書きすぎた、反省はしていません。

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Skebにて、くいさんから「ハーフの淫魔に距離を詰められ誘惑に抗えなくなるお話をお願いします」とのご依頼を受け、書いた作品になります!
ご依頼ありがとうございました!!

正直、自分でも「バカだなお前」と思うくらいに書きすぎましたが、色々楽しかったのでOKです。


元警察官志望だった主人公くんが、隣に住む金髪女子大生を助けたら、その娘が淫魔と人間のハーフで、ラブラブデートの末、イチャラブ婚約SEXした話

 唐突だが、この世界には亜人……。つまり、人間以外の種族がいる。

 

 

 その人並み外れた力で、警察や消防などをはじめとした体力仕事に従事する鬼。生来の長寿と高い知能を武器に、学者や研究者、弁護士などで活躍する長耳族(エルフ)。犬や猫、ウサギなどそれぞれの長所を駆使し、獣医や料理人などに就く獣人たち。

 

 

 この他にも多種多様な種族が、俺をはじめとした普通の人間と共存している。そんな彼らがこの共存社会で、どういったメリットを受けているのかは知らない。だが、少なくとも人間側はそうすることによって様々な分野で凄まじい発展や進歩を遂げた。

 

 

 だが……。

 

 

『次のニュースです。昨夜、△$県○×市内で亜種族の女性が、人間の男性に襲われるという事件がありました。幸い女性に大きな怪我はありませんでしたが、犯人の男は逃走し警察が行方を追っています』

 

 

「またか」

 

 

 光があるところには必ず、影ができるように……こういった種族間を超えた事件も少なくない。もちろん、種族に関係なく加害被害両方で。

 

 

 朝のテレビ番組内のプチニュースコーナー。その中の一つとして淡々と消化されているところを見ると……。良くも悪くも、それだけ日常化しているということなのだろう。

被害にあった女性には気の毒ではあるが……。

 

 

『以上、クイックニュースのコーナーでした。続いては、お天気です』

 

 

 それまでは堅苦しいスーツ姿の男性が映っていたテレビの画面が、即座に別の画面へと切り替わる。

中央には日本全国の地図と、子供向けの絵本に描かれていそうな顔のある太陽や傘の絵。そして、その傍らにはまたなにかの種族だろうか……。如何にも魔女のソレっぽい三角帽子を被った人当たりの良さそうな女性が愛想を振りまいていた。

 

 

「しっかしまぁ、今月で何回目だったか? ああいう事件……」

 

 

 パラパラ漫画のように変わり続ける液晶から目線を外し、窓の外を見やる。脳裏にはさっきのニュースがとりわけ強く記憶に残っていた。

……あれから数年が経った今でも、癖がとれてないのだ。

 

 

 というのも、かつて俺は警察を目指していた。

 

 

 詳しい理由は忘れたが、幼い頃からあの制服を着ることを夢見続けてきた。

必死に努力を重ねた結果、見事警察学校への入学も決まり、順調に夢成就への道を進んでいたそんな折……亜種族たちがやってきた。

 

 

 彼らは皆、種族や能力に差異はある。だが、どの種族も共通して人間よりは必ずどこかが優れていた。

 

 

 当然、能力で劣る人間たちは彼らとの競争に負けた。中には肩を並べたり凌駕しているような人間もいたが、そういう人たちは大抵オリンピックに出るような世界トップレベルの超々天才だけだ。

かくいう俺も、その競争に負けて夢破れ……今に至る。

 

 

 彼らが社会に浸透して数年が経過した今なら、警察そのものは無理でも、それに関する職につくなど多少縋ることはできたかもしれない。

だが当時はまだ、亜種族たちが今ほど浸透しておらず、互いに偏見も凄かったため、そんな希望の芽など生える兆しすらなかった。

 

 

 結果、今の俺に残ったのは……常人より多少強い防犯意識。そして、自分一人くらいならギリギリ守れる程度の護身術くらいだ。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 ガチャ。――――ギイイィィ……。

 

 

「あっ、どうも……」

 

 

「……チッ」

 

 

 朝の身支度を終え、玄関に鍵を締めたちょうどその時。お隣さんが部屋から出てきた。

 

 

 その人は大学生くらいの若い人間の女性で、文字通り多種族が暮らしている現代社会においても、トップレベルに綺麗な人だ。

 

 

 人間の女性にしては身長が高く、ヒールなしでも170くらいはある。

 

 

 切れ込みを入れたような細長い目、アイライナー要らずの濃い睫毛、背丈と同等にスラっと伸びた鼻筋の先に聳える高い鼻先。

そしておまけに、腰の中ほど辺りまであるアニメキャラに負けないレベルの見事な金色の髪……。

とまぁ……顔だけに限ったとしても、間違いなく世界レベルのモデルとして通用する美貌を持つ彼女。

 

 そんなにきれいな人なのに、テレビや雑誌等に出演せずに、こんなところにいることには少なくない違和感がある。

 ――これはあくまで俺の勝手な予想だが、彼女もまた、彼らのせいで何かしらの割りを食った人間なのだろう。

 

 

「――なにジロジロ見てんだ、おっさん」

 

 

「……すみません。なんでもないです。……お気をつけて」

 

 

「……黙れ」

 

 

 身勝手ながらも同情や親近感に似たものを抱いている俺とは違い、彼女の態度は初対面の時から一貫して冷たい。

 

 

 その嫌悪ぶりは凄まじく、若く非力な女性が初の一人暮らしで持つべき警戒心の範疇を軽々と超えている。

実際、彼女が隣に越してきてもう数ヶ月は経つが、未だまともな挨拶すら交わせたことがない。

 

 

 ……がしかし、他の住人曰く、同じ女性に対しては種族関係なく普通に接することができているらしいので、素の性格がこうというわけではないのだろう。

 

 

 正直な話、悲しくないといえばウソになる。だが、俺としてもご近所トラブルはなるべく避けたいのでそのままにしている。

 

 

 そんなお隣さんとの関係が急変したのは、それからしばらくしてのことだった……。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 それは軽く酒を飲んだ後の帰りだった。

 

 

 俺は普段、滅多に酒を飲まない。

だが、その日は面倒なクレーマーの相手やらなんやらでストレスが溜まっていたらしく、それを消し去るために軽く2,3杯引っ掛けた。

 

 

「っつぅ、あぁ……。ったま痛ぇ」

 

 

 グラスハイボールとはいえ、久方ぶりの身体には応えたらしい。

帰りに立ち寄ったコンビニで500ミリの水を買って、軒下で夜風にあたっていた時――。視界にふと、彼女。――お隣さんの見事な金髪が目に入った。

 

 

「あれは……お隣さん? 近所とはいえ、夜道を一人でとは不用心だな」

 

 

 昔取った杵柄とでも言うのだろうか……。これまでの経験上、高くならざるを得なかった防犯意識が視界の中央に彼女を固定した。

俺は後をつけて帰るような真似こそしなかったものの、彼女の髪色を目印に、それが視界から消えるまで目で追い続けた。

 

 

 幸い、彼女は無事に視界から消えた。だが……。

 

 

「……んっ?」

 

 

 それに安堵し、再び視界を正面に戻したその瞬間――。俺はほんの一瞬だが、暗い夜道の中でも不審に蠢く影を見つけた。

 

 

 一瞬視界に入った体形からそれはおそらく人間で、男であることが分かった。

しかし、異様なのはその様子で、男はスマホに釘付けという訳でもないのに、前かがみ気味になっているように見えた。

 

 

「今の……人か? ――なんとなく腰が曲がってたような気がするが、老人……はこんな夜に出歩かないか。……なんか、嫌な予感がする」

 

 

 何時ぞやの朝のニュースを思い出した俺は、手に持った水を空にして、ゴミ箱に捨てた。そして、その男の後をつける事にした。

 

 

 幸いにも、男は俺に気づいた様子もなく、先程彼女が歩いていた道を辿るように進み続けた。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「なぁ……」

 

 

 大通りやそれに接した通りから少し離れた小道。そこは俺やお隣さんが帰宅する場合は、必ず通らなければいけない道だった。

 

 

「なぁ、そこのアンタ……。聞こえてんだろ?」

 

 

 そこに辿り着く前から男は歩行スピードをジワジワとあげていたが、そこにたどり着いた瞬間、ついに声を出し始めた。

――――無論、その対象は彼女だ。

 

 

「……っ」

 

 

 彼女は肩を震わせながら立ち止まり、周囲を見渡した。だが、周りには自分以外いないことを悟ると、戦々恐々としながら後ろに振り返った。

 

 

「はぁ……あぁぁ。こりゃスゲェ、上玉中の上玉だ。ゲヘッ、ゲヘへへッッ。――じゅるっ。なぁ、アンタ……違うんだろぉ?」

 

 

 隠れているため、男がなにを喋っているのかは分からない。

……が、遠目からでもわかるくらいに彼女の顔が歪んでいることや、この状況などを考えると大方の予想はつく。

 

 

「……は? なに、言ってん……の? キモい、近寄んな……」

 

 

「ゲぃヘっ、ゲェヘヘ……。その気丈さ……やっぱりだぁ。――まったく、アンタらみたいなのに溢れたこの世界はホンモノの天国だぁ……。グゥギイヒヒヒィッ」

 

 

 男は明らかに常軌を逸した興奮状態で、亀のように彼女へとにじり寄っていく。

一方の彼女は、普段俺に見せている以上にキツイ睥睨顔を向けているものの、肝心の足はピクリとも動いていなかった。

 

 

 ――間違いない。恐怖で足がすくんで動けないのだ。

 

 

「そう怖がるこたぁねぇ……グゥイヒヒッ。こう見えて、こっちぁ“プロ”ってヤツだ。ドゥヒッ、ヒヒッ……。今――アンタが抱いてるもん、全部……すぐに解けて忘れさせてや……。ぐじゅぅイッヒヒ……ッッ!!」

 

 

「――ゃ、いやっっ! こないでっ!!」

 

 

 ますます不快さと不気味さを増しているであろう男の言葉に、彼女は普段の厳格な態度を維持することもできず、ただその場で震え上がっていた。

だが、それはこの状況において何よりも厳禁な悪手だった。

 

 

「ドゥヘベッ!! グブジュゥイビヒヒッ!!!」

 

 

 俺はもちろん、男ですらそれが彼女本来の姿であると察したらしい。男は最早、人と呼ぶのも憚られるレベルの穢らわしい嗤いをあげ、彼女に向かって走り出した。

 

 

(これ以上はまずいっっ!!)

 

 

 俺は咄嗟に財布を取り出し、そこから小銭をありったけ握り掴むと、そのまま地面へと投げ下ろした。

――当然、小銭は小気味よい金属音を立てながら地面に散乱した。

それはつまり、今この場に彼女と男以外の第三者がいる証であり、有頂天気分だった男の動きを止めた。

 

 

「――だ、誰だぁっ!!」

 

 

 まさに水をさされた男は、怒髪天を衝く勢いで振り返った。

その時のヤツの顔は、かつての警察学校時代――鬼教官と呼ばれていた先輩警官が怒鳴り散らしている時に匹敵するレベルの形相だった。

 

 

(よし、なんとか注意は惹きつけられたか……。あとは――)

 

 

「俺はそこの彼女と同じところに住んでいる者だ」

 

 

「お、おな――っっ!! ……っ、クソっ!!」

 

 

 俺が含みをもたせた返事をすると、ヤツは心底驚いたような顔した。

そして、彼女の方へと向き直るも、すぐに殺意剥き出しの表情をこちらに向けた。――おそらく、彼女が否定しなかったことが効いたらしい。

 

 

 俺が現れてもその場から動かないところを察するに、彼女はまだ恐怖から完全に抜け出せてはおらず、喋る余裕がないだけだろう。

だが、怒りで冷静さを失ったヤツはそこまで頭が回らないらしい。

 

 

「こ、このヤロォ……。“自分の”だからって、調子にのってんじゃねぇッッ!!」

 

 

 男は怒りに満ちたまま、こちらに殴りかかってきた。

しかし、その素振りは明らかに素人のソレで、中退したとはいえプロに揉まれてきた俺からしてみれば、子どものじゃれつきに等しいものだった。

 

 

 ヤツが勢いそのままに振りかぶって突き出してきた右ストレートを躱し、カウンターとして鳩尾と腹の中心に一発ずつ素早いジャブを見舞う。

 

 

「ごぅぶ……っ!!」

 

 

 鳩尾を殴られ呼吸が止まった一瞬、横隔膜に強い衝撃が走り体内の空気が逆上した男は嘔吐のようなうめき声をあげながら蹲り、数歩距離を取った。

 

 

「今のうちに、隠れていてください」

 

 

「……ぃ……っ!!」

 

 

 俺が声を掛けると彼女は、大きく首を縦に振り、少し離れた安全な場所へと避難した。――と、同時に男が回復したらしく、脂汗を浮かべながらも真っ赤になった顔で再度、こちらを睨み返した。

 

 

「っ、っっ……メェ……!! せっかく、みっ……つけた、極上玉……台無しにするつもりか。……っざけんなよ!!」

 

 

「その口ぶりからしてマエあり……いや、累犯か? ――まぁ、なんでもいいか。年貢の納め時ってやつだ」

 

 

「マ、“マエ”だと……。テメェ、まさか……サツか!!? △$ンとこの連中の応援がもう来てたのか!?」

 

 

「残念ながら一般市民だ、正義感がちょっと強いだけのな。――それより、△$って……。まさか、この前ニュースでやってたアレ……ホシお前か?」

 

 

「ッッ、ッ!! クソがッッ、ガタガタうるせぇんだよっ!! 黙って消えろ!!」

 

 

 絵にかいたように墓穴を掘りつづけていた男は、それまで自分が自白(ゲロ)した悪事を誤魔化すように再び殴りかかってきた。

今度は先程よりも本気のようで、多少は脇を締めて、少し大振りなままだったがラッシュを放ってきた。

 

 

 素早い連続攻撃とはいえ、その軌道はどれもこれも単調だったため3発目には完全に見切る事ができた。

すぐに反撃してもよかったが、可能な限り彼女とヤツの距離を確保したかったため、俺はあえて反撃や回避をせず、全て防御やいなしながら後退し続ける。

 

 

「オラ! オラオラオラっっ!! さっきまでの威勢はどうした! サツかぶれのクソ野郎!! ビビって手も足も出ねぇってか!? ならそのまま死ねっ! 死ね死ね死ねっっ!!!」

 

 

 すっかり調子に乗った男は、勢いそのままに攻撃の手を休めなかった。しかし、訓練されていない素人の筋肉は何よりも正直で、その一撃は徐々に精細さを欠いていった。

 

 

 そしてとうとう、疲労がピークに達したのだろう。腕だけでなく肩までもを使った最後の一撃を放ってきた。

 

 

(――ここっ!)

 

 

「なにっ!!?」

 

 

 俺は身体を屈めてそれを躱し、同時に下から持ち上げるようにして男の手首を握って固定した。

そのままその手を捻り、掴んだ男の腕の上下を逆さにすると、もう片方の手で男の肘――正確には、それよりも少し肩側を叩き上げる。

 

 

「うっぐあ゛ぁっ!!?」

 

 

 片腕全体に逆回転をかけられ、更に腕で一番大きな関節に掌底打ちを食らった男は苦痛に顔を歪ませ、すぐさま腕を引こうとした。

 

 

「っ、は……離せ! このクソ野郎!!」

 

 

 しかし、慣れないラッシュによる疲れと、衝撃による麻痺で力が入らず腕は男の自由にならない。

 

 

「そりゃ無理だ、離すと最悪お前が死ぬ」

 

 

「はぁ!? な、なにワケのわかんねぇこ――――」

 

 

 男の言葉を遮るように自分の体全体を回し、ヤツを背負う。そしてそのままボールを思いっきり投げるように、背負投げを決める。

 

 

「ぅげがっっ!?」

 

 

 背中から地面に叩きつけられた男は、カエルが潰れたようなうめき声をあげた。

すかさず俺は、ヤツの片腕を抱えたまま背後へとまわり、そのまま両腕を交差し文字通り尻に敷いて全身ごと封殺した。

 

 

「……あの子が“特別”なのは認める。でもお前は当分、豚箱で“そうめん”しか食えない。残念だったな」

 

 

「……ぇ、めぇ……。クソ、ポリ、こ……ぅ」

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「――もう出てきても大丈夫ですよ、お隣さん」

 

 

「っっ…………」

 

 

 男が気絶した事を確認した俺は上着で男の両手首を拘束した後、後ろにいるであろう彼女に声をかけた。

数十秒後、彼女はまるで幼い少女のようなおどおどとした様子で物陰から姿を見せた。

 

 

「見た感じ大丈夫そうですが、怪我はありませんか?」

 

 

「は……ぃ」

 

 

「良かった。――さて、後はこの男の処理ですが……警察に任せましょう。どうやら、前科もあるみたいですし……。ニュースになっていたということは、データベースには指紋とかの情報があるでしょう」

 

 

 彼女が黙って首肯した後、携帯を取り出し警察へと通報する。

簡単な事のあらまし、場所、俺の名前などを伝えた後、俺は彼女のそばに居続けることにした。

 

 

(事情聴取とかもあるだろうし、彼女は警察に保護してもらったほうがいいな。――彼女も、普段アレだけ嫌っている俺に送られるより安心できるだろ)

 

 

 そう結論づけた俺は、念の為男の上から動かず警察が来るのを待った。

さすがの彼女も、この期に及んで俺から距離を取るようなことはしないらしい。近づきこそしないものの、俺の目の届く距離に居続けた。

 

 

(――――あれ? そういえば、これって過剰防衛になる……のか? 無効化させる手段は他にも色々あったし第一、俺はプロではないとはいえ、多少訓練を受けた人間だ……。なのに、思いっきりコンクリに人ぶん投げたし……。――――冷静になって考えると、ヤバくね?)

 

 

 俺もこの男と同じく、ドーパミンやアドレナリンが過剰に分泌されていたのだろう。一段落ついた途端、そういった不安が脳内を埋め尽くした。

さっきは昔習った警察用語を使ってマウントを取っていたが、今度は逆にその経験で培った知識が仇となり自分を苦しめるとは……皮肉にもほどがある。

 

 

「あ、あのぉ……すいません。ちょっと、お願いがあるんですけど……」

 

 

「!! は………ぃ」

 

 

 彼女は明らかに“突然声をかけられたこと”に対するものではない理由でビクつき、俺に恐る恐る返事をした。

その顔は、普段の厳しくも整いすぎた容姿からは想像もできないほどに、弱々しい一人の女の子だった。

 

 

「俺――いや、僕たちはこの後、事情聴取されると思うんです……。で、そのぉ、良ければ……その時に、僕について庇ってもらっていいですか?」

 

 

「かば……う、んですか?? なっ、なんで……」

 

 

「えーっとぉ、お隣さんも“正当防衛”って言葉は聞き馴染みあると思うんです。でも、度を超えると“過剰防衛”って言って、守った側も罪に問われるんですよ……」

 

 

「それで、今回の件でいうと一番大きな被害を受けたのはお隣さんであって、僕じゃないですし……。それに、多少ですけど僕は武道にも覚えがあるので……尚更そうなる可能性が高いんです。だから……良ければ、お隣さんに庇ってもらえると有り難いなぁ……って」

 

 

「――――もっ。で、でも……私、なにもできません……から」

 

 

「あぁ、いえ……別に特別なことはしなくていいんです。ただ、聴取で僕に関することを聞かれた際に『彼はお隣さんです』とか『私は彼のおかげで触られることもありませんでした』とか……。とにかく、そんな感じのことを言ってもらえれば……」

 

 

「――――はい。……わかり、ました……」

 

 

 彼女は少し間をおいたが、小さくも確かに了承の返事をしてくれた。

まだ恐怖が感情の大半を占めているであろう彼女に、保身のためとはいえこんな事を頼むのは少しばかり心が痛んだ。

 

 

「すみません……。ありがとうございます」

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

 何気にはじめて交わした、お隣さんとのまともな会話はそうして終わった。

 

 

 その十数分後――パトカー数台と共に、かつて憧れた旭日章の紋章がついた制服を着た警察官が到着した。

俺の通報を受けた時点である程度の予想がついていたのだろう……。現着した警察官はほとんどが男性で、人種も人間より亜種族の方が多かった。

 

 

 現場検証と簡単な事情聴取が終わり、ヤツは連行。俺と彼女はそれぞれ別の車両で警察署へと移動することとなった。

 

 

「あ……あのっ!!」

 

 

 過程は違ってしまったが、夢だった警察専用車両に乗ろうとしたその時――。彼女が珍しく声を張り上げて、俺を呼び止めた。

 

 

「ど、どうして……助けて、くれた……んですか? 私、いつも……その、あんな……なのに」

 

 

「お隣さんの普段の態度なんて関係ないですよ。あの男にも言いましたけど、僕……こう見えても正義感がちょっと強いんです」

 

 

「――なんて格好つけましたが……。まぁ、言ってしまえば自己満足です。なので特にお礼はいりません。けど、強いて言うなら……挨拶くらいは返してくれると嬉しいですね」

 

 

 そこで会話が終わったと判断した警察官が、俺の背中を押して車内へと誘導した。俺はそれに逆らわず、内心密かにワクワクしながら――後部座席に座った。

 

 

 そんな心境のせいだろうか……。シートクッションはもちろん、シートベルト一つに至るまで。

なにからなにまでが、まるで数百億円する高級車に乗ったような特別な気分にさせてくれた。

 

 

「……やっぱり、スゴくキレイな顔してるなぁ。あの人」

 

 

 エンジンが駆動し、本格的なスピードが出る間際……。彼女の方をチラリと見たが、その瞳は今まで見たどんな星よりも輝いて見えた。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 あれから数週間が経過した。

 

 

 不安の種だった過剰防衛問題は、軽い注意こそされたが、罰金や懲役を科せられることはなかった。

そのため俺は、以前と変わらず自分の家に住み続けることができている。――お隣さんが約束を果たしてくれたのだろう。

 

 

 しかし、完全に以前のままとはいかなかった。

 

 

「あらやだ! 強姦魔をとっちめたヒーローさんよ!!」

 

 

「奥さん、ご存知でした? ……彼。昔は警察官を目指してたらしいんですって!」

 

 

「あらホント!? それはとっても心強いわね! 」

 

 

「か……勘弁してください」

 

 

 どうやら一連の捕物語が何かしらの媒体で報道されたらしく、俺はアパート中の人たちから、事あるごとに揶揄われるようになってしまった。

 

 

 それだけでも十二分にこっ恥ずかしかったが、それが気にならなくなるくらいに大きな変化があった……。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「――あ、おにいさん!」

 

 

「…………」

 

 

 あの事件後、一番変わったのはお隣さんの僕に対する態度だ。

 

 

 これまでは直接顔を合わせた時はもちろん……ほんの一瞬、視線が交差しただけでも、まるで親の仇であるかのような形相で睨まれてきた。

さすがに、直接的な危害は加えられてこなかったが、彼女が僕を嫌っていると察するには余りある様子だった。

 

 

だのに……。

 

 

「おはようございます♪ いいお天気ですね」

 

 

 あの日から彼女の態度は、比喩ではなく本当に別人のように急変した。

元々、人間の中ではトップクラスに顔がいい彼女。そんな美貌を持つ彼女が、まるで小学生のような満面の笑みを浮かべて挨拶してくれるようになった。

 

 

 当然、その声色も以前と同一人物とはとても思えないほどに明るく、快活としたものになっている。――それまでの声はツンドラのように冷たかったのに、ここ最近はまるで、春風のように穏やかで、暖かい。

 

 

 声が変わっているということはもちろん、服装も変わっている。

 

 

 事件前の彼女はよく、黒のレザージャケットや、革ジャン。それに黒デニムなどを着ていることが多く、肌の露出なんて顔以外ほとんどなかった。

 

 

 まぁ、その格好はその格好で、170近い高身長や、金髪という日本人には滅多にない地毛も相まって、まるで洋画に出てくる大型バイクを華麗に乗りこなす女優さんのようでもあって……とても似合っていたけれど。

 

 

 それが今は、真逆――。カジュアルさや女性らしさを全面に押し出したファッションをしていることが多い。

例えば今日は、白よりは少し桃色に近い色合いをした、袖なしのトップス。下は、薄い水色のフレアスカート……。そしておまけに、首には銀色に輝くネックレスが掛けられている。

 

 

 以前の全身を黒で染め上げ、何よりもスタイリッシュさを強調したファッションも十分素敵だったが……。正直、俺はここ最近の落ち着いたファッションをしている彼女の方が好きだった。

 

 

「――いさん? おにいさ~ん? もしも~し! 大丈夫ですか?」

 

 

「えっ!? ――あ、あぁ……ごめんなさい! ちょっと、ぼーっとして……」

 

 

「んもぅ、おにいさんの方から『挨拶してほしい』って言ったのに、無視するだなんて……ヒドイんじゃないですか?」

 

 

 気づけば、お隣さんは俺のすぐ近く……数センチのところまで近づき、こちらを見上げていた。

知らない間に急接近していたお隣さんに驚き、思わず後ずさった俺を彼女は、ぷく~と頬を膨らませて見つめていた。

 

 

「あ、いや……本当にすみませんでした。その、決して意図的に無視したわけじゃないんです。ただ……」

 

 

 俺はその先の言葉を口にするのがとても恥ずかしく思え、言葉を切った。しかし、彼女はそれを許してはくれなかった。

 

 

「『ただ』……なんですか?」

 

 

 お隣さんは俺の言葉尻を捉え、問い詰めてくる。

頬は元に戻っているものの、腕を組み横目でこちらを軽くにらんでいるあたり……どうやらその先を言わない限り機嫌は直らないらしい。

 

 

「その……。今のお隣さんが、物語に出てくるヒロインみたいでかわいいなぁ……。と、少し見惚れてしまいまして」

 

 

「……」

 

 

 お隣さんは俺の言葉に、驚いたような表情を見せて固まった。だが、その硬直はすぐに解け、その口角をニンマリと歪ませた。

 

 

「へ、へぇ~……♡ おにいさんって、ああいうあざとい系が好きなんですねぇ……。もしかしてぇ、結構純情さんだったりします?」

 

 

「別に、そういうわけじゃあない……と思います。その……あまり、そういうのは見ないので」

 

 

「――えっ、そうなんですか?」

 

 

「はい……。若い頃は、とにかく警察官になることだけに必死でしたから……」

 

 

「じゃ、じゃあ……。どうして、そう思ったんですか?」

 

 

「どうして……でしょうね? お隣さんのようなとても綺麗な人がやったから……でしょうか」

 

 

 なんだかさらに恥ずかしい事を暴露している気がするが、一度吐いてしまった言葉を取り消すことは、例えどんな種族であってもできない。

それに、嘘ではないのだから、恥ずかしさはともかくとして……別に悔やむようなことではない。

 

 

「も、もう……♡ おにいさんったらぁ……卑怯、ですよっ♡」

 

 

 お隣さんは何やらボソボソ呟きながら、下を向いてモジモジしていた。何を言っていたのかは聞き取れなかったが、どうやら事件の事でなにかトラウマを背負ったりはしていないようだ……。

 

 

「お隣さん? どうかされましたか?」

 

 

「――ふぇっ!! 別に、大丈夫です!!」

 

 

「そう……ですか」

 

 

「そ、それよりおにいさん! 今度の休日って、その……空いてますか? ちょっと、お話したいことが……」

 

 

「あ、はい。空いてますよ」

 

 

「やった♪ そ、それじゃあ……今度の日曜日の朝10時に、駅前で待ち合わせしましょう! 言っておきますけど、遅刻厳禁ですからね!? ――――って、ヤバ! 急がないと……私が講義に遅刻しちゃう!!」

 

 

「そ、それじゃあおにいさん! また日曜日に!!」

 

 

「あ、はい。お気をつけて……」

 

 

 お隣さんは、これまで見たことがないほどに慌てながら階段を駆け下りていった。

時間にしてものの数分程度のはずなのに、まるでこれまでまともに会話できなかった分をまとめてしたような……そんな慌ただしい時間だった。

 

 

「――ところで、連絡は……どうするんだろう」

 

 

 世界と渡り合えるくらいに綺麗で、若い女性と二人きりでのデートをすることになったのにも関わらず、口からはそんな言葉が出てるくらいに俺は冷静だった。

 

 

 ……いや、別に彼女とのデートが嬉しくないとか、そういうわけじゃあない。ただ、あまりに突然すぎたせいで、嬉しさや緊張感よりも先に驚きの方が来てしまっているのだろう。

 

 

「……とりあえず、仕事行くか」

 

 

 俺は『当日に交換するのだろう』と適当にあたりをつけて、先ほど彼女が駆け下りていった階段を、同じように降っていく。

 

 

 俺の日常とは違い、特に代わり映えのしないコンクリートをよそ目に階段を降りきると、そこにはさっき階段を駆け下りたはずの彼女が少し息を切らしながら待っていた。

 

 

「はぁ……ハァ……。んっ――あ、おにいっさん……! ちょうど、良かった」

 

 

「お隣さん……どうしたんですか? だいぶ、息切れてますけど……」

 

 

「おにいさんに……わ、渡し忘れたものがあって……。走って、戻ってきたんです」

 

 

 彼女はそう言って、持っていたバッグから小さなメモ帳とペンを取り出し、そそくさと何かを書いてそれを渡してきた。

渡された紙には、電話番号とメールアドレス。そして、彼女の名前であろう――人名が書かれていた。

 

 

「これって……」

 

 

「はい! 私の連絡先です!! 本当はすぐに渡すつもりだったんですけど、タイミングを見失っちゃって……」

 

 

「あ、それで態々……ごめんなさい。遅刻しそうだったのに……」

 

 

「いえ、気にしないでください! こう見えても私、優等生なので! 一回や二回の遅刻で単位を落とすようなことはないですから♪」

 

 

 そんな、なんとも誇らしげな彼女の態度に思わず笑ってしまった。だけど、彼女は何も文句を言わず、釣られるように笑ってくれた。

 

 

「それで……おにいさんの連絡先も教えてくれませんか? メールに電話番号を書いて送ってくれれば、大丈夫ですので♡」

 

 

「あぁ……すみません。今、送りますね」

 

 

 懐から携帯を取り出し、渡されたメモ帳に書かれているアドレスにメールを――俺の電話番号と、簡単な挨拶を添えて送信する。

すると、彼女のカバンから、ティコリン♪というなんとも可愛らしい着信音が聞こえてきた。

 

 

「ふふっ♪ おにいさんってば、本当に真面目なんですね……♡」

 

 

 俺からのメールを読んだ彼女は、携帯の画面を隠すように胸に抱えてこちらを見た。

 

 

ブーー! ブーーー!!

