生まれつき、生きているものに興味がない。僕は屍体だった。この世の外から世界を眺めていた。そう、あの人に逢うまでは。

 ある一冊の写真集を巡って、死んだものにしか興味がなかった中学生の裕は“他者”という謎の存在を知る。無理やり開かれた性感、混乱と絶望、自分の生の熱を嫌悪しても死ぬことを禁じられ、僕はあの頃に戻ろうともがく。そして僕は大人になり、そのなりたいものと向かい合う。そう、解剖台の上で。だがなぜ僕は、お前じゃないんだ?

──夜中、ベッドの中で眠れない時間に不意に思い出してしまう。あの指の感覚、あの全身を走る痺れ、殺しちゃうよ…と囁く声。僕はなぜこんな生々しい思い出を大事に取ってあるんだろう? もっと乾いていて、もっと動かない、冷えきっていて、もっとずぶ濡れでただ朽ちていくだけのあれを僕に…返してくれ──



【挿絵表示】




▼挿絵:あめふらし様
▼プロフィール:リリカルで夢のような線と色彩で美しい人物と情景を紡ぎだす絵師様。文字で書かれた人物を、まるでデルフォイの巫女のようにドンピシャなイメージでチャネルし魂を込める、霊媒系異能者。
(あめふらし様 pixiv・URL:http://www.pixiv.net/member.php?id=1505697)

*各タイトルの後ろに【画】とあるのが挿絵のページです。