瀞霊廷の一角に佇む屋敷。
そこは護廷十三隊の席官へ貸し出されている邸宅が並ぶ地区において、最も大きいと言って過言ではない一軒であった。
それもそのはず、この屋敷は護廷十三隊の隊長のみが居住可能な邸宅なのだから。
並みの下級貴族の屋敷よりも立派な門構えを潜れば、仄かに明りが付いている玄関に人が出迎えに来る。
「帰ったぞ」
ぶっきらぼうに帰宅の挨拶を告げる少女―――ではなく女性。
おかっぱ頭のような髪型の彼女の名は砕蜂。本名は蜂梢綾と言い、代々処刑・暗殺を生業としてきた蜂家の九代目でもある。
少女然とした見た目だからと侮ることなかれ。
彼女は現に二番隊の隊長と共に、隠密機動と呼ばれる組織の総司令官も兼任している女傑だ。
そんな彼女を出迎えたのは使用人―――などではなく、単に同棲している男である。
結婚している間柄という訳ではないが、こうして同棲している以上、並々ならぬ関係であることは確かであるが、深い詮索をする者は護廷十三隊の中に誰一人としていない。仮に探ろうとすれば、どうなるかは想像に難くないであろう。
何はともあれ、彼の出迎えを受けた砕蜂は、一息吐くや隊長の象徴でもある羽織を預け、そのまま「用意している」と告げられた風呂へ向かう。
実働部隊所属とは言え総司令官という立場だ。余り当人は動かないというイメージを持たれがちであるが、そのようなことはない。彼女も現場に出て指揮することもあれば、部下に対する指導で汗を流す機会は少なくないのだ。
「ふぅ……」
熱過ぎもなく温くもない。絶妙な湯加減に浸かり、一日の疲れを癒す。
色恋沙汰に現を抜かすように見えない砕蜂とは言え、彼女も女性だ。汚れや臭いは気にする方である。
こうしていつも食事前に湯浴みへ向かうのも、偏に
血の匂いがぬぐえない仕事柄とは言え、せめて彼と居る間だけでも―――いじらしい考えを胸中に抱く砕蜂は、柄でもない雰囲気の店で購入した洗髪剤や石鹸で全身を隈なく洗った。
「上がったぞ」
濡れた髪を拭いながら、彼の待つ寝室へと向かう砕蜂。
寝巻にも着替えた彼女の体は湯上り後とあってホカホカと芳香を含んだ湯気が上がっている。
普段、彼女に手痛く罵倒されている者が居たとして、仮にこの姿を目の当たりにすれば180°印象が変わることだろう。もっとも湯上り姿の砕蜂を垣間見る特権は同棲する彼にだけ許されたものではあるが……。
すでに布団が敷かれた寝室。
仕事人である砕蜂は、いつもならばこのまま床についていた。
しかし、今日に限っては彼が何かを用意して待っていた。
「なんだ、
彼から説明を受けた砕蜂は首を傾げる。
蜂蜜酒とは人類が初めて口にしたと言われる酒だ。もっとも現世の歴史が尸魂界に適用されるかは微妙なところではあるが、なんにせよ歴史の古い酒であることに変わりはない。
「私に飲めと? ふむ……」
彼曰く、砕蜂にも美味しく呑める酒を見つけたから呑んで欲しい―――そういう訳だ。
砕蜂は酒を呑む方ではない。昔、付き従っていた主である夜一の下でいくらか嗜んだ経験こそあれど、日常的に飲むという訳でもなかった。
しばし思案する砕蜂であったが、どこか期待を孕んだような彼の眼差しを目の当たりにし、その想いを無下にはできないと折れる。
「仕方ない。少しだけだ」
寝巻のまま、座卓の上に用意されていた杯に注がれた蜂蜜酒を煽る。
「ほぅ……これは」
はぁ、と酒気を含んだ吐息を漏らす砕蜂は、あっさりとしながら甘露な味わいの蜂蜜酒に舌鼓を打った。
一杯の量が少ないからと二杯目、三杯目と杯を煽る姿は中々に豪快だ。
しかし、その勢いも蜂蜜酒の入っていた酒瓶の半分が消えてなくなった頃に衰えてくる。
「んっ……もう一杯」
