『お前が僕のものになるんだ!』
果たして、彼女の主がそういってくれたのは何が切っ掛けだっただろうか。
少し事情があって小さな少年がいるだけの古い屋敷にやってきたメイドのリリス。
仲良くなろうあるいはからかってやろうとその幼い主人に怪しい物言いをし続ける彼女であったがそれを真に受けた坊ちゃまの無自覚なタラシ言動にかえって胸中乱される日々を送っていた。
けれどそれは彼女にとっても、そして主人となった幼い少年にとってもちょっと騒がしくも楽しい日々で、少なくともそれがしばらくは続くであろうことをどちらも疑ってはいなかった─────そいつが現れるまでは。
「っっ❤ っ、んんぅっ、ふううぅ、んんんっ!❤」
ぐっと密着した男女の腰と腰。部屋の壁と男に挟まれるようにそのメイドは背後から火傷しそうな熱さと鉄芯でもあるかのように硬い肉の棒を押し入れられる。膣内から存在感をいやというほど訴える逞しい雄の象徴は当人の心情を無視して、うら若きメイドの体温を上げさせる。思わず屋敷中に響きそうな嬌声をあげそうになった自分に気付いてシルクの長手袋を口にあてるようにして防ぐほどに昂らされてしまう。
「健気だねぇ、でもそうされると男は逆に燃えるんだけどさ」
「ご無体、を…あっ、んっ……やっ、胸はぁ❤」
しかしそのため元々両手をついて壁によりかかるように自らを支えていたメイドは完全に抵抗の手を失った。背後の男の微塵も可愛らしくない無骨な手が─主人のために─露出させていた胸元から服の中に潜り込む。褐色肌に浮かぶ玉のような汗をその美しい膨らみに塗りたくなるように撫で回しながら乳肉を弄ぶ。柔らかな感触を楽しむ巧みな動きにリリスは乳房の芯から走る快感の電流に知らず男を誘う蕩け声をもらしてしまう。
「最初から感度良かったけど、この程度で喘いじゃって……いったいどこの悪い男に調教されちゃったんだかこのメイドは、ハハッ」
「あぁ、ああっ❤ 調教なんてされ、んんっ!❤ そこダメぇっ!❤ あんっ、お、お願いしますっ、せめてお屋敷では……っああぁぁんぅっ!?❤❤」
ジンジンと痺れるような胸からの刺激と体の最奥から全身に響く暴力的な快感。これでは声を抑えるのはすぐに無理になると
「やあっ、こんな声ぇ❤ だからダメですっ、本当に坊ちゃまに聞こえ、あっ❤ あっ❤ あっ❤ やめっ、お願いです、ゆっく、りぃっ、んぅっ!❤ 声でちゃ、っっ、い、やっ、あああぁぁっ!❤❤」
羞恥よりも主人に聞こえたのではないかと焦る彼女の心境など無視して男は欲望のままに腰を打ち付けた。彼女自身が捲らされてあらわになった白のショーツとガーターストッキングに彩られた褐色肌の下半身がその度にまるで男に応えるかのように震えながら受け止めている。体格の差でどうしても爪先立ちを強いられているリリスにはそうするより他にないだけではあったが。
「ダメっていいながら俺に吸い付いてくるのはリリスだろ。俺は応えてあげてるだけさ、優しいご主人さまだろ?」
「っ、違いますっ! 私の主人はっ、え、やっ、んぢゅっ!? んんぅ、むうぅっ!?」
自分の主人は断じてこの男ではない。
その点だけは否定しようと振り返って開きかけた口はいつのまにか上体を倒して間近に迫っていた男の口に塞がれた。反射的に逃げようとするも男の手に後頭部を掴まれ、顔を固定されてしまう。驚き慌てるだけとなったリリスは唇を閉じる暇もないまま口内に舌を侵入させられ、無理やり自分の舌と絡まされていく。
「んんんっ、ぢゅっ、れろっ、やっ、はなっ、んぢゅうぅ!? れろ、んんっ、えろぉっ、んっ、んっ、んんぅっ、んじゅるぅっ!!❤❤」