 

 

 その台詞の直後、俺の携帯が震えた。通知を見れば、先程手に入れた彼女のメールアドレスから返事が届いたようだ。

 

 

『もう、遅刻確定になっちゃいました。なので……汗、拭いてくれますか♡ おにいさん♡♡』

 

 

「なっ……はぁ!?」

 

 

 読み間違いかと思う文面に度肝を抜かれた俺は、慌てて正面を――彼女の方を見やる。

だが、彼女……。一ノ瀬美樹さんはいつの間にか、俺にほぼゼロ距離と呼べるまで接近していた。

 

 

「慌てすぎですよ、おにいさんっ♡」

 

 

 再び、一ノ瀬さんが俺を見上げた。しかし、今度の標的は俺の顔面や浮かべている表情ではなく、その縁にある耳のようだ。

まるで犬や猫が飼い主に自分のニオイをマーキングするかのように体を……顔を擦り寄せる彼女。

 

 

むわっ……♡ むわわ……っ♡ ふわぁ~~っっ♡♡ 

 

 

 どのくらいの距離かは不明だが、さっきの荒い息遣いからみてそれなりの距離を走ったであろう彼女。

当たり前だが、そんな彼女のカラダは火照っていて、メールの文面にもあったように発汗もしているのか、微かに汗のニオイが混じっていた。

 

 

「いったい、ナニ……想像したんですか? うふふっ♡ ねぇ……教えて、くれませんかぁ?♡」

 

 

 一ノ瀬さんの声がまた――。今度はとても妖艶なものへと変わった。まるで耳かき後の梵天のようにスルスルと耳に入ってくるくせに、脳にたどり着いた途端、まるで細胞と結合したみたいに離れない。

 

 

「――――な~んて、冗談ですよ。おに~さん♪ やっぱり、ものすごい純情なんですねっ♡」

 

 

 俺が言い返そうとしたその瞬間――――。彼女はヒラリと態度をもとに戻し、俺の横を通り過ぎて階段に足をかけた。

 

 

「汗かいちゃったのは本当ですけど、流石にこんなところで脱いだりはしませんよ♪ おにいさんも、お仕事あるでしょうし……ね♪」

 

 

 パチンと星が出てきそうなくらい軽快にウィンクをした彼女。その様子は見た者すべてを虜にするような圧倒的魅力と同時に、そんなファンを軽くあしらうような風格とオーラを感じさせた。

 

 

「それじゃ……今度こそ、お別れですおにいさん。日曜日――楽しみにしてますね♡」

 

 

「え、えぇ……」

 

 

 この十数分で、見事に弄ばれ揶揄われた俺は、そんな空っぽの返事しかできなかった。

彼女……。一ノ瀬さんは、そんな俺を見て、また少し笑った後、足は動かさずに体を前に倒して近づいてきた。

 

 

「そんなに落ち込まないでください、おにいさん……♡ 私、別に“拭かれるのがイヤ”だなんて、一言も言ってませんよっ……♡♡」

 

 

――――ちゅっ♡

 

 

「一ノ瀬さん……。な、何を……」

 

 

「何って、助けてくれたお礼ですよっ♡ 嫌でしたか? 私の……。というか、現役女子大生のファースト・キス♡♡」

 

 

「ファーストって……! しかも、こんな……あっさ」

 

 

「あっさりなんかじゃないですよ」

 

 

 一ノ瀬さんはそこで僕の言葉を遮り、語気を強めて言った。

 

 

「――というか、私がどれくらい堅いか……。おにいさんは誰よりも知ってるじゃないですか♡」

 

 

「それは……」

 

 

 確かにそうだ。

 

 

 理由は知らないが、少なくとも彼女は、俺が出会ってきた20代の人間の女性の中でも、軍を抜いてガードが硬い。

実際俺も、あの一件がなかったら、おそらく死ぬまで連絡先はおろか、挨拶すら交わすことができなかっただろう。

 

 

ぎゅううぅぅ……♡♡

 

 

 ふと、俺の体が拘束される。

 

 

 見れば、彼女が俺を引き寄せ、背中に両腕を回して抱きついていた。

その拘束力は女性にしては少し力強く、振りほどくには俺でもある程度力を込める必要があるくらいだった。

 

 

「本当に……ありがとうございます。おにいさん……。私、その……勝手な偏見でおにいさんのこと、嫌ってたのに」

 

 

「――いや、別に……。それは、もう……いいんですよ」

 

 

「ふふっ。ほんと、笑っちゃうくらいにやさしくて、真っ直ぐなんですね……♡ ――それともこれも、“私だから”……ですか?♡」

 

 

 最後は消え入るような声で、彼女が静かに呟く。

俺は今……この場を支配する雰囲気に呑まれて、何も言い返すことができなかった。

 

 

「……そこでダンマリなんて、ヒドイ人ですっ♡ ――――まぁ、そんな程度で諦めたりはしませんけど……♡♡」

 

 

「欲を言えば、もう少しだけ……こうしておにいさんに抱きついていたいんですけど、もうすぐ私たち以外の誰かがおりてきちゃいそうなので、今日はここまで……♡ ですね」

 

 

 名残惜しそうに俺を開放した一ノ瀬さんは、まっすぐこちらを見つめていた。

だけど、その顔は明らかに赤らめていて、どう見ても平静とよべるような状態ではなかった。

 

 

「では、おにいさん。日曜日、駅前で待ってますね。――お仕事、頑張ってきてください」

 

 

 それだけ言い残すと、彼女は逃げるように早足で階段を駆け上がっていった。

 

 

 俺はまた、取り残されたわけだが……。心には、さっきとはまるで違う感情が巣食っていた。

 

 

「一ノ瀬さんのカラダ、すごく柔らかかかった……。普段の華奢な外見からは、想像できないくらいに……」

 

 

 それは一ノ瀬さんの身体の柔らかさ――。特に、俺の体に正面から当たっていた彼女の胸部の感覚だった。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 ――そして日は流れ、ついに一ノ瀬さんとの約束(デート)の日がやってきた。

 

 

 休日ということもあり、駅前は老若男女・人種問わず大勢の人たちでごった返していた。

その中には当然、仲睦まじく手を繋ぐカップルの姿も見受けられた。

 

 

「警察学校の合格発表より、緊張する……」

 

 

 手元の時計は午前9時23分を指し示している。

待ち合わせの10時まであと40分以上あるが、俺は落ち着くどころかますます緊張が高まっていた。

 

 

 その理由は、今日が生まれて初めての“デート”というのもある。だが、それ以外に今日までに送られてきた一ノ瀬さんからのメールも大きな理由の一つだった。

 

 

『聞いてください、おにいさん! 今日大学に行ったら、この前遅刻した罰として、私だけ特別課題を出されちゃったんです……。ヒドくないですか!?』

 

『今日は大学が午前中で終わったのでぇ……。ジャジャーン!! アップルパイを作ってみました! でもちょっと多く作りすぎちゃったので……今度、おすそ分けしに行ってもいいですか?』

 

 

 一ノ瀬さんから送られてくるメールは、その大半が彼女の何気ない日常を切り取ったものだった。

 

 

 異性で、そのうえ年上の俺が相手なのに、まるで同性同年の友達に宛てているようなメールは、色の少ない学生時代を送ってきた俺にはとても新鮮で、すごく楽しかった。

 

 

 だが……。日曜日が近づくに連れ、彼女のメールには少しずつ俺をドギマギさせるような内容が増えていった。

 

 

『今日は美容院に行くんですけど……おにいさんは好きな髪型とかありますか? 私、見ての通り髪長いので、大抵の髪型は再現できますよ♡』

 

『前におにいさん、私のこと「物語のヒロインみたい」って言ってましたけど……。服装はどんなのが好きなんですか? この前みたいなかわいい系ですか? 最初に着てたカッコイイ系ですか? それとも……ちょっとエッチなやつだったりしてっ♡♡』

 

 

 その文面は「デートを楽しみにしている」というよりは、「俺の好みを探り、それに合わせようとしている」といったものばかりで、彼女が俺にどれだけの好意を向けているかを如実に物語っていた。

 

 

 そして、極めつけは3日ほど前にかかってきた……一本の電話と、メールに添付されていた一枚の画像だ。

 

 

~ ~ ~ ~

 

 

 その日は珍しく天気予報が外れ、短時間とはいえそれなりの雨が降った。

そんな天候だったからか、近所のコンビニからは雨具という雨具が消え、俺を含む大半の人たちはずぶ濡れになりながらの帰宅を余儀なくされた。

 

 

 帰宅後すぐにシャワーを済ませ、ついでに食事やその他細々とした雑事を終わらせた俺は、適当にテレビを見ながらくつろいでいた。

そんな時だった……。彼女から電話がかかってきたのは――。

 

 

『もしもし、おにいさん!? どうして何も返事してくれないんですか!! いつもは早めに返事してくれたのに!!』

 

 

「ど、どうどう……。何の話かわからないけれど、とりあえず落ち着いて」

 

 

『何の話って……まさか! おにいさん、さっき送ったメール見てくれてないんですか!?』

 

 

「メール送ってたんだ。――ごめん、ちょっとご飯食べてたりしてたから、見てないや。今見たほうが良いかな?」

 

 

『当たり前です! それと、電話は切らないでくださいね!! 切ったら本当に怒りますよ!!』

 

 

 電話越しでも耳が痛くなるほど叫ぶ一ノ瀬さんをなんとか宥め、メールボックスを確認する。

すると確かに、少し前に彼女から『おにいさんへ』という件名のメールが送られていた。

 

 

「あ、これだね。どれどれ……」

 

 

――――ドンッ!!

 

 

『うわっ、なに!? すごい音しましたよ? 』

 

 

 俺は画面に表示されたそのメールの内容に言葉を失うどころか、衝撃のあまり携帯を床に落としてしまった。

 

 

 そのメールには一文字も文字がなく、一枚の画像が添付されていただけだった。

 

 

 撮影場所は屋内。――おそらく、彼女の家にあるどこかの部屋だろう。カメラを持ち上げて撮影されたらしいその写真は、一ノ瀬さんらしき女性を上から見た姿が写っていた。

 

 

 写真に写っている彼女は服を身につけていなかった。

――いや、完全な素っ裸というわけではなかったが、おおよそ「衣服」と呼ばれるようなものを身に着けていないのだ……。

 

 

 画像の中の一ノ瀬さんが身に着けていたもの……。それは、たった一枚のバスタオルだった。彼女は白いバスタオルをラップタオルのように体に巻きつけた姿で、堂々と写真に写っていた。

 

 

 そんな、彼氏や夫以外には決して見せてはいけない、あられもない姿。以前撃退した男のような変質者を、大量に生み出してしまうような、艶めかしく、無防備極まりない姿。

 

 

 その他にもう一つ、俺の度肝を抜いたものがあった。

 

 

 写真のちょうど中心。彼女の格好よりも先に、目が留まるであろう被写体。

それは、彼女の胸部――。つまりは、おっぱいだ。

 

 

どぅおぉったぷううぅぅん……♡♡ たゆん♡♡

 

 

 彼女のおっぱいは、普段の姿からは想像もできないほどに大きく、豊かだった。

 

 

 いかにも女性らしい細い肩幅にぶら下がっている二つの果実は、まるで後から付け足したかのような違和感を覚えさせる。

……がしかし、肌のどこにも切れ目や手術痕の類はない。

 

 

 ということはつまり、写っているそれは正真正銘、彼女が生来持っている本物のおっぱいということだ。

 

 

 その大きく突き出た二つの膨らみの間に刻まれたI字の谷間は、俺の片手がスッポリ収まってしまいそうなほど長く、陰影は夜道のように深く、そして暗い。

 

 

ぎゅうぅぅ……♡♡ ぎゅっ、ぐぐっ♡♡ むちっ♡ ムチチッ……♡ 

 

 

 また、“そうしないとタオルがずり落ちてしまう”のか……。カメラたる携帯を持っていない方の腕は、デカチチを正面から抑えている。

そのため、片乳の長さと横の広さ――。つまり、そのおっぱいは、女性の広げた手など軽く凌駕する大きさである事が一目で分かる。

 

 

 ――いや、わからされてしまう。

 

 

「……あの時感じた柔らかさと弾力は、気のせいじゃなかったのか」

 

 

 落としてしまった携帯を拾い上げ、改めて彼女の……。一ノ瀬さんの、嘘みたいな本物のスタイルが写った画像と相対する。

 

 

 携帯の液晶画面は、床のゴミなんかで反応するわけもなく、一ノ瀬さんのバスタオル姿はホーム画面の壁紙のように画面のほぼ全てを占領している。

だが、今はそれが嬉しくもある反面、恨めしくもある。

 

 

『もしも~し! おにいさぁ~ん、大丈夫ですか? 私の声、聞こえてますかぁ~~!!』

 

 

 なんの前触れもなく送られてきた女性の……それも、ほぼ裸といえる画像。それは自他ともに認めるくらい色褪せた青春を送ってきた俺には、火に油を注ぐ以上に効果を発揮した。

 

 

 俺は久しく感じていなかった股間が膨らむ感覚から逃げるように、画面の右上隅に表示されていた受話器のマークをタップする。

画面は即座に彼女のバスタオル姿の表示を止め、黒背景の通話画面に切り替わった。

 

 

 しかし、一ノ瀬さんの目を疑うようなスタイル。

特に、これまでは別次元に隔離していたのかと思う程、パンパンに膨らんだ双丘は、たとえ交通事故に遭ったとしても忘れないと断言できるくらいに強く脳に残った。

 

 

「ッッ!! ――あぁ、ごめん! 大丈夫、ちょっと手が滑って携帯を落としただけだから……」

 

 

『そうなんですか、良かった。――まぁ、今日すごい降りましたからねぇ、雨。私も、大学終わってさぁ帰ろうと思ったらすっごい土砂降りでぇ――――』

 

 

 一ノ瀬さんはこちらを心配するだけで、深く追求はせず、俺の言葉からいつものように日常の雑談をはじめた。

 

 

 その内容は主に、雨のせいでせっかくの化粧が台無しになった。

みたいな、当たり障りのない愚痴だけだったと思うが……正直、あまり記憶に残っていない。

 

 

 ――それだけ、送られてきた画像のインパクトが強すぎた。

 

 

『どこのコンビニも、雨具だけキレーに売り切れてたのには、笑っちゃいましたもん。店内も明らかに雨宿りしにきた人達でいっぱいでしたし……。おにいさんもしっかり身体温めてくださいよ? もうすぐ、約束の日(デート)なんですから……』

 

 

「うん、そうだね……。心配ありがとう。――でも、大丈夫。さっき十分体温めたから」

 

 

『それなら良かったです……。もし、直前になって「風邪引いたから行けなくなったぁ」なんて言ったら、死ぬまで恨んでましたからね!』

 

 

「ハハハ……。それは恐ろしいね」

 

 

 俺はそれ以上会話を続けて、下手にボロが出るのを防ぐために、通話を切ろうとした。

だけど、コッチがそれを切り出すよりも早く、彼女が続けて喋りはじめた。

 

 

『あ~あぁ。それにしても、せっかくの下着が台無しになっちゃったぁ。本当は日曜日に着ていくつもりだったのになぁ……♡』

 

 

「ッッ!?」

 

 

 それはまるで、見計らったかのようなタイミングだった。

 

 

 電話口から『下着』という単語が聞こえたその瞬間――。

脳内で完成間近だった電話を切るための自然な文章が、一瞬にして瓦解し、あの画像一色に染まる。

 

 

 慌てて消し去ろうと意識すればするほど、脳が機能すればするほど……それはより鮮明に。そしてより艶やかに……。

まるで、直接見たかのように、脳裏に浮かんでしまう――彼女の恵体(おっぱい)。

 

 

ぼおぅゆううぅぅん……っっ♡ たゆん、たゆゆんっ♡♡ ――むっちちぃ……♡

 

 

 小学生が、ボールを服の中に潜ませて「おっぱいがおっきくなったー!」などとふざけている姿をたまに見かけるが、彼女の胸はまさにそれが現実にしたものだった。

 

 

 本来であれば、人間の女性の身体など簡単に覆えたであろうバスタオル。

しかし、画像内で彼女が身に着けていたタオルは、ただ結ぶだけではその役割を果たすことはできず、さらに外から抑え込む必要があった。

 

 

 そうする理由はもちろん――彼女が生まれ持った爆乳である。それがあまりにもデカすぎて、そうしないとかけたそばからずり落ちてしまうのだ。

 

 

『んも~っ。こんなんになるんだったら、ちゃんと洗濯しておけば良かった~! 仕方ないからちょっとキツイのを我慢してまでJカップブラ着けていったのにぃ~~♡! さいあく~~!!』

 

 

「……っ!?」

 

 

 Jカップ。電話の向こうの彼女は、今たしかにそう言った。それもただのJカップではない。その前に「ちょっとキツイ」という前置詞がついていた。

 

 

 それ即ち、彼女のおっぱい。今しがた送られてきた画像のの中で……バスタオルを突き破らんとしていたデカチチは、それ以上の大きさということになる。

 

 

「――――ゴクッ。……でっか」

 

 

 無意識に生唾が喉を下り、口は頭に浮かんだ文字が脊髄を通さずにそのまま吐出する。

だがそれも、仕方がなかった。

 

 

 青春のほぼすべてを警察官になるための勉強に費やしてきた俺にとって、親族を除く身近な異性といえば、警察学校の同級生くらいだ。

そして、俺が在学中だった頃はまだ、今ほど異種族たちが世に浸透していなかったため、彼女たちは皆普通の人間だった。

 

 

 それでも、いわゆるマドンナ的存在はいた気がするが……。

 

 

 海馬の奥底に焼きついている一ノ瀬さんのおっぱいに……。Jカップという信じがたい最低保証と渡り合えるほどのバストをした子はいなかった。

 

 

『ん? ――あっれぇ~~?♡ おにいさんってば、今……「でっか」とかなんとか言いませんでしたかぁ? いったい、“なに”が大きいんですか~~? 私にも教えてくださぁ~い♡♡』

 

 

 自分でも制御できなかった言葉が、受話器の向こうにいる彼女に聞こえていないわけもなく……。

一ノ瀬さんは、いつだったか……俺に抱きついてきた時のように、妖艶で蠱惑的な声色で俺に質問してきた。

 

 

「そ、それはその……。あ、アレだよ! 今日は久しぶりにお好み焼きを作ったんだけど、思いのほかサイズが大きくなっちゃって……。それで、どうしようかな~って思ったんだ」

 

 

『へぇ~♡ そうなんですかぁ……それは、困りましたね~♡♡』

 

 

 一ノ瀬さんは俺がひねり出した苦し紛れの言い訳に対し、一応は納得したような返事をした。

だが、それは文面だけで、その口調は明らかに、俺の言葉が指し示していた本当のものを見抜いていた。

 

 

『私も、お好み焼き大好きなんですけどぉ……あんまり上手く食べられないんですよねぇ♡ 特に、鉄板の上でも具が漏れ出ちゃってるような特盛サイズとかぁ……♡♡ あとは、もんじゃ焼きとぉか……っ♡』

 

 

「へ、へぇ~……。まぁ、確かに……女性だと、ただ大きいってだけで一苦労するだろうね」

 

 

『ふふっ♡ そうなんですよ~♡ それに私、結構“濃い”味が好きみたいでぇ……♡♡ ソースとかマヨネーズとか……そういうの、い~~っぱいかけちゃうんですっ♡』

 

 

 最初はただ愚痴を漏らしていただったはずの一ノ瀬さんの電話。

だが、俺の一言を聞いてからは、明らかに別の目標が定められた。

 

 

『だからぁ、いっつも食べ終わったら、お腹は一杯になるんですけどぉ……♡ 口まわりだけじゃなくて、いろぉ~んなところがベタベタに汚れちゃうんですよぉ~……♡♡ ――それこそ、今日みたいな急な雨に降られたみたいに……っ♡』

 

 

 今聞こえている声は、あらかじめ携帯に登録されている合成音声だとは、とても信じられないくらい生々しい。

詳しいことまではわからないが、それが専用のプログラミング言語で構成されているくらいの事はわかる。

 

 

 つまり、それには一切の感情やその起伏などはない……はずだ。

――そのはずなのに……マイクから聞こえてくる女声は、過剰なまでの色気と湿気を帯びたまま、まるでミミズのように耳の奥へ奥へと這い進み、脳内にすり入ってくる。

 

 

『そんなわけで、わたしぃ……♡ お好み焼きみたいな鉄板料理は、基本おうちでしか食べないんですよねぇ……♡♡』

 

 

「そう……なんだ」

 

 

『あ~あ……♡ でもなんだか……おにいさんの話聞いてたらぁ、私も久しぶりにお好み焼き食べたくなってきちゃいましたぁ♡♡ おにいさん、せ・き・に・ん♡ とってくださ~いっ♡♡』

 

 

 唐突に送られてきたバスタオル一枚姿の自撮り写真。

サラリと告げられた20代の――。いや、人間にしてはとても大きすぎるJカップ以上のバストサイズ。

それらの情報だけでも俺の劣情は、表面張力でなんとかこぼれずにすんでいるコップいっぱいの水のようにギリギリまで高まっていた。

 

 

 しかし、一ノ瀬さんはまるで今日の豪雨のように、その攻め手を緩めない。

 

 

 むしろ、それらの情報がさらなる濁流の起点となるような情報を次から次へと送り込んでくる……。

 

 

 ――当然、俺の脳内でデカデカと存在を主張している彼女の超グラマラスボディの想像は、さらに卑猥に、淫乱なものへと進化していく。

そして同時に、緩い部屋着を着ているはずなのに、股間部分の布だけがさっきよりもさらにキツく、窮屈になってきた。

 

 

『そうですっ!♡ 作りすぎたって事はぁ、タッパーに入れたり、ラップで包んだりして保存しますよね?♡♡ ――じゃあ、今度おにいさんの家にお邪魔していいですかぁ?♡ 私、一緒にお好み焼きパーティしたいです!♡♡』

 

 

「うんうん、お好み焼きパーティね……。――――えっ!?」

 

 

『ダメ……ですか?♡ どこかのお店とかなら、店員さんやその他大勢の人に見られちゃうんで私もイヤなんですけどぉ……♡♡ おにいさんなら、別に問題ないじゃないですかっ♡ だって、私をそういう危ない人から守ってくれましたし……♡♡』

 

 

『――――それともまさか……。おにいさんも、私のカラダで何か“アブナイ”こぉ~とっ♡♡ 考えちゃったりぃ、するんですか……?♡♡』

 

 

「……うっ!!」

 

 

 肯定でも否定でもない、どっちつかずな空っぽの返事をしていたら――いつの間にか、退路が完全に塞がれていた。

 

 

 脳裏には、あの夜道で助けた時の怯えきった一ノ瀬さんの顔。

それから毎日のように見せてくれている、「天真爛漫」という言葉がピッタリな満面の笑顔。

そして、今日見た……あの信じられないほど魅力的で、男の劣情を最高に煽る豊満すぎるカラダ。

 

 

 それらが、走馬灯のように……。スロットマシンが回転する速度の何倍、何十倍もの速度でループ再生される。

 

 

「そ、それは……」

 

 

 YES(はい)とNO(いいえ)。どちらで答えたとしても、これまで培ってきた信頼や、好感度を無にしてしまう……。そう判断した結果、俺の口をついてでたのは、そんな誤魔化しすらできない最高に曖昧なものだった。

 

 

 さすがの俺でも、それがこの状況において最も最悪な回答だということは分かる。

そうでなくても、仮にも、警察官という一番身近な法の番人になることを目指していた男がするような――していい回答ではない。

 

 

『……』

 

 

「……」

 

 

 俺の回答のあとに訪れたのは、しばしの沈黙だった。俺も彼女も屋内で電話しているから、風の音一つしない。

 

 

(やっちゃった……。もう二度と、挨拶をしてくれなくないだろうなぁ。一ノ瀬さん)

 

 

 永遠にも感じられる数秒の沈黙の中、俺はそんな事を考え、少しばかり寂しい気持ちになった。

だが、本を正せば自分の言動が原因であり、むしろ今までが良く言えば幸運、悪く言えば突飛すぎただけともいえる。

 

 

『…………ぷっ♪』

 

 

『ふふふっ、アハハハハッッ! な~んてっ♪ 本気で落ち込まないでくださいよ、おにいさん。――んもぅ……ほんっと、心配しちゃうくらい純情なんですから……♡』

 

 

 そんな一種の寂寥感を感じさせる静寂を破ったのは、彼女……。一ノ瀬さんの気持ちの良い笑い声だった。

その声はあたりに漂い始めていた気まずさを一瞬にして吹き飛ばし、まるで朝日のように場を明るくした。

 

 

『確かに私、外食はほとんどしませんけど、外出る時は基本“見られても恥ずかしくない格好”にしてますよ。おにいさんとはじめて会った日から、ずっとそうだったじゃないですかぁ! んもう……♡』

 

 

「――あっ。言われてみれば……確かに」

 

 

 画像のインパクトに気を取られすぎて忘れていたが、確かに彼女の言う通りだった。

 

 

 初対面の時はもちろん、連絡先を交換したあの時も……。彼女のボディラインは目を疑うほどの凹凸はなく、むしろその逆――。

多少の膨らみはあれど、真っ直ぐ線を引いたようにスレンダーだった。

 

 

 それになにより、今この瞬間まで一ノ瀬さんは一言も「あれは私だ」とは言っていない。

ただ、俺が勝手に早とちりをして、そうだと決めつけていただけだ。

 

 

(そういえばそうだった。……というか、そもそも俺は、彼女のそういう姿しか見たことがないから、逆にあの写真が気になったんじゃないか)

 

 

 だが、そうだとすれば疑問が残る。

 

 

 あの画像……。間違いなく一ノ瀬さん本人のメールアドレスから送られてきた、あのバスタオルを巻いた巨乳の女性は、いったい誰だったのだろう……。

 

 

 ネットにあった画像を適当に拾ってきたのだろうか……。だが、それならわざわざ電話をしてまで知らせる必要などはないはずだ。

それとも、まだ俺が知らないだけで、彼女はそれほどまでにイタズラにそれだけの労力を割く茶目っ気多い性格なのだろうか……。

 

 

『ふふっ♡ おにいさんが今考えてること、当てましょうか?』

 

 

 しこりのように残った謎について、あれこれ考えを巡らせていると、電話先の彼女から、読心術でもされたようにドンピシャの言葉が告げられた。

 

 

『多分ですけど……「私のアドレスから送られてきてたあの画像に写っていたのは誰か」って考えてるんじゃないですか?』

 

 

「うん……はい。その通りです」

 

 

『ふふふっ、やっぱり……♡ 思った通り♡♡』

 

 

 どうやら俺がこの考えに至ることを、彼女は予め予想していたらしい。――いやこの場合は、そうなるように誘導されていたといったほうが正しいだろう。

 

 

『安心してください、おにいさん♡ あれは造り物の画像でもなければ、インターネットから拾ってきたどこかの誰かでもないですよっ……♡』

 

 

「じゃあ、誰なんですか? あの画像に写っていた方は……」

 

 

『んもぅ! 「方」だなんて、そんな他人行儀な言い方……あんまりですおにいさん! あの画像に写ってるのは、間違いなく本物の私……。一ノ瀬美樹ですよっ♡♡』

 

 

「は? ……えっ。今……なんて言いました?」

 

 

『だ~か~らぁ……っ♡ 私がわざわざこうして電話してまで教えた、あのお風呂上がり感まるだしなバスタオル一枚のエロエロ自撮り画像に写ってるのはぁ……♡ 今、こうしておにいさんとお話してる、私なんですっ♡♡』

 

 

「…………」

 

 

『さっき言った通り、雨でずぶ濡れになったので帰ってすぐシャワー浴びて、そのすぐ後に撮った……隣に住む現役女子大生の更衣室(さんち)直送ホヤホヤ生写真ですよっ♡♡』

 

 

「…………はあアぁァァぁぁっ!!?」

 

 

 明日の朝、新聞とともにご近所さんからの苦情の手紙が投函されていそうなくらいの大声を張り上げてしまった。

 

 

「――――!! も〜っっ!! おにいさんってば声大きすぎですっ! この間の仕返しのつもりですか??!」

 

 

 それを直接聞いた一ノ瀬さんからは、過去一番に強い注意をされたが、そんな事を気にする余裕はない。

 

 

「いや、だって。――そんな……えっ!? 本当ですか?」

 

 

「これまでで一番失礼な質問なの、わかってますか? おにいさん」

 

 

「それは重々理解してます。でも、その……どうも信じられなくて……」

 

 

「信じてください。第一、こんなことで嘘ついたら、私――ただの悲しい変態じゃないですか!」

 

 

 俺の言葉が、ぐうの音も出ない正論で全弾返り討ちにされる。だけど、やはりどうしてもスルッと納得はできない。

 

 

 それくらい、俺が普段目にしている彼女の体型と、画像の中の彼女の体型には違いがあるのだ。

 

 

「んも〜っ、しょうがないですねぇおにいさんは……っ♡ それじゃあ今から、ちゃんと顔も全部写ってる写真送りますから♡♡ ――それなら、疑いようもないですよねっ?♡」

 

 

「い、いやいやいや!! それは待ってください!! 流石にそれは、申し訳がたたないというか……」

 

 

「なら、どうしたら信じてくれますか?」

 

 

「――ちょっと、時間ください」

 

 

 いったんそこで会話を切り、まだ混乱状態にある頭をなんとか働かせて案を練る。

思考材料として、送られたあの画像を再び全画面表示する。

 

 

「…………」

 

 

 音楽や動画はもちろん、思考の妨げになるような雑音が一切ない静けさが、再び訪れる。

 

 

 もちろん、それは一ノ瀬さんも例外じゃない。彼女は電話を繋いだまま、無言でいてくれている。

 

 

(これが本当の……一ノ瀬さんのスタイルッ! なんというか……ただただ、スゴイ!!)

 

 

 改めて添付されていた画像に目を配る。

 

 

 意図的かどうかはわからないが、顔や目元などの個人が特定しやすい部位は除外されているその写真。

 

 

 それはまさに、本来主役を務めるはずだった顔を追いやり、“顔よりも大きい爆乳”が主役を奪った――いわば下剋上が成った決定的証拠のようだった。

 

 

「ゴクッ…………」

 

 

 そして――というかやはり……。

 

 

 娯楽や誘惑が無数に存在する現代においても、女性の胸は男にとって唯一無二。そして、最強のモノであるらしい。

 

 

ググッ……! ――グググググ……ッッ!!

 

 

 その証拠に俺の股間はとうとう、どうあがいても誤魔化しきれないほどに天高く突き出ていた。

 

 

(これが――これだけの質量と迫力を兼ね備えたおっぱいが……俺の体に、当て潰されていたのかっ。それも、真正面から……)

 

 

 画像の人物の正体を知った直後から、俺の脳にこびりついて離れない一つの光景(おもいで)――。

それは、デートの約束をしたあの日。彼女本来の匂いや体温を感じれるほど強く、抱きつかれた時の景色だった。

 

 

(もしも、あのとき。俺の方からも抱き返していたら、どれくらい……)

 

 

 してはいけない。してはいけない。

そう頭の中で何度も反芻し、叫ぶように、唸るように念じる。

 

 

 ……だが、どれだけ繰り返したところで少しも効果はない。

それどころか、逆効果でしかなかった。

 

 

(――――どれくらい、気持ちよかったんだろう)

 

 

 そういった性欲や肉欲を満たす事だけを目的とした邪な感情や考えが、まるで蛆虫のようにワラワラと湧き上がってくる。

 

 

「ダメだ。これ以上考えるのは止めよう。冷静になりたいし、一回電話を切っ……」

 

 

ブー! ブー! ブー!!

