僕の考えた理想的な催眠生活 作:イルカ太郎
催眠劇場は素晴らしいゲームです。興味があればやってみてね。
坂柳さんと一緒に登校した僕は、自分のクラスであるDクラスにやってきた。席は真ん中の列の一番後ろだ。
ちなみに坂柳さんはAクラスである。
余談だが、この学校のクラス分けは入学テストと中学での生活態度や成績を加味して振り分けられる。Aが一番優秀で、Dが一番無能と言ったふうに。
催眠を使えば好きなクラスに入ることは簡単であったが、今回はあえて使わずに普通に入学テストを受けた。もちろん入学するのは確定していて、クラス分けでどのクラスになるのか試したかっただけだが。
どっちにしろ可愛い子は全員手を出すつもりだから、順番の問題だけどね。
そして案の定と言うべきか、僕はDクラス所属となった。まぁ、勉強とか碌にしてないし、試験問題も7割意味不明だったからしかたないか。
そしてクラス分けの真実を知っている僕は、これから同じクラスで勉強する彼等を観察する。
自分達が不良品のレッテルを貼られるDクラスになったと言うのに、楽しそうにしている彼等を見ていると少しばかり同情するが、どうでもいいか。
肝心なのは、可愛い子がいるかどうかだ。
机に頬杖付きながら女子生徒たちを値踏みしていると、中々に可愛い子が揃っていると気づく。
ぱっと見で特筆すべき子は……そうだな3人かな?
クラスの中心で、男女問わず楽しそうに談笑している茶髪の子。
壁際の席で静かに過ごしている、ピンク色の髪に眼鏡をした子。
そして……
「初めまして、僕は戸崎涼。今日から一緒のクラスだね。よろしく」
隣の席に座る、黒髪ロングの美少女だ。
「……」
あれ?聞こえなかったのかな?
「えっと、キミの名前は何ていうのかな?」
「……それは、もしかして私に言っているのかしら?」
「そうそう。ほらせっかく一緒のクラスで席が隣同士になったんだしさ。自己紹介ぐらいしようと思って」
「結構よ。貴方に名を名乗る意味が見出せないわ」
おぉ、ようやく反応してくれたと思ったら随分と辛辣な態度じゃないか。僕何かしたかな?今のところはまだ何もしてないはずだけど。
「い、いや別にそんなすぐに仲良くなろうってわけじゃなくてさ、同じクラスメイトとして名前ぐらい知っとかないと色々と不便だと思って」
「それは貴方の勝手な判断でしょう。私を巻き込まないでくれる。迷惑だわ」
……この子、ホントにキツい性格をしているなぁ。けれど見た目はかなり可愛い。いや、可愛いよりも綺麗って感じだな。その鬱陶しそうに僕を見るキリッとした目つきには、ゾクゾクさせられる。
こういう気が強い子ほど、おかしな事をさせるのが楽しいんだよね。
よし、決めたぞ。最初は、この子にしよう。
僕が黙り込んだのを見ると、彼女はため息一つついて途中だった本の続きを読み始めた。
僕もまた彼女との会話は諦めて、これからどういう趣向で遊ぶのか考えるとしよう。
そうこうしている内に時間は過ぎ、教室に担任の先生が入ってくる。
「新入生諸君。私はDクラスを担任することになった、茶柱佐枝だ」
おー。担任の先生って茶柱先生だったんだ。いやぁ、彼女とは事前準備の時に結構楽しませてもらったなぁ。
僕はその時のことを思い浮かべて、自然と頬が緩んだ。
それから茶柱先生による、非常に簡易的な学校の説明と入学式を終えた僕は、職員室の前に来ていた。
コンコンコンッ。ドアをノックした僕は、堂々と職員室の中に入っていく。
「失礼します」
すると中にいた先生達が一斉に僕の方に振り返った。入学式の直後に生徒が来るとは思っていなかったのだろう。皆が怪訝そうにしている。
僕は徐に手を大きく叩いて、自慢の催眠能力を発揮した。
「『貴方達は、催眠状態に落ちます』」
「……」
僕の言葉を聞いた先生方は、虚な目でその場で静止して動かなくなる。
実に簡単な手順ではあるが、これが僕の催眠の力だ。頭の中でしっかりとしたイメージを持って、催眠状態にしたい相手に僕の言葉を聞かせれば、こうも簡単に人が操れるのだからチョロいものである。
