ありがとうございました!!
*書き始めた当初は蟲惑魔ストラクが出てなかったので、こんな感じの終わり方になってます。
何年放置してたんだ……?
俺の住む街は、お世辞にも治安がいいとは言えない。
……治安……というよりも、デュエリストの民度だ。
デュエルと生活が直結するこの街において、すなわち民度と治安もまた、直結した問題である。
デッキさえ持っていれば経歴がどうであれ住所が手に入る街ではあるから、流れ者には優しいのだが。
だからなのだろう、強力なカードの転売が横行していたり、紙束のようなカスデッキを売りつけるマルチがいたり、違法改造されたDホイールでそこらじゅうを走る初心者狩りのはりきりボーイズがいたりと、まあ話題には事欠かない。
この街では持ってるデッキのティアの数字が高いほどエラく、環境デッキを使う奴が大手を振って道を歩ける。変な意地で環境外のテーマを使おうものなら、連中のカモも同然。
そんな街で、俺は。
「フレシアの蟲惑魔の効果を発動。デッキから底なし落とし穴を墓地に送り、その効果をモンスター効果として発動する」
「あああああああ!!?!? オレのヌメロンがああああああ!!!!!」
「おジャマに改名したらどうだ、その置物」
『蟲惑魔』と一緒に、暮らしていた。
*
そんな俺というデュエリストには、さほど語れるような背景があるわけでもない。
アカデミアを卒業したはいいものの、就職には失敗し、飛び出した実家に帰れもせず、あてもなくさ迷ってこの街にたどり着いただけの、特段珍しくもなんともない人間だからだ。
「よう、お疲れ」
「……おう」
公園のベンチで強炭酸のジュースをちまちま飲んでいたところを、背後から友人に声をかけられる。
この街に来てから知り合った相手であり、蟲惑魔を使う俺に対して、ウィッチクラフトで対峙してきた男。最初のデュエル以来なんだか気があって、それからよく会って話やデュエルをする仲となっている。
こいつも実家と縁を切ってここに来たらしいが、俺がこいつのそれ以上を知ることは無い。
「なんだその袋。買い物帰りか?」
「ああ、今日は即売会があってな……無事に新刊を手に入れたところよ。んで帰りにデュエル挑まれたもんで、アーゼウスの蟲惑魔とフルアーマード・ダークナイトランサーの蟲惑魔でひねり潰してきた」
「ゴツい蟲惑魔だな。いつも思うけど」
ベンチの背もたれに片腕を乗せて、こいつも俺と同じようにぐびぐびと缶コーヒーを飲む。
リアルソリッドビジョンが実用化されて久しい今、特定のカードを召喚するとそれらしい演出が繰り広げられたりもする。仕組みとしてはアクションデュエルの延長線上にあり、俺の場合はよくアロメルスやシトリスが跳躍してアーゼウスに乗り込む姿が見れる。
「しかしさぁ、こうして質量を持って俺たちの前に現れてくれるってのに……デュエル中にしか会えないってのは酷だよな、ほんと」
「あー、なんだ、またその話か。そもそもデュエルのためのソリッドビジョンなんだから、当然だと思うが……」
なんだとはなんだ、と突っかかりそうになるのを押さえて、飲み終えた空き缶をぽいと投げる。
からんとゴミ箱に入ったそれを見届けて、俺は左腕のデュエルディスクからカードを1枚ドローした。
引いたカードは、トリオンの蟲惑魔。
この子一枚でわりとなんでもできる、昔から今に至るまでずっとお世話になっている子だ。
「そうは言うけどなあ、見たことあるか、蟲惑魔のソリッドビジョン!? めっっ……ちゃ可愛いんだぜ!? 目の前に現れて活き活き動く高精度な等身大フィギュアも同然、それをなんっ……で観賞用に用いれないかなあって話よ!!」
指に挟んだトリオンのカードをじぃっと見つめながら、胸中の不満をつらつらっと並べてみる。イラストではなく女の子として彼女を見てみれば、際どいなんてもんじゃない衣装を身にまとっている。めっちゃ可愛い。
「前にも聞いたって……そんで俺のウィッチクラフトも似たようなもんだろって言いたいんだろ? 確かに可愛いとは思うし、精度もすげーけど……」
けどなぁ、と挟んでから、ぽんと空き缶を投げる。
からん、とゴミ箱にそれが入って。
「……自分の使うデッキだぞ? 相棒みたいなもんだし…………そういう目で見るか、ふつー?」
と、返される。
わかっている。
こいつはそういう男だ。
要するにムッツリ、ムッツリスケベなのだ。
ガッツリスケベの俺とは違う。
「可愛い女の子だぞ……!? そういう目で見なきゃ失礼だろうが!!」
本心からの言葉だった。
トリオンをデッキに戻し、自動でシャッフルを行うディスクを横目で見てから肩越しに振り返り、目を見つめながら俺は言う。
「わかった。わかったよ、そしたら明日デュエルしよう。リアルソリッドビジョンの鑑賞デュエルといこうじゃねえか。お触りも解禁しようじゃねえの!!」
「え、急。別にいいけど……触んの? あれ硬いぞ?」
「触る。お前も触っていいから。制限時間は無しにして――――ちょっと待って。硬いの?」
「硬いよ」
デュエル中に召喚される、リアルソリッドビジョン。
質量を持ったそれらは、実際に空気を揺らしながら相手のモンスターと殴り合い、臨場感しかない大迫力を俺たちにもたらしてくれる。
女の子モンスターたちも例外ではなく、彼女たちは確かにそこに現れる。とはいえデュエルに余裕はなく、実際に触れたことはなかったし、こいつとのデュエルならお触りの余裕も出来るだろう、と思ったのだが。
「…………触ったことあんの??」
「あるよ。ハイネの服の端っこな、マネキンみてーに硬かった」
「…………」
硬いらしい。
硬いってなんだ? 硬いの?
