あるいはチャラ男先輩が質の悪い天然トラップに引っかかって、そのまま突っ走る話
8000文字程度
透明な液体が注がれたコップ。
「……んくっ」
その中身を飲み干せば、体の中から熱が湧き上がる。
その感覚に酔いしれて、次の一杯を求めていく。
酒を肴に酒を飲む。
「……んくっ」
いつもなら財布の中身と相談して、泣く泣く一杯で抑えるところ。
しかし、今日はその心配もない。
「おーう! 飲んでるかあ、新入生ーっ!」
「連絡先交換しなーい?」
「ほらコップ空じゃん、もっと飲んで飲んで」
とあるサークル主催の新歓コンパ。
普段より大幅に安く飲める今日、俺は賑やかなお座敷のすみっこでひっそりと日本酒を飲み干していた。
「っかぁー、うまっ」
賑やかな音だけが聞こえる位置で、一人静かに酒を飲む。
これこそが飲み会の醍醐味といえるだろう。
「よぉーっす、飲んでる? 新入生ちゃん」
「んぁ……ああ、はい。飲んでますよー」
いつの間にやらやってきて、俺の横にどっかりと腰を下ろした男性。
肩にかかるくらいに伸ばした髪を金髪に染めた、いかにもチャラそうな先輩だ。ウーロン茶が注がれたジョッキを片手に持っている。
「今からみんなで王様ゲームやんだけどさ、参加しない?」
「んー、しないですかねえ」
「そっか、そりゃ残念」
そう言いながら、ウーロンジョッキをテーブルに置いて、枝豆に手を付ける先輩。
「……?」
「どしたん?」
「いや、行かないんすか? 王様ゲーム」
「いかないかなー。美人とサシで飲む方が好きだしね」
「ほーん」
ぐぴぐぴ。
「俺男っすけど」
「えーうっそだあ」
「よく言われますねえ」
間。
「…………えっ、マジなの?」
「マジマジ」
華奢な体格に女顔だから、本当によく間違われるけど。
なんなら男子トイレに入ろうとして「そこ男子トイレですよ」とか言われるけど。
目の前のチャラ男先輩も惑わされていたようで、枝豆を口に運びつつもジロジロとこちらを観察してくる。
「えー、いや、えーっ? マジかあ……」
「残念でしたなあ先輩。お持ち帰りできなくて」
「あーやっぱバレる? そういうの目当てだって」
「そりゃまあ、さすがにね」
とくとくっ、ぐびぐび。
「しっかし……マジかあ」
「ショック受けすぎでしょ」
「いや遠目から見て”あっ、いいなー”って最初から目ぇつけてたし、なんかめっちゃ、うん、ショックだわー。今からでも女の子だったことにしない?」
「どういうことだよ」
「こう、なんか、他の子と比べて胸が……つつましいだけみたいな」
「触ります? ないっすよ。皆無」
「え? じゃあ、遠慮なく」
伸びてきた手を通してやると、それは意外にも優し気な手つきで俺の胸に触れた。
胸っつーか、胸板なんだけれども。
「いやーん、先輩のえっちー」
「ええマジか……っ、本当にないのか……ブラつけてないどころか、女の子なら絶対に備えているはずの柔らかみすらない。完全に胸板だわこれ」
「ははっ、絶望しすぎでしょ。あ、店員さーん、同じのもう一つ!」
「マジかよ……店員さん、俺にも枝豆。あと生を中ジョッキで」
がっくりと肩を落とした先輩も注文を重ね、飲みが再開する。
「かんぱーい」
「かんぱい……くっそー、今日は飲み明かすかあ」
「酒を飲むなら付き合いますよ、もともとそのために来たんだし」
半泣きになっている先輩を面白く思いつつ、届いたジョッキとコップを合わせて乾杯する。
杯を乾かすと書いて乾杯。良い言葉だ。
ぐびぐび。
「あーっ、やっぱ酒って人類の偉大な発明だなあ」
「最初ハチミツかなんかが自然発酵して生まれたんだっけかな? 蜂蜜酒って飲んだことねーわ、後輩……くんはある?」
「ありますけど……あれあんま甘くなかったですね。蜂蜜酒に蜂蜜入れるレベル」
「えーマジか。今日二回もショック受けたわー」
「しかも同じヤツから二連続でねー」
「マジでそれよ。……今から別の女に声かける気にもなれねー」
ぶつぶつと愚痴を吐きながらジョッキを傾ける先輩。
