「お帰りなさい、プロデューサー」
「ただいま、
仕事を終えて自宅に帰ってくると、独り身の俺を一人の女性が玄関で出迎えてくれた。女性の名前は
「鞄をお預かりします」
楓さんは笑いながら俺に手を差し出してくる。
「ありがとう、楓さん」
俺が鞄を手渡すと、手が触れ合う。急な接触に俺の心臓は高鳴った。
全国に大勢のファンがいる人気アイドルなだけあって、楓さんはとても綺麗だ。俺を間近に見つめる瞳。左は青色で、右は緑色。神秘的なオッドアイを有し、多くの人の心を惹きつける愛らしくも美しい容貌の持ち主。
そんな人が俺の家にいる。改めて考えると、これはすごいことだ。
でも、わからないことが一つある。
どうして楓さんは俺の家にいるのだろうか。俺には恋人はいない。確かに俺は楓さんに心惹かれていた。こんな人と付き合えたら、なんて考えたこともある。でも、それは決して叶わぬ夢だった。楓さんに告白をする勇気もないし、プロデューサーという立場でありながらアイドルに想いを伝える度胸もなかった。
だから、今の関係は夢だとしか思えなかった。
「プロデューサー、これを見てください」
楓さんが携帯電話の画面を見せてくる。なんだろうか。言われるままに画面を見ていると、黒一色だった画面に目のマークが浮かんだ。妖しい紫色に染まった目。ギョロギョロと忙しなく動いていたそれが俺を捉え、俺もまたその瞳を見つめると意識が急に薄れた。
「あ……」
と声を漏らすことで精一杯だった。
頭の中が真っ白になる。何かを考えようとしても、集中できない。
全身から力が抜けた。玄関の柔らかいマットに両膝を突く。体勢が崩れても、楓さんは携帯の位置を変えて俺の正面に画面を突きつけた。だから、俺はずっと画面を見続けてしまった。
「ちゃんと見てくださいね?」
「はい……」
何やら嬉しそうな楓さんの耳心地のいい声が耳に届き、俺は頷いた。
画面に映る瞳の下に、紫色の細長いグラフが表示されていた。そのグラフの横には何かの数値を示すパーセンテージが書かれている。グラフが徐々に左から右へと長く伸びていくに連れて、パーセンテージが上がっていく。15、41、55、72、78%。
思考の混濁が進み、現実と夢の境が曖昧になりかけた。
このままではまずい。何かはわからないけど、底知れぬ恐怖を感じた。
でも、その恐怖も直後には霧散した。
あれ? 俺は今、何を考えていたんだっけ?
体を動かすこともできず、思考もまとまらない。
そんな俺の前で、グラフの数値は遂に100%に到達した。
「はぁ、あっ、んっ、あぁんっ……」
夕食などを済ませ、就寝準備を整えた俺は、一糸纏わぬ『恋人』の楓さんに覆い被さってセックスをしていた。コンドームなんて必要ない。生殖器を生で擦りつけて、欲望を高め合うガチハメセックス。
「んんっ……!」
ベッドで仰向けになって枕の上に髪を広げる楓さん。艶めいた声を上げながら、均整の取れた魅力的な身体を痙攣させた。達したみたいだ。膣内がきゅっと締まって男根を強く包み込んでくる。「うっ……」と俺は声を漏らしつつ、楓さんを抱き締めて膣内に男根を突き入れた。
「ぃ、あぁっ……!」
楓さんの可愛い鳴き声に、俺の腰が止まらない。俺は隠していた欲望を顔に出し、楓さんの頬に熱い吐息を掛けながら腰を揺らす。逃げられない状態にした楓さんに繰り出すプレス。自分がアイドルを支配しているような感覚になって、感じたことのない歓喜の感情が胸中を満たす。
俺に犯されている楓さんが表情を緩めた。イキながらも妖艶に微笑み、俺を見つめている。「本当に、プロデューサーは洗脳に弱いですね……!」などとよくわからないことを言っていたので、唇を塞いで黙らせた。
「んんっ! んんっー!」
じっとりと伝わってくる唇の熱を感じ、綺麗な唇の間に舌をねじ込む。中に収まっていた舌を確認すると、それに舌を擦りつける。ぬちゅっと唾液が絡む。その感覚が心地よくて、もっと絡ませようと暴れ回った。
「んっ、ぷちゅっ、ぬちゃっ、ぐちゅっ、んんっ、ぢゅるっ、ぴちゃっ!」
夢にまでみた楓さんとのベロチュー。蕩けた顔は俺の想像を超えるほどいやらしく、自分で舌を絡ませようとしてくる楓さんは股間に悪かった。膣肉に擦りつけていた男根がさらに大きくなって、狭い穴を苛め抜く。
「ぶちゅっ、ぢゅるるっ、ぐちゅっ、ぢゅぱっ、ぢゅぷっ!」