 

 

 通話画面に戻り、画面の下中央にある赤い通話切断ボタンをタップしようとしたその時――。

また新たに、一ノ瀬さんからメールが届いた。

 

 

 通知欄に表示された件名には『まだ切っちゃヤです♡』と書かれているところを見ると、今まさに書かれたメールのようだ。

 

 

 今度のメールには二枚の画像とともに、「これで信じてくれますよねっ♡」という短い本文が添えられていた。

 

 

(こ、今度はいったい……。どんな写真を――)

 

 

 期待と恐怖が半分ずつ……。いや、正直7~8割は、新しい画像の内容に期待していた。

ともかく、もうそれくらいしか理性が働かなくなった頭で、おそるおそる添付されていた画像の一枚目をタップする。

 

 

 そこに写っていたのは……。

 

 

たるっ……ぷううぅぅん♡♡ むちっ……♡ ――むゆん♡ ぎちっ、むちちいぃぃ……っっ♡♡

 

 

 そんな効果音(オノマトペ)が、漫画みたいに文字として出てきそうな圧倒的ボリュームを持つおっぱい。

鍛え上げられたボディビルダーの大胸筋のように、デカデカと広がっているJカップ以上の特大おっぱいが、ピンク色のブラジャーに収められている画像だった。

 

 

「うわっ。ホントにおっっき……。なんだ、コレ……」

 

 

 その画像は一瞬にして、語彙力のすべてを奪い去ってしまった。それほどに、この画像のインパクトは……一ノ瀬さんの胸は凄まじい。

 

 

 先に送られたバスタオル姿の画像とは違い、鏡を巧みに使い、真正面から撮影されたその写真。胸を少しでも強調するためか――腕は両方とも背後に回されていて、ブラ以外におっぱいを遮るものはなにもない。

 

 

 実に画像全体の6割強ほどを占める大きさの一ノ瀬さんバスト。

それは、バスタオル姿の画像……。つまり、上から見下ろした画角では分からない事実であり、目を丸くせずにはいられなかった。

 

 

「――いや、まずこんなサイズの、ブラジャー……。今まで、見たことない」

 

 

 だが、正面から送られたこの画像で、まず一番最初に驚いたのは、彼女がつけていたブラジャー。ひいてはそのカップ生地の大きさだ。

 

 

 今までろくに女っ気のない人生を送ってきた俺にとって、ブラジャーを目にする機会など、ほとんどない。幼少期に見た母のそれを除けば、あとはせいぜいテレビのCMくらいだ。

 

 

 テレビコマーシャルのような数十秒程度のショート動画であっても、写真と同様、視覚に訴える手法なのは変わらないだろう。となればまず第一に、見栄えが優先される。

そのためか、何かとコンプライアンスが厳しい昨今でも、使われるのはマネキンではなく本物の女性であることが多い……気がする。

 

 

 しかし、過去これまで見たどのCMを思い返しても、画像の中で一ノ瀬さんがつけているような、女性の顔をも覆い隠せてしまえるくらい巨大なブラジャーをしたモデルは一人もいなかったように思える。

 

 

 一個人のつけているブラと、大衆向けに制作された映像に出てくるブラを比較するのは酷かもしれない。

――が、それを差し引いても、一ノ瀬さんのつけているブラは、CMに出てきているブラを複数個縫い合わせないと、同じ面積をカバーできないほど大きい。

 

 

 わかりやすく例えるのなら、一ノ瀬さんがつけているブラジャーはさしづめ、丼専用の食器であり、CMに出てくる数多のブラジャーはお茶碗といったレベルだ。

 

 

 ……いや、これでもまだ正確さには欠けているかもしれない。

 

 

『おにいさんのエッチ♡ もう、全部声に出ちゃってますよ~っ♡♡』

 

 

 携帯に内蔵されたスピーカーの向こうから、一ノ瀬さんが楽しそうに俺をからかう声が聞こえる。その声色はなんだか、幼い子供を見る母親のように優しかった。

 

 

「なっ、しまっ――!! いや、でも……俺、本当にこんなサイズの、見たことなくて……。というか、ドコに売ってるんですか? こんなの……」

 

 

『へぇ~、開き直っちゃうんですねぇ♡ おにいさんってば、かわいい♡ ふふっ、そうですねぇ……。そんなに気になるならぁ……♡ ――今度。ううん、日曜日……一緒に買いに行きますか?♡ これの他にもぉ……も~~っとおっきいサイズとかもぉ、たぁ~っくさんありますよ♡♡ ――あんまり私の好きな柄じゃないのが、欠点ですけど♪♡』

 

 

 からかいはするものの、コチラの気持ち悪い言動に決して引かない一ノ瀬さん。それどころか、さらに欲情させるような言葉を紡いでくる……。

 

 

 俺は見たことがないが、実際にこうして着用した画像を送られている以上……彼女の言葉は嘘偽りのない真実なのだろう。ということはつまり、「これ以上のサイズも、たくさんある」という一言も事実である。

 

 

 そこが専門店であろうとなかろうと――。普通に考えて、一般的なランジェリーショップと同様に、ズラリと商品が並んでいるのだろう……。

人間一人の顔くらい、余裕で隠せるほどのサイズをした商品(ブラ)が所狭しに……。

 

 

「ゴッッ、ッキュ……」

 

 

『うわっ、滝みたいな音しましたよ……今っ♡♡』

 

 

 口の中に元々あった水分(だえき)だけでなく、数秒先の未来の分も含めたくらいの大量の唾が、喉を嚥下する。

一ノ瀬さんにはもはや、ちょっとバカにしたような口調でそれを指摘されてしまった。

 

 

 だけど、そんな事……もはやどうでもいい。

 

 

「…………」

 

 

 いかんせん、脳にある参考資料が乏しいため、よく服を買いに行く一般的な人間族の庶民向け服屋の内装を思い浮かべる。

 

 

 3~4メートルの長さをしたハンガーラックに、隙間なく掛けられた大量の服。それを脳内で、一ノ瀬さんサイズのブラジャーに一斉変換する。

 

 

「──ッッッ!!」

 

 

ぴゅ──びゅぶっ♡

 

 

 小説やドラマにもよく使われるであろう、極々ありふれた日常の風景が、瞬く間に、官能小説やAVでも滅多に見ないほど下劣で、淫猥極まるものに一変した。

 

 

 あまりの変わり具合と、これまでの電話で高められた性欲――。そして、まるで世界中の美女が一堂に会した極上ハーレム。その主になったような……。

 

 

「小学生の夢でも、もう少し現実味があるぞ」

 

 

 ――そんな冷静で無慈悲なツッコミをされてしまいそうなくらい莫迦莫迦しい妄想に、ブレーキ役の理性は根負けし、少しではあるものの……性器(チンポ)の先端から尿以外の液体が漏れ出てしまった。

 

 

『――お・に・い・さん♪♡』

 

 

「――――っっ!!! な、なな……なんでひゅか!? 一ノ瀬さぁん!」

 

 

『なんでそんなに慌ててるんですか、もぅ……♡ イントネーションも、変なところで上がってますよ……』

 

 

「す、すみません……。なんでも、ないです」

 

 

 「妄想がいき過ぎて、少し漏らしました」――なんて、バカ正直に告白できるわけもなく、俺は動揺をほぼそのまま彼女に伝えてしまった。

だが、一ノ瀬さんはそれ以上俺の様子について深堀りすることはなく、話を先に進めた。

 

 

 ……どうやら、確認したいことがあるらしい。

 

 

『それで、全部見てくれましたか? 画像♡ ――これ以上の証拠はもう、直接見せるしかないと思うんですけど……♡♡』

 

 

「――へ? 証拠って、いったい……。 あ……」

 

 

『それも忘れちゃってたんですか!? ブラジャーだけでそんなになるなんて……。警察官になっても、色仕掛けとかですぐに懲戒解雇されてたんじゃないですかぁ? ここまで純真だと……』

 

 

「面目次第もありません……」

 

 

 俺は衝撃ですっかり頭から抜け落ちていたが、そういえば元はそんな話題だった。

 

 

『まぁ、いいですけど……♡ って事は、まだ二枚目は見てないんですね?』

 

 

「そう、ですね……。なにぶん、一枚目のインパクトが強すぎて……」

 

 

『嬉しいこと言ってくれますね、おにいさんっ♡ それじゃあ、お礼にもっとおにいさんを驚かせてあげますっ♡♡ 今さっきまで夢中だった、私のブラジャー姿の写真……♡ それを見て何か、そうですねぇ……“違和感”とかありませんか?♡』

 

 

 このたった数分で通報されてもおかしくないレベルには、変態発言や行動を繰り返している俺。

だが、電話口の一ノ瀬さんはまるで変わらず――朝に挨拶している時と同じテンションで、優しく語りかけてくる。

 

 

「『違和感』と言われても……。俺、こういうのもあまり見てこなかったので……別にぃ」

 

 

『そういえばそうでしたねっ♡ ――それじゃあ、おにいさん。写真の中の私がつけてるブラのぉ、カップ部分の縁をよぉ~~っく、見てみてくださいっ♡♡』

 

 

「ふ、ふち……ですか?」

 

 

 彼女の言葉に従い、視界の焦点を胸とブラ全体から、バストを支えているカップ生地の端へと変える。

 

 

(――やっぱり……何回見ても、スゴイ大きさだ。言葉が、すぐには出てこない……)

 

 

 二十数年の長い人生の中で、未だに手の指で数えられる程度しか見ていないからだろう。まるで、美術館に飾られた名画を鑑賞するような真剣さで、ディスプレイに映るお隣さんの艶体を凝視する。

 

 

 純粋なピンクというよりは少し違う。所謂、ローズピンクと呼ばれるような、多少赤みが混じった桃色のブラ。

それは、デザインに重きをおいてはいないのか、大きい柄やフリルといったものはついていない。

 

 

 そのブラが何よりも重点的に視ていたのは、ただ一つ……。

 

 

 それは、ブラジャーという下着そのものが存在する意味であり、世の女性たちが装着する意味。そして、一ノ瀬さんのような、破格のバストサイズを持つ女性にとっては、何より大事なことだろう……。

 

 

「その包んだおっぱいをキチンと支えること」――――。

唯、これに尽きた。

 

 

 ありえないほどに盛り上がったカップ部分には、ほとんど装飾がなく、下乳を受け止めるためのパッドをただローズピンク色の布で包んだだけの無地という有様。

否――カップ部分だけではない。その上に続いている肩紐(ストラップ)の部分も……カップ部分の左右から伸びた両腕(アーム)も……全て、中に入っているであろうワイヤー等の金具をただ包んだだけだった。

 

 

 花の女子大生が……。それも、一ノ瀬さんのような絶世の美女と他を圧倒するスタイルを兼ね備えた超人が身につけるには、あまりにも地味すぎるブラジャー。

 

 

 だが、その地味さは逆に、「それら以外は不要」という強者だからこそ主張できる無言の宣言だった。

 

 

 俺がこれまで見てきたCMで紹介されていたブラジャーを筆頭に、この世にごまんとあるブラジャー。

 

 

 おそらく、その殆どが、着た人物をよりオシャレにするために、柄やレースなどが刺繍されているだろう。

そして、各メーカーは少しでも他者よりオシャレな製品を開発するために、日夜血の滲むような努力と研究を重ねていることは想像に難くない。

 

 

 しかし、写真内で彼女が身につけていたブラジャーは、そういった長年の研究と努力の末に積み重ねられてきた成果を、呆気なく一蹴する暴挙だった。

 

 

 彼女が、僕の――自他ともに認める――単純さと同等にお洒落に対し無頓着ならば、良かったかもしれない。

 

 

 しかし、現実はいつになっても残酷なままだ……。

 

 

 僕への態度が軟化する以前から、彼女のファッションセンスはとても良い。

初対面の人に限らず、芸能事務所の人にも「彼女は今度デビューするファッションモデルです」と紹介すれば、なんの疑いも持たずそれを信じるくらいに……。

 

 

 実際、男の僕でも、出会った頃に彼女がしていたスタイリッシュ系のファッションに憧れた回数は少なくない。

 

 

 そしてもし仮に、俺が女性に産まれていたのなら、間違いなく彼女のファッションを参考にしただろう。

きっとその場合は彼女も、俺が同性であるため、最初から今の調子で気安く相談に乗ってくれたに違いない。

 

 

 まぁ、つまるところ……。

 

 

 彼女がそんなブラをつけているのは、どう考えても“恣意的(わざと)”であることは疑いようがない。

 

 

『あっ、おにいさんの息の音……おっきくなった♡♡ ホント、おっきな子供みたいでかわいっ♡ ――それで、私のおっぱいに興味津々になるのはいいですけどぉ……♡ 疑問点は見つかったんですか~?♡♡』

 

 

「あっ、ゴメン……! 今、見つけるから――」

 

 

『もういいですっ♡ 私的には、おにいさんが筋金入りのおっぱい星人だってことが分かっただけで十分ですからっ♡♡』

 

 

 また少し気をやってしまっていた俺は、彼女の声で慌てて本来の目的である「違和感」を探そうとする。

だが、それを彼女が中止させた。

 

 

 いくら寛大な彼女でも、流石に時間切れ。ゲームオーバーの判定を下したらしい。

 

 

『――ところで、おにいさん。私がこの電話の最初に言ったこと……覚えてます?』

 

 

「えっ? 一ノ瀬さんが、最初に言ったこと?」

 

 

『はいっ♡ 正解を知るにしても、それを思い出してるかどうかで、ぜぇ~~んぜん、その意味が違ってきますから……♡♡』

 

 

「うーん……。最初、最初……」

 

 

 これ以上の邪念(おっぱい)を断つため、まぶたを閉じて考えに耽る。

やはり、視覚による効果は凄まじいらしく、ゆっくりではあるものの、この電話をした直後の会話を思い出してきた。

 

 

「確か……。俺が一ノ瀬さんからのメールに気づかなくて、それで怒って電話してきたんだっけ?」

 

 

『そうですよ~っだ!♡ ホントに悲しかったんですからねぇ!!』

 

 

「ご、ゴメンってば……。それで、その写真がなにか関係あるのかな?」

 

 

『あることにはありますけど……。おにいさんに思い出してほしいのは、その後の話ですねっ♡』

 

 

「その後……。――あぁ、確か互いに雨で濡れて大変だったって話したよね」

 

 

『そう、それですっ!♡ その話でぇ、私がなんて言ったか……♡ 覚えてますか?♡♡』

 

 

「ちょっと待ってね。えーっとぉ……確か、『日曜日に風邪ひかないように!』って念押しされて……」

 

 

『そうそう♪ それで、その後にぃ……』

 

 

「――――えっ……。ちょっと、待って……一ノ瀬さん。この画像のブラジャーってぇ、まさか……」

 

 

 彼女の声に牽引される形で、俺の思考は彼女が漏らした一つの愚痴にたどり着いた。

 

 

 それは今日みたいな土砂降りの天気の中、傘もささずに帰ってきた人なら、誰もが吐いたであろう愚痴。

それこそ、家について一息ついたあと、ストレスをぶつけるように吐き捨てる愚痴だった。

 

 

 しかし……。事ここに及んでは、その愚痴はまるで違う意味を持つ。

まるで、推理小説にでてくる予想だにしない伏線のように……。

 

 

『ピ~ンポ~ン!!♡ さっきまでおにいさんが、携帯に鼻息が強く当たるくらい顔を近づけて見ていたブラはぁ……♡♡ 今日の雨でダメになった、私のおっぱいにはちょっと窮屈“すぎる”Jカップブラでぇ~~す♡♡』

 

 

「ガッ……!!」

 

 

 今日何度目かもわからない驚きに、もはや言葉を出そうという気力も出ない。

つい、今しがたまで凝視していたローズピンク色の巨大無地ブラは、彼女の――一ノ瀬さん“本来のサイズ”ではなかったのだ。

 

 

『なはっ♡ おにいさんってば、漫画みたいな反応……♡♡ あ、言っておきますけどぉ、これも嘘なんかじゃないですからね~~♡ ホラ、もう一回カップの縁の所……見てくださいっ♡♡』

 

 

 彼女に言葉の先を取られた俺は、操り人形のようにまたまた視線を、下着姿の写真に移す。

 

 

『ホラ♡ カップ部分の上とか、脇に伸びてるアーム部分のト・コ……♡♡ 私のおっぱいがむにゅっ♡ って盛り出てませんかぁ?♡♡』

 

 

「で……出てる。それも、両方――」

 

 

 気づいた時にはもう、遅かった。脳が意識するよりも早く、その部分と周辺しか目に入らなくなっていた。

 

 

 彼女が指摘した場所……。ローズピンクの境界線上には、まるで項垂れるように彼女の身体――。もとい、乳肉が乗っかっていた。

それも、深夜帯にやっているような怪しい通販のダイエット食品に使われる検証映像みたいに、でっぷりと……とても美味しそうに。

 

 

『ね? これでもう、このすっご~~くおっきいおっぱいをした女性が私だってこと……♡ 信じてくれますよねっ♡♡』

 

 

「……はい。疑って、すみませんでした……」

 

 

 ここまで物的証拠を積み上げられると、信じざるをえない。

 

 

 最初に送られてきたバスタオル姿の写真……。そして、今携帯が表示している下着姿の写真。――その両方に写っている、信じられないサイズをしたおっぱい。

 

 

 市販されている人間用のダンベルと同じか、それより少し重く……。常日頃、視界の下半分を塞いでいるであろうおっぱい。

勢いよく振り下ろせば、小さな缶くらいなら簡単に潰し……場合によっては人を気絶させることすら可能かもしれない……。

 

 

 そんな圧倒的な質量をした推定Kカップか――それ以上のおっぱい。

もはや凶器と呼べるレベルの代物が、隣人の女子大生……。

それも、俺が受け止めきれないくらいの好意を寄せてくれている女の子が持っているのだ……。

 

 

『はいっ、許してあげます♡ ――それじゃ、二枚目も見ちゃってくださいっ♡♡ ……多分、今のおにいさんなら射精しちゃうくらいに興奮できると思いますから♡』

 

 

 ちっぽけな疑問に対し、これ以上ないくらいの幸福を以って回答された俺の体はもはや、彼女の言葉に微塵の疑いも持たなかった。

 

 

スーーッ。――タンッ。タッ……。

 

 

 タッチパネル上で指をスライドさせ、一ノ瀬さんの下着姿を一旦閉じる。そして、同じメールに添付されていた二枚目の画像をダウンロードし、同じように全画面表示する。

 

 

「っ! ……っっ、、、」

 

 

 二枚目の画像には人物――。つまり、一ノ瀬さんは少しも写っていなかった。場所も、更衣室ではなく、どこか別室に移っているようだった。

そして、画像の中心にはテーブルらしき板の上に、見覚えのある桃薔薇色をしたお椀型の布――その裏側が写っていた。

 

 

『今度はさすがに、何が写っているのか……♡ 言わなくてもわかりますよね?♡♡ おにいさんっ♡』

 

 

「さっきの、ブラジャー……。の、裏地――です……」

 

 

『はい、正解ですっ♡ 表面はともかく、裏面は見たことある男の人なんて……ほとんどいないと思います♡ ですから……おにいさんは他の人達の分まで、存分に鑑賞していってくださいね♡♡』

 

 

 それ以降、一ノ瀬さんは喋らなかった。――俺が二枚目の画像に夢中になるとわかりきっていて尚且つ、それを邪魔しないためだろう。

 

 

「……」

 

 

 俺はその気遣いにありがたく便乗し、俺一人だけの極秘鑑賞会を始める。

はじめて18禁のモノに触れた時とはまた違う……。なんともいえない高揚感が心に溜まっていく。

 

 

 表面から無地だった、一ノ瀬さんのデカチチを支えるには力不足なブラジャーは、裏面も同じくらい――。いや、それ以上に無機質で無骨で地味だった。

 

 

 表面は柄もないが、目立った段差等もなく、ほぼすべての生地が一枚の布で続いていた。

しかし、裏面は布を縫合する都合上、どうしてもできてしまう境目やブラ全体の形状を保つために通されているワイヤーの通り道が一目で分かるようになっている。

 

 

 それはまるで、アイドルや歌手などの著名人が派手にパフォーマンスをするステージ裏。きらびやかな舞台上とはうってかわった、暗くて地味で狭苦しい舞台裏を覗き見ているような……そんな背徳感を感じさせた。

 

 

 だが、この画像も下着姿と一緒に送信した理由はそれだけではなかった。

 

 

「――!! このブラ……まさか」

 

 

 犬のように裏返り、本来見せてはいけない部分をおおっぴろげにしてしまっているデカブラ。

そのブラには俺でも気づくほど大きな異変があった。

 

 

『あっ、気づいちゃいましたねっ♡ そうですよっ♡ このブラジャーは今日の豪雨の中、傘も買えずに全身びしょ濡れになって帰った私と同じでぇ……♡♡ ぐっしょり濡れたんですっ♡♡』

 

 

 一ノ瀬さんの誘惑(じっきょう)とともに、画像に写るブラの布地を注意深く見る。すると、全体的に色がくすんでいるのが分かる。

 

 

 さらには、ちょうど肩の真上にかかる部分や、左右のカップ部分のつなぎ目など……あまり金具の影響を受けない部分。つまり、ほぼすべてが布だけでできている部分は、まるで紙を握りつぶした時のような、細かな皺ができてしまっている。

 

 

 ――それらは間違いなく、雨で濡れたことが原因で生じた変化だった。

 

 

『し・か・もぉ~……♡ ただでさえサイズが合ってないのに、私ってばずぅ~~っと、走ってたんですよぉ♡♡ そのせいでぇ……♡』

 

 

 そしてもう一つにして、最大の異変……。それは、ブラの両腕部分の行き着く先で起きていた。

 

 

 小さな階段状に作られていて、ブラの構造上……一番の頑丈さで作られているであろう、長さにしてたった数センチ程度の僅かな場所。

 

 

 ――ブラの生命線とも呼べるホックの部分だ。

 

 

『このブラジャー……♡ もう完全にぃ、ダメになっちゃいましたぁ♡♡』

 

 

 彼女の言う通りだった。そのブラはもう二度と、ブラとしての役目を果たすことはできなくなっていた。なぜなら……。

 

 

 本来なら、そこで左右ともに同じ個数で整列しているであろう金具が、左右どちらとも……まるで虫食い問題のように抜けていたのだ。

 

 

 画像全体を俯瞰しても、抜け落ちている金具はドコにも見当たらない。

おそらく、ホコリ等の小さなゴミと一緒に、彼女の家の何処か。――もしかしたら、外かもしれないが――落ちているのだろう。

 

 

『多分ですけどぉ、雨で濡れて布が縮んだのとぉ、走ってた時に元々オーバーサイズだった私のおっぱいがぁ……♡ ばるんばるん♡♡ ゆっさゆっさ♡♡ って大きく跳ね動きすぎたのが原因(トドメ)だったみたいですっ♡♡』

 

 

 彼女がの予想はおそらく、当たっている。というより、それしか原因が考えられない。

金具が吹き飛んだ衝撃で糸がほつれ、ボロボロになっている部分があることからも、彼女の帰宅するまでの間……いったいどれだけの力が、かかっていたのかが伺い知れる。

 

 

「……」

 

 

 ホック部分が壊れた以上、このブラはもうただのゴミでしかない。修繕して使ったとしても、焼け石に水程度の延命しかできないだろう。

……いや、仮にそうしたとしても、一ノ瀬さんが使用する限り、今以上に残酷に――無惨に破壊されるだけだ。

 

 

 Jカップという間違いなく巨乳の女性向けに作られた巨大ブラでも、破壊できてしまうほどの威力を持つ彼女のおっぱい。このブラではそれを隠すことはできても、支えることはできないからだ。

 

 

 それは、女性である彼女自身が一番良く分かっているはずだ……。それなのに、彼女はそれを身に着け、その姿を撮影し、俺に送った。

となれば必然、その狙い。その目的は一つに絞られる……。

 

 

『……どうですか、おにいさん♡ 私のとっておき♡♡ 気に入ってくれましたか?』

 

 

「言う必要、ありますかね……」

 

 

『ふふっ、いいえ♡ ――私が言わせたいだけですからっ♡♡』

 

 

「それはもう……最高に、興奮しました」

 

 

『ふふっ……♡ それは良かったですっ♡♡ このJカップブラジャーも、最期におにいさんの役に立てて、本望だったと思います♡♡』

 

 

 ――――こうして、ゲリラ豪雨後の憩いの時間は終わった。正直、食べたご飯の味などほとんど覚えていないし、どうやって眠りについたかもわからない。

 

 

 その理由はもちろん……。

 

 

ビキッ! ビキビキビキイィィッ!! ギン――ギギン!!

 

 

「勃起が収まらなくて寝れない……」

 

 

 一ノ瀬さんとの会話と、送られてきた三枚の画像は朝日が昇っても脳に焼きついていて、股間の怒張が収まらなかったからだ……。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 時刻は約束の10時を過ぎ、手元の時計の長針は全体の四分の一に差し掛かろうとしていた。

 

 

 コンビニなどの24時間営業のお店だけでなく、ほぼ全ての店が今日の営業を開始し、駅前は往来する人々だけでなく、各店舗の店員が叫ぶ呼び込みの声も混じり、ますます賑わいはじめている。

 

 

 かれこれ小一時間は駅前にいるが、肝心の一ノ瀬さんらしき人影はまだ見えてこない。

 

 

「……」

 

 

 俺は周囲を行き交う人達と比べて明らかに浮いていた。……が、それは決して、彼女が遅刻している事に憤慨していたからではない……。

 

 

 むしろ、このまま現れないでいてくれたほうが良いかもしれない……そう考えているフシすらあった。

その理由はもちろん、この間送られてきたあの画像たちだ。あれから数日が経過したのに、まだ頭からは消えず、尾を引きずっている。

 

 

 しかし……そんな願いを抱いた俺を誅するように、駅前に変化が生じ始めた。

 

 

――ざわ。ザワザワザワ……。ざわっ――。

 

 

 それまではバラバラだった街の喧騒が突然、一つにまとまりだした。

 

 

 著名な芸能人を伴ったテレビのロケ集団がきているような……。海外の俳優の誰かが、お忍びで来日しているのを発見したような……。

そんな、並々ならぬ気配や緊張の高まりが、駅前一帯で起き始めていた。

 

 

「ま、まさか……」

 

 

 その原因に予想をたてながら、おそるおそる群衆の視線の先を追う。

 

 

彼らが向いていた方向は、俺がきた道――。つまり、俺と一ノ瀬さんが住んでいるアパートのある方角だった……。

 

 

「やっぱり……」

 

 

 数えるのが億劫になるほどの人混みの中であっても、彼女の位置はすぐに分かった。

 

 なぜなら――彼女の周囲にいる人達の歩く速度が、他の駅前を往来する人たちより、明らかに遅くなっていたからだ。

 

 

 遠くからでも一際、目をひくその艶やかな金髪は、ヘアゴム等で纏められず、ありのままの姿で風に揺れている。

その姿はまるで、空に架かる天の川のようで、日光の反射で目に映る眩くも儚い煌めきは、こぼれ落ちる流星のよう。

 

 

 当たり前だが、彼女は一人で……徐々に俺のいる駅前に近づいている。

 

 

 彼女を守るように立ち、力ずくで人混みをかき分けている人物などどこにもいないのに、自然と周囲の人たちが彼女に道を譲るようにしている理由は一つ……。

 

 

「――ねぇ……。今の人、鬼キレイじゃなかった!!?」

 

「ヤバかった……。ぱっとみ、人間っぽかったけど……明らか、そこらのモデルなんか軽く超えてた。身長もすっっごい高かったし……」

 

「ヤバかったよね!! なんか、ちょい慌ててったっぽかったけど、デートだったりしてぇ! ――あんなキレイな人が彼女とか、彼氏も相当なイケメンなんじゃない!!? テレビにでてる有名人と同じくらい!!」

 

「ひゃく、そうだろうね。……ま、アタシたちの周りにいる男連中は、転生したとしても無理だろうけどさ」

 

「言えてるw ――ねぇ、まだちょっと時間あるからさ、駅前でそれっぽい人探そうよ!」

 

「は? ヤダよ、そんなん。お前の道連れで馬に蹴られたくないし……」

 

「何言ってんの? わたしはその時になったら、アンタを身代わりにするから、蹴られるのはアンタだけだよ」

 

「……じゃあ、先に今蹴り飛ばしとく」

 

 

 そんな事を話しながら、彼女が歩いている方向から、高校生くらいの人間と異種族の女子ペアが、俺の横を素通りする。

後半の方は尾ひれが付いていたが、話題の中心にあった「今の人」とは十中八九彼女のことだろう……。

 

 

 つまり、性別や種族に関係なく、彼女の近くを通るほぼすべての人種が、一ノ瀬さんの女神のような外見に見惚れ、普段と同じ速度で足を動かすことを忘れてしまっているのだ……。

 

 

 ――彼女が近づいてきたことで、髪だけでなく、彼女の今日の服装もわかるようになってきた。

 

 

 所謂、オフショルダーと呼ばれる、大きくデコルテ部分を露出した大きめの白いシャツを基調とし、その上には黒のジャケットを、袖だけを通し着崩している。

 

 

 見せびらかすように露出している首元には黒のチョーカー。そして、両肩にはその下にぶら下げているあまりにもデカすぎるKカップかそれ以上の爆乳……。

 

 

 先日散々こちらの情欲を煽るために使われ、数日経過した今でもまだ強すぎる残り香を遺している、あのデカパイを支えるためだろう……。

サスペンダーのように黒い一本の帯が、両肩左右にそれぞれまっすぐ引かれている。

 

 

 ――あのあと調べて知ったのだが、Jカップもある胸は片方だけでも2.5キロ、両方だと5キロもの重さがあるらしい。

その重量は、市場に出回っている女性用の初心者向けダンベルの倍はある重さだ。

 

 

 それに耐え得るよう設計されたJカップブラを破壊する一ノ瀬さんの超規格外のバスト……。

それを支えるにはもはや、そこいらのブラでは力不足だということを、彼女の両肩に敷かれた黒い縦ラインは暗に物語っていた……。

 

 

「――――!!」

 

 

 距離が近づいたことで、彼女にも俺が見えたようだ。

それまで焦りや不安が見て取れた彼女の表情が、パッと明るくなる。

 

 

 こちらが改めて、彼女の異常なほどに発育している肢体にイロイロ想像を膨らませているとは露とも知らず、彼女はいつもどおりの元気溌剌加減で、大きく手を降って、小走り気味にこちらに駆け寄ってくる。

 

 

「遅れて、んっ……ごめんなさい……っっ!! ――ちょっと、着替えに……ハァ、はぁ……。手間、かかっちゃって……」

 

 

 日曜の午前中、駅前の大通り。そんな文字だけで大混雑が予想できてしまう道を、一ノ瀬さんは半ば無理やりに隙間を作って走っている。

一般的な女性ならば、多少ぶつかることはあったとしても、そこまで他の通行人の邪魔にはならないだろう……。

 

 

 しかし、彼女の場合は違う……。

 

 

ぼいんっ♡ ぼいんっ、ばいんっ♡ ばゆんっ、ぶぅゆうぅん!!♡♡

 

 

 いくらスポーツブラのような、通常より頑丈なブラで支えているといっても、限度がある。

 

 

 そうでなくても、彼女は今……全力ではないとはいえ、走っている。

となれば必然、彼女の両肩にぶら下がっている巨大な二つの膨らみは、慣性の法則に従い、大げさに揺れ動いてしまう。

 

 

 あたりを行き交う人の声や足音できこえないだけで――クーパー靭帯かどこかの部位が、ブチブチと悲鳴のような音をたてて切れているのではないか……。

そう勘ぐってしまうほどに、大仰に揺れる一ノ瀬さんのおっぱい。

 

 

 しかし、彼女の服はデコルテ部分の布がないのにもかかわらず、脱げたりズレているような様子はない。

――よほどキツくベルトで締められているのだろう。

 

 

 だが、その代わり……。

 

 

ぼゆん♡ ぼうぅん……っ♡ ふるふる……♡♡ ゆっさ、ゆっさゆっさ……ぷゆゆん♡♡

 

 

 そのかわり、彼女の服はまるで、胸部だけがあとづけで編集された動画のように、一際激しく揺れ動き、波打っていた。

 

 

 バンジージャンプのゴムのように、千切れこそしないものの、そこにかかっている膨大な力はひと目でわかる程に揺れ動く彼女の服。

 

 

 おそらく、あの服も最初は、洗濯用洗剤のCMに使われるYシャツと同様、シミやシワがない新品だったのだろう……。

だが、それも今日までかもしれない……。

 

 

 たった数メートル――。彼女が少しばかり歩行スピードを上げただけ……ただそれだけなのに、新品だったであろう服は、幼児が取り合ったあとのように、生地が伸びてしまっていることだろう。

それだけでも、彼女の爆乳は凄まじいものだったが、まだまだその程度では終わらなかった。

 

 

 彼女の乳房は揺れ動き、服の生地を数センチは確実に伸ばしただけに飽き足らず、自分が跳ねたその反動で、まるでゼリーのようにプルプルと震えていたのだ……。

 

 

 彼女の両肩にある黒い縦筋は、幅が3センチはある。それほどまでに力強い掛け紐を持つ特製ブラに支えられてなお、彼女の乳はその動きを止めない。

服の生地を身代わりにして胸の位置の固定化に成功している事が仇となり、彼女のおっぱいの振動が、服の上からでも観測できてしまっていた。

 

 

 正直その振動は、俺がいる位置からは、ほとんど観測できない程に小さかった。

 

 

 だが俺は、彼女の大まかなバストサイズ。そして、それを支えるために必要な、“最低限”のブラ……。

この二つの情報を知っていたため、その僅かな動きを捉えることができた。

 

 

 ――だがそれを知らなくとも、彼女のデカ乳がそうなっているであろうことは、彼女の周囲にいる人々の反応。……特に、男性を見ればすぐに分かることだった。

 

 

「やっっ……ばぁ。でっ……っっか」

 

「え? ……わっ、マジかよ、あれ……」

 

「服の上からでこれとか……エロすぎだろっ! あ~、揉みしだきてぇ……」

 

「くそ! これみよがしに揺れやがって……!! ――朝っぱらからガン勃ちして、歩けねぇよ……。クソ……ッ!!」

 

 

 ただでさえ、周囲の速度より遅く、悪目立ちしていた一ノ瀬さんの周囲。それがさらに異様な光景へと変わった。

 

 

 通り過ぎる女性は皆、立ち止まり、自然と道を空ける。一方、男は同様に立ち止まり、そして……平伏するように前かがみになる……。

まるで一ノ瀬さんをトップとした、玉座の間がそこに形成されているかのような不思議な光景。

 

 

 だけど、それも仕方がない。

例えそれが、日常の繁華街には明らか不自然な光景であったとしても、彼女の美貌とド迫力の乳を目にすれば、違和感など朝霧のように消え失せてしまうのだから……。

 

 

「すっ、すみません……おにいさん。待たせちゃいました、ね……っ」

 

 

「あぁ、いえ……そんな事ないですよ。――俺も、今さっき来たばかりなんで……」

 

 

「ふふっ、そうですか♪」

 

 

 遂に一ノ瀬さんが駅前に到着し、俺の眼の前で立ち止まった。

 

 

 古今東西――様々なシチュエーションで使われたであろうテンプレのやり取りを交わす。

一ノ瀬さんは、まさに絵に描いたようなやり取りがおかしかったのか、軽く笑った。

 

 

 その小さな笑顔だけでも、一枚の絵画の題材として十二分に使えるくらい綺麗なものだった。

しかし俺の意識はそれよりも別のものに奪われていた。

 

 

どっ、っぷううぅぅん……っ♡♡ じわっ……♡ じわっ、じめめ……っっ♡♡

 

 

 人混みの中を走りながら引き裂いてきたせいだろう……。一ノ瀬さんは約一時間前から太陽の下にいる俺よりも、大量に汗をかいていた。

 

 

 首筋や大きく開かれた鎖骨部分は滲み出た汗が日光を反射し、ラメを散りばめたようにキラキラと輝いている。

やがてそれらの汗は自然の摂理に従い、間違いなく世界に誇れるモデル級のスタイルを持つ一ノ瀬さんの中でも、特に注目を浴びるであろうその大きく出っぱった胸へと流れ落ちていく。

 

 

つ~~っ……♡

 

 

 自然と目がそのうちの一滴に……。ちょうど、彼女の鎖骨の隙間から、両乳の間に刻まれた深すぎる溝へと吸い込まれていこうとしている一つの水滴に固定する。

 

 

 彼女の乳肌は、ミストシャワーでも浴びたようにじんわりと濡れている。

鎖骨の隙間から流れ落ちる水滴はそれらの水分を吸収し、自らの体積を増やしながら――今、この駅前にいる全ての男が羨む極上の天然滑り台を滑走していく。

 

 

 そして……。

 

 

――ちゅるんっ♡♡

 

 

 先程まで、スーパーボールの如く飛び跳ね、暴れまわっていた一ノ瀬さんのおっぱい。それが如何に“平坦でないか”を物語るように……。

俺が目で追っていた汗雫は、それまでとは比較にならない速度で渓谷の内側へと消えていった。

 

 

 むわっ♡ むわわっ……♡♡

 

 

 ――瞬間。彼女の体から発せられていた匂いに異変が生じた。外にいるのにも関わらず、まるで扇風機にでもあたっているかのように、より強く、より濃く放たれた気がしたのだ。

 

 

 短い距離とはいえ晴天の下、人で作られた壁を走って突き破った一ノ瀬さん。となれば、相応に汗をかいているし、匂いも相当なものになっているはず……。

だのに、俺の鼻腔が感じ取る匂いは嗅ぎ馴染みのある汗臭さとはまるで違う。

 

 

(すげぇ、いい匂い……。この前、抱きつかれた時とは……また、違う。――なんだ、これ。女の人って、こんなに色んな匂い……するのか)

 

 

 それは花やの香りというよりは、果物系に近い香りだった。

だが無論、そこらのスーパーで並んでいるような平凡な果物ではない。

 

 

 ぐじゅぐじゅに熟れた柿以上に熟した――それこそ、桃源郷くらいにしか実っていないような果実。そんな奇跡の果物から搾り取った果汁を何倍……いや、何十倍にも凝縮した芳香。

一嗅ぎしただけで、酔ってしまいそうな程に濃厚な甘さを持った体臭だった。

 

 

 ――ここが屋外でなければ、俺はほぼ100%頭がおかしくなっていただろう……。そう、確信できる臭いだった。

 

 

「……良かったですねっ♡」

 

 

「えっ!! ――な、なにが……ですか?」

 

 

 そんな俺の内心を見透かしてか、彼女が含みを持った言葉を口にする。俺はどうあがいても誤魔化しきれない程に動揺しつつも、可能な限り平静を装ってそれに応えた。

 

 

「なにって……お天気ですよ♪ ホラ、この間は天気予報が外れて、お互い大変だったじゃないですかっ! だから私、ちょっと不安だったんです……。『日曜日も、そんな事になったらどうしよう』って」

 

 

「あっ、あぁ……! そうですねっ!! この前の大雨が嘘みたいに、いい天気ですね」

 

 

「ふふっ。声……すごくおっきくなってますよ。おにいさん。 私とのデート、そんなに楽しみにしてくれてたんですか?」

 

 

「そっ、それはもう……!! 正直、まだ少し緊張はしていますけど、男に生まれた以上……一ノ瀬さんみたいなキレイな人とこういう事になるなんて、嬉しい事この上ないですから!」

 

 

「確かに……おにいさんってば、とても緊張してるみたいですね♪ いつもより、言葉が大胆になってる気がします」

 

 

 俺の言葉を聞いた一ノ瀬さんは、軽く顔を緩ませながらこっちに近づいた。

そのまま手でも繋ぐのかと思い、片手を差し出したが、彼女はその手を握ることはなく、流れるように俺の耳に顔を近づけた。

 

 

「いいですよ……もっと、ダイタンになっても♡」

 

 

ゾクゾクゾクッッッ――!!

