空区。
いずれの国や里にも属していない廃墟群であり、一説によれば抜け忍等も住んでいるとされている。
一般人はもちろんのこと、普通の忍も必要に迫られなければまず寄り付かない。身を隠すには持ってこいの場所に、ここ最近二人の人間が居座るようになっていた。
廃墟群の一角に存在する部屋。外観こそ薄汚れており人の気配を感じられないが、扉を潜ってしまえば生活感に溢れた部屋が姿を現す。
買い物を終えた男が向かった先には女が一人、使い古されたソファの上で寝息を立てていた。穏やかな寝顔を眺めた後は、床に落ちてしまっていた毛布をぽっこりと膨らんだお腹へと掛ける。
彼女───多由也は今、子供を身籠っている。
二十歳にも満たない麗しい美少女にも拘わらず、自分の子を孕んでくれていると思い返す度、男は幸福に頬を緩ませるばかりだった。
「ん……ぅん……?」
しばし休んでいれば眠たげな眼を擦りながら、多由也が起き上がった。
着崩れた寝巻の襟を直す彼女は、どっしりとソファの背もたれに背中を預ける。未だ夢現の中、トロンとした眼で床をじっと眺めている多由也。身重とあってゆったりとした着物を着ている彼女の無防備な姿には、得も言われぬ背徳感が込み上がってくる。
襟元から覗く鎖骨やピンと張った乳房、そして艶めかしい太腿等、出会った時からすでに魅力的であった肉体も今や母へと移り変わっている途中だ。
「何じろじろ見てんだ、このゲスチンヤロー」
が、凝視していたのがバレるや罵倒が飛んでくる。
慣れたものだと苦笑いで返す男にふんと鼻を鳴らせば、多由也は『腹減った』と食事を催促した。
彼女が妊娠した為、どこか定住できる場所はないかと空区に移り住んでからというもの、身の回りの世話は男が中心に行っている。大蛇丸の実験体であった彼女に家事スキルを求めるのも酷であるが、それは男も似たような話だ。
とは言うものの、カワイイ連れと我が子の為だ。無言で両手を差し伸ばしてくる多由也をお姫様抱っこで抱え食卓につかせるのは序の口、風呂場では全身を優しく洗い上げ、果てにはベッドまで運び届ける。
始めこそウザがられたものの、今となっては無言で受け入れている辺り、彼女の態度も出会った当初より軟化したと言えよう。
それよりも、男は一つ問題を抱えていた。
ここ数か月、身籠った多由也を慮る生活を続けていた彼であるが、とある一点について我慢が限界を迎えかけていたのだ。
思い出してみよう───彼女と出会ってからの生活を。心に傷を負った彼女を慰めんと体を許し合ってからというもの、毎晩発情した猿の如く盛り、求め合ってきた。
最早肉欲をぶつけ合うなら、お互い以外考えられない……そこまで昇華した上での妊娠だ。
一般的に妊婦との性交は憚られるもの。激しい性交により胎児が流れる危険があるからだ。
それ故に、男は泣く泣く禁欲の日々を送る羽目になっていた。
多由也は『別にそこまでしなくてもいいだろ』とドライな反応をしていたものの、万が一を考えた時、自分の性欲の為だけに我が子を危険に晒す真似は許容できなかった。
そういう訳で、ここ最近はめっきり仙人染みた生活を送っている。
多由也の艶めかしい肢体を前にしながらも自制しつつ、来たる我が子との対面を待つ日々だ。
肉欲を貪る日々も悪くなかったが、こうした平穏な日常こそ追い求めていたのかもしれない。
「……」
しかし、そうして幸福を噛み締める男の傍ら、多由也の瞳には暗い影がかかっていた。
「んっ! んっ! んっ! んっ!」
ジュルルルル! と淫猥な吸引音が風呂場に響き渡る。
浴槽に張られた熱い湯舟は、激しく頭を揺らす多由也によって荒々しく波立っていた。
「ん~~~~、ぷはぁ! はぁ……オラ、さっさと
そう言って怒張した逸物から口を放した多由也は、間髪入れず片手で扱き始める。
全体に満遍なく塗りたくられた唾液もあり、細い五指は滑らかに竿全体を擦っていく。
真っ赤に充血した亀頭から、精液が込み上がっている根本に至るまで余すところなく刺激を与えてくる手淫には、堪らず先走り汁が溢れ出す。
