「これ……!勃ッキノコとブッ濃イモじゃないスか……!?」 作:負けた社畜
原作:モンスターハンター
タグ:R-18 残酷な描写 モンスターハンター モンスターハンターワイルズ ファンタジー
これが最後の抵抗とばかりに、四方八方へブレスを撒き散らしたモンスターは力無く天を仰ぎ倒れ伏す。無慈悲な金属が擦れる音はいやに響き、とどめを刺した刃が静かに鞘へと納められると音のない刻が数瞬過ぎた。
残火の中いつでも刀を抜ける姿勢を保ちつつ、モンスターの周囲をぐるりと歩く。試しにナイフを突き立て甲殻の間隙を抉ってみるが、反応は無い。
モンスターの絶命を確認した男が短く息をつき、臨戦態勢を解く。モンスターの体表に刻まれたいくつもの刀傷が戦闘の激しさを物語っていた。
「……もう大丈夫だ」
「お疲れ様ッス!ハンターさん!」
「イトナ、怪我はないか?」
「えぇ、私は物陰に隠れてただけッスから」
『イトナ』と呼ばれた女は、今し方倒されたばかりのモンスターをつぶさに観察していく。男はそれが済むまで辺りを警戒する。この二人の、もう何度目か分からないルーティーン。
人間の一生の営みなどくだらない永久の年月、まるで意に返さず広がる古代森林。ここは樹齢数えて幾千かも分からない大木が折り重なり、数多の生物が棲み、育っては朽ちていく自然の循環に満ち溢れた弱肉強食の世界。その中を行く鎧を纏った男と、肌を隠しながらも動きやすい服装を着た女。
彼らの持ち物の、所々に刻印された紋様が
「モンスター同士で争った傷痕……。やっぱ、この個体が原因で環境が荒れていたと見て間違いないッスね」
「これで静かになればいいんだがな。しばらく小競り合いは続く、か」
刃を納めつつも男は周囲への警戒を怠らない。鬱蒼とした森の奥深く、更には太陽も沈み、間もなく辺りは闇に包まれるだろう。この森は人間も身を隠す事など容易く、モンスターもまた然り。突如襲われる可能性だって無いとは言いきれない。
……暗さはイトナの調査にも影響し、痕跡を集めることはずいぶん難航した。男もできる限り協力したが、人間の何倍も体重のあるモンスターをひっくり返す事などできるはずもなく。翼をようやく持ち上げるなどがせいぜいで、納得いくレベルの調査が終わった頃には、周囲はもはや闇といえる暗さにまでなっていた。
「すみません……手間取ったッス」
「いいさ。それよりも、この暗さじゃベースキャンプへ戻るのは難しいぞ」
「そう思ってサブキャンプに使えそうな場所を探してありますッスよ!」
かなり奥地まで来てしまったことから、今から回収班を呼んだとて到着は早くとも明日昼になるだろう。夜行性のモンスターが跳梁跋扈する上に、こちらの視界が利かない夜半に行軍するのはあまりに危険過ぎる。
「よし、案内を頼めるか?今日はそこを使おう」
「もちろん!そうするッス!」
瞬く間に深い夜へと変貌した森を二人して歩く。虫の声、木々の声、時たま聞こえるモンスターの声。昼間とはまた違った顔の太古森林は思ったよりも騒々しい。
二人ともそんな森に足音を立て、木漏れる月光に照らされた。それから少し行った所に岩に囲まれた横穴が目に入る。人間は通れるが、大型モンスターはとても入れないサイズだろう。
「ここッス!」
横穴は奥に進むにつれ広がり、簡易テントを建てるには充分な空間となった。地底川もあり水源の確保もクリア。天戸から射し込む月の光とヒカリゴケの群生で光源もあり、食べられそうな植物も生えていると欲しい設備が至れり尽くせり。
モンスターが出入りしている痕跡も無く、安全性も確保出来そうだ。古代森林の奥地に探索へ赴くなら、ここを拠点にしてもいいかもしれない。
「これは驚いたな…………」
「へへん!あのモンスターを追っている間にマッピングしておいたッス!」
得意気に胸を張るイトナに男は思わず舌を巻いた。モンスターを相手取るのは確かにハンターたる男の領分だが、編纂者だってモンスターの生態記録や戦闘記録およびギルド権限を行使した狩猟可否測定など仕事は多岐に渡る。
その仕事をこなしながらもマッピングまでしてくれているのだから頭が上がらない。これは彼女の慧眼がよく働いた。
「さすがギルドの敏腕編纂者」
「あー!そういうのもっとちょうだいッス……!けどここまでとは私も予想してなかったからまぐれッスね!」
ぺろりと舌を出し、こちらにウインクするイトナ。そんな彼女に適当に返事をして済ます。
さて、ここが一夜の宿となりそうだ。イトナが背負っていた荷物を下ろし簡易キャンプキットを取り出した。男はそれを受け取って設営し、イトナは自然物を使って簡易コンロに火を起こす。
骨組みを作ってたるみの無いよう屋根布をパンと張り、大きめの石や枝を使って隅を固定。持ち運びのしやすさを極限まで詰めたギルド特製の一品である。
「……設営係が居てくれればラクできるんスけどね」
「ギルドの許可がなければ入れない森だからしょうがないさ。調査班は頭数も多いわけじゃない」
二人とも慣れたもので、愚痴を零しながらも半刻ほど経てば設営は完了した。簡易テントは成人二人が雨風を凌げる程度の大きさだが、外と隔たりがあるというのは精神的にもだいぶ楽だ。
……モンスターの襲撃さえなければ、だが。その点が心配いらないだけでも天国のような場所と言えようか。
休む場所ができてしまえば、あとは食探しが必要だ。幸いにも太古森林には可食できるものも多いし、すぐそこの地底川には魚の姿もあった。
「おぉ~!ここ魚おおいッスね!」
「うん、俺は外に出て香味や肉類の調達をするとしよう。イトナ、釣れるか?」
「もちろんッスよ!我が竿のキラめきとくと御覧じろッス!」
探求精神知識欲旺盛が高じて編纂者になったイトナは、あらかたこなせる器用さを持ち合わせており、同時にその知識にも大いに助けられていた。それは狩猟でも然り、釣りや採集でも然りだ。天才肌と言えばいいか。
ハンターの狩猟にもついてくる健脚を持ち、こうして未踏地まで随伴するのだから大したフットワークだと感嘆するばかりだ。
「じゃあ、危なかったら信号弾を撃てよ」
「そっちこそ、こんな誰もいない所で乙ったら助からないッスからね?」
「何があってもお前を守るさ」
「…………はやく行けッス」
艶やかなショートカットに隠れて彼女の表情を窺う事は出来なかったが、背中からぐいぐいと押され半ば強引に食材探しへ行けと放り出された。なんだってんだ。
───別行動をとることしばし、二人で食べるには十分な量の食材を確保した。キノコ類、イモ類、果実に獣肉とこれだけあれば満足な料理ができるだろう。もし、彼女の釣果が無かったとしても無問題だ。しかしキャンプまで戻ってきてみると、イトナの姿がない。
「イトナ?」
呼び掛けてみても返事は無い。ひょっとしてまだ釣りを続けているのだろうか。いい加減空腹を感じているし、食事をとって早いこと休むに越したことはない。仕方ない、呼び戻そうか。
地底川へ行くと、石で作られた簡易的な
川に落ちて溺れた……!?マズい───!