普段の怜悧な目つきはどこへやら。
トロンと蕩けた瞳を浮かべる砕蜂は、はじめこそ座卓を挟んで向かい合うように座っていた彼へ、その小さな体のすべてを委ねるように居座っていた。
ホカホカと立ち昇っていた湯気は収まったものの、大量に煽った酒の影響で身体は火照っている。
漏れる吐息の酒気も強まっていき、傍に居るだけで男も酔い痴れてしまい、そのまま己に身を寄せる彼女の全てを抱きしめたいと早まってしまいそうだった。
そのような彼の気も知らず、砕蜂は振り返る。
ほとんど目と鼻の先にある彼女の顔はすっかり蕩け切っており、ほんの少し唇を近づければ、そのまま口付けを交わしてしまいそうな程に魅力的であった。
「どうした、お前は呑まないのか……?」
甘い香りを迸らせる囁きを口にした砕蜂は、彼が自分より酒を煽っていない事実が気に入らなかったようだ。
気が付けば男から酒瓶を分捕る彼女。
すると何を思ったのか、そのままグビッと酒瓶を煽る。
「んっ……」
口に大量の蜂蜜酒を煽った砕蜂は、狙っていたかのように彼の唇へ自身の薄い桜色を落とす。
しかもそれだけではない。口から蜂蜜酒が零れることも厭わず、力尽くで舌を捻じ込んだ彼女は、彼が逃げられぬよう両手で後頭部を押さえつけながら激しい舌技を演じる。
絶え間なく響く水音と共に、砕蜂から伝って落ちる蜂蜜酒が室内を甘い香りで満たしていく。
「んっ……ふっ……ぷはぁ!」
激しいディープキスを終えた砕蜂は、口の周りに零れた蜂蜜酒―――自分と彼の唾液も混ざった―――を丹念に味わうようにねっとりと舐り取った。
「中々の味わいだ……おっと、呑み残しがあったな」
そう言うや、彼女は再び目の前の彼へ唇を落とす。
先ほどよりも深く、そして激しい舌使い。一方的に攻められる男は、口の中全てを舐り取るような砕蜂の舌に為す術もなく、ひたすらに快楽を享受するしかなかった。
―――ピチャ……ピチャ……。
息を吸うこともままならぬ情熱的な接吻を交わす間、彼らは蜂蜜酒に濡れた寝巻の上半身部分をはだけさせていた。
そうすれば当然、砕蜂の小ぶりな双丘も露わになる。
ツンと前に張り出した綺麗なお椀型。先端にはこれまた見事な桜色に彩られており、目の前の男の胸板に押し付けられる度、それらは悩まし気に形を変えていく。
「ふぅ……んっ!」
先端が擦れる度、甘い喘ぎ声を漏らす砕蜂。
淡々とした声音を聞き慣れているからこそ、不意に聞こえてくる女という性を隠しきれていない一面を覗かせる度、目の前の男の情欲を煽り立てるのであった。
時が経つにつれ、二人の絡み合いは尚激しさを増していく。
指を絡ませ、体を押し付け、小柄な体相応ながらも力強く蠢動する舌を吸い、彼女という彼女全てを味わっていく。
流し込まれる唾液が仄かに甘く理性の箍を外しかねない酒気を含んでいるのは、きっと彼女がたらふく呑んだ蜂蜜酒の所為だろう。それを差し引いても彼女との接吻は甘露の一言に尽きる極上のひと時であった。
「……っぷぁ!」
限界まで男を求めていた砕蜂であったが、とうとう息が続かなくなり、一旦口を放した。
切なそうに半開きになっている口からは、彼との間に唾液の橋を架けるに至っていた。
頬は赤く上気し、露わになっている艶めかしい上半身も滲み出た汗で一層輝きを放っている。
鍛え上げられながらも女性としてのしなやかさを失っていない体躯には、美しい造形を誇る彫刻を目の当たりにしたような感心が溢れるほどだ。
思わずマジマジと観察していた男であったが、不意にそっぽを向く砕蜂。
今更恥ずかしくなってきたのか小ぶりな胸を腕で覆い隠している。
