TSウサミミ女子は今日も愛される 作:らいじゅう
届け、この思い(TS小説増えろやぁ!)!!
奴隷としてアルのお屋敷にきてから、迎えた初めての冬。今年も無事に冬毛への転換期を終え、フカフカモコモコモードになった無敵のおいらの日々は、また少し以前のものとは変わっていた。
「・・・・アル・・・・ご主人様は?」
ズラリとテーブルに並べられた料理を横目に、おいらは主のいないご主人様の椅子を見ながら隣に立つヴィーナさんに聞いた。ヴィーナさんは表情を崩す事なく、その首をゆっくり横に振る。
「既に朝食を済ませ、お出掛けになられました」
あの日から・・・アルの前で泣いてしまってから、アルはおいらを避けるようになった。朝ごはんも晩ごはんも、一緒に取ろうとしてこない。夜に顔を見せに来る事はあるけど、それも一言二言顔を見て話したらさっさと帰ってしまう。撫でてくる事も、抱き締める事も、ご飯食べさせてくる事も、膝に乗せたり誘い寝しようとしたりもしない。勿論、エッチな事もだ。
最初はあの時の事が原因でおいらへの興味を失ったのかと思って、いつ追い出されるのかとビビってた。だけどいつまで経ってもそんな事なくて、何もない日々がもう一月も続いてた。そしてそれは今日も、そうらしい。
「そっか・・・・・何か言ってた?」
「いえ、特別に言伝ては頂いておりません・・・・何か旦那様にご用件が御座いましたら、私共からお伝え致しますが?」
「そういうのじゃ、ないから・・・・ありがとう」
「それでしたら宜しいのですが」
少しだけ困ったような顔したヴィーナさんに一度頭を下げて、おいらはフォークとナイフを手にした。
目の前にあるお皿に乗った目玉焼きをナイフで切り分けて、フォークで掬って自分で口へと運ぶ。卵の素朴な甘さが口の中に広がる。一噛み、二噛みすれば卵の味に混ざってほんのりとした塩味と、ピリッとした胡椒の味もした。
この世界の胡椒みたいな香辛料は高級品だ。その時の物価や物の質にもよるけど、平均的に掌サイズの小瓶一つで家が土地ごと買えるくらいの価値はあるって聞いた事がある。
だからそんな高級品が朝から使われてるというのは、言うまでもなく贅沢なのだ。朝ごはんを簡単に済ませる傾向のあるこの国で、こんなにお金を掛けてる人は貴族にだってそうはいないと思う。
贅沢だ。本当に。
「・・・・・ごちそうさま」
だけど、不思議とそんなに美味しく感じなかった。
お腹の虫は鳴ってるのに手が進まない。
どうしても食べられる気がしない。
この朝食にどれだけお金と手間が掛かってるのか何となく分かる。自分がどれだけ勿体無い事をしてるのかも分かってる。いまだって罪悪感で胸が痛くて仕方ない。
だから食べきるのは無理でも、出来る限り食べたいんだけど・・・・それでもどうにもならなかった。
「・・・・シルヴィ様、せめてスープだけでも。昨晩も殆んど召し上がっておりませんし」
ヴィーナさんはそう言いながら、おいらの側に薄緑色のスープを持ってきた。スープから漂う匂いを嗅げば、それが野菜のスープなのは分かる━━━━━分かるけど、なんか違和感を感じた。美味しそうだとは思うけど、他の料理と一緒に並んでると浮く気がする。野性味溢れるといえば聞こえは良いけど、何だか土っぽいというか青っぽい匂いというか。よくよく嗅いでみると香辛料の匂いがしない事にも気づいた。
「シルヴィ様のご実家のある地方では、こういった物が好まれると聞き及びまして。料理長が試しに作った物なのですが・・・・如何でしょうか」
探るようなその声に、ようやくピンときた。
村にいた頃に良く食べてた野菜スープに似てるのだ。
試しにスープで掬って舌の上に転がせば、村でよく食べた根菜の味がする。これは塩以外にもちゃんと調味料が使われてるみたいだから、流石に村で食べてた物より全然美味しいけど、それでもここで食べられる普段の物と比べてしまえば不味い部類の味だ。ここの料理長はきっと舌が良いから、作った時は困惑したと思う。あの根菜は栄養価はあるけど、苦味とえぐみが強くて本当に美味しくないのだ。
「お口に合いましたでしょうか。正直に申し上げれば、料理長からは『レシピ通りに作った物の、とてもお出し出来るような物ではない』と言われておりまして」
「あはは、そうだろうなぁ。あの根菜を使うってなったら、どうやっても美味しくならないからさ」
「・・・・はぁ、やはりそうですか。申し訳ございません」
ヴィーナさんは直ぐに別のスープを、と言ってくれたけどそれは断らせて貰った。スープはこれで十分だと思うし、何より今はこれが食べたいと思ったのだ。
一口する度に広がる苦味は、何だか懐かしかった。
この味をどうにかしようと、あれこれやった事もある。煮たり、焼いたり、乾燥せたり・・・でも結局苦味が増したり変わらなかったりで、食べ物で遊ぶなって何度も母から怒られたものだ。
