ショタ(?)とお姉さんが戦場で出会ってそのまま塹壕でサカっちゃう話

1 / 1
第1話

西国カンサと東国トホグによる戦争は五年前に始まった。北部樹氷林からヒラタメ平野の端まで、大河デケーに沿って曲がりくねった戦線を展開し、一進一退、悪夢のような泥沼の攻防戦が終わることなく続いている。

 色のない曇天の下、15歳の少年兵リカードは焼け焦げた黒い木と黒いぬかるみが視界いっぱいに広がる西部戦線を死に物狂いで駆けていた。犬人(リカント)の身体能力でもこの泥濘地を走破するのは骨が折れる。

 使い古しのモップを彷彿とさせる灰色の毛並みは同じく灰色の地平線に溶け込んでいた。

 舌を垂らし、呼吸も荒く辛うじて戦場の中心に残っていた塹壕に滑り込む。直後、リカードが一瞬前までいた地上で何発もの砲弾が炸裂し、衝撃とともに泥の雨を降らせた。周囲には誰もいない。砲撃命令は戦闘音にかき消され、リカードだけが逃げ遅れたのだ。

 一度始まった砲撃は断続的におよそ一昼夜続いて、その後また突撃が繰り返される。この時代の戦争はそのようなドクトリンで動いていた。

 

「クソッ、俺ごと吹き飛ばす気かよ! 耳が、痛ぇ……」

 

 耳を聾する轟音に顔を顰める。一般兵のヘルメットは耳を寝かせた上から被る。聴覚は普段よりも制限され、時折このような命令の不浸透が起きるのだった。

 しかしそれでも、リカードは背後でかすかに鳴った足音に反応し、銃を構えて振り向いた。

 金色の毛並みを持つ、背の高い犬人の女兵士が銃をこちらに向けていた。まだ少女から大人になったばかりという雰囲気で、リカードよりも数年年上のようだった。

 

「…………」

「………………チッ」

 

 女兵士は面倒そうに舌打ちした。トホグ兵の小銃とは形が違う。敵国、カンサの兵士とみて間違いなかった。

 リカードの心臓が早鐘を打つ。ここは塹壕の中で、距離は近く、身を隠せるものはない。撃ち合えば弾丸は互いに命中するだろう。おそらくは、かなり高い確率で。

 だから、先に撃たなければならない。そして一撃で仕留めることが重要だった。殺し損なえば返す銃弾がリカードに風穴を開けるだろう。

 そんなのは、真っ平御免被る。

 

「はっ、はっ……!」

 

 見れば、泥に汚れた女兵士の顔もこわばり、瞳は硬く収縮している。同じことを考えているのだろう。疲労と緊張で定まらない狙いを、その頭に、据える。

 引き金を引かねばならない。

 一撃で仕留めなければ。奴がリカードを撃つ前に。

 

「はっ、はっ、はっ────」

「……投降する」

 

 ばしゃ、と塹壕の泥に銃が落ちた。カンサ兵の小銃である。犬人の女は、リカードを見つめたまま、泥の塹壕に寝転がり、腹を見せた。

 犬人式の投降の姿勢だ。腹見せはカンサでもトホグでも共通の、降伏の意思を示す体勢である。

 

「……こちらは、弾切れだ。撃ち合えば私だけ死ぬ。それは、嫌だ」

「はっ、はっ、はっ。……………………そうか」

 

 リカードは多大な安堵とともに、銃口を下げた。

 女兵士は、彼女自身の服のベルトを用いて拘束した。

 女の両手両足を縛ったあとは、戦場の様子を窺いながら、頭を揺らす砲弾の音を聞いていた。

 

「妙なマネをしたら殺すからな」

「ふはっ、しないよ。しない、しない。死にたくないからね」

 

 女の方は拘束されて、なぜかむしろ緊張が解けたようだった。捕虜という立場が、誰かの庇護下にあるという錯覚を起こしているのだろうか。軽い口調で応じ、リカードを不快にさせる。リカードは戦場で気を抜くつもりはない。

 二人並んで塹壕に潜んでいる。横の女のヘルメットから、一つに束ねた金髪が垂れていた。ゴールデンレトリバーの犬人だろうか。美しい毛艶だとリカードは思った。

 

