「北斗通信社さんとの事業の成功を願って、乾杯!」
「乾杯!」
戸刈は相手と同時に手元の白酒を一気に飲み干す。そして杯をテーブルに置くと、互いに名刺交換をする。
「北斗通信社社長室室長戸狩です。改めてよろしくお願いいたします」
「新安集団経営企画部部長陳です。こちらこそよろしくお願いいたします。戸狩さんとはぜひ、末永いお付き合いが出来ることを願います」
訛りのない英語で戸狩と同年代であろう陳が握手してくるのを、戸狩も酔いを振り払いながら握手を返し、笑みを作る。
「しかし、北斗通信社さんのような技術力のある企業と合弁会社を作れるチャンスですからね。我が社はもう上も下もてんやわんやですよ、はははははっ」
「はははっ、また、ご冗談を。それは我が社の方ですよ、陳さん。新安集団さんと言えば、中国の名門企業じゃないですか。ですが、弊社の様な小さな会社で、この案件が失敗したら大打撃です。倒産するかもしれない」
「それは大変だ! ……ですが、北斗通信社さんが儲かっているのを私は知っているので、その嘘には騙されませんぞ、ははははははっ」
「ははははっ、騙せませんでしたか。……ですが、私の首は確実に飛ぶでしょうね」
戸狩が笑いながら、首元を手で斬るジェスチャーをすると、陳は、それは大変だと大笑いする。
中国深圳の高級酒屋の個室で、戸狩達幹部は新安集団の接待を受けていた。相手方とこちら、コンサルに通訳を含めて二十数名での中国式宴会。度数の高い白酒を乾杯と言いながら何度も繰り返し飲まされ、酒に強い戸狩ですら、かなり酔いが回っていた。部下たちも軒並み顔を真っ赤に染めている。
しかし、ここで、失態は出来ないと戸狩は気合を入れ直す。明日からの交渉で細部を詰めることになっている合弁会社の立ち上げは中国進出を目指す北斗通信社にとって、何としても成功させたい案件だ。実務者協議を何度も繰り返しているが、なかなか進展が見られない案件。コンサルからは、中国式交渉術ですので、粘り強く譲歩せずにいくことで成功させることが出来るでしょうと言われているが、そうも言っていられない。
戸狩は内心で大きなため息をつく。社長が実に煩いのだ。北斗通信社は現在、中国進出を前提に会社の上場申請をしている為、この話が頓挫すれば、申請に影響する。というのは社長の戯言だ。上場は何の問題もないだろうことを戸狩達は知っている。だが、創業者である社長は上場で自身の持ち株を高値売りしたいのだ。海外進出の為の上場という錦の御旗は株価を上げるにはもってこいだと考えている社長は何としてもこの話を成功させろと戸狩に厳命している。もし失敗しようものなら戸狩の首は確実に飛ぶだろう。子会社への出向、系列企業への転籍といったところか。自社に残れたとしても出世の道は閉ざされる。どちらにせよ、嫌な未来である。
――まったく、宮仕えとはいえ、面倒なことだ。
アメリカ留学をしていたという陳の世間話を聞きながら、戸狩は内心でもう一度溜息を付く。そこにまた一人、杯を持って近づいてくる初老の男性が声を掛けてくる。
「楽しそうですな、何の話をしているのですか?」
「おお、これは周取締役。戸狩さんはゴルフがお上手だということで、今度ぜひご一緒しようという話で盛り上がっていたのですよ」
「おや、確か、君はゴルフでブービー賞常連だったと記憶していたが。戸狩さん、彼とラウンドするのはお勧めしませんよ。下手が移るといけない。私とご一緒しましょう」
「はい、ぜひに」
「戸狩さん、騙されてはいけませんよ! ブービー賞というのは後ろにもう一人いますよね。それが誰かわかりますか? こちらの周取締役こそ常に私より下の最下位を奪っていく常連なんですよ!」
「あっはっはっはっは、陳君、私たちの差なんてたいしてないだろう! そんなに勝ち誇った顔をするもんじゃないぞ。それに、戸狩さんに教えを受けて次のコンペでは私がブービー賞を取ってみせるぞ」
「はははははっ、私だって戸狩さんにご教授願うのですから、負けませんよ。またブービーを取ってみせます」
「ははははっ、お二人とも優勝は目指さないのですか?」
「あっはっはっは、まぁ、自身の力量は把握してますのでな」
「そうですなぁ、無理ですからねぇ、ははははははははっ」
おっと、いけないと、そこで周が白酒を手に持つ。お互いに杯に並々と酒を注ぎ合い、それを掲げる。
「合弁会社設立と我々のゴルフが上手く行くことを願って、乾杯!」
「「乾杯!」」
