水城七香は周囲の学生達から視線を向けられている事に気付き「ここでもか…」と心の中で嘆く。
彼女が今いるのは駅前の広場だ。同じ学校の生徒もチラホラいるにはいるが大多数は他校の学生達である。それにも関わらず多くの学生達が七香に注目し、時には親しげに声をかけてくる。
あまり人と関わるのが得意ではない彼女は、その対応に疲れていたが、好意を向けてくる相手を無碍には出来ず、努めて穏やかな表情を作っていた。
今日は朝からこんな状態だ。学校でも、いつも七香を遠巻きに見ているだけのクラスメイト達が興奮した様子で祝福の言葉をかけてきた。彼等からすればそれだけ凄い事なのだろうが、七香としては恥ずかしいやら、面倒くさいやらで、出来れば大騒ぎしてほしくないというのが本音だった。
「──サークルに入った事を割と後悔してるわ」
七香は周囲に聞こえないくらいの声でそう呟いた。それに隣を歩いている親友が微笑みながら返す。
「それ、絶対に他の人に言っちゃダメだよ七香ちゃん。私は違うけど、みんなは1番になりたかった筈だから」
優しくそう注意するのは七香の唯一の親友である桜崎夏絵菜だ。少し垂れ目の可愛らしい容姿の彼女は、学校の男子からは密かに"天使"などと呼ばれているらしい。
人当たりの良い夏絵菜は普段からクラスメイトと交流しており、孤立──というより孤高の存在と化している七香と他の生徒達の間を取り持つ事が多い。
「ええ。気を付けるわ。でも、夏絵菜だって私の気持ち分かるんじゃない?薫に次いで3位だったんだから。今も夏絵菜の方を見てる人、何人もいるわよ」
「うーん、分からないかな〜。3位になった事も、それを祝ってもらえる事もすごくありがたい事だよ?それに、こんなに注目されるのは数日だけだと思うし」
「そうだと良いけど…」
再度周囲に目を向け、不安そうな顔をする七香。夏絵菜はそんな親友を見てくすくすと笑う。仲睦まじい様子を見せる2人の美少女の姿に、それ目撃した学生達は頬を緩めていた。
──なぜ七香達がこれほど注目を集めているのか。それは先日とあるサークルのメンバーを対象に行われた美少女ランキングで2人が上位にランクインしたからである。正確には七香が1位で夏絵菜が3位である。
そのサークルには都内の20を超える学校の学生達が所属しており、読者モデルやSNSのインフルエンサーをしている子達が情報を交換したり、企業と共に様々な企画を進行し、新しい流行を生み出すような活動をしている。
その為、女子中高生に対する影響力はかなり大きく、都内で活躍する女子のほとんどが所属していた。つまり、都内のイケてる女子が集まる巨大コミュニティであり、そのメンバーを対象としたランキングで1位に輝いた七香は東京で1番の美少女だと言っても過言ではないのである。
七香は日本人とアメリカ人のハーフで、長く美しい黒髪と蒼い瞳を持っている。鼻筋の通った顔は17歳という年齢からすれば少し大人びて見え、スラリとしていながらしっかりと凹凸のある身体は女の子の理想そのものだった。
そんな恵まれたビジュアルのお陰で、友達が1人しかいないような状態でもクラスメイト達から一目置かれ、カーストを超越した位置にいる。
しかし、容姿が優れている事は良い点ばかりではなく、その注目度の高さから巨大コミュニティのトップから熱心な勧誘を受ける事になり、仕方なく加入した結果、今回このようなランキングで日本中に名前を知られる事になってしまったのである。
まあ、一番の被害者はそんな親友に巻き込まれてサークル入りし、同じく有名になったお人好しの天使だったりするのだが…。
「それにしても、どうして私が1位なのかしら。夏絵菜の方が絶対に可愛いのに」
「あはは…。流石にそれは嫌味になっちゃうよ七香ちゃん。みんなが投票して決まったんだから七香ちゃんが1番可愛いんだよ。私はほら、胸とか小さいし顔も子供っぽいから」
「私はそこが魅力的だと思うわよ」