僕が入ってきた途端、全員動かなくなったこの状況は相当不気味に見えることだろう。
だが、それも心配ない。事前準備の段階で、学内に仕掛けられたカメラを見ている人達は、僕がカメラに写っている時に起こるあらゆる出来事を自然なことだと受け止めるように催眠を施してあるし、カメラの記録も僕にとって不都合な部分は消去するように手配してある。何も心配する必要はない。
さてと、それではさっさと本題に入るとしますか。
僕は棒立ちしている先生達の間を縫い、目的の人物の目の前にまでやってくる。
「それでは茶柱先生。いまから僕が言うことは貴方にとって必要なことであり、早急になさなければいけない使命です」
「……」
僕の担任になった茶柱先生に、新たな催眠を施していく。
「これから一週間、貴方は生徒と一対一で面談を行います。その時に僕も同席しますが、それは何らおかしな事ではありません。いいですか?」
「……はい」
虚な目で微かに返事をする茶柱先生を見て、僕はこれから一週間クラスメイト達にかけていく催眠のための準備を進めた。
名前、出身校、特技、趣味、等々聞きたいことは色々ある。あの彼女とどういう風に楽しむか、今から楽しみで仕方がない。
あぁそうだ。茶柱先生、彼女の名前は何て言うんですか?
へぇー……堀北鈴音さん、か……。
そんなこんなで、入学式から一週間が経過した。
茶柱先生の協力のもと、無事にDクラス全員に催眠を施すことに成功した。
後になって気づいたが、どうせ男子生徒には特に聞くこともないので、適当な理由で集まってもらったところにまとめて催眠を施せばもっと早く終わったのにと、ちょっと後悔。
しかし、女子達との面談は実に有意義な時間だった。正直、途中で我慢できなくなりそうになったが、今日この日のために頑張って堪えた僕を誰か褒めて欲しい。
改めて思ったが、ちょっと魅力的な女子が多すぎやしないかなこのクラス。それともこの学校の顔面偏差値が異様に高いだけなのか……。
これは、Dクラスの次に遊ぶクラスが楽しみでしかたがないなぁ。
けれど今は、それよりも目先の事に集中しよう。今日、鈴音さんと遊ぶために頑張っていろいろ仕込んだのだから。
特にノートも取らずに授業を受けていた僕は、徐に手を叩いて仕込みを発動した。
高度育成高等学校に入学して一週間。
堀北鈴音は、真面目に授業を受けていた。
鈴音は黒板に書かれた文字をノートに綺麗にまとめながら、一番後ろの席な故に目に入ってくるクラスメイト達の授業態度に、軽蔑の視線を向けた。
「(本当に愚かな人達ね)」
彼等の授業態度が良かったのは2日ほどで、それ以降はスマホを弄ったり、隣の人と話したり、居眠りをしているものが大半だった。
いくら教員から注意されないとはいえ、あまりにも目に余る。やはりこんな人達と仲良くする理由が鈴音には思い浮かばなかった。
「(せいぜいそうやって無駄に時間を浪費していればいいわ。私は貴方達とは違う)」
クラスメイト達を見下しながら、よりいっそう授業に集中しよう。
そう考えた時だ。
突如、このクラス全員の動きが止まった。
「(え……なに?)」
授業をしていた先生も、スマホを弄っていた女子生徒も、無駄口を叩く男子生徒も、一人ももらすことなく全員の動きが静止したのである。
その異様な光景に、鈴音は理解が追いつかず困惑する。
そしてそれに畳み掛けるようにして、今度は止まっていたはずの生徒の一人が教室の電気を消し、カーテンを閉めた。
「な、なに……何が起こってるの……!?」
その彼の行動を鈴音は認識できない。
彼女からすると、今の一連の行動は全員の動きが突然止まり、今度は教室の中が暗闇に包まれたように感じているのだ。
実際には現在は昼間なので、カーテンの隙間から差し込む光で暗闇と言うよりは薄暗い程度のものであるが、今の彼女からすれば充分に不気味な状況だろう。
「貴方達どうしたの!? 何で動かないの!?」