だが、泳がせられる視線には羞恥の他に期待の色が窺えるように見えた。極度の高ぶりからか、砕蜂の体は微かに震えている。まるでこれから始まる行為を想像し、一足早く快感を享受している様子であった。
そのような期待に応えるべく、男は砕蜂の寝巻に手をかける。
もしも見当違いな真似であったならば殴り飛ばされていただろうが、今のところ拒絶の意は見て取れない。男が脱がしやすいよう、腕を上げたり腰を浮かしたりを至れり尽くせりだ。
「ッ……余り見るな……」
そしてとうとう生まれた時の姿となった砕蜂は、既に溢れてきた愛の蜜で濡れそぼっていた秘裂を、太腿をキュッと閉じることで隠したのだった。
しかし、線の細い彼女が脚を閉じたところで大洪水の様相は覆い隠し切れない。何より立ち昇る雌の淫臭が、砕蜂が高ぶっている事実をありありと男に伝えていた。
見つめ合う二人。
間もなくして吸い寄せられるように顔を近づけた彼らは、それまでの苛烈なものとは違い愛でるような優しい口付けを交わした。
暗闇に響くリップノイズ。
光源は幻想的に灯る蝋燭か、障子の隙間から差し込む淡い月の光か。
仄かな光を一身に浴びる女の秘裂へと手を伸ばせば、「んっ……」と体の芯に突き抜ける快感に、砕蜂がおとがいを逸らした。
今度は闇夜の中、くちゅくちゅと粘着質な水音が断続的に響きわたる。
濡れそぼった砕蜂の淫裂は、周りを掌全体で愛撫するだけで滝のように蜜が溢れ出していた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
並みの運動では決して息を切らさない砕蜂も、この時ばかりは息を荒げ、切なそうな眼差しを男へ送る。
か細い腕は男の体に回されており、一際強烈な快感の波が押し寄せる度に抱きしめる力は各段に強まる。
男もそうした砕蜂の反応を楽しんでいるのか、より彼女を感じさせようと奮闘した。秘裂全体をほぐすような円運動を始めたかと思えば、蜜が溢れ出す入り口を指先で擽る。時にはピンと張り詰めた肉芽を弾けば、彼女は「ひんッ!」と可愛らしい甲高い喘ぎ声を上げ、華奢な体を弓なりに逸らした。
「ふぅー……ふぅー……おい」
突然の呼びかけに、やり過ぎてしまったかと身構える男。
だが、砕蜂は怒る訳でもなく、そっぽを向いたまま細く引き締まった両脚を左右へと広げた。見事な観音開きだ。彼女の濡れそぼった花弁を隠すものは一切なく、漂う淫臭も濃さを増す。
くらりと眩暈を起こしかねない淫靡な光景と香り。
高鳴る鼓動を覚えつつ、男は砕蜂の顔を見つめた。彼女の顔はそっぽを向いたままであるが、この時ばかりは目よりも口が物を言っていた。
物欲しげにパクパクと開閉する秘裂からは止めどなく蜜が溢れ出しており、刻一刻と床に大きな水たまりを作っているではないか。
今一度砕蜂に確認を取るように視線を遣った男は、ごくりと生唾を飲み込んだ後、吸い寄せられるように彼女の秘裂に自分の唇を重ねた。
「あっ……あぁ!」
甘い声を上げるや、自身の秘裂から蜜を吸い上げられる感覚に腰を浮かす砕蜂。
自分の意思とは裏腹に脚を閉じてしまったが、それはむしろ愛撫を促す行為に他ならなかった。
ざらざらとした舌の感触が秘裂をなぞれば、下腹部から背骨を快楽が奔っていき、最後に頭の天辺でパァっと花火が咲く衝撃に見舞われる。
ちかちかと明滅する視界。
体は否応なしに艶めかしく捩らされ、砕蜂の表情も絶え間なく与えられる性感に、悦に浸った蕩け顔を晒していた。
「あっ! あぁん! はぁ……んっ! も、もっと舐めてくれ……!」
何とも愛らしい嬌声を上げる砕蜂は、あろうことか更なる愛撫を促した。
余程蜂蜜酒を煽って酔っ払ったのであろう。普段の情事の際にはここまで素直にはならない。