 

 

 走った直後で少しばかり高温になった一ノ瀬さんの体温。それと同じくらいに温い吐息とともに、艶かしい声が耳から脳へと潜入する。

一瞬で全身に鳥肌以上の“何か”が奔り、身悶える。

 

 

 彼女はその隙を見逃さず、腕と脇腹の隙間から自分の細腕を潜り込ませて俺を捕らえ、抱く。

 

 

ムニュ♡ ……むぎゅぅううっ♡♡ 

 

 

「あっ、あぁ……。い、一ノ瀬……さんっ」

 

 

 こうして、一ノ瀬さんに抱きつかれるのはもう初めてじゃない。

 

 

――そのはずなのに。彼女に抱きつかれるとどうなるのか……俺はもうとっくに知っているはずなのに……。今感じているこの感触は、それまでのどれよりもぜんぜん違うものだった。

 

 

──むっちぃぃぃっ……♡

 

 

 耳には聞こえない代わりに、俺の体内に――そして、神経に直接響くそんな効果音。

 

 

 動きを制限された状態であっても、オフショルダーの白シャツの布を持っていく程の重量と質量を持った乳肉が、俺の胸板に塗り拡げられる。

汗で蒸れているせいか……触感は少しジメッとしている。そのため、まるで静電気を帯びているかのように、俺の胸板にペッチョリと吸着している感じがする。

 

 

「し~~っ。大人しくしててください、おにいさん……♡ あんまり騒いじゃうと、他の人にバレちゃいますよ?」

 

 

 抱きついてきたのは彼女の方なのに、いつの間にか俺が悪人にされていた。しかし、その不条理に対する反論も、泡のように消えていってしまう……。

 

 

 それほどに今日の彼女は柔らかく、気持ちいい。

 

 

「私……。普段の優しいおにいさんも好きですけど、女の子じゃあ絶対に逆らえない“男性”としての力強さが前面に出てるおにいさんも好きですっ♡♡ たとえば、そう――あの時♡ あの夜に、私を助けてくれた時みたいな……強くて、カッコいいおにいさん♡♡」

 

 

 一ノ瀬さんはさらに俺の耳に顔を近づけて、そう囁く。そして同時に、彼女の抱擁が更に強くなり、俺と彼女の胸板はさらに密着した。

 

 

ふうぅ~~っわああぁ……♡♡

 

 

 まるで心太を押し出すように、拘束力が増した瞬間――彼女の全身から放たれていた極上の果実のような甘く濃い香りが、さらに沸き立った。

 

 

「また……。この――におい……。ぁ……っっ、あぁ……」

 

 

 天然温泉に浸かったような気の抜けた声が、俺の意志とは関係なく口から漏れ出てしまう。

なんとか抑えようと――正気を取り戻そうとするが、彼女が放つ体臭はもはや、違法薬物以上の中毒性を含有していた。

 

 

「おにいさん……好き、なんですね?♡ 私の匂い……♡♡ ――いいですよ♡ もっと、も~っと……♡ 好きなだけ嗅いでください♡♡ これは、“おにいさんだけが”嗅ぐことのできてぇ……♡ “私からしか”かげない匂いですから……っ♡♡」

 

 

 今の言葉になにか引っかかるものを感じたが、それもすぐに耳と鼻腔。そして胸板からの幸せすぎる感触によってかき消える。

 

 

 まだ彼女と出会って5分も経過していないが、俺の理性は既にガタガタで、なんとか正常を偽るので精一杯だった。

――実際、股間はバッキバキに勃起していたが、ちょうど一ノ瀬さんが壁となってくれていたおかげで、他の人達の目に触れることは免れていた。

 

 

「……ふふっ♡」

 

 

 しかし、言い換えるとそれは、“一ノ瀬さんにはバレバレ”ということで……。

 

 

「――そうでしたっ♡ 一言に『男らしさ』って言っても、コッチの意味もありますよね……っ♡♡」

 

 

 態とらしくとぼけて、覆い隠すように俺の股間の山に手を被せる一ノ瀬さん。

 

 

――今日はついに、触ってもらえる……!!

 

 

 そう早とちりをした俺の本能は、その期待を裏切られ拍子抜けをくらった。

――待てと暮らせど、彼女の繊細で、白子のように美しい手指は、山の麓には降りてこなかった。

 

 

ビグッ! ビギィグググッ……!! ビグン! ビグ――――さわっ♡

 

 

 癇癪を起こした赤子のように、ズボンの中で局部的な大地震を起こす俺の股間。

それでもほとんど彼女の手に届かなかったが、時折――。まるで神の気まぐれのように、彼女の指腹が山頂を掠めた。

 

 

「あっ……ふふっ♡ 期待しすぎですよ、おにいさんっ♡♡ まだお昼どころかあ~さ、なんですよ?♡♡」

 

 

 しかし、彼女は多少煽情的にこちらを諌めるだけで、それ以上はしない。――明らかに俺を焦らしにきていた。

 

 

「っ、つすぅ……すみません」

 

 

 その焦らしは、肥えに肥えた豚をマッチ火のようなごく小さい炎で炙るが如き所業で、最初の頃に比べて一ノ瀬さんについて“詳しく”なった俺にとっては、まさに拷問。

ある種の生き地獄と呼ぶに等しいものだった。

 

 

「――いいですよっ♡ さてと……それじゃあ、これ以上ここにいると、他の人の迷惑になりそうですし……行きましょうか♪」

 

 

「そう……です、ねっ」

 

 

 俺の反応を見て満足したらしい一ノ瀬さんは、股間を覆っていた手をずらし、俺の左手を握った。

俺の勃起は依然として続いたままだったが、彼女のカバンがちょうどそれを遮っていたおかげで、衆目に晒されることはなかった。

 

 

「――あの、早速ですけど……先に『お話』しておきたいので、喫茶店に寄りませんか?」

 

 

「は、はい……。構いませんよ」

 

 

 ――というわけで、先に今日の主目的である、話し合いを終わらせることになった俺と一ノ瀬さんは、近くの喫茶店を目指し歩き出した。

のだが……。

 

 

ぎゅううぅぅぅ~~~っっ♡♡ むちっ♡ むちむちっっ♡♡

 

 

「い、一ノ瀬さん……。その……もう少し、離れて、歩きませんか?」

 

 

「えっ、どうしてですか? 折角、おにいさんと私の初デートなんですから……♡ 別に腕を組むくらい、普通ですよっ♡♡」

 

 

「それは……そう、ですけど……。その、なんというか……」

 

 

 そう言いながら、一ノ瀬さんはさらに腕への組みつきを強くする。

彼女は『腕を組む』などと軽く言っていたが、実際には俺の腕は彼女に“抱きすくめ”られていた。

 

 

 つまり、彼女は俺の左腕を囲うように自分の両腕をクロスさせ、戦艦のように巨大な胸に思いっきり押し当てている。

 

 

もにゅっ♡ むにゅん……っっ♡♡ もみゅっ、ぐにゅっ……もっちいぃぃ……♡♡

 

 

 おかげで二の腕には全方位360度から、むぎゅりと押し付けられており……そのギネス級に大きいマシュマロおっぱいの圧倒的柔らかさを否応なしに感じさせられる。

 

 

にゅぷぷっ……♡ むぅにゅうぅぅん♡

 

 

 二人三脚に似た体勢のため、俺が歩いてもその振動は彼女に伝わってしまう。

その振動のせいで、彼女の胸に逆あすなろ抱きをされている俺の腕は、自然とより奥深く……より下へと入り込んでいく。

 

 

 少なくとも、喫茶店に着くまでは決して解かれないであろう腕によって締めつけられ、中央へと寄せられたおっぱいは、乳圧とでも呼ぶべき――凄まじい圧力を抱えたまま、俺の左腕を包みこんでいる。

 

 

 ――当然、腕が沈めばその分……。引き戻ろうとする動きも生じる……はずだ。

だが、俺の左腕を取り囲む分厚いおっぱい肉とそれに掛かっている乳圧は、その反動を許さない。

 

 

 にぃにゅっ……みっちゅんっ♡♡ ぐにににぃぃ……ゅちゅっ♡

 

 

 上に昇ろうとする俺の左腕を、文字通り引きずり下ろそうとするように、寄せ集まったおっぱい肉が腕に絡みつく。すると、通常のブラでは支えるのが困難な重量はそのまま――重しとなり、俺の片腕の重さを体感2倍にする。

 

 

「だっ、ダメ……ですよ? ――おにいさん♡ “まだ”我慢して……くださいっ♡♡」

 

 

 Jカップブラを容易く破壊するレベルのデカ乳による腕パイズリは、擬似的とは思えないほどに気持ちいい。

 

 

 腕には、小さな昆虫程度なら圧殺できそうなほどの乳圧が掛けられているはずなのに、感じる感触はまるで水中にいるかのようにどこまでいっても柔らかい。

 

 

 そのくせ、男としての本能が腕を動かそうと頻りに脳から伝令を飛ばしているのに、まるで物理的に切断されているかのように、ピクリとも動かない。

 

 

「わっ、分かります……わかってますよ、おにいさんっ♡ 私のおっぱい、触ってみたいんですよね?♡ Jカップのブラジャーですら、スグに駄目にしちゃうくらいおっきな私のおっぱい……♡♡ 今、おにいさんの腕を谷間の中に迎えて、むっち♡ むちん♡ って、先走りパイズリしちゃってる現役女子大生のふわムチおっぱい……♡♡ 好き放題に揉みしだきたいんですよねっっ♡♡」

 

 

 彼女の興奮を表すように、普段よりも淫語が多分に用いられている煽り言葉。

もし、俺以外の誰かに聞かれたら、それこそあの夜の再現になってしまうような……そんな言葉の羅列が、街に充満する賑わいの中、俺だけに届く。

 

 

「でも……ダメ、ですっ♡ まだ、おにいさんに……伝えてない事、あるから……♡♡ だから……」

 

 

「それが終わって、おにいさんが、今と同じくらいに、私に興奮してくれたら……」

 

 

 ――そこで、彼女の足が止まった。

そして、それを予知していたかのように、ほぼ同じタイミングで俺の歩みも止まった。

 

 

「すっ、好きに……してくださいっ♡♡ ――私の、109センチKカップおっぱい……♡♡」

 

 

 そう宣言した彼女は、腕を離さないまま俺にますます身体を寄せてきた。

 

 

 それはもはや、腕を組むというよりは、のしかかっていると言った方が正しかった。

 

 

 俺に体重のほぼすべてを預け、引きずられるようにして歩く一ノ瀬さん。

当然、俺の体には彼女の――同年代の人間の女性のソレを軽々と凌駕している、発育の限界を超えた肢体がのしかかる。

 

 

ぐにぐにっ……むちっ♡ たぷっ、ぽよんっ♡♡ 

 

 

 両の指では足りないほどのカップサイズを持つ彼女のズッシリおっぱいの侵攻は、腕一本では防波堤どころか足止めにすらならず、腕を超え胴体もその渓谷の底へと呑み込んでいく。

 

 

ずにゅ……むにゅにゅ……♡♡ ――んぐぐぐっっ……♡

 

 

 まるで底なし沼のように少しずつ……そして確実に俺の胸を横から侵略していく一ノ瀬さんの魔乳。

とても、硬くてがっちりとした下着(スポーツブラ)を着けているとは思えない程の容量があるその狭間は、まるで怪物の口のよう。

 

 

 それだけではない。正確なサイズを耳打ちされたことも関係しているのか……。先程よりも明らかに、半身を包む彼女のおっぱいの質感が向上していた。

 

 

もちっ……たぱんっ♡ ぽうぅよよんっ♡

 

 

 ――もはや、そんな擬音すら生じないような乳肉の塊。

 

 

 年末年始の特番くらいでしか見かけない、一キロあたり数万円以上する高級和牛のブロックでも、発泡スチロールくらいスカスカに思えてしまう……そんな重質量。

師範代クラスの格闘家の正拳突きですら、容易く吸収してしまうであろう、雲海を詰め込んだようなトロフワ柔乳肉……。

 

 

 それが今――――俺の左半身を包んでいた。

 

 

「ねっ?♡ ――だから、おにいさん……はやく、お店いきましょう♡♡ その……混んじゃうと、面倒ですから……っ♡」

 

 

 ――こうして俺は、喫茶店の店前に着くまで、彼女の乳獄に囚われ続けた。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「――私、実は……普通の人間じゃないんです」

 

 

「……はぁ」

 

 

 ――喫茶店に入店し、それぞれが注文したコーヒーとアイスティーが届き、店内の全員が俺たちに関する興味を失った頃……。

一ノ瀬さんは静かにそう切り出した。

 

 

「えっと、その……。半分は人間なんですけど、もう半分は違うんです……」

 

 

「――つまり、人間と別人種のハーフ……。ってことですか?」

 

 

 俺の言葉に一ノ瀬さんがコクリと首を縦に振る。しかし、それだけで彼女は話を続けようとはしない。

――おそらく、俺がどう反応するのか気になるのだろう……。

 

 

(ハーフ、か……。――まぁ、朝のニュースで普通に報道されるくらい浸透してれば、そういうのがいても不思議じゃないよな)

 

 

 確かに、人間同士の婚姻よりは母数が少ないが、人間とそれ以外の種族が婚姻関係を結ぶのは違法でもなんでもない。

通常の婚姻より、多少法規が多く絡むといった厄介事はあれど、一昔前でいう国際結婚とあまり違いはない。

 

 

 中には、『非人間と婚姻するなんて、これまでの人類に対する冒涜だ!』等と言って日夜デモ活動に勤しむ人たちもいるらしいが、そんなのはごく一部だ。

 

 

 無論、俺はその手の活動家ではないし、人間至上主義というわけでもない。

――過去に、異種族(かれら)の出現で苦い思い出をしたとしても、それと成婚には何も関係がない。

 

 

(多分、一ノ瀬さんも俺がその手の問題にうるさくないのは分かってるだろう。――となれば、こうしてワザワザ日時を設けた理由は……)

 

 

「――人間と、何の種族のハーフなんですか?」

 

 

「っっ!!?」

 

 

 その言葉を聞いた彼女の表情や全身が一瞬、強張ったのを俺は見逃さなかった。

 

 

(当たりか……)

 

 

 まだ少し、恐怖を克服できていない様子の彼女に俺は「言いにくかったら、筆談でも良いですよ」と伝え、懐からメモ帳とペンを取り出そうとした。

 

 

「あ、いえ! その……大丈夫、です……ぅっ」

 

 

 それを慌てて制止した一ノ瀬さんは、少し俺から目を逸らして息を整えた後……続けた。

 

 

「私は、その……人間と――淫魔族の、ハーフです……」

 

 

「――ブッ! ゲホッ、ゴォホッ!! …………はい?」

 

 

 懐に戻したその手でコーヒーを持ち、ゆっくりとカップを傾ける。

その直後――想像の範疇を超えたまさかすぎる衝撃の告白に、思わず口に含んでいたコーヒーを吹き出し、噎せ返ってしまった。

 

 

「だ、大丈夫ですか!? おにいさん!!? ――こ、コレ! 使ってください!!」

 

 

「あ、ありがとう……ございます」

 

 

 店に来るまでとはうってかわって、重苦しくなり始めていた雰囲気をぶち壊してしまった俺は、差し出された白桃色のハンカチを受け取り、口周りや汚れてしまったテーブルを拭く。

 

 

「――すみません……。これは、洗濯してからお返ししますね」

 

 

「い、いえ……気になさらないでください。――驚くのも、無理はありませんから」

 

 

(しっかし、まぁ……『ハーフ』ってだけでも珍しいのに、淫魔族とは……。語弊を恐れずに言えば、レア中のレアだぞ……)

 

 

 淫魔族――。一昔前までは「サキュバス」だの、「インキュバス」だのと呼ばれていた、異性の精を糧とする種族。

 

 

 彼女たちは総じて発育が良く、その肉体は5歳を過ぎた当たりから異性を悦ばせる様に実りはじめ、10歳になる頃には既に、日本人女性の平均カップであるCを超えている。

 

 

 ――正直、それだけではよくある「異種族」であり、別段問題ではない。

では、何が問題かというと……彼女たち淫魔族に対する人間(おれたち)の大半が抱いている偏見だ。

 

 

 俺も警察学校で習うまで知らなかったが、名前に「淫魔」とついているものの、彼女たちは皆義理堅い。

 

 

 特に、操に関するそれは難攻不落の堅城と呼べるほどで、基本的に生涯一人の異性としか関係を持たない。

さらには、その伴侶が病や不慮の事故等で先立ったとしても、第二、第三の伴侶を見つけるような真似はしない。

 

 

 そして最もそれを象徴しているのが、彼女たちの意志に反して情交した場合だ。

 

 

 もちろん、そう容易く実現できることではないが、もしそんな事をしてしまった場合には……。

彼女たちは、その相手の精だけでなく生気から何までを、全て根こそぎ絞り尽くした後、文字通り消滅してしまうのだ……。

 

 

 ――故に、現行の異種族に関する法律の中で唯一、淫魔族(かのじょたち)は、「襲われた淫魔族の親族をケアする」法令はあれど、「襲った人間側を罰する」法令はない。

せいぜい、犯人側の親族に慰謝料等の支払い義務が生じる程度だ。

 

「……」

 

 

 だが、それはあくまでも「純血の淫魔族」に限った話である。――混血。

それも、人間とのミックスとなれば、話は大いに変わってくる。

 

 

 人間とのハーフの場合、身体の生育は淫魔族としての特徴が出るものの、外見や力は人間と何も変わらない事が多い。

 

 

 ――つまり、傍から見れば……「抜群に発育の良い、ドスケベボデイを持った非力な人間の女性」でしかないのだ。

 

 

 そんな、まさに「男の理想」を体現したような人物が現実に現れたとなっては、犯罪に手を染める者も少なくない。

何しろ、例え失敗しても「逮捕されるだけで、死ぬことは」ないのだから……。

 

 

 彼らからしてみれば、コレ以上にローリスク・ハイリターンなことはない。

 

 

(まだ大学生なのに――俺なんかとは、比べ物にならないくらいに割食ってきたんだな……一ノ瀬さん)

 

 

「その……。私のお母さん――。いえ、母親が淫魔族なんですけど、どういう訳か、その……」

 

 

 少しの沈黙が席を支配した後、一ノ瀬さんがわずかにそう切り出し、そして再び黙った。

 

 

 俺は頭の思考を一旦中止し、彼女の目を見てゆっくりと首肯する。

それを見た彼女は、意を決して続きを語りだした。

 

 

「と、“特徴”が……10歳を超えても、出なくて……。普通の人間と、あんまり……変わらなかったんです」

 

 

「そう、なんですか……」

 

 

 ――彼女が言った「特徴」とは即ち、胸や尻などの発育のことだろう。

 

 

 そして、そんなひと目でわかるような特徴は出なくても、顔面。――つまり、美貌はその頃から、他の娘たちより抜きん出ていたに違いない。

 

 

 となれば必然、彼女はイジメやからかいの対象になり、周囲の大人たちも、彼女が「純粋な人間」ではないことに気づくだろう……。

 

 

 その中に、良からぬことを考える不届き者がいたとしても、何もおかしくはない……。

 

 

「それで、その……ぐすっ。私、ずっと他の子たちにイジメられてきて……まわりの大人の人達の目も、私がそうだと知った途端……グズズッ、ヒッグ……」

 

 

「分かりました。分かりましたから……もう、いいですよ――」

 

 

 言葉にしたことで、過去のトラウマがフラッシュバックしたのだろう。彼女はついに、声を上げてぐずり、泣き崩れはじめた。

俺は静かに彼女側の席に移動し、そっと右腕を背中に回す。

 

 

「――今まで、大変でしたね一ノ瀬さん……。俺は何もすることはできませんが、気が済むまで泣いていいですよ。――ずっと傍にいますから」

 

 

「グッ――ずっ、ズビビィッ……。うわあああぁぁぁぁ~~~!!」

 

 

 俺の言葉の後、堰が切れたように大声を上げて泣く一ノ瀬さん。

 

 

 俺の席には、店中の視線が集まり、中には俺を睨みつけている人もいた。……が、それら一切を無視して、彼女を他から隠すように抱きしめ続けた。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「ずずっ……。ごめんなさい、おにいさん……。ありがとう、ございます」

 

 

「いえ、落ち着かれたようで何よりです」

 

 

 ――約十数分もの間、一ノ瀬さんは泣き続けた。それだけ、彼女が抱えていた問題と闇は大きかったのだ……。

 

 

 途中、こちらを心配した心優しい店員がくれたティッシュやハンドタオルで、顔を拭く一ノ瀬さん。

俺の胸の中で、生まれたての赤子のように泣き叫んだ直後だと言うのに、チラリと見えたその横顔は見惚れてしまいそうなほど美しい。

 

 

「――どうしますか、一ノ瀬さん。今日はもう、帰りますか? デートは、また今度の休みにでも改めて……」

 

 

 とてもじゃないが――こうなっては、楽しいデートがどうのと言っている場合ではない。

 

 

 そう考えた俺は、俯いたままの一ノ瀬さんにそう提案する。

何より、一刻も早くこの場を離れ、彼女がこれ以上奇異の視線にさらされるのを防ぎたかった。

 

 

「…………」

 

 

 彼女は俺の問いに対し、言葉と態度……どちらでも答えなかった。

垂れ下がっている彼女の髪をかきあげて、その表情を窺い知る事もできたが、あまりにも無粋すぎるため、自然と彼女が顔を上げるのを待った。

 

 

 そうしてだいたい10分程度の時間が過ぎた……。

それほどの時間沈黙が続いたことで、店内のほとんどの人は突然泣き出した彼女に対する興味を失っていた。

 

 

 ――おそらく、再度大声をあげたりしない限り、注目の的になることはないだろう。

 

 

「おにいさん」

 

 

「はい。なんで――――んぷっ!!?」

 

 

 ――それは一瞬の出来事だった。俺が彼女の呼びかけにこたえようとしたまさにその時……俺は彼女に唇を奪われていた。

 

 

……んちゅっ♡ れろっ……んっ、れるぅっ♡♡ んっ♡ むっ、ぅぅ……♡ 

 

 

 かつてのアパート入口でのキスと同じ、全くの不意打ち。しかして、あの時とは状況も、趣旨も、激しさも……。何もかもが違う二回目のキス。

 

 

「んっ♡ れるっ……ちゅっ♡ んっ、おにいさん……♡♡ んむっ……♡」

 

 

 まさに貪るように……。一意専心、一心不乱に俺とのキスに没頭する一ノ瀬さん。

 

 

 その猛攻はこちらに少しの隙もみせず、俺が吸い込む空気はもちろん、筋肉の動きに至るまで……。生殺与奪を含む全ての支配権が彼女の掌中にあった。

 

 

んっ♡ ――んむっ、ちゅるる……っっ♡♡ んちゅ~~うぅっ♡ ――――ぷはぁ……♡♡

 

 

 彼女の気がすんだのか……。それとも、ただ単に被捕食者の俺の様子を見たくなっただけなのか……。

塞がれ続けていた口がようやく開放された。

 

 

 俺の口の中で、彼女の舌がどれだけ暴れていたかを物語るように、開かれた両口の隙間には、弛んだ粘性の糸が架かっている。

 

 

「ふふ……っ♡ ここまでしても、私に淫魔の血が流れていると知ったあとでも……私を拒絶したりはしないんですね♡♡ ホント、心配になっちゃうくらいに優しい人ですっ、おにいさんは……♡」

 

 

 さぞ気の抜けたみっともない表情をしているであろう俺をよそに、一ノ瀬さんはいつもより多少妖艶さが増した口調でつぶやいた。

 

 

「おにいさん……。前にも一度言いましたけど、改めて今――もう一度言います」

 

 

 一ノ瀬さんが真正面から俺の顔を……目を見つめる。

その瞳は潤んだままだったが、それが涙によるものではないことは明らかだった。

 

 

 一方の俺は、そんな彼女から逃げるどころか、眉一つ動かすことができなかった。それに、さっきまで鼓膜の片隅が捕らえていた喫茶店内の雑音が、今は少しも聞こえない。

 

 

 まるで、一ノ瀬さんが時間を止めたように……。

 

 

「私、一ノ瀬美樹は、おにいさんのことが好きです。大好きです……。今までなんともなかった“淫魔族としての私”が、抑えきれなくなる。いいえ、抑えたくないと思うくらいに……」

 

 

『抑えたくない』――。ハッキリと彼女はそう言った。

 

 

 つまりそれは、今の言葉は淫魔族としての衝動によるものではなく、俺と同じ、「一ノ瀬美樹」という名前の一人の人間としての意志でもあるという証だった。

直前にされた彼女の身の上話がその考えを、より堅牢強固なものにしていた。

 

 

「だからどうか……私を。一ノ瀬美樹を、あなたのパートナーにしてください。淫魔族とか人間とか関係なしに……おにいさんのことが大好きな一人の女性として、私をおにいさんのそばに一緒にいさせてください!」

 

 

 この時の彼女は、今まで見た中で一番真剣な表情をしていた。

 

 

 初対面の頃の視線とはまた違った鋭さ。そして、逃げも隠れも赦さない正々堂々とした告白。

――――ここまでされて、彼女の覚悟を疑うことはできない。

 

 

 わざわざ、重い過去を赤裸々に語り、赤ん坊のように泣きじゃくる姿を見せ、さらには「その血を抑えたくない」と宣言したあたり……。

今、彼女の内側では山火事のように、淫魔族としての異性を求める衝動が燃え盛っているのだろう。

 

 

 彼女がこの世に生を受けてから20年もの間、積もりに積もったその本能的欲望は今、五大陸全てを呑み込むほどの大津波となって押し寄せているはずだ。

――だが、眼の前の彼女はそんな、常人なら抗うどころか、発狂してしまいそうな大渦の渦中にあって尚、普段俺に挨拶している時と何も変わらない様子でいる……。

 

 

(――なんて、芯の強い女性だ……)

 

 

 ――俺はこの時初めて、種族関係なく男に産まれたなら誰しもが垂涎してしまう程の肉体や美貌に関係なく、彼女を好きになり、彼女に見惚れた。

 

 

「……ありがとう。俺も、一ノ瀬さんのことが好きです。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 

「!! お、にいっ……さ――!!」

 

 

 俺の正直な告白を聞いた彼女は、こちらが倒れそうになるのもお構いなしに抱きついてきた。俺はあえてその勢いに身を任せ、ソファに倒れる。

首から上が座席外に出てしまい一瞬、頚椎のあたりに強い衝撃が走ったが、そんなことは今はどうでもいい。

 

 

「ほ……本当、ですか? こんな、人間じゃない……。完全な淫魔族でもない、私なんかで……」

 

 

「種族がどうかなんて、関係ないですよ。一ノ瀬さんが、一ノ瀬さんとして俺を好いてくれているように、俺もまた俺個人として、貴女を愛しているだけですから……」

 

 

「!! おにいさんっ! おにいさんっ♡ おにいさんっ♡♡!」

 

 

 まるで今から情事を始めるかのように、俺にマウントを取ったまま、何度も俺を呼ぶ一ノ瀬さん。

 

 

ん~~んっ♡ ちゅっ♡ むちゅっ♡♡ むっ♡ んちゅるっ、れろっ♡♡ ちゆぅるるっっ……♡ れぅっ♡♡ ちゅぱっ、ちゅぴっ……ぷぅ♡♡ んっ、ぷちゅ♡

 

 

 ――その後は舌を入れる・入れないに関わらず、まるで矢の雨のようにキスが降り注いだ。

 

 

 結局、俺と彼女が喫茶店をあとにしたのは、そのさらに十数分後。俺の顔のいたるところに斑点のようについたキスマークを、拭い取ってからだった。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 喫茶店をあとにした俺と一ノ瀬さんは――次の目的地(デートスポット)。大型のゲームセンターに向かって歩いていた。

 

 

 喫茶店でキスの嵐をお見舞いして満足したのか、彼女は喫茶店に来るまでとは違い、露骨にこちらの性的欲求を煽るようなことはしなかった。

 

 

 だが……。

 

 

「~~~♪♪」

 

 

「い、一ノ瀬さん……」

 

 

「はい♪ どうしましたか、おにいさん♪♪」

 

 

「…………いや、なんでもないです」

 

