外に出て早々、僕は思い立ったことを後悔していた。
太陽が燦々と照りつけていて、まだ外に出ただけだというのに、汗が早速出てきている。
それくらい暑いからか、休日の昼どきにも関わらず、通りにも人っ子ひとり見られない……と言うと、さすがに大袈裟だが、遠くの景色が揺らめいているように見えるのは、決して見間違いではないだろう。
しかし、梅雨が明けたその日から、こんなに暑くなるなんて。
健康のためにジョギングを始めようと思って準備はしたけれども、立っているだけで息苦しくなるくらいまでいきなり暑くなることは、さすがに想定していなかった。
僕は気勢をそがれていっているのを感じつつも、水分補給のために持参したペットボトルを開けて喉を潤し、とりあえず一息ついた。
「はあぁぁっ、あっっつい。さすがに暑すぎて嫌になってくんね」
キスキルが疲労感を滲ませたような表情を浮かべながら、片手を上下に動かして顔を扇いでいる。
今日の彼女は、グレーのエクステが混じったショートボブに、コートを着崩すように羽織った新衣装という恰好だ。
そんな彼女の首筋辺りから、玉のような汗が健康的な色つやを誇る肌の表面を伝って、つっぅ♥とおっぱいの谷間に向かって吸い込まれるように流れ落ちていくのが見えた。キスマークも汗でうっすらと濡れながら照り輝いている。
「あたしも……正直、キルに同感なんだけど。マスターだってせっかく準備したわけだし、あたしたちもそんなマスターを応援するためにご褒美を考えたから、とりあえず無理のない範囲で頑張ってみない? もちろん、無理強いはしないけど」
キスキルの隣に立っているリィラも、彼女と同じように、ショートボブの髪型に新衣装という恰好だ。惜しげもなく曝け出されたデコルテ、ベルトによって強調されているたわわに実ったおっぱい、そして大胆に露出した臀部から太ももにかけての脚線美――リィラの魅力がこれでもかと言わんばかりに引き立たせられていて、何度見ても目を奪われてしまう。
その一方で、リィラは普段しっかり羽織っているコートを今日は着崩すように着ていた。
彼女がそういう着こなしをしているのは珍しい。おそらく、たとえ焼け石に水だとしても、少しでも涼しくなるためだろうと思われるが、リィラのそんな姿が新鮮に感じられて、僕は彼女を思わずまじまじと見つめてしまった。
それにしても、ふたりがご褒美を考えていてくれたなんて。
ジョギングを近々始めようと思っていると僕からは事前に話したけれども、彼女たちの方からそんな話は出なかったから、まったく意識していなかった。まさか密かに用意してくれていたとは。
だが、いつかのように、僕がしたいことやされたいことを洗いざらい話してしまったということも最近はなかった……はず。なので、彼女たちがどんなご褒美を用意してくれたのかがまったく想像できなかった。
期待に胸を膨らませていると、キスキルとリィラが僕のそんな胸中を見透かしたようにニマニマと笑みを浮かべた。そして、ふたりは相棒が立っている側の手を挙げ、後頭部にそれを当てるようにしながら、僕に向かって腋を見せつけ、
「「はぁい、くぱぁ♥♥」」
同時に口にした擬音に合わせて、曝け出した腋に向かって空いている方の手を伸ばし、二本の指でその窪みを押し広げたのである。
キスキルもリィラもアンダーヘアこそ僕の性的嗜好に合わせて濃いめに残してくれているが、腋はどちらも処理が行き届いていて、見惚れてしまうくらいに綺麗だ。
ふたりの腋は、指で押し広げられていることによって皺がいくつもできていて、特に筋のようにも見えるそれは秘裂を連想させた。また、どちらも挙げている肘の方から玉のような汗が次々と流れ落ちていっていて、湯気がうっすらと立っているように見えた。