これ幸いと懇請を承った男は、遠慮なく続けて蜜の溢れる秘裂に舌を這わせ、砕蜂をより苛烈な快楽の渦へ引き込もうと張り切った。
砕蜂の秘裂周辺は、彼女の丹念な手入れもあってか毛の一つ残っていない更地である。
だからこそ、華奢な肉付きに相反し、ぷっくりと膨れ上がった恥丘がこれまた情欲を誘っていた。
指で挟みこめば、温い快感に酔い痴れる砕蜂の息遣いが部屋に響きわたる。
そこへ溢れる蜜を舐り取るように舌を動かせば、堪らず彼女の体がビクビクと痙攣した。逃げようにもスマートな印象を与える腰回りを掴まれているため、彼女は男の愛撫から逃げられない。尤も、元より逃げるつもりは毛頭ないが、意思とは裏腹に全身を突き抜ける快楽を与えているのだから、こうなるのも致し方ないと言えよう。
舐っても舐っても溢れ出す蜜の滝は留まる事を知らず、床に淫臭を放つ水たまりを作っていく。
砕蜂自身、蛇口が壊れたかのごとく溢れる自身の体液の量は予想外であったのか、酒で上気していた頬をさらに赤く染める。
「んぁ……そ、そろそろ……」
不意に告げる砕蜂。
「何が」とまでは言わないが、体裁を整えるつもりなど微塵も感じられない蕩け顔を晒していれば、否応なしに彼女が言わんことを理解できるだろう。
期待に応えるべく、蠢動する蜜壺の中へ舌を挿入する男。
ヒュッ、と息を飲む音が響けば、砕蜂の狭い蜜壺の壁は舌を締め付けんと極限まで収縮する。同時に蜜壺の中に満ちていた淫汁も溢れ出すが、最早構っている暇などない。
「っ、ぃぃぃいいいい!!」
彼は途端に下品な音を立てながら蜜壺の中身を吸い上げる。
キュッと締め付ける肉壁を押し返す舌遣いはもちろん、豪快な吸引に下腹部―――蜜壺の入り口のみならず秘奧までをも吸い上げられんと錯覚した砕蜂は、腰をヘコヘコと浮かせながら、脳に雪崩れ込む快楽の電撃に全身の肉を波打たせていた。
そして、
「ッ……っぁああ!!」
秘裂から勢いよく液体が噴き出した。
それまで垂れ流れていた蜜とは違い、さらさらとした透明な液体。絶頂の余韻に浸り全身が弛緩する砕蜂は、噴き上がる潮を止めることもできず、ただただ出し尽くすまで重力に身を委ねていた。
気づいた頃には大惨事。部屋の至る所が濡れており、仄かにそれまで立ち込めていた淫臭とは違った臭いが漂い始める。
「……す、済まない」
おもむろに体を起こす砕蜂は、自身の体液塗れにしてしまった彼に侘びを入れる。
一方、潮塗れにされた彼はと言えば、滅多に見ることができない砕蜂の羞恥を覚える姿を目にし、愚息が滾りに滾っていた。
今も着物の下からこれでもかと主張を続ける愚息の先端からは、下着越しにでも先走った汁が溢れている。
そうした男の興奮を察したのか、砕蜂は好戦的な笑みを浮かべるや、今度は彼を押し倒した。
「寂しそうな顔をしているな。どれ、私が慰めてやろう……」
馬乗りになった砕蜂は意気揚々と男の服をはぎ取って捨てる。
逞しい体。もとい、彼女が自分好みに鍛え上げた体であるが、それを目の当たりにした砕蜂の秘裂からは更なる蜜が溢れ出す。
しかし、本題はそこではない。
今も砕蜂の尻たぶに挟まれている形で主張する逸物。火傷してしまいそうなほどに厚く滾っている逸物を肌身で感じる砕蜂は、体の前後を変えるや、流れるような所作で逸物にしゃぶりついた。
「んっ……」
慣れた様子で口淫を始める砕蜂に、男の顔も快楽に歪んだ。
こうしている間にも目の前では砕蜂の小ぶりな尻が揺れているが、ギリギリ届かない位置に座している。何とも生殺しな状態だ。
しかし、すぐさま逸物を包み込む生温かな感触と竿から全身に突き抜ける快感が意識を股間へと向けさせる。
ジュルルル! ズルルッ! ズゾッ! ジュポッ、ジュポッ!