たまらず立ち上がった鈴音は、皆に呼びかけるがもちろん返事は返ってこない。全員既に催眠済みだからである。
「う、ううぅぅぅぅ……!!」
「な、なに、どうしたの!?」
鈴音の隣の席である戸崎が、いきなり苦しみだした。
もちろんこれは全てその戸崎が仕組んだ事なので、演技ではあるがこの状況での突然の呻き声は、鈴音に更なる恐怖を与える。
戸崎は立ち上がり、ユラユラと体を揺らして鈴音の方に顔を向ける。
「貴方…なんなの、その姿……!?」
そして鈴音の目には、今の戸崎の姿が普段の制服姿とは変わって見えていた。
その全身を黒いモヤのような物で覆われ、瞳が赤く発光しているように見えているのだ。
「(一体何がどうなっているのよ!? これは現実なの……?)」
あまりにも非現実的な出来事の連続に、自身の正気を疑い出した鈴音は安直に自分の頬を抓る。そして発せられた痛みがこれは夢ではないと言う確証と、絶望をもたらす。
「あ…あぁ……あぁあ…」
「いや! やめて、こないで!!」
鈴音が正常に自分を認識できないことを良いことに、嫌らしい笑みを浮かべた戸崎は、じりじりと鈴音の方に迫っていく。
それに恐怖した鈴音は教室の壁際まで後退する。
普段の彼女からは想像できない大きな声で叫ぶ彼女は、恐怖を感じているのだろうがそれでもなお強気に戸崎を睨みつけ、気丈に振る舞う。
「戸崎君! それ以上近づいたら、タダじゃおかないわよ!」
必死な様子で忠告する鈴音。
しかし、そんなことを聞く戸崎ではなく。かまわず距離を詰める。
「うっ……ハァ!」
此方の言葉を意に返さずに近づいてくる戸崎に、鈴音は自衛のために鋭い蹴りを放つ。
だがそれは、鈴音自身が無意識のうちに寸止めした事によって、当たることはなかった。
「な、なんで……効いてない? …こ、この!」
自身で寸止めした攻撃。しかしそれは鈴音本人の認識としては戸崎に直撃したにも関わらず、平然としているように写ったのだ。
さらにもう一度と蹴りを放つが、それもまた寸止めし戸崎に当たることはなかった。
もうヤケクソになった鈴音は、履いている靴を脱いで投げつけるがそれもまた戸崎の横を素通りするように投げただけだった。
「そんな……!? だ、誰か!?」
どんなに対抗しても意味が無いと思った鈴音は、大きな声で助けを呼ぶ。しかし、叫んだと思っていても、実際には普段の声量とさほど変わらぬものだった。
教室のドアを開けて逃げようとしても逃げられない。
スマホで助けを呼ぼうにも、圏外になっているように認識してしまう。
戸崎は鈴音のありとあらゆる行動を事前に予想し、その行動が全て都合良く終わるように催眠を施していたのだ。
「い、いやぁ! 離して!」
そしてついに、頑張って逃げ回っていた鈴音の腕を戸崎が捕まえた。
懸命に振り解こうとするが、たいした力は入っておらず、何の抵抗にもなっていない。
「(だ、誰か……兄さん助けて!)」
心の中で、尊敬する兄に助けを求めながら目を瞑って怯える鈴音。
その怯えた姿を見る戸崎は、加虐心を満たしながら次の段階に移る事にする。
「キャア!」
捕まえていた鈴音を適当に押すと、大袈裟に彼女は床に倒れて悲鳴を上げた。
それを横目に見ながら、自分のバックの中にしまってあった猫のぬいぐるみを取り出す。
「(さぁ、ここからが本番だ)」
その取り出したぬいぐるみを近くの机に置いた戸崎は、まるでそのぬいぐるみのフリをして喋っているかのように、普段より高めの声で話だした。
「危ない!」
万事休すかに思えたこの状況で、聞き覚えのない声が教室に木霊する。
その声が聞こえた途端、自分に迫ってきていた戸崎が、何かに拘束されたようにその場から動かなくなっていた。
「……今度はいったいなんなのよ……」
「危なかったね。もう少しで魔物の餌食になっていたところだよ」
「──!?」
戸崎の置いたぬいぐるみ。その存在を認識した鈴音は、あたかもそれが生きていて、自分に話しかけていると錯覚した。
「嘘でしょ……ぬいぐるみが喋るなんて……!?」