「……イトナ!!」
「うぇ!?ハンターさん!!?」
駆け寄ってみれば、そこには一糸纏わぬイトナの姿。天戸より射し込む青い月の光が瑞々しい素肌を滑り落ちた。
日に焼けた健康的な肌とそばかすの浮いた童顔が愛らしく、ころころと笑う明るさにやられた非公式ファンクラブがあるなどと噂される彼女は、まだまだうら若き乙女の年頃。
普段の服装と小柄な背丈のために
「……………その……すまない」
よもや水浴びの最中だったとは。探索にもっと時間がかかると予想したイトナは、この隙に身を清めようと考えたらしい。
少しの
「……見たッスか?」
『じっとり』と、そんな擬音を体現した視線。目は口ほどに物を言う。
「安心しろ。決定的な所は見ていない」
「ほとんど見たってことじゃないッスか!!!!」
この太古森林は熱帯的な環境にあり、高温多湿。狩猟で走り回り、土に汚れ、葉が擦れ、汗をかいて不快なほどドロドロとそんな状態になる。
だから水を浴びたい気持ちも大いに分かるが、姿が見えないうえ水中でもがくような音がしたなら誰でも悪い想像をしてしまうに決まっているだろう。それを噛み砕いて伝えた、が。
水吸い布を掻き抱いて体を隠しながらも、プンスコと憤るイトナ。仕方ないことを理解してくれても感情の整理はすぐにつかないらしい。
「とにかく着替えてくれ」
「リアクション薄過ぎないっスか……?ほとんど歳離れてないはずなのに…………」
「いい尻だ」
「あのっ!あっち向いててくれないッスか!!!グーいくッスよ!!?!?」
ぶつぶつと文句を言いながら着替える彼女の服装は、いつもの物よりだいぶラフだ。大きめのインナーシャツがショートパンツを覆って、履いてないようにも見える。裾から伸びる太ももは健康的なハリを携えていて、水に濡れしっとりと───。
ゴインッ!
───時たま爆ぜる火が揺れる。ゆらゆらと揺蕩った先のスキレットを撫でては中空に解けていく赤い幻。
ベースキャンプを発ってから味気のない携行食糧ばかりを齧った二人には、多少の大味でもご馳走に思えた。そもそもこんな森の中で調味料を確保することは時間も手間も割に合わない。
入手できないとは言わないが、それが食せるかどうかは知識と経験に基づく。男も様々試して
まあ、できる事と言えば『焼く』か『煮る』ぐらいなので火を通せば大丈夫だろう。
「もうちょっとッスね」
「……ああ」
食事が楽しみなのか、適当に持ってきた丸太に腰掛けたイトナはぱたぱたと足を遊ばせる。
水浴びの際に服も洗ってしまったと言うので、彼女の格好はラフなものから変わってない。その格好で足を動かすと艶めかしく太ももが擦り合わされ、柔らかそうにラインが擦れた。
「もうそろそろ、いいんじゃないッスか?」
「そうだな」
イトナが料理を覗き込むと重力に従い、緩い服の
なんの権力が働いたか分からないが、踏破隊なるものに強引に抜擢され『記録が必要だから』とくっつけられた編纂者がイトナなのだが、組む事が決まった際には周りのハンターや職員問わず男どもよりずいぶんやっかみや恨み言をもらったものである。
そんな男とイトナが、ハンターと編纂者としてバディを組みはや数年。幾多の死地を共にくぐり抜けてきたから、
「それにしても、これだけの食材よく見つかったッスね」
「鼻のよくきく奴らのおかげさ」
……そこで肉になってるが。血抜きも済ませた獣肉は干して明日の飯にする。
「ハンターさんも水浴びしてきたらどうッスか?返り血とかで結構ヤバい臭いしてるッス」
それはマズいな。血の臭いがすると鼻のいい奴に勘づかれるし、好戦的な奴が寄ってきやすい。刀も錆びるし手入れの必要がありそうだ。どうも、身に着けている本人は鼻が麻痺して気付き辛いもので、こうして促されることもしばしばある。
「そんな臭いか……」
「クサいッス!まあ仕方ないもんッスけどね。あと、食べましょうよ!」
スキレットを開く。イトナの釣った魚に男の採取したキノコとイモを和え、バターで炒めた香ばしい匂いと音。空きっ腹へダイレクトに訴えかけてくる怒涛の待ち時間は、腹の虫を鳴かせるには充分すぎた。
「お腹空きすぎちゃいましたっ!」
それは彼女も同様で、焼き魚をぽんぽん口に放り込んでは幸せ顔で頬を膨らます。そこまでの食いっぷりを見せられると採ってきた方も気持ちが良い。狩猟後の疲労も報われるというものだ。
───料理もあらかた胃袋へ納まり、二人して満腹感を感じた頃、明日分の食材を整理しようと腰を上げたところでイトナが素っ頓狂な声をあげた。
「ところで食材って余ってるんスか?」
「ああ、そこにあるイイカオリダケとメッチャウマイモはたくさんあったから採ってきたぞ」
「これだけあれば明日の朝も……ん?」
食材を手に取ったイトナの顔が固まったかと思うと、みるみるうちに青ざめてきた。「あわわわ」なんて本当に口にする奴がいるんだなと、とりとめのない感想を抱いたが、イトナがひったくるように余りのキノコとイモを取り上げるとマジマジと観察しだす。一体何に気づいたのだろうか。
「これ……!
