その王家の墓所の最奥、宝物殿には王にしか触れることを許されない真の国宝が収められている。
※ノクターンノベルズ、Pixivにもマルチ投稿しています。
かたん、かたたん、と静かに音が響いている。
豪奢に華美に彩られた馬車を、車輪が土の上を走る振動が揺らしている。
王族専用のものとは言えある程度の振動とは切っても切り離せない。
揺れが煩わしいのか、それともただ単に居心地が悪くて落ち着かないのか、その馬車の主人は同道している従者達に見咎められないようにそっと座席の上で身じろぎした。
その男性の年頃は三十前後といったところであろうか。まだ抜けきらない若さを隠すかのように、端正な顔にはしっかりと整えながら伸ばした髭が生え揃っている。
気品のある礼服に短裾の赤い外套を纏っている。似合っていないわけではないのだが、当の本人はその着心地にいまだ慣れないでいた。
いや、慣れないのは衣服だけではなく今の立場も含めた自身の纏うもの全てか、と彼は心中で一人言ちた。
彼の名はカイラス・ローレン・シルヴァノールといい、千五百年の伝統を誇る此処シルヴァノール王国の現国王にあたる。
とは言っても即位して僅かに三日目の、極々若い元首である。
先王である父が亡くなったことに心を痛める間も無く次期王位を巡る継承争いが始まり、辛くもそれを制したのがカイラスだった。
弟妹達を追い落とし家族親族で父の遺産を奪い合う人面獣心の争いは、勝利を収めれど彼の心を疲弊させ尽くすに充分であったし、その疲れも抜けきらぬままに先日戴冠式を終えたばかり。
その上で今日もまた重要な行事としてこうして外出している。さしもの彼も溜息の一つも吐きたくなるというものであった。
彼と彼を載せた馬車の向かう先は王家の墓所だ。墓所を詣で、歴代国王の祖霊を祀ることは新国王にとって欠かしてはならない重要な儀式である。
多くのヒト種が栄えるここ
この千五百年の年月の中で幾つも国が興っては亡びを繰り返す中で、ただ一つの国として独立を維持し続ける古き伝統と権威の国。
今やその長い過去とそれを未来へと受け渡す責務がカイラスの双肩にのしかかっていた。まだ気持ちの上では若い男児と自認している彼にとってはそれだけで顔が青くなる思いだった。
必死に遺産争いを生き残っただけで、それだけでこれだけ疲弊している自分に最古の王国を背負うだけの力があるのだろうか?
そう自問しても答えは出ない。膝の上に載せた国宝の王剣が、無情の硬質な煌めきを返すだけだった。
城の裏手の森を進むこと、既に一刻と半は過ぎたであろうか。
薄煙のように揺蕩う霧と、鬱蒼と茂る古い木々の合間を抜けてようやく馬車はその歩みを止めた。
戸を開けて踏み台を用意した従者に促され、カイラスは待ち侘びたように外に踏み出した。
国宝の王剣を腰に佩いて歩む。慣れない重心の傾きを感じながら顔を上げた彼の前にあったのは石造りの神殿だった。
長く風雨に晒された跡がありながらも、厳かな存在感を放つ大理石の社。その背後には灰色の岩肌を見せる山が聳え立つ。
王族ながら初めて直接目にした墓所の威容に、カイラスも知らず背筋が伸びるのを感じた。
唾をごくりと飲み込む彼と従者達の前に姿を現したのは墓所の守り人達だった。
一様に白いローブと覆面を纏い人相は伺えない。だが被った布の端から覗く笹の葉のように広がる長い耳は彼らがエルフ族と呼ばれる人々であることの証左だった。
幾人かの従者がにわかに色めき立つのを感じる。エルフ族は長い寿命を持ち、その他多くのヒト種と隔絶した文化を持つ。
自分達の里に籠り滅多に人前に出てこない……それこそ物語で語られるような伝説的な種族が目の前に現れたのでは驚くのも無理はないだろう。
カイラス自身もまた、王家がエルフと契約を交わして墓所の守り人を任せているという話は聞いていたものの、それでも驚嘆の念は抑えきれなかった。
そのエルフのうちの一人がやおら前へと進みだし、歓迎の言葉(千年ほど前の古シルヴァノール語であった)を儀礼的に述べるとともに、王としての証を立てるようにと申し立てた。
カイラスは自身の威厳を損なわぬよう鷹揚に頷くと、腰に佩いていた剣を抜き放った。
鍔は
国王に代々継承されるこの剣は建国の王がハイエルフの鍛治士より賜ったとの伝説があり、王家の血を引くものにしか鞘から抜くことはできないという魔法がかけられている。
その抜刀を見た墓守は改めて恭しく礼を取り、カイラスを当代の王として迎える旨を申し出た。
石造りの大きな門が開き、墓守に先導されて王が墓所へと足を踏み入れる。ここは限られたものしか立ち入ることのできない神聖な場所、従者達は外で待機となる。
人を感知して灯る魔法の火種が道を照らすが、墓所の内部は洞窟じみて暗い。石造りの広い廊下の暗がりに、カツン、カツンという足音が反響しては飲み込まれていく。
冷たく乾いた、それでいてのしかかるように重い空気はこの墓所が湛える千五百年の歴史の積み重ねそのものであろうか。
カイラスの先を歩みながら墓守はまるで古い絵巻物を誦じるかのように訥々とこの国の歴史と墓所の役割を語る。
建国王エルドラム・タルキスの蜂起。シルヴァノールの名の起こり。始まりの天文台カエルステルンへの旅。金の手のゴルウェインとの出会いと王剣の拝領。戦乱の世の統一の偉業…。
王族の教育として自身もよく学んだそれを聞きながら、カイラスは長い石造りの廊下の左右へと視線を走らせる。
壁面に幾つも規則正しく設けられた凹み、燭台に一つ一つ照らし出されたその奥に収められているのは歴代国王の棺だった。
その手前に設けられた墓石に刻まれている幾多の名に目線を走らせながら畏怖の念が湧き上がる。墓所、という言葉の意味を改めて理解させられる、濃密で静謐な死の気配がそこには揺蕩っていた。
つい先日亡くなったばかりの父もここに葬られているのだろうと思うとカイラスは複雑な気持ちにならざるを得なかった。思えば碌にその死を悼む間も、自分にはなかったのだった。
彼のその心中を察したのか墓守は、後でご自由に皆様の墓を参られて構いません、と述べた。