「私ヌイヌ。あなたは?」

「敵に名乗る名はない。捕虜は捕虜らしくしていろ。というか、黙ってろ」

「……リカード」

 

 リカードは弾かれたように、ヌイヌと名乗った女を見た。青色をした瞳、その視線はリカードの胸元に向いている。首から提げたドッグタグに、名前が刻印されていた。

 

「リカード二等兵かあ。私は軍曹だから、上官だね」

「ぶん殴るぞ」

 

 牙を剥き出しにして唸っても、ヌイヌはどこ吹く風といった様子だった。

 いつ砲弾が頭上に降り注ぐかわからない戦場の中心で、ヌイヌはリカードに喋りかけ続けていた。

 

 満天の星が上った。砲撃は夕方に止み、機関銃のように喋り続けていたヌイヌも、精神的、肉体的疲労からかいつの間にか寝息を立てていた。

 砲撃が止んでも再突撃までは戻らないほうがいい。いつ砲撃が再開されるかわからないからだ。

 リカードは干し肉で簡易な食事をとり、身を休めていた。しかし、やがて抗いがたい欲求が腹の底から疼き始め、身じろぎした。

 獣人には発情期がある。リカードの軍服を押し上げて、欲求が膨らみとなって主張していた。しぶしぶそれを夜の外気に晒すと、もぞもぞと右手を動かし始める。少し皮を被ったリカードの雄性そのものは、ピンク色の亀頭を体液に濡らしてビクビクと震えた。

 自然と呼吸が荒くなる。

 

「ふっ、う、ふっ……」

 

 秘められた欲を解放するための行為に夢中になっていたリカードは、ヌイヌが薄目を開けてこちらを見ていたことに気づかなかった。

 金髪の女は、リカードのほうに身を乗り出しながら薄く笑った。

 

「隣に女がいるんだから襲っちゃえばいいのに」

「っ!? 貴様……っ!」

 

 思わず身を縮ませながらリカードはヌイヌを振り返った。恥辱が顔を染める。

 

「こ、国際法で捕虜の扱いは決まっている!」

「そんなのみんな守ってないよ。私だって、捕まった時はそうなるって覚悟してたもの。かわるがわる犯されて、最後は殺されるんだって。君が縛るだけだったのは、正直意外」

「……俺は、そんなことしない」

「手も足も出ない女の子の横でオナニー始めちゃうくらいだもんね? ね、それ、発情期のせい?」

 

 ヌイヌのあけすけな問いに、リカードはまた恥辱で心乱された。しどろもどろ視線をさまよわせて、しかし言い逃れのできる状況でもない。

 こくり、と頷いた。

 それを見てヌイヌは、にやりといたずらっぽい笑みを浮かべた。

 

「そっかあ……。ね、捕虜に手を出すのは駄目だけど……捕虜のほうから手を出すのは、別に禁じられてないんだよ」

 

 ヌイヌはリカードのほうへ身を寄せていき、胸元のボタンをいくつか外した。はち切れそうなほど豊満な乳房を締め付ける布が緩められ、毛のない真っ白い谷間がリカードの目に飛び込んでくる。首筋から腹にかけては毛が薄いのが獣人だったが、ヌイヌは特に薄毛で、胸はつるりと滑らかな曲線を晒していた。

 

「何を……」

 

 ヌイヌの視線は交錯して、リカードの股間に向いていた。月明かりに影を作る、肉の塔がズボンの合間から生えている。

 ヌイヌはにやにやとしながら顔を赤らめて、拘束された両手をそこに伸ばした。指先が触れる。

 

「あっ…………」

「くすっ、かちかち。元気だね」

 

 ヌイヌの冷たい指がリカードの肉棒の上を這う。それだけで声が出てしまった。自分以外の手がソコに触れている。他人にくすぐられると反応してしまうように、自分でするのとは質の違う感覚がリカードを襲った。

 ヌイヌの指が表面を上下するたびに声が出てしまう。

 仮性包茎のリカードの皮を、輪っかにした指で剥く。赤く充血した、釣り針のかえしのような凶悪に高いカリが皮の中から現れた。

 

「いけない形してるなぁ。トホグ人ってみんなこうなの? それとも君が悪い子? こんな……ナカにひっかかる形して、太くて、長くて、反ってる。ねえ、どうなの? ねえ、ねえ」

