王子の側姫となり、純白の花嫁衣裳をまとうものの、
すれ違いの日々が続いていました。
彼女の欲求不満は危険な遊びに耽るほどです。
そんなリンネの元に偶然、肉蟲が転がりこみ……
美しき姫は醜いそれを、自身の胎内に招きいれて!?
Skebにてご依頼を受け、執筆した作品です。
お楽しみいただければ幸いです!
とうに見捨てられ、誰も省みぬ廃坑。そこは後ろ暗い商売をするのにぴったりのロケーションである。
ここで取り扱う商品は多岐に渡る。食糧、魔道具、依存性のある薬物に……人間そのもの。いわゆる闇市と呼ばれる場所だ。
今日、ここでは奴隷市が開かれる。襲撃の成功が続き、村落や馬車から見目麗しい商品を多く仕入れることができたのだ。
闇市では女などモノにすぎない。購入すれば所有者の自由だ。どのような扱いをして、早々に壊してしまったとしても……誰も咎めることはない。
「う、うぅ……」
少女たちもそれをよく知っている。だからこそすすり泣き、鎖につながれた我が身を嘆くしかない。
代わりに笑うのは、闇市の顔役たちだ。普段は慎重な彼らだが、カネが大きく動く機会である。久方ぶりに一堂に会した。
売り手も買い手も欲望を剥きだしにしている。陽の当たらぬ薄暗い市場には、淀んだ熱気を渦巻いていた。
そんなところに、冷や水が浴びせかけられる。
「軍が来るぞ! ちくしょう! 全部バレちまってたんだ!」
女神アイギスの加護を受け、打倒魔王を掲げる王子。彼は魔のものだけでなく、非道を行う人間にも誅罰を下している。彼らが最も恐れる存在だった。
軍の襲撃と有力者たちが集うタイミングはぴたりと一致している。偶然ではあるまい。こちらの動向は筒抜けだったらしい。
「お、王子が指揮してるのか?」
「違う! リンネだ! 刻詠の風水士!」
彼らの動きがぴたりと止まった。
汚い稼業に身を置く男たちである。ゆえにその名と力は誰もが聞きおよんでいた。
リンネは己の人生すべてを知っているという。ゆえになにが起きても最善手を選択でき、現実は彼女の思うがままに動く。
そんな権能に立ちむかえる者など、この中にはひとりもいない。
「…………」
もう終わりだ。勝てるわけがない。彼らは皆、同じ言葉を思いうかべている。
しかし座したままでは破滅が待つばかりだ。男たちは武器を手にすると、坑道の外に飛びでた。
◇
数百もの甲冑がぎらぎらとした光を照りかえす。廃坑の入口はもちろん、非常用の通路にも兵たちが待ち伏せていた。水も漏らさぬ包囲である。
そして情報どおり、軍勢の先頭には王子の側姫が立っていた。
「…………」
長い黒髪と、まだあどけなさを残す花貌。手首の細さだけで彼女の華奢さがわかった。
静かに瞳を閉じた彼女は、純白の装束をまとっていた。ふわりと広がる、バラの装飾があしらわれたスカート。さらにはヴェールすら被っている。ウェディングドレスのようだった。
清廉そのものの衣装に見える。しかしその生地は極薄で、腰のくびれどころかヘソのくぼみさえ窺える。そして白いデコルテと深い谷間が、惜しげもなく晒されていた。
折れそうな身体に、豊かに実った胸乳……。男の情欲を否応なくそそってくる。
リンネはゆっくりと目を開いた。大きな瞳を鋭く尖らすと、悪漢どもへ宣言する。
「汝らの悪行は……暴かれておる。武器を捨てて……疾く、投降せよ」
その声は静かだった。戦場の中では紛れてしまいそうだ。しかし彼女が発した一言一句は悪漢どもの元に残らず届けられていた。
リンネが操るものは、言葉でさえも別格の強さを持つ。そのことがはっきりとわかった。戦意を喪失しても不思議はない。しかし彼らの心の中は、少しずつ変化していた。
「な、なぁ」
「あぁ……」
ごくりと唾を飲みくだす音が、あちこちから響く。
黄ばんだ白目に血管が浮き、濁った黒目がらんらんと光る。男たちの視線は全て、リンネへ向けられていた。
自分たちを裁く者が現れたのだ。彼らは皆、恐ろし気な姿を想像していた。しかし目の前に現れたのはそんなものから遥かに遠い、純白の美女だった。
強い意志が宿る瞳と、きりりと引きむすばれた桃唇。凛とした雰囲気をまとっているが、側姫に見初められるほどの可憐さは失われていない。
そんな黒髪の美女がまとうのは、戦場には不似合いな婚礼衣装だ。
女の服など、破くことが前提の包装紙にすぎない。それが彼らの共通認識だった。だがその艶やかさは、撫で心地をまず確かめたくなる。