周との三回目の乾杯の為、戸狩は癖の強い酒を一気に飲み干す。そして酔った頭で思い付いた案を話す。
「中国の方もゴルフがお好きなんですね。実は、弊社は中国で無名な企業ということで、今、何かのスポンサーをやろうという話になっているんです。そこで、今の話で思いついたのですが、中国のゴルフトーナメントのスポンサーなど良さそうかもしれませんね」
「おお、それは素晴らしい……ですが、あまりお勧めはしませんなぁ」
周が困ったように笑いながら否定の言葉を返してくる。戸狩が素直に聞き返す。
「と、いうと?」
「なぁに、費用対効果の問題ですよ。ゴルフ人口は増えたとはいえ、そこまでゴルフは人気がないのです。だが、スポンサー費用は金持ち連中の見栄の張り合いでかなり高い。割に合わないでしょうな」
「なるほど、そうですか、それは残念です。そうだ、我が社の知名度を上げるのに適した競技は何かありませんか? 出来ればリーズナブルで……ぜひご教授頂ければ嬉しいのですが」
「はははははっ、これは難しい質問が来てしまったぞ。何があるだろうね、陳君」
「そうですなぁ、バスケット、サッカー、卓球にバトミントンなどがテレビの視聴率は断トツですけど、どれもリーズナブルとはいかないでしょうねぇ」
「それに北斗通信社さんはアジア各国を視野に入れておられるんですから、国際的な催しがいいはず。これでリーズナブルとなると、これは広告屋連中でも頭を抱える難題だ、はははははっ」
酔っ払い三人がうんうん唸って考えたところでいい案など浮かばないが、飲みの席の話としてはなかなか好評であったようで、入れ替わり立ち代わりで来る乾杯の者たちも話に入ってくる。そんな中で出てきた話題が囲碁であった。酒で顔を真っ赤にした新安集団の若手が熱い口調で主張してくる。
「囲碁なら中日韓三国で国際棋戦が組めて盛り上がりますよ! 日本主催の国際棋戦がなくなってしまっているので、北斗通信社さんが名乗りを上げれば、日本企業として存在感を発揮出来るはずですよ!」
「なるほど、囲碁ですか。私は囲碁について全く知らないのですが、中国では人気があるのですか?」
「もちろんですよ! 囲碁は学校で習いますからね。人気も競技人口もかなりのものですよ。将棋も麻雀もルールが違い過ぎて、国際棋戦なんて無理ですが、囲碁なら問題ないですし、どうでしょうか?」
「おいおい、田君、ちょっと飲み過ぎだぞ。落ち着きなさい。あ~、戸狩さん、確かに囲碁は中国韓国で人気がありますね。国際棋戦ともなればリーズナブルとはいかないまでも確かにスポンサーになる価値があるかもしれないでしょう。ですが、問題が一つ」
「それは?」
「日本でまったく盛り上がらないだろうということです。これは偏に競技人口の問題ですので、気分を害されないで頂きたいのですが、今、囲碁は中国が圧倒的に強いのですよ。トーナメントをしても中国韓国の選手ばかりが勝ち残ってしまうでしょう。日本でも塔矢プロが出てくれれば勝ち上がってくるのでしょうが、塔矢プロは国内棋戦、既存の国際棋戦で多忙を極めていますので、新規の国際棋戦に出られないでしょう。そうなれば日本人は一回戦で全員敗退という可能性が高い。それでは、盛り上がらないでしょう?」
「確かにそうですね。ですが、中国韓国では盛り上がりますか? 我が社としては日本で盛り上がらなくてもその二国で盛況で、知名度が向上するならやってみてもいいと思うのですが」
「国内外を転戦しているプロたちがこぞって出場するような大会にすれば盛り上がるかと。ですが、その為にはかなりの賞金が必要でしょうからね。そんなに甘くはないでしょう」
「なるほど、やはり、そう簡単ではないんですね」
戸狩と陳が囲碁も難しいかと話を終わらせようとしたところで、青年、田が慌てて口を挟んでくる。
「ちょ、ちょっと待ってください! 確かに、陳部長の意見は正しいですが、陳部長が知らない情報があるんですよ! saiの正体が判明したんです! 彼が日本代表で出れば盛り上がること間違いなしですよ!」
「saiがか!? 本当かい、田君?」
陳が赤い顔をさらに赤くして田に詰め寄りながら問い返す。田も酒で酔った顔で早口になりながら答える。
「ええ、それが、日本の進藤ヒカルという十三歳だそうですよ! この間終わったプロ試験でプロになったばかりだそうです!」
「十三歳!? それは本当なのか? 私は塔矢プロとの棋譜を見ているが、それはありえんだろ! あんな素晴らしい対局をする者が子供なんてことは……信じられんぞ私には……」