ちらりと王様ゲームをやっているところに目をやると、盛り上がって恥ずかしがりながらキスをしている女の子二人が目に入る。
ああいう同性でのキスから警戒心緩めていって、異性へのキスに持っていったりボディタッチに移行していくんだろうな。
「あそこ行ってきたらいいんじゃないすか。もう入れ食いでしょ、先輩の顔なら」
「ちげーんだよ後輩くん、労力じゃねえんだ。気分の問題なんだ。狩人が獲物を見定めて、慎重に距離を詰める……あの感覚がもう味わえねえんだ」
「かなり最低なこと言ってるけどわかってます?」
「恋愛も大体同じだろー? これぞと思った女の子と慎重に距離詰めんだから」
「あー。まあ、それもそうか……?」
「つまりウチの飲み会で何があろうと自由恋愛。OK? 実際違法なクスリ使ったりしないとか、一回断られた後は飲酒勧めないとかは口すっぱくして言われてるしね。アルコールの提供もお店の人に任せてるし」
「はあ、そうなんですか」
意外としっかりしてる……してるのかこれ?
グレーゾーンに居座ってるだけなのでは?
……まあいいや。
考えるのが面倒臭くなってきたので、コップを傾ける。
液体を飲み下すたびに喉が動く様を、チャラ男先輩がなんともなしに眺めているのがわかった。
「喉ぼとけついてるなあ」
「女性にも目立たないだけでついてるらしいですけどね」
「えっ、マジ? じゃあ実は……?」
「さっき胸触ったのもう忘れたんかアンタ」
「忘れてませんー、ただ信じられてないだけですぅー」
「はいはい。じゃあもっかい触ります?」
「……やめとく、あの感触もう一回は絶望がやばいわ」
「そんなにですか」
「そんなにだよ。今の自分見てみ?」
そう言いながら、スマホのインカメラをこっちに向けてくる先輩。
「……うっわあ」
ちょっとチャラ男先輩が気の毒になった。
アルコールで程よく、そして色っぽく赤らんだ顔は表情が柔らかくなっており、外側から見た雰囲気も心なしか優しげなものに見える。
そして居酒屋へ行くまでの道中でうっすらと汗をかいた華奢な体。
「これは……まあ、うん」
「俺この子の胸触って男だって知ったんだぜ?」
「人生ゆがむレベルのショックですねえ、これは。いやマジですいませんねほんと」
「いつもだったら”そんなことないよー”っていうんだろうけど、こればっかりは謝罪受け取るわ。つーか、誰でも騙されるわこんなん」
あー、うーん。
「……あとでカラオケでも行きます? 俺奢りますよ」
「フリータイム?」
「今からフリータイムはキツすぎません?」
「いや、元から朝帰り予定だったからマジ余裕よ。なんなら俺夕方まで寝てたし」
…………。
「すいません、今の話なしでいいですかね」
「いやーもう言質とっちゃったからなーここから約束ナシにされたら俺またショック受けちゃうなあー」
「わかりましたよ……」
しゃーない、意図してなかったとは言え、こりゃ引っかかるわってトラップを張ってしまったのは事実だし。
俺はちょっとの後悔を酒と一緒に飲み干して――
「そういや後輩くん、ウチのサークル入る気とかない?」
「どしたんいきなり」
「……いや、ウチのサークル男女比が男に偏ってんだけどさ。それを、こう……後輩くんがいれば、飲み会で女の子の警戒心を……ね?」
「ほんとサイテーだなアンタ」
「さっきから思ってたけど、後輩くん地味に酔ってんね?」
まあ飲んだ量考えると余裕で一升瓶空けてるからな。
そんなこんな、先輩と酒を酌み交わしつつ会話していると、楽しかった宴も終わりに近づいているのがわかった。
王様ゲームをしていた連中はいつの間にか消えてるし、持ち主のわからんバッグとかがそこかしこに転がっている。
「あー、飲んだ飲んだ」
「マジで飲みまくってたな後輩くん……肝臓どうなってんの?」
「親譲りの強靭さですねー。二日酔いとかしたことないし」
「うらやましー」
会計の担当者がレジでめっちゃ長いレシートを受け取っているのを横目に居酒屋を出た俺たちは、生ぬるい夜風を浴びながら夜の街を歩いていく。
目指すはカラオケ。
問題は終電の時間が近いことだが……。
まあ、カラオケで一夜明かせばいいか。