そこではて、とカイラスは疑問を呈した。そもそも墓所詣とは歴代の国王の墓に当代の王が祈りを捧げる儀式ではないのかと。
それとも本来は建国王の墓だけで良いものなのかと問うと、墓守は首を横に振って袂から取り出したものを王へと差し出した。
それは眩い黄金と玉石によって飾られた一つの小さな鍵だった。
それを受け取ったカイラスは、指先を通して鍵にまで自身の血が通うような感覚を覚えた。これは王剣と同じ、特定の所有者にしか扱えない魔法がかけられた品だった。
本来の墓所詣とは歴代の国王の墓を訪ねることでも、建国王エルドラムの元へと詣でることでもなく──墓所の最奥、宝物殿に存在する
真の国宝、と口に出したカイラスはその言葉をうまく受け止めることができなかった。彼は今の今まで王剣こそが国宝であるとそう言い聞かされて育って来たからだ。
だがそれさえ上回る非常に貴重なものがこの墓所の奥に眠り、それに直接触れる権利は当代の王にしかないと言われても当惑する他なかった。
しかしながら同時に納得するようなことも一つあった。歴代の国王の中には日課のように墓所へと足を運ぶ王もいたという話であり、伝統に熱心な敬意を払う王だと後世に語られてはいた。
それがただ単に王の墓へと詣でるためでなくその真の国宝とやらに執心であったと考えるならまだ人間的に納得のいく話であった。
そういった話をしながら一同はやがて長い石の廊下の最奥へと突き当たる。
燭台に照らし出されたのは上から下まで精巧なレリーフが刻まれたこれまた石造りの大扉だった。
ただ扉には鍵穴は見当たらないようだった。鍵を片手に辺りを見渡すカイラスを、使うのはここではありませんと制しながら墓守は戸に手を添える。
ここから先は陛下お一人です───その上で後は
ごおぉん、と石材が重ねた年月そのもののように重々しい音と共に開いた戸の中へカイラスは足を踏み入れた。
宝物殿の中は一切の闇であった。一寸先も見通せぬ、それでいて総身にのしかかってくるような質量ある射干玉の闇。
背後で再度重々しい音が響いて扉が閉まれば、彼はその暗闇の中にただ一人で閉じ込められてしまった。
無明の闇に一人きり。……だが彼は何故だか、この闇に奇妙な心地よさを感じていた。
慣れ親しんだ自身の寝所に帰ってきたような、或いは遠き日に乳母の膝の上で寝入ったときのような、心からの安堵感。
それはここが祖霊の眠る墓所の深奥だからか、はたまた父祖たる建国王の眼差しが自らを見守っているのか──。
そう考えたところで、視界の端に火が灯るのが見えた。
人感式の魔法燭台。これまでの道中にもあったものだ。
それが彼の立つ扉の側から壁沿いに、ぼっ、ぼっ、と小さく爆ぜるような音を立てながら点火されていき部屋の全容を照らし出す。
天井は高く、床は広い。だが、その面積のほとんどは
薄橙の炎の灯りに照らし出された荘厳な建造物。その正面には石畳と石造りの階段が備え付けられており、無言のうちに上まで登るようにとカイラスを促していた。
かつん、こつん、と靴が石段を踏み締める音が宝物殿の空間に木霊する。その音を聞きながら彼はどこか逸るような心地を覚えていた。
早く、この階段を登り切ってしまいたい。早く、そこにあるものを目に収めたい。
それは単純な好奇心とはまた違う、心の底──或いは魂に焼き付けられた情動のように彼には感じられた。
彼の王族としての本能が、シルヴァノール家の血がそこにあるものを求めているのだ。
普通の建物で言えば三階建ほどになっただろうか。階段を登り終えて頂上に辿り着いたカイラスは目を見張った。
天井からの灯りが注ぐように照らし出すそこには一人の人間がいたのだ。
いや、人間ではなくエルフだった。頭の横にまで張り出した細長い耳の輪郭が確かに見える。
だがカイラスは一瞬足を止めてその光景に見入ってしまった。目の前にあるものが一体何なのか、彼自身の思考がついていかなかった。
そう感じてしまうほどにはその光景は非現実的だった。
そこにいた
祭壇の頂上は平らになっており、面積で言えば八畳か十畳程度はあるだろう。
床面はいかなる素材か柔らかな布を敷き詰めているようだった。一歩踏み出せば足先が沈み込むほどだ。
そして祭壇頂上の縁のところから幾つもの、眩い銀色の鎖が伸びて中央へと続いていた。
その鎖で雁字搦めにされるように拘束されているのは長い……とても長い、白金色の髪を持つ少女だった。
宝物殿の灯りの橙色を照りかえすその白金の色合いはまるで夜明け前の東の空のような美しさ。艶めくその色彩は少女の身長よりもなお長く伸び、それ自体が一種の
少女はまるで祈り続けるかのように祭壇の上に跪いている。
衣のように垂れ落ちる髪の隙間から見れば、身に纏っている衣服は確認できない。
身に帯びているものは祭壇から伸びる鎖が結えられた黄金の枷くらいなものだ。
首枷、手枷、腕枷、足枷、腿枷。煌めくその金色は鎖を纏っていなければ極上の装飾品にしか見えないだろう。
だが事実それは拘束具として、ほっそりと
少女を見下ろせる距離まで歩み寄ってきたカイラスは、そこでようやく遅ればせながら向こうからの反応がない理由に気がついた。
彼女の顔の上には幾つもの革帯が、さながら馬の頭絡のようにかけられていた。
特に目隠しと口枷がある以上は挨拶も返すことができまい。
どうしたものかと逡巡した彼はその後頭部で革帯を留めている錠前の存在に気がついた。
ここに入る前に手渡された小さな鍵を差し込めば、予め油がさしてあったかのようにするりと入り込み、錠が外れた。
かちゃ、かちゃ、と革帯を留めている金具を外してやる。その手の動きに反応したかのように少女がびくん、と体を震わせる。
カイラスが驚いたのは口枷を取ろうとした瞬間だった。
少女の幼気なほどに小さな口に咥えさせられていたものは外から見れば金属球─体の枷と同じ金でできている─であるかのようだったが、実際に引き抜いてみれば、それは長い張型の形をしていたのだ。
「んぐ、ぉぐっ」と痛ましいえずき音を背景に、ずろぉっ……と男性器を模した金塊が少女の喉から引き抜かれる。