「ええ、確かに、十三歳の子供だなんて信じられないことなんですが。ですが、ネットに塔矢ジュニアとのプロ試験時の対局がアップされたんです。それが、名局でして! 冴え渡る囲碁のセンスというんですかね、確かにsaiに似てるんですよ。それに本人も頷いたという情報もあって、ネットでは進藤ヒカルがsaiだと断定して大盛り上がりですよ! いやぁ、私も棋譜を見ましたが十三歳同士の対局とはとても思えない素晴らしい物でしたよ! 進藤ヒカルが塔矢ジュニアを終始圧倒してましたが塔矢ジュニアもあの歳ではかなり打てる! 部長も観ればご納得すると思いますよ!」
「そうか……それが本当だとすれば、そいつは本物の天才だな……」
我がことのように何とも誇らしげに話す田と茫然とする陳。対照的な顔をする二人に、戸狩は話についていけず、当惑していた。それに陳が気付いたらしく、『これは失礼しました』と頭を軽く下げ謝罪してくる。
「いえ、それより、今のお話しは一体? すごい囲碁の強い日本の少年がいるということでしょうか? それが、そんなに驚かれることなんですか?」
「あぁ、そうですね、戸狩さんは囲碁について何もご存じないでしょうから、分かり辛いかと思います。う~ん、そうですね……あぁ、そうだ。戸狩さん、戸狩さんに一つクイズです。現在の囲碁界の頂点にいる塔矢名人の年間勝率はどのくらいだと思いますか?」
「最も強い囲碁棋士の年間勝率ですか……そうですね、八割くらいですか?」
「おお、お見事です。ほぼ正解です。塔矢プロは四冠タイトルホルダーで、丁度七割六分くらいだったと思います。では先ほど話に出てきた少年の勝率はいくらだと思いますか?」
「話の流れからするともっと凄いと言うことでしょうから……八割五分くらいでしょうか?」
「今度は外れです。少年、ネットのハンドルネーム『sai』の勝率は四百三七勝一敗、勝率がほぼ百パーセントなんですよ。どうでしょうか、その十三歳の少年の凄さが分かりませんか?」
「え、ええ……いや、逆に想像出来なくなったような……そんな気分ですよ陳さん」
「はははははっ、そうかもしれません。もちろん、その少年が戦ったのはネットの中のアマチュアですので、プロ相手である塔矢プロの勝率とは比べられるものではないのですが、囲碁というのは力の強さ、棋力と言いますが、それが離れていても、勝ちっぱなしというのはありえないゲームなんです。ですが、saiは四百三十七連勝したんですよ。しかも、『sai』が勝ったのはアマチュアだけではないんです。その中には中日韓の現役プロもいたんです。謎のネット最強棋士が現れたと囲碁界で話題になるのが分かっていただけますか?」
「それは、はい」
「そして、『sai』は塔矢プロとネット碁で戦ったのです。名局と呼ばれるほど素晴らしい戦いは僅差で塔矢プロに軍配が上がりました。連勝記録が途切れた『sai』は謎に包まれたまま姿を消してしまった」
「なんとも、物語のような話ですね。それは囲碁を知っている人たちは随分盛り上がったことでしょう」
「はい、もちろん。そして、謎であったsaiの正体が十三歳の少年、それも、プロに成りたて、当時はアマチュアであったと今知った私の驚愕がわかっていただければ嬉しいです」
「なるほど、それは……。驚くでしょうね」
「ええ、ですが、田君、君の言う通り、これはチャンスかもしれない。戸狩さん、囲碁の国際棋戦をやるべきです! それも、ジュニア棋戦にするべきだと私は思います。sai少年と塔矢ジュニアの日本、中韓はトップレベルの子供がたくさんいる現状で、ジュニア国際棋戦はないんです。目新しさとsaiのネームバリュー、これは盛り上がりますよ! それに、実績のない若者なら賞金が少なくても出場したがるでしょうし、何より、未来ある若者を応援する企業というイメージは実に評判がよろしい。北斗通信社さんがメインスポンサーでやっていただけるのなら、我々も協賛企業として支援したい。ぜひ、やるべきですよ!」
「なるほど、これは貴重な情報を得てしまったようです。ぜひ、新安さんと協力してやりたいですね!」
「はい、ぜひやりましょう!」
酒の席での約束など、あってないようなものだ。過度な期待は禁物だ。それでも、陳と、しいては新安集団との協調体制がとれるというのは、美味しい話には違いない。部下に命じて囲碁のスポンサーについて検討させよう。そして、その囲碁ジュニア大会を行うに当たって、キーマンとなるのであろう、sai、進藤少年のことも徹底的に調べる必要があるなと戸狩は頷くのであった。