※ ※ ※ ※
「すいません、部屋の方に空きがなくて……」
「うんまあ知ってた」
「マジかー、三回目のマジかだわ」
カラオケ店、どこも空きがなかった。
予想外でもない結果を受け止めながら、カラオケ店を出て夜の街に戻る。
「ってか、三軒も回っちゃったからもう終電ねーじゃん。先輩よぉ、どうしてくれんだーこれ」
「いやーこれは俺悪くないっしょ。あー、ウチくる?」
「えー? 良いんですか先輩ありがとうございますー。俺ベッドで」
「さすがに酔いすぎでしょ後輩くん。まあ俺がそんだけ頼りになるってことかあ!」
「きゃーさすがせんぱーい、抱かれてもいいー」
「そんなこと言っちゃうとマジで抱いちゃうぞー、あっはっは!」
やかましい酔っ払った俺たち。
右を見ればそれ以上にやかましいその他の酔っ払い。
左を見ればうずくまって電柱の根本にゲロを吐く酔っ払い。
うーん、みんな酔っぱらってて気分が良いなあ。
良い夜だ。
※ ※ ※ ※
チャラ男先輩の家はでかい豪邸だった。
靴を脱いで上がり込むと、空調による人工的な風が俺たちを出迎える。
「ただいまぁー、つっても誰もいないんだけどなー!」
「こんなでけえ家なのにいないのぉ?」
「父母出張姉家出ってなもんでさあ! このごーてー子供ンころから俺一人のもんなんよ! あっはっは!」
「おーそりゃすごい、よっおだいじん!」
なんて会話を交わしつつ、二人でえっちらおっちら廊下を歩いていき、これまた豪勢なリビングに入る。
ガラス張りのテーブルに、併設されたでかいキッチン。
そしてでかい音響つきのテレビ。
「すげー。これで映画見たらすごそー」
「あー? シアタールームあっから俺はそっちで見るかなー」
「おおおおっ! 俺シアターで映画見たいー!」
「じゃあ一緒に見ようぜー」
えっちらおっちら。
二階にあるシアタールームは薄暗く、片隅には冷蔵庫が、そして壁際にはでかいソファが置いてあった。
「んと……何見る?」
「アクションでいいやあ」
「うーい。飲み物はそこから勝手にとって」
「へーい」
冷蔵庫からなんとなくコーラを持ってくる。
映画見るんだしな、コーラだよな。コーラ。
チャラ男先輩がソファに座ってリモコンをカチカチしているところに、飲み物を持ったまま歩いていく。
そして、先輩の横に座ろうとして――おっと。
「んあー?」
「ああ、ごめん」
目測を誤って、先輩の膝の上に腰を下ろすことになった。
身長が低い俺は先輩がだらけた体勢をしていたのもあって、すっぽりと先輩の体に収まるような形で座ることになる。
「…………んー」
「うぉい?」
先輩は何を思ったのか、俺を後ろから抱きしめた。
首筋に顔をうずめて、すんすんと臭いを嗅いでるのがわかる。
「あー、酒の匂いする」
「そりゃそうでしょ。そんなことより映画はー?」
「つけた。あともーちょいで始まるでしょ。それよりも匂いもーちょいかがせて」
「おいおい、ホモになる気かー? 俺男ですよー?」
映画が始まっても先輩が俺の首筋から顔を上げることはなかった。
スンスンと鼻を鳴らしながら、俺の匂いを嗅いでいる。
その感触が気になって、俺もなんだか映画に集中できない。
「んー、でも顔良いんだよなあ。カワイイし」
「でもおっぱいないじゃん」
「あー? そうだったっけ?」
「そうだぞー、ほら」
俺を抱きしめる手を動かして、胸板に案内してやる。
すると先輩はその感触を確かめるようにして何回か手を動かした。
「んー、でもこれおっぱいじゃん?」
「でもかたいじゃんこれ」
「そーお? ……んー」
「シャツ脱がそうとすんなって……」
俺を上半身裸に剥こうとする手を引き留めていると、先輩は脱がすのを諦め、代わりにそのまま手を俺の素肌に這わした。
さえぎるものが何もない、肌と肌とが触れ合う。
「ちょっとー、触んなー」
「んー、でも固くなってきたからおっぱいじゃないの、これ?」
「そこ乳首だからぁ……あんまいじくんな……っ」
カリカリと指先で引っかかれ、変な感覚と一緒に乳首が固くなっていく。
あー、んー?