楓さんが俺の体を強く抱擁し返す。首の後ろに両手が、腰に両足が巻きつく。そのせいで俺たちの距離がさらに縮まった。亀頭が膣から抜けないギリギリまで腰を上げた直後、楓さんの足によってまた膣奥まで挿入を強要される。
逃げられないのは俺のほうだった。気がついたときには形成は逆転していた。
「んふっ、んふふふっ、ぢゅぞぞぞっ、ごくっ、ぢゅるるっ、ぐっちゅっ!」
楓さんに舌を押し返され、戦場は俺の口内に変わった。今度は楓さんの舌が俺の口の中を掻き回す。隅々まで、俺の全てを味わうように舌をなぞらせる。勿論、俺の舌にも絡みついてきた。逃げようとしても狭い口内ではそれもできず、楓さんに制圧されてしまう。
果敢に攻めていた俺よりも、楓さんのほうが強かった。ぐいぐいと腰を足で押され、挿入をせかされる。負けじと激しい腰遣いを試みるも、ぐにゅぐにゅと絡みついてくる膣肉の攻めで腰が震え、足腰から力が抜ける。
気持ちよくて堪らない俺を、楓さんはにやにやとした表情で見ていた。
おかしい。俺が優位だったはずなのに。今では完全に楓さんに支配されている。
戸惑う俺に対し、口づけを中断した楓さんが唾液に濡れた口を開いた。
「残念でした。今日もプロデューサーの負けですね?」
今日も? 楓さんの一言が胸に引っ掛かった。
前に楓さんとセックスしたのはいつだっけ? 何故か、覚えていない。初めて繋がった日も思い出せない。楓さんとの初セックスなんて、経験していたら絶対に忘れるはずがないのに。
「思い出そうとしても無理ですよ。洗脳アプリで記憶を完全に封じてますから」
楓さんが何かを言っている。聞き取れているはずなのに、俺の頭はその言葉の意味を理解できなかった。ただ腰を振って、楓さんとセックスをし続ける快感を味わうことしかできない。
気持ちいい。気持ちよすぎて、思考が吹き飛ぶ。
「ぐちゅっ、ぐぷっ、ぢゅるっ、ぢゅぱっ、ぐちゅ、ぐちゅっ!」
再開される唾液たっぷりのキス。笑顔で細められる楓さんの目に見つめられ、抱き締められながら男根を出し入れする。そろそろ限界だ。下腹の奥が熱を抱く。強烈な快感を伴ってそれがせり上がってくる。
膣内射精。その言葉が脳裏を過り、俺は男根を膣から取り出そうとした。
腰に力を入れる。楓さんの両足の拘束を跳ねのけ、膣から亀頭が抜ける。
その瞬間だった。
「だーめ」
楓さんの甘い声。背筋を震わせるほど強い魅力を伴ったそれが脳を揺さぶった。
気がつくと、ズプンッ、と男根を入れ直していた。奥へ奥へと亀頭を押し込み、子宮口にぐりぐりと押しつける。まずい、と俺の中で警鐘が鳴り響く。でも、腰が止まらない。早く抜かないといけないという思いとは逆に、俺は力強い突きを放った。
それが最後だった。
押し寄せてきた快感の波が俺を飲み込み、無情にも射精が始まった。限界まで押し込まれた男根は鈴口から精液を噴き出す。子宮口に亀頭が押しつけられていたため、中に精液がたっぷりと注がれているだろう。
男根の脈動に合わせ、大量の精液が楓さんの中に送られていく。
「んっ、ふっ、ああぁっ……!」
全身を震わせ、楓さんは喜びを示していた。俺を抱く手に力が籠る。痛いと感じるほどに締めつけられる。全力を出せばこの拘束を振り解けるはずだけど、俺はそれもできず、楓さんにせっせと子種を仕込んでいった。
全部出してしまった。長い射精の後も、俺は拘束されている。
「早く孕ませてくださいね?」
楓さんの優しい声。漂ってくる甘い香り。柔らかい女体に包まれて、俺は膣内に男根で栓をする。子宮に溜まった精液が逆流しないようにするためだ。長く残留させることで、妊娠率を上げる。
楓さんは俺の俺との間に子供を望んでいた。
「明日は確か、
楓さんが俺の耳元で囁きかける。俺に決定権があるようで、実際はそうじゃない。
俺の思考が曇っていく。正常な判断ができたのはこの一瞬だけだったようだ。
また、記憶が薄れていく。この思考も次の瞬間には。
「気持ち、いいっ、あぁっ、プロデューサー、私の大好きなプロデューサー……!」
思い出せない。『恋人』である楓さんとのセックスが気持ち良すぎる。もっとしてほしい、と言うと、楓さんは舌なめずりして俺に襲い掛かった。俺の上に跨って、尻を叩きつける腰振りピストン。パンッ、パンッと魅力的な尻に敷かれ、勃起した男根を膣で扱かれていく。
まだ夜は長い。もっと気持ちよくなりたい。
「絶対に、逃がしませんからね……? あなたは私の、いいえ、私たちのものですから」
微笑みの裏に見えた強い欲望と支配欲求。俺は逆らうこともなく、この身を委ねた。