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時期は本編最終話後、オリ主と早坂が実際に付き合った後の話になります。初の18禁作品の為に拙い描写があると思いますが、ご了承お願いします。
約10000文字です。ではどうぞ!
───クリスマス! 家族団欒、クラスメイトとパーティー、そして恋人と過ごすイベント! あらゆる記念日がある中でも、最大のイベントと呼んでも間違いない!
さて、そんなクリスマスイヴの夜。つまりクリスマス前日の夜からクリスマス当日の午前深夜帯には、性の六時間と言われる恋人達の時間が存在する。もちろんそんな事関係なしに定期的に行う恋人はいるし、何なら恋人同士でなくとも致す事例があるのが現代だ。
とは言え、例はあくまでも例。それを行うのはある種特性とも言えるし、事情があって仕方なしに及ぶ可能性は否定できない。しかし清い関係、身も蓋も無しに言ってしまえば童貞・処女の関係にある恋人達からすれば、事例となっている『性の六時間』に
つまり「皆ヤッてるだろうしこの際ヤるか!?」という赤信号みんなで渡れば怖くない理論である。
今も地球上の至る所で生殖行為は行われ、何処のラブホも満室で。一人悲しく無数の種を散らし、今日も社会を回す会社員が居る中で、一時の快楽を恋人と貪るだろう。
そしてそれは、文化祭後の一週間に満たない付き合いで“清い”と呼んでいいのか分からない恋人も例外ではなく───。
「……愛」
「はい?」
「近くないか?」
「恋人なんですから、近いのは不思議ではないでしょう」
「いやまあ、そうだけども……」
確かに表向きには既に何ヶ月かの付き合いがあり、既に膝枕をお互い行い、例の体育祭前には誘われてる身ではある。
しかし、実際に付き合いを交わしたのはまだ三日前であり。手を繋いだりハグをする等の行為はあるにせよ、自身が座って伸ばしている足の上に座るという……そして体重を預けるような形になるのは、この何ヶ月かの間でも流石にやった事はない。
その上広瀬の手を掴んで自分の膝に乗せたり、特に体勢が悪い訳でもないのに座り直すような仕草を何度もしているとなると。
「誘ってる?」
「……どうでしょうか?」
早坂は答えない。広瀬の目に視える『不満』と『欲情』、そして記憶を考えれば、自ずと答えは見えるだろう。これはある種、早坂のプライドの問題だ。
早坂が“それ”を望んでいるのは目に見えている事だ。この問いに対して否定しないのは間違いなく受け入れの姿勢は出来ているという事。しかし自分からは言い出さない。何故なら早坂は一度、
受け入れはしても自分から誘いの意を言い出さないのは、つまるところ「自分は既に求めたのだから、次は貴方が求めて」という意味を込めての事。まあ体育祭前の時に誘いに乗れば早坂もこんな意固地になる事は無かっただろうが……広瀬の自業自得と言えばその通りではある。
広瀬は早坂の膝に乗せられていた手を動かす。左腕は支えるように腰へ回し、右手は服の上からでも分かる少しの膨らみに───
「強姦と叫びますよ」
触れる事なくペシリと叩かれる。早坂に視える呆れと不満。決して怒りはなく、本気で言ってる訳ではないだろう。広瀬は「だよな」と納得しつつも、ちょっとした反抗心を抱きながら問い掛ける。
「俺になら襲われても良いって言ってなかったっけ……?」
「それとこれとは別です。まだ貴方の口から聞いてません」