数か月ぶりの雄汁。これで先に箍が外れたのは多由也だった。
目を輝かせ、あるいは獲物を前にした肉食獣のような眼光を閃かせ、すかさず亀頭にしゃぶりついてくる。
「んっ! んっ! ふっ! んむぅ! んっ……!」
再び激しい口淫を男に見舞う多由也。
我を失ったように肉棒をしゃぶる彼女の姿は、男の禁欲など知ったことかと言わんばかりであった。
その証拠に彼女は、妊娠中でパンパンに張り詰めた乳房を抱え上げ、怒張した逸物を挟み込むようにしつつ上下に激しく動かしていた。以前の彼女であれば、滅多なことがなければ自身の胸で逸物を挟むプレイはしてくれなかったであろう。それほど今の彼女も性に貪欲という訳だ。
孕む以前であれば髪色に負けぬ鮮やかな桜色だった乳頭も、今や黒々しい色合いとなっている。
だがしかし、これはこれで背徳的だと男の情欲の炎は燃え上がった。なにせ子を宿らせてからのごく限られた時間しか味わえない実りなのだ。
そんな彼女に熱烈な視線を送っている間にも、肉棒を口と乳で扱き上げられる快楽は、脊髄を駆け上がるように男を震わせた。
と、男が快感に喘いでいれば、あの手この手で甘美な快楽を与えていた小鬼が、淫猥な悪戯を仕掛ける。
パンッ! パンッ! と風呂場に小気味いい音が響く。それは肉棒を挟んでいる乳房を男の股座へ豪快に叩きつける音。
その度に甘い香りがふわりと立ち上れば、みるみるうちに精嚢から溜まりに溜まった精液が込み上がってくる予感を、多由也は舌先で感じ取った。
(そろそろクるか……そら、イけ! イけ! 来やがれ!)
ともすれば、
───次の瞬間だった。
「んぶッ!? ぶぉ!?」
予想を超える精の濁流が、多由也の口腔へと押し寄せてきた。
その量もさることながら、飲み干すこともままならぬこてこてな精液に、飲み切れなかった分が口や鼻から勢いよく溢れ出す。
これには多由也も自然と涙目を浮かべるも、嗅覚を直接ぶん殴るような濃密な精臭に中てられた彼女は、狂ったように口腔どころか喉へ注ぎ込まれる白濁液を嚥下した。
風呂場全体に反響する嚥下音を鳴らすこと数回。ようやく射精が終わって萎み始めることで、多由也はようやく口から肉棒を引き抜くことができた。
「ぶはぁ!? はぁ……はぁ……殺す気か、テメー!! いくら久しぶりだからって、やり過ぎにも程があんだろうが!!」
鼻息荒く詰め寄る多由也に男もたじたじだ。
イカせたのはそちらなのに……、とは口が裂けても言えない。
と、始まった痴話喧嘩も早々に終息を迎える。
もじもじと太腿を擦り合わせる多由也。彼女の顔には隠し切れない期待が浮かび上がっており、押し当ててくる肢体からは芳醇な雌のフェロモン臭が漂ってくる。
「……なんだよ、ウチが盛ってるって言いてーのか?」
身動ぎする多由也が、荒い息遣いをしながら男と顔を突き合わせるように詰め寄ってくる。
「そうだよ」
直後、飛び出てきた肯定の言葉。
「……これも全部、テメーのせいだろうが!」
だが、すかさず責任を転嫁する旨と押し付けられる胸により、男は壁際へと追い詰められた。
何のことだと困惑していれば、多由也は徐に自身の乳房に手をかける。
『んッ……!』と色っぽい艶声と共に溢れ出たのは───乳白色の液体。仄かな甘い香りと共に噴射される汁は、もののみごとに男の顔面へ直撃した。
「ッ、……はぁ! ……お節介だかなんだか知らねーが、テメーが毎日体洗ってくるから、ウチも
もう一度ギュウと乳を搾れば、黒々しい乳頭と乳輪から新鮮な母乳が噴き上がる。
「毎度生殺しにされて……テメーが眠った後、毎晩一人でパンパンに張った乳絞ってんだよ……」
多由也はただしく発情しており、そこに母となるであろう女性としての落ち着きも慎ましさも存在しない。ただただ快楽を欲する女として、己が肢体を餌に男の体を求めているのだった。
「責任、取りやがれ」
ポチャン、と多由也の股座───否、女陰から零れ落ちた愛液が湯船を揺らす。
「それに……とっくに安定期には入ってんだよ」
これ以上言わせんな。
