三億円積まれても誰とも付き合わないと豪語する高嶺の花な金髪碧眼ツンデレ貧乳幼馴染と体が入れ替わってしまって、しかも目が覚めたら『純愛ぬちゃどろ生ハメ種付け雌堕ちセックスしないと出られない部屋』でした 作:しじままどせ
オリジナル:現代/恋愛
タグ:R-18 性転換 TS TSF 金髪碧眼 ツンデレ 貧乳 幼馴染 入れ替わり 純愛 ぬちゃどろ 生ハメ 種付け 膣内射精 雌堕ち メス堕ち 牝堕ち セックスしないと出られない部屋 ハッピーエンド
ノクターンノベルズから転載しました。
ぼくの幼馴染、
朝比奈ではなく朝 比奈。苗字が「朝」で名前が「比奈」だ。
この国でも有数の財閥である
そして、
とんでもない美少女で、
「……いやよ。たとえ三億円貰ってもあなたとはお付き合いしません」
とんでもなくモテる。
そしてすべての告白を
ちょうど今は放課後で、校舎裏に呼び出された比奈ちゃんを、ぼくは物陰から見物していた。息を殺してふたりの様子を見守っている。
比奈ちゃんの目の前にいるのは背の高い男子生徒だ。バスケ部の主将か何かである三年生で、女子生徒からかなり人気のある男子だったと思う。
顔だって悪くないし、家柄もなかなか良いらしい。古い家で、お金持ちだとか。まあ、この学園の生徒の実家はたいていそうだけれども。
ともかく、比奈ちゃんはそんなスクールカースト最上位の男子からの告白を、堂々と、にべもなく断ったのである。
「それで、お話はもう終わりかしら?」
小柄な体躯で仁王立ちをして、腰に手をやって、あまりない胸を張っている。まるで『自分は強いんだぞーっ』と言わんばかりのポーズだ。
彼女は意思の強い切れ長の瞳で相手を見上げている。射殺すような視線。
金髪碧眼、色素の薄い肌、整った顔立ち。日本人離れした容姿を持つ彼女がそんな目つきをしたなら、きっと大抵の人間は酷く怯むだろう。
なにしろ、あの男子生徒がスクールカースト最上位なら、比奈ちゃんはワールドカースト最上位だ。いや、それは言い過ぎか。
ぐ、と相手の男子はたじろいでいて、気まずそうだ。ちょっと怒っているようにも見える。比奈ちゃんの態度があまりにも挑発的だったから。
(……そろそろやばいかも?)
ぼくはそろそろ飛び出す準備をする。
何かあったらぼくが何とかしないといけないのだ。
なぜなら、ぼくは比奈ちゃんの従者的な立場にあるから。
従者といっても、ぼくの主な仕事は比奈ちゃんの人間関係の緩衝材だ。生来の勝ち気さで敵を作りやすい比奈ちゃんだから緩衝材としてぼくがそばにいて比奈ちゃんを守っている、という感じ。
昔から父母が比奈ちゃんのお屋敷に住み込みで働いていて、ぼくと比奈ちゃんは小さい頃から一緒に育ってきた。幼馴染といっていい。年が同じだから遊び相手をよく任された。彼女のことはぼくがいちばんよく知っている。
成長するに従って立場の違いみたいなものが出てきて、家庭の事情で今はぼくが比奈ちゃんに付き従う立場だけれども、それでも今でも仲がいい方だと思っている。
少なくとも彼女を『
まあ、そんなわけで。
「お前、ふざけんなよ! 人が下手に出てりゃつけあがりやがって!」
案の定、相手がキレた。
比奈ちゃんが煽ったのが確実に悪いので、ここまではしかたない。
けれども女の子に手を上げるなんて許せない行為だ。とくに比奈ちゃん相手には。
拳を振り上げた男子の前に飛び出して、ぼくは両手を広げた。
「まあまあ、やめなよ」そう言って相手を睨みつける。ぼくは生来気が弱いのでドキドキである。
「何だよ、お前? 従者くんだっけか。部外者は引っ込んでろよ」
「……遊、来てくれたんだ」と比奈ちゃんは小さな声でぼくの名前を呼んだ。頬が赤い。
ぼくはそれに笑顔で応えて、男の視線から彼女を遮るように手を伸ばす。比奈ちゃんは数歩下がって、男子生徒から離れてくれた。
それから一応ぼくもファイティングポーズを取ってみる。武道の心得はちょっとだけある。
「部外者じゃないよ。ぼくはこの子の幼馴染なんだ」
「へえ、そうかい。関係ないな。雑魚はひっこんでろよ。怪我するぜ?」
彼は自信満々といった感じで言った。背が高いせいか、高圧的だ。
きっと彼我の力量差が分かっていないのだろう。どうも舐められているみたいだ。
でも、お腹を「えい」と蹴ってから顔を殴ってみたら静かに倒れてくれたのでよかった。殴った拳が痺れていた。
「……ええと、怪我しなくてよかったね」
悶絶している彼に声をかけると、苦しそうに「うるせえ……!」と怒鳴られた。
そのまま男はどこかに逃げていった。喧嘩にならなくてほっとした。
それから振り返って比奈ちゃんの方を見ると、彼女はドン引きしていた。
「あんた、よくやるわねえ……」
「そりゃあ比奈ちゃんのためなら頑張るけど。ところで、大丈夫だった?」
「ふつう警告もなしに殴る?」
「いや、ちゃんと蹴ってから殴ったし、鼻血が出ないように気をつけたし。セーフでしょ?」
「アウトに決まってるでしょ、バカじゃないの。学校で暴力沙汰起こして停学とかになったらどうするの。あんたが停学になるとあたしが困るの、わかってる?」
「あー……。ごめんなさい」
「まったくもう本当にしょうがないんだから。ほら、帰るわよ」
比奈ちゃんは呆れたようにため息をつくと、踵を返して歩き出した。
ぼくはその背中を追うようにしてついていく。大股でズカズカと歩く彼女の後ろ姿は、少しだけ機嫌が悪いように見えた。
しばらく無言で歩いているうちに、比奈ちゃんが立ち止まった。
そしてこちらを振り返ることなく言う。
「……ありがとう、遊。助かったわ」
耳まで赤くなっている彼女にぼくは何も言わず、ただ肩をすくめただけだった。
まあ、一事が万事そんな感じで。
比奈ちゃんはぼくがいなければ危なっかしいというか、トラブルに巻き込まれる体質なので、そういうときはぼくがなんとかしなければならないのだ。
どちらかというとぼくは気弱でいじめられっ子気質なので、あまり騎士役は向いていないと思うのだけれど。
でも他の男に比奈ちゃんのことを任せるつもりは微塵もないので、こればっかりはもう仕方がないのかもしれない。
***
「遊、学校へ行くわよ」
朝、比奈ちゃんがぼくの部屋へ来て言った。
幼馴染の女の子が朝一番に部屋まで迎えに来てくれるなんて、なんとも嬉しいシチュエーションだ。
同じお屋敷に住んでいるから、こうして比奈ちゃんは毎朝ぼくを起こしに来てくれる。
ぼくが比奈ちゃんの部屋を訪れることは彼女が嫌がるから、お屋敷で会うときは決まってぼくの部屋だ。
そして、こちらも比奈ちゃんが起こしに来てくれることは織り込み済みだったので、準備はできていた。
「おはよう、比奈ちゃん」
比奈ちゃんは制服をカッチリと着こなしていた。スカート丈は膝上丈で、胸元のリボンもきちんと結んであった。
ぼくよりも頭ひとつぶんくらい小さな比奈ちゃんは、ぼくを見上げて微笑んだ。
「今朝もちゃんと起きていたのね。偉いわ。一度くらいあなたのだらしない寝顔を見たいものだけど」
「うん。まあ、毎朝のように比奈ちゃんが起こしに来てくれるからね。さすがに準備くらいはするよ」
「ふふん、このあたし自らわざわざ起こしに来てあげたんだから、当然ね」
そう言って腰に手を当てて薄い胸を張る比奈ちゃん。
ぼくは思わず見惚れてしまった。
比奈ちゃんは美少女だ。その事実は疑いようもない。
切れ長の瞳に長いまつげ、色素が薄くて透き通るような肌、さらりと流れる金色の髪、細い手足、華奢な体躯、それらすべては彼女が日本人離れした美しさを持つ証左だろう。
しかし、それだけでは説明できない何かが彼女にはあるのだ。それはたぶん、意志の強さとか、芯の通った性格とか、そういったものだ。意志の弱いぼくは、彼女のそういうところを尊敬している。
そんな彼女がぼくの前でだけは甘えたような表情を見せてくれるのだ。こんなの嬉しくなってしまうのは当然のことだ。
「比奈ちゃん」
「何よ」
「今日も髪が綺麗だね」
「……ばか。早く支度しなさい」
比奈ちゃんは照れ隠しのようにぷいと顔を背けると、ぼくの部屋のドアをバタンと閉めてしまった。
ぼくはドアを開けて廊下に出て、比奈ちゃんを追いかけた。
遠ざかっていく比奈ちゃんは早足で、けれども歩幅は小さかったのですぐに追いついた。
「比奈ちゃん、待ってよ」
「遅い。朝の時間が減るでしょ。さっさと行くわよ」
「うん」
ぼくは幸せだった。まさかこれが比奈ちゃんが起こしに来てくれる最後の朝になるとはこの時のぼくはまだ知る由もなかったけれど、それはともかくとして。
ぼくたちは並んで玄関を出る。
それから門を出て、通学路を歩いていく。
「そういえば比奈ちゃん、近ごろ学校で変な噂が立ってるの知ってる?」
「変な噂……? またあたしの噂? 興味ないし、知らないわ」
「いや、比奈ちゃんの噂じゃなくて……。実はね……」
通学路は閑散としていた。朝早く出過ぎたせいだ。
なぜか比奈ちゃんは起こしにくる時間がめちゃくちゃに早いので、必然的に朝早くお屋敷を出ることになるのだ。
すると学校へもいちばんに着いてしまうので、他の生徒が登校してくるまでの長い時間を教室でふたりで過ごすことになる。
まあ、ぼくとしては満更でもないけれど。
だからぼくは比奈ちゃんに話題を提供しようと仕入れた噂話をつらつらと述べる。
「なんかね『セックスしないと出られない部屋』っていうのが流行っているらしいんだよ」
「セ……、何よ、それ。バカじゃないの」
「ぼくもそう思うんだけどさ。なんでも、そこに閉じこめられた男女が、お互いの身体を使って性交渉をしないといけないんだって。それで条件を満たしたら外に出られるって仕組みの部屋があるんだって。
道を歩いていたら空間にいきなりドアが出現して、真理の扉みたいに黒い触腕が伸びてきて、それにつかまったら最後、逃げられずに部屋に引きずり込まれちゃうんだってさ」
「……へえ。ずいぶん悪趣味な話ね。都市伝説か何かかしら? というか遊、なんでそんな話をあたしにするのよ」
「興味あるかなって。この噂ってリアリティないし都市伝説のたぐいだと思うけど、でも面白そうな話だとは思わない? セックスしないと出られないなんて。誰が何のために噂を流しているんだろう」
「さあ? どうでもいいわ。俗物の好きそうなくだらない猥談ね」