「し、知らないぃ……ッ! あっ、やっ、待ってッ」

「ねえ〜……女の子みたいな声出ちゃってるよ? きもちーんだ?♡ 自分で捕まえた女の子にちんちんしこしこされて気持ちよくなってるんだ?」

 

 ヌイヌの息も荒くなっていく。目を細めて、至近距離で見つめ合う。観察するように。

 リカードの嗅覚は、発情した女のフェロモンを感じていた。

 リカードは顔を歪めて快楽の波に耐えていた。腰がかくかくと震えてしまう。ヌイヌが与える一定のリズムが少年兵を高めていく。やがてそれが溢れる瞬間、ヒュマは手を離した。

 

「あっ……」

「……くふっ。くすくす、残念そうな顔。ごめんね、出したかったよね。でも、私もさ、捕虜になっちゃったしさ。君の拠点まで連行されたらどうなるかわかんないし。最後にイイ思いしたいな、って、思うんだよね……」

 

 ヌイヌはベルトで縛られた足首をリカードに向けた。

 

「ね、こっちだけ外してほしいな。手はこのままでいいからさ。じゃないと、ほら。できないでしょ?」

 

 潤んだ瞳が見上げてくる。生殖本能で靄がかっていくリカードの脳の、冷静な部分が警鐘を鳴らした。

 ハニートラップだ。同じようにして死んだ同胞が何人もいると教わった。一度拘束した捕虜を自由にしてはならない。

 しかし、リカードの鼻腔を女の匂いが焼く。無意識にふすふすと鼻を鳴らしてしまう。ヌイヌの股から女の匂いが漂ってくる。彼女もまた発情しているのだ。あそこに、今なら、自由に突っ込むことができる。

 発情期の獣人、それも射精をおあずけされた若いオスに、耐えろというのは酷だった。

 

「あ♡ あっ♡ あんあんっ♡ そ、こ♡ イイとこひっかいてる♡」

「ふーっ、ふーっ!」

 

 気づけばヌイヌが、リカードの上にまたがり腰を振っていた。縛られたままの手をリカードの首に回し、正面から抱きつくようにして。リカードはその腰を掴んでいたが力はこもっておらず、むしろ大胆に動くヌイヌにリカードが掴まっているような気分だった。ヌイヌの尻がリカードの腰に打ち付けるたび、軍服に包まれた乳房が上下に暴れた。男のモノを出し入れしながらぶんぶんと尻尾が振られ、隠しがたい喜悦を表明してしまっている。

 ヌイヌは軍服のズボンを太ももまで下ろしてまたがっている。リカードはズボンから陰茎だけ取り出した姿。半端に脱いだ服装は互いに、結合部だけ露出しているような格好であり、雰囲気も何もなく合体と抽挿だけを求めていた。

 

「はーっ♡ は、あっ♡」

「ヌイヌ、う、く……! 締め付けすぎっ……」

「リカードくんのが奥に当たる、から……っ♡ 余裕ない……っ♡ はあ、はあ……やば……戦場の真ん中で、敵兵とセックスしてる……」

 

 愛液をリカードの肉槍に塗りつけながら、ぬちゃぬちゃと音を立てて粘液の糸を引く。軍服に染みるメスの体液で灰色の体毛が濡れそぼっていく。

 リカードは夢心地で、下半身に叩き込まれる快楽を受け止めるので精一杯だった。舌をしまうこともできず、目の焦点も朧である。

 ヌイヌも集中するあまり半開きの口から涎を垂らし、熱の篭った瞳でリカードを見つめている。

 

「ふぅーっ、ふーっ!」

 

 リカードは目の前で跳ねるヌイヌの乳を鷲掴み、ボタンをブチブチと外していく。簡素な下着をずりあげて、厚く硬質な軍服とは対象的な白い巨乳をまろびださせる。ぐにゅりと形を変えるそれを指で掴むと、綺麗なピンク色をした乳首を口に含んだ。犬人の薄い舌が、乳輪までぴったり張り付き、ねっとりと舐め上げていく。

 

「ああっ♡ それ、ちくび擦れて、すごいっ♡ うへへ、おっぱい好きなの? 赤ちゃんみたいだよ♡」

「んべろっ、れろ、れろっ!」

「んんんっ!♡」

 

 ヌイヌが背を反らしてビクビクを震えた。ヌイヌの、金色の羽根帚のような軽やかな尻尾がぴんと持ち上がる。

 