カイラスの母指と示指で作る輪ほどに太く、中指から手首までかそれ以上に長い。
少女のその小さな口と細い喉にこのようなものが埋め込まれていたとは信じ難い事実であった。
だが粘った唾液が絡みつくその張型状の口枷と、荒い息を吐きながら赤らんだ舌を覗かせる彼女の口元を見比べながら……カイラスは胸の奥を火搔き棒でまさぐられるような不思議な情動を感じていた。
そして最後に残ったのは目隠しだった。濃い茶色をしたその革は一体何の素材なのか、妙に彼の手に馴染む。どこかで知っている手触りだった。
だが、手触りで言うならば何気なく指で目元から払いのけるように触れた少女の髪の滑らかさには劣るだろう。
東国から齎される最上の質の絹を一本一本丹念に梳ったかのような、いつまでも触れていたくなるような指通りのよさ。
そして顔を合わせるほどの距離にまで近づけば、床に広がるまでに長い髪の香りに包み込まれるような心地だった。
ほのかに甘酸っぱく、肺腑をくすぐられるかのように優しくも蠱惑的な乙女の香。
そこまで考えて、自身の手が止まっていることを自覚したカイラスは余計な考えを振り切るように頭を振り、改めて目隠しに手をかけた。
はらりと外された革帯、白金色の前髪のヴェールの向こうでその少女の眼が開く。
間近から覗き込むようにしてそれと正面から見つめあったカイラスは、その美しさに胸を打たれるほどの感動を覚えた。
驚くほど長い睫毛に彩られた切長の眼、その瞳の色は淡い群青。そこに宿る煌めきは夜明け前の空に瞬く星屑の残照を散りばめたかのよう。
人とは思えない──いや、エルフである以上人ではないのだろうが──隔絶した美の形がそこにはあった。
「────
カイラスはそのエルフの少女に見惚れてしまった。
故に一瞬、耳に届いたその音が彼女の声であると理解するのに時間を有した。
少女は声までも美しかった。澄んだ空気の山上で、至上の楽士が水晶の弦を爪弾いているかの如き調べだった。
ほんの一瞬でもそれを聞き逃しかけた自分が許せなくなるほどに、カイラスは一聴でその声に聞き惚れてしまっていた。
「私は───ミリアウェル・ヴィオレッサ・ゴルウェイン。
嗚呼……あなたとお会いできることを心より待ち侘びておりました。エルドラムの
金の手のゴルウェイン。
その名を聞いたカイラスは強い衝撃に襲われた。
創世の神アマンの手による直接の被造物であり『最初の二つ脚』とも称される、今のこの世界に生きるあらゆる人型生物の原型である。
彼らは真なる不老不死であるが、既にその多くが西の果ての『夜の橋』を渡って現世から去っている。
ゴルウェインは文献上人間の
「ありがとうございます、当代のシルヴァノール。私からエルドラムへの贈り物、やはりお持ちくださっているのですね。
──嗚呼、なんて素晴らしいことでしょう。素敵なことでしょう。人はあんなに儚いのに、私と彼との思い出はまだ永らえているのですね」
ゴルウェインはカイラスが腰に佩いている剣に目配せをして微笑んだ。
万人が見惚れずにはいられない、春の花の咲くような笑みだった。
一瞬それに魅入ってしまっていたカイラスは一つ咳払いをしてから問いただした。
ハイエルフともあろう方がこのようなところで何をなされているのか。或いは、いかなる咎でこのような縛に繋がれているのか。
「───いいえ、いいえ。私は何の罪を犯したわけでもありません、何の罰を負っているわけでもありません。
私はただ、ただ、己の意志で選んだことのためにこの墓所に───宝物殿に我が身を収めたのです」
彼女はそう迷いなく答えた。
白木作りの細工物のように美しい指は、祈るように彼女の顔の前で握り合わされている。
独白するハイエルフの少女の様はまるで清廉な祈りを捧げる殉教者のようにも見えた。
ただよく見てみれば黄金色の手枷は錠によって一つに繋がれており、そうして手を合わせた形から解けないようになっているだけなのだが。
「それはひとえに愛故に────いえ、有体に言えば、恋のために。
はい、私は恋をしたのです。貴方様の祖、エルドラム・タルキス、最初のシルヴァノールに」
託宣を伝える巫女のように、ゴルウェインの言葉が祭壇の上にこだまする。
耳朶をなぞるその声は聞くものの……唯一の聴衆であるカイラスの心と脳を直接くすぐるような、精妙に艶めいた響きがあった。
語られるのは建国王の逸話の一つ。後の国宝となる王の剣を授かるべく、ハイエルフ達が住まうと言う伝説の地である天文台カエルステルンを訪ねた折のこと。
金の手のゴルウェインは「二つ脚の生き物たち」の中で初めて金属を加工する術を世に齎したと言われ、あらゆる鍛治士と冶金士の信仰の対象となっている。
幾多の困難を超えて宙の天蓋に最も近い山の上で、こうしてエルドラムとゴルウェインが出会った。
「はい、えぇ、そうなのです。私は───そのときに初めて恋というものを知りました。
胸を焦がすような情熱を知りました。肺の溺れるような情愛を知りました。
嗚呼、エルドラム。今も忘れ難き、儚くも眩く瞬く、命の火花そのもののようなあなた────」
ハイエルフは本物の不死者。その生は人のそれに比べればあまりにも長く、故に心は植物のように凪いでいることが常だ。
だがゴルウェインは「恋」という感情をエルドラムとの出会いで知ってしまった。
彼の人が欲しい、彼の人に欲してもらいたい。彼の人に触れたい、彼の人に触れてほしい。彼の人の声が聞きたい、彼の人に聞いてほしい。彼の人を見たい、彼の人に見てほしい────。
そんなあまりにも人間的でありふれた感情、或いは欲望。
それを知った彼女はエルドラムに剣を授けたとともに、下山することを決意した。
それは建国の伝説にも歴史にも語られていない裏の真実。
ハイエルフの少女は永遠の安寧である彼らの故郷を捨て、激動と流転の人界を選んだのだ。
目まぐるしく移りゆく時代、群雄割拠の乱世をエルドラムが生き残れるように──或いは時代を統べることができるように、ゴルウェインは影から愛した王を支え続けたのだった。