リリスはつい必死になって追い出そうとそれに応戦してしまうが、経験豊富な男にその動きを利用されて自ら舌を絡ませているかのようになってしまう。逃げようとしても押し出そうとしても相手が巧みで気付けば唾液を交換し合ってしまい、男の味を教えられ、自らの味を吸われるだけ。彼女が冷静であれば無理矢理でも口を閉じる。怒りを買うことになってでも相手の舌を噛む。という手段を思いつけたろうがリリスが男に唇を奪われたのは今日が初めてであった。その衝撃の中、パンパンと肉音を響かせるほど激しく打ち付けられる腰と内側を蹂躙する熱い肉棒の刺激も混ざってそんな考えも浮かばない。
「んちゅぅっ、あはぁ…う、うそ……ひどい、キスはしないとやくそ、っ、んんんぅ!❤」
「ちゅ、ぢゅぅ、ああそうだったな。でもこれは気遣いってやつだよ。このままだと勉強中のお坊ちゃまに聞こえるぐらいでかい声で喘いじゃいそうだったから塞いでおいてやらないとさ、んぅ」
「だめ、んぢゅるっ、れろぉ、びちゅぅ、んっ…ぷはぁ、でしたらもうおやめにっ、あっ、あっ、ああっ!❤❤ おおぉっ、突然激し、んほぉ!?❤ やっ、待ってっ、ああっやだ、やだっ、あなたさまのが
知ってしまった、気付けるようになってしまったその予兆。自分の膣内でその存在をずっと主張し続けている荒々しい肉の棒。彼女の心情を無視して本能で膣がむしゃぶりついてしまっている猛々しいオスの象徴がその欲望を何の躊躇いもなく爆発させようとしていた。
「おほぉっ❤ あっ、ああっ、お、お許しをぉ❤ こんなに何度もっ、んんぅ、お情けを受けてしまったら私っ、あ、んちゅぅ、ぢゅる、れろ、ちゅうぅ、んふぅっ!❤❤」
(ああっ! 坊ちゃま、坊ちゃま! 大好きな坊ちゃま、愛しいゆうり坊ちゃま!)
彼の怒り顔。困惑顔。怒鳴り顔。笑い顔。泣き顔。
リリスはせめてもの抵抗か自らを励まそうとしたのか。
いつもいつも真っ直ぐな言葉をかけてくれる大好きな主人の顔をいくらでも思い浮かべてその時が過ぎるのを耐えるように待った。ただそれは男の責めに完全に抵抗しなくなってしまったことでもあり、傍から見れば荒々しい男の腰使いを堪能し、暴力的な口づけに溺れていたようでもあった。
「んはぁ、あっ、ああぁっ❤ きちゃうっ、イク、イクっ、おひぃっ!❤ あぁ、ん、んぢゅるっ、ちゅ、むぅ、ちゅっ、れろれろぉ❤❤」
眼前の男が得意気ににやついているのを必死で意識しないように自分の坊ちゃまだけを想う。しかしそんな最後の抵抗を嘲笑う如く男の腰が合図のようにガツンと突き上げられた。瞬間、最奥に刺さる硬く熱い肉棒の衝撃。脳を揺らがすような視界の閃光。そして一瞬足先が床から浮いたような錯覚の中で、リリスはこの後を予感してか背後の男の頭をかき抱くようにしながら強制的な絶頂に昇らされ、そして。
「んんっ、ぢゅうっ……っっ、んふううううぅぅぅっっ!?!?❤❤❤」
(坊ちゃま、リリスにお力、を─────っっっっっ!?!?!❤❤❤)
自らの内側で起こった爆発に流される。脳裏を占めていた主人の顔が一瞬で打ち消される。灼熱の塊が終わりがないのかという勢いでドクドクとメイドの最奥に叩きつけられていた。肉体は待ち構えていたモノが来たとばかりに歓喜の電流を背筋に走らせ、リリスの頭を望まぬ多幸感で満たし続ける。これで幾度目かという疑問すら浮かばぬほど教え込まれたその感覚だが、絶頂から戻れないメイドにそこから逃げる方法はない。むしろ男の唇に自ら吸い付いてさえいた。それは果たしてそんな状態でも声を気にしたからか。だが目の前の男しか目撃者のいないその顔は女の悦びを与えてくれた彼へ媚びるような蕩けた代物で、彼女の主人が一度も見たことのない本気の蕩け顔であった。