そしてなにより……男どもの目を引く箇所があった。
「あんなきれぇな胸、見たことねぇ……」
そう呟いたのは、女泣かせで名を馳せた男だった。女体など数えきれぬほど見てきただろうに。今の彼はまるで童貞少年のごとく、リンネの豊房がつくる谷間を凝視している。
側姫から降伏の勧告が発され、幾ばくかの時が流れた。しかし応じる者は誰ひとりとしていない。
「刻詠の姫、だぁ……? 上等だ!」
ついにひとりが吼え声をあげた。その勢いは悪漢どもに伝播していく。
「そうだ! やっちまえば、俺たちのやり放題だ!」
「あのでっけぇ胸にチンポコ挟ませてぇ!」
男たちは口々に己の欲望を吐きだす。
この状況は紛れもないピンチだ。しかし逆に包囲を食いやぶり、リンネを捕らえることが出来れば。なにもかもがひっくり返ることとなる。
「奴隷市の空き、つくっとけよ! 姫の値段っていくらになるんだ?! 見当もつかねぇ!」
「いやだ! あいつは俺のモンだ! 俺だけのスケにしてやる!」
「違う! リンネを孕ませるのは、オレだ!」
彼女の能力を忘れたわけではあるまい。それでも彼らはリンネを手籠めにすることしか考えられない。側姫の魅力に、完全に狂わされていた。
「やるぞッ! かかれッ!」
「うおぉぉぉおッ!」
悪漢どもは雄叫びを上げ、包囲軍へ襲いかかった。彼らに追いつめられた様子はない。極美の姫を我が物としたい。そんな欲望のためだけに進撃する。
戦場では士気がなにより重要である。必勝の気迫が、これまでにも多くの逆転劇を描いてきた。事実、圧倒的に有利なはずの王子の兵たちは、ほんの少しだけたじろぎを見せる。
しかし全く動じぬ者もいた。言うまでもない。リンネだ。百を超える欲望を浴びているというのに、側姫にして将である彼女は、凛と呟いた。
「下衆、が……」
リンネは手をゆっくりと掲げる。戦いは呆気なく終わった。
◇
闇市の制圧は何事もなく完了した。
重装の兵士に押しつぶされ、刻詠の能力に翻弄され。悪漢どもは無様に地を舐めることとなった。彼奴らはリンネを捕らえるどころか、ヴェールに触れることさえできなかった。
「お見事なご采配でした、リンネ様」
経験豊富な将官から労いを受け、リンネは小さく頷く。
彼女にとって作戦の成功など、規定事項にすぎない。それよりも気にかかることがあった。
「うむ……。それで……お、王子から、なにか、報せはあったか……?」
「いえ、特には……。お帰りの予定もまだわかりません」
「そう、か……」
リンネは小さく溜息をついた。
女神アイギスの加護を受け、平和のために邁進する王子。その勇名は高まる一方だ。彼の旗印に集う者も増え、勢力は拡大していっている。
それは喜ばしいことに違いない。しかし。
(顔すら見れないのは……もう、何時以来か……)
王子は軍の最高指揮官であり、多忙な身だ。今も遠隔地の制圧に当たっている。側姫といえど会えぬ日々が続いた。
暗い世界から救いだされただけでない。夜ごとに愛を重ねて、ついには純白の衣装と薬指の指輪を贈られた。しかし今のリンネは、孤閨を寂しく守るしかない。
いかに清廉な美女といえど性欲はある。しかし王子の側姫なれば、斯様なことは誰にも相談できない。
リンネはいつしか、とある遊びに興じるようになっていた。
「ところで、今日はその装束をお召しなのですね」
将官は花嫁衣装に目を遣る。さすが、王子が残していった兵だ。リンネへ向ける彼の視線には邪念が一切ない。
己の生涯すべてを見通し、常に最善手を選択できる。それがリンネの代名詞ともいえる、刻詠だ。
しかしこの衣装に身を包むと、その力が弱まってしまう。代わりに、なにか別の作用があるようだが……。
なにが起こるかわからぬ戦場で花嫁装束をまとうのは、リスキーな行為といえた。
「艶やかなこれは……目立つであろ? 兵たちの象徴となるのも……将の務めゆえ、な」
「な、なるほど……!」
戦場にあって、優美な衣装は否応なく目立つ。それは女神の加護を受ける軍の旗印として、この上なく相応しいものだろう。
彼はリンネの説明に納得したようだった。しかし彼女の真意は別のところにある。それを読みとられることもないと、リンネは知っている。
「…………」
廃坑の中では人工の灯がちらつく。リンネの目はふと、それに捕らわれた。
「……吾は、あの中を少し見てくる」
「かしこまりました。後処理は続けておきます」
