ゲームオーバーから始めようか 作:モモンガ
α-00 終了 断念 終幕
西暦二一三八年。
数多に存在するDMMORPGというものがある。これは――
〈Dive Massively Multiplayer Online Role Playing Game〉の略称である。
サイバー技術とナノテクノロジーの粋を結集した脳内コンピュータ網。
ニューロンナノインターフェースと専用コンソールを直結し、仮想世界で現実に居るかの如く遊べる体感型ゲーム――その中でも燦然と輝く一つのタイトルがあった。
それは十二年前に日本のメーカーが満を持して発売したゲーム。
ユグドラシルはこれまでのDMMORPGのゲームと比較しても
膨大な職業と魔法。広大なマップ。
別売りのクリエイトツールを使用することで武器防具、外装などを変化させることも出来る。
日本人のクリエイト魂に
だが、それは一昔前までの話し。
人気を誇ったユグドラシルも最期の時を迎えていた。そしてサービス最終日――
終わるはずのゲームから始まる絶望をかけた真の戦い。
これはゲームのように既に
数多の選択肢に惑わされず、世界に反抗の
世界が
冒険をやり尽くした後の死に特別な感情を抱かない。
ありふれて『つまらない』と思うほどに。
眠っている状態と違うようで、次の復活まで待たされる分には退屈な状態とも言える。
外界の情報は遮断されている。
ここまではユグドラシルの仕様と同じだった。
違いがあるとすれば内容くらいか――
| 1 | あなたは世界を呪いますか? |
|---|---|
| 2 | あなたは世界から解放されたいですか? |
| 3 | ……? |
こんな選択肢が闇の世界に輝いているくらいだ。
最初に気付いた時はそれぞれの項目の説明文があったのだが、今はそれが無い。
まして三番目は文字が判別できない状態だ。
一番目と二番目はユグドラシルでも見かけたことがある。効果内容も知っているが同一かは分からない。
ゲーム時代では一番目を選ぶと全プレイヤーのレベルを強制的に1にする。効果時間は二四時間。
これを選ぶとユグドラシルで活動する
二番目はユーザー登録などのデータ抹消。
関わった全てを消す、みたいなことだったら怖いのだが。
問題は三番目だ。嫌な予感しかしない。
実のところ四番目もあり、五番目もある。そう、延々と選択肢が下に連なっている。
判別できるところでは『星を消しますか?』、『近くにブラックホールを発生させますか?』、『一〇〇年間自己増殖する無敵のモンスターを放ちますか?』、『全NPCを敵対行動させますか?』、『武器防具を装備できない仕様に変更しますか?』と。
つまり仕返しの項目が並んでいる。
一〇〇〇〇回を超える
この項目の中には改めてゲームを楽しみますか、のようなものが無かった。
読んでいると気がめいる。死ぬと増える事から殺され方によって仕返しの方法が増えてしまうようだ。
選ぶのは自由。それが本当に効果を発揮するかは分からない。実際に選択したことが無いから。だが、転移した世界では起きてはならない奇跡が起きている。
迂闊に選べないし、一番目と二番目がすんなりと効果通りに現れる保証もない。
『
二番目を選べばいい。普通はそうなるのだが、死後の世界に身体は無い。
精神状態で選ぶ場合は意図しない選択肢を選ぶ可能性がある。
現に一番目と二番目を選ぼうとしても遥か遠くに飛ばされてしまい、選択できない。その代わりに
この選択肢は整然とは並んでいない。それぞれバラバラに勝手に動いて邪魔をする。
だから、復活するまで待つ。というのが最善だ。
ユグドラシル時代はちゃんと整列していたのだが。転移後は悪化しているようだ。
三番目以降の選択肢が
さすがに二四時間の効果だと思うけれど、項目内容は物騒なものばかりだ。
転移後の今も効果が適応されている事を祈りたいが色々と仕様変更されている気がするので不安ではある。だから、というわけではないけれど、選択肢はどれも選べないし選びたくない。だが――選ばなければ永遠に魂のまま漂うかもしれない。
意識のあるまま永遠に。
仮に選択肢を選ぶと解放されるのか。
それは無いと思う。
全ての報復のどれかを選んだとしても解放されない可能性が高い。
面白くない、ということもあるけれど、一番の問題は――
自分には帰るべき肉体が存在しない。
ゲームを終了する、という単純な事ではない。
肉体のあるプレイヤーならまだしも。数年も経過している。普通に考えれば不可能だ。万が一、肉体があったとしてもだ。
それは自分にとってのバッドエンドに変わりは無い。
前にも後ろにも進めない。
数千個の選択肢を探してみたが自分にとって幸せに繋がるものは見当たらなかった。
無い選択肢は作るしかない。どんな手段を使っても。
ただ、今は何も出来ずに漂うだけだ。
このままでも案外、幸せかもしれない。思考する意識が無くなるまでの小休止だと思えば。
耐えられる意識は長くはないけれど、それまでは休ませて貰おう。
せっかく貰った
真に発狂してどんな選択肢を選ぼうと、その時はもう諦めるしかない。
この魂が磨耗して消え去るまで――おやすみなさい。
ここから先は
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ここから先は真の終わり。もう少しばかりお付き合い下さい。
●
『第始章 ミレニアムクエスト』に向かう。
※ここまでお付き合いくださいましてありがとうございます※
※