──呪力。
辛酸、後悔、恥辱。人間の負の感情から生まれる呪われた特異な力。
それを操り、人々が互いに呪い合うことが日常と化した人外魔境の平安の世で私は苦悩していた。
自身は産まれながらに“愛”された人間なのだという自覚があった。
恵まれた呪力量、出力は他の猛者と比較しても決して劣る事はない。
最も得意な事は尋ねられたら真っ先に“鏖殺”と答え、それを成し得るだけの高い自負があった。
唯一の欠点は余りにも燃費が悪すぎる己の術式だが、それももうすぐ解消されようとしている。
では何故、私は思い悩んでいるのか。
──違和感。
物心がついた時から、私は自身の生き様の中で時折奇妙な異物感が“そこ”にあるような気がしてならなかった。
──否、実際にあったのだ。
虫の鎧という新たな戦闘力スタイルを確立させ、藤原家に取り立てられた頃に私は私は心の底でしこりのように残り続ける小さなそれが何だったのかを漸く理解した。
「………………」
瞳を閉じて意識を底へとしずませていく。
白く染まった精神世界──生得領域の中で、私は淡く光る小さな球体を見つけ出した。
これは魂だ。
私ではない、別の人間の。
「転生……いや、憑依という奴ね」
言いながら淡い光にそっと手を伸ばす。
この存在に気付くに至ったきっかけは構築術式の可能性を思索している時だった。
──どうして私は虫の鎧が最適解だと思った?
海を渡る蝶がいると聞いた。昆虫は自重の何百倍もの重量を持ち上げられるとも耳にした。
汎ゆる観点から、私は昆虫の身体こそ構築術式の極みだという結論に至った。
しかしそれ以上に──まるでそうあるべきだという前提があって、私は虫の鎧を構築していたような既視感があった。
それは存在しないはずの記憶だった。
「ありがとう。もう一人の私」
経緯はどうであれ、同じ肉体に魂を同居させた存在である。それに、この者のお陰で想定よりもずっと早く術式の解釈を広げることが出来た。
私は心からの感謝を述べながら手のひらに浮かぶ小さな魂を眺めて。
──そのまま握り潰した。
「もういらないわ」
自分以外の人間が心の底に潜んでるなど気持ち悪くて仕方がない。
こいつの存在に気が付いたその時から、私は既に排除する算段をつけていた。
当然の帰結である。
清々しい心持ちで粒子となり、溶けていく光に触れると膨大な記憶が流れ込む。
殆どが取るに足らない男の生涯であり、こんな者が私の中に居たのかと、そのゴミのような情報に思わず不快感から顔を顰めるが、たった一つだけ看過出来ない光景が脳裏に浮かび上がった。
「呪術、廻戦……?」
余りの衝撃に目眩を覚えて、私はふらふらとよろめきながらその場に膝をついて蹲った。
額に滲む冷や汗を拭いながら私は情報を整理する。
「両面宿儺……万……これは私のこと……?」
つまり、私の中に居た男の正体とは別の世界の人間だった訳である。
しかも、そこでは漫画という娯楽品で、よりにもよってこの私が死ぬまでの姿が面白可笑しく描かれている。
通りで非術師の癖に術式の研究に役立った訳だ。
何を隠そうあの男を介し、手本としていたのは他ならぬ未来の自分自身の知識であった訳なのだから。
「ざっけんじゃないわよ……!」
沸々と込み上げる怒りと共に呪力が溢れ出す。
自分の死、というのも信じられなかったが、何より受け容れ難かったのはそれが顔も見知らぬ多数の人間たちから一方的に笑い者にされているという事実だった。
「上等じゃない」
幸いな事に、まだ原作とやらは遥か先の出来事だった。今は呪術全盛の世界。
知識は手に入れた。
ならば後は行動するのみである。
✽ ✽ ✽
新嘗祭。宮中で行われる五穀豊穣を祈る収穫祭は、今年に限れば異様な空気に包まれていた。
先に集まった有力者達が悍しい表情を浮かべながら向ける視線の先には四本腕の異形を持った大男。──あれこそが両面宿儺。
「……なるほどね」
遠目で確認しながら私は、ひっそりと胸を撫で下ろした。
我ながら強者の自覚はあったがそれでも直接見た両面宿儺は別格の存在だった。
強い。途方もなく。一、術師としてよくぞそこまでと練り上げられたその実力に素直な称賛が湧き出てくる──が、それだけだ。
どうやら、私の中に居たもう一人の人間の存在は無意識の内に私自身趣味や思考にすら影響を及ぼしていたらしい。
少しばかり腹立たしいが、これに限っては感謝した。