ガッついているみたいで気恥ずかしい。それは性欲に塗れていようが童貞同一の思考である。付き合っているのだから強姦ではなく、流されて出来るのならシたい。……が、早坂はそれを認めない。
広瀬から求愛の一言が欲しいと、早坂は要求した。
「……シていいか?」
「何を?」
「……セ」
「セ?」
「セックス……」
「可愛い」
流石に直球的な言葉は躊躇いが出る。それを避けての言葉を放っても、早坂は容赦なく具体的な提示を求め、それに広瀬が答えれば、早坂はニヤつく様な笑みでその言葉に感想を告げる。
とは言え、早坂も決して平常心ではない。大量の『恥』と『歓喜』と『興奮』が目に視える。だがそれを追求する程の余裕はない。
「……カーペットがあると言っても床は嫌だろうし、ベッドに行くか」
「用意は?」
「寝室の引き出しの中に」
まあ当然、性の六時間と言っても学生は学生。安全日だとしてもゴムの装着は必須だ。それの有無を問えば、用意はあるとの返答。まあ最悪無いにしても来る途中に買ったモノを使えば良いだけだ。
……幾らギャル的な見た目でも実際に買うのはドキドキしたというのが早坂の感想だ。こういう日だと女性の店員はシフトを入れてないし、男性は下卑た視線を向ける。菓子と一緒に購入しただけまだ気は楽だったと言えるが。
「……青星くん、キングベッドでしたっけ?」
「あー、いや……ちょっと前に購入して」
「いつ頃でしょうか?」
「……文化祭のちょっと前」
「ヤる気満々じゃないですか」
確かに普通サイズのベッドでも普通にする分には十分な大きさではある。ただまあ泊まりがけとなれば自然とピロートークはするし一緒に寝る。大きくて損はないだろう。
つまり文化祭前には今日ヤる事を想定していたという訳であり。最初の頃の上着を掛けて下着を見ないようにしていた紳士さは何処に行ったのかと言いたげな早坂の苦笑に、広瀬は一層顔を赤くした。
「……お化け屋敷の時といい、普段は取り繕って飄々としているのに、ホント私の前だと弱いですね」
「悪いか?」
「其処は堂々とするんですね……。いえ、私の彼氏は可愛いなぁと」
広瀬と早坂はベッドに座る。早坂が視線を横に移せば、ソワソワして落ち着かない様子の広瀬。時に大胆に行動して、下ネタにもある程度の耐性があるかと思えば、いざ事に及ぼうとなるとただの男の子になる。
そういう経験がないから比較とかは出来ないが、初めてで慌てふためく姿は、『感情視』なんて特殊な眼を持っているとは到底思えない“普通の人”だ。
知識はある。シミュレーションは繰り返した。広瀬は想定はしても具体的な妄想まではしていなかったのだろう。ならばある程度は“流れ”を考えた早坂がリードしなければならない。
早坂は広瀬の肩に手を掛け、ベッドの上に倒れ込む。お互いに顔は横向き、抱きつく様な形だから顔が近い。呆然と驚いている広瀬に顔を更に近づけ、目を閉じて唇を触れさせる。
「ん……」
文化祭二日目の演劇終了時以降、初めてのキス。リップで乾きの無い唇が一度離れ、暖かい息が漏れる。一度の呼吸。今度は広瀬から顔を近づけキスをする。
「ん……っ」
舌が触れ合う。知識としてはあっても、実践する分にはどんなやり方が正しいのか分からないディープキス。絡める事はなく、ただ触れさせ合うだけの、インサートキスに分類される舌同士の触れさせ合い。
再度顔を離して息を漏らせば、早坂は広瀬の後頭部を押さえて即座に舌を潜り込ませる。驚愕に目を見開く広瀬の舌を蹂躙する様に、早坂は舌を動かし絡め合わせる。
浅い呼吸一つだけで行うディープキス。息の限界に近付き顔を離せば、出した舌は糸を引く。
「はぁ……はぁ……」