「それにしても陳さんは囲碁に御詳しいのですね。それとも、中国の方なら、常識なのでしょうか?」
ふと疑問に思ったことを尋ねる戸狩。その回答は予想外な物であった。
「あはは、実は娘が囲碁棋士を目指していまして。それで、私も囲碁に詳しくなったんですよ。ついでに、ジュニア杯にすれば娘も出れるかなと少し思ってたりしてます」
「ははははっ、さすが、陳さん。抜け目がありませんね」
「はははっ、最高の褒め言葉ありがとうございます。あ~、そうだ。娘は日本語を勉強するほど日本が好きなんですよ。今度、日本旅行すると言っているので、行った際はもしよろしければ、日本の案内などお願いできませんか?」
「ええ、喜んで。大切な娘さんのことは我々にお任せください」
打ち解けたように笑い合う戸狩と陳であったが、翌日の交渉では喧々諤々の議論を繰り広げることになる。酒の席と仕事はまったくの別であるとは聞いていたが、ここまでとはと、戸狩は二日酔いで痛む頭を抱えるのであった。
塔矢明子は心の中で大きくため息を付く。
「改めて、もう一度みんなで言いましょう! せーのっ!」
掛け声を掛けるのはヒカルの隣に座る奈瀬明日美さん、明子をここに連れて来た張本人だ。もう、己の倫理観というか、常識をぶっちぎった状況ではあるが、明子は吹っ切ったように、皆と唱和して大声を出す。
「「「「「「「「「ヒカル、プロ試験合格おめでとう!」」」」」」」」」
コの字型のソファの右側にヒカルの中学の同級生だという女の子四人が座り、院生の女の子二人がヒカルを挟んで明子の前に座っている。明子の両隣には息子のアキラが通っている海王中学の生徒である女の子二人が席に付いている。わー、ぱちぱちぱちっと拍手をする皆に合わせて、明子も拍手をする。皆、明子にとっては娘ほど歳の離れた子供たちである。そんな子供たちがきゃいきゃい大はしゃぎでパーティーをしているのは、院生の女の子の別荘であるコテージだ。
空調の効いた広い室内は一二月だというのに温かく、皆、セーターやカーディガンを脱ぎ、身体のラインがくっきり見えるほど薄着となっている。明子もワインカラーのカーディガンを脱ぎ、白のシャツと紺のフレアスカート、黒のストッキングのみとラフな格好になっていた。コの字型のソファの中央に設置されたガラス張りのテーブルにはサンドイッチやお寿司、お菓子にケーキ、飲み物などが所狭しと並んでいる。皆が弾ける様な笑顔を浮かべ、お喋りに興じる中、明子は所在無く皮張りのソファにちょこんと座っていた。
この場はなんなんだろうか。違和感が拭えない。ここに息子のアキラがいれば、息子の誕生日会とでも思える光景である。が、事実は全く異なる。この場にいるただ一人の男の子は、進藤ヒカル。明子の恋人だ。今は、美少女に両側から抱き付かれながら、皆ありがとうと、笑顔で笑っている。
――私のヒカルにそんなにくっ付かないで。
明子は愛する人をじっと見つめる。だが、そうすれば、自然とヒカルに両側からTシャツ一枚という身体のラインがくっきり見える薄着で、しな垂れかかるように抱き付く少女たちが目に入ってしまう。ヒカルと口付けをし、セミロングの髪を撫でられ、美しい顔をうっとりとさせている美少女、奈瀬明日美。中学生とは思えない程たわわに実った胸を、Tシャツ越しにヒカルに擦り付け、嬉しそうにヒカルの頬を舐めるメガネが似合う美少女、松下香歩。どちらもタイプは違えど類稀な美少女だ。明子の心は嫉妬でどうにかなりそうなほど、怒りが込み上げてくる。
「ふふっ、明子さんの顔、すっごい牝の顔になってますよ。素敵です」
明子はびっくりして、隣に視線を向ける。そこで明子を見つめる美少女、日高由梨の熱い視線に明子はさらに驚き、たじろぐ。由梨はショートカットのキツメの顔を蕩けさせながら、明子に身体を近づけてくる。そして、明子の耳元で囁く。
「明子さんはヒカル君の女なんですね。でも、ここにいる皆もヒカル君の女なんです。だから、そんなに怖い顔しないでください」
「でも……お、おかしいわ、こんなの……狂ってる」
「狂ってる、ですか? ふふっ、確かに狂ってますよね。一人の男の子を皆で愛し合うハーレム。これから、全員でヒカル君とセックスするんですから! みーんなヒカル君に狂わされてしまったんですよ……でもそれは、明子さんもでしょ?」