ぷいっと顔をそむけて、興味なさそうに言った比奈ちゃん。耳が赤いのは気のせいだろうか? とても可愛いと思うのだけれど。
実のところぼくは比奈ちゃんに気がある。惚れているということだ。いつも自信があって強気で導いてくれる彼女のことが好き。
身分違いの恋なので告白はしていないし、そもそも比奈ちゃんは『三億円積まれても誰とも付き合わない』と公言しているので完全にぼくの片想いなのだけれど。
ぼくとしては比奈ちゃんが誰かと付き合うのは嫌だし、だからといって自分が付き合えるわけでもないし、つまり現状維持がベストであるわけで……。
だので比奈ちゃんの騎士役を務めることにはメリットしかない。側近として好きな人の近くに居られるのだから。
「ゆ、遊は……、誰かとセックスしたいと思ったこと、ある……?」
とても小さな声で比奈ちゃんが聞いてきた。
いつも自信家の比奈ちゃんにしては珍しい、不安そうな態度だった。
ほんの少し上目遣いで、前髪の隙間からちらっと視線を送ってくる彼女を見て、ぼくは不覚にもドキッとしてしまった。
正直なところぼくは童貞で、キスすら未経験だ。
誰かと付き合いたいとかセックスしたいといった欲求は、はっきり言って比奈ちゃん相手以外には皆無だ。
だって、こんなにも魅力的な女の子は他にいないんだから。
「……………」
かといって、そんなことを本人相手に言うわけにはいかない。恥ずかしくて死んでしまうし、振られたら生きていけないばかりか居場所と住み家と就職先を失う。学生の身分でホームレスは困る。
ぼくは少し考えてから、当たり障りのない返事をした。
「うーん、どうだろう。よくわからないなあ」
「……ふうん、そうなんだ」
「うん、そうだよ」
「…………」
「…………」
会話が途切れてしまった。
なんだか妙な雰囲気になってしまっている。
「それにほら、ぼくは今はお嬢さまの従者で手一杯ですから? 主人たるお嬢さま以外の女の人にかまけている暇はないよ」
ぼくがそう言うと、なぜか比奈ちゃんはほっとしたように息を吐いた。頬に手を当てて、ぽーっとしている。甘いものを食べたときのジェスチャーみたいだ。
そして「……あっそ」と小さく呟くと、ちょっと早足になってぼくの前に躍り出る。
「で、あんたは誰の従者なの?」
勝ち気そうな笑みで比奈ちゃんが言った。
「もちろん比奈ちゃんだよ」
ぼくの返答を聞くと、彼女は満足げに微笑んで、それからぼくを置いて駆け出して行った。
「あはは、ばーか、ばか遊っ」
ひらりと舞ったスカートから覗いた白いふとももが眩しくて、ぼくも慌てて彼女の後を追って、
白い扉だ。
何製か不明だけれど、材質はつるつるしていて、冷ややかで。
開いたドアの奥からは途方もない闇が溢れていて、そこから黒い影のような触腕が伸びてきている。
「──っひ」
比奈ちゃんが悲鳴を上げる。
見れば彼女の足元に黒い触腕が巻き付いてきた。
「な、なによこれっ。遊、たすけて、遊」
「比奈ちゃん!」
ぼくは反射的に駆け寄って、比奈ちゃんを助けようとする。
彼女の手を掴んで引っ張る。けれどもぼくにも触腕が絡みついてきた。ギシギシと骨が軋みを上げて、身動きが取れなくなる。
目の前で、比奈ちゃんの顔が絶望に染まっていく。
いやだ、そんな顔は見たくない。
そんなことを思いながら、ぼくたちは扉の奥の闇へと引きずり込まていくのだった。
そう、『セックスしないと出られない部屋』の内側へと……。
***
「……て。……きて。……ゆう、……遊! 起きて!」
どこか遠いところで響くような声に呼ばれて目を覚ます。
なんだか頭が重かった。まるで自分の脳が自分の脳ではないような違和感を覚える。
ぼくはゆっくりと瞼を開いた。
視界が霞んでいた。何度か瞬きをして、焦点を合わせる。なかなかピントが合わず、焦れったくなるほど時間がかかったものの、ようやくぼんやりとした像を結ぶことができた。
「やっと起きたのね」
ぼくのすぐ隣から声がかけられて、そちらに目を向ける。
するとそこには
「………………!?!?!?」
目の前に、ぼくが、いる。
しかもそのぼくは、ぼくと同じ制服を着ている。
つまり、ぼく自身だ。目の下にほくろがあって、黒髪で、まあまあの背格好で、つまりはぼくそのもの。
目をゴシゴシと擦ってみる。何度も瞬きして、じっと見つめる。やっぱりぼくがいる。
「ああっ、目を擦ったら傷がつくじゃない。目を悪くするわよ」
目の前の
自分の姿をしたひとが比奈ちゃんの口調で話すと違和感がすごい。そのせいで、ぼくはますます混乱してしまう。
ここはどこだ?
比奈ちゃんはどこへ?
どうしてぼくがもうひとり?
さっき白い扉に吸い込まれたのではなかったか?
『セックスしないと出られない部屋』か?
混乱したまま彼を見ると、彼は呆れたような表情を浮かべて、やれやれと首を横に振るのだった。
「まったく、しょうがないわね」
彼は床に置いてあった鏡を拾い上げて、ぼくに手渡した。いつも比奈ちゃんがカバンに入れている手鏡だ。
「いいから見てごらんなさい」
促されるままに、ぼくは手渡された鏡を覗き込んだ。
そこには金髪碧眼の美少女が映っていた。眉と目尻を下げて困ったような笑みを作って、唇を引きつらせている。その表情は気弱そうで、けれども顔の造形は見覚えのある顔で。
「………………は?」
ぼくが目を見開いた瞬間に、鏡の比奈ちゃんも目を見開いた。
ぼくが顎を引くと、鏡の比奈ちゃんも引く。
ぼくが顔を近づけると、鏡の比奈ちゃんも近づいてくる。
ぼくがさらに近寄ると、鏡の比奈ちゃんもさらに近づく。どんどんと距離が縮まっていって、ついには鼻と鼻が触れ合うくらいの距離になった。
「は? え、は? え? ……はあ??」
ほっぺたを抓ろうとしたら、彼の手が先に伸びてきて、止められた。
デカい手だ。
いや、彼の手はぼくの手だからそれほど大きいはずがないのだけれど、相対的にぼくより一回り大きい。
「落ちついて」
「おちつけって、だって、ぼくは、ぼくは……ええええええ?」
ぼくの悲鳴は比奈ちゃんの声そのもので、しかし決して比奈ちゃんが上げないような情けない声音であった。
ぼくは自分の身体を見下ろす。
きっちりと着こなした女子生徒の制服。白いブラウスと、赤いリボンタイと、膝丈のプリーツスカート。白いふともも、白いソックス。
それがぼくの身体で、ぼくの身体は女の子で。
体に触って確かめたらきっと女の子のような触感がするはずで、けれどもぼくの手は彼の手に押さえられていて。
「ひ、比奈ちゃん?」
「そうよ。でも、あなたは遊ね?」
「そ、そうだよ……。でも、なんで? ここはどこ? どうして比奈ちゃんがぼくに……?」
「だから落ち着いてってば。あたしもようやく今の状況を把握しはじめたところなんだから」
と、彼──いや、比奈ちゃんだ。ここからは便宜上彼を比奈ちゃんと呼ぶ──は言った。
状況を端的に、ひと言で。
「ここは『セックスしないと出られない部屋』で、それからあたしたちの体は入れ替わったみたいよ」
と。
ぼくと比奈ちゃんの体が入れ替わった。
それはつまり、ぼくが比奈ちゃんになって、比奈ちゃんがぼくになったということだ。
「な、なな、なんでまたそんなことに……?」
「そんなのあたしが知るはずないでしょ」
いや、それはそうだけれども。
あまりにも理不尽な出来事すぎて聞かずにはいられなかったのだ。
比奈ちゃん自身も混乱しているのか、いつもの彼女らしくなく覇気のない様子で髪をいじっている。ぼくの体だからか、その仕草は妙に様にならない。いきなり男になってしまったのだから当然かもしれない。
こういうときは女の子になってしまったぼくも自分の胸に触ったり、秘部に触れて「ある……、ない……!」とかやってみたいところだ。けれど、そんなことをしたら目の前の比奈ちゃんにぶん殴られるだろうなと思って、自重しておくことにした。
「ど、どうする……?」
「どうするもこうするも、まずは脱出する方法を考えるしかないでしょ」
「だ、脱出って……、セックスのこと?」
「ば、バカね! 何言ってるの! あんた、あたしの体で、そ、そういうことするつもりなわけ!?」
「そ、そりゃ難しいけど……」
「ばっかじゃないのっ!!」
「い゛っ」
急に大きな声で怒鳴られてびっくりしてしまった。思わず後ずさってしまう。
肉体が
「あ、ごめんなさい……。大声出して……」
「いや、だ、大丈夫だよ」
嘘である。
めちゃくちゃ怖かった。自分より大きな相手に怒鳴られることって、なかなかない。
でも怒られそうだし、比奈ちゃんに罪はない。なのでそのことは黙っておく方向で。
「と、とりあえず部屋の中を探索してみようよ、比奈ちゃん」
「う、うん……。そうね」
そうして僕らは室内をぐるりと見回す。
壁も床も天井も真っ白な面に囲まれた立方体の部屋だ。どこも白い素材で覆われていて、汚れひとつない。
窓もない。ドアがひとつあって、しかしドアノブはない。
調度品はひとつだけ、部屋の中央にキングサイズの大きなベッドが置かれている。まるで『ここでセックスをしろ』と言わんばかりの風体だ。
シーツは白く清潔で、マットレスもフカフカしているようが見て取れた。
そのとなりにデカデカとした看板が掲げられていて、赤い文字で『ここはセックスをしないと出られない部屋です』とある。ルール説明のようだ。
・ここはセックスをしないと出られない部屋です。
・膣内射精を達成後、ペニスを引き抜いた瞬間に自動的に解錠されます。それまでは絶対に脱出できません。
・室内に飲食物はありません。人間が飲まず食わずで生存できる日数はおよそ三日であるとされています。それまでに脱出されることを強くお勧めします。
以上。
つまり、三日以内にセックスをしなければ死ぬ。そういうことだ。それ以上の情報はないらしい。
「……この日本語、頭悪くない?」
「いや、まあ、確かに悪趣味だよね」
「こんなの誰が用意したのよ」
「さあ……。神さまかな?」
「そんなの居るわけないでしょ、バカね」
ぶつくさと比奈ちゃんが文句を言いながら腕組みをする。
ぼくは神さまは存在すると思ったけれど、信仰は自由なのでそれについては何も言わなかった。
「………………」