それでもあの頃はただ美味しい物が食べたくて何でも試していた。覚えてる限りの事。
人の目も気にしないで。
「・・・・・おいしくないなぁ、本当に」
あの頃から、何も変わってない。このスープと同じ様に。結局、おいらはまた間違えてしまった。もっと上手くやらなくちゃいかなかったのに。
不意に、何かがスープに落ちた。
小さな波紋が目の前に広がる。
そうしたら、ヴィーナさんが「失礼致します」と言ってハンカチで顔を拭いてきた。少しびっくりしたけど、その手つきが優しくて怖くはなかった。
「シルヴィ様、朝食はこの辺りにしておきましょう。その代わりに、という訳では御座いませんが・・・後でお持ち致しますデザートと紅茶は召し上がって下さいませ。とびきりの物をご用意させて頂きますので」
優しくも何処か迫力のある声に、おいらは直ぐ頷いた。
直感でしかないけど、これを断ったら後が怖い気がしたからだ。断ったが最後、問答無用で口に食べ物捩じ込まれそうな気がしたのだ。怖い。
「それと、旦那様・・・・・いえ"坊っちゃま"には、私の方から"キツク"言って置きます。シルヴィ様は何もお気に為さらず、いつも通りお過ごし下さいませ。今日は風もなく良い天気です、お庭を散策されるのも良いですね。庭師の者達も仕事が一段落つく頃合いですから、のんびりお茶を楽しみながらお話する時間もありましょう。デザートはその時にでも。ああ、シルヴィ様がよろしければ町へ買い物など如何でしょうか?護衛は付けさせて頂きますが、貴族街でしたら何処へ行って頂いても構いません。許可は、私共の方から取っておきますので」
「えっ?う、うん。そうする・・・・ありがとう」
「いえ、お気に為さらずに。これが私の仕事ですので」
朝食を終えた後、特にやることもなかったおいらは、ヴィーナさんの提案通り過ごす事にした。
いつもと同じ様に庭を散歩して庭師のおじいちゃん達とお茶しながら話した。いつもと同じように他愛もない世間話しかしないけど、それでも部屋に籠ってるよりずっと楽しい時間だ。そんな話の最中、ヴィーナさんの『仕事が一段落する』という言葉の意味が気になって聞くと"冬囲い"という樹木を雪から守る為の準備が終わると、おじいちゃん達は他の季節に比べるてかなり暇になるそうだ。次の春に向けて多少の準備はあるものの、これからは数日置きにしかお屋敷には来ないとか。仕方ない事であるけど、散歩の時に会えないと思うと少し寂しい。
それから仕事に戻るおじいちゃん達を見送って暫く。
太陽が一番高い所を過ぎた頃、おいらは護衛の人達と一緒に街へ出掛けた・・・・と言っても、おいらは基本的には馬車の中だ。店についても人払いしてからじゃないと、店内へ入るのはNGだとか。どうせならプラプラ出歩きたかったけど、それはケイトから絶対に止めてくれと泣きつかれたので諦めた。ケイトに苦労掛けてまでしたい事じゃないからな。
そうして出掛けた門の外は、見たことがない物で一杯だった。馬車が同時に何台も通るような広々とした石畳のストリートには、色んな人種の人々がそれぞれの目的を持ってあっちへこっちへ行き交う。
道を挟むように並ぶ建物は、煉瓦造りだったり石造りだったり木造だったりと様式の違う物が統一感なく並んでる。だけどそのどれも一流の技術で造られているのか立派だし、そのアンバランスさも見てて楽しい物だった。
お屋敷は高い塀に囲まれていて外が見えないから、ずっと街の存在が気になってた。複数の交易路と繋がってる大きな交易都市っていうのは聞いてたけど、やっぱり聞くのと見るのとでは全然違う。
「どうです、何か気になる物は御座いませんか?行きたいお店とか。欲しい物とか」
窓から外を眺めていると、隣に座るケイトの聞こえた。折角だからと何かないか探して、ふとそれが目についた。馬の代わりに荷台を引いてるソレだ。
「ケイト、ケイト。それじゃぁさ、あの荷台引いてるのって?」
おいらが指差した先にいるのは馬より一回りも大きな体躯を持つ、二足歩行する緑色の大きなトカゲ。ラプトルの予想図から爪と牙を取った恐竜みたいな生き物が、おいらの目の前で当たり前みたいな顔して馬みたいに荷物を引いて歩いていたのだ。ファンタジーな世界だなぁと常々思ってたけど、これは本当に初めて見る。
ケイトはおいらの隣から窓を覗き、「ああ、あれですか」と納得したような声をあげた。
「ああ、歩き大トカゲですね。確かにここら辺りでは珍しいですもんね。多分、南国から来たんだと思いますよ。向こうでは良く馬代わりに使われるらしいですし、それにパッと見た感じ荷物の種類は南国の物ばかりですから」
「南国かぁ。それにしても歩き大トカゲって・・・・そのまんまなんだ。なんとかドラゴンとか、なんとかリザードみたいなカッコいい呼び名とかないの?」