 

「ふふっ、変なおにいさん♪」

 

 

 ――ぎゅううぅぅ~~~~っっっっ♡♡!!♡――

 

 

 色々な悩みや心配事がなくなったせいだろう。彼女はまるで、親猫に甘える子猫のように俺に全身を擦り寄せていた。

 

 

 これが身長150センチ程度の小柄な女性ならば、あまり歩行にも支障をきたさなかっただろう。

しかし、彼女……ノ瀬さんの身長は170と男性と比較しても釣り合うほどに高い。

 

 

 それだけでも大きな問題だったが、なによりも歩行の妨げになっていたのは、彼女の109センチKカップという爆乳と、そんな豊潤な果実を携える身体から漂う、彼女だけが持つ激甘かつ濃厚すぎる香りだ。

 

 

 ぐにゅうぅぅいぃぃぃ~~~……っ♡♡ ――むにゅっ!♡ たぷっ、むぎゅ……ぐにゅぎぎぃぃ~~♡♡

 

 

 一応は横に並んでいるはずなのに、まるで背負っているかのようにすら感じるズッシリとした重み。着用している下着とあわせて、最低でも二つは隔たりがあるはずなのに、それをほぼ感じさせないほどに伝わる柔らかさ。

Kカップという前代未聞のバストサイズですら、逆サバをよんでいるのではないか……。そう勘ぐってしまうほどの代物が、俺の左半身に圧しかかっている。

 

 

 当然、それほどまでの巨大な房を、半身で受け止められるわけがなく、彼女のそれは、ホットケーキにかけられた蜂蜜のように垂れ、俺の腕や横胸から溢れる。

 

 

ふうぅ~~~っっわああぁぁぁ~~~…………っ♡ ふわっ♡ ふわわ~~~ぁぁっ♡♡ もわっ、むわわっ……♡♡

 

 

 するとすぐさま、彼女の身体から、この世に売られているどんな高級青果でも到底及ばない、甘く芳しい香りが放たれる。

 

 もし、その匂いの芳香剤が販売されれば、違法薬物と同等レベルに中毒者を生み出すであろう香り。

一般的な牛乳瓶に詰めて販売したとしても、一本あたり数万円――。ひょっとしたら、数十万以上の値がつくかもしれない匂い。

 

 

 そんな一種の生物兵器にすら利用できそうなほど凶悪な甘香が、彼女の一挙手一投足で湧きたち、俺を襲う。

 

 

 しかも、想いが成就したからか……。それまでは全身から拡散するように放たれていたそれが、今は俺ただ一人……。

はれて彼女の恋人になった、100%普通の人間である俺だけに向けられていた。

 

 

『今までなんともなかった“淫魔族としての私”が、抑えきれなくなる。いいえ、抑えたくないと思うくらいに……』

 

 

(これが、想いが叶った淫魔族の力…………)

 

 

 まさに、百聞は一見に如かずの言葉通り。

過去に“知識”として培った種族ごとの特徴と、それを“身をもって識る”事の違い……。

 

 

 学生時代――。異種族の台頭でさんざん味わい、苦汁をなめさせられ続けた……トラウマとも呼べるその感覚を、俺はどこか懐かしく、喜ばしい気持ちであじわっていた。

 

 

~ ~ ~ 

 

 

ガヤガヤガヤ――――。ガヤガヤ……。

 

 

 十数年ぶりに訪れたゲームセンターは、駅前と同じかそれ以上の賑わいぶりだった。

 

 

 あたりを見渡した限り、置かれている筐体はクレーンゲームや音楽ゲームはもちろん。レースゲームに、カードを用いて遊ぶアーケードゲーム。

そして、半ばカジノのような危ない雰囲気の漂うメダルゲーム――と、異種族が出現しても、そこまで大きな違いはないらしい。

 

 

 流石に、俺が遊んでいた頃と同じ機種や景品は見られなかったが、それでも昔を懐かしむには十分な光景だった。

 

 

「もしも~し、おにいさ~ん。なんだかボーッとしてるみたいですけど……大丈夫ですか?」

 

 

「あぁ、ごめん……大丈夫。ゲームセンターなんて、小学校の時以来だから、ちょっと懐かしくてね」

 

 

 自分では一瞬だと思っていたが、実際はそれなりの時間立ち尽くしていたらしい。

門番のようにその場から動かずに昔に思いを馳せていた俺を、一ノ瀬さんが呼び戻してくれた。

 

 

「そんなに前のことなんですね……。ふふっ、おにいさんらしい♡」

 

 

 彼女が漏らした言葉の真意を理解できなかった俺は、彼女の方をじっと見やる。

 

 

「――だって、こういうところってそれくらいの子には、遊園地と同じくらいに楽しい場所じゃないですか。それなのに、中学生の時から今日まで来なかったなんて……」

 

 

「それくらい本気で目指してたんですねっ♡ 警察官」

 

 

「い、一ノ瀬さん……。ありがとう、ございます……っっ」

 

 

 彼女の言葉を聞いた俺は、思わず目頭が熱くなってしまった。

 

 

 同級生たちから『付き合いが悪い』だの、『クソ真面目』だのと半分イジメのようにバカにされても、中高を一人ぼっちで過ごす事になったとしても……。それらをグッと堪え、憧れの職に就けるように、自分なりに必死に努力を重ねてきた。

 

 

 だが、それだけ努力しても現実には届かず……俺は夢破れた。そしてそんな俺は、社会から見ればただの落後者。落ちこぼれ――惨めな負け犬だ。

 

 

 素直に事情を話せば、慰めてくれる人もいたかもしれない。だが、俺はそれが物凄く恐ろしく、怖かった……実家に電話するのを自ら避けるほどに。

 

 

 彼女の言葉は、そんな臆病者の俺が――生まれて初めてかけられた慰めの言葉であり、俺の過去を肯定してくれる言葉だった。

 

 

「んもぅ……♡ 今度はおにいさんが泣くんですか? たしかにここなら、多少声を出してもバレないかもしれませんけど……。どうせなら、もうちょっと奥に移動してからにしませんか?♡♡」

 

 

 一ノ瀬さんはそう告げ、俺の顔に自分の顔を寄せた。

そして……。

 

 

「おにいさんが大好きな私のKカップおっぱいでもなんでも……好きなだけ枕代わりにしていいですからっっ♡ 私の――ううん、恋人兼淫魔族の歳不相応なエロエロボディに……♡♡ 好きなだけ顔を埋めて、甘えてぇ……赤ちゃんみたいに泣いていいですからねっ♡♡」

 

 

――――ちゅっ♡

 

 

 そう囁いた後、今の言葉を俺の体の奥に刻みつけるように軽くキスをした彼女。俺の唇の上に残ったその足跡は、カイロのように暖かく、それだけで母親に抱かれているような安心感を感じられた。

 

 

「ほらっ、行きましょ♪ おにいさんっ♡ 久しぶりのゲームセンターなんですから、めいいっぱい楽しまないと損ですよっ」

 

 

 俺の腕をグイッと引きながら、一ノ瀬さんはゲームセンターの奥へ歩きだしていく。俺はそんな彼女に引かれるがまま、ゲームセンターの奥へと誘われていった……。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 ゲームセンターにやってきた俺と一ノ瀬さんは、太鼓を用いた音楽ゲームや、エアホッケーなどで遊び、完全に童心にかえっていた。

 

 

 彼女は喫茶店で――僕はゲームセンターの入口で……。お互いに涙を流して情けない姿を晒していたくせに、そんな事など遠い昔のことのようにはしゃぎようだ。

 

 

「おにいさん、おにいさんっ♪ 次はあれやりましょうよ! アレっ♡」

 

 

 遊園地で親を連れ回す子供のように、一ノ瀬さんが僕を次の場所へと連れて行く。

 

 

 彼女が向かう先にズラリと並んでいる機械。

それは、僕のような男性……とりわけ、色恋に恵まれなかった一人っ子男子には到底縁が無いだろう筐体。

 

 

「プリクラかぁ……。そういえば、一回も撮ったことなかったっけ」

 

 

「だったら尚更行きましょっ♪ 初デート記念とおにいさんのプリクラ初体験ですっ♡」

 

 

 俺が人生初挑戦だと知った彼女はさらに嬉しそうにしながら、俺を多種多様なプリクラ機が並ぶ場所へと引き込んでいく。

――別にそこは、男子禁制の場所というわけでもないのに、そういった場所に足を踏み入れているような……背徳感に似た何かを強く感じつつ、彼女のあとに続く。

 

 

「う~んとぉ……あっ、コレにしようっと♪」

 

 

 どれで撮影するかしばらく悩んでいた一ノ瀬さんだったが、最終的に彼女が選んだのは、人間の女性の顔が機器本体に大きくプリントされた筐体だった。

 

 

「ほ~らっ、おにいさん♪ 早く中へ入ってきてくださいよぉ♡」

 

 

 彼女に招かれ、男性の俺から見れば少し派手すぎる暖簾を潜り、筐体の中にある撮影スペースへと足を踏み入れる。

 

 

 既に料金投入し終わったのか、中は大量のLEDライトによって照らされていた。

正直、目を開けるのも難しいほどに眩しい。

 

 

「設定はどれがいいですか? おにいさんっ♪♡」

 

 

「お、お任せします……」

 

 

「は~いっ♪ なら、とびっきりかわいくしてあげますねっ♡♡」

 

 

 薄目で居続けないと、目の奥が痛くなりそうなほどにキツイ照明が当たっているにも関わらず、一ノ瀬さんは鼻歌交じりに、携帯を操作するようにサクサクと設定を決めていく。

その後姿に、畏怖に近い驚嘆を覚えながら見ていると……。

 

 

『それじゃあ、一枚目を撮るよ! 準備はいいかな?』

 

 

 ――撮影の始まりを告げる音声案内が流れ出した。どうやら全ての撮影準備が整ったらしい。

 

 

「ほぅら、おにいさんっ♪ しっかり、笑ってくださいね? せっかくの初プリクラがそんな変な顔だなんて、もったいなさすぎますよ!」

 

 

『――3、2』

 

 

「そ、それはそうかもだけど……。照明がキツすぎて、まだ慣れるのには時間が……」

 

 

 被写体の俺が環境に順応していなくてもお構いなしに進むカウントダウンの中、一ノ瀬さんとそんな会話を交わす。

 

 

『それじゃあ、一枚目を撮るよ! 準備はいいかな?』

 

 

「んもぅ、仕方がないですね……♡♡ ――じゃあ、そのまま動かないでくださいっ、おにいさん♡」

 

 

『1……』

 

 

「わ、わかっ――――」

 

 

 俺の言葉が途切れたまさにその瞬間……。外とは断絶された2畳半ほどの狭い空間に閃光が走った。

 

 

『――二枚目を撮るよ、準備はいい?』

 

 

 最近のスマホカメラと同じでシャッター音は鳴らず、続けざまにアナウンスが続けざまの撮影を予告する。

だが、俺の視界は最初の撮影がされた瞬間から何も変わらない……。

 

 

んっ♡ ちゅるっ……♡♡ あぁむ……じゅるっ♡ じゅるるぅ……ずっちゅうぅ♡♡

 

 

『3,2,1……』

 

 

 ――再び、俺がいる撮影スペース内全域をフラッシュが包む。

 

 

 本来なら数秒ほど尾を引いてもおかしくないくらいの強烈な光を受けたのに、俺の視界は景色一つ……。

明るさすらほとんど変わらない。

 

 

「んちゅっ、じゅるっ……♡ おにいさ、んっ♡♡ あむっ♡ れろっ、あむぅ♡♡ まだっ……♡ まだひゃ、あと……んむっ♡♡ んれうるぅ……♡ いっかい、ありまふ♡♡ からねっ♡♡ かお、はなひゃない……っっ♡ でっ、ぐらひゃいね♡♡」

 

 

 今度は筐体によるアナウンスよりもはやく、一ノ瀬さんが俺に撮影の続行を伝えてくる。

 

 

 それはつまり、三度強烈な光が俺を襲うということであり……そして、彼女は引き続き俺をそれから“守ってくれる”ということだった。

 

 

『3,2……』

 

 

「じゅるっ、ちゅるぅ……おにいさ……♡ ちゅっ、んちゅう♡♡ ホラ……♡♡ んっ、ちゅぱっ♡ きまふよ……っ♡ まら、ひかり……っっ♡♡ もっろ、かおひょ……くっふけて♡♡ じゅりゅるるぅぅ~~……♡♡」

 

 

 先ほど、俺がとても写真に写れるような状態でなかったのに、撮影が断行されたように……。プログラミングされたとおりに“しか”動かない撮影機は、俺と一ノ瀬さんの様子を気にすることなく、カウントダウンを進める。

 

 

むちゅ♡れちゅっ、りゅちゅるるっ……♡ んむっ、はむっ……ろわぁむっ♡♡

 

 

『1――――』

 

 

 カウントダウンはついに、残り一秒となった。

 

 

 だが 一ノ瀬さんは本来顔を向けるべきカメラのレンズには目もくれず、それに背を向けて俺に抱きつき、自分に取り込むように激烈で濃厚な口淫を続けている。

 

 

ずちゅ♡ んちゅ、じゅりゅるっ……♡ くちゅっ、ぴちゃ♡ ぷちゅっ、にちゅ♡ んっ、るぅ……れぅ♡♡

 

 

 明太子のように肉厚なのに、市販のゼリーとは比べ物にならないほど柔らかい舌。それが独立した生物のように俺の口内で暴れている。

 

 

 歯の上はもちろん、歯茎の縁から頬壁まで……。総てを浸し、文字通り犯す彼女の肉舌。蛭のように執拗に、そしてねちっこく這い寄っているが、不快感は微塵も感じない。

 

 

 とろっ――♡ とろとろ〜〜っっ♡♡ じゅわっ……♡ んぬっ……ぬるる♡ ぬと……っっ♡ ヌメっ、ヌッッ…………ットォ〜〜リぃ♡

 

 

(あ、甘――――っっ!!)

 

 

 それが這い動いたあとに残るのは強烈な甘み。虫歯になるといったレベルを超え、歯そのものを丸々溶かしてしまいそうなほどの甘味――。

有名な童話に登場するような働きアリであっても、一度触角がコレに触れてしまえば、たちまち死ぬまで労働を放棄してしまうような……凶悪すぎな密汁。

 

 

 密閉こそされていないものの、1Kマンションよりも狭いプリクラ機室内。空気や温度だけでなく、部屋全体を埋め尽くすほどの光すら俺は感じることができない。

――なぜなら、五感すべてが彼女に……一ノ瀬さんに牛耳られていたからだ。

 

 

『次の撮影につかうレイアウトを選んでね!』

 

 

くぢゅちゅ……れうぅ、れるろぅおぅ……♡ ぴちゅりゅ……っっ♡♡ んっ、ちゅ……ねにぃゅ♡ んふぅ……っ♡ぷあっ♡ はぁーっ、はぁーっ……っっ♡♡

 

 

 機器の進化に伴って削除されたのだろう――ドラマのカチンコのような目立った音もなく、秘密裏に行われたプリクラ撮影。

だいたいカップ麺ができあがるくらい短くない時間、一瞬たりとも切れる事のなかった彼女の口が、そのアナウンスの後……とても名残惜しそうに離れる。

 

 

「眩しく……なかったですよね?♡ ……おにいさんっっ♡♡」

 

 

 軽快な音楽をスピーカーから流し、小刻みに明滅を繰り返して操作を要求している液晶パネル。それをガン無視し、彼女は加工されたように恍惚に満ち火照った顔で俺を呼ぶ。

 

 

「……っっ」

 

 

「ふふっ、良かったです♡ それじゃあ次の設定は……どう、しますか?♡♡」

 

 

 首を縦に振った俺の手を取り、パネルの前につれてくる一ノ瀬さん。

 

 

 パネルには背景の色選択覧の他に、目元や唇……眉といった顔部位の強調具合――。所謂、盛り加減を操作するための横長レバーが、今の設定を反映したサンプルと共に表示されていた。

 

 

 当たり前だが、俺はこの手の機種には詳しくない。

 

 

 だが、表示されている調整レバーが、専ら顔の部位に限られていることから、今使っている機種は顔面を強調したり、美化したりするのに特化しているのだろう……ということは理解できる。

 

 

 ――試しに、レバーを軽く動かせばその分、サンプルに使われているモデルの顔は美化された。

 

 

「そうそう……♡ そうやって、おにいさん好みの設定にするんですっ♡ 記念すべき人生初プリクラなんですからぁ、眉も、睫毛も、目も、鼻も、口も…………♡♡ 私の顔ぜぇ〜〜んぶっ、おにいさん用にイジっちゃっていいんですっっ♡♡」

 

 

 レバーを一目盛り動かしただけで、まるでノーベル賞かギネス記録でもとったかのような褒め言葉が……そして、それ以上に大袈裟に――男の独占欲を焚きつけすぎる言葉が耳に吹き込まれ、鼓膜をくぐり、脳を揺らす。

 

 

「ほ~らっ、はやくぅ、イジってぇ~~♡ おにいさん♡♡ 中学生くらいからぁ、とっくに第二次性徴期が終わってた同級生(ほかの)子たちを置き去りにしちゃう勢いでドスケベに育ったくらい血が濃いくせにぃ~~♡ おにいさんと出会う会うまでぇ、だぁ~~れとも付き合わずぅ……触らせもしなかったぁ現役女子大生のか~~おっ♡♡ おにいさんがぁ……やりたい放題――♡♡ していいんですよぉ……♡♡」

 

 

 メープルシロップの何十倍も甘ったるく、鼻につく声で紡がれる煽り言葉の数々。

 

 

 この言葉が持つ粘着性と同じ吸着力を持った綿棒で耳掃除をしたならば、耳垢どころか耳そのものが取れてしまうのではないか……。

そんな危惧すら頭に浮かんでしまうほどに粘着質で淫靡な催促。

 

 

「んちゅ♡ むっ……んっ、ちゅりゅっ……んむちゅっぷ♡♡ 急がないとぉ、制限時間……過ぎちゃいますよぉ♡♡ だから……ねぇ?♡♡ おにいさぁんっ、はやくぅ……♡♡」

 

 

 言葉上では急かしているが、その実――視界と口を塞ぎ、舌を入れ込んで妨害してくる一ノ瀬さん。

 

 

 逆光となり、仄暗さが増した俺の目にも、彼女のつつじ色の瞳は黒猫のようにより妖しく、艶やかに輝いて映る。

今の彼女は、ゲームセンターに来る前よりも強く、淫魔族としての一面がでていることは明らかだった。

 

 

 ――しかし、今の俺に……そんな彼女を宥められるほどの平静さはもう、欠片たりとも残っていない。

 

 

「んっ……ちゅるっ、じゅる……れぅれうぇむっ♡ んっ、むふふっ♡♡ そんなに迷うならぁ……いっその事、全部最大にしちゃえばいいんじゃないですかぁ?♡♡ ちゅん……っぷ♡♡ れりゅぅ……むちゅっ♡」

 

 

 他人である俺の舌すら、まるで自分の手足のように器用に扱い、舌交を続ける彼女。

そんな彼女の手が、専用のタッチペンを持つ俺の手に添えられ、ゆっくりと全ての調整レバーを右端へと移動させていく。

 

 

『あと10秒で時間切れだよ! 時間が切れたときは、その時の設定を使って撮影するよ!!』

 

 

「んちゅ……んっ、んれぇ~~♡♡ ぬゅるりゅりゅ……っっ♡♡ 設定変更――お疲れ様でした、おにいさんっ♡♡ さぁ、はじめてなのに頑張ったおにいさんには……ご褒美にぃ、淫魔族彼女との超濃密べろちゅー……してあげますっ♡♡」

 

 

 全てのレバーを操作し終えた俺たちは、タッチペンを元の場所に戻す暇すら惜しんで、舌の絡ませあいに没頭する。

 

 

んちゅ、じゅるっ……れろぉ♡♡ はむっ、んちゅぅ……っっ♡ んれぇるっ♡ んっ、ちゅっ……ぷぁっ♡♡ んにゅむぅ……♡

 

 

 時には、DNAの構図のように絡み合い――またある時には、一本の杖に絡むヘビのように……。俺と一ノ瀬さんの舌がまさしく、くんずほぐれつといった風に密着し、踊り狂う。

どちらか一方の口の中で……。はたまた、その間を繋ぐ架け橋のように……。絡みつき、絡みつかれ……すり寄り、すり寄られて……を繰り返す。

 

 

 機械にかけられた幕で遮られたそこは、完全に俺と彼女だけの世界と成り果てていた。

 

 

『それじゃあ、一枚目を撮るよ! 準備はいいかな?』

 

 

 二人だけの世界に響き渡るそんな機械音声も、もはや俺たちには聞こえていない。

 

 

『3,2,1……』

 

 

『――――!!!』

 

 

 シャッター音代わりの光の明滅が狭い撮影スペースを満たす。だがしかし、俺も一ノ瀬さんも……。この期に及んでカメラ目線に戻る……なんて間の抜けたことはしない。

 

 

ちゅるっ……れるれぅ♡ ちゅっ、んんっ……っ♡♡ じゅるぅぢゅぅっ♡♡ んはぁ……♡ んんむぅ……んっ,じゅりゅるっ……♡♡

 

 

 シャッター音という、休日の朝の目覚ましアラーム以上に鬱陶しい騒音がない今……。俺も彼女も、5秒にも満たないほど一瞬な光の増減程度でベロキスが止まるわけがない。

 

 

 休日の駅からほど近いゲームセンター……。

 

 

 そんな、聞くだけで混雑具合が想像できるほどに賑わう屋内において数少ない、傍目に触れることがほとんどないであろう場所。

機器から流れるガイド音声はそのまま、防犯ブザーのように第三者が接近するのを遠ざける役目を果たし、俺達はさらにキスの深さと熱さを増していく。

 

 

ちゅるっ、じゅりゅっ――っっ♡♡ おにいさんっ♡ ……おにいさぁんっっっ♡♡

 

 

 一ノ瀬さんは、これまで抑えてきた淫魔族としての一面を解き放つように、貪欲に俺の舌を――唾液を欲し、こちらを呼んで、求めている。

 

 

ちゅくっ、はふっ……っ♡♡ れろっ……じゅるぅぅっっ♡

 

 

 初めて会った頃のクールさも、事件後の天真爛漫で少し茶目っ気のある女の子さも……。今の彼女には少しも残っていない。

 

 

 そこにいたのは、生涯を共にするに相応しい番(えもの)を見つけ、その異性(オス)と交わる事しか眼中にない……20年近く性欲を溜め込んだ一匹のドスケベ淫魔だった。

 

 

『――二枚目を撮るよ、準備はいい?』

 

 

「ちゅんむっ、れぅるっ、んっ……♡ ぷはぁ♡ はぁっ、はぁ~っっ♡♡ ダメ、ですよっ……♡ ちゃんと、カメラの方を向いて……んくっ♡ うつらないと……♡♡ はじめての、プリクラなのに……もったい、ない♡♡ ですよっ♡」

 

 

 俺はまたしても、責任のすべてをなすりつけられてしまった。

 

 

『3,2……』

 

 

「ほぅらっ♡ カメラはあそこですよ……♡♡ 今度はちゃんと……見ててくださいねっ♡ カメラっ♡♡」

 

 

 俺の前に立ち、カメラを指差す一ノ瀬さん。

だが、口から出ている言葉とは裏腹に、その瞳は……その唇は――――離れてしまった俺の口や舌を……口内粘膜の感触を酸素以上に求めていた。

 

 

『1――――』

 

 

グイッ――!! ちゅるっ、じゅるるっ♡ れろぉ……んちゅっ♡ んちゅっ、れりゅるっ♡♡ んぷっ、はぁ……ぬゅりゅるるれぅ……♡

 

 

 写真の撮影を示す照明の点滅が起きる寸前――。俺は後ろから彼女の顎下に手をやり、無理矢理に俺の方を向かせ、その唇を塞いだ。

 

 

「んれぇりゅる……っ♡ もぅ、おにいさん……♡ ちゅるぅ、れろっ、ちゅっ……♡♡ また、んんっ……カメラ、無視……ダメなのにぃっ♡♡ ……んっ、んんぅっ♡♡ まだ、眩しいんですかぁ?♡♡ ちゅっ♡ あむっ、るにゅん♡♡」

 

 

 言葉では俺を戒めているが……無論彼女も、今更まともに撮影に励むつもりなど毛頭なかった。

 

 

 たった十秒足らず離れていただけとは思えない熱烈歓迎ぶりで、俺からのキスを迎え撃つ彼女(いんま)の口と舌。

本物の触手のように舌を蠢かせ、掃除機に負けない吸引力で、俺の口内の唾液を根こそぎ吸い取っていく。

 

 

「んぷっ……れりゅっ♡ ぢゅるるるううぅ~~~じゅぷ♡ んぐっ、ごくっっ……んぎゅっ♡♡ にぇへへ……おにいさんのくち……とっても、おいひぃ……でふっ♡」

 

 

「おかえひ、でふっ♡ おにいさん専用、んちゅ、にぃっちゅ♡♡ ――くちゅっ♡♡ 女子大生淫魔の、トロトロヌメヌメ唾液シロップ……♡ たぁ~っっっくさん、ごっくんしてくださいねぇっ♡♡」

 

 

ちゅる、れろぉ♡ んぢゅっ、んれぇあ~~っ……んにぇ、んにゅぬぁっ♡♡ れりゅれぅ、ちゅっ♡ にゅちゅりゅっ……らぁ~~っ♡♡ あむぁ……♡ じゅぷぷぅっ♡♡

 

 

 唾液の生成ついでに告げられた予告通り、繋がっている彼女の口から、激甘でモチのように粘着性のある液体が大量に送られてきた。

 

 

 搾りたての100%果汁ジュースが色がついただけの水に思えてしまう程の甘い汁。大さじ一杯程度の量でも、小魚であれば糖尿病にさせてしまうような極上の唾液……。

それが重力はもちろん、俺の歯や舌といった物理的障壁すらものともせずに、喉奥へと直接流し込まれる。

 

 

「くちゅっ♡ れちゅっ……ちゅるぅ、れぇろぉん♡♡ はぁっ……おにいさっ♡♡ まだまだぁ♡ んっぬゅっちゅ、じゅぢゅ……っ♡♡ おかわひ……♡♡ ありまふ……ちゅみゅっ、んむっ♡ れぷぅ……からゃね♡」

 

 

 お互いの興奮具合がそのまま形となったディープキス。

 

 

 鍋のようにグツグツと煮えたぎり、共鳴するように高まっていく劣情の熱は、行き交う舌やそれに付随する唾液だけでなく、全身を湯だらせる。

 

 

 湯煎されたチョコレートよりはるかに甘く、そして熱い彼女の唾液は、蛞蝓のように時間をかけて俺の食道を降る。

その媚薬が体の奥に進めば進むほど、俺の脳は中毒症状のようにピンク色に染まり、理性が音もなく消失していく。

 

 

 だが、それが最も作用した部位は脳ではなく――――

 

 

「ちゅっ、れろぉ……♡♡ おにいさんっっ♡♡ くちゅっ、ちゅるぅ♡ わらひの……お尻にぃ……っっ♡ んちゅる♡ れるれうれうぅ~~……♡♡ 当たってまふ…………よっ♡♡」

 

 

 ――俺の股間にぶら下がる、男性器(ペニス)だった。

 

 

「あはっ……♡♡ おにいさんの、すっごい……♡ もう、ガ・チ・ガ・チ♡ んにゅっ♡ ちゅっ、む……♡♡ スカートの後ろから、ツンツンって……♡♡ ピストンしてますっ♡♡」

 

 

 彼女の言ったとおり、俺のペニスは過去最高に――あの電話の時以上に――勃起していた。ズボンの股間部分は、周囲の生地の悲痛な叫びが聞せてきそうなほど盛り上がっている。

 

 

 一ノ瀬さんが「淫魔族」としての本能を抑えられていないのと同じように、俺のペニスもまた、本来にして最大の役目を全力で果たそうとしていた。

 

 

 軽機関銃の弾倉のように、金玉にどっぷりと蓄えられた精液。それを彼女に……眼の前の日本トップクラスに性欲を煽る女淫魔にぶち込もうと、意志とは関係なく腰を揺らしている。

当たり前のようにその銃口は彼女のスカート。……もっといえば、彼女の生殖器があるであろう部分を狙って突いている。

 

 

「んちゅっ、れぇる……♡ ちゅりゅる……♡♡ くちゅっ、ふふっ……♡ ダメですよ、おにいさん……っ♡♡」

 

 

 俺と口を交わし続けたまま、意地悪く……淫らに一ノ瀬さんが笑う。

 

 

「ここはっ、ホテルじゃなくてぇ……♡ んちゅ、むちゅちゅ……れぅっ、にゅるるりっ♡♡ ゲームセンター……♡ それも、外から見えちゃってる……ブリクラなんですよぉ??♡」

 

 

「いつ、次の人が……ちゅむっ♡ れぇ~~~っっ♡♡ 入ってきてもおかしくっ、んっ、っゅっぷぅ♡♡ ないのに……ここで、この、ガチガチなイケメン彼氏オチンポ……♡♡ 出しちゃったら、ダメです♡♡」

 

 

スッ――――。プニッ♡ ふににゅ……♡♡

 

 

 彼女の片手が、銃口と的の間に割って入る。

たった数センチ……隔たれただけなのに、まるで天地が割れたレベルの隔離処置を受けた気がしてしまう。

 

 

「んちゅっ……♡ ちゅるっ♡ れりゅっ……♡♡ んふ~っ♡ 悲しまないでくださいっ♡ ここでパコパコしちゃうのはダメですけど……その代わりっ♡♡」

 

 

 もう一方の手が俺の右手首を掴み、運ぶ。

 

 

 十中八九、彼女の臀部を固定するために右尻に添えられていたその手は、三つ子でも易々と産めてしまえそうな超安産型のデカ尻を見舐めるように周り、下腹部へと案内される。

 

 

 そして…………。

 

 

「――っっ♡♡」

 

 

『――最後にもう一枚撮るよ! 最高のポーズを決めちゃおう!!』

 

 

――ザバッ! もにゅ♡ もむゅっ……♡♡

 

 

 プリクラ機からのアナウンスに従うように、俺の右手が新天地に降り立ち、俺と彼女はやっとカメラの前で“ポーズ”をとった。

 

 

 右手が導かれた場所はサウナのように蒸し暑い。

 

 

 幕のようなものに遮られているせいで、腕を上に動かすことができない。くわえて、あまりに多湿すぎるせいか、手のひらはトリモチに触れたように地面と引っ付いていて……左右にもあまり動かせない。

 

 

 だから、自然と手の角度や指の曲げ具合がその地面に沿ったものへとなっていく。

 

 

「んっ、あっ……♡♡ んふぅ……♡♡」

 

 

 手のひらで何かを持ち上げるような……。そう――ちょうど、バレーボールでトスを上げる時のような手つき。

球体の何かを、下から支え、持ちあげるような仕草……。

 

 

「くっ、んっ……ふっ、ふぅ♡♡ ――えんりょ、しないでくださいね♡♡ 最後、、くらいっ……♡ ポーズ……キメ――――っっ♡♡!!」

 

 

もみっ♡ むみゅっ♡♡ ぐにゅっ、べたっ……たぷんっ♡ ねばっ……もわわっ♡♡

 

 

 しかし、今俺の右手が支えているその球体は、片手だけで支えるのはほぼ無理なくらいに大きい球体だった。

 

 

 まるで球状になったぬるま湯を持っているような感覚……。

 

 

 なんとか支えようと、手を広げ、力を込めれば込めるほど……指の隙間からこぼれ落ちてしまう。

さらに、筋肉が強張り全体が固くなった手を、その球体はズプズプと沈め、取り込もうとしてくる。

 

 

 成人男性の右手を蝕み、咀嚼するように呑み込む蒸れた球体。その中に取り込まれていくにつれ、掌は身動きが取れないほどの柔厚に包まれ、腕には鉛のようなずっしりとした重たさがのしかかる。

 

 

 ――しかし、俺はその二つの感覚に、覚えがあった……。

 

 

『それじゃあ準備はいいかい? 3、2、』

 

 

「んっ♡ ほら、おにいさん♡♡ じゅんび――できてますか?♡ 最後くらい、ビシッと……んっ、くうっ、うぅっ……♡♡ 決めてくださいねっ♡♡」

 

 

『1……!』

 

 

ちゅっ、れろっ、れろぉ♡ はむっ、あむぅ……ちゅぷっ♡ れ゛るっ、んぢゅぱっ♡ はぷっ、んっ、むちゅるるぅぅ~~っっ♡

 

 

