セッ○スしか娯楽がない! 作:性戦の別府
グラン暦772年 春 グランベル帝国直轄領アグスティ郊外 ユリウスの屋敷
深夜。自身のとなりで眠りにつく主を見て少女──レイリアは「ほぅ」と息をはく。
憎いはずだった。嫌いなはずだった。どうにかして義妹と一緒にここから逃げ出したいと思っていた。
そのはずなのに……。
「……ユリウスさま……ん……」
小さく主の名をつぶやいた後、彼女は舌を伸ばし、奉仕を始める。
ユリウスは少々変わった性癖の持ち主で、女性の舌で自らの身体をなめさせること──すなわち口奉仕に強い興奮を覚える男だった。
またユリウス自身、女性の全身を舌で奉仕することもあった。
前者は貴族社会においても一般的な性癖ではないし、後者に至っては皆無である。そのことを屋敷で働くメイド達や同じ“愛奴仲間”であるティルテュ・ティニー母娘から聞かされたレイリア達は「オウジ様って実はただのスケベな貴族だったりする……?」と正解に近い答えを出していた。義姉妹の中にある貴族感は確実に変わっただろう。
レイリアにとって貴族とは決して良い感情を抱くモノではなかった。
育った孤児院から出たレイリアと義妹のリーンは、互いの母と同じ職業である“踊り子”としてダーナで働き始めた。踊り子として名をあげれば、いつか母に、両親に会えるかもしれないと信じて。
踊り子である彼女達の評判はすぐに広まり──その結果、ダーナ領主ブラムセルに目をつけられてしまう。
このままではいけない。両親を見つけることなど出来ずにすべてが終わってしまう。そう思ったレイリアは「せめてリーンだけでも」とブラムセルに身を差し出した。それが不幸の始まり。
ブラムセルは女の身体を痛めつけることに性的興奮を覚える加虐趣味の持ち主だった。
レイリアは人として、女としての尊厳を踏みにじられるだけではなく、その身体も徹底的に痛めつけられた。見た目に残るようなキズこそなかったものの、身体の内部はボロボロだった。この時に彼女は貴族に対し怒り、憎しみ、失望、絶望と、あらゆる負の感情を植え付けられる。
ユリウスに対する感情も変わらない。ブラムセルから救い、自らの庇護下においたユリウスは、二人に対し臆面もなく「二人は今日から性奴隷だ」と言ったのだ。ああ、このオウジ様もあの貴族と同じかと深く失望したものだ。
その失望が、負の感情が圧倒的快楽によって塗りつぶされることになるとは当時のレイリアには想像も出来なかった。
「んっ……んっ……」
首筋から始まり、右腕、胸板と舌を這わせていく。
ふと顔をあげると、リーンも同じように奉仕している姿があった。
「義姉さん……」
「ふふっ……」
顔を合わせた
そして残る奉仕がユリウスのイチモツだけになった時、二人はそれを一時中断してしまう。
「……リーン」
「……なぁに、義姉さん」
「あたし達……これからどうなるのかしらね」
「……ん……」
レイリアの問いに、リーンは曖昧な表情を浮かべる。
……貴族に対し良い感情を持っていなかったのはリーンも同じだ。ユリウスに“保護”された時に言われた性奴隷宣言でもそうだし、さらに“ブラムセルがレイリアに対し行った仕打ちの数々”を聞かされた時など卒倒しかけるほどの怒りを覚えた。同時に、義姉に対し強い引け目も彼女の中に生まれた。
そんな二人だが、愛奴として何度もユリウスに抱かれ、その度に強すぎる快感を与えられ続けた結果、貴族に対する感情が別のモノへと塗り替えられてしまう。
強すぎる快感──すなわち性魔法によって、二人の少女は自らの意思で屈服を選択。少なくともユリウスに対する悪感情は完全に払しょくされた。
あわれにもレイリア・リーン義姉妹は完全にユリウスの手に堕ちてしまったのだ。
「……義姉さん」
「うん?」
「あたしは……義姉さんと一緒だから。これからもずっと……」
「……うん」
悲痛を思わせる言葉とは裏腹に。