あのぷにぷに感の権化みたいな蟲惑魔たちが、硬いというのか?
「じゃあまあ……明日、触ってみたらいいんじゃない? 付き合うからさ」
「…………おう……ありがと……」
なんだかえらく夢にヒビを入れられたような気持ちになって、その日はまっすぐ家に帰った。
*
結論から言うと硬かった。
即売会で手に入れたフレシアの蟲惑魔のえっちな薄い本でゴッドブレイズキャノンをかました俺は、翌日に備えてぐっすりと寝てからあいつとのデュエルに臨んだのだが、召喚したアトラの蟲惑魔はそれはそれは無情なまでに硬かった。
ぷらぷらと一人で歩く帰り道。
人の流れの激しい繁華街を避けて、店と店の間の狭い道をするするっといつものように抜けていく、その暗い路地裏の半ばあたりで。
俺は、小さな女の子から、変なデュエルディスクを貰った。
『使い方はそんな感じ。まあ、カードを置くだけだから、好きにしてくれていいよ。……売られたりバラされたりするのは困るけどね』
軽い説明を聴きながら、足元で寝転がる素早いビッグハムスターの腹をわしわしと撫でたことを思い出す。
毛皮がもふもふで肉が柔らかく、あまつさえ呼吸までしている上にドコドコと心臓も鳴っていたビッグハムスターの腹を撫でた記憶。
あの、あまりにもリアルなソリッドビジョン。
「……それを……蟲惑魔で試したなら…………」
自宅の自室、カーペットの上に取り込んだ洗濯物やらケーブルやら機材が散らばった床の上で、俺はあぐらをかいて考えていた。
女の子から貰ったデュエルディスクをベッドの上に乗せて、それと睨み合うこと、数分。
「……たまらねえな?」
いきなり目の前に蟲惑魔を召喚しては、俺はあまりの感動に卒倒してしまうかもしれない。そうならないためのイメージトレーニングを済ませる。
目の前のベッドの上に蟲惑魔が現れ? 俺はそれを目の前で穴があくほど見つめることが出来て、尚且つ彼女たちの反応すら楽しめる。デュエリストの悲願だろう。
俺は深呼吸をしてから、床に置いたエクストラデッキから1枚のカードを取る。
女の子の説明によれば、召喚条件を満たさずとも、彼女たちはモンスターゾーンに置くだけで召喚が出来るらしい。
つまり彼女も、レベル4のモンスターを2体並べることなく、呼べるというわけだ。
俺の魂のカードにして――初恋を奪い去った、彼女。
「よし…………呼ぶぞ……呼ぶぞ……!」
「――フレシアの蟲惑魔を召か」
を。召喚しようとした、瞬間。
ピピピピピ。
と、社用の携帯端末に着信音。
「…………はい」
フレシアを指に挟んだまま、電話をとり。
はい、はい、と何度か声を出しながら頷く。
そして、通話が終わり。
「…………」
俺は、最早慣れ親しんだ動作でスーツに着替えた。
急な仕事、それも俺の担当でも俺の責任でもない部署のミスによるもの。
しかし駆り出されるのは、たいていいつでもなんでもやれてしまう能力を持つ、俺。
フレシアをエクストラデッキに戻し、社用の端末ともろもろをカバンに詰め込み、立ち上がる。
普段なら死んだ目で受け入れられる急な事態だが、今回は。
今回ばかりは。
「――クソがあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
誰もが攻撃宣言を行えなくなりそうなほどの雄々しい咆哮を、放ってしまったのだった。
*
「………………」
深い深い森の奥で、揺れる木々の向こうにある空を眺める少女が居た。
少女は少女の形をしているが、人間ではない。
少女の形を模した『部位』を持つ、蟲惑魔と名付けられたモンスターである。
本来ならば彼女たちには、本体とでも呼ぶべき巨大な植物や昆虫の姿がある。
しかし、この少女にはそれがなかった。
ずいぶん前に、空から青い雨が降り注ぎ。
それから同族を守るため、彼女は『本体』を失うほどの力を使い果たしたのである。
より正確に言えば、彼女だけではなく。彼女に守られて尚、この地の蟲惑魔たちの誰もが本体を失った。
擬似餌である少女の体に残る力のすべてを委ね、蟲惑魔が生きていくのに必要とする機能を持つ本体をなげうつという選択は、彼女たちが生き残るための最終手段だった。
疑似餌と言えど体である。捕食と生殖、そのどちらも申し訳程度に可能な疑似餌の体のみを残し、それを用いて少しずつ力を取り戻し、本体を再生する――切り離された尻尾が本体であるトカゲを少しずつ形成していくという、途方もない時間がかかるその行いを、青い雨が空から降り注いだ時にこの森に生きる蟲惑魔たちの誰もが強要された。
――この森に生きる、蟲惑魔というひとつの種は。
今まさに、絶滅の危機に瀕していたのだった。
体を横にして、眠りにつく四人の蟲惑魔の中心に、桃色の髪をした彼女はいて。
彼女を観測した人間たちは、彼女を『フレシア』と名付けていた。
四人の蟲惑魔にもまた、本体は存在しない。余力のすべてを注ぎ込まれた疑似餌の体でもって、わずかでも生きながらえようと眠っている。
その彼女たちを守るため、フレシアはひとりだけ目を覚ましていたが、彼女の体力にも限界が近づいていた。
――微睡みの中、フレシアは決まって夢を見る。
自らが誰かに従い、ともに戦う夢を。
捕食の対象であるはずの人が、どういうわけか自分のことをひどく慕っていて、恥ずかしげもなく「好き」とか「恋をしている」などと公言する。
そんな、おかしな人間である彼のもとで戦うことが、どうしてかとても嬉しくて。
……ああ、もっと彼と一緒に居たいのに、と。
目を覚ます時、決まって少しだけ名残惜しさを覚えるのだった。
(……この体で、人を喰らうことは、到底ままならない)
強い眠気に襲われながら、フレシアは自分の両手を見つめる。
やがて人間たちは、蟲惑魔の領地を踏みならしにかかるだろう。彼らにとって私たちとは、人を喰らう危険な蟲に違いはないから、駆除することにも抵抗はない。
仮に――仮に、自分たちが生き残る道を探すなら。
(私たちを慕うような、ヒトのオスとの生殖……?)
