記憶を喰らう上位存在の無様すぎるチン負け姿が晒される話 作:あいいろ ののめ
―――だからこそ、それはまさに魔が差したと言うしかなかった。
少女を端的に語れば『人でなし』が服を着て歩いているようなものだった。
「あっはぁ…♪ アンタらのご主人様の単細胞生物はいつになったら学習ってガイネンを覚えてくれるのかなあ。
何度もたかだか十数人の格安デリバリー暗殺者程度で私を殺そうだなんて、頭が悪いにも程があると思わない?…ね、シュタインもそう思うでしょ?」
「…オレは、オレに居場所をくれたアンタに従うだけだ。」
少女とは『他人の記憶を奪う怪物リーヴァ』である。
彼女は生涯において何千もの人物から記憶を喰らい尽くし、時には他人の秘密を金銭で売買することで生計を立てていた。
後ろで細長く伸びた影のように佇む細身の男も少女によって記憶を奪われ、都合よく手駒として彼女の組織に引き込まれた内の一人に過ぎない。
少女は視線を合わせて記憶を奪う力ゆえなのか、よく人の目を引く姿をしていた。
凛々しいつり目の少し幼くも見える顔付き、夜空に溶け込みそうな黒髪、絶対領域の眩しい白い肌。白いブラウスシャツの上からデニムのジャケットを羽織り、黒いプリーツスカートと白いニーハイソックスのアクティブな装い。
しかし少女はその面の良さを差し引いて尚、悪辣という言葉でも足りない怪物。何故ならと問うまでもなく記憶を奪う彼女に得られない情報は無い、この辺りで最も依頼料の高い情報屋なのだから。
街を支配する吸血鬼ですら、影も形も残さず情報を奪う彼女を恐れたという。
―――そんな記憶を奪う少女の、とある1日。
(こんな治安の場所で期待するものでもないけど。電車、また遅延か…。
このあとの予定、なんだったっけ…? たしか…そうそう、降りた先のコインロッカーからブツを回収して…)
そんな場所にも地下鉄は通っており、少女はぽつんとホームで暇を潰しながら電車を待っていた。
「………。」
そんな少女の真っ直ぐに伸びた後ろ髪を見つめる存在に気付くこともなく少女は数分遅延した列車へと乗り込もうとするが、ドアの開いたところで違和感を覚える。
(列車の中がいつもより空いてい…)
そう考えかけたのも束の間。背後から押し寄せるように歩く人混みによって少女は列車の中へと押し込まれ、それからすぐに違和感の正体へと辿り着いた。
(……っ!)
少女が乗客に押される勢いが収まり車内で一息つこうとした直後、プリーツスカートの上からお世辞にも発育が良いとは言えない臀部を鷲掴み、それから形を確かめるように全体を撫でる男の手。
痴漢だと判断するのに充分な嫌悪感すら感じる手つきに、少女は不機嫌な内心を隠さない表情で背後を振り返…
「この…っ!!?」
少女は振り返り背後の男を見上げようとするよりも早く列車の扉へと押し付けられ、後ろに引くことも出来なくなった視界にソレが映り込む。
―――美的センスを疑うほど酷くサイケデリックで、波は打ち拡がり、やがて沈むように遠のく…。
つま先立ちになり逃げようとしていたはずの少女はピタリと止まり、ぼんやりとソレの存在していた虚空を見つめ続ける。その一連の様子を眺めて彼等は嘲るような笑みを浮かべ、ニタついた口角を持ち上げたのだ。
「はっ…はは…!これがあの生意気なガキの姿かよ…!」
「痴漢ぐらい黙っときゃ
少女はそのシャープな顎をつまむように持ち上げられるも、まるで言いなりのように抵抗する素振りがない。
「おい、その手でたくし上げろ。…スカートだよスカート!」
「………。」
男の一人が言葉を荒らげ命令すると、黒髪の少女は地下鉄の窓のついた扉を背にして黒いプリーツスカートの端をちょんと摘む。その赤い瞳は外の光を拒むように暗く濁り、ニーハイソックスに締め付けられる白い素肌が少しづつ露わとなっていく。
観衆の幕が上がるのは今か今かと待ち望む時間は、ひどくゆっくりしたものに思えた。