表情は蕩け、息は荒い。
「んぅっ……」
今度は、舌を触れさせる事もない唇だけの、長いキス。広瀬の左手は早坂の背中に回され、右手は胸に。
「……柔らかい」
「……一度触った事ありますよね?」
「あの時は、どっちかというと心臓の音に気を持ってかれてたから……。神秘的な物に触れている気分と言いますか」
「ふふ……でも、触れているだけでは満足出来ませんよ?」
「俺が脱がしていい、のか?」
「その方が男性的には嬉しいと聞いた事がありますので」
「……男の性ってホント共通するもんだな」
別にそこまで支配欲がある訳ではない。ただ男としての本能がない訳でもなく、それは広瀬も少なからず保有してる欲求だ。
肩出しタイプのレディースファッション。胸元から下ろす事も出来るが……いかんせん下半身を通しての着脱は効率が悪い。頭で考えずとも本能がそれを察知し、腕と頭を通して脱がす。
「ぉ……」
「……な、何かしら言って下さいよ」
「あ、いや……一時期噂になってた……『大天使のブラ』って奴か? SNSでも話題になってた」
「……よく知ってますね」
「広告に出てきた……のと、ほら。例のファッション系の専門校に行ってる三つ上の。あの人に頼まれて……流石に断ったけど」
いわゆる勝負下着だ。女子高生の間で話題になっていた、着けているだけで異性からの好感度が爆上がりするという。……まあそれはあくまで謳い文句であり、噂の一つには過ぎないが、限定品である事も相まって勝負下着に間違いない。
広瀬がそれを話せば、早坂はなるほどと頷く。……そしていつも通りの会話になった事にハッと気付き、空気を変えるために早坂はサイドテールに結んでいるシュシュを取り外した。
揺れる金髪。肩より下にまで垂れる髪は、普段のサイドテールと比べると雰囲気が一気に変わる。服装による補正はない上半身下着のみでの姿。
広瀬が髪を撫でると、早坂は心地良さそうに片目を瞑った。
再度顔を近づけ、舌を交えるキス。
「ん……ぅ」
頭を撫でる様な左手とは反対に、右手は下半部を弄る。ぎこちない愛撫。だが知識だけは確かにあるのだろうと納得できる、決して始めから指を挿入しない優しい手つき。
濡れてない状態で入れるのは引っ掛かりがあり、仮に指を完璧に手入れしていようと無理やり入れるのは痛みがある。
しかし。
「……めっちゃ濡れてるじゃん」
「わざわざ口に出さなくてもいいでしょう……!」
先程上に乗っかられていた時は何も感じなかったが、恐らくタイツが阻んでいたのだろう。直に触れると分かりやすい。この状態で下着を履いているのは流石に違和感があるだろう。
広瀬はそう判断すると、早坂のズボンに手を掛ける。ベルトもチャックもない脱がしやすいタイプ。右手だけで下ろすので偏りはあるが、下着との接着は無くなったので気持ち悪さはないだろう。
下着と性器を繋ぐ糸を見て、広瀬はごくりと喉を鳴らす。
そして、人差し指を挿入した。
「あ……ぅ〜〜〜っ」
濡れてるとはいえ解れているわけではない。前戯は必須。第二関節まで入り込んだ指は、膣に圧迫される。だがいつまでも停止している訳にもいかない。解す。それが広瀬の手を動かし、早坂を喘がせる。
「は、ぁ……っ」
甘い吐息が耳を擽り、理性を刺激する。高く洩れる嬌声に脳が「もっと」と求める。
更に指を深く。根元まで入り、指を曲げ、二つの位置を刺激する。
「っ〜〜〜」
微かに曲げながら、指を上下に動かす。膣に擦れ刺激し、早坂から嬌声が幾たび洩れる。顔を広瀬の胸元に埋めて声を抑えるも、支えが出来る事でより一層指の動きは激しくなる。