「いいよ、いっぱい吸って、好きにして♡ はっ、はっ♡」

 

 嗜虐的に見開いた瞳でリカードを見つめ、胸に埋める。リカードが乳房にむしゃぶりつくとヌイヌの腟がきゅんきゅんと締まった。

 

「あ、あ……っ、あぅ……っ!」

 

 それは女体を初めて抱く少年には強すぎる刺激だった。どっちゅん♡ と一際深くヌイヌの中へかき分けて押し込まれたのをトドメに、煮える精巣が決壊した。

 苦しげな喘ぎとともに、粘度のある液体が尿道を膨らませる。犬人は射精の瞬間のみ、イヌ科の交尾時のように陰茎の根元が膨らみ、精液の逆流を阻止する蓋となる。当然、中で膨らむそれはヌイヌの腟を圧迫し、強烈な快感となる。

 

「んんっ!?♡」

 

 そのまま、血潮に滾る肉槍から、子孫を残すための熱い濁流がヌイヌの最奥に勢いよく流し込まれた。

 

「んんーーーっ!!♡ あ、でてる……♡」

「うああ、あ……ああ…………っ」

 

 腰が痺れるほどの快感が下半身を走り、ヌイヌに必死に抱きついた。ヌイヌ自身の名器だけでなく、敵国の女兵士に自分の種を流し込むという状況が男としての征服感を多大に満たし、大量の白濁液を吐き出させた。

 ヌイヌもまた恍惚と体を震わせ、オスに種付けされる法悦を堪能する。ほう、と息を吐き出して、本能的に子宮の奥まで精液を受け入れてしまう。

 

「……すっ、ご…………♡ リカードくん、本気で私のこと孕ます気……?♡ 奥に植え付けるみたいな射精……種付けってこーゆーことかー……くすくす」

「ぐるるっ、ふーっ、ふーっ、ふーっ……!」

 

 ずるぅ〜〜♡ と、太い鈎に内臓を引きずり出されるような錯覚に震えながらもヌイヌが腰を上げる。ぬちゃぬちゃと泡立った粘液が赤黒く充血した逸物にまとわりついて、結合部からいくつも白い糸を引いた。陰部周辺の毛はぺっとりと濡れ、淫液の泡にてらてらとぬめっている。

 

「うわ〜……♡」

「……ぐるぁっ!」

「きゃ!?」

 

 その様子を見て照れるような苦笑いを見せたヌイヌを、リカードが一気に押し倒す。塹壕に敷かれた古い足場板をベッド代わりに、リカードが上になった。大量に中身を放出したはずの生殖器はむしろ、どくどくと血潮に満ちて硬さを増していく。

 犬人には軟骨組織でできた弾性・可撓性の陰茎骨がある。挿入したままの連続交尾は人間(ヒューマン)よりも遥かに容易で、ゆえに犬人同士の性交は連続かつ長時間に及ぶ傾向がある。

 

「もっと、もっとしたい……!」

「あ……♡ 中で硬くなって……くす、まだしたいの? んふふ、え〜? すけべ…………お゛ッ!?♡♡」

 

 腰を引いてから、飛沫を撒き散らして若い精力の棍棒が奥に打ち込まれた。脳天まで一気に貫く衝撃がヌイヌの視界を散らした。酸素を求めるように舌を伸ばし、痙攣する。全身の毛が、威嚇時のように逆立っていた。

 

「う、あ……まって、きみ、ちから、つよ……い゛ッ!?♡ んんんッ!♡ はっ♡ あ゛♡ あんんッ♡ いっ♡」

「ヌイヌ、ヌイヌっ……はあ、はあ……もっとしたい……もっとする……交尾する……!」

 

 油圧ピストンのような力強い抽挿が始まった。

 ぐちゅぐちゅと水音を立てながらヌイヌの子宮めがけて逸物が打ち込まれていく。性欲に支配された発情期のオスが、自分の快楽を求めるための道具のようにメスを使う。がっちりと腰を掴まれたヌイヌは、先ほど以上の強い快感をただ叩き込まれることしかできない。

 

「まっ、て♡ がっつきすぎ……! おく、すごいことに、なってるか、らぁ♡」

 

