だとかで一概には言えず、気持ちいいと言う人も痛いと言う人もいる、というのが本当のところなのだと思う。もちろんみくちゃんに負担をかけるようであればすぐにやめるつもりだったが、試してみる価値はあるだろう。
「ん……、わ、分かんない……っ。でも、さっきと当たってるところが違って……んっ!」
みくちゃんの言うとおりだ。正常位とは単純に挿入の向きが違うだけでも、こすれる箇所は異なってくるはずだ。僕もさきほどまでとはまた違った刺激を感じていた。
しかもこの体位だとより深くまで竿を差し込める気がする。意識を集中すると、先端に軟骨のようなコリコリしたものが触れているのを感じとることができる。たぶん、先端が子宮口に当たっているのだと思う。
「気持ち……いいかな?」
「……動いてみて」
満更でもない様子だ。僕はリクエストどおり突きを開始した。ただ、正常位のときみたいに大きく出し入れするのではなく、小刻みに動いて奥を突くようか感じでやってみた。せっかく奥に届いているのだから、そこを攻めたいと思ったのだ。
「んはっ!? ああっ! ああっ! ひゃんっ!」
みくちゃんの反応は想像した以上のものだった。コリコリした部分を突くたびに、みくちゃんは甲高い喘ぎ声をあげた。
す、すごい……っ。
当然乱暴にならないよう細心の注意を払って軽く突いているつもりなのに、なんだこの乱れた反応!
「み、みくちゃん……奥? 奥のところが気持ちいいの?」
「分かっ、分から……ないっ……。でも、でもぉ……!」
未知の強い快感に、みくちゃんの意識はまだ対応しきれていないようだった。しかし体のほうは雄弁だ。僕が奥を攻めるたびごとにみくちゃんの秘孔からは大量の汁が湧き出し、結合部からぼたぼたと垂れてシーツに大きな染みを作りはじめていた。
「くう! みくちゃん、すごいっ! 締めつけがきつすぎ……っ!」
強烈な刺激に耐えなければならなかったのは、僕もまた同様だ。快感を覚えたみくちゃんの淫肉はぎゅうぎゅうと男根を圧迫して緩むところがない。無理に動かせばなかでぽっきりと折れてしまうのではないかと恐怖させるほどの、強烈な締めつけだった。
「あん、あん、ああん! はっん! あんんっ!」
僕が勇気を振り絞って腰を使うと、みくちゃんは今日一番の淫らな反応を見せた。喘ぎ声の大きさは横で流れているアダルトビデオの女優顔負けだ。
「みくちゃん、この体位好きなの? バック気持ちいいのっ?」
「好きぃっ! バック好きなのぉ! 気持ちいいのぉっ!」
駄々をこねる子どものような声で鳴いたみくちゃんは、手で体を支えるのも辛くなったのか、とうとう肘を折って横顔をベッドにうずめてしまった。背筋をしならせてお尻を突きだしたポーズは、それこそ猫のようだった。
自分が彼女を猫にしているんだと思うと、僕もゾクゾクとした嗜虐心を覚えさせられた。
「ああっ、僕も気持ちいいよ! このまま!? このまま最後までいいの!?」
「ああん! い、いいけどぉ……っ、でも、ああっ、さ、最後はPチャンの顔見たいぃ……ん!」
「わ、分かった!」
喘ぎ声の隙間から告げられた願いを聞き入れ、僕は一旦みくちゃんと体を離し、すばやく彼女の体をひっくり返した。
ふたたび仰向けになった彼女に急いで覆いかぶさる。
つながったまま体位を変えるなんて器用な真似はできなかったけれど、彼女から離れる時間を少しでも短くしたかった。
「んあああっ!」
剛直を差し込んだ途端、みくちゃんは歓喜の咆哮を放った。もう痛みはすっかりなくなっているようだ。バックスタイルによってみくちゃんは快感の扉を完全に開かれてしまったのだろう。
そして僕もまた、絶頂に向かって突っ走るしかない状態に追い込まれていた。
「みくちゃん、みくちゃん! ああ! 動くよ! 動いていいの!?」
「い、いいよ! 動いて! Pチャンのおちんちんでみくのなかズッポズッポしてほしいのぉっ!」
みくちゃんは乱れに乱れていた。
僕ももう遠慮もなにもない。
本能の赴くままにがむしゃらに腰を振る
。射精を促そうと蠢く膣肉に、僕はガチガチに固くなった怒張をこれでもかというほどこすりつけた。
自分の手でしごくのとは、全然違う。熱い汁でぐちゃぐちゃにされ、柔らかな肉圧でぎゅっ、ぎゅっと絞られ、襞という襞で奥ヘ奥へと引き込まれる……。
こんなのもう、耐えられるはずがない! 怒涛のような性感が僕に襲いかかった。
「あああっ! みくちゃん、ダメだ! もうイク! イクよ! ああ、来たからっ! もう出ちゃうよ!」
「ああんっ! みく、切ない、切ないよぉ! 来てぇ……っ、このままで……、いいからぁっ!」
このままで――みくちゃんのひと言に一瞬心が揺らいだ。しかし――。
「ぐっ!」
僕は最後の理性を振り絞り、発射直前で大きく腰を引いた。
「あんっ!」
「ああっ、出――っ!」
秘口から鈴口が覗いた瞬間、剛直は精液を噴出させた。
弾丸のように飛びだした第一射はみくちゃんの胸の下あたりにまで到達。それ以降も、ビクッビクッと脈打つたびに鈴口から粘液が噴き上げ、みくちゃんのお腹に白い雨を降らせていった。
「ハア、ハア、ハア……」
「くう……っ、まだ……っ」
