※ノクターンノベルズさんにも投稿しています。
学校からの帰り道、ファストフードのお店に寄って、友人とお喋りしながらの買い食いだとか。
食べ物で言えば、今みたいな夏の暑い日にはやっぱりアイスとか、冷たい物も食べたいし。
おしゃれな喫茶店のケーキだって、たまに遭遇する移動販売のクレープだって、どれもとっても美味しそう。
そうやって欲しいものを上げていけば、それは当然、ちょっとした食べ物だけで終わるはずもなく。
例えば、気になっていたコミックの、新刊だとか。
発売されたばかりの、人気ゲーム機の新モデルだとか。
そうして当然、これから発売されるゲームソフトだとか。
他にも、最新のスマホもだし、ソシャゲのガチャに使うための、プリペイドだとか。
おしゃれな服も、可愛い服も、どちらにも合うバッグだって。
下着に、化粧品に、ネイルもしてみたいし、フェイクでもいいからキラキラしたアクセサリも。
やっぱりそういう人間の欲望にはキリがないし、積み上げていけば当然、月に一度のお小遣いだけでは、とても足りない。
バイトをすればいいのかもしれないけれど、高校一年生の身分とやらでは、パパもママも先生も、あまりいい顔をしてくれないし。
良さそうな求人を見つけても、ああだ、こうだ、と口を出されて、学校の許可も何も、結局ご破算。
かといってお小遣いの増額をねだってみても、当然のように却下されるわけで。
ほんとにもう、どうすればいいのやら。
「あーっ、もう。お小遣い、足りないんだけど。」
「ふぅん……。」
自らの置かれた状況に、何気なしにぼやいてみれば、向かいの席に座る友人からは、なんだか気のないお返事が返ってきて。
私は仕方なしにもう少し、物思いに耽ることにする。
思い起こせば中学の時は、まだ良かった気がする。
家の近所の公立だったから、学校に行くのだって徒歩圏内だし。
友達と遊びに行く計画にしたって、お互いにお小遣いが足りない同士、それほど無茶はしなかった。
それに、贅沢を憶える前にお受験戦争に巻き込まれていたから、お小遣いが足りなくて困る、なんて悩みも、そんなにした記憶がない。
それが高校に入学してみれば、通学は電車で行動範囲は一気に広がって、最寄りの駅前にはデパートもあるしで、寄り道をし放題。
さらには、同級生やら、部活や委員会の先輩やら、学生ながらに色々な付き合いもあるから、おろそかにすれば干されてしまう。
そんな事を考えながらも、掴み上げたカップに刺さったストローを思い切り吸ってみれば、ずこ、という情けない音と共に舌先に感じる、僅かな甘さ。
半目になりながら紙カップを揺らしてみれば、手に伝わるのは、がらがら、と氷が転がる感触だけで。
どうやら、なけなしのお小遣いで手に入れた新作バーガーセットのお飲み物は、いつのまにやらすっかりと、私のお腹の中に移動してしまったらしい。
ならば、とMサイズのポテトフライの紙容器を逆さまにしてみても、ころり、と硬くなったポテトの端が転がり落ちるだけ。
仕方なく、塩っぽいそれを摘まんで口に入れれば、目の前のトレーの上にはもう本当に、食べ終わりのゴミしか残っていない。
零れてしまいそうになる溜息を堪えて向かいに目をやれば、高校に入学以来の友人は、未だにスマホに夢中になっていて。
この子ったら、ハンバーガーを食べ終わったと思ったら、いそいそとスマホを弄り始めたけれど、まさか、彼氏とかでも出来たのだろうか。
「あ、星3のキャラ出た、らっきー。」
「え、まじで!? 羨ましい……。」
そんな事を思っていたら、唐突に明かされるその行動の正体。
どうやら、ハンバーガーを食べ終わって早々に、ソシャゲのガチャを回していたらしい。
そうして報告の上がるその結果に、私は思わず椅子を、がたり、と鳴らして反応してしまう。
私も同じゲームをやっているけれど、ガチャの結果は惜しくも惨敗。
ちまちまと貯め込んだ無料分だけで我慢したからなのか、新キャラどころか、星3レアリティのキャラでさえ、一人も来てはくれなかった。
「その運、少し分けて欲しい……。」
「ん~……、運より、実力かも?」
「え?」
「10連、20回やったし。」
「……は?」
しかしながら、目の前の友人から明かされたその試行回数に、私は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
それもそのはず、私の知るそのゲームは、10連のガチャを回すのに俗に石とか呼ばれるアイテムが1,200個も必要で、その価格はおおよそ2,000円。
だからつまり、ガチャを200回分も回すためには、40,000円ほどが必要になる訳で。
その価格、私の月のお小遣いの4倍と言えば、どれほどに異常な事か、理解していただけるだろう。
運営さんのお情けで多少の無料分があるとはいえ、それでも、相当の金額がかかっているはずに違いなくて。
特に目の前のこの子は、私と同じでバイトなんかしていないし、毎月のお小遣いも同じくらいだったはずだし。
何やら、悪いことだとか、しているんじゃないだろうかと勘繰ってしまう。
「そんなお金、どこに……。」
「あ、香菜ちゃん、お小遣い足りないって言ってたよね?」
「ぁ、え……? うん……。」
「それなら、香菜ちゃんもやってみる? パパ活。」
「え、パパ……? えっ……?」
目の前の友人は、何処かニマニマとしながら、上目遣いで、声を顰めて。
さらには、口の傍で衝立のように左手を添えながら、ひっそりと種明かしをしてくれる。
パパ活。
その単語が示す内容は、私だって知っている。
自分のパパくらいに年の離れたおじさんから、お小遣いをもらう行為。
たまにニュースで問題になるし、それが危ないことだっていうのも、知っている。
「え、やめなよ。 それ、危ないやつでしょ?」
「んー? 大丈夫だって、みんなやってるよ?」
「そうなの……?」
「うんうん。今時パパ活くらい、普通だって、普通。」
「そ、そう……、なんだ……?」
けれどそんな私の常識とは違って、目の前の彼女はあっけらかんとして。
さらには、大丈夫、大丈夫、と笑って見せる。
彼女が言うには、それはみんながやってる、普通のこと。
詳しく聞いてみれば、同じクラスのあの子とか、隣のクラスのあの子なんかも、パパ活に勤しんでいるらしく。
そんな予想外のことを聞かされてしまえば、節度を守れば危なくないのかもしれない、なんて考えも浮かんできてしまう。
「でも、パパ活って、エッチな事とか、する奴でしょ……?」
「まあ、そう言うのしたいっていう人もいるけど……。」
「ほら!」
「でも、私達みたいなJKとご飯食べたりデートしたいだけってだけのおぢも、結構いるよ?」
「デートだけ……? そう、なんだ……。」
「まぁ、あたしはエッチありの方が好きだけど……♥」
「え、あ……、そう……。」
さらに友人に聞かされてみれば、パパ活というのは別に、エッチな事をしなくても、良いらしい。
ただ普通に、年の離れたおじさんとご飯を食べて、おしゃべりをして。
そうして幾ばくかの、お小遣いをもらうだけっていうのも、あるみたいで。
正直を言ってしまえば、そのパパ達の方には一体全体、どのようなお得があるのかは分からないけれど。
けれどまあ、エッチまでしてしまったら、ほら、売春とか買春とかで、あれだし。
ただのお食事だけで済むのなら、何か違法性があるようにも感じないし。
それだったら、まあ、いいのかな……?
「えと、あの……、どれくらい、お小遣い貰えるの?」
「あれぇ……? 香菜ちゃん、興味あるの~?」
「まあ、みんなやってるなら、少しは……。」
「ふぅん?♥ エッチな方?♥」
「ち、違う方!」
「ん~。ご飯デートだけだと、1万円くらいじゃない?」
「え、ご飯だけで、そんなに……?」
「あー、でも、香菜ちゃんならおっぱい大きいし、もっと貰えちゃうかも。」
「え、えっ……?」
「まじで、ウチの制服地味なのに目立つとか、何カップあるんだよぅ……。」
「えっと、Gカップ……?」
「はぁ!? いっぺん、揉ませるべき……!」
そんなことを話してしまえば、途端に強まる敵意(?)の籠もった視線。
私は、友人からのそんな邪な視線から隠すように、自分の身体を抱きしめて。
そのままそっぽを向きながら、友人の言葉を反芻するように考え込んでしまう。
友人が教えてくれたその金額は、ご飯のデート1回で、実に私の今月のお小遣いと、同じだけ。
相手がどんな人か分からないというデメリットはあるものの、ただご飯を一緒にしてだけでその金額は、何というか破格だった。
だって、仮に毎週、土日のどちらかをそれに当てたとすれば、月に4万円くらいはお小遣いを貰えてしまう訳で。
だけどそれに、おっぱいがどういう風に関わってくるのかが、分からないけれど。
「あ、あの、えっと……、やり方、教えて……?」
「んふ♥ いいよ~?」
だから気付けば私は、友人にそのやり方を、聞いてしまっていた。
私だって、頭の片隅ではこれが、もしかすると何か良くないことなんじゃないかということは、薄々とは分かっている。
けれど、そのリスクに対して提示された報酬は、余りにも魅力的で。
だから、そう、1回、1回だけ。
何度も繰り返すつもりはないし、合わなかったらやめるし、だから。
そんな言い訳を何度も何度も、頭の中で繰り返して。
私のそんな様子に気付いているのか、友人はただ、にんまりと嗤うだけだった。
────
友人と別れてお家に帰れば、待っているのはお母さんのお小言。
どうやらお母さんは、夏休みの間に1日だけ設定された登校日に、つまりは半日程度で学校が終わるはずのその日に、私の帰りが夕方近くになったことがどうにも気に入らないらしい。
誰と何処で何をしていたのか、根掘り葉掘りに聞き出されて。
友達とファストフードのお店で駄弁っていたのがバレれば、それはもう大層なご立腹だった。
というか悪いけれど、そんな程度のことで、怒られても、ちょっと困ってしまう。
本当に、私にも友人との付き合いという物があるということを、そろそろちゃんと理解して欲しい。
自分だって、近所のママ友とお高いランチをしたりしているんだから、良く分かるだろうに。
私はお小言を聞き流しながら、思わずそんな事を口走ってしまいそうになるのを、ぐっと堪える。
そうしてしまえば最後、大喧嘩になってしまうと理解している私の方が、よっぽど大人なんじゃないだろうか。
「もういい? 私、宿題するから……。」
「ちょっと、香菜……!?」
とは言えこちらも、もう何年もお母さんの子供をやっているわけで。
いい加減にお小言のパターンも、分かってきてる。
お小言がいったんピークを迎えた後に落ち着いて、もう一山盛り上がって、抜け出すなら大体、このタイミング。
適当なところを見図らないながらそう言い放って、私はリビングを後にする。
お母さんは何やら、まだまだ言いたいことがあるみたいだけれど、当然に無視。
全く、成績だって学年で上から10位くらいを維持しているのに、いったい何の文句があるのだろうか。
「さて、と……。」
自室に籠った私は、まだ着たままだった制服を脱いで、皺にならないようにハンガーにかけて。
そうして楽な格好に着替えたところで、ベッドにそっと、腰かける。
その手に握るのは、もう二年近く使っているちょっと型遅れのスマホ。
買ってもらった当時から型落ちだったから、今の最新型と比べたら、骨董品みたいなレベルなんじゃないだろうか。
そんなスマホを握りしめた私は、まるで何か後ろめたいことでもあるかのように、ちらほら、と左右を確認して。
そうして、どきどきしながら、スマホの画面を立ち上げる。
「えっと……、どれだっけ……。」
しばらく指をさ迷わせて探し出すのは、アプリの一覧の中にうずめるように隠してある、ひとつのアイコン。
ピンク色のハートが強調されたそのアイコンは、友人に教えてもらったマッチングアプリの、アイコンだった。
『審査が甘いヤツなんて、いっぱいあるんだから。』
友人がにやにやとしながら言い放ったその言葉の通り、画面に表示された、18歳以上ですか?、の問いに『はい』と答えてしまえば、すぐに表示される、自分のプロフィール画面。
友人に教えられながら作ったそのプロフィールには、身バレ防止のためにマスクで顔の半分を隠した自分の写真が表示されている。
しかして、かの友人がおっぱいのサイズを強調しろとしきりに言ってきたのは、何だったのだろうか。
ともかく、プロフィール画面の通知欄には、私あてのメッセージが届いていることが表示されていて。
私は、ドキドキとしながら、指先を画面に触れさせる。
「えっ……?」
そうして、アプリ上で赤字に表示されているその通知をタップしてすぐに、私は思わず驚きの声を上げてしまう。
一瞬の暗転の後、再び表示されたメッセージ一覧の、その画面。
そこには、ずらり、と沢山のメッセージが表示されていて。
どうやら、駅前のファストフード店から家までのそれほど長いとも言えない時間の間に、沢山の人からメッセージが送られてきていたようだった。
「うーん……?」
けれど、そのメッセージを一つずつ確認して、思わず漏れてしまう困惑の声。
だって、ずらりと並んだそれらには、ホ別だとか、苺だとか、良く分からない単語が飛び交っていて。
ほべつ、なんてどこかの地名にありそうだから、デートのお誘いなんだと思うけれど、本当に意味が分からない。
もう8月だし、イチゴ狩りなんてどこでも、やっていないと思うんだけれど。
それにしてもみんな、ほべつのいちご狩りに行きたがってるなぁ……。
そんな事を考えながら、意味不明なメッセージ達を次々と、確認していく。
そもそも、プロフィールでご飯デートを希望しているのに、ご飯のお誘いなんて全く、全然、見つからなくて。
この話の通じなさは、やっぱり、踏み入れてはいけない世界だったのかもしれないと、少しだけ後悔してしまう。
「あっ……。」
そうして、後悔し始めた頃、私はやっとそのメッセージに、辿り着く。
『ご飯だけでも、全然いいよ♪』
奇妙な言葉の羅列に圧倒されていた私にとって、その一言がどれだけの救いだったか。
まあ、それはちょっと大げさかもしれないけれど、私はその救いのようなメッセージに縋りついて、それを送ってくれた人のプロフィールまで辿っていく。
そうすれば、なんとも意外なことに、そのプロフィールに掲示されていた写真は女性の物だった。
写真だけを見れば、いかにもふんわりとした雰囲気の、優しそうなお姉さん。
女の人が、女の人を誘うことも、あるんだ。
いくら友人が安全だと主張しているとは言え、知らないおじさんと会うのはちょっと、と気後れし始めていた私には、それは良い意味で、予想外だった。
けど、これじゃパパ活じゃなくて、ママ活?