僕は生唾を飲み込ながら立ち尽くし、見せつけられている腋を食い入るように凝視してしまう。鼻も思わずひくひくと動いてしまうが、鼻腔を満たしたのは彼女たちの臭いではなく、暑さに彩られた濃厚な夏の匂いであった。
当然のこととはいえ残念に思っていると、そんな僕の反応を見て、キスキルもリィラも満足そうに笑みを深めた。
「最近のマスターが、あたしやリィラの臭いに特に興味津々だったのはバ・レ・バ・レ♥ 汗とかをこっそり嗅いでたり、とかね?♥」
「だから、そんなマスターに、あたしたちの臭いをたっくさん堪能させてあげるっていうのが、今回のご褒美♥ どう、マスター? モチベーション、戻りそ?」
一も二もなく、首を上下にぶんぶんと振って答える。
すでに慣れきってしまったからか、性的な関心事が彼女たちに当然のように見抜かれていることに対する羞恥心は、まったく存在していなかった。あるのは、それを頑張ったご褒美として設定してもらえることへの歓喜ばかりだ。
消えかかっていたやる気が再び込み上げてくるのを感じていると、キスキルが注意を促すように人差し指を立てた。そして、それを軽く振りながら口を開く。
「マスター。気に入ってもらえたのは何よりだけど、こんだけ暑いと、熱中しすぎたらそのまま倒れちゃうなんてことも普通にあり得るんだから、無理は禁物。オーケー?」
「そうそう。あたしたちも応援しながら気をつけて見るけど、マスター自身でもちゃんと意識しておいて」
もっともだと思って、僕は彼女たちからの言葉に頷いて答える。ふたりとも体勢はすでに元の通りだった。
そういえば、リィラに言われるまで意識してなかったけど、キスキルやリィラと一緒に走ることができるのか。しかも、それだけじゃなく応援までしてくれるなんて……あまりにも最高すぎて、いくらでも走れてしまいそうだ。
だが、そうやって無理をして倒れてしまっては、本末転倒もいいところだろう。
一まず無理のない範囲で頑張ってみようと決意を新たにし、僕は彼女たちと一緒に駆け出した。
*
ジョギングから帰宅してすぐ、流れた汗だけでびっしょり濡れた服全部を脱ぎ捨て、冷蔵庫の扉を開けた。
あらかじめて買ってあったペットボトルを迷うことなく手に取り、それを呷るように一気に飲み干す。そして、肺に残っている熱い空気を入れ替えるように、息を大きく吐いた。
室内を見渡せば、キスキルとリィラはすでにベッドの縁に並んで腰かけている。
僕は部屋の隅に置いてある扇風機の電源を入れると、ふたりが間に空けてくれているスペースに収まるようにベッドに座った。
「マスター、お疲れー」
「無事に帰って来れて、とりあえず落ち着いたと思うけど、体調は平気そう? ご褒美を逃したくなくて、実は我慢とかしちゃってない?」
首をゆっくりと左右に振って答えつつ、両隣に座っているふたりを見遣る。
キスキルもリィラも、すでに裸になってしまった僕とは異なり、まだ服を着たままだ。しかし、炎天下にそれなりに長くいたこともあって、その顔はどちらも赤く染まっている。汗も止むことなく流れ続けていて、衣服の布地に覆われているはずの肌がうっすらと透けていた。透けて見える薄い肌色があまりにも色っぽい。
目のやり場に困って視線を彷徨わせていると、キスキルの太ももの上に薄い布地が二枚置かれているのに気づく。
彼女の方も見られていることに気づいたのか、キスキルは口元を蠱惑的に緩めると、僕の耳元に顔を近づけながら、その一枚を持ち上げて見せてくれた。