精力を喰らって力を取り戻し、生殖によって自らの種子をこの地に根付かせる。
それ以外にないが、それを行う方法がわからない。
外に出れば待っているのは、己がすべてをかけて自分たちを皆殺しにしようとする者達だ。
(……いるわけ、ないか…………)
やがてフレシアは空を眺めることにも疲れ、かくんとうなだれて地面を見つめた。
仲間たちの寝息が聞こえる。その息遣いに、自らのものも混じりはじめる。それが逃避だとわかっていても、フレシアはあの夢を見たくてたまらなかった。
夢の中でだけ会える、彼に会いたかった。
「…………?」
微睡みに落ちる、その直前。
普段ならぼやけて見える夢の光景が、なぜか一瞬だけはっきり見えて。
自らの周囲に浮かぶ、光の粒子の存在に気づく。
「え、あれ……何、これ……!?」
やがてフレシアの体は、完全に光に包まれて。
その場から、一瞬にして消え失せた。
「…………っ、…………?」
光が収まり、視界を取り戻したとき。
目の前には、なぜかひどく疲れきった顔の男がいた。
「……ぁの……えっ、と?」
妙な既視感のある顔だった。
彼はこちらをじっと見つめてから、ばたんと倒れるように頭を伏せ。
「フレシアの蟲惑魔さん」
「はい? ……あっ、私……?」
「膝枕を……してくれませんか…………」
消え入りそうな声で、そう頼んできた。
*
――その姿を、無防備と呼べばいいのか、何なのか。
畳んだ脚、自らの腿を枕にして寝転がる男を見下ろしながら、私はひどく困惑していた。
私にとって、ヒトとは捕食の対象であり、ヒトにとっての私は脅威である。
ヒトのふりをして街に出ることはあったが、正体が知れれば皆一様に逃げ惑うものだった。
それが私の認識だったのだけれど、目の前のこの男は、なぜか自身に体をゆだねている。
疲弊してはいるが、自殺志願と言うにはあまりに精力に満ちている。
その上彼は自分の名を呼んだ。フレシアの蟲惑魔と。
(この人は、つまり……ええっと……)
……私を、蟲惑魔と知った上で、甘えている?
どくん、と胸が高鳴って、頬が赤くなるのをごまかすために、私はそこで初めてあたりを見渡した。
生活感……の、ある、部屋だった。広さはそこそこでも、足の踏み場があまりない。自分が座っている場所も、カーペットではなくベッドの上だった。
目の前の彼の服装は、部屋着だろうか? 灰色一色の、飾り気のない服だった。
ふと、ベッドの上に乱雑に置かれたなにかの存在に気が付く。白く、丸い形をした、見慣れないアイテム。
――それに置かれた、一枚のカードを見た瞬間。
存在しないはずの記憶が、ゆっくりと浮かび上がってきた。
同時に訪れたのは、納得と、理解。
理屈で説明できずとも、感覚でそれを確信した。
いつも見ていた、あの夢の景色。
それは、あそこに置かれている、あの『私』が見ていた景色だったんだ、と。
「………………」
それに気づいてから、ゆっくりと背中を曲げて視線を落としたとき。
視界をふさぐ、自分の胸の向こう側に。
たいそう幸せそうな顔で横になる、彼の顔がそこにあった。
「…………あの」
どくん、どくんと鼓動が早くなる。
まがい物でも精密にヒトを模したこの体は、心の昂りを体温と心拍の上昇で示す。
彼の髪に指を通し、ゆっくりと頭を撫でながら、お腹と胸の疼きが強まっていくのを感じる。
「あなたは、私のこと……好き……なんだよね?」
夢の中で彼はそう言っていた。声たかだかに宣言し、他人から不要だと断じられるような私をそれでも呼んでいた。
心地よさそうに寝転がっていた彼が寝返りをうつ。私の胸の下から私を見上げ――て、いるのだろう。
「好きです。一目惚れでした。俺はあなたのためにデッキを握っ」
「だったらさ」
これが夢か現かなど、どうでもよかった。
ただ、蟲惑魔である私を好きと言ってくれる彼がそこにいて、私がここにいて。
飢餓を極めた私にとって、私に心を委ねるヒトのオスなんて、あまりにも都合のよすぎる存在で。
その事実に、久しく役目と行き場を失っていた蜜が、体の奥から溢れ出る。
私が『フレシア』と呼ばれる所以。食らいつくのではなく、食らわせる、求めさせるための、甘味と呼ぶには甘すぎる蜜。
それが。
胸の先から溢れ出て、止まらなかった。
「…………えっ?」
素っ頓狂な彼の声がした。
ぼたぼたと溢れるその蜜が、彼の頬や額や喉だとかに落ちているのだろう。
本来なら、ちらつかせて吸わせるための、それを。
