※ピクシブにて同時投稿
「――まさか本当にこんな依頼が来るとはね」
都内某所にある高級ホテルの一室。
夜に煌々と輝く街を一望できるその部屋で、二人の男女が取引を交わしていた。
「たまに冗談で性的契約を結ぼうという話はあるのだけれど」
ベッドに優雅に腰を下ろし、ニヒルな笑みを浮かべる女性――彼女の名は冥冥。
所属フリーの一級呪術師であり、超のつく守銭奴である。
金さえ積めば何でもしてくれる、というのが呪術界における彼女への評価だ。
男は彼女の前に立ったまま話を進める。
まだ隣に座ることは許されていない。
「でも、君からの依頼料を見るに、いつもの冷やかしではないようだ」
冥冥は男から手渡された封筒を開く。
チラリと見えたその中身は、百枚以上に重なった札束があった。
「私の身体は安くない」
冥冥は紙幣をしっかりと数えてから天井を仰ぐ。
そして両手で自らの肢体を撫でていく。
膝から腰、腰から腹、腹から胸、胸から顔。
本人の言葉通り、全てのパーツが女性として最上の美を誇っており、その妖しい雰囲気と相まって雌としてどれほど魅力的であるかは言うまでもない。
「ふふ、そんなことは分かっているという顔だね」
男は術士ではないが、呪術の世界に通じてはいる。
冥冥に今回の依頼をするため、できる限り彼女のことを調べては来ていた。
「ならもっと金を用意するべきだった」
冥冥は自分を調べたと言った男を嗤った。
「この程度の額では私の身体を買うことはできない」
男が用意した金額は、世間的に見れば大金である。
しかし冥冥にしてみれば、確かに本気を感じるが、されどそれ自体は端金なのであった。
「まぁ事前に私へ連絡できなかったのだから仕方ない面もあるけれどね。憂憂の目を搔い潜るために結構危ない橋も渡ってきてくれたみたいだし」
そうなのである。
一部の関係者を除き、冥冥への依頼は弟である憂憂を通さなくてはいけない。
しかし姉への性的依頼など、途中で切られるどころか、最悪は粛正されてしまう。
憂憂に見つからずにここまでたどり着けた時点で、この男の欲望は大したものなのである。
「金を受け取る時にも伝えたけれど、今回の依頼料でセックスはできないよ?」
男は頷く。
事前に値段交渉ができなかったのは自分の力不足だったと受け入れた。
彼のその潔い態度に、冥冥は悪くないと微笑を浮かべる。
「今宵できるのは、そうだね、せいぜい手を使って気持ちよくしてあげるくらいかな」
チラリと冥冥の視線が男へと移動した。
それでいいか、と。
男はやはり頷いた。その内容で構わないと。
「ふふ、契約成立」
冥冥はベッドへと男を誘う。
「心ゆくまでたっぷりと性処理してあげよう――」
*
男は冥冥の隣に座った。
キングサイズのベッドに並んで腰掛け、スリッパを履いたまま足は床に着いている。
「ん? 緊張しているのかな?」
冥冥の妖しい眼光が鋭くなる。
それは男の興奮、動揺、期待、不安、入り交じった感情のカオスを正確に見抜く。
おそらく呪霊や呪詛師との実践で鍛えられたそれは、この性的関係の状況下においても発揮されていた。
「大丈夫。もらうものはもらっているんだ。取って食ったりはしないよ」
冥冥の身体が男にすり寄る。
女性の甘い匂いが鼻孔をくすぐった。
彼女は豊満な胸を彼の肩でぐにゃりと潰し、それから耳元に口を近づけ囁く。
「――うふふ、随分と苦しそうだ」
その言葉に男の下半身が激しく反応する。
既に臨戦態勢ではあったがが、自覚されられるとより力が漲った。
「辛いだろうね」
しなやかな五指を男の下半身に滑らせる。
鼠径部、ヘソ、最後に起立する中心へと添えられた。
それから整えられた爪先で、服の上からカリカリと先端を刺激する。
それだけでもすさまじい快楽が男の皮膚を走った。
「? キスをしたい?」
間近にある冥冥の相貌。
本来ならそのまま襲いかかりたいが、相手はあの一級呪術師である。
下手な行動を起こせばどんな仕返しがくるか分からない。
だがなにより、彼女の機嫌を損ねて、行為を中断されることを男は嫌った。