「ですが、ええ、ですが───人の命はやはり儚いもの。ほんの四十年ほどでエルドラムとの別れの時がやって参りました。
けれど、私は悲しくなどありませんでした。彼の残したものはそこにあり、彼の魂は
そう語るゴルウェインの顔に悲壮の色はない。ただ其処には胸の内に宿る、陽だまりの暖かさと炎の熱を併せたような思い出を愛でる陶然とした響きがある。
彼女が語っているのはこの墓所の事だろうか、とカイラスは考えた。
建国王エルドラムの亡骸も収められている墓所であれば、その魂といつまでも離れずにいられると、そういうことを言っているのではと。
……だが、同時に少女の群青の瞳が真っ直ぐに自身を射抜いていることに気づき、もう一つの可能性に思い至った。
「はい、貴方達です、貴方様です。シルヴァノールの血筋、エルドラムの子供。貴方様の内に彼の魂が確かに息づいているのが私には見えるのです」
ゴルウェインはうっとりと夢見るような瞳でカイラスを見つめた。
星の輝きを宿す目は熱く潤み、陶磁器のように白い頬は花芽吹くように紅が差す。
彼女は恋をしていた。肉でも心でもなく、魂の色彩に。
建国の王エルドラムより数えて千五百年、その子孫に係累に出会う度に、昔日の愛しき人の魂をそこに見出して──何度でも彼女は恋をする。
いや、正しく言うならばそれは一度たりとも終わったことすらないのかもしれない。
千年、二千年など真なる不死者にとって幾日の価値があろうか。
彼女の恋は在りし日と地続きに今も終わっていない。ただ人一人の命はあまりに短く、それに付き添うには幾つもの代を継いでいかねばならないだけのこと──。
「さぁ、いらしてください、当代のシルヴァノール。私は貴方様だけの恋の奴隷、愛の婢女。
どうか、どうか。
その言葉でカイラスはようやく気づいた。
ここが宝物殿であること、先刻墓守のエルフに「あとはご自由になさってください」と言われたこと。
つまり、彼女こそが真の宝なのだ。王家の墓所に秘された、ただ一人の永遠の乙女。
それは千年を超えて尚、変わらぬ愛を王家の男に誓い、そしていつでも逢瀬の時を待ち侘びている。
少女は静かに目を伏せて、あとはただ祈るようにその場に跪いていた。
ただ少しだけ
ここまできて何を催促されているのか、わからぬほどカイラスも愚鈍ではなかった。
彼の胸の内では心臓が早鐘を打っている。
神話の住人たるハイエルフに手を触れるなどあまりにも畏れ多い。
だが、それと同時に酷くむず痒く甘ったるい心地も感じていた。
期待に逸るような、焦れるような、それさえも心地よいような不思議な感覚。
それは体の芯よりも心の内よりも尚深いところ──魂から湧き出てきたような、熱い衝動の塊だった。
「私のことはゴルウェインなどと呼ばずに、ミリアウェル……いいえ、ミリア、とお呼びください。
ん……っ♡」
ゴルウェイン様、失礼致します、とカイラスが側に寄って侍るとそのように訂正された。
そう語るゴルウェイン──ミリアの表情は、本当に年頃の少女のようなはにかんだ笑みだった。
狂おしい情動に身を任せたまま、カイラスはそっと少女の頬に手を添えて、唇に口付けを落とした。
春風さえも知らぬ花の蕾のように小さく、ほのかに紅色の乙女の唇。
そこに己の口で触れるのは多大な背徳感と──猛烈な
「んふっ、ぁっ……♡ んっ、む、ちゅ……っ♡」
その瞬間、凄まじいまでの快感がカイラスの脳を貫いた。
今までの畏怖と逡巡、創世の神の娘に触れる気後れなどどこかに行ってしまった。
いや、むしろ今はそんな矮小な考えなどどれほどの価値があったのか、犬にでも食わせてしまえ、という不遜なまでの気持ちが溢れかえる。
自分だ。自分が、自分こそが、この美しいハイエルフの乙女を所有することができる。
その権利を持つのはエルドラムの血を引くもの、シルヴァノールの王位を継ぐもの、自分以外の他にはいないではないか。
その自覚は強烈なまでの自我の解放だった。あらゆる虚妄と迷蒙が晴れ渡り、額に新しい眼が啓いたかのような心地だった。
「はぁ、っぁ、ん……っ♡ ぁぅっ、はむっ、ん、んん……っ♡♡」
ミリアの細い顎を掴み、カイラスは夢中になってその唇にむしゃぶりついた。
眩い銀の新雪を土足で踏み荒らすような恍惚だった。
少女の鼻にかかった悩ましい吐息が耳朶と自我を蕩かすように響く。
その艶かしい様に一層の興奮を覚えて、躊躇いなく舌を口の中に潜り込ませる。
まるで強姦のような接吻はあまりにも甘く容易く受け入れられる。
千五百年に渡って煮詰められ続けた慕情は恋というにはあまりに深く、愛というにはあまりにも熱く永遠の男を歓迎する。
舌先に感じる痺れは毒々しいほどだった。天上の娘の舌の瑞々しさ、唾液の味わいは人間の脳では最早処理し難い。
ただただ生まれて初めて甘味を食べる幼児のように、カイラスは夢中になってその口腔を舐めしゃぶり尽くす。
舌と舌とを踊る蛇のように絡ませあい、白い宝石のような歯の一つ一つをなぞり、楽園の果実のように甘酸っぱい涎を舐めとって飲み下す。
ぐちゅぐちゅ、ぬちゅぬちゅ、と絶え間ない水音が頭蓋の中で反響を繰り返し、脳が煮えるような快楽が沸る。
「ふぁっ、あ゛ー……っ♡♡ んっ、はぁ、はあっ……♡♡」
息をすることも忘れるような長い長い接吻が終わり、二人の唇がようやく離れる。
両者の口先をねっとりとした銀の橋のように繋いでいた唾液が、灯りを照り返しながら滴り落ちてふつり、と切れる。
荒い息を吐きながらミリアはカイラスを見上げている。
その小さな口からはしたなくも曝け出された舌に、何か奇妙な光が宿っているのを彼は見てとった。
それは古い古い神話の時代の呪術だった。
施された者の、条件を満たした者に対する絶対的な隷属を証明する呪術的契約。
ハイエルフの体に彫り込める
つまり、これはミリアウェルが自分で自分のために──シルヴァノールの男の永遠の奴隷であり、所有物であり、恋人であることを示すための証だった。
「さぁ……貴方様、いえ、陛下。どうぞ御心のままに……」
囁かれる声は蜜のように甘く、清水のように染み渡る。