「でも……んぅっ、乳首で感じるって……女の子だけじゃねーの?」
「じゃあ、後輩くんは女の子……?」
「いや、でも俺まんこついてないじゃん。男じゃないの?」
「男かあ……? ちょっと下触るかー?」
「おーいいよ。……んっ」
乳首をつまんでいた指が、最後に乳首を弾いてからするりとシャツから抜ける。
そしてズボンを通り、パンツの中に手が入れられた。
「んぅ……っ」
「おお……チンコついてるなあ。まんこもない……?」
「チンコついてたら……っ、まんこないに決まってんじゃん。んんっ」
俺の竿を軽くしごき、玉袋をもてあそび、さらに下にまで手を這わす先輩。
その手は迷い箸よろしく俺の下半身から鼠径部までを動いていき、最終的にもっと奥へと伸ばされて――
「んんぅ……っ!?」
「お、これまんこじゃね?」
なんか、穴があったらしい。
穴、穴があったのかあ……俺に穴ついてたかあ……。
「え、じゃあ俺女だった?」
「そうなんじゃねえの? だってまんこついてるし」
「マジかあ……俺女の子だったのかあ」
「んじゃ、抱いて良い?」
「えー」
こんな感じで処女捨てて良いのかとは迷う。
あー、でも先輩顔いいしなあ。
「まあ、いいよ」
「よっしゃ、マジで好みだったからうれしーっ。ちゅーしていーい?」
「おー、酒の味しそうでいーなー……んっ」
そういうと、先輩の片手が俺を振り向かせて、唇が合わさった。
そのまま数秒ほどすると、先輩の舌が俺の唇をつついてくるので、しょうがないなあと迎え入れてやる。
「ん……ちゅっ、ふっ……んんっ?」
気づくと、乳首に再び手が這わされていた。
舌を絡めながら乳首をオモチャにされていると、頭がぼーっとしてくる。
酒による酩酊とは違う、気持ちよさの蓄積。
「……っ、…………っ」
そうしていると、何か股の間に熱いものを感じた。
俺のチンコが勃起しているのだ。
いやでもなんで女の俺にチンコがついてるんだ?
それに関して不思議に思っていると、それはビクビクと震えて――
「…………んんっ!」
びゅるりと、俺が絶頂を迎えると同時に何かを吐き出す。
快感にぶるりと体を震わせると、先輩は俺が絶頂したのに気づいたようで、キスをやめる。
「イった?」
「んー、イったと思う。けど……俺やっぱ男じゃない?」
「ここまで来てそれはないでしょ。ほら下脱いでー」
「んー?」
先輩に持ち上げられ、ソファに背中を預ける形で座らされる。
結局疑問に答えは出ず、俺は先輩がズボンとパンツを脱がすことを止められなかった。
「入れるならコンドームつけてよー」
「わかってるって、いつも持ち歩いてるしさあ」
先輩が尻ポケットから財布を、そしてその中からコンドームを取り出して装着するのを眺めながら、俺はぼんやりと自分の酔いがさめていくのを感じていた。
「せんぱーい」
「なに?」
「……酔い、さめてる?」
「んー? まあ、中途半端に……? まだ酔ってるとは思うけど」
「だよなー」
お互い同じ状態だったようで。
ぼんやりとした頭と、そして性欲に突き動かされているようだった。
まあ、つまり。
「んじゃまあ、やる?」
「……お手柔らかに」
先輩は俺が漏らした精液でコンドームを濡らすと、俺の尻穴にチンコの先端をあてがった。ゴム越しでも、確かな熱と存在を感じる。
ただ、多少覚めているとは言え、酒に浮かされたままの思考はそれに危機感を抱かせない。
「ほぐしてないけど大丈夫かこれ……?」
「まあいけるでしょ、男はどきょー。女はあいきょーってな」
「その理論だと、後輩くんやっぱ女じゃん……よっ!」
「お゛っ!?」
ずるり、と。