だから唇を震わせながらも律儀に希望を口にする。
「いいとも。それぐらいならわざわざ断りを入れな――ッん!」
冥冥から許可が出た。
男はその瞬間に、彼女の言葉を遮り口元を塞いだ。
少しだけ覆い被さるような態勢になり、両手を彼女の背中へと回す。
「ん……っちゅ……っは」
冥冥は文句もなくそれを受け入れた。
いつも通りの底知れぬ微笑みは崩さない。
しかし強引に舌を入れると、それに応じてねっとりとした接吻を見せた。
あまつさえキスの邪魔になると、簾のように下ろした前髪を自ら耳元へと退げてくれる。
「っぷは……意外に強引なんだね」
冥冥は不敵に笑いながら、男のズボンのチャックを開けていく。
「キスが上手い? ふふ、どうもありがとう」
そんな風に褒められたのは初めてだと、その新鮮さに肩を揺らした。
そして褒め言葉への御礼とばかりに、男に対して大きく口を開け、ピンク色の舌を見せびらかしてくる。
「どうやら私の舌は人より長いらしくてね」
どうかな、と。
唾液まみれの舌をぐにゃぐにゃと巧みに動かしてみせる。
ここに肉棒を突っ込めればどんなに気持ちいか――そう思わずにはいられない。
男は襲いたいその欲を必死に堪える。
「本当なら君のおちんぽをしゃぶってあげたいところだけど」
言われるまでもなく、今回の依頼料では足りないのだ。
「残念だよ。私の口は随分と気持ちいいらしいから」
冥冥ほど良い女が、どれほどの数を咥えてきたのかは定かではない。
「並の男では一分も保たないだろうね」
しかしそこに最高の快楽があることだけは確かだった。
「ふふ、少しいじめすぎたかな」
男の足は震えていた。
すぐそばにあるのに手が届かないもどかしさ、そして仮に手が届いたとしたらという期待。
交差する感情が内で乱れ合っている。
「そろそろヌいてあげよう」
男のズボンを下ろさせると、そこには下着一枚になった下半身がある。
パンツの中心は山のように盛り上がっており――
「おやおや、我慢汁でベトベトじゃないか」
冥冥の言う通り、男の下半身はカウパーによって酷い有り様だった。
しかし彼女はすぐにそれを脱がさず、なんと自身の顔を一物へと近づけたのである。
そしてまるで犬のように、ツンと尖った鼻先を接近させ、深く匂いを嗅いだのだった。
「臭い」
ねっとりとした声音で言葉を漏らす。
しかし発言とは裏腹に冥冥の笑みが崩れることはない。
「味はどうかな……」
冥冥はおもむろに怒張の頂点へ口づけした。
唇の間に少しだけ隙間を空け、カウパーまみれの先端を加えてしまう。
そしてジュルジュルジュル――と、およそ大人の女性から発せられるとは思えないほど、下品な音を立てて男の愛液をすすり上げた。
「……ぷは、うん、おいしくはない」
だが言葉とは裏腹に、一層その笑みの広角が上がったようにすら見える。
「中身はどうなっているのかな」
冥冥は男の下着を一気に引き下げた。
すると突然脱がされたせいか、完全に勃起していた男根が、勢いよく冥冥の頬を叩いたのである。
ベチン、という破裂音にも似た音が部屋に響く。
「…………」
現れたのは巨大な一物である。
大きく、堅く、浅黒い、それを見た冥冥は珍しくすぐに言葉が出なかった。
至近距離数センチ、まじまじと聳える男根を見つめる。
「……君はこんな凶悪なものを、私に突っ込もうとしていたわけだ」
それが口であろうと、膣であろうと、挿れらてしまえばどうなるか。
冥冥とて一筋縄ではいかないかもしれない。
「手コキだけにして正解だったかもね」
不敵に笑いながら男根をゆっくり摩り出す。
男は肩をビクンと震わせ、じわじわと登ってくる快楽に耐える。
「亀頭がパンパンだ」
楽にしてあげると、冥冥は先端に指を絡ませる。
愛液が全体に馴染み、明かりに照らされていやらしく光った。
「乳首も舐めてあげよう」
冥冥は完全に男に密着すると、何の躊躇もなく舌を這わせてきた。
初めは優しく、しかし段々と力を込め、確実な快楽へと導いていく。