「ッ❤、ちゅっ❤ んっ❤ っっ❤ ぁあ……またこんなに、リリスの中に出してくださって、あはあぁ……っ❤❤」
その間にも注がれ続け、当然とばかりにメイドの胎に溜まっていく男の白濁。その内側から浸食してくるような熱に全身が痺れていく。ソコが誰のものか示さんとするようにへばりつく重みに女の腰が歓喜で震える。まるで自らの所有権が誰にあるのか示さんとするように。今にも書き換えんとするように。
「っっ❤❤」
一分の隙のないまま密着する男の存在をどうしても意識してしまう。
だからその先の未来に、こんなことを続ければあり得る可能性に、倒錯的な快感が背筋を駆け上ってリリスを小さく絶頂させる。そんな自分を彼女は全力で見て見ぬふりしている。
「はぁ、はぁ……おおっ」
やがて、出しきった男がリリスから自らを引き抜くと共に体を離す。絶頂の余韻抜けきらぬ、息の荒いメイドは支えを失ってそのまま床に崩れ落ちる。甘い痺れに支配された全身、とくに下半身に力が入らなかったのだ。
「あっ……はぁはぁはぁ❤ ん、んぅ……あ、やぁ、お情けがこぼれて、いっぱい…床が……ぁぁっ❤❤」
捲り上げられたままのスカートから覗く白い装いの褐色の脚。その根本、女の蜜壺から零れ落ちた男のドロドロとした欲望の粘液が今朝がた彼女が掃除したばかりの床を、彼女の主人の屋敷を侵食するかのように汚していく。その光景にリリスは嘆くように声をもらしたがどうしてもそれには艶っぽい色がついてしまっていた。
「あーあ、汚しちゃって……お掃除、しないとなリリス」
それを揶揄しながら、されど彼女に示されたのは床でも清掃道具でもなく先程までメイドを我が物顔で蹂躙した雄々しきモノ。男自身の精液と彼女の愛液でぬらぬらといやらしく輝くソレは完全ではないが殆ど萎えてなどいなかった。
「ぁ、んっ❤」
無意識に、半ば反射的に、メイドは生唾を呑む。未だ隆々とした姿のソレに今の射精で目覚めたかのように
「おそうじ……はぁむ、ん……じゅぅ、んじゅっ、むふぅ……んぢゅうぅぅ!❤❤」
乱れて顔に張り付いていた艶やかな黒髪をかきあげながら彼女は陶酔しきった顔で男の根本まで食らいついた。そしてまるで感謝するかのように暖かな口内に優しく頬張り、教え込まれた舌の動きで丹念にその汚れを落とし、吸う。いまするべき掃除はこれであると示すかのように。
「お、おおぉっ! 下の口も上の口もねっとり吸い付いてきやがる。なんだかんだいって見た目通りスケベなメイドだ。へへっ、あんな子供にはやっぱもったいねえ。大人の男がしっかり面倒みてやらないとな」
それに夢中になっていたせいで男の言葉が耳に残らない。
されどホワイトブリム越しにメイドの頭を撫でられるとそれをくすぐったそうに、けれど嬉しそうに受け入れてリリスは微笑む。どこか仕事の出来を褒められたように感じてしまう。だからそうするべきとでもいうほど自然な動きで彼の腰にしがみつく。そして怪しく光る紫の瞳でメイドは男を熱っぽく見上げながら唇をすぼめると頭を激しく前後させてじつに熱心な掃除を始めるのだった。