それにしても、この状況を作った何者かの意図が全く読めなくて気味が悪い。悪意を感じるというか、嫌がらせというか。誘拐をして身代金を要求するようか、悪い誰かに仕組まれた悪事だろうか。
しかしそれもすぐに否定する。
なぜなら、ぼくと比奈ちゃん以外の人間の気配はまるで感じないからだ。カメラもないし、スピーカーで誰かが話しかけてくる気配もない。それに、ぼくたちの体が入れ替わってしまっている以上これは超人間的な力が働いたと考えるより他ない。
神さまとか、悪魔とか、あるいは宇宙人のしわざ……? などと考えて、自分で自分の考えに苦笑してしまう。いくらなんでも非現実的すぎる。馬鹿げている。
でも他に思いつく理由もないので、どうしようもない。
「ね、ねえ、遊。あなたはどう思っているの……? ええと、つまり……、その……、セッ、クスについて……」
消え入りそうな声で、比奈ちゃんが聞いてきた。比奈ちゃんはぼくとぜんぜん違うこと、すなわちセックスのことをかんがえていたらしい。
頬を赤らめ、恥ずかしそうに視線を逸らしながら聞いてきている。
ぼくの顔でそんな表情をされているにもかかわらず、ちょっと可愛い挙動だ。
ぼく自身がやったらさぞ気持ち悪いだろうけれど、比奈ちゃんなら許せる気がした。
「ど、どうって言われても……、よく分からないよ」
「そ、そう……」
「比奈ちゃんは?」
「あたしは……、その、やっぱり、意味がわからないっていうか……。どうしてあたしたちがそんなことしないといけないのかなって思うし……。それに、これ、遊の体だし……」
もじもじと、内股を擦り合わせるようにして体を揺らす比奈ちゃん。
そうなのだ、セックスをするにしろ、ぼくたちは互いに入れ替わった状態でそれをしなければならないのだ。
比奈ちゃんの身体で、ぼくのモノを受け入れる。
そんな想像なんてしたことがなくてうまくイメージできない。けれどもそれが必要だとされていて、しかも急がなければ、三日以内にセックスしないと比奈ちゃんが餓死する。
比奈ちゃんが、死ぬ。
そちらの想像はしたことがあった。そう、何よりおそろしいのは彼女が死ぬことだ。ぼくにとって彼女はとても大切なひとで、失いたくない存在で。だからもし死んでしまうようなことがあればぼくだって自殺してしまいたいと思うくらいの相手だ。
比奈ちゃんの身体でぼくとセックスをすることよりも、比奈ちゃんを失うことのほうがぼくはずっと怖い。
けれども、比奈ちゃんの体でセックスすることは、つまり比奈ちゃんの肉体の破瓜とトレードオフで、死かセックスかどちらかを選ばなければならなくて……。
「と、とりあえずちゃんと部屋の中を探索してみようか? もしかしたら脱出アイテムみたいなものがあるかも……」
「そ、そうね。何かしらヒントがあるかもしれないし」
そうしてぎこちない会話を交わしつつ、ぼくらは問題から目をそらして室内を調べることにしたのである。
***
三十分ほど経過しただろうか。
「何もないね」
「うん」
結局、収穫はなかった。
この部屋にあるものと言えばベッドと空調設備だけである。
空調設備といってもエアコンではなく、天井に埋め込まれている換気扇のようなものだ。しかし、比奈ちゃんの頭より小さいような空調穴では、仮に手が届いたとしてもそこからの脱出は望めない。
またスマートフォンも圏外で、助けを呼ぶこともできない。
仮に誰かに連絡ができたところで、この部屋の場所を伝えることはできないだろう。なにしろ、ここがどこなのかぼくたちにさえもわからないのだから。
「どうするか……」と比奈ちゃんが腕組みをした。
「うーん……」とぼくも腕組みをして一緒になって悩む。
ふに、と、腕組みをしたら腕に柔らかい感触があった。比奈ちゃんの胸が、ぼくの動きで押しつぶされて形を変えていたのだ。
この体は比奈ちゃんの肉体だから、気をつけないと胸に手があたってしまう。おそらくブラジャー越しのはずでだけれど、それでも女の子の体に触っているという事実が妙に生々しくてドキドキする。
それも、この体は比奈ちゃんの肉体なのだ。好きな子の肉体に触れてドキドキしないはずがない。
なんだかずっとお腹の奥がきゅうきゅうするような感覚があって、困っている。腰から背骨にかけてぞわぞわと甘い感じがするし、胸はブラジャーの締めつけがあるせいか呼吸がしづらい。
常に肉体の違和感が絶えない。
部屋の中を探索している間も、骨格や骨盤の形が違うせいか歩行が妙に不安定だったし、いまだ触れてはいないものの股間の違和感は拭えなかったし。
歩くごとに体にぴったりと密着したショーツがお尻に食い込むし、脚を動かすたびにふともも同士がすれて変な気分になる。
スカートの中に風が通るのは妙に心細くて落ち着かないし、かといって比奈ちゃんのスカートを手で押さえるわけにもいかないし。
比奈ちゃんは普段からこんな感覚に耐えているのかと、今さらながら尊敬する。
「遊、だいじょうぶ……? あなたさっきから顔が真っ赤だけど……」
比奈ちゃんの方こそ顔を真っ赤にして、やや腰が引けた姿勢になっているくせに、ぼくのことを心配してくる。
ぼくは平静を装うために「だ、大丈夫だよ」と言った。
嘘だけど。全然大丈夫じゃないけど。
でも、腰が引けている比奈ちゃんというのも珍しい。普段の彼女なら堂々と胸を張った態度でいるはずだ。それが今は少し内股になって、ぼくの視線から逃れるように俯いている。
もしかすると比奈ちゃんも、ぼくの体になってしまったことで不安を感じていて、けれどもぼくを不安にさせないように気丈にふるまっているのかもしれない。
ここは男のぼくがしっかりして、比奈ちゃんを守らなければ。比奈ちゃんを守れる立派な男になるって五歳の時に神さまに誓ったじゃないか。
ちょっと今は難しいけれど、せめて彼女を気にかけられる男でいよう。
「比奈ちゃんこそ、大丈夫? 熱はない? きみこそ辛かったら言ってよ。何があってもきみはぼくが守るからさ」
彼女に近づいてその頬に手を添える。位置が高いから、ほんの少し背伸びをして。
背伸びして触れた彼女の頬は肉が薄くて、ほんの少し骨張っていて、けれども溶けるくらいに熱くなっていた。ぼくの手が触れると、彼女の肩がぴくりと震えた。
「ゆ、ゆう……」
ぼくを見下ろしてくる瞳はうるんでいて。こんな風に彼女を見上げるのはそれこそ十余年ぶりくらいで、新鮮味を感じた。いつもはぼくのほうがずっと背が高いから。
「…………ッッ」
小さく息を飲んで、それから比奈ちゃんは前屈みでズズズと後ろに下がった。
背を丸めて、小さくなって、それから自分の股間を押さえるみたいに手を伸ばして「……ハッ」とまた息を飲む。よたよた扉のところまで行って、やっぱり鍵が開かないことを確認して、それからまた頭を振る。
めちゃくちゃコミカルで可愛らしい動きだけれど、本人はいたって真面目にやっているようだ。
それから、ハッとした。
つまり比奈ちゃんがずっと前屈みになっている理由について。
ここは『セックスしないと出られない部屋』で、男と女がふたりいて、比奈ちゃんは男で。男が前傾姿勢で股間を隠す動きをする理由はひとつしかない。
つまり……、
「比奈ちゃん、勃起してる……?」
「…………ッッ」
比奈ちゃんはストンとその場にしゃがみ込んだ。股間にモノがある状態で急にしゃがむものだから「うぐっ」と低い悲鳴を上げる。女の子の感覚で急にしゃがんだせいで圧迫されたのだろう、あれが。痛そう。
そして、それ以上の答えはなかったけれど、その反応だけで十分だった。
彼女は頭を抱えるように両手で自分の髪をかきあげながら、そのまま床にぺたりと座り込んでしまう。
「ご、ごめんなさい……」
消え入りそうな声で言った。
申し訳なさと羞恥心がにじんでいる。比奈ちゃんにしては珍しい態度だ。
謝られる理由がわからなかった。ぼくに比奈ちゃんを責める権利なんてないし、それにそもそもこの状況自体が悪いのだ。比奈ちゃんは悪くない。
勃起くらいぼくだって毎朝している。起こしにくる比奈ちゃんにバレないようにするのが大変なくらいで、つまりそういうものだ。
「どうして比奈ちゃんが謝るんだよ」
「だって、その、今のあたしって、遊の体だし……。遊は真面目に脱出のために探索しているのに、あたしは変なことばかり考えて……」
「………………」
「で、でも、遊が悪い面もあるのよ!
あんたの体なんかやたらいい匂いがするし、あんたスカートの裾を気にしないからずーーーっとパンツ見えそうだし、見えたとしてもあたしのパンツなのにドキドキするし、距離感が近いし、不用意に触れてくるし、手のひら柔らかいし、喋り方とか仕草も全部あたしとは違うし、あたしより女の子らしいし、可愛いし、なんか小動物みたいな雰囲気出してるし、あたしの体のくせに可愛いし、そのくせ自分がどんなに魅力的なのか全然わかってなくて無防備な格好で近寄ってくるし、そんなの耐えきれなくて当然でしょ!」
だだだだだ、と早口でまくしたてる比奈ちゃん。
その勢いに押されて、ぼくは「え、あ、はい……」と返事をしてしまった。
要するにぼくが無意識に比奈ちゃんを挑発していたせいでムラムラが限界に達してしまったということだろうか。
言われてみればぼくの言動は比奈ちゃんに対して無神経だったと思う。
つまり、ぼくがいきなり比奈ちゃんに触られたらドキドキしてしまうし、スカートの裾からふとももやら何やらかんやらがチラチラ覗いていたりしたら誘惑されてしまうだろう。
女の子の身体に不慣れだったせいで比奈ちゃんを気遣う余裕がなかった。反省しなければならないと思う。
というか、比奈ちゃんを勃起させてしまった責任を取るというか。ついでに比奈ちゃんの命を救うというか。
まあ、それってセックスなんだけど。
「あのさ、比奈ちゃん」
「な、何よ」
「えっと、セックスする? しないといけないんだしさ、お互い別の体だけど、比奈ちゃんが嫌じゃなかったら、してみる……?」
「………………」
比奈ちゃんは黙ったまま、顔を伏せてしまう。
「だ、ダメかな? そりゃあ、比奈ちゃんはしたくないよね……。そりゃあ好きでもない相手とそういうこと、しかもぼくの体で、きみの体とするなんて。でも、このままだと三日以内に餓死しちゃうし、生きるためだから、だから……」
「……あんた、あたしにブチ犯される覚悟はできてるの?」
「お、おか……!?」
「そうでしょ?