 甘い声で喘ぐヌイヌの制止も聞かず、自分勝手に腰を振り続ける。それだけでヌイヌはいいように鳴かされてしまうのだ。

 

「う゛♡ あっ♡ んあああっ♡ すご、い……よ♡ はっ、はっ♡ リカードく、ぅん♡ 捕まえた女を、ぉ♡ 戦場で犯して、立派な……兵士、だね♡ くすっ、くす、うふふ、かっこいいよ〜♡」

 

 中をめちゃくちゃに掻き回されながら、ヌイヌはからかうように笑った。

 図星を突かれたリカードはたじろいだ。それは己の嫌悪していた行為そのものである。捕虜を慰みものにすることは国際法で禁じられている。

 本能のままに女を食らう、野蛮で残酷な戦場の姿。だが、自己嫌悪と同時にリカードはなぜ皆がこれに溺れてしまうのかということに心底からの納得を抱いていた。

 これは、たまらない。

 

「う、そ……それはあんたが……! でも、腰止まんなくて……!」

 

 ひどく淫靡な音を立てながら、ヌイヌに杭を突き立てる動きは激しさを増していく。絡みつく肉に奥まで入りたい、擦り合わせたいという単純な欲求が、繁殖欲に支配されたリカードの脳に飽和していた。

 

「んんっ♡ きもちよさそうだもんね……私もう、限界ぃ……イ、ぐ…………!! あっイク♡ イクイクイク…………っ♡♡」

 

 破城槌で何度も突かれた城門のように、撞かれて叩き潰された子宮口に深く亀頭が突き刺さる。それは本来侵入不可能の聖域。

 初めて触れられる場所。未知の快感はヌイヌを容易に絶頂に誘った。

 それが、ピストンのたびに何度も来る。絶頂から降りてこられない。ヌイヌの垂れ気味の耳がピンと立った。

 

「イッッ…………!♡ ッ! ……ッ…………ッ!? あ、あああぁぁああッ!♡♡♡」

 

 絶え間なく導かれる桃源郷。チカチカと明滅する視界。腟は、ここを蹂躙するソレが繁殖相手にふさわしいオスだと判断してしまう。

 

(さっき出されたの……奥にグリグリ塗りこまれてる……っ。染み付いて取れないようにしてるっ♡)

「マーキングうれし……お゛ぅ♡ イぐ♡ はげし……♡ イぎゅ♡ イぐ♡ イく♡」

 

 無人の戦場にケダモノそのものの嬌声が上がる。据えた獣臭が塹壕内に滞留して二人の悶々とした気分をさらに濃密にしていく。

 絶えず収縮する腟内に、リカードはお構い無しに射精した。陰茎はぼこりと膨れ、逃げ場をなくした大量の精液が子宮へと流れ込む。

 

「んに゛ょ♡ せーし来ひゃ♡ お゛ぉおお〜〜〜〜っ♡♡」

「フーッフーッ……♡ まだ寝かさないからな……! 孕むまでヤってヤって……ヌイヌのこと俺の、俺の女にする……!」

 

 年上の女を手篭めにして自分の逸物で魅了しているという状況がリカードの本能をくすぐった。獲物を狙う肉食獣の視線で、噛み付くようにヌイヌの艶姿を捉える。

 ヌイヌもまた、オスに掌握されるメスの悦びを噛み締めていた。強いオスの子を孕む器としての本能が、敵国の、年下の新兵を奉仕すべき主人のように感じさせる。

 

「きて♡ きて♡ リカードくんのつがいにして♡ なりたい♡ デカチンざーめんいっぱい注いで私の子宮いっぱいにして♡ つ、つぎ……後ろから、どーぶつみたいにしてほしい……私のこと、ただの穴だと思ってめちゃくちゃに使ってほしいな……」

 

 ぬぽぉ……っ、と引き抜かれた、混合した粘液まみれの剛棒を見ながら、ヌイヌは四つん這いになり尻を高く突き出した。汗に塗れても美しい毛並みが生え揃った丸い尻の中、秘所とその周辺だけは何にも守られていない。今の二人には、そのつくりは男をすぐに受け入れるためだとすら思えた。