ついに少女の鼠径部に続く曲線美が視界に映り込み、生唾を飲み込む音が車内に響き渡る。
そして紺色のカーテンの奥から現れたのは、フリルがついた薄桃色で肌触りの良さそうな下着。アクティブなデニムジャケットを好む割に下着はいかにも可愛らしい一品だった。
どこか少女の秘密を暴いたような感覚にリーダー格の男らしき人物は興奮を隠せず、乱暴に少女のブラウスシャツのボタンを引きちぎって上の下着も露出させる。
するとショーツと合わせたように同じ配色や装飾の施されたやや小ぶりなブラジャーが現れ、口笛がヒュウとキャットコールを奏でた。
わざわざ揃えた下着を着ているなんて意外にもお洒落に気を使っているのか、或いはこれから意中の男とでも会うつもりだったのか。
そんな考えが男達に過ぎると彼らの中で渦巻く欲望はさらに歪に膨れていく。
―――まるで誰かに向けられた芸術品のようなプレゼントの包装紙をビリビリに破いてしまったような罪悪感と、背徳的な味。
男たちにとって、少女のそれは丁寧に包装されたキャンディのようなものだった。
少女の細身な肢体はやや高級品そうな下着と比べても遜色が無く、肌の透明感は血管の赤色が微かに透けているのがわかる程。アイキャンディと呼ぶのも控えめに思える、もはや目に毒な光景。
そんな光景にブラウスのボタンを引きちぎるほど興奮していた男の手が思わず硬直し、次の瞬間少女の頬を鷲掴んで持ち上げる。
「見れば見るほど、外面だけは食指にクるガキだな…」
改めてその少女の冷たい表情を眺め、手入れの届いた艶のある黒髪を撫でるように触り、それからニヤリと笑みを浮かべる。男は自分がその彼氏になったつもりなのか、それともプレゼントを滅茶苦茶にする快感を想像しているのか。
「おう。ちゃんと脅しの動画、撮っとけよ」
男に念を入れた確認を向けられた一人は無言で頷き、車内には緊迫した空気が流れる。
―――…がたん、がたりん。
そして、いよいよその瞬間は訪れた。
男の手によってブラジャーのホックが外され、自重でとさりと床に落下する。
無表情に立ち尽くす少女をよそに電車の振動でそのキレイなピンク色の先端が揺れると、途端に車内の時間が動き始めたように騒がしくなる。
男は少女の小さく尖った先端を親指と人差し指でつまみ、くいと軽く手元に引っ張った。
すると小ぶりながらも柔らかな胸が伸び、綺麗なお椀型から三角に変形する様を舐めるように見つめた男がその手を離すと胸は瑞々しく揺れながら元の形へと戻る。
ニヤリと舌なめずりでもするように口角を持ち上げ、今度はその全体を確かめるように手のひらで全体を覆って揉みしだく。
指の隙間に挟まった乳首が乱雑に揺れ動き、そろそろ完全な開花を迎えようとしている花園を踏み荒らす快感は他では得られないリビドーが感じられた。
「生意気な雌の癖に、
「ん……う…っ」
「…声我慢してやがるのか? へっ、やたら短いスカート履いてる癖して一丁前に恥ずかしがりやがって」
「…少し顔が赤らんでいませんか?」
撮影していた男達の一人が録画画面越しに少女の顔を覗き込む。
人形のように滑らかな弧を描く頬は僅かに紅潮しており、その表現も無表情なせいで呆れているようにも見える。問いかけられた男は少女を嘲笑するように吹きこぼし、首に手を回して胸をまさぐりながら答えた。
「まあ、意識を奪っただけだからな。こうやって愛撫すれば相応に感じるし、場合によっては抵抗してくることもある。
とはいえ周囲のことなんて殆ど見えてねえから捩じ伏せるのは造作もないがな…例えばこんな風に」
少女が軽く身を引こうとしたところで男は片手で少女の両腕を纏め、列車のドアに押し付けてしまう。
「この抵抗の弱々しさがいじらしいってモノ好きも居るからな。好みは人それぞれ、金になるなら何でも良い。
だがよぉ、その態度だけはムカつくよな? これまで何度テメェに煮え湯飲まされたと思ってんだ…まずはお前のイキ姿をばっちり撮ってやるよ」