「……なんだそれ?」
男はてっきりイイカオリダケとメッチャウマイモだと思ってたが、どうやら持ってきた物は色や特徴こそ非常に似るけども中身は非なるものらしい。もしやまずい物だったのだろうか?一抹の不安を感じ続きを促した。
「これ……えと…あの……!」
「毒があるのか?」
「い、いや……どく、毒?……じゃないんスけど……」
イトナの歯切れが悪い。しどろもどろに口を開いては言うを躊躇い、視線の合わさること数度。意を決した表情で彼女は告げた。
「────どっちも男性機能を超活性させるッス」
?
「だ、だからその……あーもう!
男性、機能……?
まさか獣共がこれを掘り返してたのは、繁殖の為に自身のオスとしての機能を強くしようとしていたのだろうか。
実際この4本足どもは繁殖力が非常に強い。屈強なシモ事情で知られ、一発でとんでもない量を出す上に回数もエゲつないそうだ。が、まさか食ってるものにその絶倫さの秘訣があったとは。いままで気にした事もなかった。
「……放っとけ」
「そういう訳にもいかないんスよ!!どっちも
「前例があるのか?」
「たしか誤食した男性の睾丸が精子を作りすぎて破裂した症例があるッス……」
怖すぎる。男からしたら恐怖でしかない。スキレットで作ったのは結構な量だったし、もう食してから時間も経っていて消化も始まっているだろう。吐いても意味がなさそうだ。
しかし、体には何も変化がない。即効性との事だが、もしかすればイトナの勘違いの可能性もある。加熱もしてるのだから成分が溶けてるかもしれな……ダメらしい。こいつらの成分がガッチガチ過ぎてアツアツになるだけのようで。
「……治療法は?」
「………対症療法しか、ないッス……。その、溜まったぶんいっぱい
───水浴びを済ませ防具の返り血を洗い流したあと、刀を研ぐ作業に移った。どんな名刀であれ錆びてしまったら元も子もなく
心を無にしてひたすらに砥石と刃を滑らせる。そう、ここには二人しか居ない。太古森林に隠されたここは何をしたってバレやしないだろう。
「……」
「……」
聞こえるのは互いの息遣い、衣擦れ。普段よりも近くに感じられる肌。油断すると視線が
しかし体が覚えるだけ幾度も繰り返した作業は何事もなく終わり、納得いく出来になったところで鞘へと納める。
「いつもより、時間かかったッスね」
「……念入りにやっておきたかったんだ」
相変わらずイトナはラフな格好でいる。オーバーサイズ気味のシャツ。ゆるい胸元に、ショートパンツ。揺れるサラサラとした髪。プロポーションだって、小柄だがしっかりと足が長い。焚き火に照らされて、普段よく笑う元気印なやつが浮かべる心配そうな表情もまた、魅力的に写った。
御伽噺だと思っていた。よくよく見知っているはずの女に「あれ?コイツこんなに可愛かったのか?」と抱く感情なんて。
「防具は干しといたッスよ。明日になれば中も乾いてるはずッス」
「…………ありがとう」
無防備なのは、男を信頼している証。なのに先程目撃してしまったイトナの肌が男の脳裏に浮かぶ。良くない。非常に良くない。彼女はただの仕事仲間なのだから、そんな邪な視線を向けるだなんて。だんだんと、理性が獣欲に呑まれている。衝動が、こみ上げてくる。
勘違いであって欲しかった。しかしイトナが指摘した『食物の誤り』こそ真だったようで、少し前から男は自身の脈動が動悸にも感じられるほど強くなっていることを自覚した。
久々のしくじりに自嘲を向けつつ、それだけ彼女を頼りにしていた自分にも気づく。
「……もっと、頼ってもいいんですよ?」
ふと、耳元に降ってきた言葉。微かに鼻腔を擽った
「あなたを踏破隊に選んだの、私なんです」
つらつらと口から流れていく言葉。傷だらけだとイトナは思う。大きな火傷の痕が残る男の顔。大小様々な切創や打撲痕の残る手足。きっとインナーの下の体も同じような状態だろう。彼が人前で肌を見せないのはその傷のためと聞いたことがある。
「初めはギルドに言われて……ただ、家族の居ない強そうな人を選んだんッスよ。守ってもらえるかな~って」
少し、息が荒くなっているかもしれない。体温も上がっているかもしれない。だが、まるで気にしないように彼女は続ける。
「もしかしたら帰ってこられないかもしれないし……基本ペアになるから後腐れなくて、馴れ合いにも女の人にも全然興味無さそうな人って決めて」
何も無い、俺みたいな人間か。
「そう、あなたみたいな人ッス。例のモンスター襲撃事件の唯一の生き残り。家族も
でも、話してみたらちゃんと人で。感情の起伏は薄いけど、話は聞いてくれるところとか、危ないところを何度も助けてくれたりとか……己が傷ついても人を救うために戦うところとか。
「……なんていうか、
だから───。
「苦しいなら、もっと頼って欲しいんです」
耳の中へ直接流し込まれるような声。
脳の中へ直接囁かれているような声。
心の中へ直接とろけていくような声。
「そこまで……調べがついてるのか……」
「そうでもしないと甘えてくれないじゃないスか」
熱を持って火照る太ももにイトナの手が置かれる。体温の違いか、少し冷やりとした感触が際立った。赤子でもあやすような緩やかな撫で方で、手はだんだんと遡っていく。払い除けるには、あまりに甘美な体温差で。
登りきった手は核心めいたところへ触れる。アンダーウェアを強かに持ち上げる欲望渦巻く媚熱の収束点。