わざと豪快な水音を奏でる砕蜂は、おぼこに見えるものの、暗殺部隊の家系に生まれた縁からか房中術について知識が長けていた―――もっとも、実践に関しては現在体を重ねている彼だけとしか経験が無いが。
雄を悦ばせる手段は熟知している。
あとは胸中に抱いている親愛の下に真心こめて奉仕するだけだ。
愛おしそうな面持ちで逸物を咥える砕蜂は、尿道に先走る汁の一滴も残さぬつもりの力強い吸い付きを演じる他、舌全体を使って竿を刺激する。舌の表面が敏感な亀頭を擦る度、男は余りの刺激からビクビクと下半身を痙攣させていた。
砕蜂は勝ち誇ったような笑みを浮かべながら、立派な逸物全体を奉仕するには心もとないおちょぼ口で一生懸命竿を扱き続ける。
このまま延々と続けていれば、順当に男が絶頂に達し、彼女の口腔へ子種が注ぎこまれることとなるだろう。
しかし、それを良しとしない男が待ったをかけた。
「んぶッ!?」
目の前で踊る艶めかしい秘裂に指を挿し込めば、不意を突かれた砕蜂が口腔に潤滑油代わりにため込んでいた唾液を吹き出しながら口淫をやめる。
不服そうに振り返る砕蜂であるが、そのふくれっ面も男からの申し出を聞くや否や、怪訝なものへと変わっていった。
「足で……だと……? 本当にそれでいいのか? まあ、一向に構わんのだがどこで仕入れた情報なのやら……」
ぶつぶつと呟きながらもなんやかんや了承した砕蜂は、言われるがまま立派に屹立する逸物を両足の裏側で挟み込んだ。
舌とも違う荒い感触を逸物に触れれば、男は得も言われぬ表情で深い息を漏らした。
そのまま砕蜂は器用に脚を上下させ、足裏で挟み込んだ逸物を扱いていく。所謂“足コキ”という行為。逸物が懸命に奉仕した砕蜂の唾液で濡れていたため、初めてにしては滞りなく行為は進んでいく。
それでも初めての行為にたどたどしさが拭えない砕蜂。真剣に足裏で奉仕してくれる姿からは、ある種の滑稽さやいじらしさを覚え、男の逸物は一層灼熱を孕むかの如く怒張する。
思わず「おぉう……!?」と驚嘆の声を漏らす砕蜂は、呆気にとられた顔を数秒浮かべた後、気を取り直して脚の上下運動を再開した。
―――シュッ、シュッ、シュッ……。
しばらく続ければ、砕蜂の唾液が乾く代わりに、鈴口から溢れ出たカウパーが潤滑油として逸物全体を包み込んでいく。
具合の違う液体に濡れる感覚にこそばゆさを覚える砕蜂であったが、気持ちよさそうな彼の表情を目の当たりにすれば、己の羞恥などかなぐり捨てて奉仕を尽くす。
平時は毅然とした容姿端麗な女性が、こうも痴態を晒して男に尽くす姿を目の当たりにすれば、相手を務める者としてはこれ以上に誉れ高いことはないだろう。
みるみるうちに快感は高まっていき、生成される子種の量も刻一刻と増していく。
刹那、蒴果が弾けた。
「んっ!」
足裏では射精の予兆を感じ取れなかった砕蜂が、鈴口から飛び散る白濁液を体の至る所に浴びせられる。
直に触れていた足裏はもちろん、衣服などとうに脱ぎ去っていた体の前面にかかった他、頬にも付着した。