「ははは、ウチの弟みたいな事言いますね。シルヴィ様は。騎士学校行ってる連中からしたら、大トカゲなんて色の印象で簡単に呼ばれる程度の物なんですが、あれなら苔とかですかね?しかし、そうですねぇ・・・・私が知る限りですが、トリスケルなんて呼ばれ方もしますよ。あんまり馴染みはないですが」
トリスケルと言われて、昔村長からこのマークを付けた人には絶対に逆らうなって教えて貰ったシンボルを思い出した。幾つも教えられたけど流石に全部は覚えてない。だけど今言われた物に関しては覚えがある。確かに三つの足をモチーフにしたシンボルの事だ。
「シンボルのやつ?」
「そうですよ。鍵足とか三つ脚とか呼ばれるあれです。何でも昔、歩きトカゲを知らずに見た人が、尻尾も足だと勘違いしてトリスケルみたいだなって言った事が由来だそうですよ。彼から聞いた話ですが」
「へぇーー、そうなんだ」
話の流れでケイトから彼氏の事を聞いてみると、どうやらこの街で魔術関連の学者をしてるそうだ。最近では主に魔道具の開発研究を行ってるとか。
そんな彼氏さんは元来知識欲の強い人で、魔術の事以外でも大抵の事は知ってるらしい。雑学だって豊富なのだと、盛大にのろけてくれた。
「━━━━━あ、そうそう。シルヴィ様。一つ注意です。間違っても外では、竜・トカゲ・リザードを一緒くたにするような発言は控えて下さいねぇ」
「ん?なんで?」
「侮辱になるんですよ。リザードは主に獣人であるリザードマン達の事を指す言葉ですから。もし面と向かって言ってしまう事になったら、獣畜生である下等なトカゲと一緒にするとは何事か!って怒鳴り散らされますよ。喧嘩売りたいならそれで良いと思いますけど。あ、竜族に対しては絶対に止めて下さい。この国で竜族っていったら王家筋の者ですから不敬罪にされます。そうで無くてもあの種族はプライドが恐ろしく高いので、下手したら悪口一つで殺されますからね」
そういう話は何処にでもあるもんだな。
それこそ前世の世界でも似たような話は幾らでも聞いたことがある。世界が変わっても人は人らしい。
ともあれリザードマンとも竜族とも会った事ないけど、会う事があったら気をつけよう。
「ふぅん、そっかぁ・・・・分かった、気を付ける。俺も毛皮とか言われるの嫌だしな」
「それ、うちの母も言ってました。私は見ての通りこの体格以外は獣人としての特徴もありませんし、それを言われても『は?』ぐらいにしか思わないんですが、母は鬼のように怒るんですよ。母の職場で何回命知らずが殴られたか・・・・獣人共通なんですかね?」
「うーん、どうだろう?おいらは・・・というか、うちの村で喧嘩ってなったら毛皮って罵り合いながら、地面をスッパンスッパン蹴り合ってたけど」
「なんですか、その可愛い喧嘩」
真剣なんだけどな、喧嘩してる方は。
ただ仲間に暴力は振らないっていう掟を守って喧嘩してるだけで。前の前の前の村長の時は掟が緩くて普通に殴り合いの喧嘩してたらしいし、昔は毛皮の一言でケイトのお母さんみたいに殴り飛ばしにいってた可能性は高い。
因みに、地面を蹴るのは良く分からない。おいらも気がついたら蹴ってるけど・・・何なんだろう、あの衝動は。謎だ。
それから特別行きたい場所もなかったおいらは、一緒に来てた皆からお勧めの場所を聞ききながら街の散策を続けた。お屋敷にも負けない荘厳な大聖堂。天然石で作られた白亜の美術館。この国の中で一番古くからあるとされる劇場。メインストリート中央にある噴水広場。街の南西部に流れる川を跨ぐ大橋・・・・と、覚えてるのはその辺りだ。他にも有名だと言われた場所は色々あったけど、何分その数が多い上に駆け足気味に回ったせいで覚えてない。
他にも観光名所だけでなくお店も見て回った。とは言っても、洋服店や雑貨店を二・三軒ウィンドウショッピングして、市場も遠目から覗いただけだが。
個人的には武器店とか見てみたかったが、ケイトから静かに首を横に振られたので仕方ない。その代わりに宝飾店なんか勧められた。特に興味もなかったから店先の様子だけ見て終わりにしたけど。
何も買わなかった事に対して、ケイト達が何故か肩を落としていたが、何がそんなに駄目だったのか分からない。何となく買い物させようとしてたのは分かってたけど、そもそもの話お金持ってないおいらがどうやって買い物するというのか謎だ。
それ以前に、お屋敷の生活は衣食住が普通以上に足りてるので、今欲しい物とか言われても何にも浮かばなかったりする。何か買えと言われても正直・・・いやかなり困る話題だ。
それでも心配そうな顔でこっちをチラ見しながら「何か欲しい物ありませんか?」とか「遠慮しなくて良いですよ」とか「旦那様に気を使われてるなら、私が出しますよ」とか「わー、あの屋台の焼き串は美味しそーだなー。いい匂いだなぁー」とか気を使われ続けると、罪悪感とか使命感みたいなモノが湧いてきて、帰り際ヴィーナさん達お屋敷の皆にお土産のお菓子を買って貰う事にした・・・・のだが、ケイトは何か腑に落ちない顔をしていた。頑張って考えたのに。