あたしのペニスで遊の処女膜を破って、血だらけになった遊のアソコに何度も何度も何度も何度もピストン運動をして遊を孕ませてもいいの? 遊はそれで後悔しないの? あたしのこと嫌いにならない? あんたの妊娠上等ドスケベおまんこをガバガバになるまで使い潰すような真似をされても文句言わずに許せる?
ほとんど睨みつけるように見つめられて、ぼくは言葉を失った。
比奈ちゃんが強い言葉を使うのは、彼女が怖がったり強がったりしている時の癖だ。今回は強い言葉に強い言葉を重ねているから、相当に怖がっているか、あるいは緊張しているのだと思う。
彼女は何を怖がっているのか?
それはたぶん男としてセックスをすることではなくて、自分が傷つくことでもなくて、おそらく、ぼくに嫌われること。
セックスをした結果ぼくに嫌われることを、比奈ちゃんは何よりも恐れている。直感的にそれがわかった。
だからぼくはもう一度うずくまる彼女の前に膝をついて、ふたたびその頬に手を添えた。
「大丈夫だよ」
「……ッ」
「ぼくは比奈ちゃんのことを絶対に嫌いになったりしないよ。約束する。ぼくが比奈ちゃんを嫌うなんてありえないから。どんな目に遭っても、ぼくは比奈ちゃんのことが大好きなんだから」
ぼくの言葉を聞いて、比奈ちゃんは目を見開いた。
彼女の瞳の中にぼくが……、というか比奈ちゃんの顔が映っていて、それがまるで鏡のように思えた。
「だいじょうぶ、ぼく達ならきっと上手くいくよ。安心して、落ちついてやってみよう。ふたりで協力すれば何とかなるはずだから」
「…………」
比奈ちゃんはしばらく沈黙した後、小さく「……うん」とだけ言った。
ぼくは彼女を抱き寄せて、そっと頭を撫でてあげる。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ……」
呪文みたいに言い聞かせると、比奈ちゃんはようやく落ち着いたようで、ぼくの腕の中で体を預けてくれた。
「……遊の体、柔らかい」
「比奈ちゃんの体だよ」
「そうね。さすがはあたしだわ」
「自分で言う……? 自信家だね」
「そう、あたしは何にでも自信満々でいるのがあたしよ。知ってるでしょう?」
「まあね」
ぼく達は顔を合わせて笑った。
お互いに元の自分の顔ではないので変な気分だけど、それでも心が通じ合っているのを感じることができた。
心の方も吹っ切れて、ほんの少しだけ気楽になってきた。
比奈ちゃんのほうも調子が戻ってきたらしい。生来の勝気さが見えてきた。世界でいちばん格好よくて頼りになるぼくの幼馴染だ。
「さあ、やるわよ、遊」
「うん。ええと、お手柔らかに? で、いいかな、比奈ちゃん」
「ええ。ここは男のあたしがリードしてあげるから、あなたはただ身を任せてくれればいいわ」
「……ありがとう」
「我慢できずにブチ犯したらごめんね」
「痛くない程度にお願いします」
「善処する」
比奈ちゃんはぼくの頬にキスをした。柔らかかった。
それから唇を離すと、彼女はひょい、とぼくの体を持ち上げてくる。お姫さま抱っこだ。
「……あっ、ちょ、比奈ちゃん」
めちゃくちゃ簡単に軽く持ち上げられたのでびっくりした。
けれど、ぼくの身体である比奈ちゃんにとっては造作もないことだとすぐに察した。伊達に鍛えてはいない。ぼくの体ならこれくらいできるだろう。
そのまま揺れることなくベッドまで運ばれてしまう。
ぼくを抱きかかえる比奈ちゃんの腕は思ったよりも大きくて、力強かった。なんだか安心感があって心が落ちついてしまう。自分より大きな存在に抱きしめられるなんて、男のままではめったにできない。
体の力を抜いて比奈ちゃんに身を任せると、彼女はゆっくりとぼくをベッドの上に下ろした。
ベッドはフカフカで清潔で寝心地が良さそうで、これから行われるであろう行為の生々しさなどは感じさせない。むしろ眠くなるほどで。といっても心臓は早鐘を打っているけれど。
「目を閉じて、全身の力を抜くの。あたしにすべてを委ねなさいね? わかった?」
その問いにぼくは答えなかった。
ただ四肢を投げ出して、目を閉じて、何もかもを彼女に委ねたのである。
***
「遊に下着を見られるのは恥ずかしいから、あんたを脱がせる間はずっと目をつむっていてね。脱ぎ終わったら目を開けてもいいけど、あたしの身体を見てもがっかりしないこと」
比奈ちゃんは穏やかな声で言った。
ぼくはそれに黙ってうなずく。
まずブラウスのボタンをひとつひとつ、丁寧に外されていった。他人の逆ボタンを外すのはおそらく初めてであるはずなのに比奈ちゃんの手つきは淀みなかった。
ぷち、ぷち、ぷち、とヘソの下あたりから順番に、まるで何かの儀式のように脱がされていく。腹部がひんやりとした空気が肌に触れて少し寒かったけれど、それを口に出すことはない。黙って心臓の音を聞いている。
ふかふかのベッドと比奈ちゃんの身体の発する熱のおかげで、身体はすっかり温まっていた。
「ブラも外すわ」
背中を起こされて、ブラウスの腕を抜かれた。そして背中のホックに触れられた。自分がブラジャーをしているという事実を認識して思わず赤面してしまう。
「んー?」
「な、なんでもないです……」
不思議そうな声を上げる比奈ちゃんに慌てて返事をする。
彼女は特に追及することなく、淡々と作業を続けた。ホックが外れる感触があって、急に締めつけがすっきりした。
「腕を上げて」と指示があったのでバンザイすると、肩紐を抜き取られて、胸元を覆っていたものがなくなった。
今朝までは男でブラジャーなんてしていなかったのに、今はなぜか胸を見られたことで急に恥ずかしくなる。不安にもなる。比奈ちゃんの体だからだろうか。
「あぅ……」
「どうしたの?」
「えっと……、だいじょうぶ……?」
「大丈夫よ。さすがはあたし、綺麗な胸だわ。どこへ出しても恥ずかしくない」
そういう問題ではないのだけれど、もう反論する元気はなかった。
それからまた寝かされて、今度は靴下を片方ずつ、時間をかけて引き抜かれた。それから体のサイドにあるスカートのホックを外された。
「ちょっと腰を浮かせてくれる?」
言われた通りにする。スカートがするりと抜け落ちて、下半身を覆うものはもうショーツだけになる。
「うう……」
「まだ目を閉じていてね。ショーツを見られるのはさすがに恥ずかしいわ」
比奈ちゃんは優しくぼくの髪を撫でて、額にキスしてくれた。ぼくはされるがままになりながら、彼女の次の行動を待った。
そしてショーツの腰あたりに手をかけられたので、アシストするようにふたたび腰を上げる。どうしてぼくはこんなにも協力的なのだろう。これから犯されるというのに。
ゆっくりと丸まるようにショーツが脱がされていく。
秘部に貼りつくように一瞬だけクロッチが残心したけれど、すがりつくこともなく離れていく。ぬと……っ♡とわずかに粘液が糸を引いた気がしたけれど、目を閉じてじっとしているので確かめることはできなかった。
比奈ちゃんも秘部に対する感想はとくに言わなかった。
ただ耳元に口を寄せてきて、囁く。
「いい子ね……」
比奈ちゃんの低い声に、ぞく……っ、とする。
今、比奈ちゃんがどういう表情を浮かべているのかも想像できなかった。それでもその優しい囁きからは慈しみのようなものを感じて、ぼくは安心することができた。比奈ちゃんはぼくを傷つけない、大丈夫だ。
「……っ♡」
「はい、もう服は仕舞ったから目を開けてもいいわよ。恥ずかしいけれど、いつまでもこのままじゃ辛いでしょうからね」
比奈ちゃんの声に従って、ぼくはおそるおそる目を開ける。
「……ッ」
目の前には
比奈ちゃんの胸は美しい曲線を描いていた。
重力に逆らうようにツンとしたと上向きの乳房に、桜色の乳首がちょこんと乗っかっていて可愛らしい。
当然だけれども男性の乳首よりもぷっくりとしていて大きい。といっても大きすぎるというほどでもない。
胸のサイズ自体もさほど大きくはなく、せいぜいBカップくらいだった。それでも十分すぎるくらいに美しかった。
無意識にそこへ手を伸ばすと指先が触れた瞬間に、当然だけれども触れられた感覚があった。ふに、として柔らかい。
「こら、どこ触ってるのよ」
「ご、ごめん……。でも、すごく柔らかくて……、その、可愛いなって思って」
「……っ、ばか」
比奈ちゃんに手を押さえられて、ぼくは仕方なく手を離す。
確かにひとの胸に勝手に触れるのはよくない。いくらこれからセックスをするとはいえ。
そのまま視線を下ろすと、するりとした縦線のヘソと、きゅっとくびれたウエストと、広い骨盤と、それから恥丘の膨らみが見えた。
男性器は、ない。
当たり前といえば当たり前なのだが、女性の象徴たる割れ目がそこにはあった。鼠径から股間にかけてのあまりにも曲線的で芸術的なラインが描かれていて、息を呑んだ。
なぜか下腹部がきゅうううんっ♡と切なくなってしまって、ぼくは思わずふもももをすり合わせる。そのふとももさえも肉感が滑らかで、男の脚とは比べ物にならないくらい柔らかくて、艶めかしくて、ぼくはごくりと唾を飲み込んだ。
理由もなく涙が浮かんできて、視界が霞んだ。
「……どう?」
「えっと、めちゃくちゃ綺麗だと思う。昔から思っていたけど、比奈ちゃんって本当に美人でスタイルが良くて、すごいよ」
「………………そう」
しぼりだすように、比奈ちゃんはそれだけ言った。
見ると、ものすごく赤面していた。どうやら恥ずかしかったらしい。ぼくの顔であるのに表情は比奈ちゃんのそれで、感情が漏れ出てしまっている。
羞恥心と、それから僅かな後悔、だろうか。
「できたら別のタイミングで、あなたに服を脱がせてもらって同じセリフを言われたかったな……」
「………………」
しっとりとした声で呟いてから、比奈ちゃんはぼくの頭を撫でてくれた。
ぼくは黙って両腕を彼女の方へ伸ばした。ハグしてほしい、というジェスチャーだ。こんな動作をするのは初めてだったけれど、不思議と違和感なくおこなうことができた。