布越しの感触なのに際立つ硬さ。びっくりするほどの熱さ。女には無い力強さ。指先はそっと留め具を外し、苦しみから肉槍を解放してみせた。
「……硬いッスね」
「う、ぁ……」
抑えていたものが取り払われ、いきり立つ肉の槍に絡みつく彼女の指先。形を確かめる僅かな動きですら、甘い痺れとなって腰奥に響く。
勝手に浮きそうになる下半身を押さえつけるように努力した。振り払おうと体を動かせば、そのまま衝動に呑まれて彼女を力の限り貪ろうとしてしまうから。
「えと……シゴくといいんスよね?」
血管の形を確かめるように柔らかく這う手のひら。脈動を測るように添えられる指が亀頭の段差を超えるたび、鋭い電流が男の身を跳ねさせた。しかし摩擦が強過ぎて、皮膚の突っ張る痛みが快感を上回る。
「……っ!」
「あ、ごめんなさい……」
その表情を見て、イトナはトロトロアロエを取り出した。
この植物は葉に粘液を豊富に蓄えており、折ることで液を抽出できる。こういった
パキリとアロエの葉を折り、彼女はその小さな手に粘液を垂らしていく。かなりの粘度をもって滴る、手に溜まっていく天然のローションは指を艶やかに見せていく。
呼吸は浅く、乱れ、男は膝に手を当てたまま動かない。動けない。頭の整理もついていない。つけられない。衝動、欲求、本能でぐちゃぐちゃになる目の前。
準備はできた、とばかりにイトナは男の足の間へしゃがみこんだ。1度止まった手がおそるおそる肉槍へと絡みつく。ひんやりとした感触と、さっきよりもずっと滑らかになった肌の摩擦。腫れぼったい表面に粘液を塗り込むようなゆったりとした指の動き。
「その、初めてなんで上手くできるか分からないッスけど……」
「こういうのは、ちゃんと好きな人とだな……」
「割と、ちゃんと好きッス、よ?」
上目遣いで目を合わせる女。一言一句を強調して、焦点の定まらない目をした男にも伝わるよう口にした。よもやさっきの言葉で伝わってなかったとは、とんだニブチン野郎だとも思ったが……。
たがらと言って、彼を責めることはできない。この人はそういうのに全く触れてこない環境にいたのだ。そうなるのも当然。だから
鉱石の如き硬さにまで膨らんだそれを、丁寧に慰めていく。『猛る』だとか『怒張』と表現される事もあるように、みきりみきりと青筋を浮かべる様は見ていていっそ可哀想にも思う。
そのうちついにイトナの指環すら回らなくなり、限界を迎えてなお膨らもうと脈動する肉槍は太さも長さもいっそう獣じみてきた。
勝手が分かってきたのもあるし、苦悶の表情を浮かべる男をすぐにでも楽にしてあげたい焦燥も手伝って、剛直を慰めるイトナの手淫はだんだん速くなっていく。空いていた方の手も、棒の下で行き場をなくしていた袋を撫でてみる。
ぐちぐちと鳴る粘ついた水音。びくびくと内腿に筋が浮き上がり、先端と幹の境界を逆手でこねる様にしてやれば、男はカチカチと歯を鳴らした。
「重たッ……」
持ち上げようとすれば手のひらにのしかかるずっしりと詰まった重み。大きさだって、食物の効能が含まれているから分からないが、記憶している平均値よりだいぶ大きく感じる。性的な知識だけはあるイトナだが、彼のモノはその知識と比べて棒も玉も段違いだと感じていた。
そもそもイトナは人間の比較対象を直接見た事は無いのだが。モンスターのそういうのはたくさんあるけども。
「ッハァ……! ハァ……!」
しばらく慰め続けていると、イトナにも分かるほど男の呼吸が乱れ始めた。トロトロアロエとは別の粘液が鈴口から溢れ、時には僅かな雫を飛ばす。陰嚢がその重たい身をしゃくり上げ、細かな痙攣が断続的に続くようになっていた。
「
「……くっ!」
念入りに、慰める手に握力を込める。先端から、段差から、幹から、根元まで。余すことなく絞り上げて。イトナは懸命に促した。縋るように促した。懇願するように促した。
その甲斐あって、肉槍が爆発的に脈打ち蠕動する。何度も何度も今に破裂してしまいそうなほど血管が浮く。
「我慢しなくて、いいんスよ?」
顔を上げて、じっと瞳を合わせて。
たぶん、快感に歪む表情。額に髪が貼りつくほどの発汗。何度も何度も腰がびくりと動き、腹筋も内転筋も皮膚の下で緊張を繰り返す。そして、ひときわ大きく肉槍が跳ねた。
裏筋がぶくりと膨らみ、鈴口が開く。脈動が弾け飛ぶ。全身に籠った力の行き場が無いのか、男が前傾姿勢になった。その間にもイトナは肉槍を慰め続ける。
びゅぶりと乳白の塊が飛び出し、ぼたりとイトナの首筋にかかった。肌にかかった塊は酷く粘性を含んで液と呼んでもいいものか、人の身から放出されたとは思えないほどに熱く重たい。
それを皮切りに裏筋が強烈に波打つ。先端からは断続的に乳白の塊が噴き出て、やがて少し柔らかくなった液が脈動と共に激しく撃ち出された。
堰き止められていた濁流が解放されたように、肉槍が狂おしく身を捩り、精液をばらまいてイトナの肌と服を汚していく。
「ぅっ!ぐッ!……ぁっ……!!」
「熱ッ……」
声にならない声。緊縮する筋肉が肺を掴むせいで、男は浅い呼吸を繰り返す。その間にも慰める手は動き続け、刺激を与えた。そのまま身を震わせること数十秒か、それとも数分か。二人とも不覚になった頃、ようやく男の射精は終わりを迎える。
男の足の間でしゃがんでいたイトナの鎖骨から胸元は精に
しかし、精液がいっとう濃いのか重力にも逆らい垂れていかない。イトナが指で摘んで、ようやくでろりと伸びるぐらいに。これだけ