日が沈み掛け風が出てきた頃。
お菓子を抱えて屋敷へ帰ると、玄関の所で出迎えたヴィーナさんに即行で風呂場へと連行された。
風呂場には既にメイドさん達が待ち構えていて、抱えていた荷物をあっという間に取り上げられた。そしてこれまたあっという間に服を剥ぎ取られ、メイドさん達に湯船へ強制的に連れ込まれた。いつもは一人で入らせてくれるのに今日は全然出ていってくれず、抵抗する暇すら与えて貰えず全身をくまなく洗われた。擽ったさに身を捩りながら、改めておいらに人権はないんだなと実感する。
耳も尻尾も艶々になるまで洗われた後。
濡れた毛を乾かしながら脱衣場で待機してくれてたヴィーナさんに話を聞くと、アルが話す時間を設けたいと連絡してきた事を教えてくれた。最近は勝手に部屋にやってきて一言二言話して帰ってくだけなので、事前に連絡してくるのは珍しい事だ。もうすぐアルが帰ってくる時間でもあるし、ヴィーナさんが急いでおいらを洗った理由にも納得した。
それからワンピース型の寝間着に着替えて待つこと暫く。夕食の事を考えながら、ソファに座って足をブラブラさせていると部屋の扉がノックされた。
ノックされた回数は三回。ノック二回ならメイドさんが何か用があって来た時━━━━そしてノック三回はアルが来た時の合図である。
「シルヴィ様、旦那様がお見栄です。お時間は宜しいでしょうか」
「あっ、は、はい!」
メイドさんに返事を返し、おいらは背筋を伸ばして待った。すると、それから直ぐ扉が開いて、メイドさんと一緒にアルがやってきた。
帰ってそのまま部屋に来たのか、アルはお出掛け用の外套を羽織ったままだった。急いで帰ってきたのか少しだけ息が荒い。表情もいつもと違って少し強張っていて、これから何を話されるか考えると胸がドキドキしてしまう。
アルは呼吸を整えながらメイドさんに外套を渡し、こっちへ近づいてくる。足取りは早い。何かに急かされるようにズカズカと歩を進めてくる。金の刺繍が施された高級感漂う黒い服を纏い、眉間にシワを寄せ足早に迫ってくる姿は中々に迫力があった。思わず腰が引けてしまう程に。
そうして近づいてきたアルは、おいらの目と鼻の先まで来た所で急に立ち止まり片膝をついた。
その姿に背後に控えてたメイドさんが声にならない悲鳴をあげた。それが何を意味するのか良く分からない。分からないが、この世界でも前世でも頭の位置を意図的に低くする意味なんてそう変わらない。
「ちょっ・・・・!」
「何も聞かず、そのまま聞いて欲しい。謝罪をさせてくれ、済まなかったシルヴィ。君を悲しませる意図は少しもなかった。腕の中で震える君を見て、君には落ち着くまでの時間が必要だと、そう思った。それだけだったのだ。どうか信じて欲しい」
続いた謝罪の言葉にメイドさんが青い顔で軽くふらついた。
その様子だけで状況の異常さが理解出来た。
変な汗が噴き上がってくる。
「わ、分かった、から・・・!」
咄嗟にそう言ったが、アルは聞いてなかったのかおいらを手を取って顔を近づけてきた。今日もイケメンはイケメンだけど、申し訳なさそうに下がった眉からはいつもの力強さがない。代わりに切羽詰まった空気がヒシヒシ伝わってくる。話し方も、何だか前より威厳が無くなってるし。
「君の為にと宣いながら、その行いで肝心の君を悲しませるなど、最早話にもならん愚か者だ。私は。分かった気になり何もしなかった愚かな私を、今更許して欲しいとは言わない。・・・・しかし、どうか、あの時の言葉まで疑わないで欲しい。君に告げた、愛してるという、その私の言葉だけは。シルヴィ、君を愛してる。愛しているんだ。君だけが、私の唯一なんだ。だからお願いだ、今一度だけ機会を与えてくれないだろうか。君の悲しみを晴らす、その機会を」
「ふぇぁ!?」
不意に鼻の頭に掛かった吐息に、自分でも分かるくらい変な声が出た。アルは気にならないのか、それとも気にしてる余裕もないのか、おいらの声に反応しない。
ただ黙って、目だけを見つめてくる。
懇願するように。
そして視界の端で、メイドさんが壁に力なく寄り掛かった。
「~~~~ゆっ、許す!許すし、機会でもなんでもあげるから止めろその格好!!メイドさんが大変な事になってるから!!ほっ、本当に!!今すぐっ!」
「本当・・・・か?それは、嬉しいんだが、こんなに簡単に許されて良いのだろうか。私は━━━」
「許すって言ってんの!それよりメイドさんの事見ろ!顔色が凄い事になってんだよ!ほら!」
無理矢理アルの顔をメイドさんの方へ向けられる。
アルはメイドさんの様子を見るなり指を鳴らした。