「嘘じゃないよ。これは現実さ。僕はマロン。キミを助けに来たよ」
目を見開き、目の前の現実を受け止めきれない鈴音に、マロンと名乗ったぬいぐるみは、畳み掛けるようにして言葉を紡ぐ。
「あれは闇の魔物だよ。人間に寄生して、その人の欲望を糧に成長する悪い奴なんだ!」
「な、何をバカな…魔物なんてそんなのいるわけが、アニメじゃあるまいし。……いやでも、ぬいぐるみが喋る訳ないし。……まさか本当に……!?」
これまでの衝撃の展開に、ありえないと思いつつも、それが現実なのではないかと、あの堀北鈴音は思い始めていた。
「な、なら! 貴方がアレを何とかしなさいよ!」
「それは無理なんだ。一時的に魔物の動きを止めることはできても、ボクじゃ魔物をやっつける事はできないんだ」
「そんな……!?」
この状況からすぐにでも脱したい鈴音は、藁にも縋る思いでマロンにお願いという名の命令をするが、そううまく事は運ばない。
マロンの返答に再び絶望する鈴音だが、でもやりようはあると、マロンが答える。
「ボクには魔物をやっつける力は無いけど、キミが協力してくれれば魔物を退治することができるよ」
「私が? でも協力って言ったって、私に何ができるか……」
思い出すのは先ほどまでの一連の流れ。どんなに抵抗しようにも、何一つ意味を為さなかった自身の抵抗。あれらが、鈴音の中にあった自信とプライドを酷く傷つけて、無力感に襲わせていた。
「大丈夫! この世界を認識して動けているということは、キミの中には魔力があるって証拠さ!」
「魔力ですって? そんな…ますますアニメみたいな……」
「本当のことだよ! そしてボクには人に眠っている魔力を呼び覚ます力があるんだ。だから」
信じられないような目で自身を見つめる鈴音に、お決まりの台詞を言い放つ。
「ボクと契約して魔法少女になってよ」
そう言い放つ、マロンのフリをした戸崎。台詞を言っている最中に笑いそうになるのを必死に我慢して演技を続ける。
「魔法…少女って…ふざけないで! そんなのになれる訳ないじゃ無い!」
「ふざけてなんか無いよ。いいかい? あの魔物はまだ宿主の人間に寄生しきれていない。いまならまだ助けることができるんだ。そしてそれが今できるのは、キミだけなんだよ!」
そう言われて魔物に取り憑かれた男子生徒の戸崎を思い浮かべた鈴音は、ますます何で自分がっと、思ってしまう。彼女の中での戸崎の、と言うよりは、他人に対する配慮や思いやる心というものが、彼女の中には欠けているのだ。
だがそれは既に承知のことである。そのための面談による事前調査と催眠準備だったのだから。
「それだけじゃないよ。今ここで魔物を倒しておかないと、次はもっと多くの人が襲われる事になるんだよ。キミにも大切な人がいるでしょ? その人がどうなってもいいのかい?」
「大切な人……」
その言葉を聞き、鈴音の脳裏にある人物の顔が思い浮かぶ。
尊敬の対象であり、劣等感を感じる相手でもあるただ一人の兄。
鈴音の兄もまたこの学校に通っており、もしかしたら次は兄が魔物に狙われるかもしれない。
そう思った鈴音は、意を決して立ち上がった。
「──分かったわ。なるわよ魔法少女に!」
「ありがとう!キミは優しい人だね」
再び強気な目つきに戻った鈴音は、どうすれば魔法少女になれるのかマロンに質問する。
「それで、いったいどうすれば魔法少女になれるのかしら?」
「簡単さ、魔法の呪文を唱えればいいんだよ。いいかい、よーく聞いてね『マジカルミラクル•プリティチェーンジ』だよ」
それは、高校生が真面目に言うにはあまりにも恥ずかしい呪文だった。
「くッ…やっぱり、そんな感じなのね…」
恥ずかしさに頬を赤く染める鈴音。
薄々は予想できてはいたが、実際問題そんな言葉を言うのは恥ずかしすぎると、言うのを戸惑ってしまう。
「どうしたんだい?早くしないと、もう魔物を抑えてられるのも限界だよ」
「わ、わかってるわ……! スゥー…ハァー…」
深呼吸をして覚悟を決めた鈴音は、魔法の呪文を唱えた。