口には出さずとも、いじらしくそっぽを向いた多由也の横顔は、そう物語っていた。
「───んっ、んっ……んむっ……あっ、ふぅ……!」
簡素な寝室の中、敷かれた布団の上で男女が繰り広げていたのは
屹立する肉棒を咥える多由也は、乳腺が発達して膨らんだ乳房とボテ腹を揺らしている。
片や男はと言えば、こちらも長い期間の禁欲から解放され滝のように流れ落ちてくる愛液を掬い上げるようにしつつ、女陰と肉豆を舌で舐り回していた。
「んっ……んんんっ!!!」
早速絶頂した多由也が、口淫しているのを厭わず潮を噴出する。
だが、男もまた絶頂の影響で強まった吸引により達し、本日二度目の吐精を多由也の口腔へ叩き込む。
「んっ……んっ……ん゛っ! はぁ……濃過ぎんだろ。どんだけ溜めてたんだ」
と、口元を拭う多由也がぶつくさと文句を垂れる。しかしながら、その弛んだ頬を目の当たりにすれば乗り気であると見られても文句は言われる筋合いはないだろう。
起き上がり、多由也を自身の胡坐の中へ座らせる男。
何をするのかと彼女が目を白黒とさせれば、男は迷わず張り詰めた乳房へと手を伸ばし、
「んお゛っ……!? って、急に搾ってんじゃねえぞ!! 誰の許しを得て、んァ!! も、揉むのやめろぉ……ひぅ!!」
他人の手で搾乳される未知の快感に喘ぐ多由也は、いいように乳房を弄ばれ、あまつさえ母乳を撒き散らされる行為による羞恥心から憤りの意を露わにする。
『ならば仕方がない』と押し倒されれば、
「あんっ!! だ、だからって吸うなァ……あっ!!」
揉みしだかれるように乳房を搾られつつ、乳頭には跡がつきそうな勢いで母乳を吸い上げられていく。胸を吸われるのが初めてという訳でもないが、乳が出る時とそうでない時とでは恥じらいが違う。
実際に母乳を味わわれていると思うと、多由也の中には得も言われぬ羞恥心が湧き上がるものだ。
だからと言って押し飛ばそうにも、それこそ男の吸う力が強くて中々離せない。それどころか吸い付かれている乳首が伸び、まだ見ぬ快楽に自然と体が感じてしまっていた。
ビリビリと痺れる脳味噌に思考が蕩け、気づいた時にはされるがままにされていた多由也は、不承不承と言った面持ちで授乳行為を受け入れていた。
「この……ド変態ヤローが……」
か細い罵倒だけがせめてもの仕返しである。
しかしながら、他人に吸われながらの方が搾乳は捗ったようだ。多由也本人の羞恥心と引き換えに乳房が張り詰める苦しみからは解き放たれたのであった。
「……満足したかよ?」
授乳という特殊な行為に顔を赤らめた多由也は、やや不機嫌そうに唇を尖らせている。
『おいしかった』と男が感想を告げれば、『こんなデカい餓鬼が居るかよ!』と殴り返される一幕もあったが、ここまで来れば微笑ましい光景でしかない。
「ったく……」
情欲の熱で火照った頬を浮かべる多由也は、徐に股を開いた。
ぽっこりと膨れ上がった腹部の下に構えている秘裂からは、これでもかと夥しい量の愛液が零れ落ち、淫靡な雌臭が立ち上っていた。
「そろそろ辛抱堪らねーんだよ……さっさとブチ込め」
くぱぁ、と愛液に溺れた膣口を開いて見せる多由也。これでも彼女なりのお強請りだ。
普段ならば即刻いきり立った肉棒を挿入しているところであるが、今は少々事情が違う。安定期に入ったとはいえ、激しい性交は如何なものかと一抹の不安が男の胸を過った。
「あぁ? 毎度気絶するまでブチ込んできて、マンコ擦り切れるぐらい犯してくる奴がひよってんじゃねーぞ」
とは言うものの、と、男はそれでも気が引けると言わんばかりの態度を取る。
その煮え切らない態度に業を煮やした多由也は、盛大に舌打ちを鳴らした。
「わーった。そこまでマンコでしたかねーんなら……」
徐に四つん這いになった多由也が、
「テメーにゃクソの穴で十分だ」
ヒクヒクとヒクつく菊門。
未だかつて多由也が侵入を許したことのない難攻不落の城門を前に、男の喉からごくりと生唾を呑み込む音が聞こえた。