それらは重力に引かれるがまま砕蜂の体を伝い落ち、やがて秘裂の間へ。
「まったく……ところてんのようだな。臭いも……んっ! 酷いな……」
とは言いつつも、ほんの僅かではあるが己の蜜壺に子種が触れた事実に、形容し難い緊張と興奮からぶるりと身震いする砕蜂。
そのまま彼女の視線は達した直後の彼の瞳へ向かう。
彼もまた得も言われぬ眼差しを浮かべていた故、視線を交わした二人が無言となって創り上げる静寂が場を支配した。
鼓動がうるさい。
ドクンドクンと脈打つ心臓は、全力疾走した後など目じゃないくらいに速く、そして力強く高鳴っていた。
自然と二人の吐息も甘ったるく、それでいて荒々しいものと化す。
彼らは気が付けば体を抱き寄せ、一度は萎みながらもすでに雄々しく屹立した逸物を蜜壺へ迎え入れんと、秘裂に鈴口をあてがっていた。
男は了承を取るように砕蜂を見つめる。
すると彼女は無言のままゆっくりと頷いた。
その流れのまま、濡れそぼった秘裂にあてがっていた逸物が砕蜂を貫いた。
ヒュ、と肺の中の空気が絞り出される音と共に、蜜壺を満たす圧迫感に善がる砕蜂が身を捩らせる。
ぐねぐねと体を動かせば、その度にぷっくりと腫れあがっていた桜色の乳首が男の胸板を擦る。
「ッ……く! はぁ……はぁ……」
ようやく逸物が全て挿入された時、砕蜂の表情は完全に蕩け切っていた。そこには隊長としての風格や、暗殺者としての気丈さもない。
ただただ雄を受け入れて悦ぶ雌が居た。
こうして見つめ合う最中も、蜜壺に収まった逸物を砕蜂の淫肉がギュウギュウと締め上げている。節操なく蜜を垂れ流す淫口周辺はすでに大惨事だ。蜜塗れとなった彼らの下腹部からは濃密な淫臭が立ち上がり、二人の理性の箍をみるみるうちに壊していく。
「いいぞ、動いてくれて……」
促されるがまま腰を突き上げる。
「んっ! ふぅ……はぁん! あぁ……あっ! あっ! あっ! あぁ!」
最初こそ慣れない対面座位に手間取っていた男であったが、コツを掴んだのか、テンポよく砕蜂の蜜壺の秘奧をノックし始めた。
しっとりと汗ばんだ柔肌を抱きしめながら、小柄な体を突き上げる状況には一種の背徳感さえ覚えるようだ。
そうした小柄さも相まってか、砕蜂の秘奧は男の逸物の先端が届くぐらいには浅かった。いや、本能が子種を求め子宮口が下りているからだろうか。
どちらにせよ、砕蜂には想定外―――未知の快感を立て続けに突きつけられるような快感が襲い掛かっていた。
「はぁ! はぁ! はぁ! ッ……あぁ! 待っ……くぅっ! これはっ、くぅん! と、止まれ……あっ、やめるなぁ……もっと……もっとシてくれ……!」
押し寄せる怒涛の快感を享受しながらも、一応体裁を気にし始めた砕蜂が、歯噛みしながらだらしのない顔を晒すのを我慢せんと必死になっていた。
しかし、こうも秘奧を小突かれる快楽を叩き込まれれば、上半身は脱力し、辛うじて彼の首に回した腕で倒れぬように体を支えるしかなくなっていた。
そうすればどうなるだろう?