両腕を頭の上で押さえ付けられ、上半身を殆ど羽織るだけの白い布切れ1枚で隠せていない少女。
再び閉じられたミニカーテンに今度は無造作に男の手が突っ込まれ、薄桃色のフリルから秘部に手を潜り込ませる。
録画映像にはその拍子にスカートが下着と素肌に挟まれている様子と、微かに下着の濡れた跡が映っていた。
「おーおー、指でなぞっただけでひくついて誘ってきやがる。催眠状態っつっても感度やら体の構造が変わる訳じゃないからな…お前のメスの身体で遊んでやるよ」
男はそう言って嫌味に笑うと少女の秘所へと遠慮なく指先を差し込み、まずはその膣壁をひと撫で。たったそれだけで少女の全身がびくりと跳ね、胸で焦らされたときとは段違いの刺激が一気に込み上げる。
ぐちゅぐちゅと焦らしを交えたほぐしは体の内側から少女を陥落させようとしていた。
「ん…んぁ…っく…ぅ……」
次第に漏れ出る声も増え、下着はただ少女の愛液の量を表すための布切れと化し、腟が本能に従って男の指に媚び始める。しかしそれも男にとってはただただ少女の弱点を探り出し、脅すに相応しい辱めをどうやって受けさせるかの問題でしかない。
「ふ…っ♡ぅ…?♡」
指の速さを変えたり、浅いところや深いところを責めてみたり。
「ぁ♡ひ…っ♡……ん゛ぎっ゛!?♡」
クリトリスはそっと触れるか触れないかの距離で弄ばれるが良いか、押し潰す方が反応が強いか。
「い゛ッ……?♡♡はへ……?♡♡」
少女が絶頂を迎えそうになる度、男は責めの手を止めた。代わりに胸を軽く触るだけの愛撫で少女の興奮だけを維持し、やがて男の指が挿入されるだけできゅうきゅう締め付けるようになる。
そうしてすっかりほぐれきった膣中を今度は、さっきまでよりも割増で強く刺激し始めた。
「…ん゛ぎ…ぃ゛っ♡お゛お゛♡♡お゛へっ♡♡」
先ほどまでの甘やかすような愛撫とは正反対の、探り出した弱点を執拗に責めてメスを屈服させる手つき。あまりの刺激の強さに少女が足を閉じそうになると、男の怒声が車内に響いた。
「おら!脚閉じんじゃねえ!!」
「ん゛ッ!ぐッ♡♡♡ん゛…お゛お゛ぉ゛ぉ゛っ♡♡」
少女はただただ命令に素直に従わされているだけだが、録画には男の威圧に屈して少女が下品なガニ股姿をさせられているようにしか見えなかった。
それに男や少女を取り巻く周囲の様子からも、既に車両ひとつが丸ごと彼らの支配に置かれた無法地帯と化しているのは明らかだ。
「誰がイッていいって言った、ああ?…イくな、我慢しろ」
「へッ!?♡♡ふっ…♡♡ぅ゛う゛…っんぐ♡♡♡ぎ゛…っ ♡♡ん゛ぎぃ゛っ゛ ♡♡♡」
命令通り堪えようとする少女の口からは必死な声や涎が溢れ、下着に染み込み切らない愛液が車内にぼたぼたと落ちる。
既に少女を脅すには十分な映像が撮れていたが、男は少女の耳元に顔を近付けていく。
「イキたいか? ならお前がマゾメスであることを認めろ、徹底的に負かされたことを催眠が切れた後も体で忘れないようにな。
そして今後、絶対に、逆らえないと自分で認めてから…イけ」
「ひ…ィ゛ッ゛ ♡♡ぎっ゛♡♡♡ぐ…♡♡ン゛ン゛…♡♡♡ん゛お゛!!♡♡♡
お゛ッ♡♡♡お゛お゛ぉ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛っ゛♡♡♡♡」
少女は一瞬葛藤のような堪えを見せた後、盛大にイキ果てた。
両腕をドアに押さえ付けられ、下品なガニ股のまま浮かせた腰をカメラの前で見せ付けるように突き出したままガクガク揺らし、敗北を認めた。或いは男のテクニックに耐えきれず、認めさせられたのだ。
「へっ♡へぇええ…♡♡お…っ゛♡」
未だ絶頂の最中にいる表情は恍惚のひと言で、もはや反骨心は一欠片さえ残っていないように見えた。