そして。
「ぁ───」
人差し指よりも高い位置にある親指が、早坂の陰核に触れる。弾く様に、擦り付ける様に動いた親指。
「っ、ッ!?」
陰核に触れると同時に、膣内の指がGスポットを刺激する。外側からの快感と内側からの快感。全身が痺れ、声にならない声が漏れ、早坂は広瀬の腕を掴む。
とても初めてとは思えない、的確な力加減。そうだ、普通の反応だ何だと言ったが、広瀬は生憎と普通じゃない。快感自体を見抜いて、一番感じる場所と力加減を正確に突いている。自分では躊躇う強さの快感でも、他人なら容易く実行出来るのだ。それを恐れた早坂は腕を掴み、荒く呼吸を繰り返しながら頭を横に振る。
しかし。
「〜〜〜ッ!? ぁ、くぅ……っ!」
広瀬は容赦なく継続する。理由は簡単だ。早坂が心の奥底ではそれを望んでいるから。幾ら直感的にそれを阻もうと、それが“苦痛”ではなく“快感”であるならば、人はそれを否定できない。
愛液の滑りを中指に纏わせ、二本目の指を挿入。解しながらGスポットを刺激し、力加減を間違えずに陰核を刺激。
「まっ、これっ、イっちゃ───!」
指を挿入してから3分も経たない前戯。幾ら何でも早過ぎると早坂が必死に声を紡ぐが、広瀬の指は止まらない。
そして。
「〜〜〜〜〜〜っ!!」
痙攣。身体を震わせ、脚を震わせ。膣が指を締め付けながら、快感の絶頂に達する。
「はぁ……はぁ……っ」
荒い呼吸。膣内を刺激した中イキ、陰核を刺激した外イキ。同時に襲う快感に早坂は視界がチカチカと真っ白く光る。
自分でするには躊躇う程の快感。やがて視界の色が戻れば、多大な幸福感が早坂を包み込む。
───が。
「ん、ぅッ!?」
休ませてなるものかと言わんばかりに、早坂が脱力すると即座に手が動かされる。全身は力み、締め付けは強く。同時に膣への刺激は増し、敏感になっている身体は快感を強くなる。
大量の愛液が分泌されてぬめっている性器にはもう不快感はない。擦れる痛みもない。故に多少強くするのは問題なく、広瀬は遠慮なく中を攻める。
「っ、ぁ、ん……っ!」
今度は陰核を攻められている訳ではない。だが中と外の同時イキ直後に強く擦られては、快感は強くなる。多少解れている事もあり、快感に身を投じやすくなった早坂の身体は───
「はっ、ぁ、ぁ、あっ……〜〜〜〜っ!」
先程の攻めよりも早く、絶頂に達する。
中イキと外イキを同時に味わうほどの快感ではない。しかし敏感になっていた膣を継続的に刺激され、気を失う程ではないものの、長い絶頂を早坂は味わう。
流石に三連続で攻める真似はしない。時間を掛ければ失神することはないだろうが……早坂の性格上、攻められっぱなしは納得がいかないだろうから。そして推測通り、早坂は痙攣から復帰すると、広瀬を仰向けにして上に乗っかる。髪を耳に掛け、広瀬に唇を落とす。
「ん……」
舌先を合わせ、巻きつく様に舌を絡め、舐め合わせ。糸を引きながら舌を離し、短く呼吸一つ。再び舌を交えながら、早坂は広瀬のズボンを下ろす。
「は、ぁ……♡」
早坂は股の間に手を滑り込ませ、掴み。顔を離してそれを盗み見ると、トロンとした表情になる。普段のツリ目が更に細まっているのに、雰囲気と相まって発情して柔らかい表情にしか見えない。
広瀬のソレは、イキリ立つ。
「……えっと、ゴムは」
「ベッド棚の引き出し」
広瀬が自分で取ってもいいが、折角仰向けにされたのだし身を任せた方が良いだろう。そう判断して頭上の方に指を指して避妊具の場所を示す。