単なる好奇心だった。無法の市場とはどんなものだろうか、それを知るため、リンネは闇市に足を向けた。
◇
奴隷市から助けだされた少女たちの傍に、救護兵は寄り添うように控えていた。
安堵から泣きだす者、いまだ呆然としている者。救出された少女たちの反応は様々だ。しかし手厚く保護すれば、きっとすぐに笑顔が戻るだろう。
悪漢どもの行いに改めて怒りが湧いてくる。しかしそれよりも身を焦がすものが、リンネにはあった。
(あの男たち……吾の胸を、舐めるように……)
先ほどの戦いを思いだす。途端に身体がぶるりと震えた。もちろん、恐怖からではない。
投降を促したにもかかわらず彼らは、リンネに肉欲の視線を向けてきた。その全てが野卑で身勝手なものだ。
それはある意味では、非常に純粋なものといえる。女として熱烈に求められる……。それは間違いなく、悦びに通じていた。
(もしも……敗北していたら……)
リンネは続けて考える。
もしも敗北していたら。悪漢どもの妄想は現実のもとなり、自分は犯しぬかれたに違いない。愛の証である白装束は破られ、巨房を揉みしだかれ、姫孔に欲棒を突きこまれ……。
「ふ、ぅ……」
胸乳と尻肉が小さく弾む。それはごく僅かな動きに過ぎなかった。いかに花嫁衣裳の生地が極薄といえど、周囲に漏れる心配はないだろう。
粗野な男たちにあえて純白を晒し、欲望の視線を浴びて、卑猥な妄想に耽る。欲求不満のリンネは、こんな戯れに嵌まっていた。
賤漢どもの肉奴隷にまで堕ちた自分を想像して……。リンネは小さく笑った。
(斯様な事は……決して起こり得ぬのじゃが、な……)
安全が保証されていなければ遊戯とはいえない。
確かにこの装束では刻詠が不完全になる。しかし彼我の戦力差は圧倒的なのだ。どれほど想定外の事態が重なろうとやはり、彼奴らはリンネに指一本も触れられなかっただろう。
事後処理に当たる兵たちや、助けだされた少女たち。彼らとすれ違いながらリンネは闇市を歩く。側姫の目はとあるものに吸いこまれた。
(玩具の店、か……)
煤汚れた桃色の看板である。そこには張型の絵図が描かれていた。閨房で使用される、いわゆる大人の玩具を扱う店らしい。
好奇心がまた、むずむずと胸をくすぐってきた。
「…………」
辺りを軽く窺う。誰もこちらを見ていない。それを確認してから、リンネはその中に足を踏みいれた。
◇
闇市に構えた店らしく、中は乱雑で薄暗い。狭い通路から棚に視線を送る。そこにはグロテスクな商品がひしめきあっていた。
(オークの、魔羅……? ほ、本当に斯様な、巨怪さなのか……?)
まず、魔物の牡性器を象ったディルドに目を奪われた。鈍い輝きを放つ指輪もある。強制的に隷属関係を結ばせるものらしい。
怪しげな商品を眺めていると、妙な臭気を鼻孔が捉えた。催淫香が漏れているらしい。長居はしない方が賢明だろう。
それを知りつつも、リンネは店内を物色しつづける。己の既知にはなかった未知。予想どおり、ここにはそれが溢れている。
ゆっくりとした足取りだったが、ついに最奥まで辿りついた。そこには店主が座っていたと思われるテーブルがあった。
「……?」
メモと小瓶が置かれたままだった。紙片には『超希少品。最高額で販売予定の玩具』という文字が踊っている。これを仕入れた時の、店主のほくそ笑みも窺えるようだった。
(超、希少品……。如何な玩具か……?)
小瓶は陶製で、口にはコルクが嵌まっている。その上には封印の符も張られていた。外からでは中身が全くわからない。
「…………」
闇市で捌かれる商品のほとんどは禁制のものである。このままではこれも、廃棄されてしまうことだろう。
「リンネさまー、どちらにおられますか~?」
「! こ、此処じゃ……。すぐ、行く……」
外から呼名が聞こえてきた。リンネは咄嗟に小瓶を、花嫁衣裳の内に忍びこませていた。
彼女はそのまま側姫として、事後処理の指揮に当たった。その間も陶器の湿った冷たさは、肌にしっかりと染みこんでいた。
◇
闇市を制圧した、その夜。私室に入ったリンネは純白の装束を着替えもせず、難しい顔をしていた。
彼女が座るテーブルの上には、性玩具店から持ちだした陶器の小瓶がある。
(吾が、盗人のごとき真似を……)
後ろめたさからこのまま処分しようとも考えた。しかしやはり、好奇心が勝ってしまう。
(瓶詰の玩具とは……如何な……?)