先輩のチンコが俺の腸内に侵入するのと同時に、俺の肺から自動的に空気が吐き出される。
「ふ……っ、ふう……っ!」
「うお……きっつ……ッ!」
ただ、まだ先端しか入っていない。
先輩は意を決したように、ゆっくりと、ゆっくりと腰を進めていく。
「んぁ……ああっ、……ああああ……ッ!」
「マジか、これっ、気持ち良すぎだろ……っ!」
俺の尻を侵食していく異物感。
俺のこらえ性のないチンコが勝手に跳ねてぴゅっぴゅと先走りを漏らしている間も先輩の剛直は俺の中を押し進み――何かを突いた。
「お゛お゛――っ!?」
「うおっ、今のが前立腺ってヤツ?」
バチバチと、視界に何かが弾けた。
射精を伴わない絶頂――ドライオーガズムと呼ばれるものだ。
体が勝手に跳ねて、快楽を逃がそうとする。
それを先輩は無理やり抑え込み、俺の唇にキスをしながら、ピストンを開始した。
「んぐ……っ、ん、ちゅ……っ」
舌を絡めとられている間も、腰の動きは止まらない。
前立腺を何度も亀頭で小突かれ、メスとしての絶頂の感覚を、そしてオスに組み敷かれる被虐を刻み付けられていく。
「ぷはっ……エロすぎだろ、後輩くん……っ! そういや、名前聞いてなかったけど!」
「ああっ、くぅ……ッ! 今更すぎない、それ……っ。終わった後にいくらでも話すから……ぁ、ぁあああああっ!」
「ってか、マジでメスの顔してんじゃん。ケツの方もチンコ全部受け入れてるし、もうマジで女の子なんじゃねえの?」
「ちがっ、ちがう……っ、俺、男……ォッ!」
反射的に、口をついて出る反論。
でも、本当にそうだろうか。
こんな組み敷かれて、チンコ突っ込まれて鳴かされて。快楽によって完全に白旗上げながら、男を――雄を受け入れている。
ひょっとしたら、酔いとか抜きにしても本当に雌なのかも。
先輩は快楽に悶える俺を見て、本当に悔しそうな顔をする。
「あーくそ、顔良すぎだろ……っ! マジで彼女にしてえ……なっ!」
「お゛お゛ッ!? わかったかりゃ……なるから、思いっきり、こしっ、叩きつけるなあ……!」
つい、出てしまった言葉。
それに先輩はニヤッと笑い。
「えー、なってくれんの? 彼女?」
「なりゅ……っ! なる、から……ッッ」
「でも男なんじゃなかったっけ?」
あーもう、クソうざいなコイツ!
そう思いながら、やけくそになって俺は言った。
「女の子……先輩限定の女の子ッ、なるから! 先輩相手の時だけ、俺男やめるからッ! お尻、おまんこに変えてっ、女の子するから……俺のこと、彼女にっ! 先輩専用の彼女にしてください……っ!」
「――――ッ!」
男として失格の、女からしても品がないくらいに媚びたセリフ。
それを聞いた先輩はしばし言葉を失い――ラストスパートに入った。
「マジでほんと、俺のツボわかってんじゃん!」
「~~~~~ッッ」
早まる腰の動きに、絡み合う舌と舌。
俺は無意識のうちに先輩の首に腕を、そして腰に足を回して抱き着いた。
そして、快楽が弾けた。
「うお、やば……っ! マジで絞られる……!」
「――――――ッ!」
そんな先輩の声が遠く聞こえ。
俺の意識は闇へと落ちていく。
最後に、男としての自分が消えてなくなる音がした。
※ ※ ※ ※
※ ※ ※ ※
「酒って怖いですね」
「いやーマジで思い知ったわ。後輩ちゃんは体調どう?」
「…………」
「あー、後輩くんに戻す? 昨日のこと忘れちゃう?」
「……いや、どうせなら恋人ちゃんが良いなって」
「――――」
「わっ、ちょっ、無言で押し倒すなって……んっ、ちゅ……っ」
その後、腰痛になった俺は丸一日動けなくなった。