余計な手間を省く為に箱からは既に取り出してある。……一箱分まるまるだ。一体何回戦を想定してるのかと早坂は喉を鳴らし、わざわざ引き出しから出すのも面倒だろうからと、一つちぎって余りはベッド棚に置く。
袋を破り、ゴムを装着。早坂はその上に跨り、腰を下ろした。
「ぁ……はっ、ん……」
「痛みは?」
「……不思議と、んっ、ありませ……ぁっ……」
今の早坂は、連続の絶頂によりエンドルフィンがドバドバの状態だ。内在性鎮痛剤、脳内麻薬と呼ばれるそれにより、多幸感が早坂を襲い、痛みを感じなくしているのだ。
故に感じるのは快感。圧迫感と熱が膣内を犯し、早坂に快楽を与える。
動かずにいるだけでは萎える可能性がある。早坂は調べた知識を頭に浮かべると、ゆっくり腰を動かす。広瀬の表情はピクリと動き、早坂は悦に浸る。先程までの激しい快感はなく、絶頂感もない。問題なく動けると判断し、広瀬を気持ちよくする為に腰を上下に。
絡みつき包み込み、暖かくぬめる膣の刺激。広瀬の呼吸は荒くなり、早坂は蕩けた笑みを浮かべる。
「……っ」
「は……ぁ……んっ」
早坂は腰を動かしながらも這う様に自身と広瀬の胸を合わせ、指を絡める恋人繋ぎをしながら、唇を落とす。
激しく口内を犯し合うディープキス。唾液を交え、静かな部屋の中で水音を激しく鳴らす。
腰を打ち付ける音。交えるたびに内部から聞こえるように響く激しいキス。鼓動は加速し、合わせる胸がそれを感知する。
「はぁ、はぁ……♡」
心地良い。先程までの一方的な攻めとはまるで違う。同じタイミングで快感を与え、受け、体温を感じさせる性行為。ゴム越しでも確かに伝わる熱。擦れる度に漏れる声、快楽に溺れる互いの表情。そして無数に行われるキス。
何分経っただろう。1分か、5分か、10分か、30分か。時計を見る余裕はなく、体感時間は歪み、心地良い時間だけを過ごした。
「っ……」
「は、ぅ……青星くん、そろそろ……!」
互いの快感は極限まで高まり、絶頂間近。早坂の言葉にお互い限界だと気付いた広瀬は頷き、左手を離して背中に回す。僅かな腰を動かし、早坂が中途半端な絶頂にならないように。
「は、あっ、あ……〜〜〜〜〜っ」
互いが腰を動かす事で、僅かに早坂に出ていた躊躇いを埋め、奥まで届く。膣とはまた別の刺激。全身が痺れるような感覚に早坂は息を荒げる。
「イッ───」
早坂の嬌声を塞ぐように唇を重ねた。
「〜〜〜〜〜〜〜ッッ♡♡」
身体が震え、膣が締まる。その圧迫感と熱に押され、広瀬も達した。
「……っ、………はぁ」
口内はドロドロだ。一度唇を離し、荒く呼吸を繰り返す。絶頂が止まると全身は脱力し、抜けた力を振り絞って早坂が腰を上げると、先程までの固さは失われた陰茎が抜けた。
「うわぁ……」
「…………?」
広瀬が思わずといった風に苦笑すれば、声を出す余裕が無い早坂は蕩けた表情のまま首を微かに傾げる。何に対しての感情なのだろうか。
それは広瀬の視線を追えば一目瞭然だった。陰茎に装着している避妊具。ゴムには、それこそ危険日に直接中に出せば妊娠しかねない量の精液が入っていたのだから。
別に見比べたわけでもなく調べたわけでも無いので他人との違いはわからないが、少なくとも広瀬の記憶の中でこの量を出した試しはない。忙しい日々の中で幾度となく
「…………青星くん、何か飲み物はありますか? 大量に分泌していたせいか、喉が渇いてきました」
「……じゃあ」
「精液でも飲むか、なんて言ったら蹴ります」
ですよね、と。思考を見通していたかのような台詞に、広瀬は遠い目となる。
「そうしたら……」