思いついてしまったそんなどうでもいい事に、私は、くすり、としてしまいながら、その人のプロフィールを隅々まで確認して。
そうして、私は、とうとうお返事を出してしまう。
『ご飯、是非ご一緒させてください。』
『こういうの初めてなので、優しそうなお姉さんでほっとしています。』
こちらからもそんなメッセージでお返事を送ってみれば、数分もしない内に、ぽん、ぽん、と相手からもお返事が来る。
『写真見た瞬間、絶対可愛いって思ったんだ。』
とか褒められたり。
『初めてならきっと不安だろうし、女同士の方が絶対いいよ。』
なんてアドバイスしてくれたり。
最後には、
『そうだ、不安だろうし、会う前に一度通話とか、してみない?』
って安心させようとしてくれたし。
私は、そんなお姉さんに乗せられるまま、メッセージを送って、電話でお話をして。
そうして楽しい時間を過ごした後、気が付けば次の土曜日に、デートをすることが決まってしまっていた。
「どうしよう……。 ちょっと、楽しみかも。」
通話を切って視線を巡らせれば、そこは少し薄暗くなりかけた、いつもの自分の部屋の中。
私はなんだかそれが少し、寂しくて。
もう一度、お姉さんのプロフィールを見つめてしまっていた。
────
そうして迎えた、お姉さんとのデート当日の土曜日の午前中。
いつもより少しおめかしして出掛けようとすれば、当然のように降りかかる、お母さんからのお小言。
私はそんなお小言を、のらりくらりとやり過ごしながら家を出て。
待ち合わせ場所にした駅の構内にある、変なオブジェの前でドキドキとしながら、相手の登場を待っていた。
そういえば、今まで誰かと付き合ったとかも無いから、こういうデートの為の待ち合わせというヤツは、本当に初めてな気がする。
ふとそんな事を思ってしまえば、そわそわ、とした緊張感が、足元をざわつかせてしまう。
今日の恰好、変じゃないよね?
こういうのは、一度でも気になってしまうと、何と言うかもう、全部ダメというか。
足先から順番にチェックして、前髪の決まり具合を指先で確かめていく。
今日は、胸下を幅の広いリボンベルトで絞るデザインの半袖ワンピースに、足先にはつま先の出ないミュール。
夏らしく涼しそうな感じに、無難にしてきたから、大丈夫だと思うんだけれど。
けれど一度だけじゃ不安だから、もう一度。
「もしかして、香菜ちゃん?」
「えっ……? あ、はいっ……!」
そんなチェックを二度、三度と繰り返して。
何とか自分の中での及第点をはじき出したところで投げかけられる、通話でも聞いた、優しい声。
思わず勢いよく顔を上げてそちらに目をやれば、そこには、あのプロフィール写真のままの、優しそうなお姉さんがそこに立っていて。
むしろ、あの写真よりも数段綺麗で、まるで何処かの女優さんのようだった。
「それじゃ、まず、何処に行こうか?」
「えと、えっと……。」
今日のメインは、お姉さんのおすすめのお店での、ランチデート。
でもそれだけだと味気ないから、と予約の時間よりも早くに集合して、何かしましょうというのが、提案されたプランだった。
とはいえ、大人のお姉さんも楽しめそうな場所の候補なんて、当然に私の方には心当たりが無くて。
だから、何処に行こうかと問われても、もじもじとしてしまうばかりだった。
とりあえずこういう時は、どうしたらいいのだろう。
経験値が足りな過ぎて、本当に良く分からない。
けれどお姉さんは、そんな私のような小娘の相手は、どうやら手馴れていたらしい。
「とりあえず暑いし、近くに良い喫茶店があるから、いこ?」
「は、はい。」
緊張の抜けきらないわたしに気を使ったのか、それとも彼女も夏の暑さにやられたのか、まず最初に提案されたのは、涼しく過ごせる喫茶店。
そこで気兼ねなくお話しようということになって。
私はそれに一も二も無く頷きながら、ついていく。
「ここ。 おしゃれな感じで、良いでしょ?」
「は、はい。」
そうしてお姉さんが私を連れて行ってくれたのは、駅から程近くにある少しアンティークなこしらえの喫茶店。
その店構えに合わせたのか、フロアスタッフの制服もクラシックなメイド風で、なんだか素敵。
そんなメイドさんに先導されて通された先は、ゆったりとくつろげるような、個室だった。
「へぇ、香菜ちゃん、学生なんだ?」
「っ、はい。 一年生で……。」
私が注文したのは、アイスティーとケーキのセット。
メニューに書いてあった金額は、それだけで、2,000円。
くらり、とする私をよそにお姉さんは何気なく、二人分のセットを注文して。
届いた飲み物を口にしながら、何気なく始まるはじめましての自己紹介。
けれど、にこにことしながらこちらに話しかけてくるお姉さんに返事をする度に、ちくり、と胸を刺す罪悪感。
確かに、私は学生で一年生だから、嘘はついてない。
高校か大学か、という違いはあるけれど。
「1年生じゃまだ、必修科目とかで大変でしょう?」
「え、あ、はい……?」
そうして悪い事をしていれば、それなりの報いが返ってくるというもので。
こういうのって、因果応報って、いう奴だっけ。
そんな事を考えて現実逃避をしようとしてしまうくらいには、私は内心、冷や汗がダラダラだった。
お姉さんの言う、必修科目って、なんだろう?
国語? 数学? それとも、化学とか物理?
知らない単語に、ぐるぐる、と目が回りそう。
「えと、えっと……、毎日、6限まであるので……。」
「え、そんなに? あぁ、2年からは遊ぼうって感じかぁ。」
「え……? あ、っと? まぁ、そんな感じです……?」
ていうか、大学生って、2年生から遊べるの?
高校って確か、卒業まで毎日、6時間授業くらいが当たり前じゃないっけ?
ともあれ良かった、何とか、やり過ごせたらしい。
そう思ってほっとしていれば、お姉さんから矢継ぎ早に飛んでくる、次の質問。
ちょっと、わたしの学校のことは、もう、良いんじゃありませんか……?
「お昼とか、どうしてるの? やっぱり近くのカフェとか、学食?」
「え、あ……、クラスの友達とお弁当とか。」
「んん……?」
「あれ……? あ、購買で買ったパンのときも、ありますけど……。」
「いや、うん、うん……? そっかぁ……。」
お昼ご飯のことなら、何とか答えられそう。
去年までは給食だったけど、今年からはお弁当だし、きっと大学生も似たようなものだと思う。
だから私は、自信満々に頷いて、お姉さんの質問に答えてしまう。
けれど、私の話を聞いたお姉さんは、少しだけ難しそうな顔をしながら、うんうん、と頷いて。
「ねぇ、香菜ちゃん、もしかして、なんだけど……。」
「は、はい?」
「……実は、高校生でしょ。」
「え……!? あ、ちが……。」
「隠さなくても、いいよ?」
「あ、その……。 はい……。」
その図星を当てられた瞬間、ひぅ、と自分の喉が鳴ってしまうのを自覚してしまう。
私は慌てて、ちがう、と言いかけて、けれど隠さなくていいなんて、先回りされてしまって。
だから気付けば、頷いて、認めてしまっていた。
もしかすると、隠し続けるのを重荷に感じたり、してしまっていたのかもしれない。
「そっかぁ、高校生かぁ。」
「あ、その……、やっぱり、ダメですよね……?」
「うーん……、まぁ、良いんじゃない?」
「えっ……?」
「それに私も、若い娘って結構、好きだしね?♥」
きっと怒られると思っていたのに、お姉さんから返ってきたお返事は、いかにも気が抜けてしまいそうに軽いトーンだった。
お姉さんのその言葉に、私は思わず、ほっとしてしまう。
だって、私の周りの大人たちは、私が何かをする度に、そうして失敗するたびに、がみがみと りつけて来て。
だから、そんな私にとって、お姉さんは初めての、怒らない大人、だった。
そうして、さらに、それどころか。
明らかに私が悪いことを、ルール違反をしているのにもかかわらず、いいよ、いいよ、と肯定までしてくれて。
そんなの、劇物が過ぎるじゃないか。
「ふふ……♥ お小遣い、困ってるんだ?」
「……、はい。」
「高校生じゃバイトも簡単にさせてくれないし、そうだよねぇ?♥ じゃぁ、はい。」
「え、あの……っ!?」
「とりあえず、今は、それだけ。 後はデートしながら、少しずつ、ね?♥」
お姉さんが何気なくテーブルの上に置いたのは、ぴん、と角が直角の、皺も折れも入っていない、1万円札。
私はそれを前にして、完全に頭が真っ白になってしまっていた。
どうやら、今日のママ活とやらは、私の覚悟も何もないままに、もうすでに始まってしまっていたらしい。
ただ喫茶店で、30分ばかり、しどろもどろにお話して、しかも高校生だということが、バレてしまって。
たったそれだけのことがもう、1万円に化けてしまった。
「あの、お姉さん……。」
「ん、足りない?」
「そうじゃなくて! あの、こんなに、もらえないって言うか……。」
「あぁ、お姉さん結構お金持ちだから、気にしなくていいよ?」
「う、あ、でも……。」
「それよりも、ほら、出よ?」
いくら何でも、いきなりこんなに、もらえない。
そう言って渋る私に、けれどお姉さんは少し強引で。
そうして、お店から出るように促していく。
もちろん、お支払いはお姉さんが済ませてくれていた。
────
それから始まる、まるで夢の中にいるようなデートの時間。
まずは、ランチの予約の時間がまだ先だから、と連れていかれた近くのデパート。
お姉さんが言うには、初めての記念に、なんて私の気に入ったアクセサリを買ってくれた。
そんな高級なものをプレゼントされる経験が初めての私は、思い切り恐縮してしまったけれど。
けれど結局はお姉さんに差し出されるまま、押し切られるように、貰ってしまった。
それから、服を見たり、バッグを見たり、女の子らしく時間を過ごして。
まあ、手に取ってみたり試着するたびに、買ってあげようか?、と言われるのは心臓に悪かったけれど。
そうして時間を過ごせば、今日のデートのメインである、ランチの時間。
お姉さんに連れられて行ったお店は、正直に言ってしまえば、家族と一緒にさえ入った事のない、フランス料理の高級店だった。
好きな物頼んでいいよ、と言ってくれるお姉さんに渡されたメニューには、ちょっとした前菜にさえ、数千円というお値段が並んでいて、面食らってしまう。
あ、これ、あれだ、テレビで見たことがある、ゴチになったり、したりするやつ。
お姉さんは私の、あわあわとしたままいつまでも注文が決まらない様子に呆れたのか、くすり、と笑みを見せて。
終いには、お姉さんのオススメでいい?、と優しく言いながら、ひたすらにページをめくるだけになっていたメニューを、取り上げられてしまう。
「あっ……。」
「うん?」
「……ぱふぇ。」
「パルフェ? あぁ、これ? 良いよ♥」
この時の私は、もう、ただ真っ赤になって縮こまってしまうばかりだった。
こんな高級なお店でご飯をご馳走になる上に、自分が食べたいものをねだってしまうなんて、なんだか、とても浅ましく思えて。
けれど、メニューをめくっている時に目についた、「季節の果物をふんだんに使った、ほにゃららパフェ」の写真が、妙に気になって。
メニューの名前は何だか、随分と長ったらしくて憶えていないけれど。
4桁の金額にギリギリ収まっていたのは、ちょっと、憶えてる。
「コースのデザート、そのパルフェに変えてくれるって。」
「あ、は、はい……、えへへ……。」
「こういうお店、初めて?」
「あ、はい。普段は、その。 ……ファミレスとかだし。」
「ふぅん。 それじゃぁ、これからはそういう所だと、物足りなくなっちゃうかもね♥」
「え……?」
目の前のお姉さんの、今まで見せた事のない、満足そうに目を細めた、どこか意地悪そうなその微笑み。
さっきまでの優しい表情とは違って、私の事をどこか、見下すようなその視線。
それを正面から受け止めてしまった私は、ぞくり、と身を竦ませて、ぁ、と声にならないような吐息を漏らして。
けれどその時間は、すぐに割り込んできた声に、かき消されてしまう。
『失礼します。』
そう言って割り込んできた給仕の人が、テーブルの上に、ずらり、とカトラリーを並べていく。
ナイフに、フォークに、スプーンに、いや、多くない?
こういう時って、内側から使っていくんだっけ?