 四つん這いで釣り鐘のように吊られている巨乳は、先が地面に届いてむにゅりと潰れていた。

 ぷっくりとした、女の最も大事な部分は大きすぎるモノをなんども受け入れ耕されたことでぽっかりと開き、白い涎を垂らして侵入者を誘う。

 尻尾をぶんぶんとちぎれんばかりに振りながら、背後のオスを窺い見た。濡れて蕩けた瞳は被虐の期待に彩られ、背徳的な肉欲の色を湛えていた。

 リカードは目を血走らせて、天を突く肉槍を尻の割れ目にあてがって覆いかぶさった。ずりずりと焦れるように前後しながら、開いた五指はヌイヌの乳房を掴む。

 

「んっ……♡」

 

 柔らかく形を変える鞠のような柔肉の頂点は硬く尖り、指先の爪でカリカリと引っ掻くと、ヌイヌの体が跳ねる。

 

「んああっ♡ 先っぽ、やぁ♡ カリカリって……♡ へッへッへッ……♡」

 

 興奮した犬そのものの浅い呼吸を繰り返しながらもヌイヌは抵抗しない。縛られた両手では男の手を払い除けることもできない。

 ただビクビクと肩を跳ねさせ、オスの手の中で喘ぐしかない一匹のメス。その秘部に、肉をかき分ける熱い先端が再侵入を果たす。

 

「んんッ……♡ は……♡ おっぱい好き……♡ 触られるの好き……♡ で、でも、早くこっちに゛もォ……っ!?♡ ああいきなり奥までぇえっ……♡♡ あっあっあっあっあっあっああんっ♡」

 

 ぱんっぱんっぱんっぱんっ! と高く乾いた音を立てて激しいピストンが始まる。まるでただの犬に先祖返りしたかのような、知性の欠片もない本能だけの交接。

 

「ふっ、ふっ……! 発情した犬みたいに喘ぎやがってぇ……! この、このっ!」

「あ、ん♡ ごめんね♡ ぎもちっ……♡ よすぎてぇ♡ 犬になっちゃう♡ …………わんわんっ♡ くぅん♡」

 

 犬人を犬と呼ぶのは人間を猿と呼ぶのとだいたい同じ意味合いであり、侮蔑である。しかしここまで知性を失くした本能の生き物を犬と呼んで何の差し支えがあるのか。

 人は猿のようにサカるが、犬人も犬のようにサカる。特にこのような野生じみた後背位はただ繁殖のための交尾に他ならなかった。

 抽挿のたびに割れ目からは何かもわからない液体がしぶきを上げて溢れ、二人の股と軍服を汚した。敵兵に浅ましく媚び尻尾を振るヌイヌの姿に、リカードも、ヌイヌ自身も興奮していた。

 

「出して♡ 中いっぱい汚して♡」

 

 甘える声がリカードの耳に絡みつき獣性を増幅させる。煮えたぎる欲求が、膣肉の中で解放までのカウントダウンを早める。ピストンのたびに尻肉が波打ち、乳房はばるんばるんと暴れた。それらすべてがリカードの射精を煽る。全身で、自分がいかに母体に向いた個体かアピールしている。

 であれば、子種をねだるメスの健気な種乞いに応えるのがオスの務めだった。

 

「ふうっ、ふうぅっ! もっと、ヌイヌとしたいのに……! 限界……もう我慢できねえ…………あああっイく! ぜんぶ出るっっ!!♡」

 

 悲鳴のような叫びとともに、ヌイヌの最奥、もっとも熱い体温の中で、汚された聖域をさらに埋め尽くすように半固形のザーメンが流し込まれた。狂ったように痙攣しながら奔流を吐き出すそれは、繋がるメスを絶対に孕ませるという必死な本能が絞り出したものであり、他のオスが入る余地を残さないという意思の現れだった。

 腰が抜けるほどの大量射精はしかし逃げ場なく腟内を暴れ回り、押しのけられるように奥へ奥へと流れ込んでいく。暴力的な幸福と充足の嵐はヌイヌの理性ごと子宮を焼き尽くした。

 

「ほぉお゛お゛ッ……♡♡ ん゛ぉ♡ イっ……ッ…………ッ♡ 子宮焼げる♡ 受精すりゅ♡ おぉお゛〜〜ッ……ん゛!? あ、やっ、待っ……!」

 

 心から官能に浸っていたヌイヌが突如肩を震わせて焦った声を上げた。しかし彼女が何かするよりも早く、未だペニスに貫かれたままの股間から濃い黄色の水が噴き出した。大陰唇のすぐ前、小さな尿道からとめどなく溢れ出てくる。ヌイヌは声を上げながらもそれを止めるすべを持たない。