しかし続く言葉に、広瀬はニヤケを隠せなくなった。
「青星くんとキス、出来なくなるじゃないですか」
照れるような、ニヤける様な、そんな中途半端な表情。取り敢えず水分補給かと表情を改め、「麦茶かアップルジュースなら冷蔵庫に」と伝える。早坂は立ち上がり居間へと向かった。
そして部屋を出る直前、ベッドの方から何かを破く音。それに対して早坂が振り向くと、廊下の壁際に追いやられ突如挿入される。
「ん、ぅ……っ!? あ、あの……っ?」
「すまん、半裸で濡れてる愛が自分の家を歩いてる光景に興奮した」
「明確で、んっ……素直な説明は、有り難いですけども……っ」
射精直後の男性は賢者タイムに陥る。即座に挿入可能な硬さに復帰するのは稀だ。これも禁欲の成果か。一度快楽を思い出せば、溜めていたモノが解放される。
とは言え似たモノ同士という訳か。広瀬が「半裸で濡れてる早坂が家を歩いている光景に興奮した」様に、早坂も「貪欲に自分を求めてくれる事実」に興奮していた。
「ぁっ♡」
先程までの恋人繋ぎの騎乗位とは変わり、広瀬は後ろから突く体位。いわゆる『立ちバック』で行なっている。繋いでいた手はフリーになり、左手は陰核に触れ、右手は胸に触れた。
触ってて心地良い胸の感触と、早坂の感度を高める陰核への攻め。それと同時に熱を持つ陰茎での膣の攻め。流石に何度かの絶頂により慣れは出てきたが、強い快感であることに変わりはない。
「〜〜〜〜〜ッ♡」
お互い絶頂から大して時間が経っていない。敏感になっているお互いの二度目の性器の擦り合いは、ものの二分で絶頂を迎えた。
「………青星くん」
「はい」
「流石にこの後は普通に水分補給させて下さい。それと湯船に浸かりたいです」
「はい、すみませんでした。入浴剤もいれさせて頂きます」
風呂にお湯をはっている間、二人は休憩を取る。飲み物で喉を潤し、互いにぼんやりしていたり、多幸感に身を委ねていた。
やがてお風呂が沸いた事を知らせる音楽が鳴り響けば、互いに風呂場へと入っていく。一人で入る様な大きさではないので、二人くらいは余裕である。
公共の温泉ではないからお互いマナーなど気にせず、体を洗わないまま湯船に浸かっていた。……というのも、お互い本能的に「どうせまた入り直す」と思っているからだろう。
実際、リビングにいた時の様な脱力感はある程度抜けており、広瀬は湯船に浸かりながら上に乗っかっている早坂の胸を揉んでいた。
「……楽しいですか?」
「んー……楽しいというか、心地良い」
「私のはそれほど大きくはありませんが……」
「他の人とか知らんしなぁ……」
別に無いわけではないし、広瀬は変に拘らない。というか触ってて心地良いのだから他の大きさなどどうでも良かった。
早坂はくすぐったそうにしつつ、ジト目で広瀬を見つめた。
「……当たってるんですけど」
「当ててるんですよ……ってこれ
「男の人って、一回出したら1、2時間は勃たないと聞いた事があるのですが……」
「……禁欲生活が長かったからな」
「ここ一ヶ月は余裕があったと思うのですが」
「長い間してないと、一人で過ごしてる間はそういう欲求自体忘れるんだよ」
「なるほど。………」
「……愛?」
「あと何度継続して出来るか、試してみましょうか」
早坂は風呂場の入り口を開け、近くに置いてある自分の荷物の中から来る途中に買ってきたゴムを取り出した。
ピリッと破り、入れ物は洗面台近くのゴミ箱へ。陰茎に装着すると、止まる暇もなく早坂は挿入した。
「……っ」