素早くカトラリーをセッティングした給仕の人は、気が付けばもう居なくなっていて。
ふと向かい側を見れば、お姉さんが、お皿の上に置かれたナプキンを手に取って、膝の上に広げている所だった。
だからわたしも、恐る恐るにそのナプキンを持ち上げて、膝の上に広げてみて。
「あんまりマナーとか気にしないで、大丈夫だからね?」
「はひ……。」
「ふふ、楽しく食べれば、それでいいんだよ?♥」
にっこりと笑いながら、まるでとどめを刺されるかのようなダメ押しの気遣いに、私の頭の中はもう、真っ白。
やがて、私の前にそっと、一口サイズの料理がいくつか盛りつけられたお皿が差し出されて。
これ、可愛くて美味しそうなんだけど、どうやって食べればいいんだろう。
完全に硬直したまま向かいのお姉さんに視線を投げれば、お姉さんは丁度、フォークを持ち上げたところで。
だから私は、その真似をするように、同じカトラリーを持ち上げて。
美味しいのだけど大変肩の凝る食事の、始まりだった。
──
あまり普段は気にした事のない、食事のマナーとやらに配慮したランチタイム。
どうやったって緊張してしまうそれは、けれど、目の前のお姉さんを真似すれば良いのだと分かってしまえば、少しは肩の力も抜けてくる。
そうして緊張もほぐれてくれば、目の前に差し出される食事はすべて、普段食べることのない高級品なんだと、私の未熟な舌でも分かるその味に、嫌が応にも気づかされて。
同級生で、何でもない土曜日に、こんなに高級感あふれるランチをしてるのなんて、もしかして私くらいじゃないだろうか。
そんな事を考える余裕さえ、出てきてしまう。
だから、まあ、つまり、その。
事ここに至って私は少し、お調子に乗って、自分は特別なんだとさえ、思ってしまっていた。
だって、最初に提供された。前菜かと思った一口サイズの料理が盛りつけられたお皿は、アミューズと呼ばれるものだと分かったし。
魚料理のことだと思っていたポワレというヤツには、肉料理だってあるのだと理解したし。
カトラリーを間違って使ってしまったとしても、給仕の人を呼べば簡単に取り換えてもらえるのだと、初めて知ったし。
なんなら、コースの途中でシャーベットが提供されるのも、驚きだった。
こんな知識を持っているのだって、クラスの中でも私くらい、なのかもしれない。
そうして、お姉さんに無理を言って、コースのデザートの代わりに捻じ込んでもらった、パフェ、いや、パルフェ。
少し大きめのスプーンに、艶々としたゼリーを纏った果物と生クリームをたっぷりと乗せて、大口を開けて、ぱくり。
その瞬間に、果実の爽やかな香りと、濃厚なクリームの甘さが口の中に広がって。
その、初めて味わうような美味しさに、思わず目を白黒とさせてしまう。
だから、その虜になってしまった後はもう、止まらない。
もう一口、もう一口、とパルフェを崩しては掬って、大慌てで口に運んで。
そうして、にこにことこちらを眺めるお姉さんの視線に気付いたのは、丁度、はしたなくも口に運んだスプーンを咥えた瞬間だった。
「ぁ……、えっと……。」
「おいしい?」
「はい、とっても……、えへへ……。」
「そう。食べっぷりの良い女の子って、可愛くて好きだなぁ♥」
私は少しだけ視線を逸らしながら、今度は生クリームを小さく掬って。
ご機嫌な様子のお姉さんに見られながら、ぱくり、と口の中に運んでいく。
けれど今更そうして淑女ぶったとしても、もう遅い。
私の浅ましい、いかにも庶民な感性はすでに、お姉さんに筒抜けで。
だから、次のひと匙は結局、お姉さんの遠回しなリクエスト通り、スプーンの上に山盛りにパルフェを掬い取るのだった。
────
ランチを終えて、今日だけでもう何度も見かけた真っ黒のカードで、お姉さんが会計をするのを見送って。
美味しかったなぁ、なんて他人事のように今日のランチの思い出を反芻していれば、私の傍にそっと置かれる、角までピンと直角の、お札が2枚。
それを見た途端、私はそれが何なのか、一瞬分からなくなってしまっていた。
いや、まさしくそれが何なのかは分かるけど、そこにある意味が分からない、みたいな。
だから私は目を、ぱちくり、と瞬かせてしまう。
「あ、あの……、これ……。」
「うん? お小遣いだよ?♥」
「え、でも、お食事しただけで、こんなに……。」
私は、その二枚のお札を、そっと摘まんで持ち上げる。
指先から伝わるのは、お札に特有の、ざらり、とした手触り。
私がまっとうに生きていたら、月に一枚くらいしか手に入れることのないそれが、二枚も。
これだけあれば、一体、どれほどの事が出来てしまうのだろう。
しかも私はただ、お姉さんと楽しく、素晴らしいランチの時間を共にしただけ。
いうなれば、どこかで本当のデートのようにも感じていて。
ちょっとだけ、もらいすぎな気が、しなくもない。
「えと、こんなに、いいんですか……?」
「お小遣い、欲しいんだよね?」
「う、ぁ……。そう、ですけど……。」
「ううん、困らせるつもりはなかったんだけど……。」
素直に喜べずに、煮え切らない態度を取ってしまう私に、苦笑いするお姉さん。
とはいえさすがに、お姉さんの方も返し手とは言いにくいようで。
ほんの少しの時間だけれど、お互いに沈黙してしまう。
おねえさんは、そうだ、と手を打って。
「それじゃぁ、今日はもう少し、付き合ってくれる?」
「はい。それは、もちろん。」
お姉さんのそんな提案に、私は一も二もなく頷いて、そうして延長が決まる、本日のデート。
お姉さんと一緒なら、この後のデートだって、楽しいに違いない。
この時の私は能天気に、そんなことを考えていた。
────
それから少し街中を歩いて、いろいろなお店を覗いてははしゃいで、時刻は午後三時になるところ。
夏真っ盛りの今日は、日差しもギラギラと強くて、日傘を差しているのに、肌に紫外線が突き刺さるのを実感するほどだった。
「ねぇ、すこし、休憩していかない?」
「え?」
そんな夏の暑さに辟易としたのか、私の事を呼び止めて、そんなことをおっしゃるお姉さん。
足を止めた私は、そっとお姉さんに視線を送って、そうしてその指し示す先に視線を向ける。
そうして、お姉さんが指し示す先、そこにあったのは、高級そうなホテルだった。
「え、あっ……? あの、そういうこと、するつもりは……。」
「うん?」
ちゃんと、デートだけってあれだけ、言ったのに。
そんな想いを込めて避難がましい目を向ければ、お姉さんは、あぁ、と納得して。
そうして、苦笑しながら、違う違う、と否定されてしまう。
「こういうホテルでも最近、デイユースなんてやっていて。」
「でいゆーす……?」
「最近は、泊まらないで、ホテルの施設で遊ぶだけっていうのも、結構人気なんだよ?」
「そ、そうなんですか……?」
「うんうん、ほら、ラブホ女子会なんてのも、あるし。」
「ら、らぶ……!?」
あのホテルは、ラブホテルじゃないけどね。
そんな風におどけるお姉さんは、私の返事も待たずに、ホテルの方に歩いていく。
それを見送る私は、少しだけ立ち止まって、どうしよう、と視線をさ迷わせて。
けれど最終的には結局、お姉さんについて行ってしまっていた。
小走りで追いかけるようにホテルの入り口に入ってみれば、お姉さんはもうすでに、本当に何でもない様子でフロントの従業員さんに話しかけようとしているところで。
追いついた私がお姉さんの背中に隠れている内に、どうやらホテルの一室をおさえてしまったようだった。
その証拠に、こちらを振り返ったお姉さんの手の中には、部屋のカギになるカードが握られていて。
「それじゃ、行こうか、香菜ちゃん。」
「……、はい。」
初めての経験に、ドキドキとしながらお姉さんと、エレベーターに乗りこんで。
お姉さんが迷わずにボタンを押す先は、右上の方の、高層階。
こういうホテルの高層階って、すっごく高いんじゃなかったっけ。
そんなことを考えている間にも、エレベーターはぐんぐんと昇っていって。
やがて、ちん、という音とともに、ゆっくりとドアが開いていく。
「ええっと……。」
「ほぁ……。」
ドアが開いた先に広がるのは、雰囲気のある間接照明と、ふかふかのカーペットが敷き詰められた、広い廊下。
外を歩いてきた靴でこんなところを歩いて、いいのかな。
足を載せたとたんに沈み込む感触にそんなことを思っていれば、お姉さんは何の気負いもない様子で、廊下を進んでいって。
そうして、ドアにカードを押し当てながら、こっちだよ、と手招きする。
私は、呼ばれるままにお姉さんが支えてくれているドアを潜り抜けて。
そうして、ドアの先のお部屋も、見たことがないほどに豪華だった。
「はぁ、疲れたぁ。」
「え、っと……。」
ドアを開けた先にあったのは、私の部屋が三つくらいは入りそうな広い空間。
雰囲気のある間接照明に、豪華なソファとテーブルがあって。
壁には高そうな絵が何枚も、飾られている。
どうやらこの部屋は、食事をしたり、くつろぐためにあるお部屋で、ベッドがあるお部屋はまた別らしい。
荷物を置いたお姉さんは、まるで自宅かのようにソファに腰かけて、ぐ、と伸びをする。
そんなお姉さんに完全において行かれた気持ちになっている私は、とりあえず荷物を降ろしながら、所在投げに立ち尽くして。
「そうだ、香菜ちゃん、何か飲む?」
「えっ?」
「特別に美味しい飲み物、作ってあげるよ?♥」
「は、はい……。」
私にそう聞くや否や、お姉さんは内線電話の受話器を持ち上げて、氷を持ってくるようにお願いして。
しばらくして氷が届けば、部屋の隅にあるキャビネットに備え付けの保冷庫の中を物色し始める。
私もそのころには、その座り心地に驚きながら、ふかふかのソファに腰を下ろして。
やがてお姉さんは、いくつかのボトルを手に持ちながら、ソファの方へ戻ってくる。
「えと、そのボトル、なんですか……?」
「ん? あぁ、これ?」
一目見て分かる、オレンジジュースの入ったボトルに、もう一つ。
お姉さんの手は、透明な液体の入ったボトルを掴んでいて。
見慣れないそれに、私は思わず首をかしげてしまう。
一体あのボトルの中身は、何なのだろう。
透明だからきっと、高級なミネラルウォーターか何かだと思うけれど、それがお姉さんの言う、おいしい飲み物なのだろうか。
そのボトルは外国製なのか、ラベルを見ても英字が羅列されているだけで、その意味までは、分からなくて。
だから私は仕方なく、そのアルファベットを順に追いかけてみる。
V、O、D……。
「これは、ロシア語で水、って意味の単語が語源の言葉で。うん、まぁ、ハーブウォーターみたいな物かな。」
「はぁ……。」
にこにこと笑顔のお姉さんは、ぱきり、とその、ハーブウォーターの入ったボトルを捻り開けて。
氷を入れたグラスに、とぽとぽ、と注いでいく。
そうしてグラスの1/3ほどに注いだ後は、今度はオレンジジュースを注いでいって。
最後に、マドラーを差し込んで、くるくるとよく混ぜて、どうやらもう出来上がりのようだった。
「はい、ストローで飲むといいよ♥」
「ありがとう、ございます……。」
正直に言ってしまえば、得体のしれない飲み物であることには、間違いない。
そもそも、お姉さんの言う通りハーブウォーターだとしても、オレンジジュースを水で薄めたようなものなワケで。
だから私は本当に恐る恐る、ちぅ、とその飲み物をストローで吸い上げる。
口に入ってまず感じたのは、氷のおかげで、きりり、と冷えたオレンジのすっきりした酸味と香り、そうして後味に残る、何かの微かな苦味。
その苦みの所為か、こくり、と飲み下せばなんだか、喉の奥がじんわりと刺激されて。
ハーブの薬効成分なのか、お腹の中もぽかぽかと暖かいような、不思議な感じ。
なんだかこれ、嫌いじゃないかも。
「ちょっと大人向けかも知れないけど、どう? 美味しい?」
「んぁ。 はい、美味しいです。」
これはもしかすると、大人の味というヤツなのだろうか。
それを一度体験してしまったら、なんだかもう、止まらない。
私は、外の暑さに火照っていた身体を冷ますように、再びストローに口をつけて、こく、こく、と喉を鳴らして。
そうして気づけば、すっかりと空っぽになったグラスの中で、溶けた氷が、からり、と音を立てる。
「おかわり、作ってあげるね?」
「あ……、はい……♪」
気づけば、お姉さんは私の方へ手を差し出していた。
私は反射的に、結露でしっとりと濡れたガラスを、お姉さんに手渡して。
それだけの事なのに、なんでだろう、なんだか、面白くてしかたない。
お姉さんの手元を何となく見ていれば、お姉さんはグラスに半分くらいたっぷりと、あのハーブウォーターを注ぎ込んで。
それをオレンジジュースで薄めるように、からから、と掻き混ぜて。
「んぅ……? うー……、あは、あはは……♥」
「すっかり上機嫌だね、香菜ちゃん♥ はい、どうぞ♥」
「んふ、ふふふ……♥ ありがとうございますっ♥」
そうして再び、私の手に返ってくる、美味しい飲み物の入ったグラス。
私は、そのストローに躊躇いも無く口をつけて、こく、こく、と飲んでいく。
さっきよりもハーブウォーターが多いからか、後味に残る苦さが少し、きつい気がする。
けれどやっぱりその飲み物は、それでもなんだか、おいしくて。
夢中になって飲んでいれば、すぐにグラスの中身が空っぽになってしまう。
「香菜ちゃん、どうする? まだ、飲む?♥」
「ん、んぅう……、ふふ、ふふふっっ♥ のむぅ、のみますっ♥」
さっきから何故だか、楽しい気持ちが本当に沸き上がって、止まらない。
それにこの部屋も、薄暗い照明しかないはずなのに、その明かりが、キラキラとまぶしくて。
テーブルの上を見つめていれば、地震も何もないのに、ゆらり、ゆらり、と揺れて見える。
先ほどから、水分をたくさん摂っているはずなのに、何故かずっと、喉が渇いたようで。
お姉さんが新しく作ってくれた美味しい飲み物に口をつけるのを、止めることができないでいる。
心臓は、早鐘を打つように、どぐどぐ、とうるさくて。
何故か体温も上がっているのか、ぽかぽかと身体が火照って。
は、は、と犬のように、口呼吸をしてしまっている。
そうして、本当に、訳が分からないことに、やっぱり何もかもが全部全部、楽しくて。
お姉さんと言葉を交わすたびに、けらけらと笑い声が漏れてしまって。
挙句の果てには、周りの景色が、ぐるり、と回っているような感じもする。
もう、体調が悪いんだか、何なのか、よくわからない。
「香菜ちゃん、ちょっと疲れちゃったみたいだね、ベッド、行こうか♥」
「ん、ぁ? あは、ふふふ……♪ はぁい……♥」
そうしてどうやら、お姉さんから見ると私は、体調が悪いように見えているらしい。
お姉さんは心配そうな口調で、でもどうしてだか、すごく楽しそうに笑いながら、私をベッドに連れて行こうとして。
そんなお姉さんの表情もおかしくて、私は、くすくす、と忍び笑いを漏らしてしまう。
そうして、お姉さんに誘われるままに立ち上がろうとして、かくん、と膝から力が抜けてしまっていた。
「あっ。」
「ほら、危ないよ?」
「あはは、ふふっ……♥ ごめんなさい。」
私がバランスを崩した途端、お姉さんが思ったよりも強い力で私の事を支えてくれて。
私はそれに甘えるように、くて、とお姉さんに体重を預けてしまう。
でもどうしよう、立ち上がっただけでバランスを崩してしまうなんて、面白くて、仕方がない。
気づけば、くすくすと笑っているその間に、私は隣の部屋のベッドまで、運ばれてしまっていた。
「んふふ、おねぇさーん♥」
「香菜ちゃん、甘えんぼさんになっちゃって可愛いね♥」
さらり、と滑らかなシーツの手触り。
ふんわりと柔らかいのに、沈み込み過ぎずにしっかりと弾力のあるマットレス。
お姉さんが高級ホテルだといった通り、お尻に感じるその感触だけで、そのベッドがただ者でないことが分かってしまう。
私は、そんなすごいベッドの端に、お姉さんと二人並んで腰かけて。
けれどそんなベッドより、隣にゼロ距離で座ってくれたお姉さんに、夢中だった。
横になりたくなるようなベッドの誘惑に抗いながら、右隣のお姉さんに、べったりと体重をかけて。
お姉さんが、甘えんぼさん、と言うとおり、その肩に頭を乗せながら、思い切り甘え始めてしまう。
私の事を全部肯定してくれて、お小遣いもたくさんくれた、優しい優しいお姉さん。
いまだに、くらくら、ゆらゆら、と揺れる視界は、まるで夢の中にいるみたいで。
たのしくて、たのしくて、たのしくて、仕方がない。
「ふふ……♥ 香菜ちゃん、猫ちゃんみたい♥」
「んぅ、猫ぉ……? にゃぁ、にゃぁーん♥」
「あ、こら……っ♥」
どうやら今の私は、お姉さんからは猫ちゃんのように、見えるらしい。
ならば、と私は、お姉さんを抱きしめるようにしがみ付いて、その体に、すりすり、と顔を擦り付けて。
可愛らしく作った声で、にゃぁ、にゃぁ、と鳴きまねをして見せる。
そうしてじゃれついていれば、呼吸をするたびに、お姉さんの香水か何かの甘い香りが鼻に届いて。
それがなんだかとても心地よくて、私はそのまま、すひ、すひ、と鼻を鳴らして、それを堪能してしまう。
「ねぇ、香菜ちゃん、キスしよっか♥」
「ん、んぅ、きすぅ……? えぇー……?」
きす、きすってなんだっけ。
えっと、えぇっと?