「ふふっ、これはあたしとリィラの脱ぎたてショーツ♥ なんだけど、あんだけ暑い中にずっといたから、すっごく蒸れちゃって濡れてるってわけ♥ そんなムレムレショーツを、マスターのチンポに被せてぇ……、その上からたっぷり扱いてあげる♥ シコシコ、シコシコ~って♥」
熱っぽい吐息が耳の表面を愛撫するように撫で、身体が奥底から燃え上がったように一気に熱くなる。ゾクゾクとした心地も背筋を駆け抜け、身体全体が軽く震えるのと同時に、無駄に姿勢よく強張ってしまっていた。
視線を何とか動かし、キスキルが手にしているそれをあらためて見てみれば、確かに布地の面積が少なめのレースのショーツだった。
ふたりのどちらかがそのショーツをつい先ほどまで穿いていたという事実が、頭を沸騰させ、愚息を大きく反るように屹立させる。硬さを帯びた竿には血管が浮かび上がっていて、膨らんだ亀頭の先端からは我慢汁が今にも溢れ出そうだ。
キスキルは勃起した肉棒を見下ろして嗜虐的に微笑むと、太ももの上に乗せたままだったもう一枚のショーツも手に取り、それらを重ねるようにして亀頭に真上から被せた。
触れ合ったショーツの肌触りは柔らかく滑らかで、とても繊細だ。それでいて、どことなくしっとりとしているようにも感じられる。これは、キスキルが言っていたように、あまりの暑さで蒸れてしまったからなのだろう。すなわち、ショーツにはふたりの汗が染み込んでいる、ということになるのだろうか。
試しに嗅いでみるが、それらしき臭いはさすがに感じられなかった。残念に思う一方で、溢れ出ている我慢汁をふたりのショーツで拭っているというか、塗り込んでいるような形になっているということに気づかされる。いや、エロすぎじゃないだろうか。
「ふっ、ふぅぅぅ♥ あぁむ、れろっ♥ マスター、どぉ?♥ あたしたちの脱ぎたてムレムレショーツ、気持ちいい?♥」
吐息が耳の表面を撫でた直後、湿り気を帯びた柔らかな舌がその後を追うように軽く押し当てられる。
僕が身体を強張らせたまま弾かれたようにこくこくと頷くと、キスキルは亀頭をショーツ越しに真上から包み込むように握り、きゅぅっと捻った。
痺れるような刺激が股座から脳天まで一気に駆け抜け、思わず腰が勢いよく突き上がる。口からは情けない呻き声が衝いて出た。
その間にも、キスキルの白魚のような指は竿に絡みついていき、肉棒が優しく握られる。そして、彼女の手が大きく上下に動き始め、
「マスター、顔はこっち♥ ほぉら、マスターの好きな腋♥ 汗もまだまだ、だっくだく♥」
それを眺めていた僕の顔は、リィラによって彼女の方に向かせられた。
一糸まとわぬ姿になっているリィラは、僕に近しい方の手を後頭部に当てるようにして腕を挙げ、腋を僕に見せつけるポーズを取っている。
その曝け出された腋を目の当たりにして、僕は再び生唾を飲み込んでしまっていた。
何よりも目を引くのは、やはり玉のような汗だ。
肘の方から流れ落ち、彼女の身体に透明な軌跡を幾つも描いている。ふるふるぅ♥と揺れているおっぱいの線をなぞるように流れている汗もあり、色気が匂い立つかのようだ。
しかし、それ以上に艶めかしいのが、リィラの腋である。
ほのかに赤く染まった肌が濡れ、しっとりとした雰囲気を醸し出している。うっすらとした窪みもその形状を露わにしていて、腋という部位が普段はほとんど見ることができないというのも相まって、漂う艶めかしさを際立たせるように背徳的な色香を添えていた。
