数年後。
「ねぇ、ママ。うちって変なのかなぁ」
幼い子どもがいくつもの書類を捌く女執事に尋ねる。
「どうしたの。渚」
「ほかのおうちはパパとママがいるのに、うちはママとひなママ。ママが2人っておかしいのかなぁ」
涼は仕事の手を止めて、膝の上に幼子を載せた。
「渚はおかしいって思う?」
渚と呼ばれた幼子は首をぶんぶんと全力で横に振った。
「んーん。ママはいつもきれいでかっこいいし、ひなママはかわいくてやさしくて、なぎさにもいっぱいかわいいものをおしえてくれるし。どっちもだーい好きなママだよ。ぜーんぜんへんじゃないもん」
涼は我が子に頬ずりをする。
「そうでしょ。ボクも渚とヒナがだーい好き」
「ふー。漸く、解放されたよー。なんで、こんなに早く当主の座が僕に回ってきたんだろ」
昔のように可愛らしいものではなく、上品で優雅なドレスを着た陽向が涼と渚のいる部屋に帰ってきた。
「ひなママかえってきたー!」
渚が涼の膝元からするりと抜けて、トテトテと走ったかと思えばヒョイと陽向の胸に飛び込む。そして、正確に陽向の乳首へとドレス越しにキスする。
「ひなママのおっぱい、いいにおいー」
「渚ぁ! 僕のおっぱい吸ってもても何も出ないよー!」
なんとも愛らしい顔で乳首を吸うわが子の様子に苦笑する陽向。
「ママのおっぱいはこんどうまれるあかちゃんのものだから、なぎさはひなママのおっぱいもらうの!」
やれやれという顔をしながらも、まんざらでもない様子の陽向が渚を抱っこする。どちらかと言えば陽向に似た笑顔のままで胸にしがみ付いて動こうとしない渚。
「ははは。こうなったら、離れないぞ。ヒナ、渚に好きなだけ吸わせてやれ」
「ど、どうして渚はこんなにおっぱい好きになっちゃったんだろ」
涼がニヤニヤして答える。
「さあ。でも、おっぱい好きなのはヒナの方じゃないか。それが遺伝したんじゃない?」
陽向の「おっぱい」を吸うのに疲れた渚が眠ったのを見計らい、涼は陽向の真横にすっと立ち、耳元で囁く。
「あとでボクの、妊婦母乳をヒナにもいっぱい飲ませてあげるからね」
いつもの悪戯っぽい笑顔で、シャツのボタンを外す涼。かと思うと、ポロリと片乳を出した。次の子のために溜められた母乳がもう、いささか茶色い乳首からたらたらと滴っている。それを見た陽向がもじもじと赤面しながらも、まだまだ若く生命力に満ちた一物をスカート越しに隆起させた。
そして、いつの間にかぐっすり眠ったわが子をベッドに寝かせると、2人は濃厚なキスを交わすのだった。