「げっ……苦……ッス……」
何を思ったか、イトナは自らにぶちまけられた精液を掬い口へと運ぶ。鎖骨に溜まったものや、首筋を伝うもの、胸にかかったものを次から次へと拾い、顔を歪めながらも口にしていく。
「何、してんだよ……」
「あなたが出したものッスから……なんか、もったいないと言いますか」
少し冷却された頭で、それはちょっとどうなんだと男は思った。しかし、自らの放出した精を
イトナは、再び肉槍の根元へ手を添えたかと思えば、張り詰めた先端へ口付けを落とす。柔らかく艶やかな唇がむにゅりと歪み、じっとりとした吐息が絡みつく。いやに甘い刺激が走り、ひとりでに腰が浮いてしまった。
「別に、こうしてあげると喜ぶって聞いただけッスから!」
聞いてもいないことに言い訳じみた反論。男へと言うよりも自らに言い聞かせるそれ。頬を朱に染めるさまは可愛らしくいじらしい。そのことで男の中のイトナに対する意識が変化しつつあった。証拠に、肉槍へと血流がなだれ込み上反る角度が数段増す。
そんな事は露知らず互いは初心な反応をするばかりで、こればっかりはどちらも異性経験がないのだから仕方ないことだろう。
だが、意を決してイトナは踏み出した。もう一度口付けを落としたあと、大きく口を開き肉槍へとかぶりつく。いささか彼女の口には大きかったようで、覆われたのは先端が隠れるぐらいだがそれでも苦しげな吐息が漏れた。
肉槍から伝わってくるむわりとした熱と温もり。ちょっとでも強ばりを解そうと懸命に働く舌。たっぷりの唾液をもって迎えられ、ぬるぬると磨かれていくカリ首。勉強熱心な彼女のことだから、やり方の知識だけは蓄えているらしかった。
いくら水浴びで清めたといえど、気分のいいものではないだろう。なにせ普段の使い道は排泄なのだから、口に含むのは気分的にも忌避感がある。なのに、彼女はそれを厭わず、より深く肉槍を咥えていく。
「ん、ぐぅ……!ッ……!」
彼女は明らかに、自らの口腔内より長いであろう肉槍を飲み込んでいった。その過程で舌根に肉槍が押し付けられたことで苦しげにえづくも、懸命に押さえつけて、遂に肉槍の根元までを収めてしまった。八の字に寄せられた眉、精一杯開いた口。歪む彼女の顔は正しく苦悶の表情。その可憐な顔が男の
止められなかった。男は止められなかった。熱く腫れぼったい唇と頬の肉が幹を擽ることが、ザラついた喉奥で亀頭を揉み込まれる事が、粘ついた欲望を溶かそうと必死に裏筋を転がす舌が、どれもとても気持ちがいいから。心地がいいから。
とんでもないぐらいの征服感が腰から這い上がって脳内を占拠する。本能が呼び覚まされて、猛烈な衝動となって、強烈な支配欲となって、全てを彼女にぶつけたくなる。
「ん゛……!ん゛むっ……!ん゛ぅ……!」
大きすぎる質量に気道を塞がれくぐもった呼吸。肉槍に溶け落ちた自身を塗りつけて、雄に奉仕する理由は何だ?苦しさ故に目尻に溜まる涙。そこまで必死になる理由は何だ?
ぬろろろろ、と喉奥まで飲み込まれた肉槍がゆっくりと引き出されていく。根元と唇と、浮き上がった血管の溝と、先端と幹に粘っこい唾液が絡んで何本もの糸が引いた。亀頭にまた口付けをして、飲み込んでいく。
彼女は口を大きく開き努めて歯が当たらないようにしてくれていた。手淫よりも、快感の度合いとしては緩いのだろう。だが、
少しするとイトナはやり慣れてきたのか、こちらの反応を見ながら飲み込む時は舌のざらつきで亀頭を磨き、吐き出す時は唇をすぼめて吸い上げるようにするなど、どんどん自らを使う術を身につけていく。
──唐突に、唐突に。昂りは決壊の気配を見せた。もっと遠くにあると思っていた絶頂はずっと近くにあって、とっくに上り詰めていたのだと知る。きっとあと数度の往復で男は果ててしまうだろう。腰が浮く。鼻筋をつたった汗がパタパタと地に落ちた。
「……口を外、せ……イトナッ……!」
切羽詰まった声をなんとか絞り出す。もっとやりようもあったろうに、それしかできなかった。ぐんぐん込み上げてくる雄の奔流。己が限界を超えて腫れる肉槍。灼熱すら感じるような陶酔感と焦燥感。膝の上で握り込まれていた指先は広げられ、自らの肌に爪を立てる。
その指に絡められる想い。もう一刻の猶予もないこの状況で、重なった指は綺麗なものではなかった。互い合わせにならず、外面も取り繕わない、けれども解ける隙もないほどしかと絡まった指。
「っもう────」
体を支配していた力が抜けて。今にもその頭を掴みそうな獣欲も、僅かばかり残っていた理性も。何もかもが抜けて。
奥底から猛烈に脈動が迸り、自らが押し広げられるような錯覚を感じた。それを舌で感じたのだろうイトナは、再び、喉奥まで肉槍を収め促す。手も使わず、甘く押さえ付けられて解けていく緊張。
───程なくして男の肉槍は激烈に脈打った。ともすれば膨張が過ぎて破裂したのかと思うほどに裏筋を膨らませ、激しく濁液を噴いた。
受け止める方のイトナは目を白黒させて懸命に嚥下する。嚥下というよりも、喉奥から直接腹へと撃ち込まれると言った方が良いかもしれない。一射ごとに、脈動ごとにズンと胃が重たくなるような、そんな濃度の精液をごくごくと飲み下す。
乱雑に絡んだ指は情け遠慮なく力が込められ、男は行き場のない快楽を懸命に逃そうとする。痛いだろう。苦しいだろう。けれども、思いやれるほどの余裕があるはずも無い。
「うっ……ぅ゛く……えほっ!!」