――もみっ♡ もみもみもみいぃぃ……もぎゅっ♡♡ ぐにゅぅ……っ♡ ぐっっにゅううぅぅ~~~っっ♡♡

 

 

 俺は彼女の言葉に態度で答えた。

 

 

 外に聞こえてもおかしくないくらいに水音を立たせた、強引なディープキスを交わしながら、ソコにたどり着いてもまだ、手首を掴まれたままの右手で、上に載る球体を――。

 

 

 興奮のあまり、代謝が壊れたように汗蒸れているKカップ淫魔族おっぱいを揉みこね回した。

 

 

「素敵ですっ♡ カッコいいですよ……おにいさんっ♡♡」

 

 

『――――撮影終了! お疲れ様!! 写真は外の取り出し口から出てくるよっ!!』

 

 

「――だ、そうですっ♡ 誰かに見られちゃう前に……取り出しちゃわないと、いけませんね♡♡」

 

 

「はい……そう、ですね。――でも、その前に……もう少しだけ……」

 

 

「ふふっ、もちろんですっ♡♡ だって私、恋人ですからっ♡♡」

 

 

ん、ぢゅぱっ……あむっ、はむんっ♡

 

もみっ♡ たぷっ……じゅわわっ♡ ゆっさゆっさ……♡♡ ──もにゅうううっ……♡♡

 

 

 俺は写真が現像されるまでの数分間。撮影スタジオから一歩も出ずに、ディープキスとKカップ爆乳を堪能し続けた。

 

 

 俺の予想通り、今回の機種は顔面の各部位を好きに盛れるのが売りの機器だった。

それなのに、出てきた写真の中には、顔を捉えていたものは一枚もなく、全てキスの現場を正確に収めていた。

 

 

「――まぁ♡」

 

 

 それどころか、最後に撮られた写真……。

俺の右手が彼女の服の中に潜っている写真は、腕の動きで服が捲れ上がり、臍やその腰回りだけでなく、下乳までもが露出してしまっていた。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「んも~っ♡ ちゃんと歩いてくださいよっ、おにいさん♡♡」

 

 

 プリクラ撮影を終えた俺と一ノ瀬さんは、まだゲームセンターの中にいた。

 

 

 俺としては、あれほど濃厚で濃密すぎるベロキスを交わしたのだから、一刻も早くホテルへ行きたかった。

だが、一ノ瀬さんがその意見に頑として首を縦に振らなかったのだ……。

 

 

『人生始めてのゲームセンターなんですから、もうちょっと遊んでもバチは当たりませんよっ♡』

 

 

 ――などと、あくまで俺のためをおもったようなセリフ吐いていた彼女。

だがそれはあからさまな詭弁で、本当の狙いは、勃起をひた隠しながら、必死に平常に振る舞おうとする俺の姿を面白がるためなのは間違いなかった。

 

 

「ふふっ♡ 今のおにいさん……まるで漏らしちゃいそうな女の子みたいですっ♡♡ 大丈夫ですか~~? そんなにヤバいなら、トイレに案内しましょうかぁ?♡」

 

 

「――けっ、結構ですっ!!」

 

 

 稼働している多種多様な筐体から発せられている音や音楽の中でも、聞き取れてしまいそうなくらいの大声を張り上げてしまった。

幸い、周囲のお客さんたちがこちらに振り向くことはなかったが、一ノ瀬さんは堪えきれずに吹き出して笑っている。

 

 

「ぷっ、ククッ……アハハッッ!♡ おにいさん……そんな、ムキにならなくても……っ♡♡!」

 

 

 ツアーガイドのように先導していた一ノ瀬さんが、目尻に僅かな笑い涙を浮かべながら、俺の隣に戻ってくる。

 

 

「――ごめんなさい、おにいさんっ♡ 分かってます。分かってますよ♡ さっきまでしてた私との――現役JDでしかも淫魔族なお隣さん兼恋人の私とのぉ……♡♡ 無我夢中ラブラブベロチュー……♡ それで、おちんちんがもう、げ・ん・か・いっ♡♡ なんですよねっ♡」

 

 

 その囁きと共に彼女の繊細な手指が、俺の太ももを滑り上がる。

その指はレールでも敷かれているかのように、精嚢へと一直線に向かい、指先を爪立て、歩行すら困難にしてしまうほど盛り上がった膨らみを爪弾く。

 

 

「ふふっ……♡ おにいさんのココっ♡♡ プリクラの時よりも、アツくて……カタくなってますっ……♡♡ こんなんじゃあ、とても外なんて……ムリですねぇ♡」

 

 

「だからぁ……♡ いっかい、ここで……スッキリしていく♡♡ ――っていうのは、どうですかぁ……♡♡」

 

 

 裏筋を直接なぞりあげるようにして北上した彼女のしなやかな指。それがそのまま型を取るように、膀胱のあたり――下腹部をグルグルとまわる。

それはまるで、ファンタジー系の物語にあるような淫らな紋様を刻むための事前準備のようだった。

 

 

「それで、ですね……おにいさんっ♡ ――実は私、おにいさんがきもちよ~~くピュッピュするのに最適なゲームっ♡♡ プリクラを撮る前に見つけてたんですよぉ……っ♡」

 

 

「しかもぉ……♡ それはちょうど、ここからスグのところにあってぇ……♡♡ プリクラ以上に他の人の目に入らないんですぅ~♡」

 

 

「おまけにぃ……♡ 誰かが遊んでいる限りぃ……ぜぇ~~~っったい、他の人が入ってくることもない……♡♡ そんな、今のおにいさんのためだけに制作されたゲーム……♡♡」

 

 

「そんな疑似ラブホテルみたいな完全密室空間でぇ、淫魔族彼女の私にヌキヌキしてもらうのとぉ……。いつ、誰が入って――――。いえ、この場合は“邪魔して”くるか分からない、狭いトイレでビクビクゥって怯えながら、中途半端に気持ちよくなるの……っっ♡ どっちがいいですかぁ~~?♡♡」

 

 

 下腹部にある彼女の手は、俺の答えを待っているかのように片時も離れない。

 

 

 時には速く、時には遅く……。大腸でも小腸でもない……淫魔族のみが知る特別な臓器(ポイント)に、熱を送るように周回する彼女の指。それが、俺の昂りをさらに増幅させる。

 

 

「ねぇ……♡♡ どうしますかぁ……?♡♡ おにいさんっ♡」

 

 

「っっ……ッッッ!! ぜ、前者で……おねがい、します……っっ!!」

 

 

「ふふっ、はぁ~~いっ♡♡ コッチですっ♡ ちゃんと着いてきてくださいねぇ~~……っっ♡♡」

 

 

 俺が彼女の問いに答えた瞬間――。まるで押印するかのように彼女の指が下腹部……。膀胱のちょうど中心を

 

 

――トンッ♡

 

 

 ……と、軽く叩いた。

 

 

~ ~ ~ ~

 

 

「それじゃあ、おにいさん……っ♡ なぁ・るぅ・べぇ・くっ……♡ 怪しまれないようにプレイしてくださいねっ♡♡」

 

 

「は、はいっ。……善処します」

 

 

 まるで怪我人のように介助されながら、俺はそのアトラクションの中に入った。

 

 

 それは確かに、外からは中の様子がほとんど見えず、ゲームの性質上、一度誰かが中に入ればその人物が出てこない限り、他の誰かが入ってくることがない――ワゴン型のゲームだった。

 

 

「そんなにキョロキョロしてたらぁ、余計に怪しまれちゃいますよ~~っ?♡ 今からでもぉ、トイレに変更しますかぁ?♡♡ まだ間に合いますし、私はどっちでもいいですけ~どっ♡♡」

 

 

「い、いえ……! 大丈夫……ここで、大丈夫ですからっ!!」

 

 

「うふふっ♡♡ それじゃ、早速“プレイ”しちゃいますねっ♡♡」

 

 

――チャラリン♪

 

 

 備え付けられている椅子と、前方にある巨大なモニターとの間にある空間……。そこに蹲踞した一ノ瀬さんが、ゲームプレイに必要な金額を投入し、遂にゲームが始まった。

 

 

 そのゲームは所謂、ガンシューティングゲーム。

画面内に次々と出現するゾンビ等の敵を、専用の銃型コントローラーで撃ち倒していくといったものだ。

 

 

カチッ。――――バババババ!!!

 

 

 コントローラーの銃口を画面内に向け、引き金を引くだけで画面内では敵が次々と倒れていく。

リロードも銃口を一瞬、画面外に向けるだけで済み、ステージもまだ序盤中の序盤だからか、攻撃もそこまで激しくない。

 

 

「さっすがですねぇ~~おにいさんっ♡ はじめてとは思えないくらいに上手じゃないですかぁ~~っっ♡♡」

 

 

 座席の足元と画面との僅かな隙間。それも、俺の両足に挟まれるようにして屈んでいる彼女が、ゲーム画面などほとんど見えていないにも関わらず、俺を煽てる。

 

 

「これは私もっ、同じくらい頑張らないとですね~~っ♡♡」

 

 

 彼女が遂に、俺のズボンにできた山岳――。そこに施された封に手をかけた。

 

 

ジっ♡ ジジジーーーッッ♡♡

 

 

 ワゴン型の筐体内の隅々まで轟く銃撃音の中でも、ファスナーが降ろされる音はしっかりと俺の耳に届いた。

 

 

「さぁ~~てっ♡ 私が相対する敵(おちんぽ)さんはぁ……どんな様子なんでしょうねぇ~~っ♡♡」

 

 

 ファスナーが最後まで降りきると、今度は俺の下着の中に、一ノ瀬さんの手が侵入してきた。

俺のゲームプレイを邪魔しないためか……。それとも、あえてゆっくりと行動して、さらに俺を焦らすためか……。ほんの数秒――俺の下着の中を、彼女の手がまさぐった。

 

 

 そして、ついに……。

 

 

――――ボロンッ!!♡♡ ビキッ!♡ ビキビキビキィ……ッッ♡♡ 

 

 

「わあっ……♡♡」

 

 

 ついに、俺の120%臨戦態勢ガチ勃起ペニスが、その姿を現した。

 

 

 それこそ、ゲームのボスキャラのように――自分を抑え込んでいた封印を突き破った陰茎は、先端が俺の腹に触れるほどに強く揺れ、狭い暗闇の中において一際異質な存在感を放っている。

 

 

「はぁ……♡♡ こっ、これが……んぐっ♡ おにいさんの……勃起おちんぽっ♡♡ なんの他意もなく、私を守ってくれた……おにいさんの……っ♡ 雄としての、象徴……っっ♡♡」

 

 

スンスン♡ ――スンッ♡♡ スンスン……スウゥーーーッッッ……♡♡

 

 

「ん゛っ、オ゛ホ……ッ♡♡ すんっごい、ニオイ……♡ 汗だけじゃない……♡ 亀頭から漏れ出ちゃうくらいの先走り汁と、筋肉を貫通するくらいに溜まった精液のニオイ……っっ♡♡」

 

 

「――私、半分とはいえ淫魔族なんですよっ? なのに、こんな……こんなに濃いオス臭嗅がされちゃったら……頭、バカになる……しかっ♡♡♡」

 

 

スンッ♡ スンスゥ……ッ♡♡ す~~~~ッッ、スウゥーーーッッッ♡♡

 

 

 警察犬のように何度も何度も鼻を鳴らし、見ずともわかるくらい凶悪な悪臭を体内に取り込む一ノ瀬さん。

 

 

 このデートが決まった電話から、今の今まで続いた彼女からの本気の誘惑。

それによって錬金術のように精が練り込まれた陰部は、とても普通の女子大生が嗅げるような代物ではないし……嗅いでいいものでもない。

 

 

 ――だが、一ノ瀬さんは違う。

 

 

 彼女は100%ではないとはいえ、淫魔族の血が混ざっている。そんな彼女にとっては、まさに猫に大量のマタタビを与えるようなもの……。

 

 

「ホント……すっごぉい……っ♡♡ はぁーっ♡♡ はぁーーっ♡♡ これ、全部……私に。私で……っ♡ 興奮したってこと……なんですよねっっ♡♡」

 

 

 蒸気機関のように彼女の口から漏れる湿った吐息。その熱は生きているかのように、俺の剛直を取り囲む。

 

 

 温泉にでも浸かっているかのような温かさに包まれたペニスは、さらに血流を増して、より大きく反り返る。

同時に、空気の流れすら感じ取れそうなほど、感覚が鋭敏化しているような気がしてしまう。

 

 

「ごめんなさい、おにいさんっ……♡ 私、もう……我慢できませんっ!!♡♡」

 

 

 一ノ瀬さんは宣言とほぼ同時に俺のペニスを口に含んだ。

 

 

ぐわぁ~むっ♡♡!! ぬっぽ♡ ぶっぽ♡ にゅぽっ……ぐゅっぽ♡♡ ぎゅぼっ!♡ ぶごっ、ぶごご……っっ!! んごっ……♡♡!

 

 

 ――それはまさに、暴飲暴食。彼女は俺のガチ勃起ペニスを咥えるや否や、腰から陰茎を引っこ抜こうとする勢いで顔を前後に動かし、嫐りはじめた。

 

 

 まるで彼女の口の中に生え並ぶ全ての歯が、ヌルッヌルの触手にでも変化したような……それほどまでに獰猛で、苛烈で、淫靡極まりない責め。

 

 

ん゛っ、んぶぅ……っ♡♡! じゅるるっ♡ じゅぞぞ……っっ!!♡♡ ジュボッ♡! じゅぞぞっ……ブボッ!♡ 

 

 

「ん゛っ!?  お、おお゛ぉ……っっ!! いっ、一ノ瀬さ……っっ! いきな……イッッ、そン゛、っな、激しくしたら……っっ!!」

 

 

 無数の触手が蠢く落とし穴に突き落とされたような感覚に襲われた俺は、条件反射的に腰を浮かして、そこから少しでも逃れようとする。

だが、アリジゴクが捉えた獲物を逃さないように――その穴の主である一ノ瀬さんもまた、俺を決して取り逃がしはしなかった。

 

 

――ガシッ!!

 

 

「……ッッ!!?」

 

 

 彼女は俺の足が浮き上がってできた隙間に腕を通し、肘で挟むようにして俺を固定し、さらに口奥へと腰ごとペニスを引き寄せた。

 

 

ぶごっ♡ ぶぎゅっ……♡ れりゅっ、れりょ、ぶじゅるるるぅぅ……♡♡ ニュゾぞぼぼろろろ~~っっ♡♡!!! ぎゅぼっ♡ ぐぼぽっ、がぼっ……ぶぢゅぢゅるるぅぅ~~っ♡♡

 

 

 比喩などではなく、本当に掃除機で吸われていると思えるくらいに強力なバキューム。

 歩行に支障をきたすほどに大きくなったペニスを食しているくせに、まるで飴玉を舐め溶かすような卓越した舌技。

 

 

 視界も暗く、体勢的にも軽くない負担を強いているはずなのに、それがどうしたと言わんばかりに、彼女は俺のペニスを頬張っている。

 

 

「んっ、んぶぅぅ……っ!! ン゛ブォッ!♡ おにいさんの……おちんぽぉ……っ♡♡ おいひぃ……♡ ひゃまらない……♡♡ もっほぉっ♡ もっろ、ふっと……こうひてはいっ♡♡ じゅぷっ♡ ぶぽっ♡ ぐごっ、おごぼっ♡ ぢゅごご~~~っっ♡♡」

 

 

 彼女の嬉しさを表すように、口淫がまた一段階激しさを増す。

 

 

 頬骨が浮き出るくらいに吸引力をあげ、同時にペニスを正面から捻り包むように舌を絡ませる。

そうして、360度を口内粘膜で完全包囲した彼女の口は、まさしく「口オナホ」そのもので、先走り汁の一滴たりとも口外への漏洩を赦さない。

 

 

 ――時折、嘔吐しそうなほどにペニスを奥深くまで呑み込むと、プリクラの時とは比較にならないほどヌルついた舌だけを外に出し、陰茎以外の部分への刺激も忘れない。

 

 

 じゅぷっ♡ ぶじゅ、ぷじゅぢゅ……ぬろろっ♡♡ ぞぬりゅりゅっっ……♡♡ ねろ♡ ねろねろ……ねろろ~~っ♡♡

 

 

 裏筋を竿と金玉の境目までしっかりとこそぐように舐めそりあげる。そのまま、アボカドの種くらいに膨れ上がった金玉を、皺溝の一本一本まで丁寧に舐めほぐし、精嚢にさらなる精子製造を強いらせる。

 

 

 そして最後には、肛門から金玉……そして裏筋へと続いている一本筋。蟻の戸渡りへとその切っ先を伸ばし、間接的に前立腺を刺激して、剛直の硬度と大きさを引き上げる……。

 

 

「ぐお゛ぉ! んっぐ……ぐ、あア゛ァァ……!!!」

 

 

 明らかに人間の領域を超えた神技。淫魔族の本領発揮と呼ぶに相応しい口淫に俺は、ただ悲鳴のようなうめき声をあげることしかできない。

 

 

『ガオーッ!! ウグアァ……ッッ!!』

 

 

 ゲームのモニターでは、敵キャラが悍ましい咆哮をあげながらこちらを攻撃している。だが、それを倒すための銃口は明後日の方向に表示され続けている。

 

 

ぶっぢゅ♡ ぶっちゅ♡ ぢゅっぶっ……♡ ちゅる、ちゅるるっ……ぶっぽ♡ ぽびゅ……ぢゅる、ねるっ♡♡ ねろろっ♡ れぷっ、ぬるるん……っ♡♡

 

 

「イッ……!! いちのせっ……さ。 も……ぅ――――でっっ……」

 

 

 ぶびゅっ♡♡ びゅぶぶぶびゅ~~~っっ♡♡ びゅちちちっっ♡♡!! びゅっ♡ びゅく!♡ びゅくく……びゅ~~っ♡!!♡

 

 

 生け簀に稚魚を大量放出するように、俺のペニスから彼女の口内へと精子が解き放たれる。あまりの勢いに、俺の体内で轟く反響音は、ゲームの効果音の一切を打ち消してしまっている。

 

 

「!♡♡ ~~~~~~ッッ♡♡」

 

 

 放精で一ノ瀬さんの動きが止まったのも僅か数秒――。彼女は即座に顔面全体を俺の股関に押しつけ、放たれる精子をほぼそのまま胃へと流し込んでいく。

 

 

ぢゅっ……ぢゅるるるるっ!!♡♡ ちゅぞっ!♡ ぞぞ……ぶぶっ、ブビビィッ♡♡ ……ずゅぞぞぞぉ~~っ♡♡

 

 

 まだ射精の真っ最中なのに、自ら口内を真空に近づけアシストする一ノ瀬さん。許容量を超えた精子が鼻孔や口端から漏れ出ているような音が混じっているにも関わらず、決してペニスを口から離そうとはしない。

 

 

「あ゛っ……あ゛あ゛~~っ……。っくぅ……ぐぁ~~っっ」

 

 

 精通をしたときですらあげたことがない、魂が抜け落ちていくような声をあげながら……自分のペニスから放出されている精の勢いが弱まっていくのを、他人事のような心持ちで感じる。

 

 

 そして同時に、俺は彼女……。一ノ瀬さんが正真正銘、異種族側の人間だということを心身共に深く理解できた。

 

 

 かつて――俺がまだ警察学校の生徒だった頃……。異種族に対する偏見が生まれる要因の一つとして、彼らに対する“恐怖”が原因だと学んだ。

それは偏見だけでなく、時には犯罪に手を染めさせてしまうほどに強大なものだと……。

 

 

 俺はその恐怖が如何なるものなのか……。このフェラチオではじめて、思い知ることができた。

 

 

『GAME OVER』

 

 

「んっ、ぢゅ~~~っっっ……♡ ぬりゅぬるれぅれろぉ……っぽんっ♡♡ ……あ~あ♡ ヘームオーハーになっひゃいまひはねっ♡♡ ボフ……♡ まら、出てきへないほに……♡」

 

 

「――――んぐっ♡♡ ん゛っ、んんっ……喉の奥で引っかかって……うまく飲めないっ♡♡」

 

 

 ――――だがしかし、俺はそんな彼女の姿に、どうしようもなく見惚れてしまっていた。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 ワゴン車のように隔離されたゲーム筐体の中、ほとんどゲームに興じることもなく、口淫性交をした俺と一ノ瀬さん。

 

 

 プリクラ内での長時間ベロキスを皮切りに、淫魔族としての一面が完全に主導権を握った彼女――。

電話があった日――いや、それ以前から……まるでワインのように熟成されてきた俺の性欲。

この二つは、たった一度の交わり程度で収まるわけがない。

 

 

 俺と彼女は、さらに悶々とした気持ちを抱えたまま、ゲームセンターを後にした。

 

 

「……」

 

 

「……♡♡」

 

 

 もはや適当な会話で取り繕うことすら億劫なのか……。俺も一ノ瀬さんも、ホテルまでの移動中……一言たりとも無駄口をたたかなかった。

 

 

~ ~ ~ ~

 

 

 フロントに入ったその瞬間から、電子レンジで温められたように、全身からムワムワと性熱を放っていた俺と彼女。

 

 

 選んだ部屋がある階へ辿り着くために乗ったエレベーター内など、道中にはキスといった軽い粘膜接触を行う機会はいくらでもあった。

だが、俺たちはその全てのチャンスを無視し、選んだ部屋へと一直線に向かった。

 

 

 ――もはや、そういった行為自体が無駄。全身が爆発しそうなほどに滾る劣情に水を差す行為、としか考えられなかったからだ。

 

 

「おにいさん♡ 私、先に……シャワーいただきますねっ♡♡ ――あっ♡ 言っておきますけれど、覗かないで……くださいね?♡ “あとの楽しみ”が減っちゃいますから……っっ♡♡」

 

 

 部屋に入るとすぐに、彼女はそんな言葉を残して、浴室へと消えていった。

 

 

――――ザーーッッ!!

 

 

『♪ ~~~♪♪』

 

 

 プリクラでも、その後に入ったシューティングゲームでも……。あれほどまでに激しく自ら淫交を仕掛けたのだ。

一度サッパリしたいと思うのは、何も不思議なことではないし、女性となれば尚更だろう。

 

 

 だが、俺は違った。

 

 

「…………っっ」

 

 

 俺はこの期に及んで、焦らしにくるような彼女の行動に対し、苛立ちに近い感情を抱いていた。

 

 

 大好物のビーフジャーキーを目の前に、長時間「待て」を強いられ、さらにはそのとなりで主人の晩餐を見せつけられている犬のような……。

そんな、忠義がソックリそのまま叛意に反転しそうな心境のまま、俺は小刻みに膝を上下に動かしながら、彼女が風呂場からでてくるのを待った。

 

 

「――お待たせして、ごめんなさい。おにいさんっ♡♡」

 

 

 面接の待ち時間よりも永遠に感じられる十数分後……。一ノ瀬さんが、俺の前に姿を見せた。

 

 

 ここに来るまででかいた汗や、目に見えない程の小さな汚れの一切を洗い流した彼女の髪は、太陽にも負けない純金の輝きを放っている。

 

 

 世の女性だけでなく、一部の男すら羨むスラっとした170センチレベルの長身。

それを包むバスローブの隙間から見える、真珠のような白肌に拭い残しの湯雫が宝石の如く散りばめられた様は――まるで古代ギリシャ神話に出てくる女神のように美しく、神々しい。

 

 

 それなのに……。

 

 

どっっぷううぅ~~ん♡ ぼふん♡ ばゆん……っ♡♡ 

 

 

 ダビデ像のように、どこか神聖な美しさを持つ一ノ瀬さんのバスローブ姿。

 

 

 しかし、その安易には触れがたい清純さも、彼女の胴幅を軽々と隠すほどに大きいKカップおっぱいが、跡形もなく吹き飛ばしてしまっている。

そのため、目の前に断つ彼女は、俺(オス)の劣情を刺激する事に特化した一匹のドスケベ淫魔でしかなくなっていた。

 

 

「ちょっと、おにいさん♡ 私のお風呂上がりの姿なら……♡♡ もう見たこと、あるじゃないですかっ♡」

 

 

「……っっ。それは、そう……ですけど。――んっ、ぁぁ……っ」

 

 

 ほんの数秒前まで抱いていた苛立ちは、もうすっかり消え去っていた。いやむしろ、一度怒りの感情を経た事で、その元となった彼女に対する情欲は、倍々に増大していた。

 

 

「ふふっ、おにいさんの視線……おっぱいばっかりっ♡♡ あの画像も、それくらい熱く凝視してたんですかぁ?♡」

 

 

 彼女が両手を左右の乳の斜め下に添え、ワザとらしく少し持ち上げて落とす。バスローブに包まれたKカップ淫魔おっぱいは、持ち主の意に応えるように全体が、ゆっさ♡ゆっさ♡ と大げさに揺れ動く。

 

 

 俺の目と脳はその一連の動きを、まるでスローモーション映像でも見ているかのように、一秒一秒を何倍にも引き伸ばして、記憶する。

 

 

「だんまり、ですか……♡ なら、“きょ~こ~しゅだん”♡♡ とっちゃいますからねっ♡♡」

 

 

スルッ♡ スルスルスルルーーーッッ♡♡ 

 

 

 バスローブの帯が解かれ、その布下に隠れていた彼女の生肌が徐々に俺の前にさらされる。

もちろんその動きはとても緩慢なもので、俺を焚きつけているのは明らかだった。

 

 

――――サバァ……♡

 

 

「っっ……!!」

 

 

 バスローブをその場に脱ぎ捨てた一ノ瀬さんは、ニマリと不遜で妖艶な笑みをこちらに向ける。

 

 

「どうですか……おにいさん♡ 画像なんかじゃない、本物の私は……っ♡♡」

 

 

 足音一つたてずに、俺ににじり寄ってくる彼女。彼女が一歩前に進むごとに、俺は爆発の衝撃波を受けたような気になってしまう。

 

 

 その理由は……。

 

 

「良かったですね、おにいさんっ♡ 大好きな私の――淫魔族のまだまだ成長途中なKカップ爆乳♡♡ 直に見られて……♡♡」

 

 

「っっ!」

 

 

 ――そう。彼女がバスローブの帯を解いた瞬間から、俺の視界は、富士のように高く、そして暴力的な双つの乳肉に占領された。

 

 

 かつて、画像でその大きさをはじめて知った時も、十分に度肝を抜かされたが……目の当たりにした今は、それ以上のインパクトを受ける。

 

 

ホカホカ♡ ぬく♡♡ ぬくぬく……♡♡ ぬくっ……ぬわわぁ~~♡♡

 

 

 汗による熱さとはまた違う熱。湯上がり後独特の火照りを帯びた双房。その豊かすぎる果実に詰まった母性が、湯気に紛れて放出されているような……そんな温もりを放っている。

 

 

もわっ、もわわぁ~~っ♡ ふわっ♡♡ ふわぁ~~っ♡

 

 

 その熱波と共に匂ってくるのは、彼女が生来持っているフェロモン。花屋の前を通り過ぎた時のように芳しく、それでいてどうしようもないくらい男根に……雄の本能に訴えかけてくる甘香。

 

 

 それは嗅いだ男を酩酊に近い状態にし、興奮を呼び起こすだけじゃない。匂いフェチではない人間であっても、他の全てを忘れて嗅ぎたくなってしまうほどに、癖づかせるものだった。

 

 

――ぎちっ♡

 

 

「!!?」

 

 

 視界を覆い尽くすほどの乳山と、ハープのように心地よい香りにすっかり夢中になっていた俺の耳が、異音を捉えた。

それはまるで何かを無理やり引きちぎろうとしているような……歯ぎしりに似た、少し不快な怪音だった。

 

 

「んぅ……っ♡ その様子だと、おにいさんにも聞こえちゃったみたいですね……♡♡ んっ……はぁ♡♡ 淫魔族専用ブラとはいえ、やっぱり――キツイっ♡♡」

 

 

ぎちち……っ♡♡ ぎゅち♡ ぎぃ……ちちぃぃ♡♡ むぎゅ、むぎゅぎゅ……っっ♡♡

 

 

 彼女の一言の後、まるで答え合わせをするように、歯ぎしりのような怪音が、続けざまに聞こえた。

その音の発生源は彼女の胸――。今、俺の目の前にあるおっぱいから生じていた。

 

 

「おにいさん……覚えてっ。ますかぁ?♡ 前に、画像送った時、私が“1つ”小さいブラ……んっ♡♡ 着けてたこと♡♡」

 

 

 彼女の話に首を縦に振って返答する。

 

 

 今日のデートが決まったあの日……。ゲリラ豪雨直後の愚痴のこぼし合いと言う建前で行われた長電話。

その時送られてきた、一ノ瀬さんの下着姿自撮り写真。

 

 

 実際にデカチチを目前にしている今ほどではないが、それでも鮮明に思い出せるくらいには、強く脳裏に刻まれている淫乱すぎる姿。

 

 

「実……っっ、はぁ♡ 今――着けてるブラ♡♡ あの時のより、2つも……んっ、あっ……くぅっ♡♡ 小さいんですっっ♡」

 

 

「なっ……!!」

 

 

 雷に打たれたような衝撃だった。

 

 

 確かに、今彼女が身につけているブラは、記憶の中のブラジャーよりも、カップサイズの布面積が小さく見える。

だがそれでも、俺の広げた手よりは大きく、そもそも――元からそういうデザインなのだと思っていた。

 

 

「んっ♡ ふ……っ くっ……ふぅぅ~~っ♡♡ やっぱり、気づいて……なかったんですね♡ おにいさん……♡♡ 一回私のブラ姿見てるのに……ヒドイッ、ですっ!♡♡」

 

 

 責め立てるように胸を張る一ノ瀬さん。だが、彼女のその行動で、一番責め苦を受けるのは俺ではなく……。

 

 

ぎゅちっ♡♡! ギチッ♡ ミチミチミチ……♡♡

 

 

 顔の前にあるおっぱいから今際の際のような音が鳴り響く。その音は、今にも千切れそうな紐を想起させ、俺は少し恐怖感を覚えてしまう。

 

 

「だい……っ♡ 丈夫ですよ、んっ……おにいさっ♡♡ さっきも言ったように、このブラは……淫魔族専用のもの……っですからっ♡♡ 人間のそれよりは多少。……あっ、キッ……つぅ♡♡ 頑丈に、できてますっ、から♡」

 

 

 俺の抱く感情が杞憂だと告げる一ノ瀬さん。実際に、千切れてはいないところを見ると、その通りなのだろう……。

 

 

 しかし、俺の視界に広がる光景からはとてもそうとは思えない。

 

 

 ワンサイズ小さいJカップブラに包まれていた時の、彼女のKカップバストを思い出す。

それでも、彼女の乳は一部生地からはみ出してしまっていた。

 

 

 だが今はその比ではない。

 

 

 中に通されている金属ごと悲鳴をあげるほどのオーバーサイズなクソデカおっぱいを背負うブラ紐は、まるでほつれかけの手縫い糸のように心許ない。

 

 

 ついさっきまで、俺の広げた手より少し大きいくらいに見えていたはずなのに……Hカップのバストも問題なく支えられるだろう。――そう思えたはずなのに……。

それが今は、まるでマイクロビキニと同じくらいに見えてしまっている。

 

 

 その理由はもちろん――その内側にある膨大な乳肉だ。

乳首や乳輪といった部分は辛うじて隠せているものの、それ以外の乳肉部分がほぼ丸々露出しているから、有名な錯視画像のようにしか見えない。

 

 

「おにいさん……っ♡」

 

 

 ブラ生地が食い込みすぎて、今にも破裂しそうなほどパンパンになっている胸を強調したまま、一ノ瀬さんが語りかける。

 

 

「この中……んっ♡ 挟みた……くっ、ないですか?♡♡ おにいさんの、おちんちん……っ♡」

 

 

「っっっ!!」

 

 

 ――瞬間。俺の全身が熱湯に浸かったような高温の熱を持ち始めた。無論、その熱源は……。

 

 

ビキキィ!!♡ ズキイィッ……ズキキ!♡ バキバキビキィ!!♡♡

 

 

 天を突く噴煙のように屹立する俺のペニスだ。

今日は既に一度、大量に射精したはずなのに、それで放出した分を取り返すように猛々しくいきり立っていた。

 

 

「……っっ♡♡ うるさいくらいに、コ~コ……っ♡♡ 反応しちゃってますねっ♡♡」

 

 

 当たり前だが、一ノ瀬さんはそれを見逃さない。期待と性欲で爆発しそうな肉杭を、ご馳走を見つめるような視線で見下ろす。

 

 