これまでに散々体を重ねてきた二人ではあるものの、ついに肛門性交は致した経験はなかった。というのも、男側にその知識がなかったのと他ならぬ多由也が嫌厭していたからに他ならない。
しかし、今の多由也は菊門を───もう一つの処女を差し出している。
裏を返せば、それだけ彼女の性欲が高まりに高まっていることを意味している訳だ。否応なしに期待感を煽られる男の肉棒はガチガチに勃起する。
「ほら、すんのかよ? しないのかよ?」
選べ。
そう告げる多由也に対し、男は迷わず一歩前へと踏み出した。
「っ……ちゃ、ちゃんと解せよな。痛くしたらぶっ殺すぞ」
現在二人は菊門に対する前戯に勤しんでいた。
直接触らずとも溢れてくる愛液を潤滑油代わりに菊門へ塗りたくり、ゆっくりと括約筋周りの女肉を柔らかく解していく。
本来陰茎の挿入を想定していない肛門は、強引に致そうとすれば裂ける危険性もある。快楽を覚えるよりも痛覚が襲い掛かれば、気持ちのいい性交どころの話ではない。
だからこそ入念に解す訳であるが、四つん這いのまま菊門を撫でるように揉み解される多由也は、枕で顔の下半分を隠しながら溢れる吐息と嬌声を押し殺していた。
(んだよ、これ……メチャクチャ恥ずかしいじゃねーか!)
今更ながら屈辱的な体位と行為をされていると気付き、多由也の羞恥心は天元突破する。
それでも身を委ねているのは子を孕むのを許容した程の男が相手だからだろうか。羞恥心の先にある快楽を共有するべく、今は我慢だと感情を押し殺す多由也の健気さな姿には、大いにそそられるものがある。
最初は菊門周りを指の腹で撫でるように。
それから僅かに指を挿入しては、痛く感じない程度の速さで出し入れを繰り返し、菊門を抽送運動に慣らしていく。
そうして1本、2本と指を増やしていき、最終的に3本挿入した頃、多由也の菊門は立派な雌穴へと仕上がっていた。
「ふーっ……! ふーっ……!」
心なしか枕で押さえられていた多由也の息遣いも荒々しくなっている気がする。羞恥と興奮が綯い交ぜになったような息遣い、実に煽情的だ。
ここまで解せばもう十分だろう。血管が浮かび上がる肉棒を握る男は、ゆっくりと亀頭を菊門へとあてがった。
膣口とは違い、一番締まりがきついのは入口だ。
始めが肝心。ここで痛がるようであれば今回の肛門性交は諦めなければならないし、やるにしてももう少し時間をかけて解さなければならなくなる。
「ゆっくり……いいか、ゆっくりだぞ?」
多由也の忠告を受けつつ、いざ挿入。
「っ、ぁ……!?」
カリ高な亀頭が菊門を押し広げた瞬間、多由也からか細い悲鳴が上がる。
「ぎ、ひっ……っ、ぁ、あ……んぅ!!」
ズル、ズル……、と少しずつ侵入してくる異物に、まろやかな尻はグネグネと動き回る。しかしながら、腰を男に抱えられている以上、逃げ場など存在はしない。
「が、あ゛ぁ……待て、もうちょいゆっくり───お゛ッ!?」
未知の快感に歯を食い縛っていた多由也であったが、最も直径が大きい亀頭が挿入された瞬間、ズリュン! と一気に突入して菊門を擦り上げる感覚に、雷に打たれたような衝撃な脊髄から脳へと突き抜けた。
「ほ……お゛へ……? は、はいった……のか……?」
膣肉とは違い、挿入されていてもはっきりと感触が伝わってこない腸肉ではあるが、それでも体内を圧迫される感覚は十二分に存在する。それに加えて肉棒を強烈に締め上げる菊門。抽送をする度、口や膣とは比べ物にならない力で締め付ける反面、締め付けた側にも強烈な快感が雪崩のように押し寄せてくる。
「はっ、はっ、はっ!」
多由也は浅く、短い呼吸を繰り返し、未知の快感に抗おうとしている。
だが、直後に腸を掻き分けて進む肉棒に、視界はパチパチと明滅を始めた。
「あ゛ッ……お、ほっ……んぁ!?」
力の限り締め付ける菊門をこじ開けるように進む肉棒は、ともすれば多由也の背骨を擦り上げるように体の奥深くへと突き立てられる。
ゴリッ、ゴリッ、と骨が擦られる旅、その端正な顔立ちからは想像もできぬ狂悦に喘ぐような声が溢れ出た。
(嘘だろ、なんでこんな……気持ちっ、イぃ───っ!!?)