「抱っこしてほしいの? もう、しょうがないわね」
彼女は微笑んでから、ぼくの体を抱きしめてくれた。裸の胸が彼女の身体に押しつぶされて、柔らかな感触を伝えてくる。
ぼくも彼女の背に腕を回して、ぎゅーっと抱きついた。
お互いの体温が溶け合うような心地よさがあって、このまま眠ってしまいそうになる。
しかし比奈ちゃんはぼくの肩を掴んで、ゆっくりと引き剥がした。
そしてそのままベッドへと寝かされる。
「続き、やるわよ」
「う、うん」
「遊はそこで横になって。あたしが全部やってあげる。天井のシミでも数えていて」
白い天井が見える。つるりとした質感で、照明の光が反射している。シミなんてひとつもなかった。
だから四肢を弛緩させて目を閉じた。
比奈ちゃんがベッドに上がってくる気配がした。
ぎし、というスプリングの音と共に、ぼくの体が沈み込む。
「ん……」
目を閉じていても、自分の顔が近寄ってくるのがわかった。吐息を感じる距離まで迫ってきている。
「これからあなたの体を愛撫します。その結果あなたは気持ちよくなって声が出たり、濡れたり、腰が揺れたり、あるいは気をやってしまうかもしれません。
けれどもそれらはすべて正常な反応であり、自然なことなのです。わたしに身を委ねていればすべてうまくいきますからね」
まるで催眠術師のような口調で、比奈ちゃんは言った。
もしかすると自分に言い聞かせて覚悟を決めているのかもしれない。
「まずはキスから始めましょう。ファーストキスですが、今は異常事態なのでノーカンとしてください。いいわね? いくわよ、力を抜いてね」
比奈ちゃんはぼくの頬に手を当てて、それから軽く持ち上げた。
目をつむっているので何も見えないけれど、唇の先に何かが触れたのを感じた。それが比奈ちゃんの唇だとすぐに理解する。
「……ん」
「……ん」
柔らかい感触が伝わってきた。ファーストキスだ。
ちゅ、ちゅ、ちゅーっ♡と三度、角度を変えつつキスをされる。目を閉じているから彼女の顔は見えなくて、だからこそ比奈ちゃんと口づけをしているという事実が強く意識された。
(これが……、比奈ちゃんとのキス……)
ぼくは感動に打ち震えていた。
ずっと前から好きだった女の子とこんなことをできるなんて。何度も妄想したことはあるけれど、まさか現実になるとは思わなかった。
じわーっ、と脊椎のあたりが痺れていく。幸福感のようなものが溢れてきて、なんだか頭が霞んでくる。
もしかするとこの頭に収まっている比奈ちゃんの脳が幸せ物質を出しているのだろうか。ぼくとのキスで。
「あぅ……っ♡ ……ん、……、……っふ♡」
息継ぎのために口を開いた瞬間に、ぬ゛ろぉ……っ♡と口内に舌が入り込んできた。生温かいものが歯茎に触れて、それから粘膜同士が擦れる。
大きな舌が、ぬる、ねりゅっ♡とぼくの唾液を舐め取るように動く。それから上顎のあたりをちろちろとくすぐる。
ぼくはされるがままになっていた。
歯列を、内頬を、舌の表裏を、丁寧になぞられる。ぬるりとしたものが這うたびにぞくぞくと背筋が震えて、その快感にぼくは戸惑った。
「……ぁ、……あぅ……ぅ♡ ……っふ、……ぢゅるるっ♡」
比奈ちゃんの口の中は甘く蕩けそうな味がした。舌先と舌先が触れ合って、その度にびりびりと電流が走るような感覚がする。
思わず内ももを擦りあわせるようにすると、滑らかな肌が擦れてそれすらも快楽に感じられた。胎の奥からどろりと粘性のある液体が流れ出る感覚がして、尻の方まで垂れていく。その気恥ずかしさに顔を赤くした。
「っふ……、……ぷはっ」
比奈ちゃんは口を離すと、銀色の糸を引いた。その淫靡な光景にどきりとする。
ぼくの口の端からは飲み込みきれなかったふたり分の混ざった唾液がこぼれ落ちて、シーツを濡らしていた。
「はぁ、はぁ……。比奈ちゃん……♡」
「顔が蕩けているわ、遊。とっても可愛い、牝の顔だわ。あたしの顔って、そんな表情もできるのね……」
「ん、比奈ちゃん、ぼくは……」
「だいじょうぶ、わかってる。キスで気持ちよくなってもいいのよ、安心して。あたしはキスの妄想だけでも気持ちよくなれるわ。
ほら、深く息を吸って……。そう、いい子ね……」
比奈ちゃんは大きな手でぼくの頬から首筋を優しく撫でてくれた。それだけで安心する自分がいた。
それから比奈ちゃんはぼくの鎖骨に指を滑らせて、ゆっくりと胸元に下ろしていった。
乳房の膨らみを包むように手を置くと、そのままふにふにと揉まれる。
「は、う……っ♡」
胸全体が刺激されて、甘い感覚が全身に広がっていった。乳房全体をほぐすようにして、指先が沈み込んでは離れる。
自分の胸が揉まれるという感覚に、ぼくは戸惑いを覚えずにはいられなかった。胸板ではないのだ。女性の象徴たる乳房なのだ。
脇の方から肉を寄せ集めて、真ん中へと集めるように乳房を持ち上げられる。その動きに合わせて胸が形を変えるの感覚がとても恥ずかしい。けれど、痺れるような心地良さも同時にあった。
胸の中心に向かって甘い痺れと血液が集まってきて、乳輪の辺りがぷっくらと膨らんでいくのがわかる。
「……ひっ♡ あっ、ひ♡ 比奈ちゃん……っ♡♡ 胸が、熱くてぇ……っ♡♡」
「おっぱいを触られていると気持ちよくなるでしょう? 大丈夫、怖くないわ。わたしも普段はこうして触ってる」
「ぼくは怖いんじゃなくて、ドキドキして……っ♡♡♡」
「人の胸を撫でるのってこんな感じなのね。すごく興奮するわ……。やわく揉んでいるだけなのに、遊の牝顔をみていると心臓がどくんどくん言ってて、熱い……。
乳首をカリカリしてあげたらもっと気持ちよくなれるかしら?」
「うあ……っ♡♡ な、ちくび……ぃ♡♡」
比奈ちゃんは人差し指の先端を軽く立てて、勃起したピンク色の突起をかりかりっと引っ掻くようにした。途端に鋭い電気が走ったかのような衝撃を受ける。
腰が跳ね上がりそうになるくらいの強い刺激に目を見開いた。目の前の比奈ちゃんが興奮した様子でぼくの瞳を覗き込んでいた。
「はぁ……っ♡♡ 比奈ちゃん……、これ……♡♡」
「大丈夫。こうして乳首をくりくりされるのが気持ちよくて、お腹がきゅーっと疼いて、子宮が降りてきちゃうのは正常なことなの。だから恥ずかしがらないで、気持ちよくなって」
最初は爪の先で乳輪のまわりの色の薄い部分を焦らすように撫でられて、それから指の腹で円を描くように先端を責められる。
くにゅ、くりっ、こりっ、と敏感な部分を撫でられると乳頭から乳腺を通して全身に甘みが染み渡っていく。
ぼくは自然と背を反らして、胸を突き出すような姿勢になってしまう。そうして触ってもらうために自ら弱点を差し出していることに気がついて、羞恥心に涙が滲んだ。
「や、やだ……っ♡ 比奈ちゃん、ひ……っ♡♡ きもちぃ……っ♡♡」
比奈ちゃんは両方の乳頭を同じようにいじめてから、今度は左右の乳房をぎゅっと寄せて、同時に乳頭を弾いた。
強い快感が走って、視界が真っ白になる。下半身からじゅわっ♡と粘液が溢れるのがわかった。
「ん゛ぁっ♡♡♡」
比奈ちゃんはぼくの反応を見て楽しむかのように、そのまま左右交互にぼくの乳首をこりこりと弄んでいく。
それだけではなく、ぼくの内ももをさわさわと撫でながら秘部に近づいたり、また遠ざかったりを繰り返した。
ふとももの付け根の部分から秘部のそばの股えくぼまでを行ったり来たりしている。決して女性器には触れようとしないのに、その周辺ばかり執拗に愛撫されるせいで、もどかしさが募っていった。
「んぅ……っ♡ あぅ……、ふぅ……っ♡♡ 比奈、ちゃん……っ♡」
秘部に触れてほしい、のに、触れてもらえない。
もどかしい感覚に、無意識のうちにへこへこと腰が揺れてしまう。
(あぁ、そこも触ってほしいのに……っ♡)
触ってもらえないことへの不満が溜まってくる。
けれどぼくはどうすればいいのかわからない。女の子の身体でこんな風に感じるなんて初めてだったから、比奈ちゃんにすべてを委ねることしかできない。
自分に男性器が存在しないという感覚。快楽器官としての膣と子宮と陰核とが「触って♡♡ 触って♡♡」「牝にして♡♡ 堕として♡♡」と叫んでいるようだった。
その声はぼくの理性を削り取っていく。
「……っふ、……はぁ、はぁっ♡ 比奈ちゃん……っ♡ お願い、もう……っ♡」
「本当に、あたしより気持ちよさそうにおねだりして……。まったく、あたしより牝の才能があんじゃないの? でもダメよ。もう少し我慢して」
「そんな……っ♡ も、だめだよぉ……っ♡♡」
「だってその体はまだ処女なのよ。いきなり入れたら痛いに決まってる。ちゃんと慣らさないと血が出ちゃうかも。遊は
「うぅ……っ♡♡ でも、比奈ちゃん、ぼく、ぼく……っ♡♡」
「遊はあたしの言う通りにしてればいいの。ほら、おまんこなでなでしてあげるから、ちゃんと意識を集中させて」
「あぅ……っ!?♡♡」
比奈ちゃんは右手のひらをぼくの秘部に接触させて、覆うように添えた。それから指先を少し曲げて、秘裂に沿って上下させる。
くぱくぱと開閉をくり返しながらがんばって蜜を吐いていたぼくの秘部は、たったそれだけで簡単に綻びはじめた。
割れ目をなぞるだけの優しいタッチなのに、それだけで頭がぼうっとなってくる。ぼくは言われた通り、比奈ちゃんの手に神経を集中させた。
「はぁ……っ♡ う、ぁ……、はぁぁぁぁ……っ♡♡ ひ、うぅ……っ♡♡」
「指先にぬるぬるした感触があるわ。これが遊のおつゆね。あたし普段はこんなに濡れないのに、遊は感じやすいのね」
比奈ちゃんはぼくの耳元に顔を寄せて、舌を這わせた。ぴちゅ、と湿った音が脳髄に直接響く。
ぬぞ……っ♡れ゛ろ……っ♡と耳穴に舌を入れられて舐められると、背中がぞくぞくとした。
もちろん秘部の表面を揉むようにして擦られていることも忘れてはいない。比奈ちゃんの手に包まれてゆっくりと解されているだけなのに、それだけでどんどんと性感が高まっていく。