聞きなれないような言葉に、私は、お姉さんの匂いを嗅ぐのをやめて、ふと顔を上げて。
そうすれば、私の顔を見つめながら、にんまりと微笑むお姉さんと、目が合ってしまう。
そのままぼんやりとしていれば、私の頬にお姉さんの手が添えられて、さらにはゆっくりと、お姉さんとの距離が縮まって……。
「っ……!? だめ、だぁめっ!」
「えー?♥ どうして?♥」
このままじゃ、お姉さんの顔とぶつかって、唇同士がキスしちゃう。
そこまでを想像した私は、何故かぼんやりと鈍い頭で、お姉さんのやりたいことをやっと察して。
はっとしながら、お姉さんの身体を突っ張る様に手をつきだして、何とか距離を取ろうとして。
けれど突き出した私の手は、お姉さんの手にしっかりと、掴み取られてしまう。
そうして私はお姉さんと距離を取ることもできずに、正面からしっかりと見据えられて。
そこまでされてしまえばさすがに、お姉さんが本気なのだと、分かってしまって。
「だ、だって、今日はそう言うの、なしって……。」
「そういうのって?♥」
「え、えっちなこと……。」
「キスって別に、エッチな事じゃないよね……?♥」
「え……?」
「誰だってするし、香菜ちゃんもいつか、することでしょう?♥」
「え、あ……、え?」
「香菜ちゃんだって、クラスメイトがキスしたとか自慢してて、焦ってたりしない?♥」
「そ、それは……。」
「ほら、ね?♥ 練習だと思って、どう?♥」
私が、お姉さんと、キスをする?
そんな事を想像してしまえば、じりじり、と頬が熱くなるのを自覚して。
きっと私の顔は今、面白いくらいに真っ赤になっているのだろう。
それは、ともかく、今は置いておくとして。
でも、確かに、お姉さんの言う通り、キスはきっと、誰でもがすることで。
だから、特別エッチな事じゃないって言われてしまえば、その通りなのかもしれなくて。
つまり、これはキスの練習で、だから、お姉さんとキスしても、おかしくない……?
それに、確かに、隣の席のあの子とか、真面目そうなあの子だって、キスしたとか自慢してて。
ちょっと、羨ましいとか思ったりも、して。
うぅ、どうしてだか、頭がぐるぐるして、考えがまとまらない。
「いいよね?♥」
「あ、えっと……。」
「いいでしょ?♥」
「ぅ……。」
「……、するね?♥」
「……うん。」
そうして後は、お姉さんに優しく迫られてしまえば、私はもう頷くしかなくて。
私の頬には再び、お姉さんの手が添えられて、そっと上向かされる。
ふわふわと揺れる視界の中で、お姉さんのお顔が、じわじわと近づいて。
そうして目を合わせているのが恥ずかしくて、どうにでもなれとばかりに、目を閉じて。
「ん……♥」
「っぁ……。」
やがて、私の唇に触れる、生温かくて、柔らかい感触。
その感触は、お互いの唇を軽く押し潰して、擦れるようにズレて。
そうして、何事も無かったかのように離れていく。
私は、はふ、と溜息をつきながら、そっと唇に触れてみて。
「しちゃったね、キス♥」
「うん……。」
「どうだった?♥」
「よく、わかんない……、です。」
お姉さんの方はさすがの大人の余裕なのか、涼しい顔。
一方で私の方は、どきどき、と心臓が跳ねまわって、仕方がない。
良く分からないなんて言いながら、お姉さんと目を合わせることもできないし、唇に触ったままの手を、離すこともできなくて。
「じゃぁ、もう一回、いいよね?♥」
「え? あっ……。んぅッ……。」
「ん、ん……♥♥」
だから、ちょっと、油断したというか。
視線を逸らしている間に急に迫られてしまえば、逃げ出す暇もなくて。
唇に触れていた指先は、手首を掴まれるなり、思ったよりも強い力でどかされて。
再び感じる、唇に触れる柔らかい感触。
けれど、今度はそれだけじゃ、終わらない。
私が逃げられないようするためなのか、後頭部にそっと添えられる、お姉さんの左手。
逃げ場を塞がれたことに気付いて、どきり、とした瞬間に、ぢぅ、と唇を吸われて。
どうしたらいいかも分からない私は、必死に唇を引き締めて。
「ほら、リラックスして……?♥」
「ぁ……。」
「はぁむ、ん、ぢゅ、ちゅぅ……♥」
「ん、んっ、ちゅ、ぅ……。」
そうして気付けば、私自身も引き締めていた唇を緩めてしまって。
とうとうお互いに触れ合ってしまう、唇の内側のぬらついた粘膜。
その瞬間はなんとも、筆舌に尽くしがたいというか、そういう感覚だった。
唾液で湿った粘膜が、ずるり、と擦れ合って、ぞくり、と背筋に走る悪寒のようなモノ。
それが心地よい感覚だと分かった途端、どくり、と心臓が跳ねまわる。
私達はしばらく、そうして、ぢぅ、ぢぅ、とお互いの唇を貪り合って。
そうしてやっと唇が解放されれば、はぁ、と深い深いため息をついてしまう。
「ん、はぁ……♥ 少し、慣れてきた?♥」
「は、ぁ……♥ うん……。」
「じゃあ、次は、舌入れるね?♥」
「え? えっ……!? んむ、むっっ……!?」
「んん、ぢゅぅ……♥♥ れりゅ、れぅ……♥♥♥」
そうして、お姉さんとのキスは、さらに、エスカレートしていく。
再び唇が合わさった後、宣言通りにお姉さんは、ぬるり、とわたしの唇の内側に舌を忍ばせて。
そうされる私は、どうしたらいいのか分からずに、硬直してしまう。
正直に言って、興味はある。
だって、そういう大人のキスって、すごく、気持ち良いって聞くし。
ファーストキスだって、お姉さんに貰われてしまったし、だからちょっとだけ、ちょっとだけ踏み出してみても、良いのかもしれない。
「んぁ、れぅ……、ん、ふ……。」
「ん、ちゅ、れりゅ♥♥ ん、ぁむ……♥」
だから、だからほんの、少しだけ。
私は勇気を出して、奥に引っ込んでしまっていた舌を、そろり、と差し出して。
そうして一瞬だけ、お互いの舌先を触れ合わせてみる。
その瞬間に舌先に感じる、ざらり、としたお姉さんの舌の感触。
それは、生温かくて、唾液に濡れてぬるりとして、お姉さんの味がして。
そうして、まるで私を求めるように、蠢いていた。
「んぅっ……!」
「ん、ぢゅぅ……♥ れりゅ、れぇ……♥♥」
その感触に慌てて舌を引っ込めても、もう、後の祭り。
明らかに調子づいたお姉さんの舌は、私の口の中のあちこちに、その身を擦りつけて。
縮こまっていた舌も見つけられて、ぬるり、ぬるり、と何度も舐められる。
他人に舌を舐められる、初めての体験。
それは思ったよりも、不快ではなくて。
それどころかなんだか、心地よくて、何処か安心してしまいそうなほどで。
だから気が付けば、私も自分から舌を押し付けて、お互いに捏ね合わせるように縺れさせて。
「ん、れぅ……♥ んぢゅ、ぅ……♥ れぇ……♥♥」
「あ、む……っ♥ ん、ふっっ……♥ ちゅぅ……♥ ん、く……♥♥」
そうやって、むぐむぐ、と唇を食み合わせていれば、どうしたって湧いてきてしまう、お互いの唾液。
私達はそれを零さないように、唇をしっかりと貪り合って、お互いの口の中で、唾液を捏ね交ぜて。
そうして終いには、まるで力比べに負けるかのように、捏ね合わせていた唾液を押し付けられる。
私はそれを、全く抵抗も感じないままに、こくり、と飲み下して。
お姉さんはそれを確認して満足したのか、ようやく長いキスの時間が終わりを告げる。
「ん、ぁ……♥ はぁ、はぁぁ……♥♥」
「ふふ……♥ 大人のキス、どうだった……?」
「わ、わかんない……。 すごい……。」
「惚けちゃって、○○ちゃん、かわいー……♥♥」
唇が離れた瞬間に感じたのは、何とも言い難い寂寥感。
私の頭の奥の片隅には、もっと、もっと、とキスをせびる浅ましい私が居て。
そんな中でお姉さんに感想を聞かれても、なんというか、気持ちがまとまらなくて仕方がない。
だから、どう整理しても、凄かったという言葉しか出てこなくて。
そんな私を見つめるお姉さんの目は、どうにも、妖しかった。
「ねぇ、お姉さん、我慢できなくなってきちゃった……♥」
「え、えっ……?」
「もう、エッチ、しちゃわない?」
「う、うぅ、でも、エッチなのは、なしで……。」
「そうだね、エッチはダメだねー……?♥」
そうして、心のどこかで予想していた通り、お姉さんからのエッチへのお誘い。
けれど、いくらお姉さんに惹かれてしまって、ドキドキしてしまっているとしても、一時の気の迷いでそういうことは、しちゃいけないはずで。
だから勇気をもって拒否をしてみれば、お姉さんは拍子抜けしそうなほどにすんなりと、引いていく。
けれど、後から思い直せば、それこそがお姉さんの、計略だったのかもしれない。
「じゃぁ、はい、これ。」
「え、あの、これ……。」
「うん? さっきのキスの分の、お小遣い。」
「ぁ……。」
あっさりとお姉さんが引いてくれたことにホッとしていれば、私の手の上に何かがふわりと乗せられて、そうして握りこまされる。
はっとしながら目を落とせば、私の手の中には、くしゃり、と握られた、一万円。
たったあれだけのキスで、私の月のお小遣いと、同じだけ。
叩き付けられた価値観に、くらり、と目の前が揺れてしまいそうになる。
「ねぇ、香菜ちゃん。」
「は、はい……。」
「お姉さんのこと気持ち良くしてくれたら、もっとお小遣い弾んじゃうけど、どう?♥」
「え、あの……?」
「香菜ちゃんは脱がなくていいし、気持ち良くなるのはお姉さんだけ。」
「っ……。」
「それならギリギリ、セックスじゃないって、言い訳できるんじゃない?」
「ぁ……。」
「それに香菜ちゃん、お小遣い、欲しいよね……?♥」
私が肌を見せないなら、お姉さんが気持ち良くなるのをお手伝いするだけなら、確かにお姉さんの言う通り、それは多分、セックスじゃなくて。
どちらにしろエッチな事ではあるのだろうけれど、でも、ぎりぎり、セーフなのかもしれなくて。
どうしよう、と思わず、ぎゅぅ、と両手を握りしめれば、かさり、と手の中に感じる、お金の感触。
それは、その一枚だけで私の月のお小遣いと同額の、高額紙幣。
そう、これは、例えるならば、アルバイトのようなものだから。
お小遣いで困らないようにするために、仕方ないことだから。
それに、それに、お姉さんは、優しくて良い人、だし……。
「し、します……っ。」
「ほんと?♥ お姉さん、嬉しいなぁ♥」
さっきまで沢山飲んでいたハーブウォーターの薬効か何かなのか、頭の奥はまだ、くらくらと揺れていて。
私はそれに後押しされるかのように、お姉さんの提案に頷いて。
そんなわたしを見たお姉さんは、にんまりと、嬉しそうに微笑んでくれる。
大丈夫、大丈夫、こんなのみんなやってること、だから。
あの時に聞いた友人の声が、頭の中で勝手に、リピートされる。
お姉さんに釣られるように、えへへ、と笑ってみれば、胸の奥にわだかまっていた不安みたいなのも、とろり、と溶けてるようにどこかへ消えて。
立ち上がって服を脱ぎ始めたお姉さんを前にしても、私の視線はしっかりと、その様子を追いかけてしまう。
「ふふ……♥ そんなじっと見られちゃうと、恥ずかしいなぁ♥」
「あ、あっ……、ごめんなさい……。」
そんなわたしの不躾な視線は、当然のように優しくたしなめられて。
一度は謝った私は、けれど、すぐにまたお姉さんの身体を視線で追ってしまっていた。
きっと、お姉さんの言葉も、ただの冗談だったのだろう。
私が再び不躾な視線を向けても、今度はただ、くすり、と笑うだけで。
さらには、私に見られていることも気にせずに纏った服を脱いで、恥ずかしげもなく下着だけの姿を見せつけてくる。
お姉さんの下着は、レースのブラと、セットになったデザインの、なぜだか、ボックスショーツ。
そうして、お姉さんのすっきりとした細いウエストから比べると、どうにも、その前面が随分、盛り上がっているようにも見えて。
「あぁ、これ? 気になる?」
「え、あ、えっと……。」
「普通のショーツだと、締め付けがきつすぎて、ね?♥」
「え……?」
ブラを外していたお姉さんは、私の視線の行き先に気付いたのか、何処か妖しく、にんまり、と微笑んで。
そうして、背筋を伸ばしながら、私の真ん前に佇んで、その身体を見せつけてくる。
ほとんど知らない女の人と二人きりで、さらにはホテルの一室で、その身体を見せられる。
そんな体験は本当に、普通なら考えられない状況なんだと思う。
私の視線は、お姉さんのそのつま先から、頭のてっぺんまでを舐めるように這い上がる。
細くて長い脚に、くびれた腰に、綺麗なお椀型のおっぱいに、女優さんみたいに整った顔。
正直、同じ女の身体だから、興奮するかどうかなんてわからないけれど。
そんな事を考えていれば、お姉さんの両手がゆったりと動いて。
そうして最後まで残った、そのボックスショーツのウエストに、指がかかる。
私の視線は、それに誘導されるように、下着に隠された下半身に吸い寄せられて。
「じゃーん♥」
「ぇ……? ひっ!?」
お姉さんはきっと、その瞬間を狙っていたのだと思う。
私が視線を向けてしまったそのタイミングで、おどけたような声を上げて。
そうして、ずるり、と一気にボックスショーツを引きずり下ろす。
その瞬間に見えた光景は、なんというか、少し、異様だった。
押さえていたものがなくなった物がなくなった途端、お姉さんの下着を押し上げていたそれは、ぶるん、と弾かれたように飛び出して。
そうして、その、跳ね上がった赤黒い、太い棒のようなものが、お姉さんのお腹にぶつかって、ぺちん、と冗談のような音を立てる。
そうしてそれはお腹にぶつかった後も、ひくん、ひくん、と何かの生き物のように体を上下に震わせて。
私は、その、何処かグロテスクな感じもするそれから、目を離すことが出来なくて。
お姉さんの股間から生えていたそれは、つまり、おちんちんだった。
「お、お姉さん、男の人……?」
「ん、違う違う。 ほら、突発性隣接的雌雄同体症候群って病気、聞いたことない?」
「え、えっ……?」
「ほら、最近、増えてるでしょう?」
「あ……。」
その難しい名前の病気は、最近ニュースの特集でも見たから、何となく知っている。
男の人も、女の人もかかる、原因不明の病気で。
女の人がかかった場合は、体つきはそのままに、男性も女性も備わった体になって。
男の人がかかった場合はもっと症状が重くて、体つきも完全に変わって、女の子になっちゃう病気。
最近、その病気の人がどんどん増えていて、社会問題になりつつあるって、テレビで言っていた気がする。
「初めて、見ました……。」
「私も初めての時はびっくりしたけど、今じゃもう慣れちゃったなぁ。」
「は、はぁ……。」
「本当あっという間に、一週間くらいで生えてくるんだよ、これ。」
お姉さんは、どこか楽しそうに腰を左右に振って、ゆさゆさ、とおちんちんを揺らして見せる。
それを見せつけられる私は、初めて見るそれに、本当に釘付けだった。
それはもう、左右に揺れるそれを、首を振って追いかけてしまうほどに。
私のその様子に、それほどの抵抗はないとでも判断したのか、お姉さんは再び、私の隣に、密着するほど近くに座って。
「それじゃ、気持ち良くしてね?♥」
「ぁ……。」
はぁ、と熱いため息で私の耳を擽りながら、そう囁いて。
そのまま私の肩を掴んで、少し強引に、ベッドに押し倒してくる。
そうして気付けば、私は、全裸のお姉さんの隣に、服を着たままに添い寝するような格好になっていて。
「あの、どうすれば……。」
「それじゃぁ……♥ いきなりだけど、これ、触ってくれる?♥」
「うぇ!? あ、はい……。」
気持ち良くして欲しいなんて言われて、けど、そんなこと、したこともないし。
だからやり方を聞いてみれば、お姉さんからはいきなり直接的なリクエスト。
正直、ちょっと怖いけれど、そう、お小遣いの、ためだから。
私はなけなしの勇気を振り絞って、隣に寝そべるお姉さんの、その、おちんちん、に手を伸ばして。
そうして、つん、と触れてみる。
「んぁっ……♥」
「ひぁっ!?」
その瞬間、お姉さんのお腹にぴっとりと沿うように大人しくしていたおちんちんが、びくん、と大きく跳ねて。
そんな劇的な反応が起きるなんて思ってもいなかった私は、思わず慌てて、手を引っ込めてしまう。
「ほら、もっとしっかり、触って?」
「は、はいぃ……。」
お姉さんのお顔を窺えば、もっと触るようにと促されて。
私は再び、お姉さんのおちんちんに恐る恐る、手を伸ばしていく。
そうして、手のひらをそっと、おちんちんの腹側に乗せて。
なで、なで、と手を滑らせてみる。
「んぁ……♥ そう、上手……♥ 握ってみて?♥」
「握る……、はい……。」
お姉さんの様子を見るに、もっと大胆に触っても、大丈夫みたい。
だから私は、お姉さんの指示の通り、おちんちんを撫でていた右手を止めて、そのままその棒状を掴んでみる。
手のひらに感じたのは、まず、体温に直接触れたかのような、熱さ。
そうして、むっちりとした、けれど硬い、どこかごつごつとした感触。
それは、ぎゅぅ、と少し力を込めて圧迫してみても、私の手を押し返すように、中身がぱんぱんに詰まっているようで。
「そうしたらこうやって、上下に……♥ しこしこ、って……♥」
「ひぁっ!?」
何となくそうして、にぎにぎ、とおちんちんを揉んでいれば、そうしていた私の右手が、お姉さんの両手で包まれて。
そうして私の手を導くように、上下に動かされていく。
そうすれば、私の手のひらは、熱くてごつごつとしたおちんちんを摩擦して。
お姉さんは、どこか満足したように、ほぅ、と溜息をつく。
推察するに、どうやらこれが、気持ちいいらしい。
「じゃぁ、やってみて?♥」
「は、はい……。 しこ、しこ……?」
「ん、ふふ……♥ 言わなくてもいいよ?♥」
「ぁぅ……。」
しばらくそうしていれば、お姉さんの補助がなくなって。
だから私はお姉さんに割れた通り呟きながら、ごしごし、とおちんちんを擦っていく。
そうすれば、くすくす、と漏れ聞こえる忍び笑いに、お姉さんの指摘が重なって。
どうやら、しこしこ、と言うのはお作法でも何でも、無いらしい。
何となく恥ずかしくなりながらも手を止めずにいれば、お姉さんはやがて、息を荒げながら、ゆらり、と腰をくねらせて。
私の手の中のおちんちんも、何だか嬉しそうに、びくん、びくん、と跳ねていて。
最初はグロいと思っていたこれも、こうなってくるとちょっと、可愛いかも……?