「ま、マジカルミラクル•プリティチェーンジ!!」
そう叫んだ鈴音は、光に包まれて見事に魔法少女に変身した……なんて事はあるはずもなく。その言葉をキーワードに催眠状態に落ちてしまった。
「ぷっ…あははは…! いやホントに言ったよ。それを言うかどうかまでは設定してなかったんだけど、上手くいったな」
鈴音が催眠状態になったことで演技を解いた戸崎は、想定通りに物事が進んでいくことに満足する。
「それじゃあ鈴音さん、新たな催眠ですよ。貴方は魔法の言葉を言ったら催眠状態に落ちてしまいます」
「……催眠状態に…落ちます…」
「そうしたら貴方は、この袋に入っている衣装に着替えます。そしてそれを着たら貴方は目が覚めて、その服を着たと言う事実を忘れてしまいます。魔法少女に変身したと思うんです」
「……魔法少女に変身…します…」
「はい。それじゃあどうぞ着替えて」
鈴音に新たな催眠を施した戸崎は、あらかじめ用意してあった袋を鈴音に手渡した。
受け取った鈴音はひとまずその袋を床に置き、着ている制服を脱ぎ始める。
「……」
上着を脱ぎ、結んであるリボンをしゅるりと解く。ワイシャツのボタンを外すと、シンプルなデザインの白いブラが見える。
そのまま黙々と服を脱ぎ続ける鈴音は、とうとう生まれたままの姿になってしまった。
そのあられもない姿を戸崎はいやらしい笑みを浮かべながら観察する。
白く傷一つない綺麗な肌。大きくはないが、ピンク色の乳首がツンと上を向いたハリの良さそうな胸。くびれた腰に柔からそうお尻。健康的な美脚と、そのプロポーションは見事な物だった。
脱衣を済ませた鈴音は、次に手渡された袋に入っていた衣装を取り出す。
それは女児向けのアニメに出てくる魔法少女が着ているような、いかにもな服であった。
色は赤色が基本で、ところどころにピンク色のアクセントが入っている。胸元に大きなリボンとオモチャの宝石が嵌め込まれた上を着て、次に少し動くだけでスカートの中が見えてしまいそうな短いフリフリのスカートを着る。靴は、膝まである真っ赤なロングブーツで足の甲の部分にリボンがあしらってあった。そしてシルクでできた触り心地のいい手袋を嵌める。
最後に、これまた大きなリボンのついたカチューシャを頭につけたら完成である。
「……──ッ!? こ、これは!?」
そして無事にお着替えが完了した鈴音は、催眠通りに意識を取り戻し、自ら魔法少女の服に着替えた事を忘れて、変身したんだと思い込んだ。
「本当に…変身したのね…!」
ここまできて漸くこれが現実なんだと錯覚しきった鈴音は、自分の着ている衣装に何の疑いも持っていなかった。これは現実で、いま兄さんを守る事ができるのは自分しかいないのだと確信する。
「おめでとう! 無事に変身できたね。マジカル•スズネの誕生だ! これでキミは魔物と戦う力を得たよ。さぁ、思う存分戦って。魔物の拘束が解けるよ!」
「ええ、分かったわ!」
拘束が解けて再び迫ってきた魔物に、鈴音は迎え打つようにして構える。
そして、魔物に向かって思いっきりパンチを繰り出した。
「くらいなさい!」
「……!?」
その攻撃は、またしても魔物に当たる前に寸止めする。だが今度は先ほどと違い、魔物があたかも攻撃を食らったかのようによろめいて後ろに下がった。
「効いてる……!?」
「いいよマジカル•スズネ! そのまま畳み掛けて!」
さっきまでどんなに反撃しても無意味だったのに、魔法少女に変身した途端に攻撃が効くようになった。その事を理解した鈴音は、今までの鬱憤を晴らすかのように続けざまに攻撃を仕掛ける。
それを食らった魔物は、ヨロヨロと後退を続け、弱り切ってしまう。
「これでトドメよ! ハァッ!」
鈴音は魔物にトドメを刺すように、見事な回し蹴りをお見舞いする。
その際に、ただでさえ短いスカートが捲れ上がり、その中が丸見えになってしまった。
「ハァハァ……どう、これで魔物も…」
「うぅ……あぁ……!」
「そんな…!?まだ、倒れないの!?」