唇の間から息が荒く零れるのを感じながら、リィラの腋を食い入るように見つめていると、どことなく濃い臭いが鼻に届いていることに気づく。その正体が、むわぁぁ♥♥とリィラの腋から昇っている薄い湯気であると気づいた直後、リィラが見計らっていたかのように腋を僕の顔面に勢いよく押しつけた。
鼻腔が瞬く間に彼女の臭いで満たされ、僕の思考はリィラ一色に染め上げられる。
おそらく、それは体臭とでもいうべき臭いなのだろう。
リィラやキスキルのような女性は、本来、今すぐにでもケアしたいに違いない。しかし、汗を掻いて濃くなっているそれを、いまの僕はむしろ積極的に嗅がせられている。
そんな現状は一度意識してしまうと、あまりにも背徳的でエロすぎて、興奮せずにいられるはずがなかった。
頭が芯を締めつけられたようにじんわりと痺れるのを感じつつ、僕は思い切り吸い込み、鼻腔から肺までリィラの臭いだけで満たし尽くす。
彼女の腋に顔を近づけ、うるさいくらいに鼻を鳴らしながら嗅ぎ続けていると、あはっ♥と熱に濡れたリィラの声が耳に響いた。
「マスターってばぁ、あたしの腋の臭いを嗅ぎながら、おチンポおっきくさせすぎぃ♥ 扱いてるキルの手から今にも飛び出しちゃいそうなくらい、勢いよくビクビクって震えてるしぃ♥ っん……ぁっ、カウパー汁もすっっご♥ あたし達のショーツに染みもできてるぅ♥」
ちゅこ♥ ちゅく、ちゅこ♥と淫猥な水音が下腹部の方から聞こえるが、頭はリィラの臭い一色に染まっているからか、すごく遠く感じられる。
キスキルに扱かれて愚息が限界まで膨らみつつある下半身と、リィラの臭いをただただ嗅ぐことしか考えられなくなっている上半身――どちらにも興奮しているけれども、向いている方向性が似ているようで違いすぎて、まるで両者がそれぞれ別の生き物になってしまったかのようだ。
しかし、それはあくまで感じ方の話であって、やはり身体はひとつしかない。
キスキルの巧みな手腕によって引き出された熱が、リィラの臭いによって得たそれと混ざり合い、僕という存在そのものを飲み込む大きなうねりとなって、一気に込み上げる。
瞼の裏が白く明滅するのを感じ、思わずリィラの身体にしがみつくと、彼女が僕の頭部を抱えるように抱き寄せた。
それによって、僕の顔がリィラの腋に埋められるのと同時に、鼻腔に満ちていた彼女の臭いの濃度が一瞬で爆発的に高まり、僕のすべてがリィラ一色に塗り尽くされた。
思わず仰け反りたくなるような強烈な痺れが身体を駆け巡るが、後頭部を押さえられているため、動くことは叶わない。それでも、鼻は彼女の臭いを求めるように絶え間なくひくひくと動き、沸々と煮えた射精感が加速度的に膨れあがっていく。
「んんぅ……マスターってば、すっごい鼻をひくひくさせてぇ♥ 身体もずっとビクビクって震えてる♥ ふふっ♥ そろそろ出そう、なんでしょ?♥ だったら、あたしが合図するから……マスターはそのまま、あたしの腋の臭いを嗅ぎながら、あたし達のショーツにザーメンたっくさん出してぇっ♥
それじゃあ、せぇの――びゅっ、びゅるびゅるっ、びゅううううぅぅっっっ♥♥♥ びゅくびゅくっ、びゅっびゅっ、びゅぶっぶううううっっっっ♥♥♥」
囁かれた合図に応えるように、限界まで膨らんだ肉棒がキスキルの手の中でビクビクッと大きく跳ねる。
込み上げた熱の奔流が、まるで壊れた蛇口のように、荒々しい勢いで吐き出されて止まらない。固まりのような白濁が尿道を次々と通り抜けていくのに猛烈な解放感を覚えながら、僕はリィラの身体に抱きついていた。
しばらく経って射精がようやく落ち着くのと同時に、鼻腔を満たしていたリィラの臭いが、覚えのある青臭いそれに上書きされていることに気づく。
僕は肩で息をしながら顔をしかめずにはいられなかったが、