「は、んんぅ……♥♥ ねえ、香菜ちゃん、おっぱい、乳首舐めて?♥」
「え、えっ……?」
「はやく♥」
「うぇ!? はいっ……。」
そうしておちんちんを弄っていれば、その持ち主であるお姉さんからの追加オーダー。
気持ち良くさせるって、なんだか、忙しいかも。
そんな事を思いながら、私はお姉さんのおっぱいに顔を近づけていく。
私はお姉さんの右側に添い寝してるから、必然的にやりやすそうな右のおっぱい。
なだらかな丘の上には、つん、と桜色の乳首が主張していた。
私の乳首、ちょっと陥没気味だから、羨ましいかもしれない。
そんな余計なこと考えながら、お姉さんのオーダー通りに、ぺろり、と乳首に舌を這わせてみる。
「ん、はあぁ……♥♥ いいよ、きもちいい……♥♥」
「んぁ、れる、れぅ……。 ぁむ、ちゅぅぅ……。」
しばらく無心にお姉さんの乳首を舐めていれば、微かに聞こえ始める、お姉さんの喘ぎ声。
それが何だか嬉しくて、もっともっと気持ち良くしてあげたいなんて、そんな気持ちが何処かから湧いてきてしまう。
そうして、お姉さんへの愛撫を続けていれば、お姉さんの左手が、左の乳首を自分で弄り出す。
乳首の周りを、くるり、と擽って、下側をすりすり、と擦って、くにくに、と指先で乳首を転がして、ぴん、と弾いて。
私が右の乳首を舐めているその目の前で繰り広げられているそれが、きっと、お姉さんの好きな触り方。
だから私はそれを見本にするように、はぷり、と乳首を口に含みながら、舌で同じように弄ってあげて。
「んぁっ!? うそ、上手ぅ……♥♥ ん、んっっ♥♥♥」
「んんぅ♪ ちゅ、れりゅ、ぢぅ……♥ れる、れぇぇ……♥♥」
その途端に、お姉さんの声が本当に1オクターブくらい、跳ね上がる。
今日一日、私とデートしてくれて、初対面にもかかわらず、色々と買ってくれて、お小遣いまでくれた、優しい優しいお姉さん。
そんな、優しくて素敵なお姉さんが今、私の手と舌に翻弄されて、喘いでいる。
そんな事実を受け入れてしまえば、何故だかぞくぞくと背筋に走る、悪寒のような優越感。
多分、今、この瞬間は、私の方が立場が上なんだろう。
私は浅ましくも、そんな事を考えてしまって。
「んっ、ふっっ♥♥ ううぅっっ♥♥」
「ちゅ、ちゅぅぅ♥♥ ぢゅりゅ、ぢゅ……♥♥」
「んぁっ♥♥ ねぇ、ちんぽ、舐めてっっ……♥」
「んぇ!?」
「はやく、もう、切ないから、ねえっ♥♥」
けれどそんな優越感なんて、こういう事についてまだまだ初心者である私が持ちうるには、過ぎたものだったらしい。
そんな事を証明するかのような新たなオーダーに、私の体は、ぎくり、と硬直してしまっていた。
私は、ごしごし、と右手で扱き続けていたそれを、ちらり、と盗み見る。
私の手では、回していた親指と人差し指とが、くっつかないほどに太い、それ。
余程気持ち良いのか、びくり、びくり、と跳ねまわるそれは、最初に触れた時よりも熱く、硬く感じて。
その、幹の部分のあちこちに、グロテスクに血管を浮かび上がらせて。
何だか手が滑ると思いながらも意識を外していたけれど、先っぽから、得体の知れない透明な粘液を、どぷ、とぷ、と溢れさせている。
おそるおそるに手を離せば、いつの間にかたっぷりと塗れていた粘液が、ぬぱ、と膜を張るように糸びいて。
知識としては知っているけれど、こんな、これを、舐めるの……?
信じられないとばかりに、うっとりと蕩けているお姉さんのお顔を窺っても、はやく、はやく、と急かされるばかりで。
「香菜ちゃん、早くしてよ。 お小遣い、あげないよ?」
「あ……。」
気持ちいい愛撫が中断されたことにイラついたのか、どこか冷ややかなお姉さんの口調。
それを耳にした途端、私の体は再び、ぎくり、と硬直してしまう。
そんな、ここまでしたのにお小遣いがもらえないなんて、それは、困る。
私は、冷ややかなお姉さんの態度に急かされるように、慌てて、おちんちんにお顔を寄せて。
その途端に、むわり、と鼻に入る、生臭いような、不思議な匂い。
「れ、れる、れりゅ……。ん、うぇ……。」
「あ、あっ♥♥ それ、効くゥ……♥♥」
そうして、ちろり、と突き出した舌を、お姉さんのおちんちんに触れさせた瞬間は、きっと当分、忘れられないと思う。
舌先に感じる、人の肌の、しかも、体温が籠もった肌を舐める、奇妙な生ぬるさ。
自分の唾液ではない得体の知れない体液で、ぬるり、と舌先が滑る感触。
塩っぽいような、微かに苦味のあるような、なんとも言えない奇妙な味。
しかも当然、舌が一度這っただけで、お姉さんが満足してくれるわけもない。
お姉さんが求めているのは、私の舌で、おちんちんを気持ち良くすることで。
だから、気を抜けば込み上げそうになる吐き気を堪えながら、べろり、ぺろり、と顔ごと動かすように、おちんちんに何度も舌を這わせていく。
「んんぉ、はぁっ♥♥ 香菜ちゃん、初めてなのに、上手ぅ……♥♥ あ、あっっ♥♥」
「れる、れぅ……。 んく、んっ……。 れぇ、れりゅ、ぇぅ……♥」
人間の適応力は、それなりに高いなんて、何処かで聞いたことがあって。
だからそうして夢中になって、おちんちんの幹の裏に舌を何度も這わせていれば、私の方もこの状況に徐々に慣れてくる。
生臭いような不思議な匂いにも、その奥には、お姉さんの甘い香りも確かにあって。
塩っぽいような奇妙な味も、何度も味わっている内に、絶対に受け付けられないような味じゃないって、分かって来て。
おちんちんの幹の所は、なんだかごつごつして怖いけれど、先っぽの丸く膨れてぱんぱんになっている所は、まるでプラムみたいだな、なんて、考える余裕も出て来て。
気持ち良さに、びく、びく、と跳ねるおちんちんの様子を見ながら、ここが気持ち良いのかな、とか、こうしたら良いのかな、とか。
だから今は、先っぽに実ったプラムのすぐ下にある段差を、舌先で右から左から、ぴちぴち、と小刻みに擦っている。
「先っぽ、先っぽもっ♥♥ キスして、おねがいっ……♥♥」
「ん、はぁ……♥ はぁぃ……♥ あぁむ、ちゅ、ちゅぅ……♥♥♥」
どうやら、私の舌の動きは気に入ってもらえたみたいで、お姉さんは随分と余裕が無さそうだった。
それに気を良くした私は、お姉さんのさらなるオーダーに、素直に従ってしまう。
幹の方を手で、ごしごし、と擦れば、プラムの先っぽの割れ目からは、透明なお汁がとぷ、とぷ、と湧いてきて。
私は、垂れ落ちる髪をかき上げながら、その割れ目をお口で覆うように、はぷり、と先っぽに唇で食み付いて。
お姉さんのお望み通り、そのお汁を啜り取る様に、ちぅ、ちぅ、とリップ音を立ててみる。
「んんぉッ……♥♥ おおぉ♥♥♥ くひ、ひっっ♥♥♥」
「んんんぅ……♥ ちゅ、ぢゅりゅ、ぢぅぅ……♥ れりゅ、んちゅ、ちゅむ……♥♥」
ちぅちぅ、とおちんちんの先を吸いながら、サービスとばかりに、とぷとぷ、とお汁をあふれさせる先っぽの割れ目に沿って舌を這わせて。
そうすれば、びくん、と気持ちよさそうに跳ねてしまう、お姉さんの身体。
私はそれに気を良くしながら、ぞくぞく、とした優越感に突き動かされるままに、それを何度も繰り返して。
「もう、だめっ♥♥ 咥えてっ♥♥」
「んむ、んぁむっ♥♥ んぐ、ぢゅりゅっ……♥♥」
「お、んぉっっ♥♥ もっと、もっとっ♥♥」
「んむっっ!? んぅ、お、んぐっっ……っ!」
多少の知識はあるし、私はもう、お姉さんの次の要求には、予想が出来ていて。
きっと、おちんちんを咥えさせられるのだろうとは、思っていた。
だから、心の余裕があったからなのか、私はその要求にそれほど驚かずに、んぁ、と大きくお口を開けて。
そうして、ぐぷ、くぷ、とおちんちんの先っぽを、たっぷりの唾液を絡めながら、吞み込んでいく。
さらには、ぢぅ、ぢぅ、としゃぶりついて、ぬりゅり、と舌を擦りつけて。
優越感に突き動かされるままにそんな事をして、だから、油断してしまっていた。
お姉さんは、まるで私の頭を、良く出来たね、って撫でるように、そっと後頭部に手を乗せて。
その後は、まるで押さえつけるように上から力を込めて、さらには下から、腰を突き上げてくる。
そうすれば、お姉さんのおちんちんは私に制御することなんてできずに、ずるり、とお口の奥まで入り込んで。
後はもう、お姉さんの欲望に、翻弄されるばかりだった。
「はぁあっ♥♥♥ イきそぅ……っ♥♥ んっ、んんっっ♥♥♥」
「んぐっっ、んぢゅ、ぢゅりゅるっっ♥ んぶ、ぇうっっ♥♥」
私の後頭部をおさえていたお姉さんの手は、いつの間にか、髪の毛を握りこむ様に掴んでいて。
快感に抗えないとばかりに、乱暴にわたしの頭を上下させる。
そうして道具のように使われる私は、若干のパニックに陥りながらも、歯が当たったらきっと痛いに違いない、なんて、考えていて。
お姉さんの太いおちんちんを咥えるために、大きくお口を開いてやり過ごそうと、必死になっていた。
お姉さんのおちんちんは、私の喉の近くまで、無遠慮に、ずるり、と捻じ込まれて。
込み上げるえづきと危機感に、私の頭の中にはどうにかして早く終わらせることしか、思い浮かばなくて。
だから私は、お姉さんのおちんちんを少しでも刺激できるように、唇をすぼめて、舌を押し付けて、お姉さんが私の頭を動かすたびに、おちんちんにしっかりと擦れるようにして。
お姉さんの動きに合わせて、ぢぅ、ぢぅ、と必死に、おちんちんに吸い付いて。
「ううぅぅっ♥♥ イくっ、イくぅっっっ♥♥ んぉッ♥♥♥ おおおおぉッッ♥♥♥」
「うぶっっ!? ん、んふ、んぐっっ!! ううぅぅっっ……!!」
そうして頑張っていれば、やっと訪れる、終わりの時間。
私の頭を押さえるお姉さんの手は、いつの間にか両手になって。
まるでとどめか何かを刺すかのように、お姉さんの腰が思い切り、跳ね上がる。
そうやって私の喉まで占領したおちんちんは、びく、びくっ、と大きく震えて、何かが起こることを私に伝えて。
そうして次の瞬間にはまるで、爆発するかのような勢いで、びゅぐ♥、びゅりゅるっっ♥、と何かを吐き出し始めてしまう。
その途端に、鼻の奥から逆流するかのように匂いたつ、まるでプールの塩素消毒のような、生臭い匂い。
「飲んでっ♥ 飲め、飲めっ……♥♥」
「んぎゅっ! んぅ、ぢゅりゅ、んぶ、ん、んっっ……。」
喉の方でおちんちんからぶちまけられたそれが、精液だということを理解するのには、数秒もかからなかった。
どうにかして吐き出そうと藻掻いてみても、お姉さんの両手は、がっちりとわたしの頭を押さえつけていて。
さらには喉の方まで、おちんちんを捻じ込まれいたら、最早私に逃げ場なんて、何処にも無い。
そうして悪あがきを続ける間にも、お姉さんのおちんちんは、どぐ♥、びゅぶっ♥、びゅーっっ♥♥、と射精を続けていて。
おちんちんが気持ちよさそうにびくびくと震える度に、私の喉の奥には精液が溜まっていってしまう。
そうして、精液にはなにか、粘膜を痛めつける効果でもあるのか。
ベッタリと精液のこびり付いた喉が、イガイガとむず痒くて。
結局最後には耐えられずに、お姉さんに言われるままに、ごく、と喉を鳴らしてしまう。
「はぁ、ん、あぁぁぁ……♥♥ 最高……♥♥」
「ん、んっっ、んうぅ……っ。 っ、ぷぁっっ!」
そこからもお姉さんはしばらく、びゅく♥、びゅ♥、と絞り出すように射精して、私はもう一度喉を鳴らして。
そうしてようやく、私の頭を押さえつけるために力のこもっていた手が、緩んでくれる。
どうやらもう、おちんちんをお口から出しても、良いらしい。
それを悟った私は頭を浮かせて、ずるり、とお口からおちんちんを引き抜いていく。
おちんちんが喉や口の粘膜に、ぞろり、と擦れる度に、ぞくり、と身体を震わせて。
そうして引き抜いたおちんちんの先端とわたしの唇の間には、ぬぱ、と太い粘液の橋がかかって。
それが一体、私の体から出た物なのか、精液の名残なのかは分からないけれど、前者だとしたら、酷く恥ずかしい。
「はぁ、香菜ちゃん、初めてなのにすごく、上手だったね……♥」
「んっ……!」
「ふふ、はいはい……♥ 香菜ちゃんも、慣れてきたね♥」
そうして一息つけば何やら、めでたしめでたし、のような雰囲気で満足げなお姉さん。
私は、お姉さんのそんな態度に、少しだけ腹を立ててしまう。
確かに、私はお姉さんを気持ち良くすることに同意した訳だけれど。
とは言えいくら何でもあれは少し、乱暴すぎやしないだろうか。
そんな抗議の気持ちも込めて私は、お姉さんに右手をつきだして。
私の意図を汲んだお姉さんは、くすり、と笑いながら、私の右手の上にお財布から抜きだした一枚を載せてくれる。