その間に亀頭から竿へと手を移動させ、絶妙な加減で男のそれをもてあそぶのだ。
――いったい、どれほどの男を射精させてきたのか。
冥冥の有するテクニックは並ではない。
まさに百戦錬磨と呼べるものだ。
「気持ちいいかな?」
乳首を舐め回しながら、上目遣いで男に問いかける。
答えなど彼の顔を見れば一目瞭然だろう。
「おや、腰が退けてるじゃないか」
あまりの快感に男の腰が砕けていく。
想定を超えた気持ちよさに、身体が条件反射的に退いてしまったのだ。
しかしそれを見逃す冥冥ではない。
余っている左手を男の腰へと回し、強制的に曲がった彼の背筋を正す。
逃げようとしていた男根は前へと突き出されてしまう。
「いつでも射精して構わないよ」
冥冥は全ての指を総動員して、男の竿を上下にしごく。
しかもここぞというタイミングで亀頭を刺激し快感を加速させるのだ。
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、と卑猥な音が鳴り、冥冥の妖艶な声音も相まって聴覚からもまるで犯されているような感覚があった。
「……本当に、限界みたいだ」
男の顔色を見て目を細める。
冥冥はどこに射精したいかと訊いた。
「顔射? 変態的なことを言うんだね君は」
しかし冥冥は受け入れた。
男は立ち上がり、ベッドに腰掛けた冥冥の前に仁王立ちする。
もちろん腰は砕け気味で、足も震えており、堂々とした姿だとは決して言えないが。
「射精していいよ」
冥冥が男根の目の前まで顔を近づける。
亀頭ははち切れんばかりに膨らんでおり、睾丸もずっしと重たい、爆発寸前であることは明らかだが冥冥はひるむどころか悦んでいる様子だ。
「――射精しなさい」
冥冥の言葉に促され、男は限界を迎えた。
あまりに気持ちよく理性が回らなかったせいだろう。
彼は無意識に腰を突き出し、なんと射精寸前で亀頭を冥冥の顔に押しつけた。
彼女の整った鼻先を潰したと思いきや、ぬめりによってすべり――最終的には冥冥の唇に密着した状態で射精を迎えた。
どくん、どくん、どくん、射精は一向に収まらない。
その間も冥冥の右手は動いており、男が満足できるようにしごき続けた。
ただし口は使用しないと宣言した通り、唇は一文字に結んだままで、大量の精液を飲んでくれることはない。
代わりに顔全体に真っ白なザーメンを受け止めてくれる。
「…………」
男は最後の一滴まで絞り出すため、腰を軽くグラインドさせ、亀頭を冥冥の顔の上にこすりつける。
彼女は黙ってそれが終わるのを待ってくれた。
長い、長い射精が、ようやく終わる。
「――で、最後はこれでお掃除して欲しいんだったね」
冥冥は垂れ下がった長い前髪を、まるでタオルのように男の男根に巻き付ける。
にちゅ、にちゅ、と厭な音を立てながら男根を優しくしごく。
これにより男は完全に出し切り、なにより愛液まみれだった一物を綺麗にしてもらったのだった。
「あーあ、髪がベトベトだ」
男根を吹き終わると、冥冥の髪は粘液で濡れていた。
離れていても雄の悪臭が、手入れされ美しい長髪から臭ってきてしまう。
「契約はこれで終了」
冥冥は立ち上がると、さっと服を脱いでしまう。
一瞬エッチができるかもしれないと期待もするが、冥冥が契約違反をすることはない。
男にお終いだよと一瞥すると、そのままシャワールームに向かってしまう。
彼女の裸体はすさまじく甘美で魅惑的だ。
襲いたい。
あの身体を自分のものにしたい。
相手がどういう人間か知ってはいるものの、ここまで見事な雌がいれば手を出したくなるのが雄の本能だ。
男はまるで呪霊に憑かれたかのように、鼻息と鼓動を激しくしながら冥冥と近づいていく。
「――ふふ、至極残念だよ」
振り返る冥冥。
彼女の表情は確かに残念そうで、けれど愉しそうに笑っていた。
本作を読んでいただきありがとうございました。
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