その瞬間、ふらついていたメイドさんの目が見開かれる。弾かれたように壁から離れ、背筋を真っ直ぐに伸ばすとアルに対して一礼してみせた。
「失礼致しました。旦那様」
「以後、気をつけろ」
「はっ、畏まりました」
その様子を確認したアルが笑顔を向けてきた。
何も問題ないと言わんばかりの顔だ。
さっきの様子を見てるととてもじゃないが大丈夫とは思えないけど、そこを指摘するとメイドさんにも迷惑が掛かる気がしたので何も言わないでおくが。
アルは夕食の時間を確認した後、メイドさんに部屋から出るように命令した。綺麗なお辞儀と共に扉の向こうへメイドさんが消えると、アルは「隣良いだろうか?」と聞いてきた。断る理由もないので頷けば、アルはおいらの隣に深く座り込む。
「・・・・・」
「・・・・・」
アルは何も言ってこない。
でもジッとおいらの耳辺りを見て、自分の膝の上に置いた手を世話しなく動かす。触りたそう。勝手に触れば良いのに。奴隷なのに。なんでこんなに、優しい顔でおいらを見てくるんだろうか。こんなの、本当に勘違いしてしまう。
「・・・・あのさ、アル」
「!?す、済まない。不躾に見つめ過ぎた」
「いや、そういうのじゃないけど・・・・触りたかったら、別に触っても良いから」
おいらの言葉にアルが目を丸くさせる。
「嫌では・・・・ないのか?」
「アルなら別に・・・・痛い触り方しないし、気持ち悪くないし。でも、いきなりはびっくりするから・・・」
そう言っても中々動かないアルの手を掴んで、おいらのフサフサの耳に押し当てた。アルの手がビクリと震える。これまで好き勝手に触ってた癖に、なんで今日はおっかなびっくりなのかと、何だか可笑しくてつい笑ってしまう。
「アルは、おいらの耳好きだろ?」
「そ、それは勿論」
「メイドさん達がな、綺麗にしてくれたんだ。いつもは自分でやってるけど、こんなに艶々のフサフサになったの初めてだ。自分でも変な感じ。アルは、どう思う?」
じっとアルの目を見つめる。
そうしたらアルが壊れ物に触れるように耳を撫でた。
優しい手つきは以前と変わらなかった。
「柔らかいな、一月前とはまた違う感触だ・・・・君の種族は、皆そうなのか?」
「どうだろうな、うちの村じゃ冬場は皆こんなだけど」
「そうか・・・・」
目を細めたアルはそっと耳に頬擦りした。
その感触はくすぐったい。
だけど、やっぱり嫌ではなかった。
「なぁ、アル?」
「あっ、ああ、済まない。また勝手に・・・つい」
「良いよ、別に。というか、アルはおいらのご主人様なんだから、そんなにいちいち気にするなよ。おいらが文句言えなくなっちゃうだろ」
「文句を言いたいのか?何か不満が?」
「そ、そういう事じゃなくてさ・・・・あーうー」
なんて言ったら良いのか、正直おいらにも分からない。
今だって男とエッチする気には慣れないし、キスだって自分からしたいとは思わないし、そもそも異性として好意は抱けないと思ってる。でもそんな風に何もちゃんと出来ない癖に、アルには嫌われたくないとも思ってる。贅沢な話だ。奴隷の望んで良いことじゃない。
だけど、もし、許されるなら━━━。
「あ、アルが、おいらの事・・・・そのっ、す、好きだっていうなら・・・・少しはっ、我慢するから、前みたいに、して良いから」
「いや、君が我慢する必要はない。私は━━━」
何か言おうとしたアルの唇に、おいらは自分の唇を重ねた。背中がぞわぞわする。いい気持ちはしない。
だけど、大丈夫。
「━━━シルヴィっ・・・・!?」
「だ、大丈夫なの!これくらいっ!そりゃ、この前は泣いちゃったし、好きかどうかって言われたら本当は今でも嫌だよ!でも、これくらい我慢出来る!我慢出来るくらいの事なんだよ!撫でられるのも、抱き締められるのも、エッチだってっ、そのっ、優しくしてくれるなら・・・・・・・嫌な時は、今度はちゃんというよ。アルが嫌な気持ちならないように、おいらもしたいから。アルには笑ってて欲しいから。だから、勝手においらの嫌な事決めるな。勝手に謝るな。勝手においらの事、諦めるなぁ・・・勝手にっ、離れちゃ嫌だ━━━━っふぇあ!?」
急にアルに抱きつかれた。
がっちりした男らしい腕が体を締め付け、おいらの細い首筋にアルの顔が押し付けられる。
首筋に掛かるアルの吐息に、触れあう肌から伝わる鼓動に、心臓が馬鹿みたいにドキドキしてしまう。
口から飛び出しそうって聞くけど、リアルに感じるのはこれが初めてだ・・・・いや、何回かあった気がする。転生に気づいた時とか。
「あ、アルっ、いきなりは、やだってば!」
「しかし、君があまりにも、愛らしい事を言うから!!頼む、もう少しこのままでいさせてくれないか!!正直、気持ちを抑えきれない!!このまま、めちゃくちゃにしてしまいそうなのだ!!」
「ひぇっ!?めちゃくちゃはやだ!!本当にやだ!!駄目っ、無理だから!!」