とっくのとうに飲みきれなくなっていたイトナは、やっとの思いで肉槍から口を外せた。胃も食道も喉も口内も舌も精液に溺れ、泡立ち、穢され、呑まされた。愛らしい顔にも盛大に白濁のコントラストが掛かる。
まるで杯をひっくり返したような夥しい量。人間の男が一度に射精する平均量を大きく超え、食べ物の薬効が強く作用している事を証明していた。
「……
抗議するような彼女の視線をもらってもゾクゾクとしたモノが背筋を撫で回続け、肉槍の猛りは治まらず。果たしてこれがいつまで続くのか男にもイトナにも分からない。
仕方ない。仕方ないと思いつつ、興奮は伝播する。
射精の
これ、
とろとろと、小火で煮詰められたような熱さ。いつの間にか、けれども確実に、下腹部に溜まった熱。汗ばんだ肌が内包し、理性が覆い隠していたはずの
イトナの履いていたインナーの前部は、結ばれた紐を解けば女性用らしくはだける作りになっていた。それは排泄という行為の利便を考えてそうなっているはず。今まで結ばれた紐はその目的以外で解かれた事は無かった。これからもそうなのか、と。
解けかかった結び目の奥に覗くささやかな
遂には貼りつく衣服を鬱陶しく感じ、イトナは腰元からショートパンツを脱ぎ去る。花弁とクロッチ部との間に垂れた銀糸は、ずいぶん伸びてからようやくぷつりと切れた。シャツはイトナの汗とぶっかけられた精液を吸い、放した途端べちゃりと地面に落ちた。面倒だけど後で洗濯しなきゃ着れたものじゃないだろう。
一糸纏わぬ肌を晒し、どんどん身体の奥から突いて出てくる媚熱が空気に溶けだしていく。無意識にぶるりと震えてしまうほど心地がいい。
興奮で勝手にツンと威張る胸の尖端も、臍から続くなだらかな曲線の奥に咲く花弁もぷっくりと赤く充血して、昂奮のほどを如実に表す。自らの意思と何ら関係なく口を開いて涎を垂らすのだから、ほとほと困り果てしまった。
それを見てはあはあと荒い呼吸をしているくせに。目線は女を女たらしめる園へと縫い付けられているくせに。
変なところで思い切り良いわりに、妙なところは理知的で。そのくせ強情で、こちらが弱った時は染み込む優しさで包み込む。今だって自分は苦しいはずなのに、
だけど、心の奥は違っていて……。
そんなに我慢するほど
……そっちが来ないなら、こっちから行くぞ。
嫉妬とも思える感情を上乗せて繋いでいた手を押し出してみれば、男は大した抵抗もせず、されるばかりであっさりと転がった。
すぐそこがテントだというのに、二人してどさりと倒れ込み馬乗りになった状況。いつもならびくともしない体幹も、体格差も、拍子抜けに思うぐらいに倒れた。天窓から射し込む月の光がいつもと違う表情を浮かび上がらせる。それはどちらも、発情に侵された
赤黒く血管を湛えた醜い男のものと、白くキメ細やかでつるりとした女の下腹部の対比は著しく、それが太ももの間からにょっきりと生える滑稽な光景。肌越しに下腹部に移ってくる熱く火傷しそうなほどの体温。
「…………ここまで、入るんスね」
「やめ、てくれ……。今なら、まだ引き返せる」
「嫌ッスよ」
ちょっと、想定よりも、自らの奥底まで来そうな男根に戦慄しつつ……たぶん、ここで尻込みしていたら、いつまでも彼とは進まないだろうという確信。そういう人だと自らを納得させて言葉を飲み込む。それに、
膝を立て、尻を上げ、切っ先と自らの花弁の中心を合わせて。良いところを探しているうち、ぐちゅりという泡を潰した粘っこい水音がたつ。
その音がするたび自らの興奮をさらけ出しているようで恥ずかしくて仕方ない。やけに耳に届くのもまた、羞恥を加速させる。
そして、いよいよ自らの蜜壷の入口を見つけ、手で肉槍を押さえ体重を乗せた。
先端が、花弁を割る感覚がした。粘膜に自分のものではない熱さが食い込む。めりめりと内を押し広げる異物感。
「入っ、たぁ……!」
あれだけ欲しがって涎を垂らしていたはずなのに、強かに抵抗する肉襞。無理やり体重をかければ鋭い痛みと、一瞬みぢっという肉を裂く音が響く。
肉槍の先端がイトナの最奥まで届いた時、膝から力が抜け、男の腰に尻肉と体重の全てが乗った。
「かぁ~……!!痛い痛い、とは、ッあ!聞いて、たッスけど……マジで、痛いッスね……!」
「イトナ……血が…!」
熱く焼かれるような灼熱感。ズキズキと痛む下腹部。初めてだったという証の鮮血が男の根元までつたっていく。
今まで異性経験のなかった膣内は
「骨盤が広いくてお尻が大きい安産体型だね」なんていつか誰かから言われた気もするし、今でも思い出せばムカッ腹が立つが、そんなのまるっきり役に立たないじゃないかシバくぞこの野郎。どこが痛いとかじゃなくて、
根元から先端までみっちりとした肉壁が包み、膣穴全体で肉槍を押し返さんとぎゅうぎゅうに締め付け抵抗を示す。イトナは男の腹に手を置き、ただ震えるしかできなかった。
「……やめろ!お前を、傷つけた…い、わけじゃない!」
「何、言ってんスか……」
この期に及んでまだそんな事を言う。女の覚悟を嘲笑う気か。それほど、初めては軽いものじゃないんだぞ。もっと、どろどろとした重たいものを捧げたんだ。
「この傷は、貴方じゃないと、嫌ッスよ!!」
鋭かった痛みはジンジンとした疼痛に変わってきて、少しは膣内が慣れてくれたらしい。それに、ふつふつと込み上げる怒りにも似た感情。いや、どうしようもないこの