二人は恍惚とした表情で、眠っているユリウスのイチモツへと奉仕を始めた──
◆ ◇ ◆
グラン暦772年 春 グランベル帝国直轄領アグスティ
「──アレス君はどう? 上手くやってる?」
「はい。さすがは獅子王エルトシャンの子、綿が水を吸うがごとく必要な知識をおぼえてゆきます」
「投降してきた元反乱軍も、騎士アレスのもと忠勤に励んでおります」
家臣達の言葉を一通り聞いたあと、ユリウスは訊ねた。
「僕の元服式までに使いモノになりそう?」
「間違いなく、とは断言出来ません」
「そう。とりあえず教育は続けておいて。あーあと元反乱軍で使えそうな若いのがいたらそれも教育対象で」
「騎士アレスの右腕になりえる者を育てるということでしょうか」
「うん。あくまで使えそうなのがいたらの話ね」
「はっ。かしこまりました」
ユリウスと家臣達の話し合いは恙なく進む。
彼らが行っているのはアグストリア王国独立に関する会議だった。
ユリウスは“ある条件”を引き換えにアレスを自陣営に引き入れることに成功した。
その条件とはアグストリアの再建である。
どのような形でアグストリア王国を再建させるのか。
それは恩赦である。
ユリウスは元服を迎えると同時にグランベル帝国の皇帝を継承する。そのときに恩赦という形でアグストリアの再建を許すのだ。
当然だが、帝国に所属する貴族が納得出来る形で恩赦を与えるつもりだ。皇帝継承までにアレスがアグスティ国内に潜伏する不穏分子を一掃すること。従属国家としての独立であること。他にも細々とした条件はあるが、もっとも重要なのはその二つだ。
ユリウスは最初、アグストリアの独立を家臣達は面白く思わないだろうなと思っていた。
そして実際に相談してみた結果、意外と好感触を得られたので少し困惑する。
なぜ?とストレートに聞いてみたら……
「アグストリアとかいう田舎に長期滞在はイヤです」
という身もふたもない答えが返ってきた。ユリウスと一緒に赴任してきた貴族のほとんどがそうだった。
なのでユリウスの「君臨すれども統治はせず」「間接的支配」といった考えはもろ手を挙げて歓迎された。
現状を鑑みた場合そういった思想が受け入れられるのも無理はない。帝国が保有する現在の領土はあまりにも広すぎる。管理、統治出来る才覚を持った貴族もそう多くない。その多くない貴族に話を持っていっても「地元から離れたくない」と断られる。何しろ肥沃な土地を持つアグストリアですら赴任に不満を持つ貴族がいるのだ、シレジアや、辺境扱いされているヴェルダンなど言語道断扱いだ。現皇帝アルヴィスの勅命でなければ行きたがる貴族などまずいないだろう。もっともフリージ家やドズル家といった自力の強い貴族ともなれば話は変わるが……。
「それじゃ僕は屋敷に帰るから。あとはよろしく」
「はっ!」「ご足労いただきありがとうございました!」
ワープを使い、アグスティ城の会議場から屋敷へと転移した。
屋敷の入り口には、常にメイドが二人から三人待機している。その待機していたメイドの一人に上着を渡したあと、ユリウスは言った。
「ラケシスとシルヴィアに伝えて欲しい。今日の夜、僕の部屋に来るようにとね」
「はい、かしこまりました」
見送るメイド達を背にし、そのまま自室へと向かって廊下を歩き始めた。
廊下を曲がりメイド達の視線が切れた後、くくっ、とユリウスは低く笑う。
(ラケシス、ジャンヌの主従丼。シルヴィア、リーンの母娘丼。いやいやレイリアを仲間外れにするのはいけないなぁ。だったらティルテュやティニー、サラも呼んで──ふっ、くくくっ……! ついでだ、ヒルダも連れてくるか……!)
今日、これから起こるであろう性の宴を妄想しつつ。
ユリウスは自室へと速足で向かった──。
君臨すれども~は表現方法としては間違っていると思うけど、作者が何を言いたいかは雰囲気でわかってほすぃ!
あ、次でアグストリア編終わりです。