本気の気配に全力で抵抗してみたが、ちっともアルの腕から抜けられない。その間にも首筋に顔を押し付けたアルがハスハスと匂いを嗅いでくる。髪の隙間から見えた瞳には、欲情の炎が燃えていた。
ひぃっ、っとか思ってるとソファの上に押し倒された。
匂いを嗅いでるだけだったアルの唇が首に触れる。チュッという音が鳴って痛みが走っていく。
「ふぉっ!?あっ、駄目だってぶぁ!?」
固い何かが太ももに触れた。
アルの服には色々と飾りが付いてるけど、触れたのはそういう固さじゃない。生暖かくて、何処か柔らかさもあるそれだ。恐る恐る下半身に視線を向ければ、ズボンが立派なテントを作っていた。
「無理無理無理!!無理だから!!本気で!!」
「シルヴィ、頼む!もう私も限界なんだ!!心が昂ってしまって!正直に言う、この一月の間っ、私は自慰すらしていない!!あの時、君を悲しませた反省の為にと!!」
「ひぇっっっっ!!ひっ、一月もっ、おかしな我慢してんじゃねぇよ!!何考えてんだ!!」
思わずそう怒鳴ると、アルが顔をあげた。
抱き締めてた手で両肩を掴んで、鼻息を荒くさせながら思い切り顔を近づけてくる。
「君の事を考えていた!!白く滑らかな君の肌を!!硝子細工のように繊細で華奢な君の体を!!程好く育った柔らかな君の胸を!!ハープの旋律がごとき甘く切ない君の嬌声を!!熟れた果実のような赤い君の唇を!!君の事だけを、考えていた!!」
「や、やめろぉ!!それは普通に気持ち悪い!なんかゾクゾクする!!態々言わなくてい━━━━━━っっっ!!??」
声を遮るように唇が重ねられた。
まるで噛みつかれてるかのような力強い口付け。
驚いてる暇もなく、アルの舌が唇の隙間を抉じ開けて口の中に入り込んできた。ぬるりとしたそれが縦横無尽においらの口の中を貪っていく。
アルとのキスはそこまで嫌いじゃない。だけど男を強く感じる力強いそれは気持ち悪いと思ってしまう。
頭に浮かんだその気持ちに嘘はない。
間違いなく本心だ。
でも強く押し退けられなかった。単純に力がないせいじゃない。今のアルの瞳を見てると、押し退けたいと思えなかった。
「━━━━━はぁ、シルヴィ。済まない、また」
謝罪を口にした唇に、おいらはまた自分唇を押し付けた。流石に舌は入れられない。触れるだけのキスだ。
「謝るな、良いから・・・・その代わり、優しくしろよ。またあんなのは、やだからな」
「善処する・・・・あまり自信はないが」
「善処してくれるならそれで良いよ。おいらには充分だ。その代わり、ちゃんとおいらの事見て」
アルの両頬に手を添えて、目を見つめる。
夜に浮かぶ月のように輝く。
綺麗で優しい金色の瞳を。
「へへ・・・アルの目、おいら好きだよ」
唇がまた重ねられた。
おいらの舌へアルの舌が絡んでくる。
厭らしい音と舌から伝わる柔らかな感触に、気持ち悪さより快楽の方が強くて胸の所が熱くなっていく。
「んっ♡」
情けない甘い声が漏れた。
その声を聞いて肩を掴む手に力が籠る。
痛くはないけど、その力強さから今日はもう逃げられないんだろうなと、他人事のように思ってしまった。
「━━━━っ、シルヴィ」
「んぇ・・・・?」
唇を離したアルは上着を脱ぎ捨てた。
そしてシャツのボタンも外して肌を晒してくる。
男の汗の臭いが鼻をつく。
「私は、君を抱く」
短い言葉に頷いて返せば、直ぐにアルの手が胸に触れた。メイドさん達が下着を着けてくれなかったから、アルの指の動きに合わせて胸の膨らみの形が簡単に変わる。ふにゅふにゅされる胸をぼんやり見てると、アル何とも言えない顔で溜息をついた。
「はぁ、余計な気を使わせたものだ。君の意思ではないのだろう?」
「あぅ・・・・う、うん。そうだけど」
「出来た使用人達だ。ヴィーナ辺りの差し金か・・・しかし、彼女も分かっていないな。下着一つ脱がすのも、楽しみの一つだというのに」
そう言うと、アルはワンピースを捲りあげてくる。
晒された肌をひんやりした風が撫でていった。
思わず体がビクついて、露になった二つの膨らみも揺れる。
「シルヴィ、お願いだ。これ持ってて貰えるかな?」
捲りあげたワンピースの裾をおいらの手に握らせ、アルが清々しいまでの笑顔を見せてきた。笑顔の圧の強さから、お願いというより命令な気はする。
今更抵抗しても雰囲気的に止めて貰えなさそうなので、おいらは腹を括って持たされ裾の部分を首元の所に固定した。
不意に冷たい風が胸元から足先までを撫でる。
その感触が自分の格好を連想させて、急に恥ずかしくなってきた。寒さなんて直ぐに忘れた。気づいてからは顔も体も熱いくらい。
「照れている君も魅力的だ。可愛いよ、シルヴィ」
「そっ、そういうのは禁止!」