善がっている現実を受け入れられない。
排泄器官である穴に男性器を受け入れているというのに、これが初めての体験だというのに、淫売のように善がり狂う自分を認められない多由也は、涙や涎、果てには愛液を穴という穴から垂れ流しながら必死に絶頂に抗っていた。
とっくに搾り尽くされたはずの母乳も、今や壊れた蛇口のように乳白色の液体を垂れ流し、布団に大きな染みを作っていく。
しかし、真に恐れるべきはこれがまだほんの序の口といった段階である点だ。
男は身重の多由也を慮り、そして何より初めての肛門性交とあって、実に緩やかな腰使いで抽送を繰り返している。
それで
仮に菊門が完全に解れ切った後、以前のように野性的で情熱的な愛され方をしまえば、自分の体がどうなってしまうだろうか?
(ま、不味ィ……!!?)
脳裏に過るのは、縦割れになった菊門から白濁液を噴き上げ、見るも無残な蕩け顔を晒す自分の姿。
そう遠くない未来を幻視した多由也は、ほんのちょっとでも刺激しないようにゆっくりと振り返り、男の顔を見つめた。
「お、おい……こっちでヤるのはこれっきりだかんな? いくら久しぶりだからって手加減し」
───ゴリュ。
「ろ゛ぉ!!?」
突如、背骨ともまた違う体内を擦られた振動に、トロトロになっていた秘裂から水遁顔負けの潮が噴き上がった。
「……へ、ぁ……?」
多由也も何が起こったか分からぬまま、それでいて疑いようのない快感に昇天した蕩け顔を浮かべながら枕に突っ伏す。
男も彼女のイキ様に困惑しつつも、今一度感じたポイントを探るようにストロークした。
「あぁ!!」
直後、再び絶叫する多由也がプシャ! と潮を噴きながら大きく身を捩らせた。
背骨とも違う感触。どちらかと言えば背中側とは正反対に位置する場所に、柔らかい腸壁越しにコリコリとした肉の感触を覚える。
「ふーッ……!? ふーッ……!?」
今も尚、多由也は絶頂の余韻の真っただ中だ。
あれこれ罵倒する余裕すら失い、快楽を享受する肉便器と化している。どこに蓄えていたのかと問い質したくなるような愛液を垂れ流し、全身には情欲の炎に炙られた女体から迸る汗と脂の香りで眩暈を覚えそうだ。
と、ここまでお膳立てをされてしまえば、いくら身重の女性とは言え満足するまで悦ばせてやらねば男が廃るというもの。
がっちりと腰を掴んだ男は、そのまろやかな桃尻を自身に叩きつけるかの如く───会心の一振りを叩き込んだ。
「ひっ……あああああっ!!!」
直後、海老反りに反り上がる多由也の艶めかしい女体。
髪を振り乱し、汗と母乳を撒き散らしながら潮を噴く姿は、万人が目からも絶頂していると見て取れる狂い様だった。
「あぁ!! あっ、はぁ!! ンッ、あ、ぐ、ッ、ふッ、うッ、~~~!!!」
喜悦に歪んだ表情を浮かべる多由也は、最早これからに思考を割く理性を失った淫獣と化し、突き立てられる肉棒を一心不乱に締め付けていた。
薄暗い部屋に何度も何度も淫猥な水音が木霊する。
久方ぶりの情事に箍が外れた二人の求めようは凄まじく、後背位でまぐわいながらも、振り向く多由也と男が熱烈に舌を絡ませ合っていた。
欲求不満であったのはお互い様だ。
ドクン! と肉棒が脈動するするのを感じ取った多由也は、すかさず息んで菊門を締めた。にも拘わらず濁流のようにせり上がってくる精液は、多由也の必死の抵抗をものともせず、彼女の腸内を白濁に染め上げんと解き放たれた。
「~~~ッ……!!!」
最早言葉にもならない嬌声を漏らし、体内に注がれる灼熱を甘んじて受け入れる。