柔らかな陰唇が左右に割り開かれて、止めどなく愛液を垂れ流す膣口の粘膜が空気に触れる。手のひらで包み込むようにしながらゆっくりと揉まれているだけなのに、ぼくはどんどんと追い詰められていった。
「はぁ……っ♡ は、は……っ♡ 比奈ちゃん、これ……っ♡♡ なんか変な感じ……する……っ♡♡」
「大丈夫、そのまま感じていて……。ほら、遊のクリトリスが大きくなってきたわ。勃起してるの」
クリトリスが勃起する感覚は、ペニスが勃つ感覚とはまるで異なっていた。男性器は刺激されると血液がそこに集まってくる感覚があるが、女性器は違う。
女性器全体が脈打つような感覚があって、それがだんだんと大きくなっていくのだ。それも体表だけではなくて、内奥からも。その感覚はぼくにとって未知のものだった。
「はぁ、はぁ……っ♡ あぁ、比奈ちゃん……っ♡♡」
「可愛い……。気持ちいいのね、遊。それが女の子の『気持ちいい』よ。ほら、もっともっと気持ちよくなって……」
「ん、ひ……っ♡♡ ……っあ、あああっ♡♡」
ついに比奈ちゃんはぼくのクリトリスを摘み上げた。ぼくのそこは親指と人差し指の間に挟まって、優しくすり潰すようにされてしまう。
それと同時に乳首もくりくりと弄られて、耳も舐められていて、ぼくは一気に高みへと押し上げられてしまった。
「ひあぁ……っ♡♡ らめぇ、それぇ……っ♡♡ 気持ち良すぎてぇ……っ♡♡ ぼく、ぼく……っ♡♡」
「イキそうなのね。いいわ、このままイッて」
「や、やだ……っ♡ ぼく、男なのに……っ♡♡ 女の子みたいにイクなんてぇ……っ♡♡」
「ばかね、今更何を言ってるの。ここで止まったらかえって苦しいだけよ。大丈夫、あなたは何回でもイケるから。何度でもイカせてみせるわ」
「比奈ちゃん……っ♡♡ 比奈ちゃん……っ♡♡」
「ほら、イッて、遊」
まろび出された陰核の裏側を指先で擦られ、同時に乳首を甘噛みされた瞬間、パチッと目の前が真っ白になった。
全身を電流のような快感が駆け巡って、腰がガクンガクンと跳ね上がる。視界がチカチカして何も考えられない。ぐるん、と眼球が裏返ったような感覚があった。
背筋がのけ反って、お尻を浮かせて、足指をぎゅうっと丸めながら、ぼくは絶頂を迎えた。
「あ゛っ♡♡♡ イグっ♡♡♡ イクっ♡♡♡ ぼく、女の子で……っ♡♡ お゛っ♡♡ あ゛~~~~~~っっ♡♡♡」
腹筋が痙攣して、秘部がとろとろと蜜を吐き出す。
それは紛れもないオーガズムだった。しかもただの絶頂ではない。女の子の絶頂。
子宮が降りてきて、快楽を貪欲に求めようとする浅ましい牝の本性を暴かれるような、堕ちるような絶頂だった。
ぼくは全身をがくがくと痙攣させながら絶頂している。頭の中が真っ白になって、けれどそれでも比奈ちゃんの責め手は止まらなかった。
「お゛ぁ……っ?♡♡ まだ、イグっ♡♡ イッてるのにぃ……っ♡♡ やめて、比奈ちゃん、お願いぃ……っ♡♡」
絶頂によって収縮と弛緩を繰り返す秘部が緩みきるタイミングで、比奈ちゃんの中指が膣内に侵入してきた。
ぼくの愛液をたっぷりとまぶされて、滑りを帯びた指先は抵抗もなく根元まで飲み込まれる。
絶頂のさなかの敏感な胎内を、内側から直接撫でられる感覚に、また新たな絶頂を迎えてしまう。比奈ちゃんの指を膣内の肉ひだの一枚一枚が歓迎するように絡みつくのを感じて、恥ずかしさに涙が出た。
「すごい締め付け……。それに熱いし、柔らかい……。ふふ、遊のここ、あたしの指を離したくないって吸い付いてくるわ。そんなに欲しいならたくさんあげないとね」
「あぁ……っ♡ あぁ……っ♡♡ だめ、比奈ちゃん……っ♡♡ いま、敏感だからぁ……っ♡♡」
「だいじょうぶ。ほら、あたしは指を動かしてはいないわ。あなたのお膣が勝手にきゅうきゅうって喜んでるだけ。わかるでしょう?」
「そ、そんなぁ……っ♡♡」
比奈ちゃんの言う通りだった。ぼくの意思に反して膣壁が比奈ちゃんの指に媚びるように絡みついていく。もっとほしいとねだっているかのように。
その事実が信じられなくて、けれど、否定すればするほどに体は反応を示して、比奈ちゃんの言葉が正しいということを思い知らされるようで。
そして体の内側を触られることが、胸を揉まれることが、女性性感を与えられることが、こんなにも気持ち良いことなのだということを教え込まれていく。
まだ比奈ちゃんと入れ替わって数時間だというのに、ぼくはもうすっかり比奈ちゃんに馴染んでしまっていた。気持ちいいのが止まらない。
「やだやだぁ……っ♡ 比奈ちゃん、ぼく、こんなの……っ♡♡」
「嫌じゃないでしょ。ほら、素直になりなさい。遊はあたしの体で気持ち良くなりたいのよね。ほら、クリトリスも触ってほしいでしょ?」
「あ゛……っ♡♡ あ゛あ゛あ゛っ♡♡♡ そこぉ……っ♡♡」
クリトリスを指先で転がされ、弾かれ、膣内の指は二本に増えて、それぞれバラバラの動きで膣肉を掻き乱される。
圧迫感があるのに、苦しさはまったくない。むしろ心地よい。
ぼくは比奈ちゃんの指に完全に屈服させられてしまっていた。
「遊、イキっぱなしね。可愛い……。ほら、またイッて」
「あ゛っ♡♡♡ や、やだぁ……っ♡♡ ぼく、男なのにぃ……っ♡♡ こんなのダメだよぉ……っ♡ お゛っ♡♡ やだ、やっ♡♡♡」
比奈ちゃんに言われた通り、ぼくは何度も達した。
脳内で快楽物質が分泌されているのだろう。ぼくは幸福感に包まれていた。頭がほわほわの綿花にでもなってしまったかのよう。
ぼくは今、女の子として絶頂している。比奈ちゃんの体を使って、女の子の快感を得ている。
その事実さえも忘れてしまうほどに深い絶頂の渦に飲まれて、解きほぐされて、くたくたのほわほわになっていく。
ぼくは女の子に変えられていく。
それがたまらなく幸せで、気持ちよくて。
そうして幸せの海に浸りながら、ぼくは水面に溶けるみたいに全身を弛緩させていくのだった……。
***
ぼくはベッドの上でふにゃふにゃに蕩けていた。
さんざんっぱら絶頂させられて、全身の筋肉が弛緩しきっていた。比奈ちゃんの体は本当に気持ちが良くて、ぼくはその体から与えられる快楽に溺れてしまっている。
女の子の肉体というのは、すごい。
ぼくは今まで男としての自分の体を疎んじたことは一度もなかった。けれども、こうして比奈ちゃんになってしまってその肉体から与えられる悦楽を知ってしまうと、もう元には戻れないような気さえする。
まるで脳みその形が快楽によって歪められてしまったかのようだ。ぼくはぼんやりとした意識のまま、ただひたすらに余韻に浸ることしかできなかった。
「遊、大丈夫……? どこか痛いところはない?」
「んぅ……っ?♡」
比奈ちゃんが心配そうな表情をして、ぼくの頬を撫でてくる。それだけで子宮がきゅんっと疼いて、ぼくは甘い声を漏らしてしまった。
そんなぼくの反応を見て比奈ちゃんはクスッと笑うと、いちどベッドから下りて伸びをした。
それからカチャカチャと音を立ててベルトを抜いて、衣類を全部とっぱらって裸になった。当たり前のような動作だった。
ぼくはその様子をぼうっと眺めている。
比奈ちゃん今の体、つまりぼくの元の体がどういうものかは見慣れているつもりだったのだけれど、こうやってまじまじと見るとまた違った印象を受ける。
筋肉質とまではいかないまでもしなやかで、薄らと腹筋が割れていて、引き締まっている。手足は筋張ってすらりと長く、肩幅もそれなりにある。
けっこう鍛えたから、それなりにそれなりである自覚はあった。けれどもこうして目の前にすると圧倒的な雄性というか、男性的な力強さを感じる。
もちろん股間もピンと立ち上がっていて『オレは男だ』と主張するみたいに力強くて、その存在感は圧倒的だった。
「遊、続きをするわよ」
「つ、づき……っ♡」
比奈ちゃんの口から出た言葉に、ぼくの心臓がドキッと跳ね上がった。
そうだ。この行為はぼくが絶頂して終わりではないのだ。
むしろ先ほどの愛撫は前戯に過ぎなくて、これから行われる本番──すなわち、ぼくの膣に比奈ちゃんのペニスを挿入するという行為──こそが脱出のために必要なことなのだ。
ぼくのそこは比奈ちゃんの手によって散々可愛がられてとろとろになっている。
今すぐにでも比奈ちゃんを受け入れられる準備は整っていて、ぼくの秘部は期待するようにひくついていた。怖くないといったら嘘になるけれど。
「やるわよ、遊」
「あ……、は、はい」
比奈ちゃんが全裸のままこちらに近づいてきて、ぼくは思わず敬語で返事をしてしまう。
上から見下ろされると自分がとても小さな生き物になってしまったように感じて、ゾクゾクするような被虐心が湧き上がってくる。
ぼくを見下ろす瞳が熱っぽく潤んでいるのを見ると、お腹の奥の方が火照る。切なくなってくる。そこに子宮があるのだということを思い出す。
「あ……っ♡」
比奈ちゃんが覆いかぶさってきて、裸の皮膚と皮膚が触れ合う。溶ける、と思った。それほどまでにお互いの温度が交わっていく。
肌の表面だけでなくて体の奥底まで熱が溶けあって混ざっていくような感覚があって、しかも相手が大きいせいだろうか、大きなものに守られる安心感があった。
フーーッ、フーーッ、と発情した様子の比奈ちゃんの吐息が首筋に当たって、背骨に沿ってぞわぞわしたものが流れる。腰がくねる。子宮がきゅんと反応している。早くしてほしいと訴えかけているみたいに。
「遊、我慢できなかったら、ごめん。あたしも余裕がないの……」
比奈ちゃんが申し訳なさそうに言う。
彼女は優しい。ぼくが嫌がるようなことは絶対にしない。
童貞である彼女にとってセックスの経験なんてないはずだ。ずっとギンギンにたぎるものを我慢してぼくに愛撫をしてくれていたのだろう。
なのにぼくのことを気遣ってくれて、少しでも負担が少ないようにゆっくりと事を進めてくれようとしている。それがどれだけ大変なことか、想像に難くない。
大切されている、と感じた。それが嬉しくて、同時になんだかもどかしくて、胸のあたりがきゅうっと締め付けられる。