「ははは、君のお願いは何でも聞きたい所なのだが、そればかりは聞けない頼みだ。その言葉がなくなってしまったら、君へ囁く愛の言葉が足りなくなってしまう。今でさえ、この感情を表す言葉が少ないと思っているのに」
アルの唇が膨らみに触れた。
リップ音と共に甘い痺れが走ってくる。
固く閉じた口の中で、小さな嬌声が反響する。
「ずっと、触れたかった」
そう言いながら、アルはチュッチュッと唇を押し付けてくる。唇が触れる度、言葉にし難いものが体の中を走っていく。それは頭の中をとろかせて、体を酷く火照らせた。
でも少しだけ物足りない。
だってアルが触れてくれないのだ。
一番うずうずしてる所を。
「あ、アルぅ・・・・ひゃう♡!?」
「おねだりなんて何処で覚えてきたのかな」
「ちがっ、あぅ♡ふぇ♡」
おいらが声を掛けると同時に、アルが固く立ち上がったそこに吸い付いてきた。思わず肩が跳ね上がって、嬌声が口から溢れてく。恥ずかしさから服を下げようとしたけど、アルに優しく止められた。
「シルヴィ、隠さないでくれ。お願いだ」
金色の瞳に見つめられ動けずにいると、アルに敏感なそこを強く吸われた。瞬間、激しい甘い痺れが走る。お腹がきゅんと疼いてしまう。
「らめっ♡やぁ♡すっちゃ・・・・んんんっ♡」
ちゅぱちゅぱってエッチな音が、強い刺激が。
敏感なそこから身体中に響いていく。
頭の中がふわふわしたモノで一杯になって、何も考えられなくなって━━━━じわりと、あそこが濡れた。
「君は本当に、感じやすいな・・・・こうして喜ばせられるのは嬉しい限りだが、誰にでもそうなのかと思うと少し不安を覚えてしまうよ」
「そ、んにゃこと、いっひゃって・・・・ひぅ♡」
おいらのお尻を、アルの手が掴んだ。
アルの手は柔らかさを確かめるようにそこを何度か揉んだ後、パンツ越しにゆっくり撫でてくる。
羞恥を感じると共に、胸を弄られた時とは違う刺激が背筋を這い上がってきて変な声が漏れてしまう。
「あっ♡」
お尻を撫でてたアルの指が尻尾に触れた。
そして酷く優しい手つきで尻尾を包むように掴み、形を確かめるように軽い力でニギニギしてくる。
「ウサギは求愛の際に尾を立てると聞くが、シルヴィ君はどうなのかな・・・・この立派に立ち上がった尾に、私は期待しても良いのだろうか?」
「はぅ♡」
艶のある熱っぽい声を出しながら、アルの指がすっかり濡れたそこに触れた。そこが濡れてる事に気づくと、アルの指はパンツの隙間から遠慮なく潜り込んできて、おいらの割れ目をなぞった。瞬間走った刺激にあそこがきゅっとする。
「あっ、ああぅ・・・やぁら、アル♡しょこ、なでなでしちゃ、やら♡」
「撫でるのは駄目か、それなら別の方法を取ろう」
そう言うと、アルはあそこを優しく揉み始めた。
指があそこのお肉に沈む度、言葉に出来ない刺激がビリビリと伝わってくる。
胸やお尻を揉まれた時はまた違う、その知らない刺激に頭がゆっくりふやけていく。
「━━━あんっ♡ら、らめって、いっひぇるのに♡」
急に思い出したように、アルの指が敏感なそこをつついてきた。パチっと目の前に光が走って、腰がびくついてしまう。甘さに満ちた刺激にゾクゾクが止まらない。
それでも何か足りなくて、もっとして欲しくて、おいらは恥ずかしさを堪えながら、こっそりアルの指に腰を押し付けた。
「ふっぅ♡んんっ♡んぁ♡っう♡」
敏感なそこに指が擦れる度、気持ち良い刺激が走っていく。閉じた口から短い嬌声が漏れでていく。
奴隷のおいらが、勝手にご主人様であるアルの指でエッチな事したらいけないのに、どうしても腰を動かすのが止められなかった。
もう少しでイキそうだと思った辺りで、アルの指がパンツから引き抜かれた。唖然として顔をあげると、蕩けそうな笑みを浮かべるアルと目が合う。
「いけない子だな、シルヴィ。勝手に気持ちよくなろうなんて」
「ちがっ、う、だって、体が勝手に・・・・あぅ♡」
言い訳しようと口を開いたけど、その言葉は途中で止まった。だってそれが目に入ってしまって、目が意識がそこに全部持っていかれてしまったから。
獣を思わせる程の猛々しさを漂わせ。
ビクビクと力強く脈を打ちながら、固く大きく立ち上がった、赤みを帯びた黒色のアルのそれに。
改めて見るとびっくりするくらい大きい。一回これとやってるのが嘘かと思うくらいだ。全然入る気がしない。
だけど、怖いと思う以上に、あそこが疼いていた。
頭はついてこなくても、これがどんな物なのか、どんな風に使われたのか、どれだけ快楽を与えてくれたのか・・・・おいらの体は、あそこは良く知ってるみたいで、愛液という涎を垂らしながらキュンキュン物欲しそうに動いてしまう。お腹の下の所が熱い。鼻につく男の性の臭いに興奮が止まらない。
思わず手を伸ばすけど、触らせて貰えなかった。
さっきと同じように胸が見えるように裾を持ち上げ、動かないようにと手を固定されてしまう。