密閉された車内にメスの甘ったるい匂いが充満し、すっかりべちょべちょになったパンティが打ち捨てられる。下着を捨てた男の手のひらには粘液がべったりと塗りたくられており、男はそれをぺろりと舐め取るといよいよメインディッシュに入る。
「……っ♡」
男が陰茎を少女の前に突き出すと、自然と視線がそこに吸い寄せられる。
メスはコレに逆らえない。逆らった結果それが無意味であると、徹底的な屈服を身体に覚え込まされてしまったのだから。
「お゛ごお゛っ゛!?♡♡♡」
少女が絶頂から降りるよりも早く、後背位から男根が子宮口まで一気に貫く。それを少女はただ喘ぐ事で耐え凌ぐことが出来ず、生意気に勃起した桜色の乳首を揺らしながらピストンを受けるたび、無様な潮吹きを降参の合図のように繰り返している。
「んぎい♡え゛…っ♡ふー…っぐえ♡♡お゛っぐ♡お゛ー゛♡♡お゛お゛ぉ゛♡♡♡」
表情は完全に溶け、あまりの表情に録画していた内の一人がそのだらしなく伸びた舌を啜るようにキスをする。
「んぶぇ♡れえ…っ♡♡」
「アイツも今日来ればこんなに美味しい思いが出来たのにな…なあ?」
「ひぎ…っ♡」
それから少女はその場の全員にとって性玩具だった、人形のように整った顔を崩すまでの一連の流れは人を獣に変えて有り余るほどの欲望を掻き立ててしまったのだから。
ぐちゃぐちゃになった下着の隣で男たちに全裸で土下座をさせられ、そのまま臀部だけを突き上げさせられ男の快楽を満たすための穴として使われる。
最後の方は少女の身体であらゆる性的な目的を満たすため仰向けのカエルのようなポーズで口と秘所にちんぽを咥え込み、乳首を引っ張られれば母乳の代わりに愛液を吹き上げていた。
少女は男達の一生分のオナネタをその身をもって受けさせられたと言っても過言では無かった。
ただでさえテクニックに長けた愛撫から容赦のない絶頂を迎えさせられ、余韻の収まる間もなく男の欲望に呑まれたのだから。
永遠にも近しい少女の陵辱は、それでも終わりを迎える。
―――…まもなく、XXXX駅。繰り返します…』
「どうしますか、アニキ」
「捨て置け、拉致るには人も多いからな。今後はその動画をネタに脅しをかければいい」
そもそもの話、彼らは脅しの動画を撮る時間さえあればいいと言うことで駅間の長い場所を選んだのだから。列車内に数十人と居たゴロツキの男たちは少女にひと目もくれず、駅に着く前に外に出る準備を済ませようとしていた。
「そう、そういう事だったのね…」
その声はブラフだった。
男たちがまともに意識のあるはずの無い女声に振り返った瞬間車内を眩しい光が覆う、フラッシュバンだ。
少女は男の一人から銃を奪うと車内に居るまともに周囲の状況も把握できないゴロツキたちを一人づつ始末して行く。ただ作業的にそれをこなす少女の中には、ひとつの殆ど確信に近しい『憶測』が存在していた。
「あなたで最後よ。フラッシュバンで耳も目もろくに意味を成してないでしょうけど、だから最後に残してあげたの…だって、お洋服が破かれちゃったんだもの。
せっかくのお気に入りだったのに………」
つぎの瞬間、少女の長い黒髪の裏側から透明なゲル状で平たいナニカが現れる。
「だからさあ…!!」
少女に顔を覗き込まれた男の瞳孔が揺れ、ゲル状の物体の中からぬぷりと現れた黒い触手が男の耳に入り込む。
少女は男のシャツのボタンに手をかけ悠々とその服を追い剥ぐと、サイズの合わないそれの上からデニムジャケットを着込んだ。
「ふう…これで良し」
そして列車が次の駅に到着した時に発砲音で駆けつけた人々が見つけたのは、まるで抗争のような車内と、半裸で記憶を失った一人の廃人の姿だけだった。
「………。」
地下鉄のホームを歩く少女は肩が震え、それが怒りに近しいものだと自己分析することでアンガーマネジメントに努める。
何故なら少女は次の停車駅のアナウンスが流れた瞬間、とつぜん催眠状態から
つまり、列車に乗る前から少女は催眠状態に陥っていた。
なら、少女に催眠を掛けたのは?