もしや宿儺を目撃した瞬間、我を失って彼に惹かれてしまうのではないかと危惧していたのだから。
冷静に考えて一糸纏わぬ姿を晒して抱き着きに行くなど正気の沙汰ではない。
恋は盲目と聞き及ぶが、自分がそんな愚か者に堕ちるなど想像したくもなかった。
それだけに私は一抹の不安が取り除かれた事に心底安堵する。
「あれが宿儺……様。その……噂に違わぬお姿ですね……」
隣で侍女が声を震わせながら呟く。
怯えるように私の袖を掴む姿に薄い笑みを浮かべ、自身より一回りは小さなその黒髪を優しく撫でた。
「ふふっ。恐ろしいかしら? 大丈夫、私がいるわ……」
「あっ」
肩に手を伸ばし、身体にそっと身を寄せてからそう囁く。
彼女は僅かに戸惑ったように身を捩ったが、直ぐに大人しく体重を預けてきた。
すっぽりと私の腕に収まった年若い少女を見下ろしながら、薄い着物越しに触れ合う肢体の熱を感じ取る。
「しかし……万様は、ああいった男性が好みなのでは……?」
「あら、どうして?」
怖ず怖ず、といった風な問いかけに私は首を傾ける。
侍女は一瞬躊躇うように瞳を揺らしたが、直ぐに顔を上げるとゆっくり口を開いた。
「その、先ほどから……熱心にあの御方を眺めてらっしゃったので……」
「あぁ、そういうことね」
私はくすりと悪戯な笑みを浮かべて、上目遣いで此方を見上げる娘から視線を外した。
確かにそう思われても仕方がないほどに、私は両面宿儺の一挙手一投足に注目していた。
それは端から見れば思慕する女にでも見えたのかもしれない。
緩く首を振って、それを否定した。
「同業者として、かの者が気になっただけよ。宿儺といえば、史上最強と名高い術師だからね」
「それに」と言葉を繋げる。
先ほどまで侍女の髪を撫で付けていた指先をゆっくりと降下させていき、うなじ、背筋のラインをなぞってから腰の後ろで止めて尻へと伸ばしていく。
「やっぱり愛を説くなら屈強な男より可愛らしい少女の方が相応しいわ……」
「んっ……」
白く張りのある臀部の谷間へと滑り込ませた指先で、可愛らしい少女にしか許されていない箇所を軽く押し込む。
敏感な部分に触れられたのか、侍女が吐息を漏らして頬を朱色に染め上げた。
その姿を眺めていると堪らなく胸の奥が疼き出す。
昔からそうだった。
鍛え上げられた肉体よりも、清楚で大人しそうな少女の肢体の方が私の中の欲求を刺激する。
──なんの力も持たない手弱女から屈服させたい。
そんな歪んだ性癖を私は有している。
とは言え、そのような傾向を持つのは私だけという訳でもないだろう。
例えばそこらの男であれば誰もが有して入るような程度の嗜好である。
少なくとも、私の見てきた男衆に限ればそういった趣味は普遍的であると言えた。
つまり私は世間一般の男性が持つ極めて平均的な欲求を持ち合わせた人間だったわけだ。
「んっ、くっ……」
隣から堪えた声が漏れる。侍女が悩ましげに瞳を潤ませた。
ぐにぐにと張りのある臀部を揉みしだく度に彼女の身体はぴくりぴくりと跳ね、甘い声が喉の奥から溢れて来る。
つい先ほどまでの羞恥心に満ちた初な反応とは明らかに異なる艶かしい女の姿に私は笑みを深くした。
どうして私がこのような感情を抱くに至ったのか。その原因について私には思い当たる節がある。
何せ産まれながらにしてもう一つの魂を同居させていたのだ。
例えそれが自分より遥か格下の存在であろうと、多少なりとも確実に。長い時間をかけて緩やかに私の精神へ影響を及ぼしていた訳である。
初めからその存在に気が付いて、深く魂を沈めていればこうはならなかっただろう。全ては後の祭りだった。
こうして平安時代の万という術師はその思考の一部に現代の凡百の男が抱くような世俗的な欲求を刻み込む羽目になったのである。
それは最早修正など不可能な程に確固たる意識として。
端から見れば、私は筋金入りの同性愛者と形容される人間に成っていた。
「いけません万さまっ……もうすぐ新嘗祭が……あっんっ♡」
嫌々とか弱い細腕で懸命な抵抗を見せる侍女の腕を掴むと、その唇を強引に奪ってやる。
くちくちと厭らしい水音を立てながら互いの唾液を交換し合い、ほっそりとした腰を引き寄せた。
何十秒に渡る濃厚な接吻。
惚けた表情で侍女が抵抗しなくなった頃、私はゆっくりと唇を離した。
互いの舌先を涎の橋が繋ぎ、ぷつりと途切れる。
頬を朱に染めて荒く肩で息をする少女を眺めながら、私はうっとりと目を細めた。