小瓶を振ってみても音はせず、中身を窺うことはできなかった。リンネは蓋を外すと、内容物をテーブルの上に出す。
「!!」
腐敗臭を放つ液体が広がった。彼女の驚きはそれに留まらない。瓶の中に入っていたものが、うぞうぞと蠢きだした。
仕掛けがあるわけではない。れっきとした生き物なのだ。頭でっかちな芋虫のようなもの。それが、超希少品の正体だった。
「生きている、張形とな……。確かに、珍しい……」
リンネはメモの内容を思いだす。生命を持って、女体のナカで自由自在に動く性玩具。確かに珍品と言えるだろう。高値がつくことも頷ける。
仰天が落ち着き、リンネは冷静さを取りもどす。テーブルの上の肉蟲を改めて観察した。
「…………」
なんという醜怪さか。それがリンネの感想だった。
胴部に比べて頭部は膨れ、その境には段差が出来ている。先端には縦孔があった。そこから時おり覗くのは、彼奴の舌だろうか。
ペニスのそのものの形をした蟲である。カリ首はしっかりと傘を這っているが、その身は短く、太さも控えめである。
(魔羅というには……ちと、寸足らずじゃのぅ……)
醜いが、害を成すことはない。それを知ったリンネはくすりと微笑んだ。
美女からの評価をよそに、ペニス蟲はいまだ汚水の上をのたくっている。女性が見れば眉をしかめる光景に違いない。
彼奴の動きは鈍く、身も柔そうだ。簡単に処分することができるだろう。
「…………」
しかしリンネはたおやかな手を、テーブルの上にそっと差しだした。体温が道しるべとなったのか。玩具蟲は身をくねらせ、細い指先に乗った。
ぶよりとした肉の感触が伝わる。美女の背にまで怖気が走った。
そんな知覚とは裏腹にリンネは、芋虫のごときそれを己のベッドまで連れていく。シーツにはシミひとつなく、糊もぱりりと効いている。そして自身も寝台に昇った。
「吾の寝所に招くのは……王子以外は、初めてじゃぞ……?」
虫けらのような存在へ、優美に微笑みをかける。
座した彼女はゆっくりと脚を開きだした。純白のドレスの裾が捲りあげられていった。ほっそりとしたふくらはぎと小さな膝、内腿が順に露わになる。
さらにその奥には衣装と同じ、真っ白なショーツがあった。
「ん……」
クロッチをずらす。側姫の淫裂が露わになった。
蜜洞からは小陰唇が控えめに顔を覗かせている。ワレメの頂点を飾るクリトリスは包皮を被ったままだ。
一直線のスジを描く陰部は、まるで少女のもののようだった。しかし二指をもって割りひらくと、甘い匂いがほのかに漂いだす。
欲求不満を溜めた女の淫香。それはどれほど種が違っても、牡を興奮させるものらしい。
「!」
ペニス蟲は明らかな反応を示した。亀頭そのものの頭部をリンネの秘所へ向ける。そして開かれた女孔を目指して、真っ直ぐ這いすすんできた。
やはりこれは、生きている性玩具で間違いない。その様子を見たリンネは確信した。
間もなく肉蟲の先端が美女の淫口に嵌まりこんだ。
ずずず……っ!
「あっ……」
蜜孔を割りひらき、生ける玩具はなおも前進する。鋭敏な性粘膜が蟲肉の感触を伝えてきた。ぶよぶよとして、薄っすらと濡れていて……。心地よいとはいえない。
悍ましいものに身を開いている。そんな実感が、高貴な側姫をより昂らせていく。
びちびちっ! びちっ!
「あ……はぁ……」
ペニス蟲は尾を盛んに振った。それを推進力にしてリンネの胎内により深く潜りこむ。
張りだした肉傘が抵抗となったが、あまり大きくない生き物である。胴体はすぐに見えなくなった。
「ん、んぅ……」
やがて、ベッドの上にいるのはリンネのみとなる。醜い肉蟲はその身を全て、美女のナカに収めてしまった。
蜜洞の住み心地を確かめるがごとく、リンネの膣内でゆっくり蠢きだす。
ぐに、ぐにゅ……。ぐに……。
「ん……、ふ、うぅ……」
その動きは緩やかだった。胎を暖めるような快感が身をくすぐる。
頭部のカリは膣ヒダに嵌まり、ぴたりと密着する。不意に落ちてくる心配はなさそうだった。
(ふふ……。どんな、悦びを与えてくれるのか……)
生きている玩具。確かに珍品ではある。しかしその見た目はちっぽけな肉蟲にすぎない。あまり期待はしていなかった。
ただ、長い孤閨の慰みになれば。リンネとしては、そんな気まぐれのつもりだ。
(少し、疲れた、な……)
圧勝とはいえ今日は戦もしたのだ。眠気を自覚したリンネは花嫁装束を解くと、代わりに寝衣をまとった。それから再びベッドに昇る。
シーツの上には這蟲が残した汚液の跡があった。しかしそれにも構わず、彼女は今夜もひとり眠りに就くのだった。
◇
美しき側姫が醜い玩具蟲を胎内に入れ、一晩が経った。リンネは健やかに目を覚ます。しかし次の瞬間、股間と内腿の冷たさを感じた。
「あっ……!?」
布団をめくり、慌てて確認する。まるでおもらししたような蜜濡れがシーツにできていた。続いて、下半身に視線を送る。下着はやはりびっしょりと濡れていた。
己の淫口から吐きだした愛液が、この惨状を招いた。それがいやでもわかる。
「ん、んん……!」
そんな光景を目にしたからか。下腹から快感がぞわぞわと這いのぼってきた。
リンネの起床に合わせて肉蟲も目を覚ます。内腔でぐいっと伸びをした。カリの段差が膣ヒダを弾き、美姫はベッドの上で身悶える。
(ここまで、昂らされるとは……)
大して期待はしていなかったのに。リンネは肉蟲に対してほんの少し、危惧を抱いた。刺激しないようにゆっくり立ちあがる。
性粘膜は一晩の間、悦感を与えられ続けていた。小陰唇はぷっくりと膨れ、内側から淫洞を覗かせている。そこに二指を差しこんだ。
「ん……」
静かに昇らせると、すぐに異物に突きあたった。
人差し指と中指の先で肉蟲の尾を抓む。あっさりと捕まえることができた。加えて、体外に向けて引いてみても、彼奴はなんの抵抗もしない。
(いつでも……出すことは、できる……)
この遊びは自分の意思で終わらせられる。それを知ったリンネはほっと安堵した。
ゆえに側姫はこの戯れを続けることに決める。二指を離すと肉蟲はすぐさま、美女の胎内へ潜りこんでいった。
◇
王子は相変わらず、遠征から帰らない。顔すら合わせられない日々は続く。その間、リンネも側姫としての仕事に励んでいた。
「こちらもご確認ください」
「ん……」
今日も大広間では作戦会議が開かれている。
補佐官が資料を差しだした。続いて彼はその要点を解説しだす。ベテランらしく無駄も淀みもない。
リンネはこのとおり仕事中だが……肉蟲はこれから、愉しみを始めるらしい。
びちちっ。
「んんっ!?」
「……? リンネ様、どうかなされましたか?」
「な、なんでもない……。続きを……」
側姫の言葉を聞いた彼は、作戦の内容を再び説明しだす。しかしリンネは上の空だ。
その理由は言うまでもない。胎内の寄生蟲に嬲られているからだった。宿主の事情になど気にかけず、彼奴は勝手きままに振る舞う。
こんっ、こんっ、こつん……。
(奥……ばっかりぃ……!)