「うん。ありがとうね」
表面上はクールに見える七香と、可憐な笑顔を浮かべる夏絵菜。ランキングTOP3に入った2人がお互いを自分より可愛いと主張しているが、このレベルになるともはや好みの問題だろう。他の女子からすればどちらも最上位の容姿の持ち主で羨ましい存在なのだから。
「──七香さん。ランキング1位おめでとうございます」
と、その時。
2人の世界を作り上げている七香達の背後から新たに声をかける者が現れる。ランキングを見た他校の女子だろうと予想し、会話をやめて振り返る七香。しかし、その声の主が今はあまり会いたくなかった知人だと分かると、少し気まずそうな表情をする。
「…えっと、ありがとう、薫。そっちも2位おめでとう……?」
「クスッ。ありがとうございます。どうして疑問系なんですか?私は2位で満足しているので気にする必要はありませんよ」
「そうなの?」
「はい。夏絵菜さんに勝てたんですから我ながら大したものだと思います。サークルの会長として威厳も保てるでしょう」
薫と呼ばれた少女はそう言って夏絵菜に微笑む。夏絵菜の方も柔らかい表情を浮かべ「ふふ。負けちゃったね」と返した。
神宝薫。
有名私立中学に通う3年生で、七香が所属する巨大サークルを僅か1年で作り上げたカリスマの持ち主だ。腰の辺りまで伸ばした茶色の髪と、人形のような整った顔で周囲の視線を集める美少女である。雰囲気は穏やかなお嬢様といった感じだが、敵対する者には容赦なく、一部のメンバーから"氷の女王"と呼ばれている。
学年こそ七香の方が2つ上だが、サークル内での立場は薫の方が圧倒的に上。薫がこんなランキングの結果で気分を害すような子ではないとは知っていても顔色を窺ってしまう。
そんな微妙な空気を察した訳ではないだろうが、薫の隣にいた少女が明るい声で話し掛けてくる。
「先輩達は流石ですね!由花も健闘したと思うんですけど、票数的には足元にも及ばなかったです」
小柄ながら大きな胸を持つ少女。彼女の名前は村上由花。薫といつも行動を共にするサークルメンバーだ。裏表がなく元気で人懐こい彼女は同性からも好かれており、薫も懐に入れて可愛がっている。
「どうしても高校生の方が票が集まるだろうから、仕方ないと思うよ?中学生で5位なんだから由花ちゃんも流石だね」
「えへへ、そうですか?夏絵菜先輩にそう言ってもらえると嬉しいです!」
夏絵菜と由花が和やかな雰囲気で会話する。彼女達は性格が合うらしく、先輩後輩として良好な関係を築いていた。
「………」
その2人と違い、裏も表もある七香と薫はほどほどの距離感を保ちながら話し始める。
「七香さん。周りの人達の反応を見ていれば分かると思いますが、今回のランキング、思った以上に影響が大きかったみたいですよ」
「そうね。1サークル内の人気投票にしては皆騒ぎすぎな気がするわ」
「何人かのメンバーが票集めの為に大きく宣伝したせいでしょうね。まるで東京一の女子を決めるお祭りみたいになってしまいました」
薫は小さくため息を吐く。
彼女が言うようにSNSなどで投票を呼びかけていた子を七香は何人か知っていた。それによって多くの人が興味を持ち、ビジュアルの良いメンバーに票が集まってしまった。
「注目を集めたのに不満そうね。これでサークルの影響力は更に大きくなる。薫としては嬉しい事じゃないの?」
「ここまでは求めていないんですよね。過ぎた評価は面倒事も招いてしまいますから。実際、メンバーの中にはストーカー紛いの行為をされるようになった子もいます」
「そうなの…。それは私も気を付けないとね」
「そうして下さい。今の七香さんは"東京一の美少女"という評価ですから、容姿に加えてその肩書きに惹かれてくる人もいる筈です」
薫の言葉に嫌そうに眉をひそめる七香。薫が冗談を言う子ではないと知っている彼女は、増えるであろう面倒事を想像する。七香のその顔を見て小さく笑うと、薫は由花に声を掛けた。