少女は憤りを覚えながらも確認していた予定通り、駅のコインロッカーを訪れる。すぐに指定された番号のロッカーを見つけた彼女は静かに扉に手をかけた。
頭に浮かんだ憶測、それが真実かもしれない緊張、少女のロッカーの扉を掴んだ手は少しのあいだ止まっていた。
「ふぅ……、…っ!!」
ロッカーの扉が軽い音を立てて開くが……しかし、予定帳に書いてあった目的のブツなんて何処にもない。代わりにそこに入っていたのは……。
―――…今日、私は集団レイプ犯に襲われる。
作戦は単純明快。こちらに不満を持つ彼らは列車の車両ひとつを占有し、ターゲットに強制催眠装置を使用、そこであったことを恐喝に使うだけ。
こちらも情報がものを言う商売なので、そういった『意趣返し』を企てる者は後を絶たないのも確かだった…けれども。
(情報屋が情報戦で負けるようなことがあれば、それこそ看板を降ろすように致命的な問題よね…。事実として、そうして潰えた情報屋も少なくないのだから)
だからこそ『意趣返し』を仕掛けるだけのリターンがあるのだと思う、作戦が上手く行けば情報屋そのものを組織に取り込むことだって不可能じゃない。
(ま、うまくやれるならの話でしかないけどね。そもそもチャンスの情報を流したのも私自身なんだから)
結果だけを見ればその杜撰な計画はターゲットに露呈するどころか、そちら側にスパイが居ることも勘づかれていない。
普通に考えれば、簡単な囮作戦だった。敵対組織を炙り出すため、偽の情報を流すことで各組織の動きを把握する…それだけの捻りもない出来事。
―――だからこそ、それはまさに魔が差したと言うしかなかった。
少女は敵対組織が使う強制催眠装置で自身に催眠とその解除の合図を仕掛けたのだ。解除の合図は駅の停車のアナウンス音、快速鉄道の移動時間から逆算して催眠時間は約30分。
(日程は手帳に書いてある、目的地のロッカーの着替えや閃光弾の用意も確認済み…あとは、身嗜みと……)
鏡には綺麗で愛らしい自分の姿が映っていた。
リーヴァの本性を隠すため丁寧な手入れし伸ばした長い黒髪、完全な円形の弧を描く頬、愛らしさと芸術品の美麗さを両立した顔立ち。あと必要なのは……。
「…っう……!?」
その瞬間、どうやら自身が鏡を眺めたまま珍しくボーっとしていたことを理解する。
「時間は…大丈夫。身嗜みの確認も…OKっ!今日は確か都合が悪くて…そう地下鉄だ、時間に間に合わせないと…」
先を急ぐ少女は気付かなかった。
これから何が起こるかを知っていたにも関わらず、鏡越しに自らの記憶を食べてしまったことを。そしてその期待に、上下で揃えた下着が微かに濡れてしまっていることも―――