「それじゃあ……お望み通り♡♡ このギッチギチに肉詰されたぁ♡ おにいさん専用……HカップブラホールドKカップ爆乳でっ♡♡ このカッコいいけどおっぱい大好きな甘えん坊おちんぽ……ズリズリしてあげますねっ♡♡」

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「んっ……しょ、っとぉ♡ えいっ♡ えいっ……♡♡」

 

 

 力不足すぎるHカップブラで、アリの通る隙間もないほどに肉詰めされたKカップおっぱい。それを強引に俺のチンポの上に運ぶ一ノ瀬さん。

 

 

むぎゅっ、ぐにぎぎぎ……っ♡ むにゅりっっ♡♡ ぎぎぎ……♡♡ ゆっ……っさぁぁ~~♡♡ ばぎぎ……っっ♡♡

 

 

 彼女の動きにあわせて、まるでクレーンの駆動音のように、ブラ紐やカップ生地が断末魔のような音を奏でる。

だが、彼女はそれがどれだけなり続けようとも、乳を動かす手を止めなかった。

 

 

 そして、ついに……その時がやってきた。

 

 

「んっっ……♡♡ おっぱいの下……熱いっ♡ ――おにいさんのおちんぽが、『ここだよ~』って、教えてくれてるみたいですっ♡♡」

 

 

 俺のペニスの切っ先に彼女の下乳――。鉄製の扉のように重厚な乳肉が添えられた。

 

 

「――――えいっ♡」

 

 

ずっ……♡

 

 

 事前告知もなく、彼女は添えた下乳を、一気にズリ降ろした。

 

 

――――ぷにゅんっ♡

 

 

だが……あまりの下乳肉の集まり具合に、俺の先走り汁ダラダラなペニスは門前払いを食らい、下乳の側をなぞるように滑ってしまった。

 

 

「うぅん……っ♡♡ ――うわぁ……♡ そんなつもり無かったのに、おっぱいが勝手に、おにいさんのオチンポを弾いちゃいました♡♡ ぷゆん♡ って……♡ 自分がしたことなのに、すごい弾力すぎて……びっくりしちゃいますっ♡♡」

 

 

ずりゅんっ、ばるん♡♡ たぱんっ、ぐにゅりっ♡♡ ぷゆんっ♡ たぱんっ、ぷるるんっ♡

 

 

「ん……っ♡♡ やっぱり、何回やっても弾いちゃいますね……私のおっぱい♡」

 

 

 彼女が何度胸を振り下ろしても、結果は変わらなかった。

左右からプレス機で挟まれたように寄り集まった乳肉の壁は、鍵でも掛かっているみたいに俺のペニスの侵入を阻み続ける。

 

 

「おにいさんの……おちんぽ♡ もう我慢汁でベトベトなのに、んっ♡♡ ギチギチに押し詰められた私のおっぱいが……えいっ♡ 肉厚すぎて……♡ それくらいじゃあヌメリが足りない……♡♡ みたいですねっ♡」

 

 

「このままだと、埒が明かないですし……っ♡ 私も、もどかしいので……無理やりにでも♡ この乳内(なか)……挿入(いれ)ちゃいますねっ♡♡」

 

 

ずっぷぅ~~……♡♡ 

 

 

 下乳を支えるようにして添えられていた一ノ瀬さんの両手が、さらにその奥……。

堅く閉ざされた乳門扉(たにま)の中へと這うようにして侵入する。

 

 

――ぐにっ♡ ぬぐぎゅぎぎいぃ~~っ♡♡

 

 

 そうして内部への侵入に成功した十指は、それぞれ左右の乳をこじ開けるように掻き分けた。

その隙間はペットドアのように小さいが……確かに、難攻不落だった乳肉壁に穴を穿った。

 

 

「んっ……あっ、くうぅ……♡♡ さぁ、おにいさん……♡♡ はやく、おちんぽ……挿れてっ、ください……っ♡ 先っぽだけでも入れば後は、ラク……ッッ♡ ですから♡」

 

 

 外側(ブラ)だけでなく、内側からも肉を寄せた事で、胸を締めつけられる痛みが強くなったのだろう……。一ノ瀬さんが苦痛と興奮の混じった淫らな嗚咽声をあげながら、俺を誘う。

 

 

「は、はい……っ」

 

 

 俺は条件反射的にその誘いに乗った。

 

 

 ペニスの根本に手をやって固定すると、彼女も乳肉に潜らせた指の本数を減らし、挿乳の難易度を下げてくれた。

 

 

ずぬにゅ……♡ ぎゅみゅぐぐっ……♡♡ ぎち、ぎちいぃ~~っ♡♡

 

 

「うぁっ……♡ は、挿ってぇ……っっ、きたぁ~~っ♡♡」

 

 

「うぅ……っ。締まり……ヤバすぎ……るっ!!」

 

 

 俺の亀頭全体が乳肉の中に埋もれたその瞬間――。窒息しそうなほど締めつけられた腹いせをぶつけるように、乳肉全体が乱打を放つように殴りかかってきた。

 

 

ぎゅちぃ!!♡♡ ぐぐっ、みちみゅ……みちにゅ……!!♡

 

 

 大量の腕が、ペニスを全力で圧潰しようとしているような感覚。

スナック菓子はもちろん、プラスチック製の小さな棒程度なら簡単にへし折ってしまいそうな力が、俺のチンポに襲いかかっていた。

 

 

「んっ……♡ さぁ、おにいさん♡♡ 後はそのまま、ずぷぷ~~♡ って奥に進んでいくだけですよっ♡♡」

 

 

「うっ……、ぐっ!!」

 

 

 分かっている……。分かってはいるのだが――。とても奥に突き進める状態ではなかった。

 

 

 みちち……っっ♡ ぐゅにいぃぃ~~っ♡ ぎちっ♡ ぎゅぐちち……にゅっちぃ♡♡ むっぢぢぃ~~♡♡

 

 

 子どもの小指程度ならば骨折させてしまえそうなほどに中の圧力は凄まじい。

だのに、その質感はどこまでも柔らかく、一度乳中に収めた亀頭は、少しも跳ね返されることなく、その柔乳肉に受け止められる。

 

 

 まさに完璧な鞭と飴。天然かつ世界最高級の貞操帯となった、彼女のギチ締め半人半淫Kカップおっぱいは、亀頭を包んだだけで、このまま俺を射精に導けそうだった。

 

 

「んもぅ……♡ どこまでも手のかかる、おこちゃまですね♡♡ ――ホラ、こうするんですよっ!!♡」

 

 

ずっ……ぐぐにゅにゅうぅぅ~~っっ♡♡! ぎゅににぃ……♡

 

 

 一ノ瀬さんが腰から丸ごと上半身を振り下ろし、入口で満足しかけていた俺のペニスを、一気にぎゅうぎゅう詰めの乳パックに捩じ込んだ。

 

 

みぎちちち……みちっ♡♡ びちっ♡ ぎゅむぐぐぐぅ~~~っっ♡♡

 

 

「あ゛ぁ゛ぁ……っっ!?!」

 

 

 ゴリゴリと陰茎を削ぎ落とされたような感覚に、たまらず悲鳴とも絶叫ともつかない声が喉から飛び出す。

 

 

 水一滴さえ通れる隙間があるかどうかも怪しい程の乳肉地獄……。その中に引きずり込まれたペニス全体から伝わるのは、岩盤のように厚く、とろろの何倍もトロついた超乳の塊。

 

 

 湯上がりと興奮で少し熱めに高まったそれは、羽毛布団のような温もりを持ってペニスを包み込み、窒息死させそうなくらいに、ギチギチと締めつけてくる。

 

 

「んっ……♡♡ おにいさんのおちんぽ、ようやく入りましたっ♡♡ ん゛っ……あっ……スゴイ♡♡ Hカップブラに負けないくらい……うっ、く……ぅぅ♡ 私のおっぱいを、中から……押し返してるっ♡♡」

 

 

「ぐっ、う……っ! 一ノ瀬、さんの……お、おっぱい……ッッ! ぎっちぎちでっ!! ふわふわで……温かくて……っっ!!」

 

 

 俺は今にも射精しそうだった。――否、気分的にはもうとっくに射精していた。

しかし、現実として俺のペニスからは「射精」と呼べるほどの精の放出はされなかった。

 

 

 なぜなら……それを赦さないほどに、乳肉の密度が極限まで圧縮されていたからだ。

 

 

「ん……っ♡♡ おにいさんの、勃起おちんぽ……♡ さっきから、ピクピクって……♡ あっ、また――♡♡ 本当はもう……射精(だ)しちゃってるんですね?♡♡ かぁ・らぁ・イぃ・キっ♡♡ 我慢できないんですね……っっ♡」

 

 

「う……っ、あ゛ぁ……っ!!」

 

 

 射精(イキ)たいのに射精(イケ)ない……。

 

 

 そんな絵に描いたような拷問を強いられた俺は、もはや言葉すらろくに口にすることができなくなった。

 

 

 体内を暴走する感覚は完全に射精する時のソレだ。なのに、高密度なんて生易しいレベルじゃないくらいに、超圧密された乳肉監獄により、その衝動は陰茎の中でぶつ切りされる。

 

 

 意志とは反した行動の強制。視界と感覚を奪うギッチリKカップバスト。そして、既に一度経験した過去最高クラスの射精をする快感……。

これらの要素が複雑に絡み合った結果生じる欲求不満は、今後一生狂ってしまいそうなほどだった。

 

 

「安心してください、おにいさん……っ♡ ――私はそんなヒドイ事……♡ おにいさんにはしませんよ、絶対に♡♡」

 

 

 狂気へと誘う渦に絡め取られかけている俺に、蜘蛛の糸のように彼女の声が降りかかる。

 

 

「それに私も、これ以上このブラを着けていると、痛くてたまらないので……“次”のブラに着替えますっ♡」

 

 

パチッ、パチッ――♡

 

にぎぎっ!♡ にゅぬぬぎぎ……にゅむわぁ♡♡ たぱあぁ~~っ♡♡

 

 

 その言葉の直後、ボタンが外れたような小さい音が聞こえた。

 

 

 ――すると、それまで続いていた乳肉の圧搾が嘘のように弱まり、中のペニスは一時的に釈放された。

 

 

どびゅびゅ~~っっ♡! どぷびゅぷぷっ!!♡♡ ぼぽびゅびゅ! 

 

 

 まるで花が開花するように、ペニスを拘束していた乳肉が離れたまさにその時――。俺は溜め込みを余儀なくされていた精液を、一気に開放した。

 

 

どぷぷ……っ♡♡ びゅぐくく……どぽっ、ぶぷぷっ♡♡

 

 

 長い間拘束された後遺症か――精液の放出加減はまばらだった。

水鉄砲のように勢いよく飛び出したかと思えば、急に勢いが弱まり、蛇口からこぼれ落ちる水滴のように漏れ出す。

 

 

 ……完全に、ペニス周りの筋肉がバカになってしまっていた。

 

 

「んっ♡ あっ……やぁん!!♡ ちょっ、と……おにいさん♡ 精液……飛ばすのか、漏らすのか……ハッキリしてくださいよ、もぅ……♡♡」

 

 

 そんなサイクルを行ったり来たりしながら吐精しているせいで、一ノ瀬さんの顔も、少し横に垂れ広がったKカップ爆乳も……満遍なく俺の白濁液で汚れてしまっていた。

 

 

「ふぅ、キツかったぁ……。――でも、その分の成果は十分にあったみたいですねっ♡ ホラ、見てくださいおにいさん……♡♡ さっきまで着けてたHカップブラ……。おにいさんの精液でぇ……♡ べちょべちょになっちゃってますよぉ……っ♡♡」

 

 

 一ノ瀬さんは自分の顔についた精液を拭うよりも先に、外したばかりのHカップブラジャーをつまみ上げた。

 

 

ねっちょ……ぉっ♡ にちゅっ、ぬっちゅうあぁ~~♡♡

 

 

「聞きましたか、今の……♡ ただでさえ、私のKカップおっぱいで、ブラ全体がゴムみたいにビロンッ……ビロンに伸びちゃったのにぃ……♡♡ おにいさんがお漏らしした精液で……さらに、びちゃびちゃの、どろっどろ……っ♡♡ これじゃあリサイクルにも出せないですね……っ♡♡」

 

 

 持ち上げられただけで、水たまりの上を跳ねたような水音が鳴った。

風呂上がりの体表に残っていた水分に加え、大量の精液をも吸収したソレは、薄い墨汁をかけたように黒ずみ、鼻と生殖本能に強く爪痕を刻む淫臭を放っている。

 

 

「しかもっ、おにいさんってば……♡ 私のかつてのお気に入りブラを自分の子種で染め上げたのに……♡♡ まだまだ、おちんぽはビンビンで元気いっぱいですもん……♡ 顔でもおちんぽでも……♡♡ 『まだまだおっぱい欲しいよ~』って、甘えたいのバレバレですっ♡」

 

 

 精液まみれのHカップブラを取り下げた彼女が、また新たなブラジャーをこちらに見せつけてきた。

 

 

 それは、至るところにレースや刺繍が大量に施された薔薇のように真っ赤なブラジャーだった。

カップ部分は半円しかなかったが、それでも俺の広げた手の半分以上はあった。

 

 

「でも……♡ 私も、まだまだ物足りないので……続き♡♡ させてあげますねっ♡ 今度はおにいさんが好きにおっぱいを動かしてくださいっ♡♡」

 

 

「私のおっぱいに大きさで負けちゃってる、お子ちゃまお手々のおにいさんでもしっかりホールドできるよう……♡♡ この、Iカップハーフブラで……♡ ゆ~~っくり、もっちり……締めあげてぇ♡♡ パイズリぬきぬきのお手伝い……してあげますからっっ♡♡」

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「んっ……しょ、っとぉ♡ ふぅ……♡♡ さぁ、どうぞおにいさん……♡ 私に馬乗りになって、好きなだけ“使って”ください♡♡」

 

 

 それまでは、ベッドに腰掛けていた俺の股座に膝立ちの状態だった。しかし今度はベッドにあがり、仰向けに寝転がる一ノ瀬さん。

降参の意志を示すように両腕を挙げ、全身を投げ売るようなその姿はとても退廃的で、物凄く淫妖だ。

 

 

「ほらほらっ、おにいさん♡ 『据え膳食わぬはなんとか』ってヤツですよ……♡」

 

 

 重力によって少しばかり楕円に潰されたKカップ山峰の狭間から、一ノ瀬さんがヘビのような細い目でこちらを見つめる。

 

 

 ブラのサイズが大きくなったことで、先程よりは多少――乳肌が隠された。

とはいってもせいぜい、マイクロビキニから、普通のビキニになったくらいの変化でしかない。

 

 

――ゆさっ♡ もにゅう~~ん……♡♡ ふさふさ……っ♡♡

 

 

 そんな事などお構いなしに、俺の方に面した側のブラ。

つまり、自分からは見えない下乳側のカップ生地を外すような手つきで、Kカップおっぱいが揺らされる。

 

 

 重力に引っ張られ、更にはその土台たる胴体がおっぱいに対して細すぎるのか……。

一ノ瀬さんのKカップはブラを付けていても尚、真下ではなく、斜め下に流れ落ちている。

 

 

 そんな状態で揺れる魔乳は、上や正面から見た時とはまた異なった方法で、大きさと重量を伝えてくる。

 

 

「――はぁむっ……♡♡ ちゅうぅぅ~~~♡♡ …………っっ♡ ふぁやふ、ひへ……♡♡」

 

 

 最後のトドメに、彼女が片乳を持ち上げ、上乳の一部を唇で甘咬みし……こちらに向けてなにか言葉を喋った。

 

 

「……っっ!!♡」

 

 

 その一連の行動は誰がどう見ても分かるくらいに露骨な罠への誘導。

車の往来が激しい大通りの信号を、赤だと分かっていて渡るような……命を投げ捨てるも同然の暴挙。

 

 

 だが俺は、催眠術にでもかかったみたいにその信号を渡りだした。

 

 

「もむもむんむっ……んっ、ぷあぁ♡ ふふっ、やっと来てくれましたね♡ まったく、いちいち私が誘わないと動かないなんて……♡ おっぱいが絡むとおにいさんは本当に手のかかる赤ちゃんになっちゃうんですね……♡ よちよちっ♡♡」

 

 

 Kカップなどという、前代未聞の美爆乳を目の前にすれば、どんな男性であっても精神が赤子に戻らざるを得ないだろう。

だが、それを言葉にして……何度も指摘されるのは、とてつもなく屈辱的だ。

 

 

 だが、同時に……異常なまでに興奮を覚える。

 

 

ギッ♡ ギギギ――――ッッ♡♡

 

 

 彼女の胴体……。ちょうど臍の真上あたりを跨いで、文字通り尻に敷く。

一部分に重さが集中したせいか、ベッドのスプリングが少し軋んだ。

 

 

「――さぁ、おにいさんっ♡ ご覧の通り、私は身動きできませんから……どうぞっ♡♡ 好きなように私のみっちりでふわふわなKカップおっぱい……その、射精したばかりとは思えないくらいビンビンな恋人おちんぽで……味わい尽くしてください♡♡」

 

 

 俺の目をじっと見つめながら、一ノ瀬さんが告げる。下乳に添えられていた両手も、ゆっくり……ほとんど音を立てずに離れ、ベッドに倒れていく。

 

 

 ――完全にカラダの支配権(コントロール)をコチラに明け渡していた。

 

 

ガッ――♡♡

 

 

 腕の支えが外れ、さらに横に流れ落ちそうになっていた両乳を、慌てて手で止めた。

 

 

たぽ……♡ たぽぽっ♡ ずにゅううぅ~~♡♡  むにゅっ♡

 

 

「おっ、おもっ……っっ!!」

 

 

 乳塊が手のひらに触れた瞬間――そんな言葉が出てしまった。

 

 

「あぁ、そういえば……初めてでしたねっ♡ おにいさんが、私のおっぱいを直接触るの……♡♡ どうですかぁ?♡ おにいさんへの愛がい~~っぱい詰まった……淫魔族のモチモチKカップおっぱい♡」

 

 

 依然としてサイズ不足のブラは乳肉を支える事はできず、川の真ん中に鎮座する岩のように偏らせる事しかできていない。

そのため、コチラが一切手指を動かさなくても、おっぱい肉の方から勝手に手のひらに寄りかかっている。

 

 

「……って、聞こえてないみたいですねっ♡♡ ――んもぅ♡」

 

 

 ずっ……っっしり♡♡ むにゅ~……っ♡♡

 

 

 指の間から溢れるのはもちろん……手首の角度を強制的に曲げてしまう程の圧倒的な重量。

童話にある木の家のように、俺の手を軽く吹き飛ばしそうなほどの力があるのに、手から伝わる感触は綿のように柔らかい。

 

 

「くおおぉ……っ! うおぉっ、んっ、はぁ…… スゲェ……!」

 

 

 まるでピアノを弾くように腕が、手が……指が勝手に動く。一ノ瀬さんの乳肌と、その中に詰まった乳脂肪は鍵盤よりも深く凹み、音の代わりに天にも昇れそうな快感で指を包む。

 

 

 あまりの気持ちよさに腕を離そうとしたその瞬間……。

 

 

──むにゅうううううううぅ~……っ♡

 

 

俺の手は上から抑え込まれ、より乳肉の中へと埋め込まれていった。

 

 

「はぐう゛うぅっ……!!」

 

 

 手のひらだけでなく、手の甲からも柔らかい乳塊の感触を感じたことで、俺はまるで金的を蹴られたような呻き声をあげてしまった。

胸から腕へと一本の筋のように伝っていた力はあっという間に抜け落ち、両腕は生まれたての子鹿のように力なく震える。

 

 

「こ~~らっ♡ 今、手を離そうとしましたよね、おにいさん?」

 

 

 俺の手を押さえつけた人物――。手を埋め尽くしている109センチKカップおっぱいの持ち主である一ノ瀬さんが、少しキツめに俺を戒める。

 

 

「ダメじゃないですか! まだおちんぽどころか、手で持っただけなのに……♡ そんな序盤も序盤で離してたら、どれだけ掛かってもパイズリなんてできませんよ!♡♡」

 

 

 上から見下ろしている俺からでも、彼女のおっぱいは胸肉の感触が感じ取れないほど馬鹿デカい。それなのに彼女は、俺が実際に腕を離すよりも先に、こちらの意図を見抜いてきた。

 

 

「ホラ、ちゃんとこうやってぇ……真ん中に寄せてください♡」

 

 

ぐぐぐぐ……っ♡♡ にゅぐ♡ ぐゅにに……っっ♡ むっにぃ……もっちゅににぃ……♡♡

 

 

 陶芸で粘土の形を変えるように、彼女が俺の手首をガッシリ持ったまま、中央に寄せる。

当然、一番下で抑えつけられている彼女のおっぱいも中央に集まり、谷間の隙間が縮まる。

 

 

「こうしないと、パイズリじゃなくて、ただのオナニーになっちゃいますよ?♡♡」

 

 

「オナ、ニー……。一ノ瀬さんの、おっぱいをオカズに――オナニー……」

 

 

 おっぱいのことしか考えられなくなった頭で、偶然拾った言葉が脳の中で反芻する。

 

 

 ブラジャーだけでなく、一ノ瀬さん本人の助力もあって、俺の眼前にあるKカップ乳峰は双子のように並んでいる。

その光景はまさしく、「俺のパイズリのためだけに拵えられたおっぱいオナホ」であり、馬乗りパイズリをするにあたって、これほど最適な状況はないだろう。

 

 

 だが、裏を返せばそれは……まさにオカズに最適な景色。

 

 

 一ノ瀬さんのような絶世の美女の動きを封じているという征服欲だけではない。自分のために最高級のオカズを用意してくれた奉仕精神。

そしてなにより……彼女のカラダで最も視覚的に雄の性欲を刺激するであろうKカップおっぱいを、自分の子種で染め上げる――そんな未来予想図。

 

 

 それらは、本来の目的である「好き放題にやれる馬乗りパイズリ」と並んで心を奪い、逡巡させるには十分すぎた。

 

 

「もぅ! オナニーなら、また今度好きなだけさせてあげますから、今はパイズリ(こっち)以外のことは考えないでくださいっ!!♡♡」

 

 

ドンッ――――!! 

 

 

 脳裏にへばりついた、魅惑的すぎる言葉に苦悩していた俺の背中を、一ノ瀬さんの膝が蹴った。

 

 

ずにゅ!♡ ずにゅるう~……っ♡♡ じゅずぷぷぷっ……ずっちゅんっ♡!!

 

 

「んぐぅ、うおっごほぼぉ……っ!!」

 

 

 そうして押し出された結果……中央に寄った二つの乳房。

山脈のように連なった事でできた乳洞窟に、俺の射精直後ヌルドロペニスが足を踏み入れた。

 

 

「まったく……♡ け~~っきょく最後まで、私が案内しちゃったじゃないですか……♡♡ でも、流石にここまですれば、今さら、オナニーがどうとか考えないですよね?♡」

 

 

 彼女の言葉に『そうだそうだ』と同調するように、109センチもの標高を誇る乳連峰は、俺のペニスに、むっっちゅうぅぅ~~にいぃぃ……♡ と吸いついてくる。

 

 

 Hカップブラを着用しての膝立ちパイズリとは違い、締めつけは、ペニスを折り曲げられそうなほどではない。

だが、それでも一度捕えたペニスを離さないのには十分な拘束力だった。

 

 

 津波のように圧倒的で暴力的なくせに、綿のような質感……。

そんな明らかに矛盾した乳塊が、奥深くに眠る心臓の鼓動などで自然と揺れ、むっちりとした乳圧と共にモチモチでふわふわな幸福と快感をペニス全体に与えてくる。

 

 

「あっ……。あ゛~……う゛っ、ううぅぅ~~」

 

 

 超高級ホテルの全身マッサージを受けているような……気力やその他諸々が抜けていく声が自然と出てしまう。

 

 

「気持ちいいですか~、おにいさん♡ 気持ちいいですよね~……おにぃさ~ん♡♡」

 

 

「――でもぉ、ついさっきまでぇ、おにいさんはぁ……♡♡ この、たまらなく気持ちいい馬乗りパイズリよりもぉ……いつもしてきた、一人ぼっちシコシコオナニーをしようとしてたんですよぉ??♡」

 

 

むにゅうう~~~~ぅ……♡︎ もにゅ、もにゅにゅぅ……んぬゅん♡︎ たっぷん……たぷたぷ♡︎♡ むにっ♡︎ むにっ、ぽよぽよ……ぽよぉん♡︎♡︎

 

 

 うどんの生地を練り伸ばすように、俺の手ごと自分のおっぱいを捏ねくり回しながら、一ノ瀬さんが俺に……。

いや、乳窟内で揉みくちゃにされている俺のペニスに訴えかける。

 

 

 幼少期――特に、義務教育期間中。よく目にし、そして体験してきたやり方。

女子特有の、本人ではなく、第三者を通じて標的の社会的名誉や地位を毀損する方法。

 

 

 その手法で、一ノ瀬さんは俺を謗る。

 

 

「今更隠しても無駄なくらい、おっぱい大好き星人だ~ってこぉと♡ バレちゃってるのに……♡♡ ギッッッッチ、ギチに締めつけられたおっぱいでぇ、ブラが鉛みたいに重くなるくらい♡ い~~っぱい射精したくせにぃ……っっ♡ それなのに、今度はおっぱいに触れずに、お手々シコシコしようとしたんですよ~~?♡♡」

 

 

「ほ~~んっと、ヒドイですよねぇ~~っっ♡♡」

 

 

 一ノ瀬さんは直接言葉にはしないものの、間違いなく俺のペニスに向かって語りかけていた。

 

 

びゅくっ♡! みゅぐぐ……ッッ!!♡ ビク!♡ ビクビクゥゥ……♡♡

 

 

 俺のペニスは、全身をにゅっぽり乳肉と乳脂肪に埋もられながらも、その問いかけに答えるように、大きく跳ねて答える。

 

 

ずりずり……ぐにぐに♡♡ ぐにゅぐにゅ……ずりゅずりゅ……♡♡ ずりゅ♡ ぐじゅりゅっ♡♡ ぐにゅぐゅ……ぐうぃい~~っっ♡

 

 

 乳蔵の中で拗ねる俺のペニスを宥めるように、一ノ瀬さんによるおっぱい操作はより複雑に……大胆になっていく。

 

 

 螺旋を描くように回したり、交差するように左右の回転方向を逆にしたり……。あるいは、回転を止め、判子を押すように自分の方へと強く押しつけたり……。

その他にも、多彩な動かし方で、中に埋まっているペニスに快感を与え続ける。

 

 

 そうして俺は――あっという間に、孤立無援。自分の性器すら敵にまわり、完全な四面楚歌になってしまった。

 

 

 だが……。

 

 

『安心してください、おにいさん……っ♡ ――私はそんなヒドイ事……♡ おにいさんにはしませんよ、絶対に♡♡』

 

 

「……♡♡」

 

 

 まだ記憶に新しい彼女の言葉と、俺を見上げる彼女の瞳が――それが演技(ウソ)だと……本当の狙いは別にあると物語(つげ)る。

 

 

ずりにゅり……たぷたぷ、たぷぷっ♡♡ ──むっにゅ〜〜〜っ♡︎♡︎ 

 

 

 少しも休むことなく動き続ける彼女の腕。腹部に馬乗りにされているにも関わらず、その動きは一切の淀みがない。

 

 

 まるで、付きっきりで子供に勉強を教える家庭教師のように……。

 

 

「……一ノ瀬、さん……っ!!」

 

 

「なんですか~♡ 私のおっぱい大好きなくせに浮気者のおにいさ~~んっ♡♡ 私にぃ……ナニか言いたいこと……♡♡ あるんですかぁ?」

 

 

『言葉ではなく、行動で示してください♡』

 

 

 そう言われた気がした俺は、それまで木偶の坊同然だった腕に力を込め、自分の意志で彼女の――淫魔族の109センチKカップおっぱいを操作する。

 

 

ぐりゅんっ♡! ぐりゅりゅん……ぬゅるん♡!♡♡ たぱぱ……っ♡! にゅぐり、ぢり……♡♡!!

 

 

 たった今目撃し、そして体験した動かし方に倣うように……。Hカップブラパイズリで味わった、あの絞殺されそうなほどの締めつけに可能な限り近づけて行う、自分本位のパイズリ。

 

 

 着けられているIカップサイズのハーフブラが手に擦れようとも……時たま、彼女の眉間に皺が寄ろうとも……。全てお構いなしに、自分で自分のペニスをイジメぬく馬乗りパイズリ。

 

 

「お前(ペニス)の主は俺だ」・「一ノ瀬さんは……このKカップの超巨大おっぱいは、俺専用のおっぱいおまんこだ」

――腕を動かす度に、そんな征服欲や支配欲。独占欲が豪炎のように燃え盛り、腕に掛かる力を増々強めてしまう。

 

 

「んっ、あっ……くぅ~っ♡♡ スゴイ、おにいさん……力、込めすぎ……♡ っっ♡」

 

 

 胃腸や肺を強く圧迫されたせいか――それとも、ブラ越しとはいえ胸を強く弄られているためか……。

 

 

 眼下の一ノ瀬さんの顔が、徐々に紅に染まり、呼吸も途切れ途切れになっていく。

 

 

「でぇ~もっ♡ 淫魔族(わたし)にはそんな虚勢……♡ 意味ないですよっ♡♡」

 

 

グイッ――――んっ、グニュ~~~ッッ♡♡

 

 

 俺の手首を離れた彼女の腕が、今度は乱雑に動き回る自分の胸。押しつぶされて尚、漫画に出てくるご飯の盛られた茶碗のように山なりの形をしている乳房を、両端から寄せて中央に固定した。

 

 

「っかぉ、うぐ……っっ!!」

 

 

 突然、動きを封じられたペニス。その中で暴れまわっていた快楽は行き場をなくし、腰や足といった体の方へと返ってきた。

 

 

ズズズ――――ッ。

 

 

「えっ……!」

 

 

 キャパオーバーすぎる攻撃を受けた快楽中枢は、咄嗟に開いていた足を閉じさせる。

だが、それは逆効果――射精への最後の一押しにしかならなかった。

 

 

(今まで気づかなかったけど、一ノ瀬さんのウエスト……ほっっそ!! こんな折れそうなくらい細い身体のどこに……109センチKカップなんて莫迦げたデカチチを支えられるだけの力が……っっ!)