「由花。そろそろ行きますよ」
「はーい。それじゃ先輩達、さよならー」
どうやら薫の目的は今の話をする事だったらしく、用が済むと七香達に別れを告げる。
「──さて」
手を振って去っていく薫と由花を見送り、七香は周囲をさりげなく見回す。
自分に視線を向けている人の多くは同年代の女子だが、中には歳上の男性もそれなりにいる。今は人の目があるから話し掛けてこないが、彼等が付き纏ってくるような事があれば確かに面倒だ。
「夏絵菜。私達も行きましょうか」
「え、あ、うん」
そう判断した七香は夏絵菜を連れてその場を去るのだった。
★
始まりは一人の大学生だった。
彼はナンパで口説き落とした女子を抱くと、行為の様子を「今日の成果」などと言ってSNSに投稿していた。晒された女子は自分のあられもない姿を不特定多数に見られるだけでなく、クズ男にヤリ捨てされたバカな女という不名誉な評価を受ける事になる。女性を自分の顕示欲を満たす為の道具としか考えていない最低な人種だ。
その大学生が数週間前に投稿したのは1人の女子の裸の写真だった。コメントには「例のランキングで10位の女子高生を食いましたww」と書かれており、そんな彼女を如何に口説き落とし、どんなプレイをさせたかなど、誇らしげに語っていた。
いくら容姿が良くても無名の女子高生であれば大して注目されなかっただろう。しかし、その少女はSNS上で東京で十指に入る美少女という評価と共に顔写真が広まっていた。その為、この大学生のした最低の行為はまるで偉業のように見られ、尊敬を集めてしまった。
──これで世間のクズ男達は例のランキングの上位者を獲物だと認識してしまったのだった。
数日後にはランキング8位の子のハメ撮り動画が流出し、その翌日には6位の子が数人に無理やり犯されている動画が投稿された。男達の行為は段々とエスカレートしていき、注目度の高い少女達にどんな卑猥な事をさせるか競い始めるようになった。
9位の子は屋外で全裸になって自慰をし、7位の子は友人と秘所を弄り合う様子を撮影されていた。どの子も共通して目に涙を浮かべており、望まぬ行為を強要されている事が見て取れた。
サークルのトップである薫はメンバーに注意を呼びかけ、なるべく1人にならないよう指示を出したが、どこに悪意が潜んでいるかも分からない状況ではどうしようもなかった。
クズ男達がランキング上位者全員を狙っているのは分かりきっており、SNS上でも少なくない人達が娯楽としてそれを求めていた。逮捕者も出ていたが、同じくらい模倣犯も出てきて最早この流れは最期まで行き着かなければ終わらないように見えた。
そして──
★
七香はスマホでSNSを開き、話題となっている投稿を観覧していた。
画面をスクロールさせていけば数日前に投稿されたある動画が目に入る。コメントに「2位と5位GET」と書かれたそれを七香はタップし、動画を再生させる。すると画面には2人の少女の剥き出しのお尻が映し出された。
場所はどこかの男子トイレだ。微かに音楽が聴こえてくるので、ショッピングモールの中なのだろう。そこで壁に手を付いて臀部を突き出したポーズを取らされる少女達と、その身体を押さえて屈服的な格好を強制する数人の男達の姿があった。
少女達は制服姿だが、スカートを脱がされており、下着も下げられている。そして露わになったお尻を男の手で割り開かれ、肛門の穴を見られていた。
左側にいるのは肉付きの良い少女だった。背はそれほど高くないようだが、太ももはムチッとしており、ニーソックスの上にも肉が乗っている。オレンジ色の下着は少し幼いデザインの為、少女がまだ子供だと分かった。彼女はその状況に恐怖を覚えているらしく、男達に抵抗せずただ体を震えさせていた。