膣に住まうものの食糧。それはもちろん、宿主の牝洞から分泌される愛蜜である。滋養にありつくためなら、蟲といえどあらゆる手をつくす。
焦熱感がじわりと、膣粘膜に広がった。
「ん……ん……!」
思わず口元を手で抑えた。しかしその動きを不審がる様子は兵たちにはない。
刻詠の風水士、リンネ。誰しも彼女に対し、神秘的な印象を抱いている。顔を隠す仕草も、思案や奥ゆかしさの表れと捉えられた。
(胎から……あ、あふれて……!)
淫熱に焙られた子宮から、濃い潤みが吐きだされる。肉蟲は膣壁に滴る蜜を舐めとりだした。ちっぽけな彼奴では飲みきれず、陰唇からとろとろと溢れだしてくる。
リンネにとっては永遠とも思える時間が過ぎた頃。会議はようやく終わった。
「今回の作戦でも、我ら、リンネ様に命を尽くします!」
「うむ……。吾は、後から行くゆえ……。皆、先に退出せよ……」
花貌はやや紅潮している。しかし側姫は凛とした顔を崩さず、兵たちに告げた。
その言葉に異を挟む者などいない。ひとりひとりリンネの前で最敬礼をすると、大広間から退出していく。
びちっ、びちちっ……、ごりりっ!
「ッ……」
リンネはそんな兵たちを、じれったく眺める。寄生蟲は今も彼女の胎内を舐り、愛蜜を搾りとっているのだ。
頭は膣底を突き、尾は膣壁をくすぐる。その動きは少しずつ一点に集中していく。リンネのポルチオとGスポットに、だ。
「ふ……ふ……っ」
頬の朱は濃さを増す。美肢体は細かく震え、双房も微かに揺れた。嬌声があがらないのが不思議なほどだった。
ようやく最後の兵士が大広間を辞した。分厚い扉はゆっくりと動き、やがて完全に閉められた。
「はっ……! あ、はぁっ、あぁっ……!」
次の瞬間、純白の側姫は正体を失った。背もたれに深く倒れこむ。細い首が反らされ、火照った息が天に吐きだされていく。
両膝は勝手に開いていた。はしたなく広がった脚の付け根には、びっしょりと濡れたショーツが張りついている。
リンネはその奥を、恨めし気に見つめた。
(この蟲……吾の、弱所を……)
彼女が抱いた考えは当たっていた。宿主に快感を与えれば与えるほど、彼奴はエサにありつける。生きている性玩具は学習も可能なのだ。
「ふ……ふふ……」
もしも先ほど、堪えきれぬほどの悦に襲われていたら。リンネが抱く焦燥と妄想は悦感につながっていた。
なにが起こるかわからない。側姫はスリルという名の火酒の味を知った。
そして刻詠が鈍る花嫁装束は、その御供にぴったりだとも考えた。
◇
玩具蟲に膣腔を貸し、数日が経った。
夜、私室にて。リンネはやはりひとりで、溜息をついていた。
(まだ、遠征は続く、か……)
討伐から帰ると、王子からの手紙が来たと報告があった。浮足立った側姫は花嫁衣裳を着替えもせず、内容を確認したが……。そこにしたためられた言葉に肩を落とす。
愛しの彼とはまだまだ会えないようだ。
ぐぐぐぐっ!
「うッ!?」
落ちこんだ心が無理やり持ちあげられた。寄生蟲が体内最大の性感帯……ポルチオを強く押しこんできたからだ。
(なっ、なにを……?)
肉蟲はリンネの胎内に住みついている。しかし彼奴はこれから、引っ越そうとしているようだ。膣腔よりさらに深い場所、すなわち子宮へ、だ。
淫蟲は亀頭のような頭を擦りつける。硬く締まった小孔を突破しようと試みだした。
ぐりっ、ぐりりっ、ぐりぃ!