手のひらの上に載せられたそれはやはり、私の一か月分のお小遣いと同額で。
だからこれに免じて少しだけ、お姉さんのことも許してあげても、良いかもしれない。
「ね、香菜ちゃん。 もっとお小遣い、欲しくない?」
「え……?」
「エッチしようよ、ね? お小遣い、弾むから。」
「う、いや、でも……。」
「香菜ちゃん初めてだし、これくらいで、どう?♥」
やっぱりというか、なんというか。
お姉さんはここで終わらせるつもりなんて、無いみたいで。
あれだけ駄目だと言ったのに、エッチしようなんて、持ち掛けてくる。
何だか頭がまとまらなくて、流されてキスだのなんだの、してしまったけれど。
今日は本当に、お食事だけのはず、だったのに。
とにかくこれ以上はもう、断らないと。
そう考えた私に、お姉さんの手のひらが突き付けられる。
私も、お姉さんが、これくらい、といった意味が分からないほどに察しが悪いわけじゃない。
突き付けられた手から、ぴん、と伸びる指の数は、3本で。
だから、それは、つまり、私のお小遣いの、3か月分。
その金額は、あまりにも魅力的で、少しだけ、くらり、と来てしまう。
「香菜ちゃん、欲しいもの、いーっぱい、あるんだよね?」
「ぁ……。」
「これからも、こうやって、お小遣い稼ぐんでしょう?」
「えと……、ちがくて……。」
「私みたいなのが相手ならともかく、ご飯だけじゃあんまり、稼げないよ?」
「その、えっと……。」
「ね? ほら、練習だと思って、ね?」
今までにお姉さんからもらったお小遣いは、最初の喫茶店で1万円に、ランチの時の2万円に、キスで1万円、そうしてお姉さんを気持ち良くして、1万円。
実際には、ランチ代も持ってもらっているし、他にも、アクセサリーを買ってもらったり。
だから今日だけで、お姉さんには相当のお金を使ってもらっている。
けれどお姉さんが言うには、それはお姉さんがお金持ちで、さらには優しい人だから。
それに、エッチまで込みの方が、お財布の紐も緩みやすいらしい。
これからもこうしてお小遣いを誰かからもらおうと思ったら、やっぱり、そういう事も考えなくちゃいけなくて。
それとは別に、これからの人生でいつかは、エッチをする日も来るわけで。
だから、その、初めてそういう事をするのは、優しいお姉さんでも、良いのかも知れなくて。
それに、改めて今日お姉さんが使った金額を考えれば、その、お礼みたいな気持ちも、少しだけあって。
「香菜ちゃん、どう?♥」
「あ、あの……っ。」
「うん、なぁに?」
「ほ、本当に初めて、だから……、その、優しく、してくれますか……?」
「もちろん♥」
だから私も覚悟を決めて、せめて優しくして欲しいと伝えてみれば、お姉さんは本当に優しく、にっこりと微笑んで。
そうしてお姉さんは、私の服に手をかけるのだった。
────
やはりというか、何と言うか。
私の服を脱がしていくお姉さんの手付きは、それなりに、いや、かなり手慣れていて。
あっという間に、ワンピースを脱がされて、ブラもはぎ取られて、残すはもう、ショーツだけ。
私は、何となく気恥ずかしくて胸を両手で抱くように隠しながら、気付けば最早まな板の上の鯉といった様子だった。
「やっぱり、若い子の肌って、全然違うんだよねぇ。」
「ふぁ!? うぅ、そうですか……?」
「うん。 お姉さんみたいに、お金かけてケアとか、してないでしょ?」
「それは……、はい。 ん、ぅ……。」
お姉さんは、ベッドに横たわる私の頬に、肩に手を滑らせて。
そうして、脇腹を通って、腰から、太腿までを撫でていく。
私は、ぞわり、と沸き起こるくすぐったさに吐息を漏らして、身体を揺らして。
あぁ、セックスって、こうやって始まるんだ、なんて、良く分からないことを考えていた。
「それじゃぁ、そろそろ、おっぱい見せて、ね?」
「あっ……。」
「香菜ちゃんのおっぱい、会った時から気になってたんだぁ……♥」
私にこういう事を勧めた友人は、おっぱいのサイズが重要だなんて言っていたけれど。
どうやらそれは、この優しそうなお姉さんにも当てはまっていたことらしい。
正直、少し胸のことはコンプレックスで、本当に恥ずかしいんだけど。
そんな事を考えていたって、最早、後戻りすることなんてできなくて。
だからもう、どうにでもして欲しい。
そんな事を伝えるかのように、自分の身体を抱きしめるようにしていた両腕を緩めて、そうして、両手を頭の横に上げる、お手上げのポーズ。
「うわ、おっきぃ……♥ あ、乳首、陥没してるんだ、かわいー♥」
「ううぅ……。 恥ずかしい、です……。」
「あ、乳首のこと、気にしてる?♥ ちゃんと引っ張って出てくるなら、大丈夫だよ。♥」
お姉さんは、私の胸を目にするなり、にんまりと笑って。
そうして、私の気にしていること指摘して、けれど大丈夫と太鼓判を押してくれる。
何でも、お姉さんの言う通り、引っ張って乳首が出てくるなら、日頃のマッサージとか、成長とかで治るみたいで。
正直、いつかは病院に行かないといけないのかと思うと憂鬱だったので、少し、安心してしまう。
「だから、こうやって……♥」
「んぁっ、ううぅ、んく……っ。」
そんなアドバイスに心のどこかで安心していれば、お姉さんの手が無遠慮に伸びて来て、私の胸に触れ始めて。
そうして、滑るように向かうのは、陥没してしまっている、左右の乳首があるところ。
お姉さんは、それぞれの手で乳輪を摘まむようにして、隠れていたわたしの乳首を飛び出させて。
「こうして、ぎゅぅ、って圧迫してぇ♥」
「んぁっ!? ん、んぅっっ。」
「くりくりしながら、引っ張ってぇ♥」
「ひぁっ♥ ん、んっ、んっっっ♥」
お姉さんは、顔を出した乳首を、その指先でつまんで、ぎゅぅ、ぎゅぅ、と刺激して。
さらには、指の間でくりくり、と捩ったり、ぎゅぅ、と圧迫しながら、引っ張ったり。
どうやら、自分でマッサージする方法を、実地で教えてくれているらしい。
けれど、そうしてお姉さんの指で乳首を弄られる度に、私の背筋には、ぞわぞわ、と何とも言えない感覚が走って。
それがさらにしばらく続けば、それが快感なのだと、嫌が応にも気づかされてしまう。
「可愛い声、出ちゃったね?♥ もう気持ち良くなってきた?♥」
「う、んぅぅ……♥ それ、は……、んはぅっ♥」
「ん、ぢゅ……♥ こうやって吸い出してもらうのも、効くんじゃないかなぁ?♥ ちぅ、ぢぅ……♥♥」
「んぁあっ♥ う、ううぅ♥ ん、やぁ……っ♥ あっ♥♥」
一度、その快感に気付いてしまえば。
そうして一度、その心地よさに声を漏らしてしまえば。
その後はもう、その快楽を、突き付けられるばかり。
お姉さんの言葉に素直に答えられない私を余所に、その責めは、徐々にエスカレートしていく。
私は、声が漏れてしまわないように右の手の甲を口に押し当てて、けれど、その直後に私の胸の近くで、にんまりと微笑むお姉さんの笑顔を目撃して。
次の瞬間には、ぢう、と乳首を吸われる未知の快感に、思わず声を漏らしてしまっていた。
「ん、んぅ、ぢゅぅ♥ れりゅ、れぅ……♥ ちゅ、ぢぅぅぅ……♥♥」
「ふにっっ♥♥ んぁ、あひっっ♥♥♥ は、はう、んんぅぁああっっ♥♥」
お姉さんは、恥ずかしさと心地よさに揺れる私の葛藤を知ってか知らずか、大きめに開けた口で私の乳輪に食み付いて。
そうして、ぢぅ、ぢぅ、とはしたなく音を立てて、乳首ごと吸い立てる。
さらにはもちろん、こういう事にどこか手馴れたお姉さんのこと、吸い出されるような刺激だけで、終わるはずもない。
そのお口の内側では、ぬろぬろ、と舌が蠢いて、私の乳首をそのざらついた表面で擦る様に、嬲っていく。
さらには、もう一方の乳首はお姉さんの手で、ぐりぐり、ぐにぐに、と弄ばれ続けていて。
「ちゅ、ちゅ……♥♥ っっぱ♥♥♥ ほら、香菜ちゃんの乳首、もーっと可愛くなったよ?♥」
「うぅ……、ううぅ……♥」
やがて、ちゅぽ、とお姉さんのお口が音を立てて、お姉さんの体温と唾液でほかほかに暖められた乳首が、冷たい空気にさらされる。
私はそれを見下ろして、どきん、と心臓を跳ねさせてしまっていた。
気持ちが良いと乳首が硬くなるなんて、ちょっとエッチな漫画とかで、予備知識はあったのだけれど。
けれど、私が見下ろしたそれは、じん、じん、と痺れるようなそれは、小指の先ほどにも膨れていて。
明らかにそれは、自分の記憶にはない姿だった。
「もう片方も、可愛くしようね?♥ んぁ、む……♥ ぢぅ、ぢぅぅぅ……♥♥」
「え、あっ……、やだ、やだっっ。 ううっ!?♥ ん、おッ、んんぁああっっ♥♥♥♥」
強く吸われていたからなのか、左右の乳首を比べてみれば、明らかに吸われていた方が大きくて、不揃いで。
だからなのかお姉さんは、もう一方も苛めてあげるなんて、宣言をして。
何だか怖くて逃げようとした時にはすでに、もう一方の乳首もお姉さんのお口に含まれていて。
そうして間髪入れずに、ぢぅ、ぢぅ、と先ほどにも負けない勢いで吸われながら、舌で嬲られ始めてしまう。
もちろん、解放されたはずのすっかり硬くなって乳首も、見逃してなんてもらえない。
まだ唾液に濡れる乳首は、ぴん、ぴん、とお姉さんのしなやかな指で何度も弾かれて。
「んぢゅ、ぢゅぅ♥♥♥ れりゅ、ぢぅ、あむ、んぢぅ……♥♥」
「んぎゅ、ううぅっっ♥♥ んんぁあああっっ!?♥♥」
「っ、っぱ♥ もしかして、イっちゃった?♥」
「はぁ、はぁぁッ……♥ え……?」
ぞわり、ぞわり、と背筋に伝っていた快感は、いつの間にか、ずくん、ずくん、と頭の奥にとどまって。
そうして何か、溜めてはいけない袋のようなものが、ゆっくりと、膨れていくような、そんな感覚。
やがていっぱいになった袋が、ぱつん、と弾けて。
そうして、おっぱいを苛められているだけなのに、何故か腰が、かくん、と跳ねて。
訳も分からずに声を上げていれば、お姉さんからの種明かし。
お姉さんの言葉を信じるなら、どうやら私は、乳首への刺激だけで、イってしまった、らしい。
果たしてそれは、お姉さんが上手なのか、私が敏感すぎるのか、一体どちらなのだろうか。
見下ろしてみれば、唾液で濡れた乳首は、左右どちらも同じほどに、膨れていて。
それは、自分の身体が明らかに、お姉さんにいじめられて変化してしまっているということで。
少し違うのかもしれないけれど、他人に染められるってこういう事なのかと、納得してしまう。
「それじゃぁ、こっちも、してあげるね?♥」
「え、えっ……!? あ、お姉さん、待って……!」
「ん、ちゅ……♥ やだ、待ってあげない♥」
「あ、あっっ……!」
そうやって少しだけ感慨にふけっていれば、お姉さんは、ずるり、と滑る様に体勢を変えて。
そうして、最後に残っていたショーツのウエストに、指をかけてしまう。
私は慌てて、脚を閉じて、脱がされないように抵抗をしようとして。
けれど、お臍に優しくキスをされた、たったそれだけで、その抵抗を情けなくも、散らしてしまう。
だって、お臍にキスをされたその瞬間、私の目には、すっかりとお姉さんに嬲られた、ぴん、と硬くなった乳首が映って。
あぁ、きっと、私、そこを気持ち良くされるのも、少し、期待しちゃってる。
「ほら、脚、開いて?♥」
「ぁ、うう……♥」
果たして、急に抵抗をやめた私の姿は、お姉さんにはどういう風に映ったのか。
一瞬だけそんな考えがよぎったけど、状況はそんな私を置いて、どんどん、進んでいってしまう。
私の体を最後まで守っていたショーツは、あっというまに、するり、と足先から抜かれてしまって。
お姉さんが促すように私の内腿に触れれば、脚が勝手に、ゆるゆる、と開いて行って。
気が付けば膝を立てて、脚を左右に大きく開いて、自らの性器をしっかりと、お姉さんに見せつけてしまっていた。
そんな私の様子を優しく見守るお姉さんは、すっかりと私の足の間に陣取って、じっくりと観察するかのように、そこに顔を近づけて。
「うわぁ……♥ 薄ピンクで、小陰唇も小さくて、可愛い……♥」
「んぅ……っ♥」
「陰毛も処理が要らないくらい薄くて、羨ましいなぁ♥」
「は、はッ……♥」
「あ、でも、クリはちょっと、大きいかも?♥」
「うくっっ、あのっ、恥ずかしいんですけどっ……!」
ふに、ふに、と優しく私の性器に触れる、お姉さんの指。
お姉さんの指は、私の、その、大陰唇を、にぐ、と横に広げて。
さらには、性器のすぐ上に茂る陰毛を軽く摘まんで、しょりしょり、と指の間で擦って。
かと思えば、性器のすぐ上の肌を、ぐ、と圧迫するように押し上げて、その、クリトリスを確認して。
そうして、いちいち、わざわざ、その状況を口に出して!