由梨は吐息と共に明子の耳元に熱い言葉を、そして、明子の狂いかけた理性の最後の一かけらを壊す言葉を投げかけてくる。
『明子さんもヒカル君にじっくり狂わされて、女になった一人じゃないんですか』と。
由梨の言葉に明子の腹部が疼く。ヒカルとの情事を明子の身体が克明に思い出してしまったのだ。この半年、毎週木曜日にヒカルにイカされ続けられた明子の熟れた身体があっという間に熱く火照り出す。あぁ、確かにそうだ。廊下で、トイレで、台所で、家族の目を盗んでキスをされ、ヒカルの大きな肉棒を口内で堪能し、あまつさえ、膣出しセックスをされ続けてきたのだ。ヒカルを想うだけで秘所から蜜がトロリと溢れてくる。明子の身体はヒカルに変えられてしまった。善き母親、善き妻から、少年の情婦へと。
明子は視線を由梨からヒカルへと戻す。ヒカルが明日美から口移しでジュースを飲まされている。香歩がヒカルのズボンを脱がし、股間に顔を埋めている。じゅぼじゅぼと淫靡な音を響かせながらヒカルの男を愛しているのだ。テーブルを挟んで四メートルも離れていない距離で息子と同い年の少年と女の子たちが行う狂宴に明子は唾をごくりと飲み込み、見入ってしまう。思うことは一つ。
――ああ、私もヒカルのペニスを咥えたい。ヒカルのチンポをアソコに入れて欲しい。
ヒカルが男の笑みを浮かべているのを見て、明子は股間をさらに濡らす。愛液が紫色のショーツでは吸いきれず、黒タイツを伝って落ちていく。シャンデリアの拡散された光が頬を染めてヒカルに唾液を飲ませている明日美を輝かせている。ヒカルのペニスをスロートする度に香歩の髪がバサバサと舞う。それを皆が心底羨ましそうに見つめている。
――ああ、そうか。
ここにいる美少女達は皆、明子同様に犯され、調教され、心の全てをヒカルに奪われているのだ。狂っているのだろう。だが、それがどうした。今の明子は心の底から、幸せなのだ。ヒカルに愛してもらえることが明子の全てなのだ。それはこの成長途上の美少女達も同じなのだ。嫉妬する必要などない。
明子の耳を由梨が舐めてくる。熱いざらざらした舌が明子の耳たぶを舐め上げ、そのまま、耳奥へと進んでくる。擽ったさと快楽が明子の背を走る。耳たぶが由梨のぷるぷるの唇に甘噛みされる。明子は感じ、甘い吐息をついてしまう。由梨の甘やかな吐息が明子を興奮させる。ぴちゃぴちゃと淫音が鼓膜から直接明子の脳に反響する。
「あんっ、ん……んんん……」
「ちゅぷっ、んちゅ、ちゅうう、れろれろ……んちゅうう、ちゅぱぁぁ」
――気持ちいい。
明子は腰に回された由梨の腕に強く抱きすくめられる。明子の腕に潰れた少女の胸の感触が、女の熱量と共に薄い布越しに伝わってくる。
――私、興奮しているんだわ。
明子はいつの間にか由梨のことを横合いから強く抱きしめていた。ヒカルとは違う柔らかい身体は抱き心地がよく、ピンクベージュに染められたショートの髪から香るリンスの匂いは甘く、より明子を興奮させる。皆の前で、今日初めて会った少女と抱き合い、ショーツを濡らしている自身の身体、それを明子は自信を持って受け入れる。ヒカルに女に戻してもらえたのだ。恥ずかしがることではない。そして、この場にはヒカルを愛する女、仲間しかいないのだ。どのような痴態を見せたところで問題などない。いや、むしろヒカルに喜んでもらう為には、より淫乱に振る舞うべきなんじゃないのかと明子は熱に浮かされた頭で考える。
「ふふ、由梨ったらそんなに興奮して。でも、塔矢君のお母さんがヒカル君の女だったなんて! 私、すっごいびっくりしました。世の中って狭いんですねー」
メガネをかけたロングの髪がよく似合う、ほんわか優しげな美少女である小林奈美が微笑みながら、抱き締め合ったままの明子と由梨におっとりした口調で話しかけてくる。由梨の舌が明子の耳から頬を伝って、首筋へと移動する。ぬめぬめ、ぺちゃぺちゃと少女の熱い舌が忙しなく這う感触に明子は甘い吐息を噛み殺すことも出来ず、喘ぐ。そんな状態で息子のことを言われ、どう返事をしていいのかわからず、明子は困ってしまう。だが、奈美は明子の答えを待つことなく、柔らかな笑顔を浮かべながら明子の身体を触り、褒める。
「それにしても明子さん、とっても綺麗です! それにすっごいスタイルいいんですね。胸は大きいのに、くびれがすごい! 何か運動してるんですか?」