「はぁっ、はっ、あぁっ!」
夜伽の際、王子のモノで胎口を突かれたことはある。しかし彼のペニスといえど、子宮にまで招こうとは思わなかった。
愛する殿方さえ不可侵だったところに、下賤な寄生蟲が潜りこもうとしている。
「く、ふぅぅ……! あぁっ、はぁっ!」
そんな想像が最後の一押しとなった。リンネは法悦の世界へ足を踏みいれる。
絶頂の弛緩は体内にも及ぶ。硬く窄まっていたポルチオが、なにかをねだるように口を開けた。淫蟲がそれを見逃すはずもない。
ぼっ……こんっ……!
「くぅぅうッ……! はぁっ、あぁぁあ!」
ひときわ強い振動と悦感が、リンネを腹底から震わせる。じんじんとした快痺は止まらない。
神経はもはや快楽しか伝えぬが……それでもわかることがある。
王子さえも許したことのない箇所を、醜蟲には許してしまった。
「はぁ、はぁぁっ……!」
背徳感と汚辱感が引き金となった。リンネの身体は早くも、二度目の絶頂に押しこまれる。
美しき側姫は今、深い深いオルガスムスに酔っている。ゆえに重大な事実に気がつけなかった。
寄生蟲がその身を寄せたのは、子を育て守るための聖域だ。これはリンネの指ではもう、彼奴を排除できないことを意味する。
「はぁ、はぁ……はぁぁ……ッ」
スリルの味を知った日から、リンネは花嫁衣裳をまとうことが増えていた。その弊害がついに訪れた。自分では制御できないリスクを抱えこんでしまったのだ。
にもかかわらず。リンネの頬は緩みだしていた。
(吾は……どうなる、のか……)
彼女の問いに応じるかのように、肉蟲は新たな住処で踊りだす。子宮の粘膜を擦られ、くすぐられ……。リンネは一晩中、胎からの蟲悦に悶えるのだった。
◇
淫蟲が住処を子宮に移し、数日が経った。リンネはさらに激しい快楽に晒されている。
「リンネ様、おやすみなさいませ」
「う、む……」
たおやかに、しかし凛々しく。兵たちの前ではそんな態度を決して崩さない。しかし私室に戻るやいなや今日も、清廉の姫は崩れおちてしまった。
「はぁっ、はっ……、んんぅ?!」
花嫁衣裳の裾が床面にふわりと広がる。薄い生地の向こう、ヘソの下に蠢きが見えるのは……。気のせいではなかった。
淫熱で火照る下腹部に手を当てた。リンネは思わず、寄生蟲に問いかける。
「まだ……足りない、のか……? あぁっ、はっ……!」
肉蟲の餌はリンネの愛蜜だ。子宮内壁から分泌されるそれはより濃密で、彼奴もお気に召したらしい。
まだ見ぬ我が子を慈しむはずの揺り籠。そこは寄生蟲が快適に過ごすための、餌箱となり果てていた。
「はぁっ、はっ、はぁ……」
穢悦に魅入られてはいるが、そんな連想と無縁なわけではない。汚辱感を覚えて当然だった。
しかしリンネは、どこか安らかな気持ちを抱いてしまう。
(王子とのやや子が出来れば……このような、心持ちなのじゃろうか……)
この蟲は胎内に侵入しただけにすぎない。にもかかわらずリンネは、我が子のごとき愛着を持つようになっていたのだ。
今夜も肉蟲を養うため、リンネは眠れぬほどの邪悦に焦がされる。
◇
王子と会えない日々は続いていた。しかしリンネはもう、あまり気にならない。夜も昼もなく、汗ばむばかりの快楽を与えてくれるからだ。
側姫としての仕事も忙しい。それも理由である。
(今日は、魔物どもの討伐……か)
相手はゴブリンとオークの混成部隊とのことだ。大したことはない。花嫁装束をまとっていても、なんの危険もないはずだったが……。
「な、なんだこいつら!?」
彼我の戦力は天地ほども離れているというのに。亜人どもは異様な気炎を吐いていた。兵たちが振るう刃もものともせず、狂ったように突撃してくる。
「とにかくリンネ様をお守りするんだ!」
魔物の群れは将姫を執拗に狙う。灰緑の手がかすめる場面が、二度三度と訪れた。さすがのリンネにも冷や汗が浮かぶ。
(ど、どういうことじゃ……?)
不可解な猛攻にリンネは能力を閃かせた。
純白の装束により刻詠は弱まっている。朧気にしか見えない。しかし彼女は、とある可能性を目撃する。
(吾が……魔物の仔を、孕む……!?)
ゴブリンやオークは亜人と称される魔物だ。人間に近い形だが、れっきとした異種である。彼奴らからどれほど膣内射精を受けても、女が妊娠することはない。
しかし己の能力で詠んだ未来の己は……。膨腹を抱え、なおも犯され。その挙句に、薄暗い洞穴でゴブリンの仔を産みおとしていた。
これが起こるのは万分の一未満の確率だろう。それでも決してゼロではないのだ。何故、こんなことが起こり得るのか。思いうかぶ原因はひとつしかなかった。
(この蟲の、せい……?)