肉棒が脈動する度、そして精液が菊門という堰を超える度、ギチギチと締め上げる雌穴から快感が全身へと広がっていく。
当初は尻穴を捧げる恥を耐え忍んでいたはずが、今となっては男の逸物を受け入れるのに些少の嫌悪感を覚えていないことに気付くや、多由也の顔には自嘲染みた笑みが浮かんだ。
(ああ、こりゃあもう……)
───戻れない。
自分の中にある雌芯がどうしようもなく疼くのを覚え、多由也は諦めた。
布団に突っ伏したまま女尻を突き上げる彼女は、小休止に肉棒を引き抜いていた男を前に、自身の菊門を指で押し広げてみせた。
淫猥な空気が破裂する音と共に、大量に注ぎ込まれた白濁をひり出せば、青臭い雄汁と熟れた腸汁が混ざり合った香しい臭いが立ち上る。
濃密な催淫臭に刺激された男の逸物は、瞬く間に一本の剛直へと変貌する。
雌肉を焼き焦がす熱量を宿した肉棒を尻たぶの間に乗せられた多由也は、その期待を隠せない熱っぽい眼差しを男へ送りつつ、淫蕩に溺れたのを認めたように満面の笑みを浮かべた。
「おい……これで終いとは言わねーよな? テメーが飲み干した分、ウチにも搾り取らせろ」
すっかり開発された菊門が、物欲しげに口を開いた。
「溜まった分、全部受け止めてやるから……な?」
「んぁ! はッ、はぁ! あん、あぁ! ッ~~~!」
容赦のない攻めに喘ぐのも束の間、何度目かもわからない精の奔流が腸内を満たしていく。数か月ぶりとは言え、どこに溜め込んでいたと言わんばかりの量を前に、多由也の菊門は決壊寸前だ。
しかしながら、喪失したてで処女同然の菊門の締め付けもさることながら、突き立てられる逸物のサイズも相まって、一滴の逆流も許さないまま今に至っている。世にも珍しい精液の腸詰め状態だ。
一方、逃げ場のない精液とは裏腹に膀胱から尿を垂れ流していた多由也も、流石に全身から体液を垂れ流していたのもあって、その量も勢いも衰え始めていた。
以前ならばここで喉の渇きを潤そうと小休止を挟んだであろうが、今日に限ってはお互い劣情に歯止めが利かない状態だ。
「んぁ! だから吸うな、ぁ……んむッ!?」
向かい合いながら腰を振り乱していた二人の内、主導権を握っていた男が多由也の乳房を口に咥える。抵抗する間もなく延々と生成される母乳を吸われ、羞恥に顔を赤らめていた彼女であったが、直後に唇を奪われたと思えば、口移しで生暖かい液体を注がれた。
仄かな甘い風味。これが自分の母乳であると気が付いた時、多由也は形容し難い背徳感に襲われ、ぞくぞくとその身を震わせた。
こくこくと母乳を飲み干せば、お返しにと唾液を送り返す。
口吸い、などという生易しい言葉では足りない濃密で激しい唇と舌の絡ませ合いを演じている間も、着実に快感は三度上り詰めた頂きへと達しようとしていた。
「んッ……ん゛ぅ~~~!!!」
目の前が白く明滅する瞬間、多由也は男を抱き寄せ、男と女の境界が曖昧になるような深く、そして甘く蕩けた接吻を仕掛けてみせる。
それに応じるように強く抱き返す男もまた、キュッ、と健気に締め付けてくる菊門の奥へ、グツグツに煮え滾った白濁液を注ぎ込んだ。
刹那、多由也の女尻は限界を迎えた。
精嚢の中身を全て注ぎ込み、ほんの僅かに肉棒が萎んだ隙間から、はじめはピュッと少量の精液が迸った。
「ぷは、ぁ、んぃ゛~~~ッ!!!」
その直後だった。