カイラスは無言のまま、鷹揚に頷くと先ほども使った鍵を手に取った。
彼女の両手を前に縛っている二つの手枷、これらを繋ぐ錠を外す。
祭壇に縫い付けている鎖はそのままだが、手を下ろせるようになったことでその下の裸身をより視界に収めやすくなった。
ハイエルフの乙女の肢体は芸術そのものだった。
純白の滑らかな肌に無駄な肉など一片も存在しない、完全な均整と黄金律によって形作られた人の形。創世の神が二つ脚の生き物達の原型として手ずから
触れれば割れてしまいそうな陶磁器人形じみた脆くも儚い造形美と、幾千年を生きる神秘の大樹のような命の脈動を両立させる、それは余人が見ればただただ感嘆の息を漏らすことしかできない美の形であった。
……そして、その一切を
本来ならば拝謁することすら末代までの栄誉となるこの美の化身をひれ伏せさせ、跪かせる権利が、彼にはあるのだった。
「ん゛っ♡ ぁんっ♡」
ミリアが鼻にかかった甘い声をあげる。
カイラスが彼女の乳首を軽く弾いたのだ。
流麗な曲線を描く肋骨の上に乗るささやかな胸の膨らみは、母性の豊かさよりも乙女の清純さを何よりも強く想起させる。
純白の処女地とも形容したくなるなだらかな丘陵の先に実る乳首は初々しい桜色であり、可憐さの象徴とも言えた。
だがその幼気な実りは、惨たらしくも黄金色のピアスによって串刺しにされており、それによって根本から無理矢理に立ち上がらされて勃起状態を強制されていた。
それは見るものに痛ましさを感じさせる一方で、ある種の喜悦を覚えさせるものでもあった。
純情無垢を形にしたような可憐なものが蹂躙され、雄の目を喜ばせるための装飾を施されて晒しものにされるかのような───それは倫理的に忌避感を与えるものであるからこその、背徳の美があった。
「んんぅ゛っ♡♡ あ゛っ、はぁん……っ♡♡ おやめくださいっ♡♡ 乳首、とれてしまいますぅ……っ♡♡」
金具をチリチリと鳴らしながら、乳首のコリコリとした弾力と手応えを楽しむ。
ぴんっ、と指で弾けばそれに合わせてミリアが鳴くのはまるで楽器のようで実に愉快だった。
摘み上げてピアスごとキリキリと捻ってやると、目元を潤ませながら許しを請う。
その媚びるような声と視線が堪らなく愛らしく、カイラスは首枷から伸びる鎖をぐいっと掴み上げて強引に黙らせた。
「っ、っか……、かひゅ……っ♡♡ ご、ご寛如を……く、口ごたえしてもうしわけありません……っ♡ 」
へつらうような卑屈な声。だがその口元が品無く緩んでいることが目に見えてわかった。
貴い出自の生き物にはあまりに相応しくない、それはどうしようもない被虐の悦びだった。
そもそもこうして自らを蔵の中に閉じ込めて永遠の奴隷などと嘯いているのだからそんな娘だとは推して知るべきであったが。
そして鎖を手で掴んだときにカイラスは改めてそれがなんでできているかを理解して愕然とした。
鎖は
彼女の拘束具一式は全て王剣と同じ素材で作られていた。
千五百年の長きに渡って朽ちない素材などそうはないことはわかるが、よりにもよって国宝と同じもので、と彼は静かな苛立ちを覚えた。
製作者本人であればそんな好き勝手な使い方をして許されると思っているのか、と鍛治と冶金の祖に対してあまりに不遜な意見が浮かぶ。
そしてその不遜が彼には許されているのだ。金の手のゴルウェインは今や、彼の所有物である奴隷のミリアなのだから。
「さぁ……♡ さぁ、どうぞ……お気に障ったのでしたなら、いくらでも折檻なさってくださいませ……♡
陛下ご自身のお怒りで、私をたくさんお仕置きくださいませ……♡♡」
それは酷く挑発的で、カイラスの内にある情欲を煽るには余りあった。
下腹の奥から頭の天辺まで突き抜けるような熱感が彼を突き動かす。
彼はその場にミリアの体を突き飛ばすようにして押し倒した。
至上の織物のような白金色の髪が、絨毯のように祭壇の上に広がる。甘い香のような香りがあたりにふわりと漂った。
足首と太腿に金の枷を巻いた細い脚をくつろげさせるも、ミリアの股座には金と革の帯で作られた下着のようなものが穿かされていた。
下腹部あたりに付いている錠前を見ればそれが貞操帯という性器を戒めるための拘束具であることは一目瞭然だった。
手間をかけさせおって、と毒づきながらカイラスは鍵を使ってそれを脱がせた。
「ん゛っ♡♡ お゛っ♡♡ あぅっ、ん゛っおぉぉぉ……っ♡♡」
根の深い植物を引き抜く時のような手応えがあった。ミリアが下品な濁った嬌声をあげる。
貞操帯の内側には
永遠の輝きを保つ黄金がハイエルフの乙女の体液で塗れて、橙色の部屋灯りの中で艶かしく濡れ光った。
今までどれだけの間これを咥え込んでいたのか、貞操帯を外された少女の股間からは湯立つような淫らな香りが立ち上っていた。
過剰なまでに煮詰めた花蜜の壺を覗き込んでいるようだ。
沸々と沸るものを感じながら彼は、そもそも
「はい。えぇ、はい。もちろん、これはエルドラムのおちんぽを模して造らせていただきました♡
彼自身の亡き後もせめてその寵愛は私とっ、んん゛ぅ、ぉほぉぉおぉぉぉぉぉっっっ゛♡♡♡」
みなまでは聞かず、カイラスは躊躇なくミリアを犯した。
下履きを脱ぎ去ってまろびでた彼自身の魔羅はとっくに怒髪天を衝くがごとくに立ち上がり、赤黒く張り詰めた亀頭は漏れ出た先走りでべっとりと濡れていた。
苛立ちに任せて力づくでねじ込んだハイエルフの乙女の膣内、そこは少女というにはあまりに深く、奴隷というにはあまりに豊かに彼を迎え入れた。
常若に瑞々しい膣襞は、千と万の舌と指のように繊細に力強く彼の怒張を締め上げる。
それでいて一片の痛みさえ覚えないのは潤いに満ちた女蜜の所以だった。それは筆舌に尽くし難いほどの滑らかさで雄魔羅を包み込んで純粋な肉と肉の触れ合う快楽のみを伝えるものだった。
一瞬にして腰砕けになりそうな極上の名器である。
一体どれほどの深さがあるのか彼の陰茎は根元までぴったりと迎え入れられ、亀頭の先に感じる子宮口はこりこりとした心地よい弾力を伝えながら接吻のように吸い付いてくる。