今の私は、彼に、吸ってほしくて、食らってほしくてたまらなかった。
「……そり……っどびじょん……では……あれ…………っ?」
「……お……っぱい」
「吸って…………くれない……?」
ぐい、と。
衣服をずらし、ぶるんと乳房を晒す。
その反動で乳房が揺れて、先端から迸る、薄い黄色をした蜜乳が、飛び散った。
*
――『すごくリアルなリアルソリッドビジョン』。
俺がこのデュエルディスクを受け取ったとき……確かに、そんなような説明を聞いたのだが。
顔に落ちてくる熱い蜜のような液体の感触は、リアルと呼ぶにはあまりにも現実的すぎて。
これは……本当にソリッドビジョンなのかどうかと、恐怖も似た疑問が浮かんで。
浮かんだ。
が。
「ん゛ぅっっっ♥♥♥」
目の前に差し出されたおっぱいを前に、全部吹っ飛んだ。
気が付けば、思い切りしゃぶりついていた。
フレシアのおっぱいに吸い寄せられるように口をつけ、もう片方は思いきり鷲掴んだ。
柔らかい、熱い、それから少し硬いそれを、夢中になって咀嚼する。
「っ、づ……❤ こ、らっ……歯、立てちゃ、だめっ……んっっ……❤」
軽く叱りつけるようなフレシアの声がするが、彼女の腕は俺を抱き寄せるように優しく動く。
後頭部に手を添えられて、まるで本当の赤子のように抱かれることが、あまりにも嬉しくて。夢中で乳首に吸いついて、揉んで、手と口とでフレシアに溺れていく。
「んくっ、んぐ……んぐっ、ん、んっ、んっ……!!」
吸いあげるたびに口内に流れ込んでくる液体……ほのかな温かみのある母乳の味は、俺の知るフレシア、もといラフレシアに関する知識とはまるで正反対を行く蜜の味をしていた。
暖かく、甘く……ずっとずっと口の中で転がしていたくなる蜜の母乳が、吸えば吸うほど口の中に流れ込んでくる。
ほんの少し粘り気のあるそれをぐちゅぐちゅと乳首ごと咀嚼して、むあっと鼻に突き抜ける香りを堪能してから、思い切り喉を鳴らして飲み込み。それを何度となく繰り返しながら、心の内にふと思う。
俺は。俺はいったい今……何を、してるんだ??
三日ほど職場に拘束されて、ようやく帰って来られて、ヘトヘトの体にフレシアの母乳とおっぱいが染み渡る。
ごくんと喉を鳴らす度に、本当に嬉しそうにフレシアが俺の頭を撫でてくれる。
もう片方の手で思い切り揉んでいても、怒らない。
はじめて触る女の子の体。
加減を知らない俺を受け入れてくれる、フレシア。
「……っ❤ ふふっ……❤ 夢中になって飲んじゃって……えらい、えらい……❤ ……でも、いいの……?」
エロい。かわいい。たまらない。好き。
そんな感情ばかりが湧き上がって正気を塗りつぶし、幸福感だけで射精してしまいそうな俺に、フレシアは問いかける。
いいの、とは。なんだろう。こんなことをしてはいけない道理がどこにある?
そんな疑問を浮かべた、その時だった。
「あなたが、夢中で飲んでる、それ……蟲惑魔のおっぱい、だよ……?」
耳もとで、そう囁かれた瞬間。
「んむっっっぐぅっっっ!!?!?」
ドグンッッ……!!!
突然心臓が強く跳ねて、全身がぐあっと熱くなる。どこか一点を中心に、強い強い興奮が訪れる。
俺の体に何が起きたんだと、考える間も与えられずに。
「~~~~~ッッ!!!?!?」
「……わ❤ おっっ、きい…………❤」
ぎゅっっ……!! と強く、その熱の中心を握られる。
全身の熱が集って、滅茶苦茶に滾っている部位。寝巻きのジャージの内側でビクンビクンと息苦しそうに跳ねている、俺の……股間。
俺の頭を支えているのとは、反対の手で。フレシアが、俺の股ぐらを握っていた。
「え、っと……あれ……? これ、どこまでおちんちんなの……?」
すり、すり……と、握る手が緩まると同時に、細い指がそこを撫でてくる。まるで品定めでもするような手つきで、膨らんだジャージの上をするすると滑る。
フレシアのおっぱいを目の当たりにしたときから、当然勃起はしていたのだが。俺の股間はどういうわけか、その時とは比べ物にならないほどの硬さを……射精寸前のままで固定されたような熱さと硬さを保っている。
「……ここまで? …………うそ? おっき、すぎない……?」
「ふーーっ、ふーーーっ、ふー、ふーー……!!」
「ひゃ……っ!?」
体中に漲る活力が行き場を求め、彼女の体を押し倒してしまう。
小さな肩をどんと押しただけで、容易くフレシアは俺のベッドに寝転がされる。驚き戸惑うような顔と、たぷんと揺れる蜜にまみれたおっぱいを見下ろしながら、衝動に任せてズボンとパンツを脱ぎ去った。