「ふふ……♥ なんだか、緊張してそうだったから。」
「そうだけど、そうですけどっ!」
「ごめんごめん、ちゃぁんと、気持ち良くしてあげるから……♥」
「んぁっ……!?♥」
さすがに恥ずかしくて抗議してみれば、ごめんごめん、と素直に謝るお姉さん。
どうやら、いざこの段になって緊張している私への、お姉さんなりの配慮だったらしい。
半分、遊んでいたような気もするけれど、本当だろうか。
多少のそんな疑問はありつつも、確かに、私の緊張というヤツは大分、ほぐれていて。
そうして油断していれば、お姉さんの指が再び、私の性器に触れてくる。
「初めてだっていうし、やっぱり、指よりも舌かなぁ?♥」
「ぅ、え……?」
「それじゃ、いただきまーす♥ んぁ、む……♥ れぇ、る……♥♥♥」
「ん、ひ!?♥ んぁっ!?♥」
一体お姉さんは、私のそこをどういじめるつもりなのか。
頭を起こすようにしてお姉さんの方を必死に窺っても、何をしようとしているのかはどうしても、見えなくて。
だから多少の不安を感じながらも、その感触で、何をされているのかを推測するしかない。
そうしてどこか戦々恐々としていれば、私の性器の左右にお姉さんの指が置かれて、くぱ、と大きく、左右に広げられるような、そんな感触。
そうして次の瞬間に、指よりも太くて、柔らかくて、生温かくて、ざらりとして、ぬるりとしたものが、ぞろり、と下から上までを這いずって。
当然それは一度では終わらずに、お姉さんが、ん、ん、と鼻から息を抜く度に、ぬち、ぬりゅ、と私の敏感なところを、何度も擦っていく。
「んひっ!?♥ ぁ♥ お姉さん、何して……っんぁ!?♥♥」
「んー……?♥ れりゅ、れぅ……♥ 何って、クンニだけど……♥ ぢぅ……れう……♥」
「ひ、ああぁあっ♥♥ やだ、はずかしっ……♥♥ んんぅっ♥ あ、ううぅっっ♥♥」
お姉さんに何をしているのかを確認してみれば、予想していた通りの答えが返ってきてしまう。
お姉さんの舌は、小陰唇のひだの外側を、ぞりぞり、と舐め上げて。
クリトリスの周りをなぞるようにして、反対側のひだの外側を伝い降りて。
そうして再び下まで降りたら、今度はひだの内側の番。
最初に、くるり、と円を描いたのは、膣の入り口の、縁の所だろうか。
次に、ぐりぐり、と舌先を尖らせて刺激されたのはきっと、尿道口で。
さらには、ひだの所を擽るように、れりれり、と何度も往復して。
最後は、舌先をクリトリスに、ぐり、ぐり、と下側から持ち上げるように引っ掛けて。
ぴん、と跳ね上げるように、舐め上げて。
「ん、ぢゅぅ……♥ 結構、濡れてるね♥ 気持ちいいんだ? ぁむ、はぁむ♥ ぢゅりゅる……♥♥」
「んひっっ♥♥♥ くぅんっっ♥♥ は、はぁぅっっ♥♥ う、うっっ♥ んんぅぅ♥♥」
優しそうに見えて、何処か執拗さも感じる、お姉さんの舌遣い。
私はそれに翻弄されて、ひくん、ひくん、と腰を何度も跳ね上げて。
けれど、快感を逃がそうとしていた私のそんな動きは、お姉さんにとうとう、見咎められて。
お姉さんの両手でしっかりと腰を掴まれて、押さえ込まれてしまう。
「はぁ……♥ じゃぁ次は、ここ、いっぱい苛めちゃうね……♥ んぁ、む……♥♥」
「ひっっ!?♥♥」
「んりゅ、れりゅ、ちゅ、ちゅぷ♥♥ れるれる、れぅ、ぢゅっ……♥♥ ぢぅぅ♥♥」
「おっ!?♥♥ んひっ♥♥ お゛っっ、んぉッ……♥♥ う、うう゛ぅっっ♥♥ んん゛ぅぉッッ……!♥♥♥」
そうして、次のターゲットにされたのは、お姉さんからちょっと大きめなんて言われた、クリトリス。
お姉さんは右での親指で、クリのすぐ上を圧迫するように引っ張り上げて、私のその弱点をしっかりと剥き出して。
私に見せつけるように大きくお口を開けて、熱くて湿った吐息で暖めながら、はぷり、と大きく食み付いて。
唾液をたっぷりと絡めた舌で、ぬるり、ぬるり、とクリトリスを撫で始める。
その瞬間の快感はもう、本当に、まるで雷に打たれてしまったかのよう。
独りでする時は、やっぱり気持ちいいから、つい、そこばっかり弄ってしまうのだけれど。
それでも、ちょっと怖いから、むき出しにして触ったことなんて、これまでなくて。
今までに感じた事のない程の強い快感が、ぞくん、ぞくん、と背筋を走る度に、自分がどうなってしまうのか分からなくて、怖くて、逃げ出したくてたまらなくて。
そうして、お姉さんの責めは、舌の刺激だけではなくて。
挙句の果てには、ちぅちぅ、とリップ音さえを漏らすような勢いの、強烈な吸引。
ぢぅ、ぢぅ、とリズミカルに吸われる度に、明らかにクリトリスに血が集まって、膨張しているのを実感して。
さらには、クリトリスを吸引されながら、その、つん、と尖ってしまった先っぽを、てちてち、と舌の先が往復して。
脳みその裏で、ちかちか、とした火花を感じながら達してしまうまで、ほんの一瞬だったと思う。
「んんぉぁっっ♥♥ まって、それ、こわ、ごわいっっ♥♥ んん゛ぉッ♥♥♥♥ お゛、ほッ♥♥♥♥」
「んー……?♥♥ ぢゅりゅ、ぢゅぅぅぅぅっっ♥♥♥ れりゅ、れう、ぢゅううっっ♥♥ 」
「ああ゛ぁああ゛ぁあ゛ぁっっっ♥♥ あああ゛あぁあ゛ーーーっっっ♥♥♥ ううううぅう゛ぅっっっ♥♥♥」
お姉さんの、痛みを感じてしまいそうなそんなギリギリのラインの、激しい責め。
それを享受するしかないわたしは、意味もない言葉を喚きながら、両手をバタつかせて、首を何度も左右に振って。
けれど、抱きすくめられるようにしっかりと押さえつけられた腰から、お姉さんが離れてくれることはなくて。
そうしていれば不意に感じる、腰の奥から、どろり、と何かが溢れるような感覚。
それは、一度では終わらずに、どろり、どぷり、と身体の奥から何度もあふれ出て。
とうとうお尻の方まで伝い落ちたのを感じてやっと、膣穴から溢れた自分の体液だと、思い知らされて。
自分の身体が、どうしようもなく発情させられているのだと、理解してしまう。
「んぢゅ、ぢゅりゅぅぅ……♥♥ あむ、ん、む……♥ ちゅぅ……、ちゅ、っぷぁ……♥」
「ひぎゅっ♥♥ んぉぐっっ♥♥ ん゛ぃい、ん゛ひっ♥♥ お゛、んぉお゛ッ♥♥ っっ♥♥ はぁっ♥♥ はぁぁぁッ……♥♥」
そうして、どれくらいが経過したのかも、何度達したのかも、最早数えることもできないほどに朦朧としたまま時間が過ぎていく。
私のクリトリスを苛めていたお姉さんは、名残惜しそうに唇で、はむはむ、と挟んで、唇の間で転がして。
最後に、ぢぅ、ぢぅぅ、と強く吸った後、ちゅぽん、と勢いよく唇の間から引き抜いて。
ようやく、本当にようやく、地獄のようだった愛撫の時間が、終わりを告げる。
私の頭の奥はもう、すぐに鼻血を噴き出してしまいそうなほどに、づくづく、と脈打って、くらくら、と揺れていて。
けれどやっとお姉さんの動きが止まったことに、心の底から安堵して。
「ふふ、んふふ……♥ それじゃぁ次は、入り口もよぉく、ほぐしておこうねぇ?♥」
「はぁ、はぁ……っ♥ へ、えぇ……?」
「んれりゅ、れぅ……♥ んむ、れぇぇ……♥♥」
「ぉ゛!?♥ ひっっ♥♥ やめ、やめ゛へッ♥♥ や、んん゛ぉぉぉぅ……♥♥」
どうやら、お姉さんの愛撫は、まだまだ続いてしまうらしい。
私の足の間から、にやにや、と笑顔を見せながらこちらを見るお姉さんは、まるでこちらを追い詰めるかのように、べろり、と舌を突き出して、ゆるゆる、と左右に揺らして。
そんな光景を見せられて頭の中にフラッシュバックしてしまうのは、先ほどまでの拷問のような快感を叩き付けられる、鮮烈な記憶。
けれど、いくら、やだやだ、とぐずってみても、逃げようとして見ても、もう、腰になんかまったく力が入らなくて。
そうしてとうとう、お姉さんの舌が再び、わたしのそこに触れて、にゅりゅり、にゅぐり、とひだの内側を舐め始める。
「んふ♥ れりゅ、んぢゅ……♥♥ んん……♥ れちゅ、れち……♥♥」
「ひ、ん゛ひぅっっ♥♥ あ、ああ゛ぁっ♥♥ ん゛、ううぅ、ひっっ♥♥ うううぅう♥♥♥」
お姉さんの舌が向かう先は、どうやら最初から、決まっていたらしい。
私のそこを、ぞり、と舌先で擦りながら向かう先は、膣の入り口。
その穴の周りを、ぞろり、と一周、二周、と這った後は、思い切り突き出して、にゅぷ、と浅く捻じ込んで。
まだ何かを迎え入れることに慣れていない、強く締め付けてしまう括約筋をほぐす様に、ぐりゅ、ぐりゅ、と内側からこじ拡げてくる。
そうして、お姉さんの右手は、先ほどまでの愛撫で、ぴんぴんに主張してしまっているクリを、全部の指で弾くように、なでなで、と撫でまわして。
先ほどまでの鋭すぎる快感とは違う、けれど、じくじく、とお腹の奥に溜まっていくかのような快感に、私は身悶える事しかできなくて。
「んぉっっ!?♥♥ お、お゛ッッ♥♥ んんふ、ふッ、ふッ……♥♥ んんん゛ぅうぅううッ……!♥♥」
「んぢゅ、にゅぐ♥ れりゅ、れぅ♥♥ ふふ……♥ んんんぅ……♥」
先ほどまで、散々に昂らされていた私が、お姉さんの的確な責めに、耐えられるわけもなく。
それぞれの指で私のクリトリスをつま弾いていくお姉さんの手が、数度往復するだけで、私は再び達してしまう。
わたしはもう、お姉さんの責めに翻弄されるままに、お口をだらしなく広げて、降参をするかのように、ひたすらに声を漏らして。
けれど、私のそんな命乞いは、お姉さんをただ、愉しませるばかり。
その証拠に、私とお姉さんの視線が、ちらり、とぶつかっても、お姉さんは、くすくす、と含み笑いを漏らすばかりで。
私の内側をこじ拡げながら這い舐めるお姉さんの舌の動きも、私のクリトリスを弾いていくお姉さんの手の動きも、むしろ、早くなるばかりで。
「ん、ぢゅりゅ……♥♥♥ っぷぁ……♥ そろそろ、良いかな……♥」
「お゛、ぉッ……♥ は、はっっ……♥♥ お゛、ぉ、ん゛ぉ……っっ♥♥」
それから1分も経っていないような気もするし、10分以上、苛められていたような気もする。
とにかく、もう何度もイかされて、息も絶え絶えになった頃、ようやく私を苛んでいた快感が止んで、お姉さんが、ゆったりとその体を起こしていく。
私は、この後に何が待ち構えているかなんてすっかりと忘れたまま、両足をがに股に開いたまま、ひく、ひく、と腰を震わせるのが精いっぱいで。
そうしていれば、私の両足が持ち上げられるように、大きく左右に開かれて。
ぬたり、と股間に押し当てられる、なにか、柔らかいような、硬いような、不思議な感触。
「んぁ……?♥ おねえ、さん……?♥ んぅぅ……?♥」
「はぁ、香菜ちゃん、蕩けてて、かわいー……♥ ワケわかんないうちに、処女、貰っちゃうね?♥」
「……?♥ はぁぐっ!?」
お股に押し付けられたそれは、まるで何かを探すかのように、ぬち、ぬち、と私のそこを上下に擦って、ぐにぐに、とお肉を捏ねて。
そうしてようやく何かを見つけたのか、ぴっとりとある一点で、動きを止める。
足の間に陣取っていたお姉さんが、私に圧し掛かる様に、身体をゆったりとこちらに倒して。
そうしてお姉さんが腰に体重を掛けるようにすれば、みぢり、と脳天まで響く、体の中を押し広げられるような、鈍い痛み。
「あ……!? い、い゛っ……!!」
「はぁ、香菜ちゃんの中、きつぅ……♥ もうちょっと、我慢してね……?♥♥」
「んんぁっ!? う゛、うう゛ぅぅ……っっ!!!」
お姉さんは、そんな事を言いながらも、ゆるゆると身体を、腰を揺すって。
そうする度に、みぢ、みぢ、と押し広げられる感覚が、奥へ奥へと進んでいく。
そこまで至ってしまえば、自分が一体何をされているのか、嫌が応にも、思い知ってしまう。
そう、今私の体の奥をこじ拡げるように捻じ込まれているのは、お姉さんのおちんちんで。
私が惚けてしまっている間に、私の初めてはあっさりと、お姉さんに奪われてしまっていた。
「な、なん、でっ……、ご、ゴム……っ!」
「んん? ナマの方が、気持ちいいよ?♥」
「だめ、だめっっ、にんし……っ。」
「大丈夫、大丈夫、外に出すから♥♥」
「んぐっっ!? ううぅ、うっっ……!」
そうして、おちんちんを捻じ込み始めたお姉さんは、優しかった今までと打って変わって、強引だった。
私のそこに、今もゆっくりと捻じ込まれていくおちんちんには、避妊具なんて、付いていない。
そのことを咎めてみても、お姉さんは、大丈夫大丈夫、と取り合ってさえくれなくて。
それどころかまるで、黙れ、とでも言うように、どす、と腰に力を込めて。
まだ半分ほどまでしか入っていなかったおちんちんを、根元まで、一気に捻じ込んで。
ずん、とお腹の奥を突き上げられるような衝撃に、私は思わず呻き声を上げてしまう。
「お酒も入って鈍ってるだろうし、思ったより、痛くないでしょう?♥」
「え、あ……? おさ、け……?」
「あぁ、気付いてなかったんだ?♥」
「さっき、美味しい美味しいって飲んでたあれ、お酒だよ?♥」
「あんまり知らない人に出された飲み物に、簡単に口をつけたら、だめだよぉ?♥」