「あんんっ、んんんっ、あぁん、だめよ、そんなに触らないでぇ、んんんっ」
「ちゅぷっ、んちゅう、れおぉんっ、れろぉ、んはぁん、んちゅうぅ」
ソファに座ったまま、明子の左側から抱き付き、右の首筋を唾液でねとねとにする由梨と、右側から明子の身体を厭らしい手付きでさわさわと揉んでくる奈美。奈美は明子のシャツの中に手を入れ、臍を撫でた後、無駄な脂肪のない、けれどもむっちりと柔らかい明子の腹を撫で、そのまま手を明子の胸へと這わせてくる。奈美は由梨と抱き合った状態の明子のブラをずらして、そのままおっぱいを揉みしだいてくる。
「あんっ、あぁぁ……ダメよぉ、そこぉ……」
「ふふっ、何がダメなんですか? 乳首コリコリにして、瞳が蕩けてますよぉ……もう、本当に可愛い、明子さん! ほら由梨、明子さんの服を脱がしちゃうから、ちょっと離れて」
「ちゅぴ、んちゅう、れろ、んちゅう、はぁはぁ、ん、わかった」
由梨が明子の首筋から唇を離す。その顔は真っ赤で口元が唾液で濡れ光っている。由梨の爛々に光った瞳が明子を捕えている。明子は由梨の妖艶な表情に見惚れ、気付けば、由梨の形のいい唇へ己の舌を伸ばしていた。
「あんっ! んんんっ……んはぁん、ちゅう、れろっ、んちゅうぅ、ちゅう、はぁはぁ、んっぁああ、んんん」
由梨の口内に侵入した明子の舌が由梨の舌に絡め取られる。ねろりと唾液とともに舌を絡ませ合うのはとても興奮し、気持ちがいい。とろりとした由梨の唾液を啜るように飲み込む。美味しい。
――ああ、熱い、私、女の子と接吻しちゃってる。すごい、厭らしい。それにすっごく気持ちいい。
由梨が明子の唾液を欲しいとばかりに舌を明子の口内で掻き回しながら、啜ってくる。明子は眩暈を覚えるほど、性感帯と化した口内から、くちゅくちゅと唾液を作り、由梨へと注いでやる。抱き締め合い、激しいディープキスをする二人に奈美が呆れた調子で声を掛けてくる。
「もう、二人ともぉ、服脱がせられないじゃない! 一旦離れなさい。こら、由梨!」
「んちゅう、ちゅううぅ、んはぁっ、はぁはぁ……んん、ごめんなさい」
「んんんっ、ぷはぁぁ、はぁはぁ、んだってぇ、明子さんが魅力的過ぎるんだもん」
名残惜しそうに唇を離し、謝る明子と、止めないで、もっとと明子の舌を追いかけてくる由梨の唇の間に唾液の橋が架かり、ソファに落ちていく。唾液濡れになった明子のルージュが光る唇を由梨が優しく舐めとる。また、お互い見つめ合い、キスをしそうになったところで、奈美の静止がかかる。
「はい、そこまで。ほら、ちゃっちゃと裸になりましょ?」
「はーい」
立ち上がり、テキパキと自分たちの服を脱ぐ由梨と奈美。由梨との濃厚レズキスでぼうっとした状態の明子も二人に手を引っ張られ、立ち上がると、服を脱がされていく。白シャツを脱がされ、ずれた状態の紫のブラを放り捨てられる。そしてスカートを脱いだ明子は、むっちりとした肉感を強調する黒ストッキングと、そこから透けてみえる紫のショーツのみとなる。そこで、ふと場が静かになっていることに気が付く。お喋りと飲食に興じていた右側の女子四人組が明子たち、特に明子を見つめていた。そして、前方、ヒカルは明日美と対面座位で繋がり、横からおっぱいを擦り付けている香歩に手マンをしながら、その瞳を明子に向けていた。ヒカルの視線と明子の視線が交差する。ぶるりと明子の下腹部が熱くなる。しとどに濡れたショーツからさらに愛液が溢れ出す。
「明子さんすっげー、色っぽいよ! あ、もちろん、由梨さんと奈美さんも綺麗だよ」
ぬちゅぬちゅ、ばちゅばちゅ、ぱんぱんと淫音をさせつつ、ヒカルが明日美の頭越しに明子たちに声を掛けてくる。
『ヒカルぅ、もうだめぇ、オチンポ気持ちいいよぉ、んぁあぁん』
『ヒカル様の手がぁ、んんんんんっ、いいですぅ、あぁん、んん』
明日美と香歩が甘い吐息混じりにヒカルを求め、ヒカルは二人を満足させている。
――嬉しい。
感覚がマヒしているからか、ヒカルに褒められ、素直に喜びが湧いてくる。ヒカルが別人とセックスしながら放った言葉だというのに。
「なんていうか、すっごいね……。セクシィー! って感じ?」
「あれは反則でしょー! フェロモン出し過ぎぃー!」
「人妻が持つ魔性の魅力って奴なのかしら……むっちむちの癖に引き締まってるし、それにあの大きな胸! 重力に負けて垂れてる感じとか、それに何、あの黒ストッキングから見える紫色のエッチなショーツ! 濡れまくりで、すっごい厭らしい!」
