デカパイ高級アンドロイドテスター企画inショタ 作:すばみずる
新学期が始まり一週間ほどが経つ。九月に入ったとはいえ残暑は厳しく、教室の窓から見える空は青く陽光も容赦がない。
教室は三時間目と四時間目の間の中休みで、次の授業の準備をする者や、友達とふざけ合う者たちの喧騒に包まれていた。
自分の席に座っていたケンタも次の授業の準備をしていたが、ズボンのポケットから微かな振動を感じ取った。
周囲の目を盗み机の下でそっと取り出したのは、黒いボディの薄型スマートフォンだった。
これもまた、ケンタがモニターテストで獲得した莫大なポイントの一部を消費して手に入れた報酬の一つだった。
小学生が持ち歩くにはやや高級志向なデザインのスマートフォンだが、本来の仕様であればこの端末は専属のアンドロイドとの直通連絡や簡易的な体調管理データの共有ができる程度の、ただの専用通信機に過ぎない。
アンドロイドへ指示を下す簡易なリモコンという位置づけだったはずのそれは、プラティアの手によって徹底的な魔改造が施されていた。高級モデルである彼女の演算能力と企業へのアクセス権限をフルに悪用し、内部のプログラムを『適切な仕様にした』と彼女は表現した。
結果として、この端末はプラティアも使用しているアンドロイド専用の回線に直通しており、一般的なスマートフォンとまったく遜色のない、一部ではそれ以上の通信速度と情報処理能力を持つゲテモノ端末へと変貌を遂げていた。
ケンタは周囲のクラスメートたちが自分に注目していないことを確認し、そっと画面をタップしてロックを解除した。
授業の合間の短い休み時間に送られてくるメッセージの送り主など一人しか思い浮かばない。どうせまた、プラティアからの過保護なメールだろう。ケンタは少しだけ溜め息を漏らす。
新学期が始まってからというもの、彼女からは毎日のようにメッセージが届くようになった。
『学校は退屈ではありませんか』『お昼休みの時間は私のおっぱいが恋しくなって寂しくありませんか』といった、ケンタの精神状態を心配する体裁を取った、実のところ彼女自身が寂しくてたまらないという内容ばかりだ。
ひどい時には『授業中にえっちなことを思い出して、おちんぽが勃ってしまっていませんか。もし我慢できなければ、保健室のふりをして席を立っていただければすぐにお迎えにあがりますよ』というとんでもない提案まで送られてくる始末である。
あれで意外と心配性というか、僕から離れるのが嫌で仕方ないんだから。ケンタは呆れ半分、嬉しさ半分に染まりつつある口角をごまかしながらメッセージアプリを開いた。
「……あれ」
通知の欄に表示されていたアイコンは見慣れたプラティアの白銀の髪の一房を映したものではなく、ピンク色のリボンをつけた可愛らしい少女の横顔だった。送信者名にはパルフェとしっかり書かれている。
あの日、ケンタはカンストしたポイントを消化していくために、プラティアの永年利用ライセンス等々だけでなく、双子のエステティシャンアンドロイドであるパルフェとショコラを正式に購入して自らの所有物としていた。あの爆乳の双子はすでにケンタの専属メイドとして売約済みとなっている。
だが、問題があった。ケンタの家は確かに広めのマンションで、両親は仕事で飛び回っており、滅多に帰ってこない。とはいえ、帰って来た時に巨大な胸を持った見知らぬアンドロイドが三体もひしめき合っている状況など、ケンタには到底ごまかせる自信がなかったのだ。
プラティア一体であれば長期のモニターテストだと事実を言い張れるが、さすがに三体となると言い訳が苦しい。
それを危惧したケンタの要望により、パルフェとショコラは自宅での受け入れ準備が整うまでの間、リフレリリースへのレンタル出向という形でそのまま施設に住み込みで働いてもらっている状態になっている。細かい契約の変更や施設側との交渉は、すべてプラティアが手を回して処理してくれたらしい。
ケンタの所有物となった以上、彼女たちは施設のアンドロイドとしての使役から解放されている。これまでの無休にして無給の就業形態とは異なり、人間と同じような決まった勤務時間や休日が設定され、施設側から給金まで支払われているという話だった。
ケンタは机の下でそのまま、パルフェからのメッセージ本文に目を落とした。
『ケンタ様、学校お疲れ様です♡ 今日から私たちも、プラティア様が手配してくれた新しい勤務形態でお仕事をしているのですが、実は少し退屈しているんです』
文面からは、元気なパルフェが頬を膨らませて不満を口にしている様子が容易に想像できた。