体はとっくに正気を失っているが、理性のない知性が俺の中で『待て』をかける。そして浮かんだ疑問が、つるりと喉を滑って口から漏れた。
「フレシア……さん。その……聞きたいことがあるんですが……」
「……フ、フレシアでいいよ? えっと……なに?」
「蟲惑魔の体に……おまんこって、あるんですか?」
犯したい。この少女を愛したい。体はその一心に支配されているが、そもそも目の前の少女は人を食らうモンスターだ。そして、その少女のような体は本体におびき寄せるための疑似餌であり、いわゆるワニガメの舌とかチョウチンアンコウの提灯と似たようなものである。
その体に、俺が求めているものが果たしてあるのか。自然と彼女の腰を覆う布に伸びそうになる手を、彼女の細い指が制止する。
「……ふふっ……。あるわけないでしょ、花だよ? 私。人間みたいな形をしてるのは……あなたみたいな、私を好きになってくれる男性を誘うため。女の子に見えても、体を構成してる要素は人間とはまるで違うの。……でもないと、あんなとろとろのミルクが出せるわけないでしょう?」
「……そ……だよね……っ」
「私の体に、あるのは――」
落胆しかけた心に、その光景は、あまりにも強烈に突き刺さる。
びりびりと腰の布、下着がわりのそれらを破き、彼女が見せてくれたもの。むっちりとした太ももが開かれて、俺に差し出された、ねっとりと濡れた肉厚な――。
「――雌花。この奥に、私の雌しべがあるの。って言っても、私自身は雄花を持たないから……心優しい誰かさんに、この奥に届くくらい、とぉ……っても立派な雄花を挿れてもらって――花粉を運んでもらう必要があるの。たまたま、そう、たまたま私……フレシアの蟲惑魔の雌花は……」
ぐぱ……っ、といやらしい音が鳴って、そこが開く。彼女の細い指が押し当てられた、その場所が。
たっぷりと糸を引く透明な蜜に満たされたその穴は……花は、見るからに入ってきたものを逃さない構造になっていて、エロいだとか淫らだとか、そういう感想ももちろんあるが、何よりも――『凶悪だ』……と思った。
だって。逃げられない。ただでさえ、頭の中が彼女のおっぱいに支配されているのに。おまんこが欲しくて、一度落胆させられるという過程を挟んでしまったのだから。
俺の性器が、女性の味を知らないそれが――彼女の前で、彼女のための、雄花にされてしまう。
「……人間のおちんちんを挿れたら、すぅ……っごく気持ちいい形になってるって、だけ……♥ ね、だから……あぶないよ……?♥」
駄目だよ、絶対に駄目、お花におちんちん挿れるなんて、あぶないよ。
そう伝えながら、彼女はしきりに俺を誘っていた。汗――のような分泌液が揮発した香りと、その雌花の蜜から香る匂い、おっぱいから溢れる蜜から香る匂い、何もかもが混ざって調和して、俺の理性をどろどろに融かしていく。
そうか、これが彼女の生態なのか。そうして骨抜きにして、男を誘い、受粉を手伝わせるわけか……。そして、彼女が望む通りに腰を寄せれば、亀頭を押し当てた先が口のように蠢き、ちゅうと吸い付いてくる。まさしく人のものではない器官に対し、きっと普通の人間は恐怖と快楽の両方を覚えるのだろう。
だが、俺は。
俺は彼女のマスターである。
「もぅ……あぶない、って……言ってるのに…………っ、……?」
「フレシア、俺は、君が好きだ」
「……はい?」
危ないだとか、駄目だとか、これは人間のおまんこじゃないんだから騙されちゃいけないとか。
そもそも俺に、そんな言葉をかけるのは間違っている。
何故ならば俺のちんぽは、最初っから、彼女に捧げた――。
「え……えっ、ちょっと、待って?♥ そんなに、しっかり狙いを定めなくてもっ、大丈夫っ……だけ、ど……っっ♥♥ ぁ、あっ、待って、ほんとに待って♥ あなたのおっきな雄花っ、勢いつけて挿れられたらっ、わ、たし……っっ♥♥」
彼女のためだけの、雄花、だからだ。
がっしりと彼女の細い腰を掴み、少しだけ持ち上げて固定して。
思い切り、体重をかけて、俺のちんぽに吸い付く口の奥まで一気に挿入した。
「――ん゙ゅッ!!?♥♥ ~~~~ッ、っと、ま、待って、ほんとに待ってぇ゙っ!!♥ あなっ、たの、おちんちんっっ、お、っきく、てっ――え゙ッッ!!♥♥ あ゙…………っっ、ぁ、ん゙、っきゅ!!♥♥」
鈴を転がしたような可愛らしい喘ぎ声が、フレシアの口から漏れるのが聞こえた。