「明子さんスタイルいいなぁ、私も頑張ってもっとダイエットしなくちゃ」
「由梨先輩と奈美先輩も大人ボディだし、ちょっと私たち負けてない?」
「あなたはね。私は最近急成長してるから、一緒にしないでねー」
「あっ、何その言い方ー!」
「わ、私だって最近、ヒカルに揉まれて大きくなってきたんだから!」
「持たざるもの、努力すべし。動かざる者、食うべからず、太るから」
「どんな、格言よそれ……てか、上から目線!」
「私はバスケで身体動かしてるから問題ないよー。あっ、このケーキ美味しいよ!」
「どれどれ?」
あかりたち四人組が明子の身体を品評したかと思うと、また違った話題でわいわいと騒ぎ始める。彼女たちの順番は最後なので、まだ気分が盛り上がっていないのかもしれない。それとも、極力ヒカルたちの方を見ないようにしていることから、彼女たちは発情しないように気を使っているのかもしれない。今から、発情してしまえば、ヒカルが来るまで、ずっと我慢しなければいけなくなってしまうのだから。他の女とのセックスを見せつけられ、自身はお預け……それは酷く辛いことだろう。
――だって、私はもう我慢出来ないほど辛い。
ヒカルに見つめられ、明日美たちとのセックスを見せつけられ、由梨と奈美に弄られた明子の身体はもう発情しきっていた。乳首とクリトリスがびんびんに勃起して痛いほど敏感になっている。お腹の奥、子宮が疼いて仕方ない。
――早くヒカルのチンポが欲しい。
奈美に寄りかかり、由梨によって黒のタイツをゆっくり脱がされる。そして、ぐっちょりと愛液で重くなったショーツを脱がされる。むわりと湯気が秘所から立ち昇るほどに明子のアソコは濡れそぼっていた。
「明子さん、本当に綺麗。ね、奈美?」
「……う、うん、すっごく綺麗で私、見惚れちゃいました! 本当に綺麗!」
「あ、ありがとう」
「ふふっ、早くヒカル君としたくて、仕方ないって顔と身体をしてますよ。でも、もうちょっとあっちは時間掛かりそうですから、その間は私たちで慰め合いましょう。ねっ、明子さん!」
「ヒカル君には負けますけど、女の子同士だって気持ちいいんですよ。これから、その良さを明子さんにたっぷり教えてあげますからね!」
「えっ、それは……きゃっ、あんんっ」
二人の少女の手により、明子はソファに押し倒されてしまう。明子のおっぱいを揉みながら吸い付く奈美と、ガバリと明子の股を開かせ、秘所に顔を埋める由梨。由梨は明子の濡れ濡れの陰唇をぺろぺろと舐め、そして、包皮から飛び出すほど勃起している明子の陰核を優しく口に含む。陰核を舌で高速フェラしながら、指を明子の膣奥へと挿入し、Gスポットを引っ掻く様に弄ってくる。奈美が明子の腋を舐めながら、片手で優しく頭を撫でてくる。もう片手では乳輪から乳首が取れるのではないかというほど、思いっきり乳首をしこしこと擦り、弄ってくる。
一溜りもなかった。クリと乳首、そして膣に脇、どこもじんじんと痛みを起こすほど快感が全身を駆け巡るのだ。限界まで欲情していた身体が一瞬で爆発し、何度も何度も絶頂を駆け上がる。身体をブリッジさせ、びくんびくんと痙攣しながら感じまくる明子に、二人の少女は容赦しなかった。もう止めてと喘ぎの間に絶叫しようとすると、その口を奈美の口に塞がれる。息が出来ないほど、激しいディープキス。蕩けるような快感と酸欠で意識が遠のきそうになるなか、四本の手と二つの口が縦横無尽に明子の身体を苛め抜いていく。
「んちゅうぅぅ! れろん、ぴちゃ、ちゅううぅ、ごくごく……ぷはぁ、ふぁぁ、はぁはぁ、明子さんのラブジュースすっごい美味しい! アハっ、また溢れてきた。もっと飲んであげますね」
「ちゅう、んちゅ、ちゅぱちゅぱ、れろぉ、んんんっ、ちゅうぅ、んちゅうっ、っちゅうぅ! 明子さんの唾液も甘くて美味しいよ。今度は私のを飲んでくださいね。ちゅううぅ、れろぉ」
「んぁあぁああああっ、はぁはぁはぁ、まってぇ! もう無理なのぉ! んちゅうう! んんんんんっ! んんんんん~!!」
何度も絶頂した。潮を由梨の顔に掛け、涎を奈美に飲まれ、飲まされ、愛液を由梨と奈美にずぞぞっと啜られ、乳首を同時に甘噛みされ、足の指一つ一つを奈美に舐められ、臍を由梨に舐められた。明子の太ももに由梨の秘所が押し当てられ、ぬちょぬちょと擦り付け、喘ぐ由梨に、明子の手首を秘所に押し当てて、自慰をする奈美。その間も明子を責める手は止まらない。どれほど時が経っただろうか。明子の身体は三人の涎と愛液でぐちょぐちょになっていた。喘ぎすぎて声を嗄らした明子は意識を朦朧とさせ、ソファにぐったりと横たわっている。その明子に抱き付く様にして、由梨と奈美が明子のおっぱいを舐めている。ただ、ぐったりとその愛撫を受け入れる明子。そこに声が掛かる。