「だいじょうぶだよ、比奈ちゃん。好きにして、むちゃくちゃにして」
「うん……、ありがと」
比奈ちゃんがぼくの顔の横に肘をついて、ぼくらは至近距離で見つめあう。半分くらい獣で、もう半分くらいは慈母のような、そんな不思議な目をしていた。
思わず口を広げると、捕食されんばかりの勢いで唇を塞がれた。
「ん゛っ♡ ……、んぶ……っ♡♡ ……、……む゛っ♡♡」
舌が侵入してくる。まるで蛇のように比奈ちゃんのそれはぼくの口腔内を這いずり回る。歯茎をなぞられ、上顎を擦られると、鼻から抜けるような声が漏れた。
慈しむようなキスではなかった。むしろ欲望を丸出しにした貪欲な口づけ。舌を絡まされて、唾液を飲まされて、呼吸を奪い尽くされて、蹂躙される。
けれど不思議と不快ではなくて、むしろもっと欲しいと思ってしまう。酸欠で苦しいくらいなのに、もっともっととねだるように彼女の舌に自分の舌を接触させてしまう。
ぼくは比奈ちゃんの背中に腕を回して、しがみつくみたいに抱きついた。もっと密着したい。ひとつになりたい。
ぼくの体はすっかり比奈ちゃんを受け入れる体勢になっていて、膣奥がヒクついているのが自分でもわかった。
「……ぷはっ♡♡」
ようやく解放される。二人の間に銀色の橋が架かって、そして切れて落ちてきた。
比奈ちゃんはぺろりと上唇を舐める。肉食獣の目。被捕食者はぼく。ゾクゾクする。
彼女はそのままぼくのふとももを掴んで、左右に割り開く。ぐぱぁ……っ♡♡とぼくの膣穴が口を開けて、中からトロリと粘液が溢れ出た。
ひくひくと痙攣していて、震えるたびに蜜を吐く。垂れた愛液がお尻の穴の表面を通過するときに、くすぐったいような、気持ち良いような、奇妙な感覚に襲われてぼくは身を捩らせた。
「……挿入れるわ」と比奈ちゃんがシンプルに言う。
「いいよ……。比奈ちゃんなら、何をされてもいい」
「……っ!」
比奈ちゃんは一瞬驚いた顔をしてから、意を決したように目を瞑ると、ぼくのふとももの裏に手を添えて、ぐいっと持ち上げた。
その瞬間、ぼくは比奈ちゃんとの距離がさらに縮まったのを感じた。熱い体温と匂いと鼓動が伝わってくる。
ふとももの裏に添えられた手が少し汗ばんでいた。緊張してるんだな、と思うと、ちょっとだけおかしくて、可愛かった。
ぼくは体を開いて待っているだけでいい。後は比奈ちゃんがしてくれる。こちらが女で、あちらが男で。
受け入れる覚悟をすると、自然と体の力が抜けていくようだった。何も怖いことはないのだと教え込むかのように子宮が疼いて、また愛液が分泌された。
「……行くわよ」
比奈ちゃんは短く宣言すると、ぼくのふとももの裏側に手を添えたまま、腰を前に突き出すようにして、ペニスの先端をあてがい、そして──。
「あ゛…………ッ♡♡♡」
ぬぶぅ……っ♡♡と湿った音が鳴って、ぼくの膣内に比奈ちゃんのペニスが挿入されていく。ぐぐぐ、と膣肉を押し広げられながら進んでいくペニスに、ぼくは喉の奥から声にならない声を出した。
すさまじい圧迫感とともに途方もない熱が体内に入ってくる感覚。火傷しそうなほどに熱くて、ぼくの膣壁が押し返そうと必死になって、けれども圧倒的な質量の前に屈服させられてしまう。
「……っ! すご……っ」
比奈ちゃんがうっとりとした声で呟いた。
ぼくはただただ苦しくて、シーツを強く握りしめることしかできない。ぼくのそこは比奈ちゃんの大きなものを飲み込もうとして、限界まで広がっている。膣の入り口が引きつっている気がした。
それでもどうにか受け入れようと、ぼくは一生懸命力を抜こうとする。そうすればきっと楽になれる。比奈ちゃんだって動きやすくなるはずなのだ。
けれども力めば力むほどに圧迫感が増していって、うまくいかない。
比奈ちゃんもそれに気づいたのか、一旦挿入を中断するとぼくの頭を優しく撫でてくれた。それから額に浮かんでいる脂汗を拭ってくれて、頬に張り付いた髪を耳にかけてくれる。
その手つきはとても優しかった。
ぼくが落ち着くまで待ってくれている。その事実に胸がいっぱいになる。比奈ちゃんに大切にされていることがわかって嬉しい。
だからぼくはその手に甘えるみたいにして自ら頬をすり寄せてみる。すると比奈ちゃんの手の動きがピタリと止まった。
どうしたのかと思って見上げると、そこには真っ赤になった顔があって。
目が合った瞬間にペニスがぐぐっと大きくなって、そして次に息を吐いた瞬間に、一気に最奥まで貫かれた。
「お゛ッッッ!??♡♡♡」
その衝撃にぼくは仰け反って、喉仏を見せつけるようにしながら天井を見上げた。視界がチカチカと明滅する。脳みそを直接殴られたみたいな衝撃があって、意識が飛びそうになった。
「ごめん……っ」
と比奈ちゃんが謝ってくる。でももう遅かった。ぼくのそこは比奈ちゃんのものを全部飲み込んでしまっていて、子宮口にまで亀頭が届いていた。
子宮を押し上げられて苦しい。息ができない。それなのに、信じられないことに、ぼくのそこは比奈ちゃんのものを受け入れて喜んでいる。
きゅうきゅうと締めつけて、もっと奥に来てほしいとおねだりしている。
「遊の中すごく熱くて……っ、すごいわ……っ♡」
「あ゛……っ♡♡ お゛……っ♡♡」
比奈ちゃんが何か言っている。でも言葉として認識することができない。どこか遠いところで響いているみたいで、意味がわからない。
ただ肯定的なニュアンスだったことだけはなんとなく理解できて、それだけで子宮がきゅんきゅんと疼く。ぼくは比奈ちゃんのものだ。比奈ちゃんだけのものだ。そう理解させられる。
ぼくの中が比奈ちゃんの形を覚えようとしているみたいに、どんどん馴染んでいく。ぴったりと吸い付いて、ぴっちりと隙間を埋めて、ひとつになろうとしている。
「遊、締めつけすぎ……っ。まるであたしの精液を搾り取ろうとしているみたいに絡みついてきてる。わかる?」
「し、しらな……っ♡♡ お゛ぉ……っ♡♡」
比奈ちゃんがぼくの腰を掴みなおした。ぐりっ、と膣奥までを突かれてふたりの下腹部が密着する。子宮が潰される。全身が痺れて動けなくなる。
手指の先も足指の先もピリピリして、ぼくはただ喘ぐことしかできなかった。
まだすべてを飲み込んで密着しただけ、にもかかわらず、ぼくは軽く達してしまっていた。破瓜で痛くて苦しいはずなのに、脳内で快楽物質がどぱどぱと分泌されているらしい。頭の中で花火がブチ上がって視界が眩む。脳内で天使がファンファーレをかき鳴らしているような幻聴が聞こえる。
「動くわよ」
「や゛っ♡ まっへぇ♡♡♡ いまうごかれたらぁ♡♡♡ いまだめだからっ♡♡♡」
ぼくの言葉は無視されて、ずるるるぅ……っ♡と長いストロークで引き抜かれて、そしてすぐにまた最奥を、ずんっ♡突き入れられる。横隔膜まで貫くような衝撃で「お゛……っ♡♡」と声が漏れ、喉が反る。
抽送が始まったのだ。
そのまま奥を揺するように小刻みに動かされると、ぐちゅぐちゅと膣内が掻き混ぜられる。
比奈ちゃんのペニスがぼくの膣内を蹂躙している。彼女が動く度にカリ首が膣壁に引っかかって、媚びる膣肉が引っ張られる。
「……ん゛っ♡ だめっ、そんなにずぼずぼしたら……っ♡♡」
「大丈夫よ、ちゃんと気持ちよくしてあげるからっ」
「ちがっ、そういう問題じゃ……っ、あ゛あ゛ああああっ♡♡♡ だめっ♡♡ そこっ、おくに当たってる♡♡♡ ぐりぐりしないでっ♡♡♡」
膣全体が、いや体全体が性感帯になってしまったかのように気持ちいい。比奈ちゃんの腰使いは巧みで、的確に弱点をえぐるようにピストンしてくる。
ぼくは比奈ちゃんの背中にしがみつくようにして爪を立てる。少しでも快感を逃がそうとするけど、全然上手くいかない。
むしろ膣壁を擦られるたびに頭の中がスパークして、意識が飛ぶ。膣内が痙攣して収縮して、それが刺激となって快感に変わる。ぼくは比奈ちゃんのペニスをぎゅうぅぅっ♡と締めつけながら、何度も何度も達していた。
「ひぐっ♡♡ イってる♡♡ ずっとイッてるからぁ♡♡♡ も、ゆるひてっ♡♡♡」
「すごい……、これが男の子がセックスする感覚なんだわ。おちんちんが溶けちゃいそうなくらい熱くて、ドロドロの愛液が絡みついてきて……、こんなの我慢できるわけないじゃない……っ」
「あ゛っ♡♡♡ ま゛っ、まっれ、今動かれたら……っ♡ ほんとに死んじゃうからっ♡♡♡ あ゛っ、あ゛っ、あ゛~~っ♡♡」
こちらは絶頂の最中だというのに比奈ちゃんは容赦がない。
初めての男性性感に夢中なのか、一心不乱に腰を打ち付けてくる。ばちゅん、ばちゅんと肌同士がぶつかる音が部屋に響く。
子宮口をこじ開けるように押し込まれると、視界が白く染まるほどの衝撃に襲われる。子宮口はすっかり柔らかくなっていて、亀頭にキスをするみたいにちゅうっと吸い付いていた。
お腹の奥をずんっと押されると、それだけで子宮が降りてくる。比奈ちゃんのペニスにポルチオを押しつぶされて、ぼくは「お゛っ♡♡」と汚い声で鳴く。
「あ゛っ♡♡♡ お゛っ♡♡♡ お゛っ♡♡♡」
比奈ちゃんの顔に余裕がなくなってくる。ひたすらぼくの目を見て、口を吸って、首筋を吸って、奥を突いてくる。
そして比奈ちゃんは余裕のない声で絞りだすように言った。
「好き……っ♡ 可愛いあたしの遊、大好き……っ♡」
大好きって言った。
比奈ちゃんが大好きって言った。
嬉しい。こみ上げる。突き上げられる。嬉しい嬉しい嬉しい。
ぼくも比奈ちゃんが大好きだ。ぼくも比奈ちゃんのことが世界でいちばん好き。
ずっと好きだった。嬉しい。おちんちんでぶち犯されながら脳内が好きで埋まる。
「あ゛♡♡♡ しゅきっ♡♡♡ ぼくもすきぃ♡♡♡ だいしゅきっ♡♡♡ だからっ、もっとぉ♡♡♡」
「……ッッ! 遊、あんた可愛すぎるのよ……っ!」
「ああ゛っ!??♡♡♡」
ピストンが加速する。
ばちばちと視界に火花が散って、意識が飛んでしまいそうになる。膣壁をごりごりと削るように穿たれて、子宮口を突き上げられる。
子宮が熱い。膣内が燃えているみたいに熱くて、その熱が全身に広がっていく。脊椎を電流が駆け抜けて、脳髄を蕩かしていく。