一方の俺は、挿入したそこが想像よりもずっと凶悪な形をしていたことに気づかされる。名器とうたう道具はヒダやイボの位置とか穴の構造だとかを事細かに説明しているが、無機質なそれとは比べ物にならない、生きている存在の、内臓だと実感するような熱と動き。
葉脈のような筋が広がって奥へ奥へと誘うような形をした穴が、一番奥へとたどり着いた俺のちんぽをギュウっと締め付けて逃がそうとしない。モグモグと咀嚼するように僅かに蠢く彼女の穴は、ただ挿入しているだけで射精へと導かれそうになる。
「……はぁ……っ、はぁ……っ♥ ぃ、いきなり、がっつきすぎ……♥ ほ……ほんとにっ、私のこと、大好きなんだね……あなた……♥」
腰から力が抜けて、挿れたまま動けずにいる俺の腰に両脚を絡め、体力と余裕を取り戻した様子でフレシアが笑う。
そうだ、大好きだ。大好きなあなたと、フレシアと、セックスをしている。その実感だけで心は満ち足りて、とろけるように精を吐き出して果ててしまいたい、甘えたい――そんな怠惰な愛情が心に湧いているのを感じていた。
だが。だが、である。俺は、彼女のマスターだ。細い腰を掴む指にぐっと力を入れて、吸い付いて逃がすまいとする穴からちんぽをずるずると引き抜き、亀頭や雁首の裏を擦る刺激に声が漏れそうになりながら、再度飲み込もうと動く穴の奥めがけて強く腰を叩きつけた。
「――へっっ??♥♥♥」
ごちゅッ――♥ と奥にある小さな口らしき穴に亀頭がぶつかると、フレシアはひときわ強く体をびくんと跳ねさせ、びゅるっ♥ と乳首の先から蜜の母乳を噴き出した。
女体に詳しくはないが、これが人で言うところの子宮口にあたる部位だろうか――? 腰がぴったりとくっつくまで挿入すると、必然的に亀頭がそこに届く。そしてそこをぐりぐりと刺激されるのが弱いようで、俺は一直線に射精へ向かっているちんぽをなんとか鎮めながらそこをひたすら突き続けた。
ぱんっ、ぱんっ、ぱん――!! と規則的な乾いた音が延々と響き続ける。その音も、フレシアの――女性の嬌声も、俺の部屋で聞こえるはずもないと思っていたものだ。好きな女から余裕を奪い、喘がせているという実感が、俺の心を満たしながら飢えさせていく。
もっと……もっと喘がせたい。もっと快楽を刻みたい。この女を……この子を、俺のものに、したい。
「あ゙――ッ!!♥♥ ぁ――あ゙っ、ぇ゙っっ♥♥ ~~~~っ待って、ぅ、うごかさなくて、いい、がらっ……♥♥ わ、私が、ィ、イかせてあげるがら゙ぁぁああああっっ!!?♥♥ あ、っ、ん゙ゅっ、ぅ、ごかない、で、って、ばっっ――んぉ゙ひッ!!♥♥ ぁ、開い、ちゃうっ――あいちゃう、がらあ゙っっ!!?♥♥」
あく? イく、ではなく、開く、と言ったのか? この子。
その言葉の通りに、俺の亀頭が感じている感触が少しずつ変わっていく。鈴口で何度もキスをした口らしき部分が、少しずつ広がっている。そして広がった口と、その向こうにあるツブツブとした何かが、しきりに俺の鈴口にちゅうちゅうと吸い付いてきた。
未知の快楽に腰が一瞬引けたが、直後に俺は彼女の言葉を思い出す。
『私の体にあるのは、雌花。この奥に、私の雌しべがあるの――』
その意味を本能で理解した瞬間、俺の腰は俺自身の意思を待たずに動いていた。
そこが雌しべで、彼女にとっての花粉は俺の精。だとするなら、この開いた口と吸い付いてくるものに直接精液を注げば、彼女は。
「お゛へっっ♥、んぉ……っぎゅ!!♥ わら、わらひが先にイっだら、だめっ、なのにぃっ……!!♥♥ ぃぐっ、うぁ゛っっイぐイぐイぐイっぎゅぅぅぅううっっ――――んイ゛ッッ!!!??♥♥」
ぱんぱん、という乾いた音が、どッ――♥ という重苦しい音に変わる。
俺の体重を乗せた、渾身の一突き。もう射精の用意に入り、立ち上りつつある精液が鈴口に到達するまでの数秒、その数秒だけ男の性器は無敵となる。愛しい彼女の腰をわし掴み、一心不乱に吸い付いて来る膣奥を突き、彼女の体に忘れられない快楽を刻む。
孕め、イけ、孕め、イけっ、フレシア、愛してるっ孕め孕め孕め孕めっっイけイけイけイけ、イ――――っぐ……!!
「お゙ッッ!!??!?♥♥ お゙、お゙っ、おぐっっ、だめなどこっっ、だめっ、やめっっ、ぎぼぢィッ!!??♥♥ ィぐイっぐイぐイぐイぐイっぎいぃぃ゙ゔぅうううううううっっ!!?!?!♥♥♥ あ゙ーーーーーーっっ!!!!♥♥♥」
ぶぢゅるっ、ぶびゅ、びゅぢ、びびゅぶるるるるるっっ……!!