僕は怒張を手でしごき、いまだに管を上ってくる精液を、呼吸で蠢くみくちゃんのお腹の上へあまさず降りかけた。
永遠に続くんじゃないかとすら思えた射精がようやく収まる頃には、みくちゃんの下腹部はドロドロにデコレーションされてしまっていた。
我ながらとんでもない量の射精である。こんなに出したのは生まれて初めてだった。しかも今日二回目の射精だというのになんてことだ。どちらかと言えば自分は淡白なほうだと思っていたけど、これは自己認識を改めなきゃならんかも……。
「ごめん、みくちゃん! こんなに汚しちゃって……」
僕が粗相を謝ると、みくちゃんは首を持ち上げて白く汚れた自分のお腹をうっとりとした目で見つめた。
「ん……いっぱい気持ちよくなったんだね。仕方ないよ。これ、なかに出したら大変だもんね」
腹上に広がった白濁液を指ですくいながら、みくちゃんは苦笑した。自ら中出しを所望してたことは……あまり覚えていないのかもしれない。
「とりあえず……拭こっか」
「ねえ、Pちゃん」
ティシュを求めてベッドを降りかけた僕をみくちゃんが不意に呼び止めた。
「え、なに?」
「みく……、ちゃんとセクシーになったかな?」
ちょっと意表をつかれた。僕としてはとっくに頭から追いやられていた課題だったけど、みくちゃんはちゃんとアイドルとしての勉強に取り組んでいたのか。
不安げな表情で回答を待つみくちゃんに、僕は嘘偽りのない自分の気持ちを返した。
「セクシーだよ、みくちゃんは。少なくとも、僕にとってはすごく」
僕がにっこりと微笑みかけると、みくちゃんは花が咲いたように表情を輝かせた。
「嬉しい! Pちゃんもたくましかったよ。みくをいっぱい気持よくしてくれたし」
えへへ、とはにかむみくちゃんの健気さに、僕は胸を打たれた。痛いこともあったはずなのに、そんなことはおくびにも出さずに僕を立ててくれる。そんな彼女がとても愛おしく思えた。
「ねえ、みくちゃん」
今度は僕がみくちゃんに問いかける番だ。真剣な目を向けると、みくちゃんは「ん?」とかわいらしく小首をかしげた。
「キス……していいかな?」
僕が愛の証を求めると、みくちゃんはなぜかちょっとすねたような表情を浮かべた。
「……そういうのは、なにも訊かずにするのがカッコいいのに」
「あはは、そうだね」
みくちゃんのおっしゃるとおりだった。ここでビシッと決められないから、僕はまだまだヘタレなんだろうなあ。
なんとも締まらないラストだけど――。
僕らは目をつぶって、ついばむようなくちづけを交わした。
*
以上が、僕が彼女である前川みくにせがまれて一緒にAVを見た日の顛末だ。
図らずも僕らは結ばれたわけだけども、だからといってなにかが変わったわけでもない。童貞を捨てて自信をつけた、なんてこともなく、僕はあいかわらずヘタレなままだ。みくちゃんもトップアイドルを目指して仕事やレッスンに励んでいる。
そんなわけで、今日も今日とてみくちゃんは僕に無茶な頼みを持ってくる。
「スキンつけてセックスするにゃ!」
僕の部屋に入ってくるなり、みくちゃんは紙の小箱を僕の眼前に突きつけた。
「……はい?」
あんまりにも唐突で、僕は目をすがめて訊き返してしまった。なんだって? ス、スキン? ってああ、コンドームのことか。
「この前してみて分かったにゃ! やっぱりセクシーさを身につけるにはビデオを観るだけじゃ不十分。実践を伴ってこそセクシーな女に近づけるのにゃ!」
腕を組んで得意げに鼻の穴をふくらませるみくちゃん。制服姿でコンドームの箱を持っている姿はそれこそAVのパッケージっぽいんだけど……。
「ええと……、言わんとしてることは、分からないでもないけど……」
「この前はその……、な、生でしちゃったけど、やっぱり避妊はちゃんとしなくちゃダメなのにゃ! だから、ほら!」
みくちゃんは顔を赤くしながら僕にコンドームの箱を押しつけてきた。もちろん避妊具の使用にかんしてはやぶさかではないんだけどさ……。
「協力はするんだけどさ……、あの一個だけ訊いてもいい?」
「ん? なんにゃ?」
「さっきから気になってしかたないことがあるんだけどさ、なんでまた『スキン』?」
みくちゃんはコンドームのことをなぜかそう言いつづけていた。ずいぶんと昭和の香りが漂う通称なんだけど……。
「え? ウサミンがこれのこと、そう呼んでたにゃ。この箱もウサミンがくれたんだよ?」
「……」
……またウサミンか!
みくちゃんがセックスするとか言いだしたのも、ウサミンが変な入れ知恵をしたに違いない。てか、コンドームをスキンって、あの人、ホント歳いくつなんだよ!
「さ、始めるにゃよ。女の子は大好きな人とセックスした数だけセクシーになるってウサミンが言ってたにゃ。Pちゃんも、ウサミンの言うことを信じにゃさい」
みくちゃんはにんまりと微笑むと、発情期の猫のように僕に身をすり寄せてきた。
「う……」
抵抗なんて、できるはずがなかった。
僕はついつい、みくちゃんの柔らかい背中に手を回してしまう。
まあ……こんな日々が続くなら、僕もちょっとだけウサミンを信じてみてもいいかな?
なんたって僕は、前川みくのヘタレ彼氏なのだから。