「……そこの部屋で休みましょうか?」
「…………♡」
返答は無言の首肯だった。
それを確認して私は彼女の腕を引くと、近くの部屋へ向けて歩みを進める。
程なくすれば襖一枚では到底抑えきれない程の、獣じみた嬌声が辺りへ響き渡っていた。
「お゛お゛お゛っ……♡」
快楽の海への溺れ、すっかり出来上がってしまった少女の痴態を見下ろしながら、私はまだ見ぬ美女たちに想いを馳せる。
「勿論
「お゛ほぉっ♡♡♡」
どちゅっと、一際深く。張りのある尻に腰を打ち付ける。
少女の身体が弓なりにしなり、指先までピンと反り返って絶頂した。
私の股座に聳え立つのは構築術式を使って趣向を凝らし、どうにかこうにか作り上げた自慢の逸品である。
どんな屈強な女傑であろうとも、これに一晩中可愛がられた女は皆等しく屈服してしまう自信作だった。
「ああ──早く伝えたいわ! 私の愛を!! 出来るだけ多く──最低でも村三つくらいは繁栄させたいわね!!」
ぺろりと乾いた唇を湿らせて、私は放蕩塗れた未来を描いて艶然と笑みを深める。
そうして甘い快楽に身を浸らせ、恍惚の表情を浮かべていると、くい、と袖が引かれるのを感じた。
見下ろせば涙で潤んだ瞳で私を見上げる少女が息も絶え絶えといった様子で畳を何度か叩いてみせる。
「よ、万さまっ……もう、げ……限界です……少し、暇をっ……」
「……?」
「や、休ませてぇ……!」
泣き腫らした必死の懇願に私はピタリと動きを止めた。
上気した顔色を元に戻しながら、ふむと思案する。
腰を引いて、ゆっくりと彼女の体内から己を引き抜こうとすると、少女が心底安堵した様子で安堵のため息を漏らした。
が──直ぐに私は動きを止めて。
勢いよく腰を打ち付ける。
「ふんっ!!!!」
「お゛ぎゅっ?!♡♡♡」
少女の小さな身体が衝撃で僅かに浮き上がり、潰れた蛙のような声が漏れた。
びしゃりと結合部から飛沫が飛び散る。どうやら挿入されたままの逸物が彼女の急所を圧迫したらしい。
身体を痙攣させながら白目を剥く少女の姿を見下ろして私は更に腰使いを激しくする。
「ふんっ! ふんっ! ふんっ! ふんっ!!!!」
「お゛っ?! ごぉっ! お゛お゛っ?!! ♡♡♡」
「お前はっ! もうっ! 私のっ! オナホでしょ!? 主人に……意見してんじゃないわよ!!!!」
「お゛っ♡ お゛ぉっ♡ お゛ぉおお゛おっ♡♡」
ほっそりとした腰を掴み、両手の指跡がくっきりと残る程に力を込めて、何度も何度も彼女の奥を抉り上げる。
度重なる絶頂によってすっかり降りてきていた子宮は、その攻撃に対してまるで初めからそういう形状だったかのように容易く入り込んできた異物を受け入れてしまう。
すっかり私の逸物に嵌り切った膣内は吸い付くように隙間なく密着し、その上で揉みくちゃに蠕動して竿を舐め擦り、小癪にも性感を与えて誘惑してくる。
「あ゛ーもう! イラつくわ!! このまま無責任
「ひっ──やっ、めぇ……♡ う゛っぐうぅぅ♡♡♡」
「
「ひぎぃっ♡♡♡」
「あ゛あ゛あ゛っ!! 孕めえっ!!!!」
びゅぐっと激しい勢いで白濁液が撃ち上がる。
逃げ場を求めて先端に殺到した精子が行き場を失い、猛烈な勢いで尿道を駆け抜けると凄まじい快楽に私は思わず背を仰け反らせるとだらしなく舌を露出させた。
「おっほ♡ 侍女まんことパコハメさいこ〜♡」
「お゛……お゛ぉ゛……」
「ほら、イってないでしゃぶりなさいよ♡ お掃除フェラ、教えたでしょ?♡」
ずりゅん! と子宮を押し上げながら、へばりつく膣内から無理矢理に逸物を引き抜く。
ひゅう、という掠れた呼吸音が部屋の中に響いた。
私は放心していた侍女の顔面に容赦なく腰を突き出すと、無理矢理に開いた小さな口の中に逸物を差し込む。
未だ湯気が立つ程に熱された一物が彼女の口の中を蹂躙し、瞬く間に侍女の瞳に光が戻った。
ぐぽぐぽと激しい水音が室内に響き渡り、私の下腹部は直ぐに欲望で膨らんでいく。
そうだ、それで良いと私は鼻息を荒く、容赦なく侍女の小さな口を使って逸物を扱き続ける。
──何度も腰を振り、喉の奥まで蹂躙し終えれば私は小さく喘ぎながら果てた。
「……私が次に進むまで、貴女の身体で楽しませてね?」
「──は、ひぃっ♡♡♡」
とろん、とした表情で侍女が答える。
もう私の姿しか目に入っていないのだろう。瞳の中にはハートマークでも浮かんでいそうな程に理性の光は失われていた。
構築ちんぽってなんだよ?