 

 

 初めて会った時から、誰もが羨むボディラインをしていた彼女。

だが、胸はそんな外見とはまるで違い、街行く全男子の視線と意識を集めてしまうほどに大きい。

 

 

 しかし、それにばかり気がいっていたせいで、その下――。今、ちょうど俺の両足にピッタリと挟まれているウエストは、最初の見た目通りの細さをしていたことに、今の今まで気づかなかった。

 

 

「ボン・キュッ・ボン」という、古くから伝わる女性のボディラインを現した表現。それがソックリ当てはまるような細さ。

 

 

 これまた有名な錯視画像の一つである、ルビンの壺のようなアンバランスさ。いくら淫魔族とはいえ、これまで接種してきた栄養が全て胸に集中したのではないか……。そう思えてしまうほどに、彼女のウエストは細かった。

 

 

「はぁ~い、そこまでですっ♡」

 

 

 今更気づいた新事実に、もう嘘か現実なのかも分からず……欲望の赴くまま性を解き放とうとしたその瞬間――。それまでセメントで固めたみたいにペニスを固定していた乳独房が、開放された。

 

 

「えっ……!? …………あっ」

 

 

「かわいい声をあげてもダメですっ♡ おっぱいでのおちんぽヨシヨシは、おしまい♡ また今度……ですっ♡」

 

 

 それはまさに一瞬。唯一にして、絶妙なタイミング。淫魔族だからこそ見計ることのできた、射精直前に産まれた刹那の隙だった……。

 

 

「――んも~っ、おちんぽからも涙みたいに、とぷとぷ漏らして……♡ 落ち込みすぎですよっ、一時はオナニーで終わらせようとしたくせに……♡♡」

 

 

 ツタのようにスルスルと俺の股下からすり抜けていった一ノ瀬さんは、慰めるように軽くキスをした後、言った。

 

 

「大丈夫ですっ♡ ――今、おにいさんの全身で爆発しそうなくらい煮え暴れてるドロッッ……ッドロのザーメン……♡ 全部、私のおまんこで受け止めてあげますからっ♡♡」

 

 

「おにいさんも――どうせビュルビュルするなら、顔は大好きなおっぱいに……♡ そしておちんぽはぁ、おっぱい以上にフワッフワでトロットロの淫魔おまんこに包まれて……♡♡ 死んじゃうくらいに幸せな状態のまま、受精以外絶許な中出し孕ませぴゅっぴゅ……したいですよねっ?♡♡」

 

 

 その言葉とともに、彼女の艷やかな指が、スーッと下半身へと降りていく。

 

 

 気づけば俺の首は、その動きにあわせて縦に動いていた。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「はぁ……いよいよ、ですね♡♡ おにいさん……♡」

 

 

 ベッドの上で仰向けに身体を放りだしている一ノ瀬さん。

今彼女が抱いている期待や高揚感を表すように、その瞳は魔力のような不思議な力でも籠められているみたいに、妖しい光を宿している。

 

 

「――っっ! 一ノ瀬さん……この、下着……っ!!」

 

 

「どうですか♡ 気に入って――くれましたか?♡」

 

 

 彼女が身に着けていたブラではないもう一つの下着――パンツは、AVでも見たことない程、エロさに極振りしたものだった。

 

 

 形状としてはTバックに近い形。

 

 

 ブラと同じように、腰回りなどに掛かる紐は細く、陰部と肛門に当たる部分には布がついている……。

しかし、恥部――彼女の言葉を借りれば「おまんこ」を担当する部分以外はまともな布地がなく、バラの刺繍を満遍なく施すための超極薄の網地しかない。

 

 

 そのため、まるでふんどしを身に着けているかのように……ショーツ部分以外の殆どが透けて見えてしまっていた。

 

 

「こ、これも……淫魔族の専門店で、買った……んですか?」

 

 

「ふ、ふふっ♡ さぁ……♡♡ どうでしたっけ……忘れちゃいました♡♡」

 

 

 過剰なほどに白々しくと呆ける一ノ瀬さん。

 

 

 その姿はまさに、さも普通の下着を装ってはいるがその実、雄の劣情を煽る事しか考えられていない……。

超絶変態技師によって製作された――ドスケベなんて言葉では足りないくらい――扇情的な下着にピッタリだった。

 

 

「そんなことより……っ♡ はやく……っ♡ はやく、おにいさんのおちんぽ♡ せっかくの馬乗りパイズリだったのにぃ、まさかのオアズケを食らって……っ♡ ブチギレ寸前な、獰猛おちんぽさん……♡♡ 私(おまんこ)に、頂戴(ください)……♡♡」

 

 

スッ、ぐに……っチィ♡ ……ぐちゅ♡ ――――ジワワッ♡♡

 

 

 一ノ瀬さん本人によって、ただ一箇所……その履物が下着だと証明していた股布(ショーツ)がつまみ上げられる。

その部分は彼女の体内から分泌されている蜜液がたっぷりと染み込んでいて、フェラと同じかそれ以上に淫らな水音をたてた。

 

 

――じゅっぷ……♡ 

 

 

「ん……っっ、ふぅ♡♡」

 

 

 納豆のように粘ついた銀糸を何本もかけながら、遂に……彼女のおまんこが露わになった。

 

 

ぷっくり……っ♡ たら~~っ♡ たらたら……♡♡

 

 

 一ノ瀬さんのおまんこは、今日これまでに見せた淫らで、卑猥すぎる行動の数々からは考えもつかないほどに、可愛らしかった。

 

 

 淫魔族の血によって、同年代の人間女性とは別格に媚肉を蓄えた臀部。その中にあってただ一人……小さく、ぷっくりと盛り上がっている恥丘。

 

 

 その光景は、明らかに異質なものとして目の前に広がっていた。……だが同時に、その小さく主張する彼女の「人間」的部分は、俺の意識をこれまで以上に惹いた。

まるで、かぐや姫がいた黄金に光る竹のように……。

 

 

くぱぁ♡♡ ひくひく♡♡ ひくっ♡ うねうね……うにゅうぬゅ……っっ♡

 

 

 だがそれは、疑似餌にすぎなかった。

 

 

 いたいけな少女のように可愛らしい膣口から覗くのは、イソギンチャクのようにうねる肉襞。

とても、奥で繋がっているとは思えないくらい分岐して蠢くそれはまさに、今日散々身を持って実感した……淫魔族特有のもの。

 

 

 彼女の過去からしても、そこに何かを迎え入れたとは考えにくい……。

 

 

 そのはずなのに、目の前に公開された神秘的かつ淫猥すぎる門扉は、破城槌に攻撃されたみたいに“ペニスを迎え入れる場所”が俺にでも分かるくらいに開いている。

 

 

「……♡♡」

 

 

 一ノ瀬さんから痛いくらいに送られてくるねだるような視線に……。俺を手招くように動く陰唇に応えるように……。

 

 

ぴっ……ちょ♡♡ ちゅぷっ……ぷっちょ♡♡

 

 

 限界ギリギリのペニスを、その先端数ミリを、彼女のおまんこに……そして膣口に食(は)ませた。

 

 

「ぁ……♡♡ っぁ……♡ ぃに、きっっぁ……♡♡」

 

 

 昇天前の遺言のように、小さな声で喜びを口にする一ノ瀬さん。

 

 

――っ♡ ぴく、んっきゅきゅ♡ ぴきゅ……っ♡

 

 

 その声にシンクロするように、亀頭と尿口が陰唇に触れた瞬間――。膣全体が一瞬、強くうち跳ね、一気飲みするように先端に溜まっていた俺のカウパーを飲みはじめた。

 

 

ぐっ……♡ ぐぐぐ~~ぅぅ♡♡

 

 

 そうして得た何かのエネルギーを吸収したからか……。

陰裂の頂点(てっぺん)。一番高いところに、まるで家紋のように付いている陰核(クリトリス)が、こころなしか人、二周り大きく肥大化した気がする。

 

 

「――おにいさんの……私の、大好きな人の……おちんぽぉ♡♡ やっと、やっとおまんこでぇ……♡ お・む・か・え♡♡ できましたぁ~~っっ♡♡」

 

 

 いちいち言葉にするのがバカらしく思えるほど、彼女のおまんこと、その膣内は濡れそぼっている。

しかも、肌などの体表温度とは違い、膣内は先端から奥まで――火傷しそうなほど熱い。

 

 

 その焼けるような超高温を棲家とする無数の生物(ヒダ)は、まだ数ミリ程度しか触れていないにも関わらず、その僅かに侵入してきた亀頭に余す所なく吸い付く。

そして綱引きの要領で、膣内(なか)へ……子宮口(じょうおう)のいる場所へと引きずり込んでいく。

 

 

「――――ッ! い、ちのせ……っっ! さんっっ……!!」

 

 

「んふぅ♡♡ すきぃ……♡ おにいさん……だいすき、っですぅ~~♡ 愛して、ます~~……っっ!♡♡」

 

 

 SOS信号の意味で彼女の名前を叫んでも、それは「愛の告白」として受け止められる。

 

 

 そんな彼女の――もはや、暴走同然にまで強まった俺への恋慕は、そのままペニスを呑み込む咀嚼力に変換され、俺のペニスは“俺の意志とは関係なく”膣窟内を突き進んでいく。

 

 

ずにゅっ……♡ もぎゅ♡♡ もぐぐ……ぐにぐに♡♡ ずぐぐぐ~~~っ♡

 

 

「や、ばい……っ! いっ……っせ、さ……っ!!」

 

 

 まだ半分程度しか挿入できていないのに、薄皮一枚隔てたところまで射精がきていると悟ってしまった俺は、たまらず彼女に抱きついた。

言葉では無理でも、行動でSOSを伝えようとしたのだ。

 

 

ぎゅううぅぅ~~~♡♡ もにゅ♡ もみっ♡ たぷぷ……っっ♡♡ 

 

 

 拳銃で撃たれたように勢いよく倒れる俺の体を、この世界で間違いなく最高級のクッション――覚醒した淫魔族のKカップおっぱいが優しく受け止める。

 

 

――――ちゅっ♡

 

 

「……いいですよ♡ 出しちゃってください……私の、おまんこに♡♡」

 

 

 必然的に超至近距離になった俺と一ノ瀬さんの顔に一瞬、橋が架かった。――その後、オルゴールのように心地よいささやき声が、脳に届いた。

 

 

「だって、おにいさん……♡ もうとっくに、我慢の限界でしたもんね♡♡ 私がイジワルしちゃったせいで♡ ワガママしちゃったせいで、パイズリで射精できなくて……おかしくなっちゃいそうだったんですよねっ♡♡」

 

 

「だから――いいですよ♡ まだおちんぽが全部挿入ってなくても……♡ まだ……子宮口と、こんにちはしてなくても……♡♡ 私のおまんこ道中に、おにいさんの限界精子……ぴゅっぴゅしてください♡♡」

 

 

 まるで野原に吹くそよ風のように……。どこまでも甘く、優しく、とろけるように俺に言葉を吹き込み、包み込む一ノ瀬さん。

 

 

「大丈夫です♡ だって、私……淫魔族ですから♡♡ 一回、おまんこにおちんちん迎えたら、どこで射精されても、どうにかできますよ♡ ――――たぶん♡♡」

 

 

 これまで、一応の理屈を通しながら俺を責めたててきた彼女が、今日はじめて――。「多分」などという曖昧で不明瞭な言葉を用いた。

 

 

 だが、切羽詰まった今の俺にはその曖昧さが……隙ともよべる猶予が、逆に――

 

 

(そうだ……。我慢できなくても、途中で射精(だし)ても……いいんだ)

 

 

 という免罪符(いいわけ)を与えてくれた。

 

 

「すみっ……せっっ!! ――っで、!!」

 

 

びゅっ……♡♡ びゅるるっっ!!♡ びゅ~~~~~~~~~~~っっっ!!!♡♡ 

 

 

「きっ……たぁゃ!♡♡ あ、ああ♡♡ ああ!♡♡ あはぁぁあ……あぅぅ♡」

 

 

 射精を妨げていた最後の牙城が、淫魔族(かのじょ)たってのお墨付きにより、遂に瓦解した。

敗軍将の遺言か……。口こそは謝罪の言葉を発していたが、体は待ちに待った射精の快感に打ち震えていた。

 

 

 くわえて、脳細胞の尽くが花火のような眩い閃光となって、四肢に「もっと強く彼女に――目の前のメスに抱きつけ!」と命令を下し、消失していく。

 

 

ぎゅううぅぅ~~♡♡ ぎゅっ!♡ ぎゅっ♡♡! ぎゅぎゅううぅぅぅ~~~~♡♡!!!

 

 

 怖い夢を見た後の子供のように、力任せにしがみつく。

 

 

びゅ~~っっ!!♡♡♡ びゅるるっっ!!♡♡! どぷっ!♡どぷっ!!♡♡ びゅっ! びゅるぅぅ!!♡♡!

 

 

 射精でペニスがドクンと脈打つ度に、自分の足元が崩れていっているような感覚に陥る。

 

 

 それから少しでも逃れるために雲のように柔らかく、シロナガスクジラの何倍も心強い彼女の、Kカップむっちりワガママエロボディにへばりつく。

 

 

 そんな俺を、一ノ瀬さんはただただ……受け止めてくれていた。

 

 

 飛び込むように倒れた俺を、カンガルーのように全身で受け止め、包み込んでくれている彼女。

 

 

 覚醒した淫魔族(かのじょ)にとって、想い人の精液を膣内に注がれるというのが、どれほどの快感なのかは――正直、想像すらつかない。

だが、間違いなく……今、俺が感じている無意識に幼児退行してしまうほどの快感など、足元にも及ばないだろう。

 

 

 それなのに……。

 

 

「はぁぁ……♡♡ す、ごぃ……っ♡ おにいさんの射精っ♡ あつい……♡ それに、まだまだいっぱい……でてきてます♡♡ もっと、も~~っと、射精していいですからねぇ♡♡ いっぱいいっぱい精子ぴゅっぴゅして……今度は、二人で気持ちいいセックスしましょうね♡♡」

 

 

 なのに、彼女は種族の運命ともいえる――原始的快楽にも負けず、俺を受容し続けてくれている。

 

 

 「人間の女性」が持つ母性――。そして、「淫魔族」の他の追随を許さない性技による搾精――。

 

 

 これら異なる種族のハーフである彼女相手だからこそ実現できた、ハイブリッドな恋人専用イチャあまセックス。

それは、まるで……天上に棲まう女神が、俺一人のためだけに奏でてくれる賛美歌のようだった。

 

 

ぶぴゅっ……♡♡ぶぴゅる~~っっ!♡♡♡! びゅっ……♡♡ どっ……ぷっ♡ ぶぷ……っ♡ ――――びゅくっ♡♡

 

 

 そんな女神の全身全霊による祝福を独り占めすること数分――。長かった射精の勢いがようやっと収まった。

 

 

 だが俺は、勢いが弱まってもしばらく――彼女のKカップトロモチふわふわおっぱいに埋めた顔をあげなかった。

 

 

「くふっ……ふふっ♡♡ おにいさん……お射精、お疲れ様でした♡♡ たっ……っっくさん、出ましたね♡ 私のおまんこ……もう子宮口以外、どこもかしこも、おにいさんのアッツアツザーメンでぱんぱんになっちゃいましたっ♡♡」

 

 

さすっ♡ スッ……スッ……♡♡ ス~~~~ッ♡♡

 

 

 射精後特有の疲労と、心を埋め尽くしたままの甘えたい気持ちで、死んだように動かない俺の頭を、一ノ瀬さんの手が優しく撫でる。

――正直それだけでも、追いお漏らし射精をしてしまいそうなくらい気持ちよかった。

 

 

「――さて、どうしますか? おにいさん♡♡」

 

 

 しばらく頭を撫でていた腕を、そのまま背中――鳩尾のちょうど真後ろくらいのところに下ろした彼女は、力をやんわりと強めて俺を抱きしめながら続けた。

 

 

「もう少し、こうして休憩しますか?♡ ……それとも、早速――残った子宮の中目指して、私と一緒におまんこセックス続けますか?♡♡ 好きな方を選んでください♡ 私は、どっちでもおにいさんの意志を尊重しますからっ♡♡」

 

 

 こんな状態になっても尚、彼女はこの場の主導権を俺に委ねてくれた。

 

 

 「大和撫子」や「亭主関白」等といった言葉では到底足りない奉仕精神に感服しながら、俺は――

 

 

「もぅ、ちょっと……このまま――――」

 

 

「はいっ、分かりました♡ 大好きな恋人淫魔族の3ケタおっぱいに、たぁ~~っくさん、甘えてくださいね♡♡」

 

 

「あ、あと――チュウも……。ぉ、がっ……ぃ」

 

 

「――はい、もちろんです♡ はやく元気になれるように……♡ いぃ~~……っっぱい、チュッチュしてあげますねぇ♡♡」

 

 

「あっ、そうです♡ どうせなら、チュッチュはぁ……♡ 次のおまんこセックスの時でも、続けませんか?♡ おちんぽとおまんこだけじゃなく、お口どうしでも、じっくり、ねっとり……♡♡ ラブラブでぇ、あっまぁ~~~あいベロチュ~……♡ してみたくないですか?♡♡」

 

 

「――――ぅん。るっ……させて……ほしぃ」

 

 

「はい、決まりですっ♡♡」

 

 

 ――こうして俺は、近い未来にさらなる幸福の約束を取り付けた後……。

しばしの間、専用の宇宙最高の天然(おっぱい)枕で、休息を取った。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「そう♡ そうです、おにいさん……♡ 焦らなくて大丈夫ですから……そのまま、ゆっくり……おちんぽを、おまんこの奥に――♡♡ 私の子宮に届かせてください」

 

 

 馬乗りパイズリで限界まで蓄えさせられた精液を、子宮へと続く膣道にぶち撒けてから数分が経過した――。

俺はまるで幼稚園児のように、一ノ瀬さん誘導のもと、目的地である子宮へと、おそるおそる腰を進めていた。

 

 

にゅぷっ♡ ぬぷぷ……っっ♡♡ ヌルッ、ドプッ――♡ ぬゅぐぐぐ……っ♡♡

 

 

 直接注ぎ込まれた精液で膣内は、源泉直引きの天然温泉のように熱く、内部に流れる愛液もとろみを含んでいた。

 

 

 まだ射出されてから一度も外気に触れていない精液は、膜のような役目を果たしているのか……。壁にビッシリと生えている肉ヒダからは、最初に挿入れた頃ほどの強い刺激を感じない。

 

 

「く……っっ! あ、うぅ、ぐ……っっ、あァぁ!!」

 

 

 しかし、逆に流れるプールのように、ゆったりとした速度でペニスを子宮口前へと運んでいる。

 

 

 赤子の体温のように火照った水流で運ばれる感覚は、日本のどの温泉地にあるかけ流しよりも、圧倒的に気持ちいい。

一ノ瀬さんの補助なしでは、数センチたりとも腰を前に進めなかっただろうという確信がうまれるほどに……。

 

 

――ぷちゅ♡ ちゅむっ、むちゅ……ちゅちゅっ♡♡

 

 

「はい、到着でぇ~す♡ 良く頑張りましたねおにいさん♡♡ おにいさんが頑張ったおかげでぇ、私の子宮とおにいさんのおちんぽが今……♡♡ ごっつんこ♡♡ しましたよっ♡」

 

 

 その言葉通り、ペニスの先端から、何かにぶつかったような感覚が伝わってきた。

 

 

 一晩中、ぬるま湯で温められたローションのような温度と感触を竿を中心に伝えてくる膣壁や膣道とは明らかに違う感覚。

 

 

 どこか、母親の胎内にいた頃を思い出させるような温もり。

 

 

 性別や種族――その他諸々に関わらず、森羅万象……生きとし生ける生物である以上、必ず経験のある安心感。

実家以上の安らぎを持ったそれが、俺のペニスの前にあった。

 

 

「ほぅらっ、おにいさん♡♡ 約束通り、こっちもキス……しましょう♡♡ おちんぽとおまんこに負けないくらい……♡ ううん、ソコが嫉妬しちゃうくらいにラブラブで、アッツアツの……べろちゅ~♡♡」

 

 

 挿入しやすいように一度上げていた上半身を、ペニスが一ノ瀬さんの膣を進んだように、再度下げていく。

彼女は誘導員のようにそれをアシストし、そのまま――ヌットリとした密液たっぷりの唇で受け止めた。

 

 

んちゅるむ……っ♡♡ んちゅる、んっ、んゅるる……♡ れぅ、ちゅぷ♡♡ っ……ぷぅ♡

 

 

 「嫉妬させる」の宣言通り、唇同士が触れ合った瞬間――彼女の舌が混交を求めてきた。

まだ熱さの消えていない精液も合わさった膣内に負けないほどヌメついた舌が、俺の舌と踊るように絡み合う。

 

 

んむちゅ、ぬるぅ……っ♡ ちゅぷ、つぷっ♡♡ んぶむ、ちゅぷっ……♡♡ ちゅぽっ、むちゅっ……♡

 

 

 プリクラの時のような激しさよりも、持続させることをに重きをおいたディープ・キス。頻繁に口間に隙間ができ、空気の抜ける音が混じっているのがその証。

 

 

 ワインのように年単位で熟成させた砂糖水……それほどの甘さを持つ唾液で俺の――俺と彼女。両方の性欲を燻る。

そして同時に、それなりの頻度で紛れ込ませる酸素によってギリギリのところで正気を維持させる。

 

 

「んちゅるっ、れぅ……♡ はむっ……っっ♡♡ おにいさんとの、きすぅ……♡♡ はぁむ……んふ、すきぃ♡♡」

 

 

 お互いの唾液が混ざりあい、蟹のように泡立ち、口元から涎となって漏れ垂れる……。俺はもう、それぞれの認識というか……境界線的なものが曖昧になりそうなのに……。

 

 

「んん……ちゅむぅっ♡♡ れもぅ、おちんぽもぉ、んっ……♡ っぷぅ、ちゅ……ぴるりゅ♡♡ わふれひゃ……らめ、れふ♡♡」

 

 

 それなのに彼女は、上の口で行われている肉交を、指ならぬ――ペニスを咥えて見ている下の口(おまんこ)のことも忘れていない。

 

 

 やはりというか、流石というべきか……。彼女もまた、立派な淫魔族だった。

 

 

 そして、そんな淫魔族の彼女と、今日一日――。何度も濃密すぎる体の重ね合いをした俺も、その影響を強く受けたらしく……。

 

 

 ぐぐっ♡ むぐぐ……っっ♡♡ ミキッ……ミキキ――ぐにぐに~~ぃぃ♡♡

 

 

「れぅ……♡♡ んむ、んゅ……っ♡!♡♡ んりゅるっ……♡ おにいさんの……おちんぽがぁ♡♡ んっ、はぁむ……ひまっっ♡ 私のおまんこ♡♡ グググ~~ッッ……って、押し広げましたよぉ~~っっ♡♡ ちゅう~~~~……っぷはぁ♡ 狙い通り、嫉妬してくれた……みたいですねっ♡」

 

 

 本当に融合してしまいそうなほど曖昧な認識の俺でも、膣内(なか)でペニスが肥大化し、溶解壁じみた膣壁を押し広げたのが分かった。

 

 

 これまで、異種族の出現は俺にとって、何かと苦い過去の原因にしかならなかった。

だが、今この時――。この共感覚(シンクロ)は……心の底から異種族(かのじょ)がいて良かったと思えた瞬間だった。

 

 

「んくゅ、んっ♡♡ やぁ……っ、はぁ……っっ♡♡」

 

 

 体の最も敏感な部分を内側から押し返されたことによる矯声で、キスに集中しづらくなった一ノ瀬さん。

しかし、そんな彼女とは対照的に、膣内とそこに生え揃っているツブツブした肉襞は、彼女の深層心理を表現するかのようにペニスを指圧する。

 

 

コツっ♡ ぽこっ……クニッ♡♡ ぎゅぅぅぅ~~~っっ♡♡ にゅ……ぷっく♡ ヌルヌル、トロロ~~ォォッ♡ ……くに、くにっ♡♡

 

 

 大量の水飴を、ドロッドロになるまで鍋で煮たような愛液と精液の膜。膣内全体を覆い尽くすほどの広厚な膜越しでも、ヒダの凸の部分がもぐらたたきのように頭を出して、竿やカリ首などを刺激してくる。

 

 

にゅぷぷ……むぎゅっ♡♡ ギュゥゥッ、ぐちぐちっ……にぐぐにゅぐ……っっ♡♡ ズリュッ♡ ぐぐぅぅ~~っっ♡♡♡

 

 

 ハジメテ同士の学生カップルでもしないような、遅すぎるピストン。ポリネシアンセックスかと見間違えるほどの、緩慢とした性器(ペニス)とおまんこ(性器)の接触。

 

 

「うっ……くっ、っっ!! いっ……ち、っせ、さん……っ! ――ああァァ!!」

 

 

 その相手は隣に住む、現役女子大生。

しかも、ただの女子大生ではなく、異種族……。それも、淫魔族の血が――これまで、どうやって抑えてきたのか疑問に思うほど濃く流れている――美女。

 

 

 AV(プロ)の世界でも、人間が彼女たちの相手をすることなどまずありえないレア中のレア。

俗に、成功者と呼ばれるような大富豪たちが、有り余る資産の一割を割いたとしても、彼女たちとのこんな淫蕩すぎる一夜は過ごせない。

 

 

 もし仮に、彼らにそんな幸運が訪れたとしたならば、例え演技(しごと)であろうと、避妊具(コンドーム)有りだったとしても十中八九……彼らは全力で腰を振るに違いない。

 

 

 例えその先の末路が――己の精が枯渇し、雄として完全に不能になるとしても……。構わず彼女たちの膣に、子宮に……自分の遺伝子を刻みつけようと奮起するだろう。

 

 

「はぁむ♡ んっぷぅ……れろ♡ んむっ♡♡……ちゅるっ、ちゅっ……♡ はぁ……♡♡ おにいさん……♡」

 

 

 それほどに、世の男性が羨み、求める女性と、俺は今、一切の代価を支払わず、ゴムやピル……その他あらゆる避妊策も使わずに、繋がっている。

 

 

 それも、今日の朝早い時間から……。

――否、はじめて彼女に抱きつかれた日から数えれば、実に一週間以上もの長い時間をかけて。

精を、子種汁の濃度と量を……熟成に熟成を重ねさせられての、性交(セックス)。

 

 

 張り手のような、ピストン特有の肌と肌が打ち合う音をほとんどたてず。未成熟児の子供の食事に似た、くちゃくちゃ♡ ネチャネチャ♡♡ という水音だけがホテルの室内に響かせての、生セックス。

 

 

 なんと情けなく、そしてもったいない姿……。

 

 

 世界中に数えるほどもいないであろう福男に選ばれたというのに、その機会に対する俺の実力不足は、性についてほとんど知らないであろう幼児でも理解できる有様……。

 

 

 だが、俺も彼女も……これでいい。このままがいい……。

 

 

なぜなら、これは――――。これから先、死が二人を分かつまで続く、ラブラブ夫婦生活の始まりに過ぎないのだから……。

 

 

「ちゅっ……♡ くちゅぅ、ちゅっ♡♡ れろぉ、んぷぁ……っ♡♡ んふ、おにいさん♡ ちゅっ、ちゅるる……っ♡♡ んむぅぅ~~っっ♡♡ そろそろ、くるんですね……っっ♡♡」

 

 

「はっ……ぃぃっ!! く、ぁ!っっ……い、いち――さん!」

 

 

 ヒソヒソと内緒話をするように、外ではなく内側にだけ何度も反響し、倍々に高まっていく絶頂欲求。

 

 

 今や、二人で一つの生き物も同然となった俺と一ノ瀬さんは、酸素さえも別のナニカに変えてしまうほどに甘密なキスの合間にその事実を確認し、近づいているその瞬間に備える。

 

 

にゅ……っぐう~~ぅぅ♡♡ ぐねっ♡ グニッ、グニニ……ッッ♡♡ ギュウギュウ……にゅぐっ♡ にゅぐ……ぬぐぐゅ♡♡

 

 

 それまで、一つ一つがバラバラに押しあたってきていた一ノ瀬さんの膣内と無数のヒダ。

それが、確認が終わった途端――まるで軍隊の行進のように足並みをそろえて、ペニスに新たな刺激を加える。

 

 

 局部的な刺激から全体的な指圧への変更――。

 

 

 ペニスの下にぶら下がっている精嚢。そこに溜まった精子が、一匹でも多く澱みなく尿道を通過し、子宮へと到達できるように……射精管とその周囲の筋肉をほぐし、弾の通過道を拡張させる。

 

 

 それは、何世紀かかっても人間業では到底実現不可能なワザ。

 

 

 まるで様子を直接目にしながら、手で扱いているような性技だ。

……が、淫魔族の血を持つ彼女にとっては、自分の膣を自在に動かすなど、本当に手足を動かすに等しい所業なのかもしれない。

 

 

(――――もしかしたら、相手が俺だから……とかだったり、するのかな?)

 

 

 頭の片隅に浮かんだ、自分でもどうかと思うくらいに気持ち悪い考え。

しかし、かき消そうとすればかき消そうとするほど、より大きな射精欲へのブーメランとなって、脳の奥に突き刺さってしまう。

 

 

「んむっ♡ れぅむ……んっ、ちゅ♡ ちゅるっ、りりゅ……はぁぅむ♡♡ れぅれぅ……♡ ――♡♡」

 

 

「ふゃぁ(さぁ)……ろぉうれふひぉぅへ(どうでしょうね)♡♡」

 

 

「……!!!」

 

 

ゴツンッ!!♡♡ 

 

――びゅくくっ!!♡ どぴゅっ、どぴゅうっ!!!♡♡ どぴゅっ、どぷっ……どぷぷぷっっっ♡ びゅーっ♡ びゅくっ、びゅるっ、びゅるるるるるっ♡♡

 

 

 舌を俺の口の中に入れたまま、告げられた――俺の、あまりにも自分よがりすぎる雑念への返答。

 

 

 それは膣内を徐行していたペニスに、ロケットブースター的役割を果たし、力の限り亀頭を子宮口にめり込ませ、問答無用の生中出しをさせた。

 

 

「あっ♡ きたっ……!♡ きたキタきたぁぁ……っっ♡♡ おにいさんのアツアツ精液♡♡ グッチョグチョでぇ、ドロッドロのぉ……本気で私を孕ませる気の大量精子っっっ♡」

 

 

 淫魔族として……。そして、一人の「女性」としての本来の役割。孕に雄の胤を注がれる幸福。それが遂に満たされる時が来た一ノ瀬さんは、ずっと続けていたキスを中断するほどに、大きな歓声と矯声をあげた。

 

 

ガシッ――!!♡ グイッ!♡ グイッ、グイグイ……グイイィ!!♡♡ 

 

 

 ペニスのちょうど真後ろ――。骨盤の背後で何かが硬く締められ、俺は射精中……さらに彼女に身を寄せる事を余儀なくされた。

 

 

 背中から押し出されるようにして前進したペニスを迎えるのは、VIP客を迎えるキャバ嬢のようにズラリと整列した淫魔族の生肉ヒダ。

 

 

 生まれて初めて――そして、今生において唯一、受け入れる俺のペニスと、精子。

それらをまるでスポンジのように吸収している彼女は、まるで腹上死してしまいそうなほど、興奮と幸福にまみれた顔をしていた……。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「おにいさん♡ おにいさん……♡ ――んむっ♡ ちゅっ、ちゅぷっ……ちゅぱぱ♡♡ ふわぁ~~むっ……♡♡」

 

 

 今日だけで、二度も膣内に大量の精子を注がれた一ノ瀬さん。

しかしその顔には、疲労の色など欠片もなく……そこにいたのは、想い人と結ばれたことを喜ぶ一人の少女だった。

 

 

もみっ♡ もみもみもみ……グルグル♡♡ 

 

 

 彼女は俺の顔にキスの嵐――――。そして俺は、彼女のおっぱいを好きなだけ揉み、捏ね回す……。

挿れたままではないものの、すぐにでも再戦できる体勢のまま、俺たちは互いのカラダを使って弄んでいた。

 

 

「ん~~~っっ……ぷはぁ♡♡ ――そう言えば、おにいさん。何も着けてない私のおっぱいを見るのは、初めてでしたね♡♡ ふふっ……♡ もうパイズリも、フェラも……♡ 本気の子作りセックスだってしたのに……♡♡」

 

 

 セックスの最中に外れたのだろう……。彼女は今、一糸まとわぬ姿になっていた。

ということはつまり、俺には彼女のKカップおっぱいの全貌――。乳首や乳輪といった、全てが丸見えだった。

 

 

――ぷくっ♡ ピクッ♡ ぴくくっ……っ!♡♡

 

 

 彼女の乳首と乳輪は、そのあまりにも規格外すぎる大きさと質量に反して、とても小さく目立ちにくいものだった。

 

 

 色は年端もいかない少女のようなキレイなピンク色で、濃密すぎる情交を終えた直後だというのに、その突起はギリギリセンチに到達しているくらいに小さい。

 

 

 それは乳輪も同じで、3桁超えという乳房全体のサイズから考えて、本来ならある程度の面積があって然るべきのソレは、まるでドーナツの穴のように小さい。

色も、乳房の肥大化に栄養を強奪され続けてきたのか……今のように抱き合うほどに接近するか、言われなければ気づけない程に薄い。

 

 

「今、お兄さんが考えていること――当ててあげましょうか?♡」

 

 

 彼女のおっぱいを、ヨーヨーで遊ぶように動かしながら、賢者タイムを過ごしていた俺に、彼女が語りかけてくる。

 

 

「大方、『乳輪も乳首も……おっぱいの大きさに比べて小さすぎるだろ……』とか、考えてますよね?」

 

 

「でも、心配いらないですよ。私、半分とはいえ、おにいさんと同じ人間ですから……♡」

 

 

「お兄さんが今後も――。さっきみたいに、私のおまんこにたぁ~~~っぷり精液注ぎ込んでくれたら、もう十分以上……おっぱいに夢中なおにいさんと同じくらいおこちゃまな私の乳首と乳輪も……変わりますから♡♡」

 

 

「――多分乳首は、グロテスクなくらいに黒く染まってぇ……♡ 乳輪は今よりも~~っと大きく……♡ そうですねぇ……♡ Iカップのやつみたいなハーフカップブラだと、隠しきれないくらい大きくなりますよっ♡♡」

 

 

「おまけに、ミルクも出るようになって……♡♡ お腹の中にできたおにいさんとの赤ちゃんだけじゃなく……♡ 治るどころか、もっと重症化してるおにいさんの分まで……♡♡ 毎日、休む暇もなく、授乳させてあげますから……♡♡」

 

 

「――だから、はやく……私をそんなふうにっ♡ ――見て分かるくらいにおにいさん専用のエロエロ淫魔ハーフのお嫁さんに造り変えてくださいねっ♡♡」

 




こんな、文字単価なんかハナから考えない私ですが、よろしければご依頼をお待ちしております!!
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