「ひ、ぐ……っ。 は、うう゛ぅっ……。」
先ほどまでの、優しかったお姉さんはどこへやら。
私のおなかを、ぐりゅ、と突き上げるお姉さんは、にたにた、といやらしく嗤いながら、私のことを見下ろして。
そうして、うっとりとため息をつきながら、にぐ、と腰をくねらせる。
今や、私たち二人のお互いの腰はぴったりと、くっついていて。
だからつまりそれは、お姉さんのおちんちんが、私のお腹に、しっかりとねじ込まれているということで。
そんな状態でお姉さんが腰をくねらせれば当然、硬いおちんちんが、私のお腹の中を、ぐりゅり、と大暴れ。
けれど、お姉さんの言う通り、その痛みは本当に少なくて。
もちろん、思わずうめき声が漏れてしまうほどには、痛いのだけれど。
その痛みも、ずきずき、というよりは、じん、じん、と熱く染みるような、そんな痛みとでもいうか。
「それに、さっきまでので、たっぷり濡れてるし……♥」
「んあ゛ぅ!? ん、ううっ、んん゛ううぅっっ……!!」
「ほら、いきなりこんなにしても、大丈夫でしょう?♥」
「んっ!? う、う゛っっ……!! んんぅう゛っっ……!!」
果たして、優しくしてくれるというあの約束も、どこへ行ってしまったのか。
お姉さんは私の両膝に手を添えて、左右に思い切り広げて、押さえつけて。
そうして私を逃げられないようにしながら、どす、ずぐ、と大きき腰を振り始める。
お姉さんが腰を引いて、大きなおちんちんが、ずる、ずりゅ、と引き抜かれていけば、膣の中のお肉が、掻き出されて、引きずり出されるかのようで。
そうして逆に、腰が突き出されれば、おちんちんが今度は、私のお腹の奥を突き上げて、押し上げて、ぐりゅ、ごりゅ、と捏ねるように暴れて。
「ほら、えっろいデカクリも、だらしないデカチチも、一緒にいじめてあげるから機嫌なおして?♥」
「えあ!? ま、まって、おねえさん、まって……っ! んう、お゛っ……!?♥」
「何? 初めてなのに、感じてきてるの?♥ ほんっと、スケベすぎ♥」
そう言いながらお姉さんがにやにやと見つめる先は、先ほどまでの余韻に、未だにぷっくりと膨れたままの、クリトリス。
お姉さんは、べろり、と右手の親指を舐めて、たっぷりと唾液を載せて。
そうして、お姉さんの大きなおちんぽをねじ込まれている膣穴のすぐ上で、はやく、はやく、とアピールしてしまっている私のクリトリスを、ぞり、と撫で上げる。
それこそがお姉さんの本性なのか、先ほどまでとは違って、無遠慮で、雑な愛撫。
けれど、二度、三度、と繰り返されるそんな強い摩擦が引き起こす快感は、初めてを奪われた、じんじん、とした痛みより、はるかに強くて。
思わず漏れてしまった喘ぎ交じりの呻き声に気をよくしたお姉さんは、腰をくねらせるようにして、ずぐ、と奥を捏ね始めて。
「んっ! んうっ!?♥ う、んんんんぅぅぅっ……!!♥♥♥」
「は、ぁ……♥ JKなんて喰ったの久々だけど、最近の娘ってこんな、淫乱なの?♥」
「あっ♥♥ んぅっ♥♥ は、はぐっっ……!!♥♥♥」
「まあ、泣かれるよりは、全然いいけど……♥♥」
愉しそうに私の様子を見るお姉さんは、今度は左手を、私の胸に伸ばして。
むに、たぷ、とおっぱいのお肉に指をうずめるように、揉みしだく。
しばらくそうして満足したのか、お姉さんの手は、指先は、ぷっくりと膨れた乳首の方に滑って行って。
そうして、ぎぅ、と強く摘まみながら、おっぱいを持ち上げるほどに、引っ張って。
そうしながら、体を、腰を小刻みに揺らすようにして、私のお腹の奥を揺さぶって。
「ほぉら、もうすっかり、痛みもどこかに、行っちゃったね?♥♥」
「んぁ、あっっ♥♥ ん、ううぅっ♥♥ お、んぉッ♥♥♥ ひぐ、ん、ひっっ♥♥♥」
気づけばお姉さんは、お互いの腰がぶつかる衝撃で私の体全体が、ゆさゆさ、と揺れるような勢いで、思い切り腰を振っていて。
そうして、お姉さんの言葉通り、私の口からは喘ぎ声が次々に漏れていく。
なんとかそれを抑えようと、私は手の甲を押し付けるようにして、お口を隠して。
それでも、ねちねち、とお姉さんの右手が私のクリトリスを執拗に捏ねるたびに、跳ね上がるような声が、勝手に溢れてしまう。
私だって、もはや自分の態度に、説得力なんてないのは、分かっている。
けれど、それでも、違うと否定するように、お姉さんを必死に睨みつけて。
そうすればお姉さんは、まるで私をあざ笑うように見下ろしながら、思い切り腰を突き上げて。
さらには、無駄な抵抗をやめろとばかりに、ぐち、にち、と腰をくねらせて、私のお腹の奥を捏ねまわして。
「ぉッ♥♥♥ ん、おッッ……!!?♥♥ んふ、ふーッ……♥♥♥ ふぎゅっっ♥♥♥」
「やっぱ香菜ちゃん、よわよわの雑魚まんこじゃん……♥♥」
お腹の奥を突き上げられる、まるで内臓を押し上げられるような感覚に。
さらにはそこを乱暴にこねくり回されて、抉じ拡げられる事への、何とも言えない恐ろして。
それはどうしようもなく、自分が強いオスのモノにされているという、自然界の本能からしてみれば極めて幸せな実感と納得で。
そうして私のことを組み敷いているお姉さんが、どうしようもなくキラキラして見えて。
胸の奥から何とも言えない、好きだとか、愛情だとか、そういうよくわからない気持ちが溢れてくるのを、止められない。
「う、あっっ♥♥ おね、おねえさんっ……♥♥」
「んー? なぁに?」
「すき、すきっっ♥♥ んおぅっっ♥♥ すきっっ……♥♥♥」
「ふふ……♥♥ 香菜ちゃん、私のこと好きなんだ?♥♥」
「んぁっっ♥♥ ひぐっっ♥♥ うん、うんっっ……!♥♥」
優しくて、綺麗で、お金持ちで。
けれど一皮剥けば、凶暴な獣のように私の体を求めてくる、お姉さん。
そんな人に情熱的に抱かれてしまったら、勘違いしても仕方なくて、嬉しい気持ちが抑えられなくて。
すき、すき、って、お口から勝手に漏れて、止まらない。
けれど、そんな幸せでいっぱいの私を待ち受けていたのは、お姉さんのにやにやとした、意地悪な笑顔だった。
「そんなに好きならさぁ……♥ 中でも、良いよね?♥」
「あ、あんっっ♥♥ ぅ? ぇ……? なか? えっ……?」
きっと、たぶん、これが私の初恋で。
つまりは、一世一代ともいえる気持ちで縋った、お姉さんへの告白。
けれど、それに対してのお返事は、私の想像していたものとは随分と違って。
だから思わず漏れてしまう、戸惑いの声。
恐る恐るにお姉さんのお顔を伺えば、私の視線は、ぺろり、と舌なめずりをするお姉さんに迎えられて。
次の瞬間には、ぱん、ぱん、と部屋にお互いの肉がぶつかる音が響くほどの勢いで、腰が振られて、おちんちんでお腹の奥を、犯されて。
「んんぁあ♥♥ イく、でる、精液、でちゃう……♥♥」
そうして私が呆けている間にも、状況は常に、進んでいく。
ぱん、ぱん、と思い切り腰を打ち付けるように大きかった動きは、徐々に小刻みに変わって行って。
今ではもう、私の奥ばっかりを、どつどつ、と叩くような勢いで突きまわしている。
気持ちよさそうに腰を振るお姉さんは、少しでもこの時間を引き延ばしたいのか、何かをこらえるように、きり、と奥歯を噛み締めていて。
私は、思わず、といった様子で漏れたお姉さんの言葉に、ようやく、自分の置かれた状況を思い出して。
けれど、それは本当に今更のお話で。
「っっ!? 嫌っ、イヤ! だめ、だめっ、だめだめだめっっっ……!!」
「んぅ、ぉ、おッッ……♥♥ んんぅううぅ……っっ♥♥」
「あああ!? う、ん゛ぅっっ! ぁ、ああ゛ぁあ……、あ゛あぁぁあ……。」
事ここに至って、イヤだとか、ダメだとか、そう訴えてみても本当に、後の祭り。
私の悲鳴なんてどこ吹く風で腰を振っていたお姉さんは、どすり、と私の一番奥を思い切りおちんちんで押し上げながら、ぴたり、と動きを止めて。
そうして、ぶるり、と体を震わせながら、お腹の底から漏れたような呻き声をあげて。
一方で、私のお腹の奥にねじ込まれたおちんちんだけが、元気よく、びくん、びくん、と跳ね回る。
本能的に時間切れを悟ってしまった私は、何とか逃れようと、体をよじって。
けれどその瞬間に、びゅぐり♥、とお腹の奥ではじける、熱い塊。
そのお腹の奥を灼くような熱さに、思わずぴたりと動きを止めてしまえば、それに気をよくしたように、びゅぐ♥、びゅぶぐっ♥、と私のお腹の奥でおちんちんがしゃくりあげて。
「んぉ♥♥ まだ、出る……♥♥ う、んぅぅぅっっ♥♥♥」
高校生ともなれば、子供の作り方なんて、とっくに存じ上げていて。
前の生理がいつ終わったかなんて、おぼろげに思い出してしまえば、妊娠、という言葉が頭の中にちらついて。
けれどそんな私をよそに、お姉さんは身勝手な射精を続けていく。
それどころか、まるで私の膣中に、膣肉に、精液をなじませるかのようにゆったりと腰を振って。
そんなことをされれば、先ほどまで感じていた、塊のような精液の熱さが、じわり、と自分の体温に馴染むように、潰れて、消えて。
「はぁ……♥ 香菜ちゃん、愉しませてくれたから、少しサービスしておくね♥」
「あ……。」
お腹の奥のその感覚に呆然としていれば、私の手の上に何か紙のようなものが載せられて、そうして、お姉さんに促されるままに、くしゃり、と握らされる。
会館の余韻に上擦る吐息をこぼしながらそちらを見れば、一万円の価値があるお札が5枚、私の手の中で潰れていて。
だからそれが、私の初めてのエッチと、中出しの価値ということだった。
そのことに気づかされてしまえば、なんだかとても、それが惨めで。
だから、もう、絶対、こんなこと、しない。
「ねぇ、香菜ちゃん♥」
「はい……。」
「今日、お小遣い、いくらもらったっけ?♥」
「え……?」
けれどお姉さんは、まだ、私のことをいじめ足りないらしい。
お姉さんは余韻に浸るように、ゆるゆる、と腰をゆすって、私の膣中の感触を楽しみながら、にやにやと私を見ろして。
そうして、ぽつり、と口を開く。
「喫茶店で、1万円。」
「その後、アクセサリー買ってあげて、2万円くらいかなぁ? もっと高いのでも、良かったのに♥」
「ランチのコースも、それくらいで、お食事デートのお小遣いに、2万円。」
「その後はぁ……、キスで1万円、フェラで1万円、初めてエッチの中出しで、奮発して5万円。」
「すごいね、今日だけで、10万円以上、稼いじゃってるね。」
「……。」
お姉さんは、ニタニタと笑いながら、じっと私の目を見つめて。
そうして、お姉さんが私にくれたお小遣いの金額を、指折り数えていく。
そうしてまざまざと突きつけられるその金額は、お年玉を除いたら、今のお小遣いの、一年分以上で。
そんな恐ろしい現実に、私は、ひぅ、と息をのんで。
「それで、実感してみて、どう?」
「え……?」
「月のお小遣い1万円の、普通の生活に、戻れそう?♥」
「あ……。」
「ちょろいもんね、無理でしょ?♥ 無理だよね?♥」
「……。」
お姉さんの言葉に、私は思わず、右手に握ったままの5万円に目をやってしまう。
今日、お姉さんにたくさんもらったお小遣いも、きっと、欲しいものを手に入れていけば、きっと溶けるように消えてしまって。
一瞬は満足しても、そうして、また、新しいものが欲しくなるのに、違いない。
そうして、お金が無くなればまた、私は、きっと、こういうことに手を出して、そうして……。
「はぁ……♥ 純粋な子の価値観ぶっ壊すの、最高……♥♥」
事の重大さに気づいて、奥歯を鳴らして震え始めた私の様子に満足したのか、お姉さんはゆったりと腰を引いて、ぬぽ、とおちんちんを引き抜いて。
そうすれば、どろり、と赤色の混じる白い粘りをべったりと纏ったおちんちんが、露わになって。
その様子は、私の初めてが奪われたことを、改めて私に突き付けてくる。
そうして、お姉さんのおちんちんは、2度も射精しているのにもかかわらず、まだがちがちに硬いまま、上向いていて。
その様子は明らかに、ヤリ足りないようにしか、見えなくて。
「どうする? もう少しお小遣い、稼いでいく?♥」
「っ……。 か、帰りますっ……!」
「そう? 残念♥」
そそり立ったままのおちんちんをタオルで拭っているお姉さんを尻目に、私ははぎとられた服をかき寄せて、身支度をして。
そうして、お姉さんから逃げるように、ホテルの部屋のドアを勢い良く開けて。
「お小遣いに困ったら、またいつでも連絡してね?♥」
「っ……!」
ドアが閉まる直前に聞こえたそんな声に、追い立てられるように、私は慌ててエレベーターに乗り込んで。
1階のボタンを押した後は、閉のボタンを何度も、何度も押して。
ようやく扉が閉まれば、エレベーターの隅に背中を預けて、ずるり、とへたり込んでしまう。
その途端に感じるのは、どろり、とお腹の奥から伝い落ちて下着に染みる、何かの体液。
そうして、母からの連絡を受信したスマホだけが、声を押し殺す私を咎めるように何度も、震えていた。
念を押しますが、この物語はフィクションだと思います。