勢いに任せてイトナはぐいっと尻を持ち上げた。自らの臓の中を、男の切り立ったカリ首がぞりぞりと削っていく。傷口を引っ掻かれるに近い
肌が粟立つ。それでも構わない。目尻に涙を湛えた苦悶の表情のまま、抜けかけた男の化身に再び尻を打ち下ろす。肉が波になるほど力を込め、ばちん!打ち合わされた肌と肌が小気味よい音を立てて揺れる。
止まったら、止まってしまったら、もう途端に動けなくなる。そう確信するイトナは続けて何度も、何度も、何度も、何度も、自らの
そのうち、結合部が泡立って、ばちん!という肌の音がばちゅん!とねちっこくなってきた。抵抗を感じていた膣内の滑りが良くなり幾分か苦しさも和らいでくる。
無我夢中で尻を振りたくって、何もかもかなぐり捨てたエゴを押し付けて、イトナは男の頭を掻き抱いた。首に手を回し、逃がさないと背に爪を立て。耳元に寄せた口で
「
膣内で、肉槍が傘を開いたのを感じた。ひどく血管を脈打たせ、裏筋を膨らませて、自らの遺伝子を刻まんとうち震えている。ずっとずっと、
「……
耳元へ寄せられた唇から紡がれる消え入りそうな声は縋る。求める。焦がれる。
本人も知らず知らずのうちに、イトナの腰は
「……ッあ゛」
出されるのだろう
────弾け飛んだ。
入口が吸い付いて来たかと思えば、亀頭をひしゃげさせるほど狭く締めつけ、奥へ奥へと飲み込まれて行く肉槍が
挿入する時はキツく抱き締めるように狭く、もっとまずいのは引き抜く時だ。肉槍を受け容れた襞《ひだ》はざわざわと粒立ち、浮き上がった血管の陰影も、膨れた裏筋も、傘を広げたカリ首の段差も、余すことなくぞりぞりと揉み込んでは我慢を削っていく。
イトナのやけっぱちな動きに合わせて、膣内はどんどん淫蜜を満たし、肉と肉の境界が曖昧になっていった。最初の軋む感触はいつの間にか潤滑なめらかな交合へと昇華し、粘着質な叩打音が辺りに響く。
必死に耐え忍んでいた男の
自らの中心を圧倒的な灼熱が突き抜けていく。手足の末端から急激に力が抜けて、全てのリソースが下腹部へ振られているのか思考も何も沸騰の中に溶けていく。身体は全て理解しているのに思考は役割を放棄した。精の束が次から次へと吹き出し、自分の中の何かが全て浮く感覚がする。
「量、えげつな……んッ、まだ…射精てるッス……」
薄皮に包まれた彼女の胎に、音が立つほどの勢いで精が注がれていく。それは酷い濃さで、どれほど雄の欲望を煮込めばこの濃さに至るのだろうか。
ついには収まりきらない精液が結合部から溢れ出したころ、ようやく射精は落ち着きを見せる。疲労からくたりと上半身を倒したイトナと、男の浅い呼吸が重なり、絡まっては解けていった。
「ん……」
唇を触れ合わせるだけの軽い口付け。慈愛か、敬愛か、親愛か。とにかく、溢れた好きの感情を乗せてイトナは口付けをした。この状況でそんな可愛いことをするのは、雄を煽る事に他ならない。
男の中の何かがぷつんと切れる。途端、イトナの中に居る雄はむくむくと膨れ、どくどくと脈打ち硬さを取り戻していく。
「あ、え……また大っきく……」
「イトナ、もう我慢しないからな」
「や、や、優しくお願いしたいッス…………?」
そんな意図は無かったという言い訳は、通らなくなってしまった。男の据わった目を見て、イトナは取り返しのつかない事をしたと悟るがもはや遅く。男はイトナごと上体を起こすと、太ももを担ぎ上げ乱暴に結合を解いた。
「いぅっ!?」
栓を失った膣口からはごぷりと、粘液と空気の入り交じる放屁にも似た音が響き、イトナは羞恥に染まった顔と素っ頓狂な声を隠しながら男をポカポカと叩く。その間にもイトナの膣内からは、だぱだぱと精液が噴き零れた。
「まだ、痛いんスから優しくしてくださいよ!!」
「すまない。だが無理だ」
イトナはテントの寝台へと転がされ今度は男が覆い被さる。太ももを抱えていた手は膝裏を掴んで脚を開かせ、まな板の上の鯉は圧倒的な体格差を分からされた。力を入れて抵抗しようとも、きっとビクともしないだろう。
先程の意趣返しで、下腹部へと肉槍が合わされた。凶悪だ。無数の血管を浮き上がらせ、肉襞を掻きむしるための傘を張り、赤黒く皮膚とも思えない色合いをした雄の象徴は、雌を貪り尽くすために怒張する。
「……」
無言のまま男は腰を引き、濁液を吐き戻す膣口へ切っ先を合わせた。少しだけ身震いする。互いの媚肉が擦れただけで、射精したばかりの肉槍には思わず腰を引いてしまいそうなほどの電流じみた快感が走るからだ。だけどそれだけでは雄は満足しない。
熱く、熱く、溶けて蕩けた、花弁を割る鋭利な切っ先。互いの性欲の果てに溢れた粘液により、いっとう絡みの良くなった膣襞。さっきよりもずっと滑りの良くなった肉同士が擦り合わされていく。
「う゛っぐ……!?さっ、きより深っ……!」
興奮のあまり男の肉槍が大きくなっているからか、それとも女の子宮が迎えに行ってしまったからか。イトナの体感ではさっきよりもずっとずっと奥底まで突き刺さったように感じる。そしてそれは勘違いじゃない。
自らの陰嚢がひしゃげても構わず、根元に粘ついた液の輪ができるまで男は腰を押し付けた。いっぱいまで自らの半身を沈め、震えて許しを媚びる子宮口を強引に開かせる。
本能。雄が持つ獰猛性。
「んぅぅううう!!!」
今までかろうじて耐えていた
あちこちに振り回される乳房、そこら中に飛び散る肌と肌のぶつかる音。その度に波打つ尻たぶ。決して逃がしまいと固く絡められた指。ここには男と女の二人きり。