気づけばリンネは、掌を下腹部に当てていた。その奥には亀頭を掲げた肉蟲がいる。今は眠っているのだろうか。彼奴は不気味なほど静かだった。
今のリンネは能力を十全に扱えない。そんな状態で気を反らした。この出来事は当然の帰結ともいえる。
「ギギィッ!」
「ッ!」
剣戟の間隙を縫って、一匹のゴブリンがついに防衛線を突破した。土で汚れた五指が、リンネの華奢な手首を掴む。
牡の力強さを感じた、次の瞬間。刻詠が己の未来を見せてきた。矮小な小鬼に自分は捕らえられ、兵たちも出し抜かれ……。
「あ……あぁっ……」
清廉な花嫁衣裳の下。胎がきゅんと疼いた。自分には訪れるはずのなかった破滅。それを垣間見ただけでリンネは、軽く達してしまう。
しかし戦力の差はやはり圧倒的だった。すぐさま駆けつけた兵士がゴブリンを背後から斬りつける。亜人は断末魔もあげずに息絶えた。
「お怪我はございませんか! リンネ様!」
「う、うむ……大事ない……」
未来は結局、最も太い可能性を辿った。
亜人たちの気勢に圧されたのは序盤だけ。後は軍が押しかえし、魔群の討伐はつつがなく完了した。
しかしリンネの心はざわついたままだ。
(この蟲のせい……、だけなのか……?)
ゴブリンに孕まされた未来。確かに垣間見たそれを思いだす。しかし異種の妊娠は果たして、蟲の作用だけで起こり得るのだろうか。
もちろんどれほど考えても、答えが出ることはなかった。
◇
側姫の子宮は魔物を受胎できるようにすらなった。肉蟲と出会った日から、リンネの身体は確実に変えられていく。
しかし今の彼女は、そんな我が身のことすら忘れていた。待ちわびていた報せがついに届いたのだ。
(王子……やっと、会える……)
久方ぶりに帰城できる。王子からの手紙にはそう綴られていた。
夜、私室に戻ったリンネは、その一文を何度も読みかえす。長い別離の後の再会に心が踊った。
「う、うぅっ……!?」
胸を温めている、まさにその時。リンネは突然の腹痛に襲われた。食あたりなどではない。美姫の体内から這いだそうとするのは、意思を持つものだった。
(い、行かねば……)
同時に、そんな考えが脳裏に閃く。それはリンネ自身が思いついたものではなかった。ゆえに彼女はちぐはぐな行動をとりだす。
下腹は強く疼きつづけているというのに。彼女は純白の花嫁衣裳をまとった。
「はぁっ、はぁっ」
兵たちの目を避け、こそこそと城を出る。まるで盗人のようだ。そんな彼女が辿りついたのは薄汚れた路地裏だった。
リンネは王子の側姫である。ひとりになりたければ人払いなど簡単にできる。わざわざ危険を犯し、誰が通るかもわからぬ裏路地にまで来る必要はない。
そしてなにより……人目を否応なく引く、清廉な白衣に着替える理由もなかった。
(この仔が……望んでおる……)
リンネの行動は全て、寄生蟲の要請によるものだった。胎からの声を、彼女は無視することができなくなっていた。
衣装が汚れることも構わず、地べたに座りこむ。両膝を立てて脚を大きく離した。優美な裾が持ちあがり、リンネの美脚が付け根まで露わとなる。
「ふっ……! うぅぅ……」
突然、風が吹きぬけた。秘肌を冷たく撫でられたリンネはぶるりと震える。
花嫁装束の下に、側姫はなにも身につけていなかった。淫裂はすでにさらけ出されている。
これは今夜が初めてというわけではない。肉蟲に胎を嬲られると、愛蜜がすぐに溢れだしてしまう。リンネがショーツを穿かなくなって、もう久しい。
ぐぐぐっ……!
「あぁっ?! は、あぁぁあ……!」
子宮の内からポルチオを押しこまれた。かつて味わったことのない快感が下腹に溢れだす。
胎袋を留める窄口は最大の性感帯だ。そこを押され突かれる悦楽は、リンネもよく知っている。
「はぁっ、はぁっ……、あひっ、あぁぁんッ!」
しかしナカからこじ開けられようとするのは、初めての体験だった。産悦はあまりに大きい。リンネは屋外であることも忘れて、桃唇から嬌声を迸らせる。
ぐ、ぐぐ、ぐ……!
美姫は快楽に翻弄されている。しかしその胎内に巣食う蟲も、全てが順調というわけではない。
未産の子宮口は硬く締まっている。それが彼奴の道行を妨げていた。リンネの身体をほぐすため、蟲は得意技を繰りだした。
(! 媚毒が……溢れて……)
下腹にじくじくとした熱が生じる。すでにリンネには慣れ親しんだ感覚だった。肉蟲が愛蜜を啜る際に出す、淫効を持つ粘液。それが多量に分泌された。
潤滑油のつもりであろうか。胎口を溺れさせるがごとく、彼奴は媚毒を滴らせ続ける。
ぐ……ぐむっ!