「うわぁ、明子さん大丈夫? ちょっとやりすぎじゃない由梨さん、奈美さん」
「だってぇ、みんなに見られてるって思うと興奮しちゃってぇ! それに明子さんめっちゃ可愛いんだもん!」
「ふふっ、確かに少しやりすぎちゃったかも。じゃあ、ヒカル君。明子さん、いい感じになってるから、トドメ差しちゃって」
明子の乳首から口を離した二人が好き勝手なことを言いながら、明子から離れるのがわかる。明子はぼやける視界を声の方へと向ける。前髪だけ金髪の幼い顔が明子を覗き込むように近づいてくる。ヒカルが優しい手付きで、明子の乱れた髪を整えた後、キスをしてくれる。
「ちゅっ、んちゅう、ちゅう、んんんっ、はぁん、んんんっ、ヒカルさん、きてぇ」
「明子さん、綺麗だよ。いくね」
ヒカルの肉棒が明子の膣をゆっくり押し広げながら侵入してくる。そしてその最奥、子宮口をカリで擦り上げた状態で止まる。肉棒を挿入したままヒカルが明子を抱き締め、囁くように聞いてくる。
「由梨さんと奈美さんとのエッチは気持ち良かった?」
「んんぁあ、き、気持ちよかったわ、あぁ、んんっ、でもぉ」
「でも?」
「でも、この、お、オチンポがなくてだめだったのぉ! あぁ、やっぱりこの大きなオチンポじゃないとダメなのぉ! ヒカルさんのじゃないと満足できないのぉ! お願い! 突いてぇ、ヒカルさん」
明子は自身がどれほど、はしたないことを言っているのか、自覚している。それでも、もう我慢出来なかったのだ。由梨たちの手で何度も何度も絶頂した。それでも、明子の心は満たされなかった。なまじ、身体だけ、満足させられたものだから、余計心が欲求不満になったのかもしれない。とにかく、ヒカルの肉棒で滅茶苦茶に突かれたかった。ヒカルに貪ってもらいたかった。ヒカルの精子で子宮を溺れさせて欲しかった。
「明子さん……ん~ん、明子、俺もう我慢出来そうにないよ。こんなに綺麗で色っぽくて、それに、人妻なのに。俺はもう明子を他の誰にも渡したくないって思ってるんだ。俺だけのものにするよ、明子?」
「えぇ、してぇ! 私をヒカルさんだけのものにしてぇ!! んぁぁああ! きたぁあ! 私の膣をごりごり抉ってくる凶悪チンポがきたのぉ! んあぁあぁああ、いいのぉぉおっ!」
「明子の膣もすっごいよ! とろとろなのにぎゅうって締まってきて、俺のちんこにまとわりついてくるんだ! そんなに俺のちんこがいいの、明子!?」
「あぁあああんんっ! いいのぉおお! ヒカルのことが好きなのぉおお!! ヒカルのチンポがいいのぉおお! おおおっ! んおおおおっ! 私のオマンコはヒカル専用なのぉおお! いっぱいいっぱいヒカルの精子を絞り取る為のオマンコなのぉお!!」
ずじゅうううううっ! と一突きする度に明子は膣イキ痙攣させながら、ヒカルを抱き締める。
――これだ。これが欲しかったのだ。もうこれ以外いらない。
明子は心底幸せを感じながら、少年の肉棒を受け入れる。
「くっ、明子のオマンコめっちゃ、すごいよ! うにゅうにゅ動いて絞り取ってくるんだ! 俺、もう我慢出来ない! 出すよ! 明子!」
「んおおおおおおおっおおおおおおおおおお! ぎでぇええええええええ!!!!!! ヒカルぅうう!!!」
びゅるうぅるるるるるっと明子の子宮口に押し当てられたヒカルの肉棒から精液が出たのがわかる。断続して子宮内に入ってくるヒカルの精液の熱さに、明子は絶頂しながら、最高の幸福感を得る。
「んぁぁぁぁっぁぁ…………しゃいぃこー……」
「俺もめっちゃ気持ち良かったよ、愛してる明子」
「ちゅう、んちゅう、ちゅう、れろれろ、んちゅうう、んんんんっ」
半ば意識を失いながら、明子はヒカルに向けて微笑む。そこにヒカルがキスをしてくれる。虚ろな視線と涎でべちゃべちゃな明子の顔は完璧に極まったアヘ顔であったが、とても幸せそうであった。子宮の温かさと甘い口付けに明子は人生で一番幸せな時は今なのだろうとぼんやりと思いめぐらす。いや、と思い直す。
――もう、ピルを飲むのを止めよう。
そうすれば、今よりもっと幸せな気持ちになれると明子はぼんやりと考え、意識を失うのであった。