引き抜けばぞりぞりぞりぞり、と膣肉と襞が雁首を逆向きになぞりあげる感触が背筋を震わせ、貫くときにはその狭隘さが肉をかき分ける手応えを心地よく感じさせる。
ほんの数度の抽送でカイラスは早くも睾丸の奥から精が湧き上がってくるのを感じていた。
「ん゛っ♡♡ あっ、あぁ゛っ、はぁっ♡♡ へいか、ゃっ、そんなっ、らんぼうになさらないで……っ♡♡」
瞳を潤ませながらの哀訴の声はこれ以上なく婀娜であった。
はらはらと目尻から溢れる涙も、悩ましく寄せられた眉根も、その表情の全てが暗に男を誘っているようだった。
掻き立てられる衝動に抗わぬままにカイラスはミリアの肢体をかき抱いた。
腕の中に収めればその体は細く小さく、華奢だった。だがそれと同時に決して壊れず朽ちぬこともわかる命の瑞々しさを感じられた。
肌は男のそれよりも幾分温度が低く、触れれば澄んだ泉に手を浸すような心地よさがあった。
じっとりと滲む汗は甘酸っぱく、肌の上で舌を這わせれば染み入るような塩の味がした。夏に舐める岩塩のかけらのようだった。
その腕に抱いた崇高なる生き物はその全てが余すことなく恵みの塊であった。
そしてこれを世界で唯一好きにする権利は、他ならぬ自分にだけあるのだとカイラスは奮い立った。
「っ゛♡♡♡ あ゛っ♡♡♡ せいしっ、へいかのお子種、私のなかにぃ……っ゛♡♡♡」
ぶつん、と堰が切れたかのようにカイラスは臨界を迎えた。
どくっ、どくっ、どぶるるる……っ!!と勢いよく始まった射精はいまだかつてない恍惚であった。
ぐつぐつに煮詰められた精液は粘ついた
さながら魂ごと吐き出しているかのような忘我の快楽に彼は腰を震わせた。
男の下では子種汁を注ぎ込まれた少女が同じように快感に身を委ねている。
細い脚は足枷と腿の枷の鎖を鳴らしながらぴんと伸びあがった。
贅肉などとは無縁のすっきりとした下腹に未熟ささえ感じさせる少女の細い腰。
その最奥をべったりと汚し尽くすかのように濃厚な白濁液が注ぎ込まれるが、乙女の宮はむしろそれこそが待ち望んでいたものであるかのように快く迎え入れて飲み干していくのだった。
「あっ……♡ すごい、陛下、なんという逞しいことでしょう……♡
こんなすばらしい殿方のおちんぽ様に可愛がられるなんて、私……貴方様のものになれて幸せにございます……♡♡」
うっとりとした表情でミリアがそう囁く。
彼女が言うように、カイラスの雄竿は一度精を放った直後だというのに早くも再びの勃起を見せ始めていた。
これほどに性欲が滾るのは彼の人生においていまだかつてないことだった。
腰の奥、睾丸の底から湧き上がってくるかのようなむらつく欲望が際限なくその陰茎を立ち上がらせる。
「さぁ……♡ さぁ、どうぞ、私のことは如何様にも♡
それは健気な恋慕と忠節か、或いは人界に堕ちた悠久の女の欲の故か。
どちらでも構わなかった。この美しいものを己の欲望で汚し尽くす征服感と優越感を味わうことが叶うのならば、幾らでも精を注ぎ込んでやろうと彼はそう思った。
一度ミリアの肉壺から己を引き抜いたカイラスは今度は彼女を四つん這いにして這わせた。
祭壇から伸びる鎖は少女の身に架せられたままだが、長さにはある程度の余裕があり体位を変えるくらいのことは可能だった。
「あ゛っ♡♡ おっ゛♡♡ はぁ、あぁんっ゛♡♡
もっとっ♡♡ もっとはげしくっ、はげしくおかしてくださいませぇ゛っ♡♡♡」
掲げさせた尻を鷲掴みにし、カイラスは再度ミリアの女洞を貫いた。
改めて串刺しにした雌肉はきゅっ♡きゅっ♡と恋人に縋り付くがごとく健気に、情熱的に彼を抱擁する。
そんな健気な雌を敢えて虐めるように弄ぶように、彼は力一杯腰を叩きつけた。
肉幹を扱きたてて雄の快楽を味わための自分本位で身勝手な抽送。
ぱんぱん、ぱんぱん、と少女の腰が男のそれに打ち据えられる拍打音が祭壇の上に響き渡る。
衝撃によってミリアの身に纏わりつく銀鎖がちゃりん、ちゃりんと音を奏でる。
四つ足に這わされながら首枷から垂れる鎖を揺らす様は奴隷というよりも犬という言葉が相応しいだろう。
「最初の二つ脚」と言われる貴人をそのようなものに貶める行為はこれ以上ない興奮をカイラスに味合わせてくれた。
「あっ、あっ、ぁ゛♡♡♡ はぁ゛っ、ぉん……っ♡♡♡」
艶めかしい喘ぎを耳に心地よく感じながら、後ろから抱きついて乙女の体を味わい尽くす。
笹の葉めいた細長い耳は先端まで赤く染まり、その耳朶を甘噛みしてやれば活きの良い魚のようにぴくぴくと震えた。
長い髪をかき分けると白金の髪、白い肌、金の首枷がうなじから首筋にかけて眩い色香を放っている。堪らず舌で舐め上げるとえも言えぬ芳しさが男の鼻腔を楽しませる。
体の前に腕を回して敏感なところを弄る。薄く滑らかな乳房を掌で味わうようになぞって、先ほども甚振った乳首こりこりと抓りあげる。
股座にまで手を伸ばして姫芽を摘むと、もう驚くことでもないが金のピアスが肉豆と共に指に触れた。
面白がって上と下の双方を弾き、扱き、捻って挫る。
そうすれば連動した玩具のようにミリアの
「んんぁ゛っ♡♡ はぁぅっ、あ゛、あっ、ぉ゛あぁぁーーーーっっ♡♡♡」
ミリアが背を逸らして甲高く鳴いた。
しなやかに反りかえる背中の隆起、舞い靡く白金の髪、金鉢を鳴らしたかのように高く響く声。
その全てが生きた芸術のようだった。そしてその美しさに打ち震えながらカイラスは精を放っていた。
永久の青さを宿した柳腰、その細い体に子種をたっぷりと吐き出す愉悦は筆舌に尽くし難い。
小さくも心地よい弾力を兼ね備えた尻を鷲掴みにしながら白濁を最後の一滴まで注ぎ込む。
乙女の媚肉はまるでもてなすかのように彼の魔羅を締め付け、心地よい射精感を長引かせてくれる。
「はぁ、っ、はぁ……っ♡♡ へいか……♡ 陛下もお疲れでしょう、次は、はぁっ♡ 私から……ご奉仕差し上げますね……♡♡」
その余韻をたっぷりと楽しんでから、ミリアがそう言葉を紡ぐ。
気をよくしたカイラスは今度は自身が祭壇の上に仰向けに寝そべった。