眼前には蕩け切った砕蜂の顔がある。
ならば唇を重ねるしかないと、男は半開きになっていた砕蜂の唇を奪った。
一瞬目を見開いた彼女であったが、上の口と下の口の両方から与えられる快楽を前に抵抗するという考えは微塵も浮かばず、ひたすらに為されるがままの道を選択する。
普段は二番隊と隠密機動を背負う体。
それが今、自身の体に全てを委ねていると思えば、畏怖とそれ以上の興奮を覚えるようだった。
男は互いの舌を絡ませ合う濃厚な口付けをやめるや、蕩け切った顔を浮かべる砕蜂の耳元で囁く。
―――『
刹那、砕蜂の瞳が見開かれ、ただでさえ朱が差していた頬が真っ赤に染め上がる。
「しゃ……梢綾って呼ぶなぁ……ッ!」
最大限の抗議のつもりだった。
しかし、弛緩した体から発せられる嬌声は男の情欲を煽るものに他ならない。
次第に男の抽送は激しさを増していき、蜜壺ごと体を突き上げられる砕蜂は電流の如き快楽を錯覚するに至った。
一度突き上げられる度に脳天に雷が落ちるのだ。
どれだけ歯を食いしばっても、子宮口を鈴口と接吻するや全身が弛緩し、だらしなく緩んだ口からは唾液が滴り落ちる。
しかも、味を占めた男が何度も何度も幼名を口にするのだ。今の名と比べたら幾分か女性らしい可愛い名前。その名で呼ばれると、自分が幼い頃に押し殺した乙女心が呼び起こされるようで、砕蜂にとっては色々な意味で
「ふーッ……ふーッ……ふーッ……!」
息も絶え絶えとなる砕蜂。
朦朧とする意識の中、唯一鮮明な感覚と言えば、今なお突き上げてくる逸物を締め付ける蜜壺だけだった。
(ああ……此奴……)
苦しいほどに膨れ上がっていた逸物が、さらに一回り膨れ上がった。
理解する。きっと彼は自分の中へ精を解き放つつもりなのだろう。
避妊具など着けていない今、蜜壺への射精を許せば―――その後の展開は想像に難くない。
階級や身分としてのしがらみはある。仮に自分が子を為せば、色々と面倒が発生することは初めて枕を重ねた時から肝に銘じていたことだ。
(だが……まあ……)
冷静でなかったと言えば頷くしかない。
しかし、この時ばかりは理性でも本能でもなく、感じる心がまま彼を受け止めたくなっていた。
絶頂寸前で腰を引こうとする彼を力いっぱい抱きしめて逃げられないようにする砕蜂。
そんな彼女に呼応するように収縮する蜜壺により、彼は驚く間もなく砕蜂の中へ吐精するに至った。
じわぁ、と広がる灼熱。
体中が溶かしつくされそうな熱を下腹部に覚える砕蜂は、それと同時に覚えた充実感のままに息を吐き出し、改めて彼の体を抱きしめた。
押し付け合う胸越しに感じる鼓動に耳を澄ませ、そっと瞼を閉じる砕蜂。
「……莫迦者。許可なく中に出して……孕んだらどう責任を取るつもりなんだ、貴様は」
と、彼女は怒る口振りとは裏腹に穏やかな笑みを湛えている。
この時だけは二人が一つに融け合っている―――そう実感する彼女であったが、
「ッ……また勃起しているな。なら、まだ続けられるだろう?」
蜜壺の中で萎んでいた逸物が改めて屹立するのを感じ、これ幸いと続行の意思を問う。
と言うのも、二人の体液が泡立った秘裂から蜜が溢れ出していたからである。
あくまでも続けたいのは彼。自分は仕方なく付き合っている。そうした体裁を整えた砕蜂は、堪え切れない妖艶な笑みを浮かべながら夜の第二戦目へと移るのだった。
―――その後日の話。
「は? いやいやいや、砕蜂隊長は一升瓶一人で空っぽにしても素面な人だぜ? なんでも酔わないように訓練してるんだってよ。たかが蜂蜜酒で酔っ払う訳……ぶぎゃ!?」
いつも尻に敷かれている副隊長がいつも以上に扱かれていたというが、真相は闇と夜の中に消えていった。
以降、夜伽の合図として寝室に蜂蜜酒が入った酒瓶が置かれるようになったのは、また別の話……。