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男はその軽薄な言動とは裏腹に若くして成功した資産家だった。最初はどこからか美しくて若い優秀なメイドであるリリスのことを聞きつけて彼女をスカウトしにきた。しかし主である少年はもちろん、リリスもそれを丁寧に断った。その際またお坊ちゃまが無自覚でしたタラシ言動に絆されたのもあったけれど、そもそもリリスはここでやるべきことがあるのだから。ただそれ以上に男が自分に求めているのがメイドの仕事だけではないと感じ取ったのも大きい。だがリリスはその程度を見誤った。彼はその場ではおとなしく引き下がったものの後日屋敷と土地の法的な権利を秘密裏に買い取ってしまう。メイドの幼い主人ゆうりが唯一持つ資産であり居場所である屋敷はどんな裏技を使ったのか誰も気付かぬ内に男の所有物となってしまったのだ。そして狡猾かそれとも露骨にか。男はその事実をリリスにだけ明かしたのである。あとはもう記すまでもない流れ。彼女はここでの生活を少年主と共に続けさせてもらうのを条件に男の淫らな要求に応えるメイドとして仕えさせられていた。
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「お坊ちゃま、そろそろご休憩なさってはいかがですか?」
書斎で自主勉強中であった幼き主人はそういってきたメイドが運んできた菓子とティーセットを見て主の威厳たっぷりに頷いてみせた。好物を前にしてその顔は歳相応に喜んでいたのでメイドは微笑ましく笑うだけだが。
「っ」
(なんだろう、最近コイツ今までと違った感じで怪しい! 笑い方がなんか違うというか。今まで以上に目を離せなくなっているというか……あとなんでか股間がむずむずしてきてしまうぞ!?)
少年主はその意味を理解せぬままティータイムの準備をするリリスを見詰めている。いつもと同じテキパキとした手際とおいしそうな菓子とお茶。されどナニカが違うと彼は感じていた。
(息が上がっているな、汗もかいてて……どこかで力仕事でもしていたのだろうか?)
「坊ちゃま、どうぞ」
「ああ」
(そういえば最近呼んでもちょっと遅れるような。あと夜中トイレに起きたら変なところにいたような。外出も前より増えたような……うむ、また何か企んでいるな。その企み、必ず僕が暴いてやるぞリリス!)
用意してもらったお茶とお菓子をご機嫌にいただきながら少年主は意気揚々といつものように推論と結論を出して決意を新たにした。いつものようにそれを口にしてメイドに問いたださなかったのは彼の中でそれが明確な形になっていなかっただけ。子供ながらの純粋さと知識・経験不足による真っ直ぐな発想を持つゆえに疑問としても中途半端でまだ気のせいに近いそれらをメイドにぶつける気になれなかったのだ。
「ふふ、坊ちゃまったらそんなに私手製のお菓子に夢中になって……私が作ったものじゃないと満足できない体になっても知りませんよ?」
「ハッ、お前まさか料理以外にも何か混ぜて僕に食べさせていたのか!?」
「ええ、とってもクセになるものをたーっぷりと♡」
「くっ、だから僕はお前とのティータイムが毎回毎回楽しみになっていたのか!?」
「え?」
「この時間が近づくたびにそわそわして、お前がやってくるとうきうきしてしまう! これが禁断症状というものか!? お前無しでは生きられない体にされてしまったんだな!? 許さんぞ、僕は一生お前を手放さないからな!」
「はうっ……」
そんなこんなでいつものメイドのからかいはいつものように色んな意味でメイドの敗北で終わるのだった。
そして午後のティータイムが終わってリリスが後片付けをするさまを何気に見ていた少年主は何か違和感を覚えた。
(ん、アイツの背中にあんな痕はあっただろうか?)