そして未だに萎えることを知らぬ彼の愚息を跨ぐようにハイエルフの乙女が腰を下ろしてきた。
ゆっくりと、見せつけるように。秘すべき女の園を曝け出すような品の無い大股開き。
二度に渡って男の欲望で嬲られた筈の彼女の雌孔は、そのような陵辱などなかったかのように既にピタリと閉じて一見して貞淑な様を保っている。
だがよく見てみれば微かな内側からの綻びにむせかえるほどの甘ったるい女蜜が薫り立ち、たっぷりと注ぎ込まれた雄の白濁液がぽたぽたとその滴を溢していた。
自分の陰茎が
「んっ♡ はっ、ぁっ♡ ぁ゛っ、はぁっ♡♡ あんっ♡ いかがですかっ、へいかっ♡♡ 私のおまんこご奉仕っ♡ 楽しんでいただけますかっ♡♡」
そのままあっさりと陰茎はミリアの胎の中に飲み込まれた。それは少女からの健気な抱擁のようにも蛇が鼠を丸呑みするようにも見えた。
ぱくり、と股座に咥え込んだ雄の肉棒を乙女はあらゆる手管を使ってもてなした。
下品ながに股のままへこへこと行われる屈伸運動はその実、入り口から最奥までを深く長く男に擦り付ける巧みなストロークだった。
亀頭に鈴口、雁首に裏筋にと雄の竿の上から下までを扱き上げられながら丸洗いされるようなそれはなんとも苛烈で、そして極上の甘い呵責だった。
かと思えば彼の下腹部に腰を下ろしたまま、自らの腰をまるで波打つかのように大きく、そして巧みに捻る。
その動きは女洞の奥と子宮口で亀頭をしっぽりと握り込んだまま、ゆるゆると全体を撫で回されているような快楽をもたらした。
上下に激しく扱き立てられるような激しい快楽ではなく、火のついた快感を冷まさず昂らせ続けることに重点を置いた腰奉仕。
カイラスは自身の睾丸が熱く煮崩れていくような錯覚さえ感じていた。ぐずぐずに蕩け切ったそれは直接煮詰め切ったような特濃白濁子種汁になって乙女の胎に撒かれる時を心待ちにしているのだ。
「ぁんっ♡♡ ぁ゛っ、は、あ゛ぁっ♡♡ すごいっ♡ 陛下のおちんぽ様すごいっ♡♡
太くて、かたくて、たくましくて……っ♡ 私、奴隷になっちゃうっ♡ おちんぽ様の奴隷になっちゃうっ♡♡」
譫言のように嬌声を上げながら、カイラスの腹の上でハイエルフの少女が踊る。
二の腕に手首、太腿と足首に嵌められた金の枷はさながら踊り子の衣装だ。
彼女が身をくねらせるたびに鎖が揺れて、しゃんっ、しゃんっ、と涼やかな音が鳴る。
その律動はそれ自体がある種の神楽のようだった。何かに祈り、奉り納めるための神事としての舞。
雄竿に騎乗位で腰を振り立てるミリアは星の瞳からはらはらと快楽の涙を溢し、口の端からはだらしなく涎の滴を零していた。
同じように垂れ落ちる白金の髪は二人の体の上から覆い被さるようにして互いを包み込んでいた。
髪の
カイラスは手を伸ばして一房それを手に取った。恐ろしいほどに滑らかな指通りは漆塗りの絹糸のようで、これほどに美しい髪は人の女では保たせられまいと思うほどだった。
墓所の灯りを透かした白金はさながら陽光の煌めき。手で触れられるところにある日の恵みであった。
「はぁ゛っ♡ ぁっ、陛下っ♡♡ 私のご主人様♡♡ 如何様にも、お好きな様になさってくださいっ♡♡
貴方様の思うままに私で楽しみ、慰みものにしてくださいませっ♡♡」
恋々とした情欲の火を灯すようにミリアがねだる。己を曝け出すように、明け渡すようにしながらもそれはどこまでも深い彼女自身の望みだった。
愛されたがっているのだ、愛してやるのが道理ではないか。それが王としての器量というものではないのか。
そんな責任転嫁めいた思考のままカイラスは改めてハイエルフの少女を貪った。
乙女の踊りのような騎乗位を楽しんだ後は再度這いつくばらせて肛門にも剛直を捩じ込んだ。
お許しください♡私の不浄の穴、その様に太い物でほじられたらガバガバケツマンコになってしまいます♡などと
ミリアは尻の穴まで極上の
それでいて本来はものを入れる場所ではないと抗議して来るような抵抗感があり、それを踏み躙るかのように掘り進めてほじくり返すのは堪らない征服感があった。
そしてそうやって排泄孔を犯されて快楽に喘ぎ、あまつさえ絶頂の善がり声を上げるハイエルフの乙女の滑稽で淫らな様はこれ以上ない見ものであった。
或いは前後の穴を犯すことに疲れたなら、彼女に口で奉仕させることもした。
二人分の白濁しきった体液でドロドロに濡れた陰茎を、ミリアはこの上なく丁寧な舌使いで清めていく。
亀頭を口に含み、鈴口を吸い上げ、雁首を舐めまわし、裏筋を舌先でなぞって、竿を唇で摩る。
そのように真心に満ちた口掃除を受けては堪らず、カイラスはそのまま更なる射精欲が煽られるのを感じた。
それに気を良くした少女は熱は媚びるような上目遣いで熱を込めた奉仕をする。
雄幹嫋やかな指先を添えて撫で摩り、睾丸まで愛情を込めた按摩を施す。
金玉の奥底から精子を汲み上げるような手捌きはまさに極上の
金の手のゴルウェイン、金銀と鋼を手繰るあらゆる職人の始祖がその手を己の陰茎に奉仕して精液を搾り取るために使っているという事実は、神話を私物化しているような圧倒的優越感を男に与えてくれる。
込み上げてきたものを、彼は彼女の喉奥にまで突き込んで解き放った。
幼気に見える美しい少女の頭を鷲掴みにし、怒張した竿で喉を窒息させながら吐精する。
その暴力的な振る舞いにもミリアは健気に、或いは楽しげに応じ、甲斐甲斐しく唇から喉奥までを使って心地よい射精を男に堪能させた。
そのとき跳ね散った精液が頬に付いたのを見てカイラスは今度は精子を少女の体に塗りたくろうという発想に至った。
神の手によって彫り出されたその美しい
大理石のような白さに春の花のような紅を浮かべる乙女の相貌を、黄ばみさえ見える白濁した雄汁で化粧する。
犬が小便の匂いで縄張りを主張するかのように、精臭でカイラスはこの娘の所有権を刻みつけた。
ミリアは抵抗するどころかうっとりとした表情でその汚辱を受け入れる。
何度も、すんすん♡と鼻を鳴らして雄の香りを堪能しては細い背筋と肩を震わせてさえいる。