「シルヴィ、良いね?」
一言そういうとアルはおいらの返事も待たず、パンツをずらして固く大きくなったそれを割れ目に押し付けた。
「っぅぅう♡んぁ♡」
ゆっくりとおいらの中に異物感が潜り込んでくる。
狭くなった割れ目の奥を押し広げて。
止まる事なく、力強く。
「んにゅッッッッッ♡!?」
固い感触がお腹を押し上げた。
アルのそれがぶつかった場所がじんわり熱くなる。
自分の胸の谷間から下半身を見れば、お腹の所がほんの少し膨らんでるのが見えた。
それと、入り切らなかったアルの黒々としたそれも。
その光景を目にして、多幸感でぽやぽやしてた頭が一気に正常値まで戻った。
「アルっ!ちょっと待って!入らない!無理!物理的に無理だから!!」
「そんなに不安な顔をしなくて良い。大丈夫、一度入った物だ」
「一度入った!?━━━━ッッッッッ♡♡♡!!!」
聞き捨てならない言葉に悲鳴を返した直後、差し込まれたそれが更に奥へ押し込まれた。さっきまであった焦りも恐怖も一瞬にして吹き飛んで、頭の中が真っ白に染まる。頭の先から爪先まで、言葉に出来ない刺激に痺れて動けない。
「シルヴィ、動くぞ。応えてくれ」
「ふぇっ・・・・あんっ♡!」
おいらの中をアルのそれが荒々しく出ていって、また一度奥まで押し入ってくる。一回だけじゃない。何回も何回も、アルは腰を打ち付けてくる。
お腹の奥を突かれる度、お腹の中を擦られる度、頭が蕩けてしまうような甘い刺激が延々と襲ってきた。
「はぁ、はぁ、シルヴィ。愛しい、私のシルヴィ・・・・まずはっ、最初の一回だ。受け止めてくれ」
「んにぇ♡!?りゃめぇっ♡!おなかにょ、なか、はつっ♡できひゃっ━━━━ッッッッッ♡♡♡♡♡!!!」
制止の声も虚しく、灼熱の液体がおいらの中に注がれた。いや、注がれたなんて勢いじゃなかった。鯨の潮吹きみたいに火傷しそうな液体が叩きつけられた。
おいらの一番の奥、きっと赤ちゃんの入る場所に熱い物が溜まっていくのが分かる。頭の中に蠢く沢山の精子の姿が浮かんで、その先のこともぼんやり考えてしまう。
多分出来ない筈だ。同じ人とは言っても、獣人と人とでは少し体の作りも違うから子供は出来にくい。
でも、それでも、何となくお腹を触ってしまう。命が宿るかも知れないそこを。
不意に胸の所に強い痛みが走った。
びっくりしてアルと繋がったままのそこが、またきゅぅってしてしまう。
何をされたのか首を持ち上げて覗けば、乳房に歯形がついていた。血は滲んでないけど、噛まれた場所はしっかり赤くなってる。
アルは赤くなった場所に舌を這わせた。
酷く優しく、いとおしそうに。
そして、何処か寂しげに。
おいらは怒る事が出来なかった。その姿が何となく幼なかった日の無邪気に甘えてきた弟や妹に被って見えたから。
だから、そんなアルの頭を抱き締めた。出来るだけ優しく。ぎゅっと。
アルはビクリと体を揺らした後、乳房から口を離した。
「・・・・済まない、痛かっただろう」
「ちょっとだけな。でも良いよ」
抱えたアルの頭をゆっくり撫でながらそう答えると、アルが頭を胸元に押し付けてくる。腕をおいらの細い腰に回して、ぎゅっと力強く抱き締めてくる。
甘えてるみたいと思ったけど、普通に甘えてきてるのかも知れない。
「君を離せない理由が、また一つ増えてしまった」
「なんだよ、それ、ふふっ・・・・でも、そっか。それはちょっと嬉しい話が聞けたな。こんな事で置いて貰えるなら、おいらこれから幾らでもするよ」
「迷惑ではないか。大の大人がこうするのは」
「嫌な時はちゃんと言うっていったろ?大丈夫、大丈夫だから、好きなだけそうしてて良いよ。アル」
どれくらいそうしてたのか。
激しかった鼓動が少しだけ落ち着いた頃。
不意に敏感な場所が舐められた。
ぞくりとして腰が浮く。
「君は誰にも渡さない」
静かな声と共に、また腰がゆっくりと動き始めた。
そう動かし始めたのだ。
股関のそれを大きく、そして鋼の如く硬化させて。
「・・・・まっ、まだやる気か、お前ぇ!!無理っ、もう一杯いっ━━━ふにゃ♡♡♡!?」
「あとちょっとだけだ。あと、二時間程で澄ませる」
「にっ、にじかぁ♡んっ♡!?」
それから何回も意識が消えて、何回も刺激で目を覚ました。気づけばお腹の中はアルに注がれた物で熱くて重くなっていた。でも、それでも、アルはおいらと繋がったまま腰を打ち付けた。
最初の時と比べて多少は慣れたのか、メスとしてアルを求めながら、何処か冷静なおいらがその光景を見て・・・・静かに嘆いた。その内、追い出される前に、やり殺されるのではないかと。
「シルヴィ、実は明日、私も休みを━━━━」
「部屋にくんな、色情魔。おいらの半径十歩分近寄ってくるな。馬鹿、変態、エロ、スケベ」
「━━━━・・・・・済まなかった。本当に。頼むからそんな顔で床を蹴らないでくれ」