【完結】もし衛宮士郎がメディアリリィを拾ったらというお話 作:ふりかけ@木三中
キャスターとのとろけるような情事の後、服を着替えながらほてった体を冷ます。
「シロウ様、貸していただいた服をお返しします。どうも、ありがとうございました」
キャスターがペコリとお辞儀をして、綺麗に畳んだシャツを俺に差し出てきた。
サーヴァントは自らの装備や衣服を魔力で編むことができると言う話の通り、今のキャスターはドレスのような衣装を身に纏っていた。
もともと、俺がキャスターを発見した時に身につけていた黒っぽいローブとは対照的な純白のドレス。
長手袋とソックスはアシンメトリーな薄紫と黄緑色のものを纏い、首周りには金のプレートの装飾品が飾り付けられている。
その様はまるで神聖な巫女のような清貧さがあり、同時にどこかのお姫様のような鮮やかさがある。
ブカブカのシャツを着ていた時も目のやり場にこまったが、なんだか俺の家という日常風景の中にドレスを着た少女がいるのもすごい違和感だ。余裕がありそうなら、服屋でキャスターに似合いそうな現代の服なんかを買ったほうがいいかもしれないが……今はそんなことよりも、ふかぶかとキャスターの前に座り精進な顔をして対面する。
「すまん!キャスター!」
謝罪の理由は先ほどの痴態だ、いくら魔力供給のために性行為が必要だからと言って胸を好き放題揉んだりと調子に乗った行動をしすぎた。俺にとっても初体験だったからとはいえ、あんなにも歯止めが効かなくなるとは……自分で自分の理性の脆さに情けなくなる。
「もう、シロウ様!女の子とエッチして謝るだなんて逆に失礼ですよ!」
ぷんぷんと言った感じでキャスターがこちらを睨む。
うぅ……確かにそれもそうなのだが……
「……責任は取る、キャスターのことをこれから絶対大事にするから……」
「っ……………!」
俺の言葉に何故かキャスターは動揺したように瞳を揺らした。
だが、それも一瞬ですぐに、へらりとした笑みを浮かべる。
「シロウ様ったらお固いですよ!シロウ様は私を助けてくださっただけなのですから責任も何もありません!」
む……確かに、今のセリフはまるで恋人気取りのようであったか……なし崩し的に一度抱かれたくらいでこんなことを言われてもキャスターにとっては迷惑なのかもしれない。
だが、それでも俺の考えは変わらない女の子を傷物にした責任を取るためにもこの聖杯戦争において必ずキャスターを守ってみせよう。
「それで……どうだ?体調の方は?」
「万全……とまではいきませんが、ある程度の回復はしました激しい戦闘を行ったりしなければ消滅の心配もないでしょう」
とりあえずはひと段落……と言ったところだが、これは戦争なのだから不意に戦闘が起こる可能性もあるしやはり魔力は必要だ。
人がモノを食べなくては動けないように
車を動かすのにガソリンがいるように
魔術の行使には魔力が必要なのだから。
これから戦っていくのなら魔力の問題は解決しなくてはならない。
「新しいサーヴァントを召喚すれば、令呪の問題も無くなってキャスターと契約できるんだけどそれにしたって魔力はいるよな」
「はい、サーヴァント2体分ともなればかなりの魔力消費量になるでしょうし、私は魔術師のクラスですからね、何をするにも魔力は必要です」
さて、とは言っても俺の魔力量がいきなり増えるなんてことはあり得ない。
どうしたものか……
「……大きく分けて二つの案があります」
途方に暮れる俺に対して、キャスターはすでに二つも案を練っていたらしい。それだけ魔術に造詣が深いということなのだろう。
「まずプランAは土地から魔力を得るという方法です」
「土地から魔力……」
土地ごとに霊脈などが走っていて、この冬木の地は特に特別な霊地なのだと切嗣から聞いたことがある。そこから魔力を吸い上げるというわけか。
「この案のメリットは誰にも迷惑をかけないという点ですね。魔力を得る対象は土地ですから、平和的にコトを進められます。問題としては魔力を集めるための下準備などが必要ですし、この地はそれなりに潤沢な霊脈があるようですが、それを加味してもサーヴァントの魔力消費量を考えると得られる魔力はトントンと言ったところでしょう」
穏便な案だが、得られるリターンも少ないと言うことか……戦力の増強を図らねばならないのに現状維持で精一杯というのはよろしくないよな。
「それで……言い方的にもっと効率の良い方法もあるんだろう?」
「はい、もう一つのプランとして霊脈だけでなくこの街の人々から魔力……正確には生命力を吸い取るのです」
生命力を……確かに街中の人々から徴収するとなれば、魔力の無い一般人相手でもそれなりのエネルギーが集まるのだろう。
キャスターと他のサーヴァントの戦力差は未だ分からないが、『魔術師』というクラスの性能を考えるにやはり扱える魔力は多いに越したことはないのも確かだが……
その問いに対する答えは決まっている。
「生命力を吸うって……悪いけど、それは容認できない。そもそも街を守る為に戦おうってのに人を傷つけたんじゃ本末転倒だ」
強い口調でそう返す。
「……やはり、シロウ様はそう答えますよね」
せっかく考えてくれた案を否定するのもいかがなものかと思ったが、キャスターは特に気にした素振りも見せない。髪をかきあげて少し言葉を選ぶようにしながら口を開く。
「そんなにいけませんかね、もちろん大量に吸えば命に関わります。ですが僅かな量だけを吸い取れば少し疲労を感じる程度で済むのですよ。当然のこととして効率は落ちますが……」
命に関わらないレベルに抑えて、生命力を吸うと……だが、それも結局無関係な人々を巻き込んでることに変わりはない。…………やはり、ダメだ。そんなことはできないとキャスターに返そうとした時だった、俺が口を開くのを待っていたかのようなタイミングで彼女も言葉を発した。
「……できないと言うのならば、また10年前のような厄災がまた起きてしまうかも知れませんね」
「えっ……?」
ポツリと呟かれた10年前の厄災というワード
その言葉に頭が真っ白になる。
「聖杯戦争はこの地にて何度か行われています。そして前回の開催は10年前……詳しい事情は流石に分かりませんがかつてこの地を焼き払ったという大火災とおそらく関係があるのでしょうね」
「あの火災が……聖杯戦争と?」
「規模からして聖杯が暴走したか、なにか歪な願いでも捧げたか……何にせよ、此度の戦争でも同じようなことが起こる可能性は十分にあるでしょうね」
あの大火災と同じような被害がまた……?