そして、
「──ッ!!」
比奈ちゃんがぶるっと体を震わせた。それと同時に比奈ちゃんがプレスするみたいに覆いかぶさってきて、全体重をかけられる。
いちばん深い密着。子宮口にペニスが押し付けられて、そして次の瞬間には爆ぜて、大量の精液が放たれていた。
「お゛ッッッ!??♡♡♡」
射精された瞬間、ぼくの目はぐるんっと裏返って、舌を突き出しながら仰け反った。比奈ちゃんのペニスが脈打つごとに、子宮内へと精液が注がれていく。
膣内で比奈ちゃんのペニスが膨らんだり縮まったりする度に、膣肉が引き攣って、子宮口が吸い付いて、精液を飲み込んでいく。
体の奥底に比奈ちゃんの精液が溜まっていって、子宮がいっぱいになる。
「あ゛っ、あ゛っ、あ゛っ……♡♡♡」
声にならない悲鳴を上げる。
ぼくはもう何度目かもわからない絶頂を迎えていて、全身が痙攣して止まらない。
不随意に比奈ちゃんの腰にぼくの足が絡む。ホールドするみたいに抱きしめる。膣内がぎゅううううっ♡と締まり、比奈ちゃんのものから最後の一滴まで搾り取ろうとしている。
「……っ、すごい、締めつけ……っ」
比奈ちゃんは苦悶の表情を浮かべながらも、最後まで出し切ろうと腰を揺らす。その間も、ぼくは「お゛っ♡♡♡」と獣みたいな声を上げながら、イキ続けていた。
「はぁ……っ♡ はぁ……っ♡」
「はひゅーー……、はひゅーー……っ♡」
ようやく精液を出し切った比奈ちゃんがぼくの上に倒れ込む。呼吸が荒い。
のっしりとした比奈ちゃんの体重を感じながら、ぼくは手と足を比奈ちゃんの大きな背中に回して抱きしめる。
ふたりとも汗だくだ。全身がぐしょぐしょになっている。でも不快感はない。それどころか心地よい疲労感と達成感に包まれていた。
比奈ちゃんとひとつになれたという実感。比奈ちゃんにすべてを捧げることができたという充足感。まるで女の子になったかのような幸福感で胸が一杯になっている。
「……遊の膣内で精通したわ、あたし」
「うん……。ぼくも比奈ちゃんのおちんちんでイッたよ」
「あたし、男の子の体でえっちしちゃったのね」
「いやだった?」
「ううん、最高に気持ちよかったわ。遊は? 女の子の体はどうだった?」
「すごく幸せだよ。比奈ちゃんとひとつになれて、ぼく、とっても幸せな気分なんだ」
「……これってすごいことよね。奇跡みたい」
「うん。すごい、すごい」
ぼくらは深く繋がったままで、感じ入るようにそう呟いた。
そのまま抱き合っていて、お互いの鼓動が重なって、体温を交換して、ひとつになって、溶け合っているような感覚があった。
大好きな人を受け入れるという感覚は想像以上に甘美なもので、元に戻ったとしてもぼくはこの日のことを一生忘れないだろうと思った。
***
それから比奈ちゃんがずるるぅ……っ♡とぼくの膣内からペニスを引き抜いた。膣内を埋め尽くしていたものがなくなる喪失感に「あ……っ♡」と声が漏れた。
栓を失った膣口からどろっと白濁色の液体が流れ落ちる。膣内がぽっかり空いて寂しいような感覚があるけれど、比奈ちゃんの射精した精液だと思うと愛しく思えた。
もう一度ふたりで抱きしめ合ったあと、比奈ちゃんはベッドを下りる。
ぼくは全裸のまま、比奈ちゃんの服を手に取る。比奈ちゃんの匂いがしてドキドキした。
「ねえ、遊」
「なに、比奈ちゃん」
「あたし、遊のこと絶対に大切にする。だから外へ出てからも一緒に居てくれる?」
「もちろんだよ」
ぼくは即答する。
だってぼくは比奈ちゃんのことが大好きなのだ。比奈ちゃんが喜んでくれるならなんでもする。比奈ちゃんが望めばどんなことでも叶えたいと思う。
昔からそう思って生きてきたけど、今回のことがあってより強くそう思うようになった。比奈ちゃんの喜ぶ顔が見れるのであればなんだってできる。
この『セックスしないと出られない部屋』を出て、ふたりが元の体に戻ってもその想いは変わらないだろう。
「ありがとう、遊」と比奈ちゃんは目を細める。
「こちらこそ、比奈ちゃん」とぼくもほほえむ。
甘い余韻だった。
それから比奈ちゃんが扉を確認したら、問題なく鍵が開いていた。もう脱出していいということらしい。
いったい誰が何のために用意したのかわからないけど、おかげでぼくたちは結ばれた。感謝してもいいことだと思った。
それからぼくは比奈ちゃんに手伝ってもらって彼女の服を着て、比奈ちゃんはぼくに手伝われてぼくの服を着た。さすがに裸で出て行くわけにはいかないし。
女の子の服を着るのは気恥ずかしかったけれど、これで最後だと思うと我慢できた。きっともう二度と着ることはないだろうから。
ちなみに比奈ちゃんのショーツの色は白だった。
ばっちり見たけれど比奈ちゃんは何も言わなかった。
そうしてぼくらは名残惜しむように身支度をととのえた。
最後にもう一度ハグをする。お互いに無言で。
それから「じゃあ、行きましょうか」と比奈ちゃんは言った。
「うん、行こう」とぼくは答える。
比奈ちゃんがぼくの手を握って、ぼくはその手を握り返す。
そうしてぼくと比奈ちゃんは恋人繋ぎをしながら、扉を抜けて歩いて行った。光の射す方へ向けて……。
***
そうしてそれから、ここからがこの話のエピローグ、あるいは肝心なところというわけだけど。
事態はここで急変する。何というか、困ったことになったというか……。
***
ぼくたちは一歩ずつ歩いていく。扉の外へ向けて。
ぼくは比奈ちゃんの体だから小さな歩幅で、比奈ちゃんはぼくの体だからそれにあわせたゆっくりとした歩調で。
そうして扉をくぐって、ぼくたちは元の通学路に戻った。変わらない朝の通学路。午前七時。そして、
「……………………あれ?」とぼく。
「あー、やっぱりかぁ……」と比奈ちゃん。
扉をくぐって外へ出て、ぼくは比奈ちゃんを見上げる。そこにはぼくの顔と体をした比奈ちゃんがいて、彼女はあきれ顔で、ぼくは比奈ちゃんの体のままで。
つまり、入れ替わり状態は元に戻っていなくて。
振り返ったら『部屋』の扉は既に跡形もなくて。
「……、……………????」
ぼくは頭上にクエスチョンマークをたくさん浮かべて首を傾げる。
どうして、なぜ体が元に戻っていないんだろう?
『部屋』から出たらすべて元通りなのではなったのか?
え? 待って。入れ替わったままなの?
ということはぼくが比奈ちゃんとして過ごす日々はまだ続く? というか、どうやって元に戻るの? まさかこのまま? 一生ずっと?
え、ぼくが比奈ちゃんで、比奈ちゃんがぼくで……?
「…………????」
そんなことを考えていると、比奈ちゃんが呆れたようにため息をついた。
「はぁー……、人生設計狂ったわ、まったく……。……まあ、混乱している遊も可愛いから、とりあえずいいわ。遊が可愛いから許す」
「えっ、あっ、比奈ちゃん、どういうこと……? これどうなってるの……!?」
達観した様子の比奈ちゃんにぼくは詰め寄る。比奈ちゃんはぼくの細い肩にぽん、と手を置いて、やれやれと首を振る。
「あの『部屋』には『セックスをしたら出られる』とは書いてあったけど、『セックスをしたら元の姿に戻れる』とは書いてなかったわ」
「えっ!?」
「要はそういうことよ。これからはあんたが
「ええええええええええええっ!!?」
ぼくは絶叫する。かん高い声で。
これからぼくは比奈ちゃんとして、比奈ちゃんはぼくとして生きていかなければならない。
女の子の体で、女の子の下着をつけて、女の子の制服を着て、女の子の靴を履いて。
女の子として生きて、比奈ちゃんとして生きて、それから、もしかして赤ちゃんを産んだりもして……?
「ど、どうしよう……っ!」
「どうするも何もないわよ。こうなっちゃったものは仕方がないじゃない」
「そ、それはそうかもしれないけど……! でも……っ」
「それにさっきまであんなに気持ちよくなってたのに、今さら何言ってるのよ、あんたは」
「うぐっ……、それを言われると……っ!!」
ぼくは言葉を詰まらせる。
確かに比奈ちゃんの言うとおり、ぼくは比奈ちゃんとひとつになって気持ちよかった。幸せだった。
けれどもそれはそれというか、一時的なものだとばかり思っていたというか。こんなことになるなんて想像もしていなかったというか、なんというか。
というか、比奈ちゃんは平気なのか? ぼくの体になってしまって、立場としては
ぼくは不安になって比奈ちゃんの顔を見る。
すると比奈ちゃんは「んー?」とぼくの顔を覗き込む。ぼくと目が合うと優しく微笑んでくれて。その表情からは嫌悪感とかそういったものは読み取れなくて……。
「安心なさい、遊。どんなことがあってもあんたのことはあたしが守るわ」
その言葉は自信に満ち溢れていて、とても頼もしかった。
とてもおおきな、人間的にぼくよりも遥かに成熟していて、大人びた姿に見惚れてしまう。
ぼくの体なのに、ぼくよりもずっと力強くて、逞しくて、格好良くて、安定感があって。
何より自信たっぷりで、決まりきったことを断言するようで。
「一生守ってあげるから、あんたはあたしを信じてついてきなさい。いいわね、遊?」
「……ッ、は、はい」
そうしてぼくはそのプロポーズみたいな言葉に、思わず敬語で返事をしてしまったのだった。
こうしてぼくは比奈ちゃんになって、
こうして比奈ちゃんはぼくになって。
ふたりは入れ替わったまま、それぞれふたりの人生を歩み始めることになった。
でも、ともあれ、この後ぼくたちふたりは助け合いながら一生幸せに暮らしたから、これはハッピーエンドといっていいと思う。
だから、こう言っておこうと思う。
めでたしめでたし
おしまい
はじめまして、こんにちは。
しじままどせと申します。
ハーメルンは一番TSFが盛んな投稿サイトだと聞いてきました。
ふだんはノクターンノベルズやpixivにTSエロ小説を投稿しています。
pixivの方ではリクエストも受け付けています。
どうかよろしくお願いいたします。
しじままどせ