「うわぁ、ザーメンの臭いすっっごぉ♥ しかも、ショーツがザーメン塗れになるくらい出たのに、おチンポまったく萎えてないしぃ♥ さっすが、マスター♥」
「でも……だからこそ、ちょっと勿体なかったかなぁっていうかぁ。もちろん、マスターが気持ちよくなってくれるのが一番だけどね?♥」
リィラとキスキルは僕の下腹部の辺りを見て、楽しそうに語り合っていた。
ふたりの視線を追いかけて見下ろせば、吐き出された白濁液でドロドロに汚れながらも硬さを保ったままの愚息の先端から、被せられているショーツがゆっくりと引き離されようとしていた。その両者の間には、白っぽく細い糸がまるで橋のように緩やかな弧を描いてつながっていた。
*
「マスター、ベッドの上に横になってくれる? そうそう、そんな感じ♥ ありがと、っちゅ♥」
虚脱感の残る身体を引き摺るようにして寝そべると、リィラが微笑んで頬に口づけを落としてくれる。そのまま、彼女はこちらに背中を向けながら僕の下腹部に跨った。
下半身の辺りに上から押さえられるような重みを覚えるのと同時に、きしぃ♥とベッドが軋む音が室内に響く。誘われるように顔を上げれば、すらりとしたリィラの足がM字状に大きく開かれていて、むちぃ♥とした肉づきのよさを兼ね備えた見事な脚線美に僕は目を奪われてしまう。引き締まりながらも肉感的な尻も小さく揺れ、熟れた果実のような色気を放っている。
その一方で、軽く反るように伸びたリィラの背中は滴り落ちている汗に濡れていて、嗅ぎ取った鼻の中は再び彼女の臭いでじんわりと満たされつつあった。
「それじゃあ、今度はあたしがおまんこでマスターのザーメンをたっくさん搾り取ってぇ――っっ、うぅん゙っ!♥♥ ああ……っ、わかってたけどぉ、マスターの太くてかったぁいおチンポ……奥まで届いてぇ♥ っん……あんなに出してたのに、スゴすぎぃぃっ♥♥ あぁん、っう……んぅぅっ!♥ だめぇ、気持ちすぎてぇ腰止まんなぃぃっ♥ もっと、もっとマスターのおチンポ欲しくなっちゃうぅっ♥♥」
濡れそぼった秘裂が勃起している肉棒の先端に宛がわれ、くぱぁ♥と押し広げられる。
そして、ずぷっ♥ ぬぷぷぅ♥と亀頭が淫猥な水音を立てながら咥え込まれた次の瞬間、リィラのほっそりとした腰が重力に任せて一気に下ろされた。どちゅんッッ♥♥と重みを感じさせる水音が響き、打ちつけられたリィラの尻肉が勢いよく揺れて微かな波を描き出した。
鋭く痺れるような刺激が下半身から脳天まで一気に駆け抜け、意識がほんの一瞬だけ白く途絶える。
しかし、リィラは腰をぐりぐりぃ♥と揺らしたかと思えば、休むことなく尻を肉棒が抜けてしまわないギリギリまで持ち上げ、
「リィラのエッッッロい杭打ちピストンをガン見したいマスターの気持ちは分かるけどぉ、お楽しみはそこまで♥ というわけで、両足でマスターの顔をふみぃぃっと♥ そして、足をこうやって……すりすり♥ すりすりぃ♥ってね♥」
リィラを眺めるために無意識の内に上げていた僕の顔を、頭上に座っているキスキルの両足が真上から遮るように押さえつけた。彼女の足は片方は裸足だが、もう一方はタイツを穿いている。
上がっていた僕の頭がゆっくりとシーツに沈み込むと、ふみぃ♥と彼女の両足が顔面を軽く踏んだ。足の裏が顔の表面を撫で、滑るように移動していく。まるで足の裏の臭いを僕の顔に染みこませようとしているかのようで、強く感じられていた臭いがキスキルのそれに徐々に上書きされていく。
そんな足の動きがしばらく続いた後、素足の方の指が鼻先を反らすように引っ張り上げたかと思えば、すりすりぃ♥とタイツを穿いたままの足裏が鼻の穴に擦りつけられた。