ケンタという主が決まった以上、パルフェとショコラはもう他の人間の客相手に密着を伴うエステの施術は一切行わないと宣言してくれた。彼女たちのマッサージ技術とその柔らかな身体は、すべてケンタ一人のためだけに向けてくれている。
そのため、施設での彼女たちの仕事は軽い裏方の業務や他のアンドロイドたちの技術指導といった、直接客と触れ合わないものに限られていた。奉仕を提供することに至上の喜びを感じる彼女たちにとって、主と触れ合えない日常はひどく退屈で味気ないものなのだろう。ケンタにも想像がつく。
『ケンタ様に次にお会いできるのはいつになりますか? いつでもリフレリリースに来ていただいて構いませんし、もしご迷惑でなければ私たちがケンタ様のおうちまで伺いますよ♡ プラティア様に内緒で、こっそり三人でえっちなマッサージでも構いません♡』
あからさまな誘惑とおねだりのメッセージにケンタは顔を少しだけ熱くしながら、周囲に誰も近づいてこないことを確認し、フリック入力で素早く返信を打った。
『ごめんね、もう少しだけ待ってて。親がいつ帰ってくるか分からないから、今すぐうちに来てもらうのは難しいんだ。落ち着いたら必ず会いにいくから』
送信ボタンを押し、ケンタはふうっと息を吐いた。
本当は今すぐにでもあの双子の巨大な胸の谷間に顔を埋めて、耳の全てを舐め回されながら甘やかされたい。だが実生活という問題はなかなかケンタの思うようにはいかせてくれない。
端末をポケットにしまおうとした数秒後。ぶるっと端末が短く震え、パルフェからの返信が届いたのを知らせる。
画面に表示されたのは文字ではなく、一枚の画像ファイルを示すアイコンだった。
ケンタが何気なくその画像をタップした瞬間。彼の呼吸が、ヒュッと喉の奥で不自然に止まった。
画像に顔は写っていない。だが画面の左右の端にピンク色のリボンと水色のリボンの端っこが微かに見切れていることで、それが誰の身体を映したものであるかは一目瞭然だった。
パルフェとショコラが、お互いの巨大な胸を、衣服を一切身につけていない全裸の状態で、真正面から力強く押し付け合っている写真だった。
彼女たちの小柄な骨格には不釣り合いな巨大な二組の柔肉が画面の中央でぶつかり合い、ひしゃげ、圧縮されて、深く暗い底なしの谷間を形成している。
人工肌とは思えない生々しい質感。汗ばんだように湿った肌のテカリ。そして柔肉が押し潰されることで生じた深い皺と陰影。画面の端から端まで、ただひたすらにおっぱいだけがひしめき合う淫らすぎる構図だった。
「っ……♡」
ケンタはゴクリと大きな生唾を飲み込み、画面から目を離せなくなってしまった。
ただの画像だというのに、あのスパ施設のベッドの上で左右から耳を舐められながらこの巨大な肉塊に挟まれて搾り取られた時の強烈な快感が全身の毛穴から噴き出るように蘇ってくる。ズボンの下で肉棒が熱く脈打ち始めたのが分かった。
こんな画像を学校で見ているなんて。すぐにしまわなきゃいけない。そう思いながらも、その恐ろしい引力に魂を吸い寄せられるように画面を食い入るように見つめ続けてしまう。
「おっ、ケンタ。何見てんだよ」
「うわっ!?」
突然、真横から声が掛けられた。ビクッと肩を震わせ、ケンタは慌ててスマートフォンの画面を伏せようとするが、声の主であるクラスメートのトウジはケンタが隠そうとする動きよりも一瞬早く、ケンタの肩越しにその画面を覗き込んでしまっていた。
終わった。ケンタの顔面から一気に血の気が引く。
学校にスマートフォンを持ち込んでいること自体が校則違反だというのに、よりにもよって全裸の巨大な胸が画面いっぱいに表示されているところを見られてしまったのだ。変態扱いされるどころか、先生にチクられたら親を呼ばれて大問題に発展してしまう。
なんとか言い訳の言葉を探して口をパクパクさせているケンタに対し、トウジは顔に手をやって呻く。
「うおっ……マジかお前」
目を丸くして驚愕の声を漏らす。だがその顔には軽蔑や嫌悪の色はなく、むしろ何かとんでもない宝物でも見つけたかのような、興奮とニヤつきが浮かんでいた。
「……ッ。しっ、声でかいよ」
ケンタはその反応に勝機を見て、慌てて人差し指を唇に当て周囲のクラスメートたちがこちらに気付いていないかを確認した。幸い、他の連中は自分たちの会話や遊びに夢中で、教室の隅にいる二人には関心がないようだった。
トウジは自分の口を手で塞ぎ、声を潜めながらもケンタの肩をバンバンと乱暴に叩いた。
「悪りぃ。でもお前さぁ……あ、あれか。休み前にタケシが言ってたやつ、興味あったのかよ」
「えっ」
タケシ──ケンタと同じマンションにも住む、また別のクラスメートが言っていたやつ。ケンタの記憶の糸が夏休みに入る直前の男子同士の下世話な会話の記憶へと繋がった。
あれがこのクラスで蔓延させたエロい話題といえば、あれしかない。
