その日、西住流戦車道家元・西住しほは瞑目したまま静かに自身の出番を待っていた。
ここは西住家の本邸にあるしほの自室で、傍からも上質と分かる落ち着いた調度品の中、彼女はこの場の雰囲気に対して不自然に目立つピンクのバスローブを身に纏っていた。と、
「失礼します。セットが整いましたので、スタンバイをお願いします」
不意にスッと音も無く開いた彼女の自室の襖から、一人の年若い男性が顔を出す。金色に染めた髪型と前後ろに被ったキャップという安っぽい出で立ちがますますこの場にそぐわなかったが、声を掛けられたしほの方は特に気にした風もなく「分かりました。すぐに向かいます」と答えて立ち上がる。その所作には些かの乱れも無い。そうして静々と長い廊下を歩む姿は武芸者らしくピタリと腰が据わっていて、二人の子を産んだ臀だけがピンクのバスローブをムチリと張らせていた。
◆
逆さ帽子の青年に先導されてしほが訪れた一室は、普段は来客用に用いる予備の寝室だった。ただ常ならば人気の無いはずのその部屋に、今は無数の機材と書類を持った男達が所狭しと犇めいている。
「おお! お待たせしてすみません家元!」
そんな現場の中心で忙しく何か指示を飛ばしていた男が、しほの入室に気付いて鷹揚な笑顔と共に両腕を広げる。
「いえ、問題ありません。それより準備の方で何かアクシデントなどはありませんでしたか?」
「ええ。こちらもばっちりです」
「それは結構」
ニッと笑いながら指で丸を作って見せた男に頷くと、しほはおもむろに自身を包むバスローブの腰帯に手を掛けて、躊躇う様子もなく一息でそれを引き抜いたのだった。
シュルリという衣擦れの音と共にピンクの綿布が零れ落ちて、内に秘められたしほの裸体が露わになる。
日々の戦車道の稽古で鍛えられた姿勢の良い立ち姿は生気に溢れ、肌の艶張りも全盛期のそれとなんら遜色なかった。しかし同時に高校生となった二人の娘を持つ肉体は人妻らしく、臀部にはむっちりとした肉が付いていて、ズシリとした重みを感じさせる大振りの乳房の先はやや色濃く下を向いている。
ただの武芸者でも、同時にただの人妻でもあり得ない若々しくも淫らで脂の乗った肉体に、室内からはそこかしこから「うはぁ……」という溜息が漏れる。
「では、スタンバイをお願いします!」
そんな若いスタッフ達に苦笑しながら監督がパンパンと手を叩くと、ハッと我に返った男達は慌ててそれぞれの持場についたのだった。
◆
「用意……アクション!」
「何をするのですか!?」
桐張りの天井にカチンコの音が響いて撮影が始まると、畳に敷かれた布団の上でしほはキッと目の前の男を睨み付けた。
視線の先にいるのは白髪の目立つハゲ頭の男性で、彼が今日のしほの相手だった。
「そう言うな。まさか、泣き喚いて夫にこの事を知られたくはあるまい?」
「くっ……卑劣な……」
「いい表情だ。その強気な顔がわしに犯された時どんな風に歪むのか。想像しただけで興奮が止まらんわい」
「ああっ!?」
そう言って老齢の男がしほの少し垂れた乳房に手を伸ばして力任せに揉みしだくと、悲鳴を上げたしほはビクッと弓形に仰け反って、靭やかな射干玉の御髪を振り乱したのだった。
「「「「「……」」」」」
そんなしほの艶姿に、再びどこからともなく生唾を飲み込む音が響く。たった1シーンで辺りの男を惹きつけたしほの演技に、付き合いの長い監督だけが満足そうに頷く。
そんなスタッフ達へのテンプーテーションの中でも撮影は続く。男優は淫らな乳房と御髪を振り乱して善がるしほを布団の押し倒すと、とろんと垂れたしほの乳房を鷲掴みにして、濃いめのしほの乳首を二つまとめてしゃぶりあげたのだった。
「あっやっ、やめっああっ♥」
「ぐふふ、どうやら感じてきおったな」
「だ、誰が」
「西住流戦車道家元の矜持というやつか? だが無駄だ。貴様の身体は正直だからなあ」
「あっ!?♥♥♥」
男の舌技に目に見えて熱の籠もった喘ぎ声を漏らし始めるしほ。そんなしほの姿に気を良くしたのか、男はしほの乳首に時折歯を立てながら、もう片方の乳首を指の腹で潰すように嬲り始めたのだった。