強烈でありながら芳醇な臭いが鼻腔を満たし、理性をドロドロに溶かす。燻っていた昂揚が一気に燃え上がり、身体を駆け巡りながら膨れあがっていく。
キスキルのこの臭いも、リィラの腋と同様に、あまりの暑さで蒸れてしまったことによるのだろう。
しかし、彼女の場合は穿いていた靴をギリギリまで脱いでいなかったし、片足はタイツを穿いたままであるということが、臭いをより熟成させたように思えた。
もっと堪能したい衝動に駆られ、僕は広げられている鼻の穴をひくひくと動かし、タイツに包まれている足裏から漂うキスキルの臭いを思い切り吸い込んだ。鼻息が荒く漏れるのも気にせず、魅せられたように彼女の臭いを嗅ぐのを繰り返す。
「マスターってばぁ、そんな体勢になのに、臭いを嗅ぐのに貪欲すぎぃ♥ っっ、んぅ……ぁあんっ♥ 嗅ぎ方えっちすぎてぇ、あたしの身体も熱くぅ♥♥ あぁ……んっ、マスター、ますたぁ♥♥」
キスキルの情熱的な囁きが耳から染み入るのと同時に、視界を遮っている足がぷるぷると震えているのに気づく。
身悶えしているだろうキスキルの姿を想像しながら、足の裏の臭いを更に強く吸い込むと、今度は下方から甲高い嬌声が響いた。
「んんぅっ……?!?!♥♥ っあ、ンん……マスターのおチンポ、更におおきくぅ♥♥ あァン、そんなぶっといので奥まで貫かれたらぁ……むりムリぃぃ♥♥ あたしイく、イっちゃうからぁぁ♥♥ ますたーマスターますたあぁぁっ♥♥ あぁ……ンんッ、おチンポビクビクってぇ♥ んンぅ、っあん……っあ、出そう?♥ 出ちゃいそう?♥ ぅん……おまんこギュぅぅってするから、マスターの特濃ザーメンをあたしの一番奥にびゅるびゅるってしてぇぇっっ♥♥」
ずちゅ♥ ぬちゅ、ぐちゅぅ♥と淫猥な水音が絶え間なく響き、ぎしっぎしっぎしぃぃっ♥とベッドが軋む音を上げながら揺れる。
リィラの強烈なピストンに、沸々と煮えた熱が一気に込み上げてきているのを感じていると、乗せられた足によって隠されていた視界が突如開け、腰を振っているリィラの姿が露わになった。短く揃えられた髪が激しく揺れ、ぴゅっ♥ ぴゅっ♥と艶めかしい肢体から汗がシーツに向かって飛び散っている。
予期せぬ事態にさすがに困惑が勝っていると、開けたはずの視界が今度は肌色に覆われた。
「腋や足もいいけど、そろそろイっちゃいそうだっていうならぁ、やっぱりこれでしょ♥ っていうか、あたしの我慢も限界で――っっ、んんぅぅっ!!♥♥」
その正体は一糸まとわぬ姿になったキスキルであった。彼女が僕の顔面に跨り、秘所を鼻の辺りに押しつけている。
僕は迷うことなく彼女のか細い腰に抱きつき、腕を回して尻肉をがっしりと掴むと、整えられている濃いアンダーヘアに躊躇うことなく顔を埋めた。頬ずりするように顔を左右に動かしながら思い切り息を吸い込み、鼻腔を彼女の臭いで満たし尽くす。
いままでは感じられなかった濃厚な雌の匂いが、理性を溶かし、膨れた熱がうねりのように巻き上がる。それになす術なく飲み込まれながらも、僕はキスキルのアンダーヘアの臭いを無我夢中で嗅ぎ続ける。最早それしか考えることなんてできなかった。
「あぁ――っ、んんぅっ、はすはすヤバぁっ♥♥ っんぅぅ、子宮きゅんきゅん疼いてぇ♥ イく……っ、あたしもイっちゃぅぅ――っっ♥♥ んんぅぅぅ―――ッッっ!!!♥♥♥」
「んんぅ……っあんッ、マスター、ますたーますたああ♥♥ 好き、すきっ……大好きぃぃっっ♥♥ あぁ、あアぁっ、んんぁ、ああ゙っっ、ああァあああ―――っっっ!!!♥♥♥」