「あー……えっと、駅前、の」
「そうそう。アンドロイド風俗。その手の画像だろ、さっきの」
トウジはニヤニヤと笑いながら、周囲にバレないように気遣うようなひそひそ声でいじってきた。
「ありえねえくらい胸がデカい女の写真が見放題ってあいつ自慢してたもんな。お前普段は大人しいくせに興味あるじゃんか」
トウジはケンタのスマートフォンに表示されていた画像が、ネットの海から拾ってきたどこかの風俗店のキャストの宣伝用写真だと信じ込んでいるのだ。ケンタの個人的な繋がりから送られてきた、プライベートな自撮り画像だとは夢にも思っていない。
その勘違いにケンタは安堵の息を長く吐き、適当に話を合わせることにした。
「ま、まぁ……そんなところ。タケシの話聞いてたら、ちょっと気になっちゃってさ」
「へへっ、男なら当然だよな。俺もぶっちゃけ、ちょっと気になってたんだよ」
トウジは仲間を見つけた嬉しさからか、さらに身を乗り出してきた。
「ちょっとだけ、もう一回見せてくれよ。さっきの一瞬じゃよく見えなかったからさ」
下手に隠して怪しまれるのも面倒だったため、ケンタは仕方なく机の下でスマートフォンを少しだけ傾け、再び画面を点灯させた。
画面いっぱいに広がる、柔肉がぶつかり合った誘惑の写真。それを覗き込むトウジは、ゴクリと分かりやすく生唾を飲み込んだ。
「すっげぇ……なんだこれ。顔は写ってないけど、やっぱ人間じゃ絶対にありえないだろ、このおっぱいのデカさ」
トウジの視線は、画面の中央に形成されている谷間に釘付けになっていた。
「こんなおっぱいがデカい子がいる店絶対に行ってみたいよなぁ。でもこんな胸がデカいのがいる店ってすげー高いんだろうし、俺達の小遣いじゃ無理かぁ」
悔しそうにぼやくトウジ。彼はただただ、手の届かない大人の世界の画像としてパルフェとショコラの身体を羨望の眼差しで見つめている。
「……うん、そうだね。僕たちには、無理だよね」
ケンタは表面上はトウジの言葉に同意し相槌を打つ。その最中、机の下でスマートフォンを握るケンタの手にはじわりと熱い汗が滲んでいた。
胸の奥底から粘つくような優越感と支配欲がぐつぐつと湧き上がってくるのを抑えきれない。
トウジは知らない。彼が嘆き、画面越しに憧れているこのエロい双子の爆乳アンドロイドが、すでに僕のものだということを。
このおっぱいも、ここに映っていない微笑む可愛い顔も、全部僕の所有物なんだ。
あのVIPルームのベッドの上で、僕は彼女たちに囲まれて、両耳を舐められながらこの深い谷間に顔を埋められた。彼女たちは僕のために服を脱ぎ、僕を気持ちよくさせるためだけにその技術のすべてを捧げてくれたんだ。
そして、今も。他の客には目もくれず、ただ僕が迎えに行くことだけを待って、こんなえっちな自撮り画像を送ってきている。
同級生がネットの拾い画像だと勘違いして羨ましがっているその被写体が、現実の世界で自分だけを主として待ち望んでくれている。単なる事実がもたらす背徳的な興奮はケンタのズボンの下で陰茎をさらに硬くさせ、下着の布地をきつく押し上げる。
ケンタはトウジに気づかれないように、必死に表情筋を引き締めて平静を装い続けた。
「お、やっべ、そろそろチャイム鳴るわ」
壁の時計を見たトウジが、名残惜しそうにケンタの机から離れて自分の席へと戻っていく。
「あんまり学校で出すなよ、それ。先生に見つかったら没収されるからな」
「うん、気をつけるよ。ありがと」
トウジの背中を見送り、ケンタは大きく深呼吸をして、荒ぶる心臓の鼓動をなんとか落ち着かせた。
警告通りにしまおうかと思ったが、最後にもう一度机の下で、再びスマートフォンの画面を立ち上げた。
パルフェとショコラの待ちわびるような柔肉の谷間が、自分の股間のすぐ近くに大写しになる。
自分はもう、この乳肉がもたらす快楽を知っているのだ。それを我慢するなんてありえない。
ケンタはメッセージ画面を立ち上げ直し、画面の向こうで待つ双子の専属メイドへ打ち込んだ。
『やっぱり近いうちに会えるようにするよ。それまで良い子にして待っててね』
送信。
数秒後、画面に表示されたのは文字のメッセージではなく、大量の動くスタンプだった。
ピンク色のハートマークと水色のハートマークが何十個も弾け飛び、ケンタの視界を真っ赤に染め上げる。パルフェとショコラからの狂喜乱舞するような愛情と忠誠のサインに、ケンタの背筋が鳥肌よりも甘い痺れがぞくぞくと走る。
まもなく、四時間目の始まりを告げるチャイムが学校中に響き渡る。ケンタはスマートフォンをポケットの奥深くへとしまい込み、誰にも知られることのない秘密の優越感を胸に抱いたまま、授業の準備を再開した。