まだ挿入されたままだった肉棒を押し返し、白濁とした逆流がぶち撒かれていく。子をこさえてぽっこりと腹部が膨れ上がった身体のどこに蓄えていた? と言わんばかりの白濁地獄だ。多由也の赤らんだ女尻から扇状に広がった白濁は、最早布団の上には収まり切らない量であった。
「ふぅっ、ひっ……ひぃ……」
息んでも息んでも際限なく溢れだす精液に、多由也は菊門を焼かれそうな感触───否、快感を覚える余り、淫蕩に緩み切った雌の顔を浮かべていた。
「んっ……ちゅ……」
それから多由也は、先ほどとは打って変わって愛を確かめ合うような甘い接吻を男と繰り返す。
何度も何度も重なった唇が離れる水音を奏で、互いの存在を伝え合うこと数分。絶頂の余韻に浸っていた二人もようやっと満足したのか、見つめ合う瞳は逸らさぬまま、ほんの少し顔を放した。
「……満足、したか?」
淫蕩の熱に浮かされた多由也は、ぽっかりと開いた尻穴から射精のように精液をひり出す。
対する男は満足そうな笑みを湛え、優しく多由也を抱き寄せた。お腹に居る子供ごと包み込むような抱擁だ。これには多由也も正気に戻り、ほんの少し気恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「そうか……ウチの尻がそんなに気持ち良かったかよ。まさかそっちの気でもあんのか? ホモヤローが」
そんな罵詈雑言を投げかけながらも、多由也は自然と男を抱き返していた。
甘く痺れるような快感が残る菊門の感触に、未だ知らぬ快楽の沼があるのだと悟る彼女の表情は───取り返しのつかない淫堕の日々に胸を高鳴らせる女そのものであった。
「仕方ねえなァ……テメーがどうしてもって言うなら、これから後ろでも相手してやるよ」
グチュリ、と肛門に指を突き立てる多由也は、そう耳元で囁くのだった。
暗い部屋の中、穏やかな寝息が響く。
「ふぅ……やっと寝やがったか。ったく、世話かけさせやがる……」
そう毒づく多由也の表情も、どこか穏やかで母親らしさを感じさせるものだった。
というのも、全ては目の前で寝息を立てている赤子に起因する。まだ頭髪は薄いが、多由也によく似た緋色の髪は、否が応でも血のつながりを感じさせるようだ。
とは言うものの、それを嫌厭する理由もない多由也は、誰にも見せたことのない愛情に満ち満ちた微笑みを湛え、我が子の寝顔を十分に堪能しているのだった。
しかし、
「んっ!? ちょ、待てって……!」
直後に後ろから抱き着いてくる男───もとい、赤子の父親の行動に、思わず驚きと焦りが滲んだ声を上げる。
身動ぎする赤子の様子に『まずい』と拳で男を沈黙させた後は、場所をソファのあるリビングへと移す。
「テメー……ウチが餓鬼寝かしつけるのにどんだけ苦労したと思ってんだ、あぁ?」
多由也ほどの端正な顔立ちでも、本気で怒れば鬼のような形相へと早変わりだ。もとい、実際に鬼のような姿へと変貌できる。
それはそれで一種の特殊プレイとして楽しめるのはさておき、殴られても尚勃起の収まらない股間を見せつける男に、多由也はギョッと目を剥いた。
「……餓鬼産んでからちょっとしか経ってねえのに、もう二人目作る気かよ」
その言葉の節々に表れるのは、並々外れた男の性欲への呆れと、自分とでしか満足できぬ相手に対する優越感───そして、
「盛ってんじゃねーよ、ゲスチンヤロー」
欲情を隠せないニヤケ面を晒し、意気揚々と愛液に濡れそぼった股間を開いてみせる自分への自嘲に他ならなかった。
(……まあ、幸せだし構やしねえか……あぁん!」
艶やかな元音忍の喘ぎは、また暫くの間、この空の下に響きそうだ。
柱間「完結ぞ」