くらりと目眩を覚えながら、キャスターに問い詰めるように口を開く。
「キャスターなら聖杯を使っても問題ないのか?」
「えぇ、魔術の腕には覚えがあります。奇跡の杯などと謳ってはいても結局は魔道具なわけですから、わたしならキチンと扱えるはずです」
……聖杯とやらの詳細は分からない、だが悪意あるものや聖杯の仕組みをよく理解していない者の手に渡れば大惨事が起こる可能性があるのだという。
それを防ぐには俺たちが勝つ、あるいは信頼できる相手を勝たせることだ。
そのためにはどちらにせよ力はいる、邪魔者を倒せるだけの力が。
そうしてその1番手っ取り早い方法は、街の人々から生命力を奪うという方法だ。
「他人を傷つけることにそんなに抵抗がありますか?」
「当たり前だろ、無理やり他人の生命力を吸い取るだなんてそんな……」
黙り込んだ俺にキャスターはスッと顔を近づけ目を細めてこちらを見やる。
「けど、私のことは抱いてくださったじゃないですか」
「いや、あれはそのままだとキャスターが消えちゃうから仕方なく……」
「えぇ、仕方なくです。それと同じようにこの街の安全を守る為に仕方なく魂喰いを行うのです」
仕方なく……確かにこの街を確実に守る方法としては合理的な選択なのかも知れない。
「シロウ様……♡」
囁くようなキャスターの言葉、暖かな吐息と甘い声音が俺の耳をくすぐる。
「先ほど味わった私の膣……気持ちよかったですよね?」
言葉と同時にキャスターはチラリと服の裾を捲って見せる。
その秘所からは先ほどの情事による白濁とした液がとろりと垂れている。
「あえて、苦しい道を選ぶ必要なんて無いでしょう❤️得られる結果が同じなら楽な道を選んだ方がいいに決まっています❤️」
白く細い指で自らの腹をキャスターがさすってみせる。
その仕草に思わず先ほど味わった柔らかくもギュウギュウと締めつけてる膣の感覚が脳裏によぎった。
「けど、やっぱり、それは……」
言い淀む俺にキャスターはバッと手を広げ、両の手を天に向ける。
「選ぶのはあくまでもマスターであるシロウ様です、私はそれに従います。さぁ選ぶべき道は2つ……」
そこで一旦、言葉を切ってキャスターが俺のことをスッと見据えてくいっと右の手のひらをあげる。
「1つは街の霊脈からなんとかなけなしの魔力を集めて戦う道です、街の人々に被害を出さないというのは素晴らしいお考えですが、はっきり言って苦しく険しい道になるでしょうね……他のサーヴァント達に勝てるか分かりませんし、ひょっとしたら……道半ばで死んでしまうかも知れません」
死ぬ……これは戦争なのだからもちろんその危険はある。
それ自体は承知の上だが、死んでしまえば結局、街の安全を守ることもできない。
「もう1つは街の人々から魔力を得る方法です。魔力があれば私の魔術も十全に使用し、新たに召喚したサーヴァントの運用も楽になるでしょう。シロウ様にご負担をかけることもありません。」
ニコリと微笑みながら今度は左の手のひらを誘うように俺に示してみせる。
それは確かに随分と楽な話だ、街の人々から魔力を得るという話だってそれで死人が出るわけじゃ無い。
「さぁ、マスター……ご決断を」
左と右、両の手のひらをキャスターは俺に向けて問いかけるようにじっとこちらを見据える。
そんな彼女の青い瞳を見つめていると、グラグラと足元が揺れるような錯覚に襲われる。
どちらの道を歩むべきか、この決断によって今後の運命は大きく変わるだろう。
そうして俺は……
選択肢システム入れてみたんですけどちゃんと機能していますかね?