「くっ!?♥ んっ♥ あっ♥ やっ、ああんっ!?♥♥」
次第に大きくなる水音と、それに合わせて乱れるしほ。そうして白い木綿地の上で思うがままに身悶えると、次第にくぐもった声に抑えが利かなくなり、悲鳴にも似た艶声と共に仰け反りながらピンッと爪先立ちになって、濃いめの陰毛の奥からブシュッ……ブシュッ……と透明な愛液を吐き出したのだった。
自身を組み敷く男の軛から外れて思うがままに自らのアクメを無数のカメラの前で披露したしほは、再び自身の眼前にやってきた男の「派手にイキおったな」という言葉に薄っすらと涙の滲んだ両目を開いたのだった。
「どれ、この様な淫売の身体はわしの
「なっ!?」
そう言って男が無造作に誇示したのは巨大な男根に、しほはそれまでの毅然とした態度も忘れて呆然と両目を見開く。赤黒く脈打つ男のそれはとても老齢とは思えぬサイズと硬度を維持していて、かつて己の産道を通した二人の娘達の全身に勝るとも劣らぬ巨大な一物だったのだから。
「どうした? 夫の貧相なものでも思い出したか?」
「誰がっ」
「そう強がるな。貴様の様な淫らな身体をした女が生半な男の一物で満足できる訳があるまい?」
「っ!?」
悔しげに顔を背けるしほにニヤニヤとした視線を向けながら、尻たぶ同様にむっちりとしたしほの太腿を押し開くと、陰毛ごしに巨大なペニスでベシベシと彼女の淫肉を嬲った男は躊躇なく彼女の秘所へと己の分身を奥深くまで捩じ込んだのだった。
「あ、あああああああっ!?!?♥♥♥♥♥」
最早絶叫に近い善がり声を上げながら、しほの熟れた肉体は巨大な男のペニスを残らず呑み込んだ。とても人の御業とは思えない交合を果たしたしほの肉体は、その代償として男の一物形にボッコリと膨らんでいたのだった。
「ふはは! わしの! 一物を! こうも! 容易く! 呑み込むとは!」
「ひっ!?♥ ぐっ!?♥ うっ♥ うおっ♥」
「まったく! この! 阿婆擦れめ! 西住流! 戦車道の! 家元から! AV! 女優の! 家元にでも! 改名! したら! どうだ!!」
「あっ♥ ああっ♥ あ、お゛っ!?♥♥♥」
一言一言叩き込む様に容赦ない抽挿を開始する男。そんな男の交合に、艷やかだったしほの喘ぎ声は野太い獣の咆哮のような異音を奏で始める。
「お゛っ♥ おごっ♥ うごっ♥」
「ははは! どうやらその気になってきたようだな! いいだろう! 産め! その熟しきったババアの身体でわしの子をひり出せ!!!」
「お゛っ、お゛っほおおおおおおおおっ!?!?!?!?♥♥♥♥♥」
そして湧き出た獣の咆哮そのもののアクメ声が西住家本邸に響き渡り、そのオホ声の主だったしほは濡れそぼった女淫からダマになった精液を噴き出しつつ、どさりと白い布団の上に崩れ落ちたのだった。
◆
(ああ、やはり良い……)
青い空の下、自宅の庭園に引きずり出されたしほは、自身を捉えるカメラの前でアナルを犯されながら内心でそう呟いた。
西住しほはAV女優をしている。それも、とあるレーベルにおける熟女カテゴリーで人気売り上げ1位に君臨する、名実共にトップのAV女優だ。その作品は多岐に渡り、凌辱や輪姦ものから童貞狩りの逆レイプものまで幅広い。
しほがこんな副業を始めたのは、二人の娘が丁度中学に上がった頃のことだった。夫婦共に社会的立場が大きくなり、自然とレスになった夫婦の穴を埋めるように、町中で掛けられた声に彼女は乗ったのだった。
しほは自らが特別淫乱だとは思わない。ただ、心身共に充足した肉体を捨て置かれてはこうもなろうというものだ。女としての西住しほは今も変わらず全盛期なのだから。
こうしていると心が満たされ、また明日も全身全霊で自らの職務使命に邁進しようという気になる。いわば性の好循環が出来ている訳で、しほは尚更にカメラの前での性交に没頭する。或いはいずれ夫や娘にばれる日が来るかもしれない。けれど、その日までしほは自らの肉体を満たしてくれるこの副業を手放す気はなかった。
「お゛お゛お゛お゛!?!?♥♥♥♥♥」
この日一番の咆哮を上げながら、しほは自らの絶頂を余すことなくカメラの前で晒したのだった、