渾身の力で放った攻撃にも関わらず、魔物を倒しきれなかった事に動揺する。
「マジカル•スズネ、物理攻撃じゃ魔物を弱らせることはできても倒すことはできないよ」
「そんな…!? ならどうすればいいの?」
「魔物は人間の欲望を糧に成長するんだ。だから、その欲望を全て吐き出させれば、魔物を倒すことができるんだ」
「欲望を吐き出させる? それはいったいどうやって? 何か…魔法とか、かしら?」
マロンの説明を聞いて、そう言えば魔法少女なのに魔法を使っていないことに気づいた。
しかしそんな物が使えるはずもない。戸崎は、漸くこの時がきたと笑みを浮かべながら、その方法を言う。
「見て、魔物の股間の所を大きく膨らんでいるだろう?」
「……ええ、確かに不自然に膨らんでいるわね」
「そこに欲望が詰まっているのさ。だからそこにある物を取り出して、キミがその欲望を解放してあげるんだ!」
そのマロンの説明を聞いた鈴音は、まさかと思いつつも、そのある物についてマロンに質問した。
「貴方もしかして…男性の、その、陰茎について…言ってるのかしら?」
先ほどの説明を聞けば誰もがそう思ってしまうだろう。
だが事実その通り、マロンが言っているのは、鈴音に戸崎のチンコを射精させると言うことなのだから。
嫌悪感と羞恥心半々と言った感じで質問してきた鈴音に、マロンは当然のように答える。
「そうだよ、『魔法少女なんだから当然だろう?』」
「──……え、ええ。もちろん分かっているわ」
魔法少女だから当然。これもまた戸崎が事前に仕込んでいた催眠の一つである。
そのキーワードを口にされた鈴音は、チンコに対する羞恥心と嫌悪感が限りなく少なくなり、それを普通のことだと思い込んだ。
「今ならキミの攻撃で魔物が弱ってて動けないはずだよ。今のうちに欲望を全て吐き出させるんだ」
「分かったわ」
マロンのアドバイスを聞いた鈴音は、何の疑問も持たずに魔物の前で跪いて、履いているズボンのベルトに手をかける。
迅速に魔物を倒すために、真剣な表情の鈴音は魔物のズボンを脱がし、そしてその下のパンツを勢いよくずり落とした。
「ッ!? これは、凄いはね……」
そしてパンツを脱がされたことによって解放された戸崎のチンコが鈴音の眼前に突きつけられる。それは既に完全な勃起状態であり、ちょっとの刺激でもその溜まった欲望が吐き出されそうな状態であった。
「こんなに大きく膨らんで…凄まじい欲望ね。手強そうだわ」
そう言って、鈴音は徐に竿の部分をガシリと握りしめる。
「……ッ!」
「なるほど。マロンの言うとおり、どうやらここが弱点みたいね」
チンコを握った途端、魔物が大きく震えたのを見ると、ここが弱点なのは間違いないと分かった鈴音は、両手を使い欲望を吐き出させようと手淫を開始する。
「どう、これなら、効くかしら!」
左手を根本に添え、右手で大胆に擦り上げる。その手淫は、テクニックの欠片もない力任せなものであったが、それ故に強烈な快感を生み出していた。
扱く右手は根本から亀頭に向けて搾り上げるようにして擦り、鈴口から我慢汁を吐き出させる。
「ま、マジカル•スズネ! 単調な攻撃だけじゃ効果が薄いよ、もっといろんな角度から攻めないと」
「いろんな角度……? 分かったわ、ならこれなら」
このままだとただ単に強引に射精させられそうだと感じた戸崎は、もう少し変化をつけて鈴音の手コキを楽しもうと、やり方をアドバイスする。
それを聞いた鈴音は、ただ竿を擦るだけだったものがより攻撃的に変化する。
右手で竿を扱くのはそのままに、根本を支えているだけだった左手で亀頭の部分を覆って揉み込むようにして擦ったのだ。
スベスベの掌が亀頭を包み込み、その指は引っかけるようにしてカリ首を刺激する。
そうすることで、ただでさえ限界だった陰茎は限界まで張り詰めて、今にも爆発しそうになった。
「さぁ、我慢しても無駄よ! 観念して欲望を吐き出しなさい!」