 

「あぁ〜っ……! ひっ、ひっ……! 止まんな……み、見ないでぇ…………」

 

 じょろろろ……と生暖かい液体を注ぐ音が響く。

 深イキで下半身の筋肉が痺れ、弛緩し、ヌイヌは幼子のように失禁していた。

 ツンとした尿の匂いが性臭に混じる。立ち上る匂いが鼻腔を突き、リカードはそこにむしろメスのフェロモンを感じ取った。視界が霞むほどのオーガズムで限界まで精気を絞り尽くしたはずの陰茎が衰えも知らず力を取り戻し、恥辱に震えるヌイヌにはお構い無しで腰を前後し始める。

 

「あっ♡ やん♡ これ、は、恥ずかし……! 待って、ってば、バカぁ……♡」

 

 その後も二人の熱は引くことを知らず、さらに三倍ほどの時間、炎のように燃え盛った。

 死んだようにぐったりと肩を寄せ合う二人は、枯れ果てた大地のはるか上で厳かに輝く月を見ていた。

 リカードがヌイヌの肩に頭を預け、頭一つ分背の高いヌイヌはリカードのつむじに頬を寄せている。

 

「……私、婚約者がいたんだ。兵士だったから……死んじゃったけどね。君とは似てない人だった。毛並みは黒くて、気の弱いひとだったな。なんで軍になんかいたのか、わからないくらい」

 

 ぽつり、ぽつりとヌイヌが呟いた。激しい性の交わりで声は枯れていた。

 それは、誰に向けた呟きでもないように聞こえた。言葉は心の器から漏れ出す水のようだった。

 

「あのひとが……死んで。もう、全部どうでもよかったんだけどさ……部下だけは守らなきゃって、撤退の殿になったんだ。そしたら君がいた」

 

 声は細く震えていた。ひとつひとつ、記憶の泥から浮かび上がる泡沫のひとつひとつを噛み締めている。

 

「私も、ウルヒンのところに行けるって思ったんだけど……でもさ、いざとなると……生きたいって、思っちゃうもんだね。…………だめだなあ、自分の心もわかってないなんて」

 

 リカードは黙って耳を傾けた。零れた涙の雫が頬の毛先から落ちて、リカードの毛並みに染みた。

 蠢く命も弾ける砲火もなく、二人だけの静謐に月光が満ちていた。

 

「…………俺の家族も、戦争で死んだ。仲間も今日、砲撃で消し飛んだ。生き残ったのは、俺だけだった」

 

 月を見上げたままリカードが言った。

 お互いの心を知ることはできない。それでも、傷を共有することはできた。傷を舐め合い、慰めることはできる。

 

「俺を一番知ってるひとが、敵兵のあんたになっちまった」

 

 自嘲する。大人になりかけの、一匹の傷ついた仔犬だった。

 ヌイヌも同じだった。

 

「そっか。じゃあ……死なないようにしないとね。せっかく君が……君のことを、教えてくれたわけだし」

「俺も……」

 

 リカードの声は低く小さく、半ば夢中にあるようだった。疲労の限界が来ていた。

 

「ふあ……忘れ、ない…………」

「…………おやすみ……」

 

 捕虜である自分がどのような扱いを受けるかはわからない。だが、例え拷問の果てに死ぬとしても、この少年のことは忘れない。

 ヌイヌも、潤んだ瞳を閉じた。閉じて睫毛に溢れた雫は月光を孕んでいた。月の光に色はなく、寄り添い合う二人の姿は一様に青白く照らされていた。

 

 翌朝となる。真横から差す曙光が地平線をほの明るく照らし始めても、塹壕の中はまだ暗い。目を覚ましたヌイヌはごく自然に目をこすった。

 そこで気づく。手の拘束が解かれている。ベルトは足元に丸めて置かれていた。

 

「……え」

 

 それどころか、小銃までも傍らに置かれていた。確かめると、空だった弾倉に弾が込められ、腰の弾薬盒にさらに二つ、弾をまとめたクリップが詰められていた。カンサのココホレ11式小銃とトホグのキビダン5式小銃は同じ弾丸を使用しており、どちらの銃でも使用できた。