懲り固められた快楽と魂が、白く濁った精液になって、俺の腰から性器を貫いて溢れ出る。射精、という極上の快楽に加え――ずっぢゅるるるるっ……♥ と、彼女の子宮が――雌しべが吸い付き、亀頭にさらなる快楽を加えてくる。
嬉しい。満たされる。満ち足りる。『孕め』という俺の言葉に、『絶対に孕みます♥』と言わんばかりに、おまんこそのものが吸い付いて精液を飲み込んで受け入れてくれる。
最高だ。愛おしくて、たまらない。これが蟲惑魔とのセックス……? これが、フレシア、との…………。
「…………あ゙……♥ …………っ、あ゙……♥ ぁ゙へ…………っ、え゙へ…………♥♥」
ちゅぽ、と射精が終わると同時に雌しべが引っこ抜けて、あれだけ強く吸い付いていたおまんこが弛緩してちんぽを手放す。
正直言ってまだまだ犯し足りなかったが、虚ろな顔で嬉しそうに頬だけ微かに歪ませた相棒の姿を見下ろして、取り戻した理性がかわいそうだと言ってきたような気がした。
ずるりとちんぽを引き抜くと、かすかにフレシアはぴくりと跳ねて、ぴゅるっ――♥ とおっぱいから蜜の母乳を噴き出した。その様子に再び俺のちんぽは硬く屹立し始めたが、さすがに再度犯す気はなかった。
俺の子を孕ませてしまったであろう相棒の体のほうが、よっぽど心配になったからだ。
「……や……っち、まった…………」
シチュエーションとしては……何度も、何度も何度も何度も妄想して、オナネタにしたそれと全く同じ状況だ。
だがもし、億兆京垓に一にも本当に彼女と会えたなら、いっぱいお話をしてデートとかしてしっかり仲を深めてからえっちなことがしたいなーとか、そんな風に思っていた。……筈、だが。
「…………マジで最低だ……俺ぁ……」
気持ち良かった――大好きな彼女のおっぱいをしゃぶって、滅茶苦茶に乱暴に犯すのが本当に気持ち良かった。その実感が、巨大な罪悪感と自己嫌悪になって襲い掛かる。
そして忘れていたのは、今の俺の体は突然の仕事と残業が終わったばかりで疲労と睡眠負債をドッサリ抱えているということ。全身に忘れていた疲労感が蘇り、ベッドにへたりこんで天井を見上げ、バクバクと鳴る心臓の音を聞きながら呼吸を整える。
依然としてちんぽは勃起して元気なまま――なんだかほのかにくすぐったいような快楽を覚えたりしたまま…………?
「……えっ」
「んあ……むっ♥ ぁ、む……ぴちゅ、ん、っぢぅ…………♥」
ふと見下ろした先に、さっきまで意識を失って仰向けになっていたはずのフレシアがいた。目は相変わらず虚ろなまま、まるではじめてお菓子を口にする幼児のように、愛おしそうに大事そうに俺のちんぽに優しくキスを繰り返している。
まだ射精し足りない、犯し足りないと感じていた俺のちんぽはその刺激に喜んでビクビクと跳ねて、俺だけがその状況に困惑していた。
「ちょ、っと……フレシア? か、体、大丈夫なのか? あのっ……フレシア?」
「ぇあ…………むっっ♥♥」
「ちょっ待っ――」
そして、それが彼女にとっての甘味だとするのなら――行きつく先はひとつ。
ぱくりと、フレシアの小さな口が愛液と精液にまみれた俺のちんぽを頬張る。ハートが浮かんでいるような虚ろな目で、一心にちんぽを見つめながら、じゅるじゅると音を立ててしゃぶり始める。
一滴たりとも無駄にはしない、全部食べ尽くすと言わんばかりに、竿全体にざりざりとした舌を這わせながら、頭を前後に動かして。
「待っ、ほんとに待てっ、お願っ、フレシア、フレシアさんっ!!? 待――っっ!!」
「づぢゅるるるるるるるぅぅ…………♥♥ ぢゅぶ、ぢゅっぶ、ぢゅっぶ、ぢゅぶ、ぢゅぶっ、んぶっ、ぶ、ぷっ♥ ……じゅぷっじゅぷっじゅぷっぐぷっづぷっづっずぢゅるるるるるぅぅ……♥♥」
前後に、前後に、何度も、何度も往復を繰り返し、それしか眼中にないと言わんばかりにちんぽをしゃぶり続ける。
そのフェラチオと呼べるかどうかも怪しい単調で容赦のない口腔責めを受けながら、俺はあることに気づく。鼻や口らしき部位はあるけれど、彼女は――呼吸を、して、いない。
だから、つまり、ようするに、だから――。女の人にちんぽしゃぶられたことなんてないけど――本来、必要なはずの、動き、が。
彼女、には。
「ぢゅるるるるるるるるるるるっっ♥♥ ぐぶるるる……ご、く、んぐ、ごぉ…………ぐっっ♥♥ ご、ごっ……ごお、ぐっ、ぐっぶるるるるるっ、ずぢゅるっ♥♥ じゅぷ、じゅっぷ、じゅっぷ、じゅぷっ、じゅる、んぶ、んぐっっ、ん、ん゙ッ、ぐ…………ご……くっっ♥♥」
必要、ない。呼吸が、息継ぎが、必要ない。だから。喉の奥まで飲み込んで、ぎゅーーーーっと締め付けた後に、また口腔でむしゃぶり、また喉に受け入れる、その繰り返しが。この動きが。
ずっと、ずっとこの動きが、この刺激が、ずっと、ずっとずっとずっとずっと――続き、続け、続くっ――…………っっ。
「あ、あ゙…………ッッ、フレシア、ほんとに、待…………!!!」
「ずぢゅづづづぞぞぞぞぞぞっっ♥♥ じゅるるるるっっ、ぐぶ、ん゙っっぐ♥♥ ぐぷ♥ ぐぷ♥ ぐぷっ♥ ぐぷっ♥ ぐぷ♥♥ づぢぅぅぅぅぅぅぅぅうううっっ…………♥♥♥」
爆ぜる。吐き出す。いや。引っこ抜かれる…………っっ。