彼女のメイド服は卑猥というほどではないが胸元と背中をかなり露出している。こんな田舎ではまず見られない派手さなのだが、その開いている背中側から見える彼女の褐色肌に何か薄ら赤く見える小さなナニカが点在していた。いつも見ているものだからそんなもの今朝は無かったのを少年は知っている。しかし同時に“それがわかってしまう自分”が妙に気恥ずかしくなった彼はその事実をすぐに脳内から追い出してしまってメイドに尋ねることはなかった。尤も、良くも悪くも子供である彼にその意味を察することはどの道できなかっただろうが。
幼い子供とメイドだけの屋敷の夜は早い。ここが田舎であることを差し引いてもやはり相手は子供。特に勉学に励んだ日はその疲れもあってか眠りにつくのがかなり早い。ゆえに屋敷からは早々に灯りが消されていた。周囲に他の屋敷や民家もないため人目がなく、そんな事実を知る者さえいない。だから、メイドがこっそり抜け出したこともまた誰も知ることはない。
「まだまだ夜も始まったばかりだっていうのにお子様はもうおねんねか」
メイドが向かった先にいたのは例の資産家の若い男。昼間メイドの肢体を堪能しただけでは足らないとばかりに彼女を誘い出した張本人が車を背に待っていた。どこか予想より早いとばかりに誰かを小馬鹿にする態度で。
「きちんとお眠りになるのも坊ちゃまの仕事かと」
かちんときたメイドが丁寧な口調なれど毅然と言い返すが男は意に介さない。
「ああ、子供はしっかり寝ないとでっかくなれねえからな……けど俺達大人は違う」
「っ、んぅ❤❤」
するりと腰に回った腕を振り払う間もなくリリスは彼に抱きすくめられた。顔を埋めさせられた男の胸板は厚く、たくましさを覚えてしまう。鼻腔に突き刺さる、嗅ぎ慣れてしまった男臭さに頭が甘い痺れを感じ出していた。
「今夜もたっぷりと大人の時間を楽しもうじゃないか」
「あっ❤ か、かしこまりました❤」
腰から伸びた手がスカート越しに無遠慮に尻を撫で回す。それにもう前ほど嫌悪を抱かないどころか下腹部から甘い疼きを感じだす自分にリリスは目を伏せながら応えた。そこにあるのは諦観か我慢か。それとも期待か。メイドは彼に肩を抱かれ、促されるまま共に車に乗りこむ。
「んっ、やっ、あぁ❤ お屋敷につくまでお待ちになっ、んぅぅ❤」
乗車した途端、静かに走り出した車中でさえ男は待たずにリリスを貪る。
「運転手が気になるか?
知ってるだろ、お前と同じ立場の女執事殿だ。気にするな」
「ちがっ、んんっ❤」
後部座席で隣り合って座るメイドをかき抱くように男はその顔を胸に埋める。柔らかな感触を顔面全体で堪能しながら刺激しつつ、開かれた胸元から見える褐色肌に唇を幾度も落とす。それが単なるキスでなく、彼女の柔肌に痕を残さんとする吸血じみた行為であると知っていた。
「ですから、あんんぅ❤ 痕残さないでぇ❤ あっ、坊ちゃまに気付かれ、んぅっ!❤」
「あんな子供に意味がわかるものか。虫刺されだとでもいっておけ、んちゅぅぅ」
「そこっ、はぁんっ!❤」
あらわになってる乳房の半球。見せつけているかのようなホクロの上に生まれたキスマーク。初めてのことではないが肌に直接、しばらくは残るそんな痕跡は着実に何かを彼女に刻んでいた。いずれこれが消えないまま残る日が来てしまうような得も言われぬ恐れが徐々に徐々に大きくなる。
「お、お願いします。どうか朝までに帰してください。明日もお世話が……」
「はいはい、俺の朝勃ちをしっかりお世話したら帰してやるよ」
それは実質朝まで帰す気はないということであった。多分それが覆らないことをこの体に直接教え込まれてしまっていたリリスは臍を噛む。案の定あらゆる懇願をしても男はリリスの要求を通すことなく自らの屋敷につくまでの十数分ずっと彼女の体を弄び続けるだけ。
「──っ❤❤」
だから到着して車から降りた時にはもう自らの肉体が完全に出来上がっているのをリリスは否定ができない。きっとこのまま彼の部屋に連れ込まれ、いつものように乱れ、狂わされるのだろう。
──そう、いつものこと
これはもういつものことだ。