 未だ眠るリカードを見る。小銃をかかえて寝息を立てる彼が、ヌイヌの寝ている間にこれをしたのは明らかだった。

 ヌイヌは、小銃を肩に提げて立ち上がった。砲火の音は聞こえない。まもなく、トホグの再突撃が開始するだろう。

 

「……はは。ハニートラップも有効なもんだね」

 

 声は震えていた。

 ヌイヌは涙を拭うと、トホグ軍の突撃砲火を背にして自陣へと歩き出した。

 

 その後、この戦争が終結の影を見せたのは冬が二度明けてからだった。疲弊する両国はこれ以上の戦争継続は非現実的と判断し、講和を結ぶことになる。

 国境間の戦場跡に深い金瘡を残したまま、縫合糸のように両国を結ぶ鉄道が掛けられ、人も物も入り乱れていく。

 戦地で著しい蛮行に及んだとされる一部の指揮官が戦争犯罪者として刑に処され、新聞の一面にはそうした政府の手のひら返しを「走狗煮らる」と激しく批判する記事が大きく刷られていた。指揮官の処罰は二国民の溜飲を下げるための生贄であることは明らかだったが、リカードはそうしたことにはもう、あまり興味を持てなかった。新聞を畳み、カンサの交通の心臓である中央都駅のホームに降り立つ。

 約束の時間にはまだ少し余裕があったが、それでも寄り道をする気にはなれず、足早に街に出た。見慣れぬ街並みと地図との間で何度も視線を往復させながら、目的の喫茶店を見つける。

 扉を開けると涼しげなベルの音が鳴った。

 

「……あっ」

 

 彼女は、リカードを見つけると心底嬉しそうに目を輝かせた。花開くような笑みを、リカードは眩しく思った。

 

「こっちこっち。……本当に会えた。あの日ぶりだね、リカードくん」

「ヌイヌ」

 

 ヌイヌも私服だったが、間違いなく彼女だとわかった。リカードはくたびれたコートを脱ぎ、ヌイヌの対面に座った。テーブル席には、リカード含めて三人。

 ヌイヌの隣にまだ一歳ほどの、モップのような灰毛の犬人が座っている。座るというよりもヌイヌに膝枕されているようなくつろぎ方だったが。子供はビー玉のように丸い目でリカードを見ていた。顔つきと瞳はヌイヌによく似ていた。

 

「……その子が」

「うん。もう一歳になるよ。……君以外には、心当たりがないし……毛並みもそっくり」

「そうか。名前は?」

「ルーナ。女の子だよ」

「…………月(ルーナ)か」

 

 ルーナと名付けられた仔犬の犬人は、珍しいものを見るようにリカードを見ていた。リカードが何者なのかわかっていないのだろう。

 

「……抱いてもいいか?」

「うん。抱いてあげて。ほら、ルーナ。パパが抱っこしてくれるって」

 

 ルーナは大人しく持ち上げられた。リカードが前のめりに彼女を受け取ると、腕の中にすっぽりと収まった。ルーナの丸い指がリカードの頬を指す。

 

「おいちゃ」

「……おじ…………まだ17なんだけど」

「くっ、ふふっ、あははは!」

 

 堪えきれずにヌイヌが笑った。リカードは苦笑いでヌイヌを見てから、ルーナに視線を落とした。丸く、柔らかく、暖かい。甘い匂いがした。

 

「俺が親父か……」

「…………ね。手紙で話したこと、考えてくれた? ……一緒に住もうって話」

「うん。俺も、向こうには何も残ってないし、むしろありがたいよ。ていうかさ、一緒に住むっていうか……ヌイヌが良ければなんだけど……」

 

 ルーナを抱えたまま、懐から包みを取り出して、開けた。美しい銀色の、宝石も何も無い安物の指輪だった。

 

「……結婚、したいって思ってる。……よく考えたら一晩しか過ごしてない間柄だけど、本気で」

 

 リカードは照れながら、視線を外してルーナを見ていた。ヌイヌは驚いて、まず指輪を、それからリカードを見た。

 

「…………」

 

 沈黙に耐えかねて、リカードの目がヌイヌへと向いた。

 

「……はい」

 

 子供を抱え、連れ立って喫茶店から出ていく二人の手には指輪が光り、指を絡めて、離れないように硬く結ばれていた。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。