湯船からは立ち上がっており、先程のバックとはまた違う、真正面からの挿入。流石に湯船で立って行うのは危険だ。滑る可能性がある。広瀬は壁を支えにし、腰の上げ下げを行う。身長差があるので、この場所では広瀬が動いた方が安全だ。
「好きに動いて下さい。最初の、んっ……前戯の時の、様にっ……遠慮なく、攻め立ててっ、あっ♡ いい、ですから……っ♡」
お湯を波たて、動かし、嬌声を上げさせる。……のはいいのだが、広瀬は何処か悟った様な瞳で揺れるお湯を見つめていた。
理由は、前戯の時の様な一方的な攻めがもう出来ないから。分かりやすく言えば、早坂が優位に立つ状態になっているからだ。
今の早坂には、前戯の時の様な「快楽に流される感情」が現れていない。「全ての快楽を受け止める」歓喜にも似た感情が現れており、間違いなく精神的に早坂が上となった。
ただまあ、存分にやれというのなら存分にやるしかあるまい。
「ん……っ」
突き、舌を交え、突き、舌を絡め、突き、唾液を交換。ペースは緩めず動作が止むことはない。息を吸うために唇を離す時間はほんの一瞬。
「は、ぁ……んっ」
窒息しそうな息苦しさ。湯船が故の、体内とはまた別の熱。のぼせ気絶しかねない刺激に早坂は目を見開き───
「んん〜〜〜〜〜っ♡」
同時の絶頂。震え、痙攣。陰茎を抜いて支えが緩むと早坂は脱力し膝を湯船の底に着ける。立っている広瀬が慌てて腕を掴めば、早坂の顔に陰茎は近付き、完全に発情しきった瞳で息を荒げながらそれを見つめていた。
「は、ぁ……♡ ……青星くん、ベッドに行きましょう」
「……了解」
幾ら精力的な問題が無いと言っても、体力的には問題大有りだ。本来であれば数時間は置くべきだが、この一時間の間に既に三度の絶頂。射精時の体力消耗は馬鹿にならない。
と言っても早坂には関係あるまい。彼女的にはまだ足りないのだ。発情し、性欲に支配されている以上、精力的に問題が無いのなら自分で動けばいいだけだと。脳内麻薬のエンドルフィン効果が非常に現れており、多少の疲れを無視して行動している。
痛みを感じさせたく無いから行った事だが、早坂の性欲が相まって完全に裏目に出ていた。……まあ痛みが出るよりはマシだろう。広瀬はもう諦めて、流されるままに寝室へと戻っていった。
そして、様々な体位で繰り返される性行為。アブノーマルな事は決してしないが、性の六時間と言われる21時から日付が変わるまでの間。約三時間、ほんの少し休憩を挟みつつも、広瀬と早坂は繋がり続けた。
絶頂慣れした為か、間違いなく早坂の絶頂回数の方が多いのだが、軽イキが多く、快感を受け止めながら腰を振り続けている。広瀬に決して自ら動く真似はさせず、隙を見せず、休む時は必ず広瀬が絶頂を迎えてからだ。
三時間もの行為が及んでも、落ち着くどころか勢いは増すばかり。広瀬も決して余裕があるわけじゃ無い。六つ目のゴムを取り出した早坂を見て、流石に引き攣った笑みを浮かべながら、広瀬は意見する。
「……あの、愛さん。性の六時間って最も多く性行為が行われる時間であって、決してぶっ通しで性行為を行う時間ではないからな……?」
「なら、私たち用の『
滅茶苦茶にしたい歪ませたい懇願させたい求めさせたい依存させたい逃がさない寝かさない見惚れさせたい永遠に交わっていたい本能のままに動きたい貪り尽くしたい。あらゆる自分で表現し、あらゆる相手を見届けたい。
瞳の中にハートを幻視して、ごちゃ混ぜになった感情が瞳を濁らせている。そんな感情から推測出来る思考を見抜き、広瀬は遠い目で窓から見える星空を見つめた。
───クリスマス当日デート、疲れで出来なそうだなぁ……。