なら、大丈夫です
いつものように自分はまたあの幼い主人のもとに帰れ──
「これ、はっ?」
通された、見知った部屋にあった大きなベッドはだが知った物と違っていた。されど彼女が毎日のように見ている物と寸分違わぬ物でもあった。だって、それは。
「坊ちゃまのベッド?」
「ああ、やっぱ分かるか。同じ物を作らせたのさ。なに問題無い、中身はガキ向けじゃない頑丈さだからいくらでも激しくできる」
「な、な……」
なぜそんな。どうしてそんな。さすがに意味がわからず、あるいは分かってしまったがゆえの驚愕か。頭も体も固まってしまったメイドに男は耳元で囁くようにさらなる爆弾を口にする。
「ちなみに、使ってるシーツや枕なんかは本物をちょっと借りてきた」
「え?」
いつのまに、だとか。それは泥棒だとか。まっとうな指摘は頭に浮かばなかった。代わりに浮かんだのは「それはもう坊ちゃまが使ってるベッドと同じ」ではないか。瞬間ぞわりと嫌な予感が背筋を駆け昇る。これは、ここでは、いつものようにされてはいけないと彼女の中のナニカが強烈な不安を訴える。が。
「喜べ、リリス」
「──っ、あっ❤」
どんな醜態をさらそうとも、他の何を取引してでも、避けるべきとメイドが動くより先に男の手が肩を掴む。同時に背中のエプロンの結びを解かれたのを察した。男の指が肩紐を外してエプロンを床に落とし、続けて黒のワンピースも肩から引きずり落とすように脱がされてしまう。抵抗する隙が無かったわけではない。しかし出来なかった。下手に逆らって少年主を路頭に迷わすわけにはいかなかったからか。戦う気概を出す前に
「きゃっ❤ ──っ!❤」
褐色の肌に合う白いビスチェとガーターベルトだけにされたリリスはベッドに押し倒された。ふわりと柔かな感触に受け止められ、即座に舞い上がった大切な主の匂いを感じて息が止まる。本当にここがあの坊ちゃまの寝台だと勘違いしてしまいそうな感触にリリスは覆い被さる男に対して初めて弱々しく首を振る。ダメだと、ここではしないでと暗に訴えるそれに男はしかし。
「こっちなら声を我慢する必要はないぞ」
「っっ───!❤」
まるで本音を見透かされたような衝撃にリリスは一度その魅力的な紫の瞳を泳がす。だが次の瞬間彼女の白い長手袋に覆われた腕は静かに彼の首に回され、美しい瞳が男を見詰めた。どこまでも透き通る────期待と情欲に蕩けた紫瞳で。
「くくっ、いい子だ。
さあ、あのガキの匂いが染みついたベッドで朝まで蕩かせてやるっ!」
「ァ❤ ──んっ❤ ─────ッ!!❤❤」
果たしてそれはどちらから動いた結果だったか。
褐色メイドの上と下、どちらの口も同時に隙間なく塞がれ、二人は互いにしがみつくように交ざり合う。室内は即座に男女の情交がもたらす濃密な匂いで満たされ、それはやがてベッドにさえ染みつく。おそらくは今晩だけで主の匂いは切り替わる。それは予感ではなく、予想ではなく、ただの事実でしかなかった。
──ああ、おねがいです坊ちゃま。
いつか仰ってくれたように私をあなたのものにしてください
早く、私の正体を、企みを、目的を、すべてを暴いてください
でないと、私、このままでは帰れな──
「──っ♥♥ ──っ♥♥ ──っ♥♥ ──っ♥♥」
「――ッ♥♥♥ ァ!♥♥ ォ♥♥ ――ッ!?♥♥♥ ッッ♥♥ イ♥♥ ッ♥♥♥♥♥♥♥♥ ――――――――ッ♥」
「っ♥ あ♥ もうっ♥ イクっ❤ イきますっ♥ ぁぁ❤ ─────
「あっ♥ ぁっ♥ ああああああああ――――――――――――っ!♥――――♥♥♥ッ♥ッッ!♥♥♥」
「ん、ふわぁ………あれ、リリス?」
その日、彼女が帰ってきたのは日が落ちた後だったという。
これが13話(単行本第一巻の表記)の影であった出来事!(嘘
展開はメイドエロ漫画(脅迫系)の王道をやらせてもらいました。
なんかふいに降りてきて、書いてしまった。
原作は、怪しくも美しい謎のからかいメイドを無自覚たらし少年主人が返り討ちにする日常を描いたとてもニヤニヤする漫画です(ダイマ
当然ですがこんなシーンはない!