今まで生殖のために犯される雌というのは何度も見たことがある。そのどれもが雄の力強さというものに圧倒されていた。まさか、まさか自分がそうなるだなんて。そして雌があれだけ乱れていた理由も身をもって体験する事になろうとは。
「も、もぉっ!!私!無理ッス!!」
突き上げられるたび漏れ出るイトナのくぐもった声は、次第に湿度を増して反響する。それはただただ男を煽る結果にしかならないのに、潤んだ瞳で必死に目を覗き込み、懇願した。止まってくれるはずもない。否、止まれるはずがない。欲に支配された脳では懇願すら燃え盛る薪となる。
「……んむッ!!?」
「すまない……、何度も言うが、止まれん」
不器用な唇の触れ合いは、唇から舌へ。
その間にも、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。男の肉槍は女を貫き、返す刃で肉襞を耕した。擦り上げられた汁が泡立ち、結合部は白く濁った液でまみれる。けれども、男の腰は止まらない。
「ず、ずるいッずるいッずるいッス!!なん、でこのタイミングでキスなんて、するんスかぁ……!!」
欲しかったものが不意に貰えてしまった喜びで、一気に感情が跳ねっ返る。暖簾に腕を押し、飄々と躱すような彼の態度に我慢していたイトナの感情……言ってしまえば「私はこんなチョロくないはずなのに!」という思考と、反して喜んで悦んでさっそく流され始めてしまった身体。
望んで。求めて。欲しくて。刻まれて。これまでの不平や不満が、あっという間に溶けて無くなってしまったことが悔しくて。恥ずかしくて。
キツく締めつける膣襞は、同時に包み込む柔らかさを帯び出す。膣襞に絡みつかれ肉槍が感じる快楽はより一層、何倍にも高まった気がした。いや、気の所為にするにはあまりにも良過ぎた。
抽挿を続けていた彼の腰の動きが、みるみるうちに怪しくなっていった。一定だったリズムがズレる。反比例して、イトナへ叩きつける腰の力強さが増していった。なにかを堪えるように数度、無意識に身震いが走る。
イトナの方も、膣内にいる彼の膨らみが増してぐっと硬直したのが分かった。分かってしまった。このまま
「ぁ、ぐ」
────あんまりに激しくて、絡まった指を思い切り握った。
口から不規則な吐息が漏れ出る。腹が大きく波打ち、肌には幾本も血管が浮いた。それだけの圧力が全身から肉槍へと集中したのだから膨らむのも当然のことだろう。
一瞬のうち、目が合った。ぎらぎらとした不可思議な
まるで、火竜の弾を喰らったかのような激しい衝撃と脈動が胎の中で起きた。覆いかぶさられ、逃げる事もできない雌の膣内へ放たれる容赦ない射精。彼のものが中で膨らむたび、ずんと重たい塊を詰められる。
塊は熱くて、重くて、大きくて、激しくて。イトナの奥底、子宮は蜘蛛の糸に絡め取られるように身動きが取れない。そうしてるうちにも次々と叩きつけられる大質量の……
「ぇ?…なんか、くる……くる、くるくる…あ゛ぁぁぁ!!!」
何とも形容できない、言葉にできないような熱さがイトナの下腹部から持ち上がり全身を満たしていく。どうしようもなく、ただ熱さを逃がそうとして弓なりに反る背中が浮き、震えが伝播して、やがて大きな痙攣となり溢れ出た。
何か分からない。それが、何かは分からない。ただ、頭の中で火花が散り、目の前が明滅するような衝撃だった。初めてのことに戸惑いとか躊躇とか、そんなものを感じる暇もなくイトナは身を焦がされる。
本能がそうさせるのか……男は最後に二、三度奥まで肉槍を押し込み、蓋をするように腰を揺すってようやく長く続いた射精を終わらせた。もう
……なのにまだ、男の肉槍は鋼を詰めたように硬い。薄らぼやける意識の中で、イトナは再び脈動を初めた身体を抱き締めた。
後になってそれが絶頂だと知ったのは、彼を何度も受け止め足取りもおぼつかなくなるほどの回数をしてしまってからである。
天高く信号を送ってしばらく。
数日かけてようやく合流した本隊とモンスターの調査を終え、ベースキャンプへ戻る時。あれから少ししたのに、未だに腰や下半身が鈍い痛みに苛まれ、イトナは渋面が治まらない。
対して男は先にスタスタと歩き、他のハンターと情報を共有しに行ってしまってイトナは置いていかれる。そうだ、この人にデリカシーとか思いやりを求めるだけ無駄だったな、と思い返していた。
「ねぇ、イトナ」
「なんスか?」
隊について来ていた歳の近い同性の装備屋、そいつがニヤけた顔を隠しもせずうりうりと肘で突ついてきた。今はノリよりも鬱陶しさが勝ってしまうから少し距離を置こうとしたところで、ヤツは爆弾をぶっ込んでくる。
「もしかして……ヤった?」
「は!?んな、なな……なんの事ッスかね!?」
「…………」
動揺、動揺、動揺。言葉で否定こそすれ、大いに冷静さを欠いたイトナのリアクションは何よりも雄弁に語る。せっかく装備屋は小声で聞いたのに、イトナが素っ頓狂な声を上げるものだから慌ててモゴモゴと口を押さえ人差し指を鼻先に立て静める羽目になった。
「どんな感じだったか教えてよね!」
「うううう~~~!!」
頭から蒸気でも吹きそうなほど赤面したイトナは、少し離れたところにいる男をキッと睨みつけた。あの人が食べ物を探しに行く時は、絶対に自分もついて行こう。
……あと、もう絶対流されないッスから。
……そう心に誓う。