右側にいる少女は逆にすらっとした体型をしている。少し内股気味の太ももの間には隙間が出来ており、引っかかる所のなかった白い下着は足首まで落ちている。お尻も隣の少女と比べると小ぶりで、中学生相応の形をしていた。割り開かれたその薄いお尻の真ん中には開閉する肛門の穴があり、その下にはピタリと閉じられた割れ目まで目にする事が出来る。
──七香は少女達の着ている制服とその体型から、彼女達が由花と薫だと確信した。
あのカリスマjcの薫ですら、これだけの男達に狙われてはなす術もなかったのだろう。画面の中で何度もお尻を叩かれた薫達は、その後肛門に指を挿入されるという屈辱を受けていた。
動画の最後に映された2人の顔。
由花はいつもの明るい表情はどこにもなく、「や、やめて下さい…」と涙を流し、薫はゾッとするほどの無表情で「…絶対に許しません」と口にした。
そんな彼女達の顛末は別の動画で確認出来る。
そこには全裸でガニ股にさせられた由花と薫の姿があった。2人は自らの女性器に手を添え、左右に広げるポーズをしている。由花の秘所には上部に陰毛の茂みがあり、一方の薫の方は陰唇の周りにまばらに毛が生えていた。2人の女性器は淫らな液体で濡れており、剥き出しの穴からは白濁液が流れ出ている。驚くべきは彼女達の顔で、前の動画で泣いていた由花も、無表情だった薫も揃って恍惚とした表情を浮かべていた。
彼女達が何をされたのかは分かる。だが、どうすればあの薫にこんな顔をさせられるのか理解不能だった。この動画を見て世の男性達は興奮し、股間を膨らませるのだろう。だが、薫の事をよく知る七香には恐怖を感じざるを得ない内容だった。
──ピロン♪とスマホがメッセージを受信する。
恐る恐るそれを確認した七香は近くのホテルに今すぐ来るように書かれたメッセージと、添付されていた裸の夏絵菜の写真を見て、遂に自分の番が来た事を理解した。
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翌日SNSを賑わせたのは七香と夏絵菜の淫らな動画だった。
「1位と3位の潮吹き」とコメントされたそれには脚を大きく開いてベッドに倒れる2人の姿が映っていた。当然服は一切身につけておらず、彼女達の秘すべき大切な部分が露わになっている。
呼吸に合わせて陰唇はヒクヒクと開閉し、包皮から剥き出しにされたクリトリスは固く上を向いて勃っている。愛撫を受けた割れ目からは止まる事なく透明の液体が流れ出ておりシーツに大きなシミを作っていた。
七香も夏絵菜ももはや抵抗する気力はないようでぼうっとした表情で上を向いている。そこに、顔を隠した男が左右から現れる。彼等は少女達の秘所に手を伸ばすと「今から2人に潮を吹かせまーす」と軽い口調で言った。
勃起したクリトリスを指の腹で転がしながら膣口の周りを何度も叩く男達。すると間もなく七香達の秘所が小刻みに震え始め、「あっ、あっ」という可愛らしい嬌声が聞こえてきた。そして更に数秒後。2人は大きく下半身を跳ねさせると仲良く達し、1メートル近い潮を吹いたのだった。
動画はそこで終わっていたが、そのアカウントは他に何枚もの画像を投稿していた。
学生証と共に撮られた七香の女性器の写真や、目に見えて大きくなった夏絵菜の陰核の接写、こちらに臀部を向けて土下座する2人の姿など、彼女達にとって屈服的な画像がネットに公開されている。
そしてその中でも1番注目されているのが、2人が潮を吹いた瞬間の写真だった。クールな美貌の七香が口を大きく開けて目を半開きにし、愛らしい夏絵菜が白目を剥いて顔を歪ませている。そして、そんな情けない顔の2人が汁を吹き出す様子がしっかりと写っていた。
コメントには「このブサイク顔の子達が1位と3位ww」と書かれており、彼女達を馬鹿にするようなコメントが何百も集まっていた。
この投稿によって一連の騒ぎは終わったが、当然、被害に遭った子達が元の地位に戻れる筈がなく、薫が運営していたコミュニティはまもなく消滅したのだった。