「は、あぁ……っ?! あ、あぁぁあ!」
きゅぅっと窄まったポルチオに、亀頭がついに食いこんだ。ずっしりと重い性感が脳さえも揺らす。リンネの理性は急速に奪われていった。
代わりに感覚が過敏となる。子宮の内壁に、ぴちぴちとなにかが当たることがわかった。肉蟲の尾部が側姫のナカを、何度も何度も打擲する。
「あひっ、あぅっ……! あぁぁ!」
凛々しく可憐で、清純で……。今のリンネはそんな存在から最も遠い。
薄汚れた路地裏で大股を広げ、首筋にまで性悦の朱を浮かせ、蟲がもたらす穢悦に悩乱している。
ずず……ずずず……。
「はぁっ、あ゛ぁっ、あぁ……! あぅぅうんっ!」
肉蟲は子宮から這いでた。膣腔を下りだす。リンネのナカは愛蜜と媚毒液が満ちている。ヒダが奥から順に、ぴんぴんと弾かれていく。
彼奴の勢いは止まらず、すぐに淫口まで辿りついた。
ずぢゅちゅんっ!
「かはっ……! あ、あぁぁぁ……ッ!」
粘った水音が、暗がりの通りに響きわたった。
戯れに、己のナカへ招きいれた肉蟲。それが再びリンネの眼前に現れた。
「はぁっ、はぁっ」
最初は矮蟲にすぎなかった。だが、刻詠の姫が己の愛蜜で育てたのだ。太さも長さも立派に成長していた。肉色だった体表は淫水で焼けて、どす黒い光を放ちだしている。
その佇まいはまるで、魔のものの王のような……そんな風格すらあった。
己を糧にし、己の身すら変えた寄生蟲。おぞましく見えてもおかしくない。しかしリンネの胸には甘やかな充足感と、蕩けるような悦楽が広がる。
しかしやはり彼奴は、宿主の心になど全く関知しなかった。
「んんっ!?」
サイズだけでなく、肉蟲の身体能力も以前と違っていた。リンネの胸元に飛びかかる。谷間を覗かせるネックラインを押しさげ、双房を露出させた。
姫の美巨乳が形作る谷間は、悪漢と亜人の目をこの上なく引いた。彼らが見れなかった膨らみの全容が、醜怪な肉蟲の前にさらけ出される。そればかりでない。
ちゅっ! ちゅぼっ!
「あっ!? はぁっ、あぁぁ……!」
みっしりと柔肉が詰まった、魅惑の白果実。寄生蟲はその先端に吸いついた。薄桃色の乳首をしゃぶられ、リンネの胸房に悦感が染みこんでくる。
ちゅうっ、ちゅぅうっ……、ぢゅっ!
「は、あ……! はぁぁあ……!」
肉蟲の口中に招かれた乳首から、なにかが滲む感覚がする。母乳だった。彼女の双房はミルクをこしらえるようになっていた。
いつか、王子との間にやや子を儲けたい。リンネはそう願っている。しかし初めての胎育も授乳も、奇怪な寄生蟲に奪われてしまった。
(そうか……吾が……)
邪悦で蕩けた頭が真理に辿りつかせてくれた。リンネはここに至って己の能力を知る。
花嫁装束は既知が不確かになるのではない。未知を呼びよせるのだ。純白はどんな色にも染まり得る。すとんと腑に落ちた。
そしてこの肉蟲は成長とともに、宿主の身体を変えていく。それらが組みあさわった時、どんな変異が我が身に訪れるのか。リンネには予測もつかない。
「…………」
この蟲と決別するのは今しかない。己の理性はそう叫んでいる。彼奴は吸乳に夢中だ。簡単に始末できるだろう。
「……こちらへ、おいで……」
リンネは自分の答えを、言葉と行動で示した。
左右の親指を使い、淫裂を大きく割った。産悦を浴びたばかりの性粘膜に外気が流れこむ。膣腔すべてを柔らかく撫でられたような、むずむずとする快痺が走った。
肉蟲は……いや。我が子同然の存在は、美姫の意をしかと汲んだ。巨房からぴょんと飛びおりる。
悦楽で痺れた脚は、はしたないガニ股に開いていた。彼奴は道を間違うことなどなく、リンネの縦孔に頭を突きこむ。
ずちゅっ!
「あぁっ!」
ぷっくりと充血した小陰唇が、蜜洞の内に巻きこまれた。粘膜が発する痛みさえも今は心地いい。
受けいれられた肉蟲は、リンネの胎内をずんずん這いのぼっていく。
ごつんっ!
「はっ、はぁぁ……! あはぁぁッ!」
子宮口を強く押しこまれた。緩んだ窄孔は簡単に開いてしまう。
美女の聖殿に戻った肉蟲は存分に身を伸ばした。ここは我が物と言わんばかりにくつろぎだす。柔らかな内壁をつつかれ、リンネはまた絶頂に至る。
(吾の、未来は……)
王子は間もなく帰ってくる。彼はもちろん、自分を求めてくるだろう。側姫の胎に蟲がいるなど夢にも思わず。
精と魔が注がれた肉器になにが宿るのか。そしてそれを抱える自分には……どんな快楽と運命が待っているのだろうか。
「ふ……ふふふ……」
淫熱で灼かれた目に映るのは真っ白闇だ。なにも見えない。しかし未知に魅せられたリンネにとって、それはなによりも喜ばしいものだった。