びゅくっ、びゅくびゅくっ、びゅうううううぅぅっっっ!!!♥♥♥ びゅるびゅるっ、びゅっびゅっ、びゅぶううううっっっ!!!♥♥♥ びゅっ、びゅっびゅっ、びゅるううううっっっ!!!♥♥♥
キスキルが汗を飛び散らせながら身体を艶めかしく仰け反らせ、リィラの甲高い嬌声が室内を満たす。
大好きなふたりを全身で感じられて満ち足りた気持ちを覚えながら、僕は辛うじて保っていた意識を手放した。
*
「――マスター、今日は色んな臭いを嗅いだけど、鼻の調子は大丈夫? 何て言うか、大体があたしやリィラがケアしきれないようなのだったじゃん? だから、さすがにちょっと心配で」
肩まで湯船に浸かって脱力していると、向かい側に座っているキスキルが口を開いた。
かと思えば、彼女はぐっと身を乗り出してきたので、真正面から抱き合うような体勢になってしまう。そんな狭い浴槽の中で、キスキルのたわわに実ったおっぱいが胸板に当たり、むにゅぅ♥と柔らかく形を変える。その感触に思わず気を取られてしまうが、見上げている彼女の視線は僕の鼻に注がれていた。
「ホントにそう。だから、興味津々なマスターの気持ちもよく分かるけど、ちゃんとした匂いを楽しんでほしいっていうか」
向けられるキスキルの視線に困って顔を少し背けると、身体を洗っていたはずのリィラが手を止めて首をうんうんと大きく縦に振って頷いていた。
キスキルはそんな相棒を横目に見て、ニヤニヤと笑みを浮かべながら口を開く。
「――でも、マスターと汗だくセックスするの最高っしょ?」
「もちろん。むしろセックスでならもっともっと汗だくになりたかったから、マスターが一発で限界を迎えちゃったのだけが心残り。マスターの特濃ザーメン、ホントにスゴかったし♥」
「リィラの杭打ちピストン、エグかったからねぇ♥ マスターが早々にすっからかんになっちゃうのも止む無しっていうか」
「あっ、あれは……その、マスターがあれを一番好きだからでぇ。それを言うなら、キルだって――」
ふたりがじゃれ合っているのを眺めながら、僕は彼女たちが言っていたことについて考えてしまう。そして、あらためて考えている内に、僕はそのことに気づかされた。
どうやら僕は、ふたりがすぐにでもケアしたいような臭いを悪臭だとは思っていないみたいだった。
もちろん強弱や濃淡を理解できていると思うが、少なくとも今日のセックスで嗅いだふたりの臭いを悪臭だとは一切感じなかった。キスキルやリィラが嗅がれたくないと思うのも理解はできるのだけど、僕はたぶんいくらでも嗅げるし、興奮だってできるだろう。さすがに、いまみたいなときは厳しいけれども。
そういえば……、相性のいい相手の匂いは好ましく感じる、なんて話を思い出す。
それがどれほど的を射ているのかは分からないけれども、いまの僕には大いに頷ける話だった。
「マスター、どうかした? 何か考え事?」
リィラに優しい声音で問いかけられ、我に返る。いつの間にか考え事に耽っていたらしい。
しかし、何となく結論的な何かは得られたように思ったので、ふたりに考えていたことを伝えると、キスキルもリィラも鳩が豆鉄砲を食ったような表情を浮かべた。
予想外の反応に戸惑いながら見惚れていると、ふたりはお互いのことをちらりと見遣り、それぞれ反対方向から僕の耳に顔を寄せた。
「――マスター、あたし達も」
「マスターのことが」
「「大好きよ♥ ふぅぅぅぅぅ♥♥」」
情熱的な言葉と一緒に左右から同時に息を吹きかけられ、身体のすべてが歓喜に打ち震える。
僕はふたりをそっと抱き寄せ、それぞれの唇に軽く触れ合うキスをして、大好きな彼女たちからの言葉に答えた。