ぶびゅぶるるるるるっっ……と、そんな音が聞こえてきそうな、濃度の……精液が、尿道を押し広げて彼女の喉の奥へ噴き出ているのがわかる。気を失いそうなほどの快楽に腰が抜けて、抜けた腰を、彼女に抱きしめられる。
……あ、これ、逆…………だ。俺がさっきまで、この子のおまんこを好き放題犯してたのと……真逆の立場に……俺が、なってる。
だって、もう、この子っ、射精してんのに……止まら、なっ…………。
「あ…………あぁ゙あぁぁあぁああああっっ……!!」
「ごくっ、ごくっ、ごくっ、ごくっっ♥♥ んっく……♥ れぁ、ぁああむっっ♥♥ っぢぃるるるるる♥♥ づぢゅるるるるるっ、じゅっぶ♥ じゅっぶ♥ じゅぶ♥ じゅぶっ♥ ん、え゙ぁ…………♥」
それ――それ、やめて、ください、口あけて喉ひろげるのほんとに、まって……。だって、俺の、これっ、もう、精液出ないっ、のに。
もっとヤバいもん、出そうになってる、から。それまで、それまで飲まれちゃったら俺。全部、全部捧げるしか、なくなる。
けど――わかってしまう。この子は、フレシアは……蟲惑魔は。
「ごぉっ、ぐ……ぶっっ♥♥ ごぐ、ん゙っぐ、ぐぶ、っぢぅぅぅぅぅ…………♥♥♥」
「あ――――っっ」
逃がさない。一滴たりとも、拒まない。
たとえ、それが――ぢょぼろろろろろろろろっ、と堰を切ったように溢れ出る濃厚な小便だろうと……。
尿道を中和するために自然と行われてしまう排尿すらも、彼女らにとっては…………。
「ぢるるるるるぅぅぅぅっっ♥♥ ごきゅっ、ごきゅっ、ごきゅ、ごきゅ、ごきゅっっ、ごく、んっっ♥♥ ずぢぅ…………っぶは……♥♥ あは……はぁ、はぁ、はぁっ…………♥♥」
栄養源。人を食って栄養とする彼女らにとって、人が作るすべてが栄養。必要のない呼吸をわざとしてみせて、興奮を煽るようなことをするのも、すべて、ただ、食らうため。
精液も尿も飲み干されて、カラカラに干からびた俺の体が、やっとフレシアの口と喉から解放された時――どさりと仰向けになって倒れてしまう。
もう駄目だ。一滴も出ない。最高だ。大好きだ。俺の、フレシア――。
「…………ありがとう。私の、マスター。大好き……♥」
そして、俺のすべてを吸い尽くしたことで、意識と、体力を取り戻したらしいフレシアが――さっきよりも、はっきりと光の宿った目で、俺を見下ろした。
……ぼたぼたと、溢れんばかりの母乳を垂らすおっぱいを、俺の口のそばに下ろしながら――。
深い深い、底の見えない愛情と、欲求を宿した瞳に、俺の顔を映しながら――。
「ねぇ、マスター……♥ あなたは、私のこと……好き……なんだよね?♥ 大好き、なんだよね?♥」
「…………」
もはや言葉も出せないまま、こくりとゆっくり頷いて、答える。
「じゃあ…………私の、お……っぱい♥ ずっと、ずうっと、ずうーーっと……吸って……くれる?♥」
それを、許可と、とらえて。
口を広げて、夢中になってしゃぶりつく。
「んっ……♥ ぁは……上手っ♥」
フレシアの甘い声がする。
フレシアの甘い香りがする。
フレシアの甘い蜜の味がする……。
「私……あなたに…………ぜえんぶ……あげる、からっ……♥ あなたも私に……ぜんぶ……ちょう、だい……っ♥♥」
そして、俺は、また。
――ちんぽを、硬く、勃起させていく。
*
「………………」
深い深い森の奥で、揺れる木々の向こうにある空を眺める少女が居た。
少女は少女の形をしているが、人間ではない。
少女の形を模した『部位』を持つ、蟲惑魔と名付けられたモンスターである。
本来ならば彼女たちには、本体とでも呼ぶべき巨大な植物や昆虫の姿がある。
しかし、青い雨が降り注ぐこの森にたったひとりで立つ、この少女にはそれがなかった。
彼女はもう、それを必要としていなかった。
「……お願いね」
桃色の髪の少女は、自らの腹部に宿るいくつもの命にむけて、そう伝える。
そして華奢な左腕をゆっくりと突き出すと、その左腕に、半透明な薄青いデュエルディスクを形成してみせた。
その右手がめくるカードは、今に至るまで存在しなかったカード。
森そのものを自らの領域と変える、彼女が手に入れた新たな力のひとつ。
「フィールド魔法。――蟲惑の園を、発動」
瞬間、森は彼女たちの世界と変わる。
体を横にして、眠りについていた四人の蟲惑魔たちも目を覚ます。
青い雨が、ただの雨に変わっていく。その雫は、紛れもなく自分たちにとっての恵みの雨。
そして、フレシアの蟲惑魔は。
やがて自らの腹から生まれてくる新たな蟲惑魔を、未来から呼び寄せる。
「お願い。アティプス」
この森を我が物顔で闊歩する、青い雨から生まれた青いモンスターたちを狩るために。
青い幻影で作られた少女は母親に微笑み返すと、無数の糸を森じゅうに張り巡らせた。
その瞬間、瀕死だったはずの蟲惑魔たちに新たな力が漲り始める。持ちえなかったはずの強靭な力を得て、彼女たちは木々の根からゆっくりと這い出て、歩き始めた。
「…………さあ、て。この仕事を終えたら、また……彼に、会いたいな」
先頭を歩く母なる蟲惑魔は、満ち足りた顔でにっこりと微笑む。
――そうして、この森に生きる、蟲惑魔というひとつの種は。
今まさに、新たなる-New-を、成した-Clear-。