その強引な手淫の前に、ついにチンコから欲望と言う名の精液が飛び出す。ビュルビュルと亀頭から飛び出すそれは、鈴音の左手に受け止められて床に滴り落ちる。
「ッ!? 出たわね、これが人間の欲望……。これで魔物も……」
握ったままのチンコがビクッビクッと動き最後の一滴を吐き出すと、漸く射精は終わった。
だか、そんな一度の射精で満足するほど、戸崎の性欲は優しくはない。
「そんな!? 欲望を吐き出させたのに、魔物が消えない!?」
鈴音は、いまだに戸崎の体を覆う黒いモヤが消えないことに驚愕し、そして握ったままであるチンコが、依然変わりなく張り詰めたままであることに気づく。
「一度の攻撃じゃ倒しきれなかっただけだよ。大丈夫。次の攻撃が決まれば倒し切れるよ、頑張って!」
「そうなのね。ええ、ここまでやって諦めるわけにはいかないわ。必ず倒し切ってみせる!」
そうして再び手コキを再開する鈴音。
しかし、今度は先ほどのように簡単には射精させることはできず。さっきの倍の時間手淫し続けていた。
「なんで…なんで欲望が出てこないの?」
「もしかしたらさっきので魔物が慣れてしまったのかもしれないね」
「な、ならもっと激しくするまでよ!」
鈴音はいい加減疲れてきた腕に力を入れて、よりいっそう激しくチンコを攻め立てる。
「この! いい加減にして! 早く出して! 貴方の欲望を吐き出しなさい!!」
吐き出された精液のヌメリを加えてさらに早くなった手コキは、容赦なくチンコを刺激していき、漸く射精の兆候が見え始める。
「!? 今の反応の仕方、もう限界は近いようね……!」
手の中でビクンと動いたチンコに、魔物の限界を悟った鈴音は、さらなる刺激を加えていく。
亀頭の鈴口に指を添えて、穿るようにして擦ったのだ。
それを食らった戸崎は、とうとう2度目の射精を迎えてしまう。
「出たわ!? 今度こそ、一滴残らず欲望を吐き出せる!」
射精中のチンコを鈴音は、今度こそ射精し尽くすように手を止めずに扱き続ける。
そのかいあって、今度こそ最後の一滴を絞り尽くした後、陰茎は小さくなっていた。
「……ふぅ」
射精を終えた戸崎は、心地よい倦怠感を感じながら床に座り込む。
その時には、もう戸崎の体を覆う黒いモヤは見えなくなっていた。
その様子を眺めていた鈴音は、魔物を退治できたことに喜びを噛み締める。
「やったわ、魔物を倒せたのね!」
「よく頑張ったね。おかげで魔物は無事に退治することができたよ」
突然の出来事であったが、なんとか危機を乗り越えた鈴音は、マロンの方に向きなおり喜びの笑みを浮かべる。
その彼女に、マロンは一つ忠告をした。
「でも気をつけてね。これで全ての魔物が倒された訳じゃないから、また新しい魔物が現れるかもしれないよ」
「……そうなのね。そしたらまたこうやって……変身して私が戦わなくてはいけないのかしら……?」
「うん、そうだね。いま魔力を持って魔法少女に変身できるのはキミしかいないから。キミに頼ることになると思うよ」
鈴音ははっきり言って、もうこんな変な争いに巻き込まれるのは嫌であったが、また魔物が襲ってきた時に何も対抗手段が無いのは不味いと思った。
それに今回は隣の席の戸崎に魔物が乗り移ったが、次はもしかしたら兄に寄生されるかもしれない。
その時に、兄を助けることができるのは魔法少女の自分しかいない。
そうこれは、他の誰にもできない特別な役目なのだと、鈴音は思い至る。
「そうね、次も魔物が現れたら……私が何とかしてあげてもいいわ」
「本当かい?ありがとう。頼りにさせてもらうよ」
マロンのその言葉を聞いた鈴音は、ふふッと得意げに髪をかき上げた。
「それじゃあ、魔法でこの教室を綺麗に直さないとね。他の人達が目を覚ました時にビックリしちゃうからさ」
「あら、そういう便利な魔法もあるのね」
「もちろんだよ。それじゃあいくよ。はい──」
「……──」
こうして再び発せられた催眠の力で、鈴音の意識は深く落とされた。
だが、記憶を消すわけでは無い。彼女にはこれからも魔法少女として頑張ってもらおうと、戸崎は笑うのだった。