かけられて感じているのかと揶揄すれば、恋する乙女そのもののの歓喜と恥じらいに満ちた表情で「はい♡」と答えられるのだからカイラスとしては堪らないものがあった。
求めるがままに求められるがままに、彼は顔以外にも全身に精液かけて塗りたくってやった。
あまつさえ長く美しい髪を陰茎に巻き付けて、ちり紙代わりにもしてやる。
それを見て少女は一層少女らしい恋慕と奴隷めいた卑屈な陶酔にその身を捩らせるのであった。
「へいか、おしたいしております♡ へいか♡♡」
そうやってカイラスは飽き果てるまで、精魂尽き果てるまでミリアという少女を嬲りものにし味わい尽くした。
絹の滑らかさと金の艶やかさを備える極上の髪を嗅いで撫でて梳いて、陶磁器の繊細さに命そのもののような瑞々しさを宿した肌を撫でて舐めて汚した。
股座の穴は前も後も搾り取られるような締め付けと飲み込まれるような深みを兼ね備え、絶え間なく溢れ出る甘い女蜜の香りによって迎えられた雄は幾度となく天上の快楽を味わった。
「ひゅー……っ、ひゅっ……♡♡♡ あぁん……っ、へいか、へいか……♡♡♡ すてきでございます……っ♡♡♡」
祭壇の上は酷い有様だった。男と女の汗と体液、精液と愛液の混ざった性臭で正気のままでは鼻が曲がっていただろう。
一体自分の体はどうしてしまったのだろうか、と不安になるほど吐き出した精液で美しい少女がくまなく汚され尽くして、しどけなく横になっている。
ミリアは激しい絶頂と快楽の余韻に体中を痙攣させながら、なおも健気にカイラスを称えるようにうっとりとした表情を浮かべている。
「あぁ……♡♡ あぁ、ですが、ざんねんです……。そろそろ陛下もお帰りにならなくては、これ以上は人の身には障ります故……♡」
そう言われて、彼は視界が僅かに暗くなり右に左にと揺れるような感覚を覚え始めていた。
立ちくらみのようなものだ。考えれば当然のことであるが、真の不死者であるハイエルフに定命の人の身で付き合い続けることは当然危険を伴う。
まるで彼女に
「えぇ、はい……♡ 名残惜しいのは、分かれ難いのは私も同じこと。ですがご安心ください、私は貴方様をお待ち申し上げております。
はい、ですから鍵をかけて、しまってください。私を、貴方様の大切な宝として……♡」
いっそのことここで一生を終えるのも悪くないのではないかと考え始めていたカイラスはミリアの言葉で背筋を正した。
そうだった、彼にはシルヴァノールの国王としての責務があり、この国を背負って立つ義務があるのだ。
彼女に語りかけられたと同時にそう自然と思った彼は躊躇いの残滓を振り切るように頷いた。
祭壇の端に転がっていた拘束具を手に取る。
ミリアは何も言わず、まぐわいの時のようにしどけなく左右の脚を開いて彼を待っていた。
前後の穴にゆっくりと厳かに張型を押し当て、奥までしっかりと挿入する。
あん……っ♡と艶かしい吐息を漏らして少女が身を震わせる。
赤ん坊のおしめを変えてやるように貞操帯を履かせた後は鍵でもって施錠する。
かしん、という軽い音と主に封じられる少女の股座。その貞操を再び開く権利は彼か、彼の跡を継ぐ王以外には存在しない。
もう一組は少女の顔を戒めていた革帯一式だ。
ミリアはその場に膝立ちで跪き、カイラスにされるがままに身を任せる。
星の輝きを灯した夜明け前の空のような群青の瞳がそっと伏せられ、彼は名残惜しくもそれを塞ぐように目隠しを被せた。
彼女がもう一度その眼を開く時、そこにいるのは改めて自分でありたいとカイラスは強く思った。
「───ええ、はい。どうか、良き王と御成ください。
悠久に、永久に、私は貴方様のもの。エルドラムの末裔、シルヴァノールの子。その名と魂が継がれ続ける限り、私たちの愛は永遠なのです────」
最後に口を塞ぐ直前、ミリアウェル・ヴィオレッサ・ゴルウェインはそう口にした。
それはまさに始祖の時代から王達を見守り、見送ってきた生き証人から下される託宣であり、そして一人の恋人から恋人へと贈られる激励だった。
万感の思いに胸を満たされながら、金の張型の付いた口枷を少女の口内へと捩じ込む。
小さな口と細い喉には拷問じみた太さと長さの擬似男根が飲み込まれていく。
やがてすっかりそれが咥え込まれてしまうと、カイラスは口の端から下がる帯を後頭部にまで回してきっちりと閉めた。
その愛の言葉に封をして、大切にしまうように。
そしてその上から全体を覆うように、馬の頭絡のように帯をかけて後頭部の錠を閉める。
そして祈るように組み合わされた少女のほっそりとした手。
手首の金枷には他のものにはない錠が付いており、これを施錠すれば、あとは彼がここを訪れたときのままのミリアの姿となった。
「…………っ♡」
ふーっ♡ ふー……っ♡と快楽の余韻に浸るような荒い少女の鼻息だけが静かな墓所に響いている。
カイラスは改めて手の中にある小さな鍵に視線を落とした。
錠が付いているのは先の三箇所だけであり、彼女を祭壇の上に縫い留めている九本の鎖と枷は外せない。
そしてそれはここで永遠にシルヴァノールの王に身を捧げると決めた彼女の献身……いや、永遠の恋と愛の誓約の形だった。
いっそのこと連れ出して王城の玉座に侍らせることはできないだろうかなどと考えもしたが、それは叶わないことだった。
だが、悲観することはない。国王が王家の墓所を詣でること自体は不自然なことではない。
これから先も彼が
……そう、彼が王である限り、である。
逆に言えば彼女の恋人にして主人であり続けたいのであれば王でなければならないし、大前提としてこの国自体も守らねばならないだろう。
他国に侵略されてこの墓所と宝物殿が略奪される様など想像するだけで怖気が走る。
彼の胸中には国王の重積を担うことへの恐れも怯懦も最早存在しなかった。
そのような瑣末なものよりも、もっとずっと優先すべきもの、守るべきものを見出したからである。
カイラスはふらつきを覚えながらもしっかりとした足取りで立ち上がり、祭壇を降りていった。
その後ろで宝物殿の明かりが順次かき消えていき、後には重く包み込むような静寂が深い闇とともに戻ってきた。